【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.352)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。


バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/01/24 14:27:17)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

バスに食われつつある通勤鉄道の事例
└大阪市はもう食われているところがあります。
└Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
└Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 └思うところ・・・
  └BRTシステムと郊外バスシステム
   └神戸の立派な道路も・・

  大都市の通勤鉄道とバスが真っ向から競合、というかバス優位ともいえる様相になっている神戸電鉄と神姫バスですが、三宮をベースに考えると時刻・普通運賃は既に神姫バス優位になっています。

 今週、夜に神姫三ノ宮バスターミナル前を通る機会に恵まれ、神姫の近郊路線の様子を見ましたが、北摂NTのフラワータウン経由便がで40人前後の乗車、恵比須快速が30人程度、三木経由の西脇急行も20人程度と、30分ヘッドで運行している時間帯ですから時間あたりで、横山以遠の公園都市線方面へ80人程度、木幡以遠の粟生線へは100人強の輸送を確保している計算ですから、三宮から公園都市線方面はおそらくかなり優位、粟生線方面も相当なシェアを占めていることが推測できます。

 平日の通勤時間帯での健闘ですが、乗り換え無しのライナー的利用かと思っていましたが、ふと定期運賃を比較して驚きました。バスの定期というと週休2日制では使いモノにならないレベルというのが通り相場ですが、神姫バスの場合もギリギリの価格設定です。もっとも6ヶ月定期の設定があるのは親切で、まあそのベースで神鉄と比較してみたのですが、その結果はというと...

三ノ宮−緑が丘 三ノ宮−三木 三ノ宮−フラワータウン
神鉄135,550円 神鉄144,510円 神鉄(新開地経由)151,310円
神鉄(北神経由)217,840円
神姫145,150円 神姫156,490円 神姫158,760円

 6ヶ月で1万円前後の差しかついていないばかりか、神姫バスの場合、1ヶ月30,000円、6ヶ月だと163,000円を超える設定は無く、その金額での全線定期券になりますので、初乗りの150円区間で6ヶ月34,020円ということを考えると駅からバスというエリアだと全く価格競争力がありません。
 しかも環境定期券制度があるため土休は同行の家族は400円未満区間は100円、600円未満は200円ときて1,000円以上は500円というサービス(本人乗り越しは100円均一)も受けられるため、格差は広がる一方です。

 もちろん神戸駅周辺や県庁付近との流動では神鉄優位の部分もありますから、単純に勝ち負けを論じられないとは言え、ここまで鉄道とバスの条件が拮抗、というよりバス優位になっているのは大都市圏では珍しい事例だと思います。
 ここまで来ると毎時4本がデフォルトの神鉄なみのフリークェンシーを確保したら地滑り的な勝利も有り得ますが(実際、箕谷・神戸北町は神戸市バスの急行64系統の圧勝)、三ノ宮バスターミナルのキャパシティもあってか自重しているようにすら見えます。

北摂ニュータウン探訪 ../traffic/log027.html#6
神鉄特快速から見た北摂三田通勤事情 ../traffic/log050.html#4
神戸電鉄に挑む神姫バス「恵比須快速」ルポ 
../traffic/log070.html#3

大阪市はもう食われているところがあります。
 投稿者---Ferrovie federali氏(2003/01/25 14:14:56)

 バスが通勤鉄道を食ってしまう事例は何も神戸に限ったことではなく、大阪にもあります。 

 弁天町と南港ポートタウン東および西・中ふ頭の相互間では明らかに地下鉄が不利なのです。またOTS経由があるのは確かですが企業がこの線経由の定期券を出したがらない傾向があるためによりバス優位の形成を成す有様です。
 比較のために定期券代を記しますと

バス 全線(大阪市の料金制度は2キロ未満か全線しかない) 3ヶ月 23,940円
地下鉄とニュートラム乗り継ぎはひどく遠回りなので論外。但し3ヶ月31,300円(4区) 33,860円(5区)
OTS経由は不明。但し地下鉄との乗り継ぎ割引があるとしても30,000円以上はかかると思われる。

