【検証:】過去ログSpecial

【検証:近未来交通地図】Special203-7
川崎縦貫高速鉄道の可能性を探る

 本投稿は、川崎縦貫高速鉄道の賛否について、【検証:】掲示板でもお馴染みの、串間様と和寒様の対論を中心に、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。

朝ラッシュ・南武線実乗記と川崎縦貫鉄道の可能性
なぜ川崎縦貫が必要か

川崎市の地下鉄に関するアンケート結果
世紀の愚策となるであろう結末

需要予測についての疑問
市民部会の川縦批判手法を批判する
横浜市との連携ができないか
川崎縦貫高速鉄道線のルートを検証する

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。



【川縦論】横浜市との連携ができないか
 投稿者---だい氏(2003/06/20 11:40:14)
横浜市との連携ができないか
└横浜市の歩み寄りに期待します
 └横浜市営地下鉄3号線の新百合ヶ丘延伸を
  └機能代替とカバー圏
   └やはり鉄道とバスの連携が重要
    └Re:やはり鉄道とバスの連携が重要
    └Re:やはり鉄道とバスの連携が重要
   └現地行かずですが

 ふと思ったのですが、現状鉄道空白地帯で限界に来ているのはお話を聞いていて分かるのですが、川崎市営地下鉄でしか解決できないのでしょうか?
 横浜市と連携して、地下鉄の建設計画を見直せば、現状が若干は改善されるのではないでしょうか?
 横浜市営地下鉄のあざみ野〜新百合ヶ丘の計画がありますが、これを川崎市民にも使いやすいようルート設定すれば、現状よりは良くなるでしょうし、横浜地下鉄4号線で、宮前区・中原区民にも、若干恩恵はあるでしょう。4号線の日吉以南を計画変更して、新川崎経由川崎行きにすれば、より有意義かなぁと思います。
 横浜・川崎両市の計画を見ると二重投資に感じる箇所が多いです。両者協調して整備すれば、より安価に大きい効果を得られる気がするのですが。

横浜市の歩み寄りに期待します
 投稿者---串間氏(2003/06/22 07:36:29)

 串間です。私の考えを書きます。よろしくお願いします。

 横浜市営地下鉄のあざみ野〜新百合ヶ丘の計画がありますが、これを川崎市民にも使いやすいようルート設定すれば、現状よりは良くなるでしょうし

 すすき野を通すことが決まっている以上、使いやすいようルートを敷くのはほぼ絶望的です。すすき野からだと、ほとんど直線的に敷くぐらいしかできないでしょう。
 そもそも横浜市が横浜生田線の下にひかないことが「なぜ?」と思うところでありますが。
 川崎市の言うことを横浜市が聞けば別なのでしょうが。

 横浜地下鉄4号線で、宮前区・中原区民にも、若干恩恵はあるでしょう。

 私もそう思います。ただ、宮前区民の一部と高津区民の一部だけ。かなり限定されることは認識しなければならないでしょうし、市バスは横浜市に入れないでしょう。そこあたりの影響は出ると思います。

 4号線の日吉以南を計画変更して、新川崎経由川崎行きにすれば、より有意義かなぁと思います。

 プライドの高い横浜市がそんなことをするとは考えにくいです。悲観的で申し訳ないですが。
 新川崎まで伸ばしてくれるだけで十分(と言うかこれでかなり便利)でしょうが、それすらしないのは、やはり自治体同士の壁が厚いのでしょうか。

 横浜・川崎両市の計画を見ると二重投資に感じる箇所が多いです。
 両者協調して整備すれば、より安価に大きい効果を得られる気がするのですが。

 本当にそう思います。なんて無駄なことをするんだろうと思います。ぜひともそうしてほしいと私も思います。
 ちょうど市長同士が仲が良いのだから、そこあたりうまくやってくれないかな、と期待する面があるのですが。

横浜市営地下鉄3号線の新百合ヶ丘延伸を
 投稿者---小田急電鉄だいすき氏(2003/06/21 23:00:49)

>横浜市営地下鉄のあざみ野〜新百合ヶ丘の計画がありますが、これを川崎市民にも使いやすいようルート設定すれば、現状よりは良くなるでしょうし、・・。
>横浜地下鉄4号線で、宮前区・中原区民にも、若干恩恵はあるでしょう。

 私もそう思います。・・・市バスは横浜市に入れないでしょう。そこあたりの影響は出ると思います。

>横浜・川崎両市の計画を見ると二重投資に感じる箇所が多いです。
>両者協調して整備すれば、より安価に大きい効果を得られる気がするのですが。

 本当にそう思います。なんて無駄なことをするんだろうと思います。ぜひともそうしてほしいと私も思います。

 だい様、串間様お二人の投稿の一部を載せさせていただきました(一部分の掲載で、趣旨が違うというところがあれば申し訳けありません)。ぼくも、部分的に賛同できるところがあります。

