【検証:】過去ログSpecial

【検証:近未来交通地図】Special204
川崎縦貫高速鉄道の可能性を探る

(現地レポート編)

 本投稿は、川崎縦貫高速鉄道の賛否について、【検証:】掲示板でもお馴染みの、串間様の現地レポートを中心に、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。

川崎縦貫線トレース 画像レポート
川崎縦貫線関連 実走レポート
緊急レポート 2003・6/14川縦オフ備忘記

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。



川崎縦貫線トレース 画像レポート
 投稿者---551planning(2003/04/30 00:03:08)
川崎縦貫線トレース 画像レポート
川崎縦貫鉄道をどうするか
 └論点整理 川崎縦貫高速鉄道の可能性
  └川崎縦貫鉄道・積極的な面からの改善案
   └川崎縦貫鉄道を作らない場合

 4/29(火)、ちょっと遅起きしたのを逆手にとって、川崎縦貫高速鉄道の予定ルートに近い尻手黒川道路沿いを中心にバスを乗り継いできましたので、カンタンではありますがここに写真とともに御紹介致したいと思います。
 予めお断りしておきますが、当方土地勘が全くなく、さらにはクルマに乗らないもので、出発前に周辺地図と関連バス会社サイト(川崎市・東急・小田急)をさらっと見ただけのあてずっぽうレポートのため、川崎縦貫論の参考にならない可能性もありますが、そちらは適宜皆様より御批評を賜りたく。

川崎縦貫高速鉄道線 http://www.city.kawasaki.jp/82/82tetudo/home/index.htm
川崎縦貫高速鉄道線 都市計画素案・環境影響評価方法書説明パンフレット
http://www.city.kawasaki.jp/82/82tetudo/home/siryou/index.htm

川崎市交通局 市バス路線図 http://www.city.kawasaki.jp/82/82eigyo/home/rosenzu.htm
小田急バス 路線バスのご案内 
http://www.odakyubus.co.jp/noriai.htm

 東急東横線元住吉駅に降り立ったのが14時ちょい前。とりあえず周辺写真を撮ってバス拠点の日吉に移ろうかと思いましたが、賑わう商店街に誘われて本屋で早速ルート再確認。と、この商店街を1キロほど西へ抜ければ尻手黒川道路にぶつかることを確認、勇んで歩き始めます。この「元住吉ブレーメン通り商店街」、日中は歩行者天国となっていますが朝のみ川崎市営バス(以後市バス)が乗り入れてくるようです。賑わいの横、自転車に取り囲まれるように停留所がひっそり佇んでいました。
 カラー舗装の歩行者天国が500mほど続いたでしょうか、道幅が広がって片側1車線道路となり、人通りも減ってゆくところをさらにしばし、ちょっとカーブした先の信号でより広い1車線道路とぶつかります。しばし歩くと、ありました「尻手黒川道路」の文字が。その先には市バスの井田営業所。このあたりが最初の途中駅・『井田』(仮称・以下同じ)付近になろうかと思われます。密集ということはありませんが、戸建てを主体に民家が切れることはありません。

 ここで市バスの(井田病院発)[城11]宮前平駅行を程無くキャッチ、ノンステの中型車です。乗客はまばら。少し進んだ子母口小交差点の三叉路で左手に進み、県道から市道に変わりますが、2車線道路と広くなります。背の高いビルが目立ち始める五反田橋・野川交差点付近が『久末』駅になりましょうか。中原街道との野川交差点で双方向多少滞ります。すぐに第三京浜を跨ぎ、道路は県道に復帰します。車内はこのあたりで座席が半分ほど埋まる感じでした。
 ここから尻手黒川道路は北に膨らんでJR武蔵野貨物線が顔を出す梶ヶ谷貨物ターミナルに寄り添います。貨物駅は丁度丘の上で、丘下の道路からは様子を伺い知れませんでしたが、余剰土地有効活用か、敷地脇のホームセンターに向かう駐車場渋滞ができていました。ちなみに予定線はやや南よりに膨らんで市営野川西団地辺りを伺いつつ『野川』駅が設置されることになります。