 このようにバスが料金では大幅に優位です。所要時間はバスでは弁天町と南港・ポートタウン東の場合の間は平均25分、地下鉄とOTS乗り継ぎでも同程度です。 
 地下鉄やOTSのほうが明らかに頻度が高いのですが、バスは朝混雑時では1時間に16本ほどあり、ポートタウン西と中ふ頭によらないものも半数あります。それでもなおバスに分があるのです。

 確かに大阪市でも環境定期はあるのですがその恩恵を受けにくい大阪市外の乗客が南港に流入することもこのケースにおける特徴です。

 他にも日常利用でバスが地下鉄を食うケースが大阪の一部地域でありますがここでは割愛します。

Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 投稿者---とも氏(2003/01/26 03:36:24) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 神姫バスvs神戸電鉄の構図は一つの可能性を示しているといえます。
 名古屋における小牧や三重方面への高速路線バスなどもそうでしょうが、これまで鉄道に対しての競争力がもち得ないといわれてきた郊外への近距離路線バスもやり方次第で成功するという事例でしょう。

名古屋「都市圏高速バス」のりある記 ../report/035.html

 都市内においては古くは渋谷−六本木−新橋の都01系統や大阪のゾーンバス、名古屋の出来町線、最近ではお台場への快速バスや福岡の都市高速経由のももち線など鉄道に対する競争力に近いバスサービスを提供し、かつ支持されている例があります。

 中距離以上になれば「東京−つくば」や「福岡−久留米」に代表される高速バスとしての成功例が数多くあります。
 しかし近距離、しかも都市−郊外となるとやはり限られた事例であり、直通サービスという特異性で成立している事例はあるものの、いわば真っ向勝負ではなかなか成立し得ないと考えられてきた部分は否定できません。

 しかし神戸は成功しているといえます。なぜかを考えてみたいです。

 まず運賃面において神戸電鉄と拮抗するというのは大きなポイントです。
 定期ベースにおいて差が無いとなった場合、鉄道の優位性がそがれる可能性があります。ましてや神戸電鉄の場合、速度にも問題があり恵比須快速などでは差が無いというのが実情です。
 さらに神戸の場合恵まれた道路網による定時性の担保も大きいです。首都圏でも江戸川台や三郷松伏など同様の条件での路線が増えているものの、やはり定時性が足かせになっている部分は否定できません。
 神戸は幸いにしてそれが無い。そこが大きいでしょう。

 「バスに食われつつある通勤鉄道」というよりも、「通勤鉄道クラスの信頼性と選好優位性を持ったバスシステム」という評価がよいのかもしれません。

 まとまりませんが。ではでは

Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 投稿者---KAZ氏(2003/01/27 13:49:14) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/pri/

 KAZです。ご無沙汰しております。
 一応地元の話題ということで、少しだけレスを・・・。

 神姫バスの最近の積極策には目を見張るものがありますね。篠山急行を統合・拡大させた「三田特急」の新設から「恵比寿快速」の設定と「西脇急行」のルート変更など、明らかに神鉄と競合する路線を強化しています。神鉄はこの他にも神戸市交通局の急行64系統(三宮〜新神戸トンネル〜箕谷〜神戸北町)とも競合していますから、バス側の攻勢が凄まじいですね。
 これは神姫バス側の意識改革が始まっている事を示しているようで、加古川や姫路といったエリアでも都市型のバスサービスを模索し始めているように見受けられます。エリア内住民としては、今後の展開が少し楽しみだったりしますね。

 あと兵庫県内でバス優勢の区間といえば、川西市の能勢電VS阪急バスも見逃せませんね。能勢電と微妙に離れたエリアに広がる新興住宅街からのバス路線が、高規格バイパス道路の完成によって急行や準急便の大量設定で能勢電に攻勢をかけています。こちらは最近の輸送改善が目立つJR駅へのアクセスという面でもバスが有利で、能勢電&阪急電車の劣勢は聞こえてきています。

 この他まだ構想段階ですが、阪神高速湾岸線を使った通勤高速バスの設定なども考えられているようで、関西のバス事情はこれから変わっていきそうです。まとまりのない文になってしまいましたが、とりあえずご挨拶程度に(笑)