 ぼくの主張は、当地については基本的に道路整備が重要だ、というものですが、決して地下鉄建設自体を否定しているものではありません。

 ここにでている、横浜市営地下鉄3号線のあざみ野−新百合ヶ丘間延伸や、横浜市営地下鉄4号線の建設については、大賛成です。
 横浜線と南武線のほぼ中間を主にとおる路線であり、まさに鉄道輸送が必要なところだといえるでしょう。
 そのすぐ横に川崎縦貫高速鉄道を作るのが、過剰な社会資本整備になるのではないか、と思っているのです。

 特に、横浜市営地下鉄3号線の新百合ヶ丘延伸は、かなりの需要が見込めると思われ、早期に着工できるよう、横浜市・川崎市が協力しあってあたってほしいと思います。

 道路が整備されたうえこれらの新線が完成して、川崎市営バスの一部路線が新しくできた路線の新駅に向かうようになれば、かなりの鉄道不便地帯が解消されるものと思われます。
 特に、虹ヶ丘や蟹ヶ谷・久末・野川などの大団地群には、横浜市営地下鉄のメリットは、大きなものとなるでしょう。
 ちなみに川崎市営バスは、今でも横浜市(港北区高田町)に乗り入れており、川崎市営バスが横浜市内の駅に乗り入れることは、なんら問題がないと思われます。

 早く、横浜市営地下鉄3号線が新百合ヶ丘まで延伸されるよう、願ってなりません。

機能代替とカバー圏
 投稿者---とも氏(2003/06/22 02:55:10) http://town-m.vop.jp/

 ともです
 いくつか・・・

●4号線
 横浜市営地下鉄4号線への過剰な期待は私は無駄と思います。
 基本的にこの路線は「港北ニュータウンの域内流動」と「横浜環状鉄道の一部」というものが基本機能であると感じます。
 現実問題として、対東京や対東京城南地区流動として蟹ヶ谷や野川から4号線筋への流動は遠回り感は否めません。
 もちろん、まったく機能しないとはいいませんし、それ相応の効果はありましょうが、この尾根筋をまたぐ流動を支える道路網の貧弱さはミニバス云々で解決できる問題ではありません。
 よって、根本的な解決には寄与しないでしょう。もちろん、今の川崎縦貫でも完全な解消への寄与はしません。でも、4号線よりは遥かに効果はありましょう。
 まず、基本的な人流として尾根筋を超えてという流れは少々考えにくいです。尾根筋を川崎側に超える流動が強いのは確かですが、それとて南北方向流動に比べたら少ないです。
 さらにはネットワーク面が極めて弱い。日吉はいいとしても結局は東横線のフィーダーでしかないですから。

 日吉から新川崎経由川崎というのはわかります。しかし、横浜市は鶴見に入れるつもりでいる。意図はわかりませんが。素直に考えれば末吉橋経由は悪くは無いですが、新川崎止め〜川崎縦貫接続が適切ではないかと感じます。

●3号線
 私はこの線を新百合ヶ丘に入れるのは否定しませんが、かといってこれで川崎縦貫を救えるとはとても思えません。
 まずルートがまったく違う。遠回りどころかあさっての方向に向いてます。
 この路線で機能代替などとても無理です。

 あくまで私見ですが、この線の筋が確実にいいとは私は思えません。
 すすき野〜新百合ヶ丘ではなく美しが丘西〜清水台〜長沢入口〜向丘を結ぶほうがよかったのではないかとすら感じます。
 小田急沿線から横浜方面へのルートとしての市営地下鉄は弱すぎますし、フィーダーとしては位置関係が微妙です。では港北から小田急というのは流動がどれほど見込めるか。早急な輸送改善が求められるかどうか、まさに運政審答申においてA2となるのも当然かもしれません。

●それぞれにはそれぞれの存在理由が
 そもそも機能もカバー圏もターゲットも違う。決してこの3線が無駄ではないし、その機能は確保される。
 現実的にこの地域の現地を見て、さらに客観的な人流動データを見る限り、川崎縦貫筋と横浜市営地下鉄筋は相容れない。日吉以東は別として、少なくとも東横線以北では尾根筋と谷筋の関係から動線は明確に分かれている。
 であれば双方整備は否定できないし、その必然性はあるといえます。

 本来的に道路整備の必要性はきわめて高いです。しかし、鉄道整備の必要性もある。そもそも、交通機関の大前提としての供給側の不足は明らかです。中量規模〜大量規模の公共輸送機関確保の必然性はありましょう。 だからこそ川崎縦貫の整備に関しての必要性を国が認めたのであろうし、やはり専門の目から見ても必要性は十分理解できます。

 私はむしろ横浜市営4号線こそ過剰投資かと考えるほどです(この筋は今はバスすら満足にないし、流動とも微妙に合わない。あくまでNTの軸としてということしか存在理由が見出せない)。
 しかし、建設が進んでますから機能向上を考えなくてはなりません。とすると、やはり市街化が進む沿線の救済、綱島や日吉の供給不足気味のバス需要の救済といったことを考える必要があり、そのためには今の駅数などに問題は無いものの、もう少し駅アクセスや駅前整備を拠点的にやっていく必要があるように感じます。