 貨物線を潜る辺りから道路が滞り始め、馬絹交差点を抜けるのに少々いらつく感じ。手前の高々架道路がR246で、馬絹交差点が旧道との接点のためでした。周辺が建て込みはじめて宮崎台駅勢圏を掠め、目前にアーチ橋が見えれば宮前平駅です。座席定員ちょい多目という感じでの到着となりました。井田営業所から5キロほど、20分ほどで着きました。

 元住吉−宮前平間でのバスルートは川崎駅西口と(武蔵)新城駅を結ぶ系統をはじめ、複数路線がカバーしているようです。束ねればそこそこの本数になりそうですが、概ね「ココへ行く!」という纏まった流れはなさそうと感じました。

 さて、宮前平で一息、と思いつつ、狭いバスプールに停まる市バスを見て[宮03]菅生車庫行に飛び乗ります。ちょうどこの菅生車庫の先辺りが尻手黒川道路と旧道とでバス路線が交錯しているように見えたからです。座席が半分ほど埋まる乗りで発車。ロードサイド店が増えたと思えば東名川崎IC。東名を潜った先の犬蔵停留所付近が『犬蔵』駅になりましょうか。道なりに進む坂の途中で終点・菅生車庫。市営菅生住宅団地の脇に小ぢんまりとある出張所です。丁度登戸からのクルマも入庫しました。

 バス停を見てもこの先めぼしい方向への路線がなく、先に地図や路線図で見ていた「稗原」という地名だけを頼りに尻手黒川道路沿いに歩きます。坂道を上がって行くとそのサミットが清水台交差点。マルエツやデニーズなどが集まり、交通環境的にも少々滞る感じのところ。ちょうど交差する道を小田急バスあざみ野駅行が南へ走り去りました。

 ここから道路沿い南側が川崎市北部市場、休日の午後とあってひっそりしています。この先再び市道となる尻手黒川道路も丘の上のバイパスといった感じで、ロードサイド店がぱらぱらとあるも住居は途切れました。途中のバス停も朝に数本ということで、とぼとぼと歩き続けることに…後で見れば予定線は北側の旧道部に逸れており、ちょうど市場の西側あたりに枝線を設けて車両基地に、という初期構想だったようですね(先頃の報道では、投資圧縮のため車両基地を造らないともされたようですが)。

 菅生車庫から約2キロ歩いてようやく稗原交差点。尻手黒川道路沿いのバス停を見ると、まもなく[柿04]柿生駅行が到着の由、しばし木陰で涼みます。思い出せばこの交差点、羽田アクセスバス新百合ヶ丘線があざみ野駅方向に曲がろうかというところだったかと…。やってきた柿生行は10人弱の乗りでした。
 田園調布学園大学停留所手前で車線が片側1車線に収束し、ゴミ処理設備の余熱を利用した「ヨネッティ王禅寺」を見やりつつ、バスも左折。御老人が結構乗って来られて憩いの場になっているようですが、その名称は…。交差点脇には田園調布学園大学の小田急バス折返所が見え、しまった降りようと思ったものの時既に遅し。ついに尻手黒川道路とお別れです。

 またココからが凄かった。丘陵地をアップダウンしながらバスは右へ左へ。日吉の辻からはあざみ野からの東急バスの後ろにつきます。大谷停留所ではまた右手に小田急バスの折返所(恐らく新ゆりグリーンタウン)が見えますが、共通路線あり、微妙な関係性あり、見えないながらの「事業者の壁」を感じます。
 そして急に賑わってきたと思ったとたんに柿生駅前着。またこれが狭いの何の。東急バスは駅前を諦めてずいぶん先に折返所を設けていますが、ゆえに路駐ならぬ「路上始発待ち」を敢行している様子。係員も複数出してはいますが、ナントカならないものかと…。
 というわけで、宮前平−新百合ヶ丘…じゃなかった、柿生までの尻手黒川道路のトレースでは、犬蔵前後までの住宅地は利用するでしょうが、という感じで、いささか存在意義に不安感を持ったのですが、なにぶん新百合ヶ丘に行かなければな、ということで、これまた折りよくやってきた小田急各停で一駅移動します。