思うところ・・・
 投稿者---Ferrovie federali氏(2003/01/27 19:07:30)

 バスと鉄道の競争はどのような事例でも思うのですがバスなら乗り継ぎが無い場所であるのに、鉄道の場合は乗換えが必要になる場所に行くとき、鉄道の乗り継ぎ時間を含めたその場所までの所要時間がバスに通しで乗る場合と変わらなければどうしてもバスが優位に立つように思います。

 神戸市の急行64号は隣の大阪から見てもとくに車両面でも輸送力の大きな車両を導入するなど相当な力を入れてるように思います。もしかすると連節バスが導入される可能性も十分にあると思います。

 またともさんが大阪市のゾーンバス制度に触れられていますが、この制度はどうしても系統の種類に因る乗り継ぎの制限があり、これだけが最大の欠点でした。
 また1994年の系統再編大改悪で大阪市住吉区ではこの制度が活用出来なくなって移動が不便になるなどの障害も引き起こした事もあります(東西の移動や住吉区南部から上本町方面への移動が大変不便に成り下がったため)。
 このため、これが鉄道との競争力があったと言うのには些か疑問を感じます。

 親投稿の都心と郊外を結ぶバスと通勤鉄道の事例で無い場合のバスと鉄道なら大阪市の場合は天保山系統の60号(なんば)、88号(大阪駅)、36号(大阪駅−地下鉄門真南)の場合でも並行している地下鉄を乗り継いで行ける区間ではあるものの、乗り換えなしのバス利用が優位になっています。

BRTシステムと郊外バスシステム
 投稿者---とも氏(2003/01/27 21:59:07) http://town-m.vop.jp/

 ともです。
 ちょっと議論に疑問点がありますので、修正がてら。

 大阪であればゾーンバスは明らかに「都市内」(都心に比較的近い住宅地と都心を結ぶ路線を含む)路線ですし、例に出された天保山系統の60号(なんば)、88号(大阪駅)、36号(大阪駅−地下鉄門真南)に関しても都市内路線と考えるのが妥当でしょう。
 都市内においては今に始まったことではなく、「都市新バス」などが盛んに検討された昭和50年代から鉄道に比較優位なバスの存在はありました。
そういった「都市の基幹軸として鉄道並の利便性を有するバスシステム」をBRTといいますが、Ferrovie federali様があげられたものはそういったものに近い基幹的システムではないでしょうか。

 都心内路線と都心−郊外線の違いは、都心内路線は一般の路線バスとして面サービスが前提であるのに対し、都心−郊外線は末端部においては面的サービスを行いながら基本が線的サービスであるという点でしょう。
今回、親レスでエルアルコン様が提議されたものは「都心と郊外を結ぶバス」であり、KAZ様が上げられた神戸市の急行64系統のように、都心内や郊外部では面的サービスを行うものの、郊外への途中経路では自動車専用道路を走行することで直結性を担保した面+線+面のサービス形態を持つものと考えられます。

 急行64系統は新神戸トンネルの開通にあわせて設定されたパークアンドライドの受け皿的路線であり、確実に堅調な需要に支えられた路線です。
 しかし、その規模は全国的に見れば珍しいものではないのは確かであり、大型車は入るものの、連節バスが・・・とまでなるかどうかは疑問です。
 未だ増発の余地はありますし、朝夕の特定時間帯以外は一般車体の車両で十分カバーできます。
 輸送力増強なら逆にメガライナーのような二階建てでしょうか。輸送力に差は無いですし、連節バスに比べると安価でノンステップというメリットもあります。神戸の丘陵地帯でのカーブの弱い連接車の運行は不安があります。諸外国ではまさにこういった都心−郊外線で使われることの多い車体ですし、香港などでは山道でもなんでもドンドン入っていきますから。

 さて、他都市での展開ですが、同じような都心−郊外線が成立しているのは横浜などもそうですね。第三京浜や保土ヶ谷バイパス、横浜新道、首都高を経由する路線バス網が形成されています。
 神戸と横浜で共通なのは鉄道輸送が比較的弱いポイントが多いこと、道路状況が良く、バス路線網が維持できていた点でしょう。
 やはりポイントは郊外と都心をダイレクトに結ぶ道路網、そして渋滞の少なさでしょうか。