 どうも川崎縦貫に関しては色眼鏡での判断が非常に強いように感じます。
 はっきりいえば需要と都市構造の観点から見れば教科書的に実に誠実に計画されたルートです。であるが上に面白みは確かにない。さらに並行する各線もある。でも、この地域の地形や人流動方向を見る限り、専門的に追求すればするほど納得させられる。

 であるからこそ本質的な問題点ではない点での川崎縦貫不要論はなんとも解せないのです。

やはり鉄道とバスの連携が重要
 投稿者---小田急電鉄だいすき氏(2003/06/21 23:00:49)

 とも様の主張は、川崎縦貫・横浜市営地下鉄(3号線の新百合ヶ丘までの延伸・4号線)の双方は、相容れないものであり双方に存在理由がある、というものだと思います。

 しかし、ここで疑問に感じたことがあります。
 もし、川崎縦貫・横浜市営地下鉄の双方ともが必要な路線だとしたら、ほぼ同じような条件と思われる、次のケースはどうなるのでしょうか。
 それは、「小田急線の鶴川−東急田園都市線の市ヶ尾−東急東横線の大倉山−京浜東北線の鶴見」っといった地点を結ぶ路線です。ここにももう一つの地下鉄が必要になる、ということではないでしょうか。

 この地域も明らかに鉄道不便地帯であり、この空想路線は、横浜線・前述の横浜市営地下鉄双方から、概ね、川崎縦貫の隣接路線からの距離と、同じぐらいの距離が離れています。
 なのに、なぜここには地下鉄建設計画がないのでしょうか?。
 それはあきらかにここが、ほとんど横浜市内だからだと思います。

 もし、川崎市が存在せず、横浜市宮前区・横浜市高津区・・だったとしたら、川崎縦貫高速鉄道は、たぶん計画されなかったのではないでしょうか?。

 ぼくが他のレスで、鉄道不便地帯にいちいち地下鉄をつくっていたらきりがない、と述べたのは、こんな例でも分かるかと思います。

 やはり、安易に地下鉄をたくさんつくるのではなく、鉄道とバスの連携を真剣に考えたほうが良いと思います。

Re:やはり鉄道とバスの連携が重要
 投稿者---とも氏(2003/06/25 00:44:06) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 まず言い訳を。
 私は鉄道不便地域のすべてを救えと言っているのでもバスはだめと切って捨てているのではないのです。
 川崎縦貫の沿線地域の開発動向、都市計画などを判断していくと不要とはいえない。
 そういうことです。

 では疑問にお答えしましょう。

  1. 鶴川〜市ヶ尾
     まず本来的に鶴川から南なら素直に緑山〜こどもの国が筋では?
     とはいえ、今の状況でバス輸送は厳しいことは確かですが、鉄道という規模にはなっていません。ただし、将来的に必要性はありましょうが。
     さて、まっすぐ市ヶ尾にという鶴見川沿いのルートですが、ここは開発ができない地域「市街化調整区域」に指定されており、すでに市街化されている、もしくは市街化が想定される地域ではなく、あえて言えば鴨志田や鉄、桐蔭学園といったところがターゲットでしょう。しかし、それだけでは先が見えています。
     
  2. 市ヶ尾〜大倉山
     この区間、ルートを鶴見川沿い(市ヶ尾〜佐江戸〜港北IC〜新羽〜大倉山)にするか横浜上麻生線沿いにするかで変わってくるでしょうが、鶴見川沿いでは横浜線に近い上に沿線が工業地域になるため需要が限られます。一方、港北NTルートでは道路網がしっかりしており、バスで十分輸送が可能である上に、縦方向に4号線が入りますからあえて軸として軌道系を整備する必要はないでしょう。
     あえていえば新羽〜大倉山ですが、ここは東部方面線とルートが近いですから必要性は見出せません。
     あえていえば大倉山ではなく綱島でしょう。
     
  3. 大倉山〜鶴見
     横浜環状2号線、もしくは鶴見川沿いのルートでしょうか。
     どちらにしても悪くは無いですね。必要性はあるんじゃないですか?バスをすこし強化する形で需要はまかなえましょうが。道路網も割りといいですし、ルートの半分は横浜市の計画がありますから。

---
 いかがでしょうか。
 横浜市であれば計画は無いとのことですが、むしろ横浜市であれば横浜4号線は川崎縦貫に近いルートであったと考えます。
 ご存知かどうかは知りませんが、川崎縦貫は国の計画に位置づけられ、横浜市が参画する協議会でもその存在を検討してます。
 つまり、広域自治体の枠であっても必要性は認識されているのです。
 その証拠に、神奈川県の「交通マスタープラン」には川崎南北の鉄道軸整備はうたわれていますし、きちんと位置づけもされています。