 大賑わいの新百合ヶ丘駅前。早速路線図とニラメッコ…長沢という名に記憶があったのを頼りに小田急バス[新17]聖マリアンナ医科大学行きをチョイス、乗り場に行ってみるとこれが長蛇の列。時刻表では時間4〜5本ほどあるそこそこの路線です。結局立席での乗車、車内は160%ほどの乗りといいましょうか。駅前ロータリーから南進、戸建てと中層マンションが整然と建ち並ぶニュータウン内をくねくねと進んでいきます。ようやく王禅寺公園あたりで最初の纏まった降車がありますがまだまだ立客多し。
 その先の王禅寺公園北側で真新しい道路と交差、これが尻手黒川道路と見ましたが、標識版もなく確証は持てず。三井第一住宅への急坂を登りきると、結構展望が開けました。「ヨネッティ王禅寺」施設の煙突も確認できました。「はらみせ」の名の通りの原商店前でも降車があり、ようやく座れました。この先ゆるゆると下り坂、車内も停留所ごとに落ち着いてゆきます。百合丘高・生田高がある付近が長沢。この付近に『長沢』駅がと思われます。

 そのまま医科大学まで…と思いつつふと反対側の停留所が目に飛び込めば、市バスの溝口駅方面は反対側の様子。こちらは医科大学行のみの為、東長沢停留所で降ります。急いで反対側へ行けば、程無く市バス[溝18]溝口駅南口行が到着。ガラガラの車内でゆったりと座ります。生田高校入口交差点を左折、程無く市営鷲ヶ峰団地を通ります。鷲ヶ峰営業所もココで、道の両側、団地の1階にバスがひしめき合っていました。
 そして丘を越えれば稗原停留所。先程の尻手黒川道路のちょい北側の稗原公民館交差点を左折し、旧道を進んでゆきます。聖マリアンナ医大下という停留所名に驚きますが、北側丘の上がまさしく医大で、『医大前』駅が設置されます。その先ロードサイト店がひしめく蔵敷交番前交差点で浄水場通りと交差、この道を右手に行けば先程の清水台交差点という位置関係。このあたりに『蔵敷』駅ができるようです。

 ここから菅生車庫からの系統が合流、さらに平二丁目交差点からも1系統加わり、離合する市バスが増えてゆきますが、その多くでかなりの立客が見られました。こちら側も停留所ごとに乗客を拾ってゆきます。その停留所の時刻表には蟻の隊列かのようにびっしりと時刻の羅列が…朝と日中がさほど変わらないというのも活発な流動の裏付けかつ、朝時には「機能停止状態」近くにまでなっているものとも推察されます…。さらには片側1車線の狭い道路なのですが、交通量もかなりあります。信号如何では結構滞ってしまいそうな感じですが、そこは巧いこといっているのは祝日の17時前という微妙な時間のなせる業なのか…?
 東名高速を潜り、森林公園という停留所からもそこそこの乗車、ここで立客がかなり目立つようになりました。団地街を抜けて人通りも多くなってきたところで南武線の電車が見え、高津区役所の脇を通って仮設状態の溝口駅南口に到着。東長沢からは30分少々の行程でした。

 溝の口からは南武線で川崎方面へ。川崎からの立川行103系が向かいのホームに到着、かなり乗客が入れ替わりつつ、立ち席多数で発車。こちらの川崎行205系も入れ替わりはあるも、その後の車内は120%の乗りという感じ。第三京浜を越えて高架となり、新城・中原と進みますが、ちゃんと8連対応でしたね。

 これで川崎縦貫高速鉄道予定線付近がほぼトレースできたかなと思いますが、どなたかの指摘にあったように、こと溝口−平−蔵敷までの区間の利用者には川崎縦貫の恩恵はなさそうな点、バス利用対処急務という観点から軌道系整備を考えるとすると?がつくものとも思われる感じがしました。しかしそれゆえに川崎縦貫そのものを否定する論拠としては弱いかな、という気もします。つまり広域的流動に資する点とのバランスで行けば、やりようによっては川崎縦貫の可能性は大いにありうるものとも感じられた気がします。

 その点については、基スレも延び、内容も「どん詰まり感」が見受けられることをも加味して、別に「川崎縦貫論 論点整理」として挙げてみたいと思います。


川崎縦貫鉄道をどうするか
 投稿者---串間氏(2003/05/01 01:03:10)