 最近では東京〜江戸川台、吉川・松伏をはじめとする常磐道系統や、アクアラインを利用した路線、比較的混雑が少ない湾岸道方面への路線が増えてきています。これらは羽田アクセスの成功というちょっと違う要因のものではありますが、神戸とはまた違う展開を見せています。

 じっくり考えてみたい事象です。
 まとまりませんが。それでは。

神戸の立派な道路も・・
 投稿者---Ferrovie federali氏(2003/01/28 15:19:26)

 都市と郊外を結ぶバスが鉄道より優位な場合は、郊外の特徴もこのバスに有利な点を与えています。 郊外はどうしても山を切り開いた場所が多く、どうしても地形的にアップダウンの激しい場所にならざるを得ぬ場所になります。 またこの地形条件が鉄道駅が遠く思える原因にもなるために、家からの徒歩距離が少なく済むバスの優位性がより明白になります。 
 また神戸市の場合は有料自動車専用道路に大きなものが多いうえにその道路が都心郊外を見事に直結し、かつ幹線道路の車線数の条件も大阪や京都に比してずいぶんよいのがバスや自動車が鉄道に対して優位に立つ事ができる最大の原因です。このようなことは制約の多い大阪や京都ではとても無理でしょう。

スロープカー「すろっぴー」と、あら動いてる?「シャトル桂台」
 投稿者---551planning(2003/02/04 21:12:50)
スロープカー「すろっぴー」と、あら動いてる?「シャトル桂台」
└「シャトル桂台」vs「コモアブリッジ」

 当BBSでも御紹介した【検証:】オフ会「さぬきびサミット」。去る2/1〜/2にかけて無事開催されました。詳しくは常設板にて上げる予定ですが、参加者の皆様がそれぞれ多くの収穫を得られたものと考えております。まさしく当方がそうでして…今後小出しにしていければなぁと思っていたりします。

***
 いきなりですが、帰京時のJRTB高速バス「中央ライナー」車中。中央道も大月を超えるとまもなく首都圏へ戻ってきたと実感するあたり、ふと南側の山裾を見やると、すらっと伸びた1本の線をなにやらの箱が動いてゆくさまを目撃!急いで写真を撮り出すも、時すでに遅し…。
…あれ、復旧したのかな?

 JR-E中央線猿橋駅から南に伸びて行く1本の軌道…磁石ベルト式輸送システム(BTM)実用化第1号となった「シャトル桂台」は2001年春に運行開始したものの1月足らずでダウン、長期休止に追い込まれていたのは既に御紹介しました。
 で、どうやら1年半を経てこの1/20から運行を再開したらしいです…(いろいろ調べてみましたがオフィシャル系統のデータが引っ張れません…あしからず)。

小量輸送システムの明日… log332.html#2
いろいろな鉄道情報2003(※1/22付記載参照) http://www1.gateway.ne.jp/~miya-shi/jyouhou2003.htm
Go!! Tokyo Monorail -News-(※1/27付記載参照) 
http://plaza22.mbn.or.jp/~toumono/news.html

…最後紹介のサイトで詳細が書かれていますが、『ブレーキ制御の過剰反応』については暴走されるよりはましとして、『8月に改良車両を現地に搬入し、これまで1万回を超す走行試験を繰り返してブレーキなどの信頼性の確認などを行ってい』たとは…余計に最初が見切り発車だったのかなぁとすら思わせますねぇ。

 まぁ新しいシステムですから、とも云ってられないのが、今回の「さぬきび」オフで実乗した、高速鳴門BSのスロープカー「すろっぴー」。丘上のバス停留所からしばし歩いたところから坂道になるところ、黄色いのりものが出迎えてくれまして、160m程をそろそろと降りていくもの。降りたところは丘下で観光案内所兼高速バス待合所になっておりました。
 なお、詳細は当BBSでもお馴染みのとも様のサイトにありますのでそちらを御覧頂くとして、「ラックピニオン式スロープカー」はあまり知られていないようで結構導入されているようです…どんどん調べていくにつれ思ったことは、うーん、この道も奥が深そう!