 バスとの連携はもちろん大事です。どんどん進める必要はありましょう。しかし、バスで運べないものまでバスで運ぶと言うのは無理難題なんです。
 適材適所、鉄道規模の輸送ならば無理にバスで運ぶ必要は無い。かといって鉄道が絶対いいということでもない。川崎縦貫筋で基幹バスは成立しにくい。GWBならいけるかもしれませんが、中量規模では需要がおそらくさばけない。LRTじゃ輸送力不足である上に地形的にきびしい。
 そういう前提を踏まえ鉄道が必要だと私は思うのです。

 私はほかのスレを読んでいただけると解かるかと思いますが、決して鉄道導入論者ではありません。川崎だってバスでよいのかな・・・とも思うものの、バスではやはりもたない。その思いが非常に強いのです。

 それでは

Re:やはり鉄道とバスの連携が重要
 投稿者---かまにし氏(2003/06/25 00:47:53)

 かまにしと申します。小田急電鉄だいすきさん、はじめまして。

 やはり、安易に地下鉄をたくさんつくるのではなく、鉄道とバスの連携を真剣に考えたほうが良いと思います。

 小田急電鉄だいすきさんがおっしゃるように「鉄道とバスの連携」を真剣に考える必要があることは僕も同感です。ただ、それは何も今回の川崎・横浜市営地下鉄の沿線に限ったことではないですよね。

 おっしゃるように、「交通不便地帯」と呼ばれるところにいちいち地下鉄を作っていたらきりがないのはまさしくおっしゃる通りですし、そういう場所は他にもたくさんあるのも確かに事実です。そして、小田急線鶴川〜田園都市線市ヶ尾〜東横線大倉山〜京浜東北線鶴見もおっしゃるように、「交通不便地帯」の一つといえますね。

 そこでもう一度、「川崎市営地下鉄が必要か?」という議論のおさらいになるわけです。なぜ川崎縦貫鉄道が「地下鉄」として成り立つかと言えば、

  1. 交通不便地域にも関わらず、すでに高密度に開発されているため
  2. 小田急多摩線・京急大師線との相互直通運転によって、多摩NT・新百合ヶ丘・新川崎・川崎、将来的には羽田空港といった拠点を結び、首都圏のネットワークとして広く利用されるだけのポテンシャルがあるため

の2点を同時に満たしているからなんです。逆の言い方をすれば、いくら交通が不便な地域だからといって、そこを通る鉄道が自分の行きたい方向にどうやっても向かえない路線であれば誰も利用はしないんです(例えば少し前までの名鉄小牧線&ピーチライナー)。

 また、横浜市・川崎市といった行政境の問題を取り上げられていますが、確かに僕も横浜市営地下鉄3号線のあざみ野〜新百合ヶ丘や4号線の日吉〜中山と、川崎市営地下鉄のルートは、両者の連携によって効果的な整備ができる気がします。

 川崎市営地下鉄も、自らの市の発展を目論んだ計画であることは確かでしょう。しかしそれが整備すべき路線として運輸政策審議会で取り上げられ、国の補助が得られるのも、川崎市営地下鉄を整備することでもたらされるインパクトが、広い目で見て国全体の活性化にも資すると判断されたがゆえの投資なんです。

 ですから、「交通不便地域だから地下鉄を」という発想では間違ってもないんですよ。もちろん今の計画が絶対というわけではない(特に途中のルートについては再考の余地があると思う)ですが…。

 拙い文章で申し訳ありませんが…。ではでは。

現地行かずですが
 投稿者---和寒氏(2003/06/25 12:04:04) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 詳細な現地レポートもあるところなので、どこにレスするかさんざん迷いましたが、ここにつけます。

 どうも川崎縦貫に関しては色眼鏡での判断が非常に強いように感じます。
 はっきりいえば需要と都市構造の観点から見れば教科書的に実に誠実に計画されたルートです。であるが上に面白みは確かにない。さらに並行する各線もある。でも、この地域の地形や人流動方向を見る限り、専門的に追求すればするほど納得させられる。
 であるからこそ本質的な問題点ではない点での川崎縦貫不要論はなんとも解せないのです。

 私は現地に行ったことがなく、かつ土地勘があまりないので、皆様からの投稿や情報からだけで考えるしかないのですが、不要必要を簡単に断じるのは危険かなと思ってます。不要と斬り捨てるのは易しいけれど、それは実は主観でしかないとも思います。なぜか。
 先のアンケート分析の中で、敢えては触れませんでしたが、「都市基盤として不要だと思うが投資対象として適格」という解が、実は可能性としてはありえるのです。串間様御紹介のURLにはプロジェクト評価の結果も出ていますが、35年後には累積赤字解消という試算が出ている。勿論、この試算どおりに現実が推移しなければならないとの大前提はあるとしても、ある事柄が常に見落とされている。極論すれば、市民が不要と思っても、将来的に利益を生む事業であるならば(しかも公共性がある事業です)、なぜ投資しないのか、ということです。
 確かに初期投資は重く、それに伴う借金もまた重い。しかし、35年後には累積赤字解消とは、36年後以降は大幅な黒字累積、ということなんです。
 借金が借金を呼ぶいわゆる雪ダルマ状態になると破綻への道まっしぐらになります。だから、破綻を回避しうるスキーム構築によるプロジェクト健全化の道を模索してしかるべきというのに、そうならないというのは不可思議です。
 以上の観点において、「解せない」との意見に賛同します。