 管理人様、初めまして。
 元々再開の口火を切った張本人ですので、あえて投稿させていただきます。

 画像レポート、拝見させていただきました。確かに、現状のバスの状況を放置するのは、本来の交通のあるべき姿ではないという気がします(なお、溝口−平−蔵敷のバス路線のパンク状態ですが、生田緑地横の道路の複線化により、向ヶ丘遊園駅への分散化が達成される可能性があります。件の道路は勾配が厳しいので、確実にそうだという保障はありませんが)。

 C大生に聞いた話なのですが、かつて多摩都市モノレールが開通する前、バスが当然のように幅をきかせていおり、運転手の乗客に対する態度がひどかった、車内にぎゅうぎゅうに乗客を詰め込む、運賃が非常に高い、などの問題があったと聞いております。それがモノレール開通によって、バスは料金を値下げし、本数を増やして対抗策に回ったとか。もっとも、それでもモノレールに客をとられて、バスはガラガラになったそうです。
 現在の川崎市の新駅開通地域でそのようなことが起きているかどうかは、私にはわかりません。そもそもさっきの話だって、私が実際に体験したことではないので、確実にそうだという保障はありません。
 ですがバスに大きく集中する事態は、やはり本来の姿ではないでしょう。

 軌道系の交通機関が投入されるインパクトは、たいした速度でないモノレールですら大きな変動をもたらしたと感じています。土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」に9月のとある日曜日に乗車した経験から。午後の上りの快速で1両編成という輸送量に関して貧弱な状況だったとはいえ、御免到着まで200%に迫る混雑に見舞われました。あのような体験をするとは、私も予想することができませんでした。

 現在の川崎市の交通状況は、それこそ道路の整備で何とかするぐらいで対応するには、ほとんど限界です。だからこそ『鉄道で』ということになったのでしょう。
 実際に引かれている路線図を見たのですが、本当に駅の設定に関しては見事と言う感じです。人口の多い交通不便地域を見事にカバーしています。犬蔵−宮前平−野川に関しては不満がありますが、コストを抑えるという発想から尻手黒川道路の下を通る宮前平駅経由を選択したのでしょう。

 私の意見としての立場は、財政的な理由からの反対です。でも、この理由で『反対』というので終わらせてしまっては、議論が続きません。仮に川崎縦貫鉄道を作ることが決定しているものとして、どこまでいい方向にもっていくかを議論することが重要かと思います。
 ではどうしたらいいのか。コストを下げること、便利であること、川崎市を活性化させること、道路や鉄道の混雑を緩和すること。
 現在の見直し案から、さらにどこまで煮詰めることができるのか。私はまだまだ余地があると考えています。
 皆様はどう思われますか?

論点整理 川崎縦貫高速鉄道の可能性
 投稿者---551planning(2003/05/02 00:11:42)

 串間様、御来場&御投稿誠にありがとうございます。
 串間様の問いかけに応えるかたちになっていなくて恐縮ですが、先述の通り論点整理を試みたいと思いますので、是非お付き合いの程…。

 私の意見としての立場は、財政的な理由からの反対です。でも、この理由で『反対』というので終わらせてしまっては、議論が続きません。仮に川崎縦貫鉄道を作ることが決定しているものとして、どこまでいい方向にもっていくかを議論することが重要かと思います。
 ではどうしたらいいのか。コストを下げること、便利であること、川崎市を活性化させること、道路や鉄道の混雑を緩和すること。
 現在の見直し案から、さらにどこまで煮詰めることができるのか。私はまだまだ余地があると考えています。
 皆様はどう思われますか?

 まさしく仰せの通り。スレが延びてきましたし、個別論点の収束も図られつつある中での「袋小路感」を感じていました。当方、現在過去ログ化途上にありまして、とも様の御投稿に注目して論点整理を試みたいと思います。

かまにし様ととも様の対論を中心にspecial203.html
とも様の主張(複数投稿の一元化整理)special203-2.html

 これまでの議論を拝見し、「川崎縦貫鉄道は必要だ」という結論に立脚した場合からの論点を箇条書きにしてみました。さて皆様のイメージと合いますでしょうか…。

●川崎縦貫高速鉄道構想の原風景
 ・市内道路交通の限界…「尻手黒川道路」の意義
 ・JR南武線および各拠点間バス路線の「現状」
 ・拠点整備とアクセス整備

●「鉄道新線」に掛ける意義把握
 ・南武線で解決できること、できないこと
 ・主要各線のフィーダーとしての役割
 ・一行政機構にとっての「特殊地形」から何を読み取るか

●都市政策としての要不要論
 ・道路整備か鉄道整備か…川崎の「軸」論議
 ・街としての「川崎」…東京への隷属か、横浜との不毛な争いか
 ・「市」としてのあり方、役割は?