とも様のページ http://town-m.vop.jp/TOP_PHOTO/photo-topmu-17.html
日本索道友の会 四国支部 
http://koppel1go.tripod.co.jp/seilbahn-fanklub-top.htm

嘉穂製作所(※検索で「すべて」をチェックしてボタンを押せば導入事例が全部見られます) http://www.kaho.co.jp/

***
 まぁなによりも折角立ち上がったBTMというシステムが成功することを祈りつつ、片や世間ではあまり知られていない分野ながら、バリアフリーの流れの中でその技術力を見せつけてくれるカイシャをもまた、注目していきたいものだなぁと思ったのでした。

「シャトル桂台」vs「コモアブリッジ」
 投稿者---551planning(2003/05/04 22:28:30)

 先日電車の中吊りにこう書いてあったのについ惹かれてしまいました…「大月 とかいなか宣言!」

パストラルびゅう桂台 http://www.mitsui-hanbai.co.jp/shinchiku/A2408001/tokainaka/index.htm

 この5月から第8期の販売が始まるそうで、「スローライフ」の惹かれる貴方は是非に。あ、都会暮らしに慣れきった当方はイイです…そうそう、ついつい書きそびれていましたが、「シャトル桂台」乗車記をば。

***
 「さぬきび」帰路車中より図らずも目撃した、BTM「シャトル桂台」が動いていることから早速調べて1/20より「復旧」したことを知り、居ても立ってもいられずに?2月のある平日、ふらりと出掛けたのでした。朝の京王線、平日に乗ることなどありえないので新鮮に感じ、高尾では社殿風の駅舎やお馴染みの天狗の面などを眺めつつ、さてスカ色115系で猿橋へ…早速ホームから見えますね。
 橋上駅舎を南口に出てまっすぐ50mほど歩いた先、「シャトル桂台」と書かれた公民館風の小洒落た建物の横から1本の白線が緩やかなラインを描いて斜め前方へ上がっていきます。「麓駅」(勝手に命名)からすぐのところに検修用のピットがあって1両休んでいるのが見えました。
 建物に入るとまず暖房の効いた待合室風の部屋があり、注意書きが張られていましたが、無人です。注意書きによればオートバイや自転車、ペット持込は禁止の由。位置付けは昇降装置、エレベーターなわけですが、タテマエとはいえ厳しそう?壁際には液晶テレビがついていて、画像が4面映し出されています。「上部ホーム」「下部ホーム」「1号車」「2号車」とあり、1号車は映っていないのでピットで休んでいるほうでしょう。
 手動の引き戸を開けるとホーム。階段があって2層式になっています。2両連結時に「上部ホーム」と「下部ホーム」で乗降させるわけですね。乗降部にはホームドアがついており、「要求ボタン」と書かれたボタンがついています。これで呼び出すようですが、深夜帯などには住民専用ということでか、待合室でテンキー操作が必要になるようです。