 前置きが長くなりましたが、素朴な疑問を。
 川縦は日吉経由でなくていいのでしょうか。現地レポートやオフ報告では元住吉の集積性が高く評価されていましたけれど、横浜市4号線との接続を考慮すれば、日吉の目もあるのではと思います。
 如何でしょうか。

川崎縦貫高速鉄道の可能性を探る(現地レポート編) special204.html

川崎縦貫高速鉄道線のルートを検証する
 投稿者---串間氏(2003/07/02 22:21:01)
川崎縦貫高速鉄道線のルートを検証する
└元住吉と宮前平の是非
 └日吉の求心力
 └新線建設は住民ニーズの把握が重要
  └住民のニーズだけで路線は決まらない

(以下次ページ)
 └
Re:元住吉と宮前平の是非
  └Re:元住吉と宮前平の是非
   └微妙なる調整と新川崎
    └再び2点レス
     └Re:再び2点レス
   └
接続駅に優等列車が停まらないことの可否
    └乗換抵抗と速達性

 今のルートがはたして正しいかどうかを、改めて考えてみたいと思い、このスレを興します。和寒様からも提案があったのですが、遅くなってしまったことをお詫びしておきます。

経緯・目的編

●これまでの経緯

 川崎における地下鉄の計画は、昭和41年の都市交通審議会答申第9号にまでさかのぼります。当時は大師河原を起点とし、川崎・末吉橋・元住吉・長沢を経由して百合ヶ丘を結ぶものでした。人口増加に伴う通勤需要の増大により、かなり昔からこの路線の計画はなされていたのです。
 ちなみに東急田園都市線の開通(溝の口−長津田)は昭和41年。小田急多摩線の開通は昭和49年で、新百合ヶ丘駅ができたのもそれと同時でした。これらの路線の開通とともに、猛烈な勢いで川崎市内の多摩丘陵の宅地化が進んでいきます。
 そして昭和60年、運輸政策審議会答申第7号で、当時の国鉄武蔵野南線府中本町から新鶴見間の旅客化と新百合ヶ丘への接続ルート(梶ヶ谷貨物ターミナルを分岐点とする)の新設が答申されました。しかし、武蔵野南線の難工事と貨物列車との競合による大きな課題が浮かび上がり、全線を新線で整備する計画に傾いていきました。
 平成9年9月、川崎市における鉄道整備において、1位に川崎縦貫高速鉄道線、2位に武蔵野貨物線の旅客化、3位に横浜市営地下鉄3号線の延伸、とする計画が盛り込まれました。
 そして運輸政策審議会答申第18号において、川崎縦貫高速鉄道線はA1のランク付けが行われ、平成27年度までに開業すべき路線として位置付けられました。
 平成13年5月には初期整備区間(新百合ヶ丘−宮前平−元住吉)の15.4km(駅数10)について国土交通大臣より鉄道事業許可を取得しています。

●地下鉄建設の目的

 川崎縦貫高速鉄道線は小田急線新百合ヶ丘駅を起点とし、宮前平、元住吉、新川崎、川崎を結ぶ、21.6kmを地下鉄で整備するもので、鉄道不便地域を早期に解消させる必要性を指摘される市内北・中部(新百合ヶ丘−元住吉・15.4km)を初期整備区間として平成23年度の開業を目標に、そして残り区間を平成27年度に開業し、細長い川崎市に多摩川軸(JR南武線)と丘陵軸(川崎縦貫高速鉄道線)の二つの軸と、横断する私鉄・JR各線の組み合わせによる交通体系を形成することを目指していました。

 この鉄道計画は以下のことを目標として掲げていました。

  1. 鉄道不便地域の改善
     駅から半径750mを超える鉄道不便地域に約42万人が住んでおり、これらの住民の救済を図るもので、約20万人が鉄道駅へのアクセスが容易になる。
  2. 移動時間の短縮
     沿線地域から川崎都心・新百合ヶ丘新都心や、東京・横浜方面への新たなルートが形成され、移動時間が大きく短縮される。
  3. 沿線地域の活性化
     新百合ヶ丘、元住吉、新川崎、川崎といった核を鉄道で結ぶことで更なる発展を目指す。また、川崎市全域の地域の活性化や一体化を図る。
  4. 既存鉄道路線の混雑緩和
     東京圏屈指の混雑率を誇る南武線の混雑緩和、他私鉄路線の混雑緩和が同時に図られる。
  5. 道路渋滞の緩和・環境改善効果
     鉄道の高速性・定時性により、自動車利用から鉄道利用への転換が図られ、道路渋滞が緩和される。また、二酸化炭素や有害ガスである窒素酸化物などが大きく削減され、地域環境が改善される。
  6. 広域鉄道ネットワークの形成
     全線開通時には10路線と接続し、広域ネットワークの形成に貢献する。