●交通計画としての要不要論
 ・「採算性」の陰に隠れる「公的補助」のいま
 ・拠点間輸送に留まるか否か…相直の意義再検証
 ・「ないモノねだり」と「モノは使いよう」…実情の「自然軸?」との相関関係

●川崎から全国へ
 ・LRTは地域を救う?
 ・「独立採算」の呪縛
 ・「総合交通体系コンセプト」の提唱

***
 半ばナゾカケめいてもいますが、「ありき」前提ではこのような組立てで議論が持っていけるのかなぁと。

 ちなみに当方は、やはり建設慎重論に傾きます。実際周辺を巡ってみて、軌道系の交通軸の必要性は強く感じましたが、それがすぐに縦貫鉄道、とは結びつきませんでした。
 とりあえずの当方の所感を書き綴ってみると…。

▼川崎縦貫高速鉄道構想の原風景

  • 「尻手黒川道路」の意義はまさしく広域流動。東名川崎ICを中心に市域の大動脈。ただしであるからこそこの沿線に重軌道系を、とは飛びつけない。

  • その意味では、特に溝の口(宮前平)以北でのバス輸送が非現実的に近い状況になりつつあることを感じ、縦貫鉄道予定線の「ツボ」に感じ入るところはあり。

  • かといって北部フィーダーならば軽軌道系でも足りる可能性大。ただし即LRTという結論には至れない。ある程度のシステムを持った規格が必要、AGTあるいはミニ地下鉄か…ただそれだけでは宮前平以南交通不便地域の解消には至らない。市民総意の同意をより得られなくなるのでは?

▼「鉄道新線」に掛ける意義把握

  • 南武線立体化や8連化、増便は川崎市単独で解決できる問題でなくなる。すなわち、JR-Eに応分を負担する意思があるかどうか?それなら独自で…という選択肢は半ば当然の帰結ともいえる。

  • 多くの人が指摘する「宮前平」「元住吉」という選択の是非…やはり鷺沼でいいし日吉にするべき。

  • その意味で「市営地下鉄を持つプライド」が多分に感じられるチョイスは「利用者」としては受け入れにくい。

▼都市政策としての要不要論

  • 業務交通と生活交通の適度な区分化は現状の道路網では対応不可能、かつ今後の道路整備は鉄道整備よりもハードルが高そう。
       ※ただし首都高川崎縦貫線北伸(第3京浜・東名方面)のインパクトは否定せず

  • いずれにせよ、「川崎市域」としての整備だけを考える時代にあらず、その中での「川崎市」のイニシアチブをどのように持つべきか

  • 「川崎市営地下鉄」に拘らない、既存事業者への積極的な委託、委任等を考えるべきではないか。まさしく「経営努力」に期待。

▼交通計画としての要不要論

  • 実は南武線立体化より縦貫鉄道建設のほうが安上がり・かつ投資回収可能性や市財政圧迫度の勘案に「公的補助制度」援用が結構使える?

  • 多摩地域対東京臨海地域へのアクセスとしての、小田急・京急(ないし東急・JR-E)にとってのメリット・デメリットは?

  • どうせなら縦貫鉄道と被る「武蔵野貨物線旅客化」を再検討すべきでは?その場合、かつ縦貫鉄道建設の場合でも、開業後の各駅からの「面的輸送」に大胆なメスを入れるべきでは。

▼川崎から全国へ

  • 「公共輸送」とLRTの天秤をどう見るか。LRTの持つ中量交通機関性をどのように捉えるべきか。さらには、そもそもLRT=地域活性化なのか。

  • 数字合わせは嫌いながら、目先の採算性で萎縮しては地域経済影響など図れないのではないか。判断は慎重になされるべきながら、「未来への投資」をどのように示し、かつ客観的に評価すべきでは。

  • 新百合ヶ丘における小田急バスによる周辺地区輸送の是非から「面的輸送」の進化系、ひいては新しいコミュニティ形成への過程を考えてみたい。

川崎縦貫鉄道・積極的な面からの改善案
 投稿者---串間氏(2003/05/02 21:49:27)