 と、掃除機のような「シャー」というような音が聞こえてきました。だんだんと大きくなって、BTMが到着します。「♪ポロポロポロロン」と都営三田線のそれのような開閉音がしました。3名が降りて当方含め2名が乗車。車内の開閉ボタンを押しますがしばし停車しています。車内も段差があって2層の空間になっています。跳ね上げ式の補助椅子が3脚ついており、吊革もぶら下がっていました。窓も大きく圧迫感はないですが、坂の上方を伺う事はあまりできません。
 発車間際に老夫婦がホームへ入ってきましたがタッチの差で乗車はできず。エレベーターのような開閉ボタンではないので、こちら側もどうすることもできませんでした…。と、BTMはするすると坂を登り始めました。研修ピットを過ぎると、視界も開け、中央線の先に中央道が見えてきます。所々に残雪が残る中、見下ろす形で右手には点検・避難用の欄干が寄り添い、左手には工事用と思われる仮設階段が見えます。雑木林の中を早くもなく遅くもなくのスピードでしばし、がくんとスピードが落ちると「頂上駅」に到着。同じような構造をしていますが、保守関連要員用の部屋もあるようで、幾分広めでした。
 外に出るとちょっとしたロータリーになっており、向かいに販売センターがあります。一応表敬訪問し、女性スタッフに話を聞いてみたところ、「シャトルの話はよく判らない」そうで。ちなみに構造等を示したパネルが展示されていました。「商売」とは関係ないためそこそこに退散、ちょっと散策するも単なる住宅地ゆえ、戻ることとしました。
 「頂上駅」待合室でしばし。貼られていた管理組合報によると、居住者は700名を越えたそうです。居住者に配布されていると思われる「シャトル桂台乗車マニュアル」も貼られていて、非常時の操作方法などが説明されていました。緊急時には警備会社に連絡するようです(非常時には20分以内で担当者が来るとか)。
 到着したBTMには買物袋を提げた婦人が降車、3名が乗車します。やはり下りのほうがちょっとしたスリル感を感じるでしょうか。結構背高ノッポな箱が載るにはたいそう貧弱な桁に見えてしまい、それでいてそこそこのスピードで降りていきますから。高度がぐんぐん下がって、なんだか前のめりになりそうな感じで「麓駅」に到着しました。

 ここまで来ればおとなりとも云うべき中央線・四方津駅から北方に延びる「コモアしおつ」への斜行エレベーター(EV)も体験しなければならないでしょう。バブル絶頂期の1991年に販売開始され、駅から延びる「コモアブリッジ」が話題になりました。
 古めかしい四方津駅舎からしばし歩いて歩道橋に上がり、R20を越えたところに建つ「下部ステーション」からガラス張りのチューブがすっくと上方へ延びています。短いエスカレーター(ES)を乗り継ぐとブリッジの下部ホール、ここからESが1ルート4本(途中乗継)、両側にEVが1基づつで上部と結ばれていますが、ESは平日朝夕のみの運転、EVも1時過ぎから5時までは運行停止のようですが(中央線終着が0:54、始発が5:16)。なんでも居住者は維持費として入居時に100万円、月々管理費1万円を負担しているそうで…。
 やってきたEVに乗ると、内部の感じは普通の搬器、ただ表示機はさすがに斜行EVです。途中3箇所(ES乗継の踊り場)に非常口が設置されています。ブリッジ自体が覆われているので、天候に左右されずに運行できるところがミソでしょう。眺望自体も悪くありませんが、居住者には5分少々でも密閉空間、モニターが設置されCATV放送と思われる映像・音声が流れているだけで安心感を覚えます。
 「上部ステーション」ではスルーでコモアしおつの中へ。目の前にショッピングセンターと信用金庫の支店がありました。振り返ればステーションも立派。中のフロアにはコモアしおつ及びブリッジの模型も展示されていました。

コモアの風 http://www.commore.jp/

 コモア四方津といえば、先日某オフ会で「鉄道アナリスト」の方にお会いしてきましたが、参加者一同、「エラいトコ住んでるなー」といっていましたっけ?四方津駅時刻表よりも10分は余計に見ておく必要もありますし、その四方津駅も時間2本ですからね。もっとも、座って通勤はできるようですが、ラッシュ時にはESを駆け下りるのもザラだそうで…お気をつけの程。

***
 両者を比べると、やはり「先輩格」のコモアしおつに軍配が上がります。BTMは天候に左右されそうで、それでなくても単線運転だけに待ち時間も最大10分少々になってしまいそう。なにしろ、システム自体が固まっていないというのが致命的?ま、この点は「復旧後」便りのないのはいい知らせ、ということでしょうか。一方で斜行EVは直線であることが要求される分設置ポイント選定や構造物そのものが大型ゆえに維持管理に苦労しそうですが、システムが一般化されているため非常時対応がまだ容易という利点もありそうです。
 ともあれ、バリアフリーが叫ばれる昨今、「とりあえず設備を設ければ」という発想になりがちですが、動線勘案如何によっては、都市部でもありきたりなES・EVだけでない新しい小量輸送システムの可能性は今後ますます高まってくるであろうと思いますが、如何でしょうか?