 これらの鉄道整備による総便益は9919億円、費用は3871億円、費用対効果(B/C)は2.6(30年間)と見込まれていました。
 このように、川崎縦貫高速鉄道線は、移動にかかる時間の短縮、地域環境の改善、地域経済の活性化、生産額の増加、所得の増加、雇用の創出など、非常に大きな整備効果が期待された、川崎市の一大事業だったのです。

 そして初期整備区間開通時には新百合ヶ丘〜元住吉を

(昼間) 急行:15分 普通:23分
(朝間) 急行:18分 普通:26分 ※待避あり

で結び、全線開通時には新百合ヶ丘〜川崎を

(昼間) 急行:23分 普通:32分
(朝間) 急行:26分 普通:36分 ※待避あり

で結ぶ予定でした。追い抜きを含んだ急行運転を前提とした地下鉄は、全国でもかなり珍しい例でした。

考察編

 私に言わせると、このルート、意外と良くできています。素人目では「宮前平?」「元住吉?」「南武線と同じ?」となるのですが、さすが市が計画しただけあり、ルート取りの抜け目のなさを感じずにいられません。これは実際に深く追究すれば納得させられるということです。納得できない方は川縦のサイトを覗くことをお勧めします。全部見るのは相当大変ですが・・・。
 そんな市が計画したルートに突っ込みたいと思います。私もどうかと思うところがありますので。
 まず、川縦が掲げる目標から見て、ルート取りが正しいかを考えます。

▼鉄道不便地域の改善
 文句のつけようがありません。南武線・横浜市営地下鉄4号線ともある程度距離を置いており、なるべく大きな効果を生み出せるようなルート取りとなっています。

▼移動時間の短縮
 宮前平・元住吉の選択の是非になりますが、後に譲ります。移動時間の短縮に関してはバスと比して文句のつけようがないでしょう。また、鉄道による南北移動の現状にインパクトを与えるものと感じます。急行の表定速度が80km/hを超えている点は見逃せません。
 また、他路線との相直効果も大きいものです。

▼沿線地域の活性化
 鉄道のインパクトは、正にそれにふさわしいものです。

▼既存鉄道路線の混雑緩和
 南武線はもちろん、移動時間が短縮されるわけですから、他路線の混雑緩和につながります。

▼道路渋滞の緩和・環境改善効果
 バスを減らすことができること、すなわち道路混雑の緩和にある程度役に立ちます。

▼広域鉄道ネットワークの形成
 やはり宮前平・元住吉の選択の是非。そして現計画における新川崎駅の場所に問題を感じます。やはりこれも後に譲ります。が、10路線と高速で結ぶ南北軸はある程度の実力を発揮するでしょう。

▽事業費縮減の面から
 道路や学校など、民地を通らないようなルートを考える。これは円滑に建設を進めるうえで必要なことですし、事業費の縮減にも役に立ちます。
 現計画の民地占有率は約3分の1となっています。
 また、深くまで掘ると、掘削費用・排水設備などの負担が増大するため、確実に事業費が増大します。需要喚起の点からみても、その方が優れています。
 そしてキロ当たり300億円近い事業費から、なるべくルートが短くなることが必要です。
 細かい点ですが、勾配やカーブが抑えられることも求められます。また、乗換駅以外は双対式にすることで掘削費用を縮減します。
 また、開業が一ヶ月遅れるだけで、10億円を超える損害が出る計算から、民有地をなるべく減らすことは極めて重要と思われます。

▽需要喚起の面から
 なるべく他路線との競合を避ける必要があるため、他路線から1km以内にあるような駅設定を避ける必要があります(現計画はそうなっています)。
 また、他路線との乗換の便を良くするため、乗換時間が短縮されること(よければ相互直通)や急行停車駅の選定が望まれます。
 また各駅からのコミュバスを充実させることとバスの再編が必要です。

***
 堅苦しい話になりましたが、前置きはこれぐらいにします。これらはこれから議論をする上での前提条件として述べただけです。
 では、具体的な面から検証したいと思います。私の意見もあるのですが、今日はこれを書くので精一杯なので、とりあえず皆様からのご意見をお待ちします。


 あまりにもいいかげんなやり方に感じられるかもしれませんが、そこのところはご容赦を。ではいったん失礼致します。

元住吉と宮前平の是非
 投稿者---串間氏(2003/07/03 21:30:03)