 管理人様、コメントありがとうございます。
 それにしても、川崎市のTOPページには地下鉄の記事が次々と更新される始末で、いよいよなんだな、と感じる次第です。で、その記事を覗いていたら、周りからこんな何気ない本音が聞こえてきました。

「ああ、あの金の無駄遣いか」「南武線で十分だよね」「首都圏に住んでいて、何が不便なんだか」

 どれも一般人の正直なコメントであり、こういった印象がぬぐえない限りは、川崎縦貫鉄道が広域ネットワークに寄与することはできないと思います。私の第一印象だって「南武線と同じじゃん」でしたから。ここあたり、他の路線に比べて外部評価はかなり厳しいです。

 で、川崎市での見直し結果についてのファイルを閲覧していたのですが、市民部会では元住吉駅を尻手黒川道路の直下に設置して、コスト削減したほうがいいという提案だったとか。
 管理人様の言葉を借りれば、

 目先の採算性で萎縮しては地域経済影響など図れないのではないか。

 正にそのとおりであり、こんな場所でコストを削るなどもってのほかです。そんなに削減したいならば、全線尻手黒川道路の下に作ればいい。
 ついでに言えば、造らないことこそ最高のコスト削減であるということです(私としてはこれを望んでいますが)。少しのお金を出し惜しんでいては、せっかくカネを使って造ったモノが台無しです。
 川崎縦貫鉄道が川崎市の住民以外は使わない交通となった場合、川崎市が大金を出して造った地下鉄に(もちろん国の税金も使われますが)川崎市民がお金を出して電車に乗り、市税を投入して維持し続ける。そんな最悪の状態が待ち受けることになりかねないのです。
 愚痴っぽくなってしまいました。ではどうしたらいいか。外部から見ても、乗ろうと思えるような魅力的な鉄道でなければなりません。

積極的な改善案〜通過旅客の増減が浮沈を決める

 北越急行線の例はもちろんのこと、沿線住民の利用だけでは収益をあげるのには限界があります。ではどうするか?通過旅客を増やすことにあると私は考えます。悪く言えば、沿線地域は黙っていても使うでしょうから。
 前ふりが長くなりましたが、これから私なりの改善案を出したいと思います。素人考えでありますので、間違いがありましたら指摘いただけますよう。

通過客を呼び込むためのポイント

  1. 乗換が便利であること(乗換所要時間の短さ・優等列車停車駅であるか否か)

  2. 列車のダイヤ(急行・本数・他路線との協調・使いやすく覚えやすいダイヤ)

  3. 速さ(他路線との比較)

  4. 料金

 まずは1の点から

■宮前平・元住吉の抱える問題点

 現計画において、乗換駅として決定されている両駅ですが、互いに大きな問題を抱えています。実は駅付近の用地が不足しているという点です。
 宮前平駅は尻手黒川道路の目の前にあり、駅自体もこの道路をまたぐように作られています。また駅のすぐそこがバスのロータリーで、これは尻手黒川から分岐したところにあります。この二つに駅の改札が挟まれている状態です。
 疑問なのですが、どうやって地下鉄の出入口を作るかです。用地的な余裕はほとんどありません。かといって乗換がそれなりに予想される駅。小さい階段を作るようでは、とてもじゃないが捌ききれない。歩道やロータリーの一部でも潰すつもりでしょうか。それでも厳しそうです。
 また、予定されているところによると、単線シールドを上下に設置する形になっているわけですが、一体どれぐらい深くなるでしょうか。これを見る限り、乗換に5分程度はかかります。地下から出たところで、キャパのない宮前平駅の改札前が人でごった返し・・・。・・・想像するだけで、恐ろしいです。
 元住吉駅は駅付近が住宅と商店街で密集しており、用地は全くないといってよいでしょう。どこか用地を買収し、大きな出入口を作って適当に駅を作るということになるのでしょうが、そう簡単にいくのかどうか・・・。どちらにしろ、この駅もキャパがないので、宮前平駅と同様の結果を招く恐れがあります。