「ゆいレール」は沖縄の足となりうるか?
 投稿者---かまにし氏(2003/02/18 23:39:10)

「ゆいレール」は沖縄の足となりうるか?
└Re:「ゆいレール」は沖縄の足となりうるか?
 └Re:「ゆいレール」は沖縄の足となりうるか?

 かまにしです。

 沖縄モノレール「ゆいレール」が、当初の開業予定を4ヶ月前倒しして、8月10日に開業することが決定しました。お盆期間の帰省客や観光客のまとまった需要を確保することも狙いの1つだそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030215-00000015-ryu-oki

 ただし「ゆいレール」については、さまざまな懸念の声が上がっているのも事実で、僕自身にもそういった懸念を感じていないわけではありません。具体的には、

  1. ゆいレールはかなり迂回したルートで、しかも国際通りといった街の中心部からも微妙に離れていて、使い勝手が悪いのではないか?
  2. そもそも沖縄の人は車慣れしていて、今さら公共交通に転移するのか?
  3. ゆいレールの需要予測は、バス会社が4社バラバラで、値上げされることを前提に組まれていたが、実際には値上げもなくバス会社も連携・統合の動きで再編されているのが、ゆいレールはかなり厳しいのではないか?
  4. 那覇新都心の開発が中途半端なまま、開業するのはどうか?
  5. そもそもモノレールは建設費が莫大になりすぎる。より費用対効果の良い代替交通システム(例えばバスシステムなど)を最初から考えた方がよかったのではないか?

といった懸念が挙げられます。これらの懸念について、自分なりに考察してみました。

 1.2.について

⇒確かにルートについては、僕もなんであんなに迂回するのか疑問(特に、那覇空港からなぜ一度、南に振れるのか?)な点も多い。また実際に自家用車を使っている人を、すぐに公共交通に転移させるのは難しいと思うが、ゆいレールの動線は交通の動脈である「那覇空港」と「那覇都心部」「新都心」「首里城」といった業務・観光拠点を結んでいるから、少なくとも、本土からの出張組や那覇市内を中心にした観光流動がゆいレールを利用する可能性は高いと思う。そして、その分の自動車交通が削減されるだけでも、渋滞の緩和に寄与するのでは?

 3.について

⇒現在は、当初の初乗り260円・那覇空港〜首里の最大運賃を390円にする計画を、物価上昇や金利負担の見通しが変化している状況を背景に、初乗り200円・最大運賃も200円台にしたいとの考えもあるようだ。

沖縄タイムス http://www.okinawatimes.co.jp/day/200211251300.html

 4.5.について

⇒ゆいレールが開業しないまま、新都心の開発が進んだら、沿道の渋滞はさらにひどくなるだろうし、その分、新都心の交通利便性が落ちるから、そもそも開発は進まないのではないか。確かに開業当初は厳しいかもしれないし、今ならもっと違った交通システムが考えられるかもしれないが、沖縄の都市環境の改善ということも含めて考えれば、ゆいレールは決して高い買い物ではない…、とも考えられる。

***
 那覇のメインストリートである国際通りも、その両側に駅を作ってできるだけ近づける努力は見られるものの、中途半端な感じも否めません。ただ、国際通りには道路幅などの関係から、むしろモノレールとは別立てに、ミニバスやLRTを水平エレベーターに利用したトランジットモールがピッタリなんて感じもしてしまいます。そして、国際通りの両側にある駅のさらに外側にP&Rの駐車場があれば、かなり使い勝手が良くなるかなと思いました。

 ただちょっと残念なのは、確かに那覇の市内間交通だけを考えれば、モノレールというマストラによって需要の多い拠点を結ぶことは理にかなっていると思うのですが、現在の沖縄は市内線・郊外線に加えて、名護などの都市間輸送を担うバスもかなりの本数が走っています。そして実は、モノレールの終点である首里のすぐ南側は「那覇IC」です。