 私一人で暴走気味になってしまっていますが、多くの方(私を含め)から提案のあった元住吉・宮前平を考えます。コメントをいただければ嬉しいのですが・・・。

 まず、元住吉から。

  現計画  元住吉 代案A  日吉 代案B  武蔵小杉
広域ネットワーク
としての観点
 現在は急行通過駅で、ネットワークとしても結びつきが弱い。  急行停車駅で、開通時には4号線と連絡する。  特急停車駅で、南武線乗換駅。ネットワーク的には最も強い。
求心力・需要面  商店街が強く、住民も多い。需要は高い。地下鉄開通による需要掘り起こしも期待できる。  堅い需要として慶應大学が存在。他二駅に比べ、商業集積では若干劣る。  区役所・郵便局などもあり、商店街もそれなりの集積がある。
今後の南側ルート
を考えると・・・
今後のルートを考えると多くの可能性を残しておりベストな選択。 新川崎で横須賀線並行ルートという選択が消えてしまう。 南武線と接近してしまう。
事業費  地盤が弱く液状化の心配があるため、工費が増大する恐れあり。ただし、南側のルートが新鶴見停車場の下を通す横須賀線並行ルートならば、非常に安価な建設が可能。  地盤が強固で、安価に建設が可能。  民有地占有率が増え、事業費が増大する。また、武蔵小杉駅付近での掘削はそれなりに困難と思われる。

 それぞれ長短あり、どれと決めるのは難しい、と思います。個人的な意見としては、武蔵小杉がベターと感じます。やはり住民の理解を得るには、こういった使いやすさが非常に大きな問題になるのではないかなと。元住吉駅が急行停車駅になれば別なのでしょうが。

 そして宮前平です。

  現計画  宮前平 代案A  鷺沼
広域ネットワーク
としての観点
 現在は急行通過駅  急行停車駅
求心力・需要面  

 鷺沼を若干有利。

今後の南側ルート
を考えると・・・
 4号線との競合を避けるルートを考えると、宮前平のほうが有利。  
事業費  宮前平の方が、ルートが短くなることと、駅が浅くなることで掘削費が安くなる。  

 こう考えると、宮前平駅は急行停車駅になることを期待したほうがいいのかな、と感じさせられます。できれば鷺沼ですが、思ったよりは嬉しくないか、と感じさせられます。

 皆様はいかが思われますでしょうか。

日吉の求心力
 投稿者---かまにし氏(2003/07/04 00:06:03)

串間様、こんばんわ。かまにしです。とりあえず1・2点だけ指摘させてください。

▼求心力・需要面
 日吉:堅い需要として慶應大学が存在。他二駅に比べ、商業集積では若干劣る。

とのことですが、日吉が基本的に学生街で、近隣住民向けの商業集積はそれほどないという点と、逆に元住吉の商店街の求心力が実は近隣住民にとって大きいという点はある程度は同意します。

 とはいうものの、「日吉の商業集積が他の2駅に比べて若干劣る」と言われてしまうと少々疑問です。日吉はこれでも日吉東急ができて、食料品・惣菜売り場は近隣住民でにぎわっています。また、朝夕の乗降客の流れを見ていても確かに慶應生の大学・高校・中学生の降車も目立つものの、それ以上の同駅からの利用者がいて、乗降客数も現時点で元住吉の約2倍ですから商業環境としてのポテンシャルも大きいと思います。なので、この点については優劣をつけるのは難しいかと思われます。

▼事業費
 ただし、南側のルートが新鶴見停車場の下を通す横須賀線並行ルートならば、

 むしろ日吉に入れるには、個人的にはこのルートの問題の方が気になります。日吉駅の周辺道路は狭隘路が多いため、実はかえって民有地占有率が増えることや以西のルートとの折り合いがつくのかなというところが心配です。このあたりは私の方でも再度、地図を見て確認してみます。

 とりあえずこのぐらいで。では。

新線建設は住民ニーズの把握が重要
 投稿者---小田急電鉄だいすき氏(2003/07/04 00:32:00)

 串間様 こんばんは。
 串間様は当地の地元の方とのことで、この問題をよく理解していらっしゃると、関心しています。

 ぼくは、川崎市営地下鉄をもしつくるなら、ルートはやはり鷺沼や武蔵小杉を通すように、変更すべきだと思っています。

 このルートの原案を考えたのは、学識者だったのでしょうか?。
 学識者の方は、地元の現実問題ではなく、交通のあるべきすがたとか、広域ネットワークの重要性とかそういったことのみに、関心を示して新線の計画をしているように思います。

 しかし、新線を利用するのは地元及び周辺住民であり、そういった沿線となる地域及び周辺の人たちがいかに満足するかが、もっとも重要なのではないでしょうか?。

 例えば、相互乗り入れの問題などがその典型でしょう。
 おそらく、学問的には小田急多摩線−市営地下鉄−京急大師線の相互乗り入れは、広域ネットワークという観点で、大変重要なのでしょう。
 しかし、小田急多摩線沿線住民や京急大師線沿線住民のどれだけの人が、この相互乗り入れを切望しているのでしょうか?。
 ぼくの知るかぎりでは、この両者の相互乗り入れを望む声は、ネット上ではほとんどみたことがありません。
 ここが、重要なのだと思います。地元住民の多くの人が望んでもいない相互乗り入れをしても、その効果が大きく現れるとは、考えにくいのではないかということです。
 机上の空論と現実社会とは、まったく違うということではないでしょうか。

 それは、私鉄との接続駅についてもいえるでしょう。
 ネット上の声に耳を傾けるかぎり、私鉄との接続駅は、新百合ヶ丘は良いとしても、宮前平や元住吉については、鷺沼や武蔵小杉・日吉のほうが良いとの声のほうが、圧倒的に多いように思います。