■鷺沼・日吉への移転の利点は急行停車にとどまらない

 鷺沼駅の構造は、かなり変わった構造をしており、3階が改札口とすると、2階が跨線橋、1階がホームとなります。宮前平から一駅ですが、多摩丘陵ならではと言う感じです。
 これらの状況からいえることは、鷺沼に駅を設置した場合、ホームが下にある分、乗換の便が図られやすいと言うことです。東急に改札の一部を委託し、地下にコンコースを作ってその下に電車を走らせる。鷺沼から直接縦貫鉄道に乗る人は少ないはずで、乗換が中心ですから特に問題はないでしょう。ホームが狭いかもしれませんが、これぐらいは何とかしたいところです。
 日吉駅についてですが、皆様もご存知の通り横浜市営地下鉄線が建設中であり、この路線との乗換の便を図ることができます。以前和寒さまがおっしゃられていた通り、横浜市としても鶴見−日吉という二重投資を防ぐことができます。川崎に抜けられるというのは、想像以上に便利ですし、二社割引運賃を適用すれば更なる流動を期待できるでしょう。東横線の急行停車・慶應大学の存在も然り、果てまた横浜市に費用を負担してもらえるかと思われますし。

■今後の開通駅への提言

 新川崎駅は地上にするのが妥当かと思われます。横須賀線との乗換の便の向上は南武線にはできません。
 川崎駅は駅の西側へのアクセスの利便性に重点を置きつつ、アゼリアからの地下道を駅の下に通して、バス利用者の便を高めます。これでJRに対しても、それなりに対抗できる体制になるかと思います。

 2の点から

■新百合ヶ丘駅を中心に

 改善案によって小田急のホームを借りて運用することが決まった新百合ヶ丘駅。開通予定駅の中で、圧倒的に乗換の便がよいという強みをもっています。階段付近にいれば、1分以内で他のホームへの移動が可能です。
となると、この駅からの利用は相当数期待できます。直通する多摩線は当然、小田原方面からの乗換に期待したい。
 やはり10分ヘッドで走っている急行との接続が焦点でしょう。となると、こちらも10分ヘッドにするのが望ましいかと思います。10分ヘッドの良いところは、ダイヤが覚えやすい点にもあります。急行運転ですが、全線開通時に取っておいたほうがいいかと個人的には思います。

 3・4の点に関しては、これ以上つめるのは無理でしょうか。ただ、可能ならばぜひとも考えるべきですね。

 以上の案は、経験からのもので、理論的な裏づけはありません。その点は皆様に指摘していただければと思います。
 積極的な面からの私の改善案でした。

川崎縦貫鉄道を作らない場合
 投稿者---串間氏(2003/05/04 23:57:53)

 自信はありませんが、できる限りやってみます。最後までお付き合いいただければ幸いです。

仮に川崎縦貫鉄道を作らなくなった場合

南武線の改良と、パンク寸前のバス路線の救済が急務となります。また、武蔵野貨物線の可能性も考えます。

■ 南武線の問題点と改良案

 皆様から出された議論を元に、私なりにまとめさせていただきました。

 南武線は改良すれば、何とかなるという感じです。しかし、それでは交通不便地域は救済されません。これに加えてバス利用地域について対策を打たなければなりません。

■ 交通規制案

■ 武蔵野貨物線の旅客化はあるか?

■ 整備したい道路(縦貫鉄道とは無関係でありながら、川崎市にとって重要なこと)

 私ができる提言は、はっきり言ってこれぐらいです。これで意見をほとんど言い切ったと思っています。
 とも様、川崎縦貫鉄道を推し進めるための理由について拝見いたしました。他、さまざまな提言は、私がまとめるにあたって非常に参考になりました。ただAGTをどう作るかは、ちょっと私は考えることが出来ませんでした。現実に出ている案が地下鉄なのですから、考えてもしょうがないですが。
 かまにし様、外部から見た縦貫鉄道に対する意見、非常に参考になりました。やはり通過旅客を増やさないと意味がないですから、縦貫鉄道をどうすべきだという意見はとても重要と考えます。
 その他、多くの識者の方々の意見に感謝します。
 私の案にも多くの問題点があると思います。川崎縦貫鉄道について考える方々が多いのも、確認いたしました。そんな中、素人の私の考えがどれほどのものかは分かりませんが、識者の方々の一助となったのならば幸いです。

 長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。

2004.11.02 Update


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