 新線建設、特に地方公共団体が主体となる鉄道建設では、住民ニーズをいかに的確に把握するかが、とても重要なことなのではないでしょうか。

 今からでも遅くはありません。もしどうしても、当地に軌道系のものをつくるということなら、ルートを設定しなおして(鷺沼や武蔵小杉・日吉等との接続を考える)相互乗り入れをやめ、もっと安価なモノレールやミニ地下鉄・新交通システム等に変更することなどを、検討してみてはどうでしょうか?。

住民のニーズだけで路線は決まらない
 投稿者---とも氏(2003/07/04 11:57:49) http://town-m.vop.jp

 ともです。
 手短に。

 このルートの原案を考えたのは、学識者だったのでしょうか?。
 学識者の方は、地元の現実問題ではなく、交通のあるべきすがたとか、広域ネットワークの重要性とかそういったことのみに、関心を示して新線の計画をしているように思います。

 しかし、新線を利用するのは地元及び周辺住民であり、そういった沿線となる地域及び周辺の人たちがいかに満足するかが、もっとも重要なのではないでしょうか?。

 ハッキリ言わせていただくと、非常にローカルな問題を大きく考えすぎていると思います。

 確かに、ニーズに合わせた修正は不可欠です。私も小杉では逆に元市民の立場からすると使いにくいので賛同しかねますが(小杉は乗換以外のメリットがない)、鷺沼は過去レスにもあるとおり賛成です。

 しかし、それは微修正の話し。
 ルート選定の過程というのは一般的に

  1. どこからどこへどういうコンセプトの路線が必要か
  2. 住民の現在の移動形態はどうなっているか
  3. どういった機能が求められるのか
  4. 整備効果が最大限発揮されるのは何か
  5. 建設・整備コストとの兼ね合いはどうか
  6. 導入する空間はあるか、市街地の状況はどうか

といった点を「総合的に判断して」決めています。
 よってニーズを全く無視しているのではなく、その住民の移動形態、人口動態、商業地や市街地の発展度合いを見極め、そこからルート選定をおこなっていきます。
 よって、小田急大好きさんのおっしゃる「住民のニーズ」はもちろんのこと、広域を含めた判断で成り立つモノです。

 仮に小田急大好きさんが少ない・その流動は無い・ネットで意見は無いとおっしゃっても、現にその流動が様々な調査により裏付けられるのであればそれはニーズがあるというのが専門家の当然の解釈です。
 たとえば、公開されている国勢調査の通勤通学流動データを単純に見るだけでも、宮前区−川崎区で6,000人、多摩市-川崎市で4,000人、多摩市−大田・品川などの臨海部で1,500人の通勤通学流動があります。往復すればそれだけで23,000人です(実際には大都市センサス・東京都市圏パーソントリップ調査などのOD調査(発着地間の人流動を把握するデータ)を用いて解析していますが)。
 仮に新線利用が時間と費用の関係から50%としても11,500人です。決して少ない数ではありません。
 さらに、これに買い物や娯楽、社交などの私事交通、会議や営業などの業務も含みますから数倍は今の時点で流動がある。さらに新規需要創出というものもあります。これまでは不便だったので通勤圏ではなかったエリアへの新たな通勤などが生じます。
 こういったものを将来の経済予測や都市の発展度合いなどの総合判断をおこなって数字を導き出していますから、そこには単に「ニーズ」という言葉だけではないものを見込んでいるのです。

 よって、ルート選定を批判されていますが、むしろルート選定や需要予測の過程を考えればそれを「住民のニーズ」というあまりに簡易な言葉で否定するのは私は筋違いと考えます。

 相互乗り入れも同様です。多摩市の通勤通学先は確かに東京がずば抜けて多いものの、川崎は横浜の倍以上であり、相模原と同じくらいの通勤通学があります。
 こういった実際の流動を示すデータを見れば、その発想は何ら不思議はありません。

 広域流動やあるべき姿を求めるのは当然です。むしろ対処療法的な計画ほど醜いものはありません。東京圏においては都市構造の変革が見た目以上に進んでいます。混雑率緩和も単に少子化だけではなく流動の変化によるところも大きいのです。
 実際、環状方向流動、つまり東京都心の外周部相互の流動の増加はこの10年で増加率にして150%とか200%といった極めて高い増加率すら見せており、その方向の伸びが増えていくのは今後の都市開発動向などを見れば明らかです。
 その流動変化をも交通計画においては考えて行かなくてはならないのです。
 そうしなくては完成時にはニーズに合わないというバカみたいなはなしになるのですから。

 ですから、単純に住民のニーズだけでは路線は決まらないのです。

 住民のニーズ、利用者のニーズと合わないと批判するのは結構です。
 しかし、実際にどのような過程で計画がなされているかを一度お考えになられることをおすすめします。学識経験者の批判をなさる以上は。

 批判的ですが。ではでは

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2004.11.02 Update


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