 ということは、それこそガイドウェイバスであれば市内間輸送に加えて、例えば名護からの高速バスが那覇ICまでやってきて、そこからレーン上に上がって、そのまま市街地を通り那覇空港まで直通ということも可能な上、バスが減る分だけ市内の交通混雑も緩和させることができ、より有効活用ができたのではないかと思うのです。

 ちょっと論点がばらけ気味ですみません。。。皆様からのご意見をお待ちしております。ではでは。

Re:「ゆいレール」は沖縄の足となりうるか?
 投稿者---和寒氏(2003/02/19 00:02:38) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 沖縄といえば、私が最も土地勘のないところですが、若干気になった点を。

沖縄県 http://www.pref.okinawa.jp/unyu.html
那覇市地図 
http://map.yahoo.co.jp/pl?…

 ゆいレールはかなり迂回したルートで、しかも国際通りといった街の中心部からも微妙に離れていて、使い勝手が悪いのではないか?
 確かにルートについては、僕もなんであんなに迂回するのか疑問(特に、那覇空港からなぜ一度、南に振れるのか?)な点も多い。

→空港口のルートはあそこしかないでしょう。
 ゆいレールは県事業ですから、道路と一体となったルートであることが必要条件であることが一つ。道路一体でないルートでも可能は可能ですが、その場合、モノレールルートを都市計画決定しなければ補助金が出せず、モノレール単独事業となって、採算性を極度に圧迫することが考えられます。
 また、モノレールは空港アクセスが主目的ではない点が二つ。那覇空港の利用者が多いとはいっても、モノレールはそれだけで成立するわけではないでしょう。また、県事業である性格を考えても、沿線地区の交通需要を満たす必要性もあるわけです。
 してみると、赤嶺・小禄・奥武山公園の各駅は路線の両側に需要地を抱えていますから、空港から都心部直結よりも良好な成績を期待できると思われます。

 ただし、国際通をはずした点は、需要面からも建設面からも疑問です。
 県のHPからは、施工時の交通処理が問題とされたように読みとれますが、どんなもんでしょう。それだけで見送りになるとは考えにくいです。
 このあたりは事情に詳しくないので、なんともかんともですが、どなたか御教示頂けないでしょうか。

 そもそもモノレールは建設費が莫大になりすぎる。より費用対効果の良い代替交通システム(例えばバスシステムなど)を最初から考えた方がよかったのではないか?

→ゆいレールは県事業、インフラ補助が大々的に投入されて赤字になるようでは、交通機関としては大問題です。「通常ならば」、営業赤字は決して出ません。出たらマズイです。
 とはいえ、営業赤字が出まくっている新交通システムがあることも確か、また全面的なインフラ補助を得てさえ、初期投資(車両など)の償還負担に苦しんでいる路線もいくつかあります。だから心配としては理解できます。
 まあ、補助金総額との費用対効果については、真面目に検討すれば相応以上の数字が出るでしょう。なにしろ、ゆいレールの開業によって交通モードの選択肢が増え、那覇市内の移動に要する一般化費用が低減するからです。今までマストラ空白地帯ですから、インパクトは大きいでしょう。
 ゆいレールの所要時間がバスや自家用車などと同等であっても、一般化費用はかなり低減できるはずです。それに全モードの利用者数を乗じて、さらに利用者数増加を加味すれば、環境負荷等を考慮する以前の段階で多くの「利用者便益」が発生します。

 あとは利用者が実際にどう動くか。
 興味深いところです。

Re:「ゆいレール」は沖縄の足となりうるか?
 投稿者---とも氏(2003/02/20 01:10:13) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

●ルート論
・ルート南部(空港〜市街)
 那覇空港から那覇市街を見た場合、地図上のルートであれば確かにご指摘のルートが魅力です。が、このルート、那覇空港〜那覇市内ならよさそうですが、沿線にあるのは自衛隊駐屯地、訓練場、米軍埠頭・・・まぁ需要などないでしょうね。
地図ではなかなかわかりにくいですが、車で通るとその寂しさはわかります。

 一方、那覇市内ではなく一度南に振れて・・・という印象の今のルートですが、あながちはずれてはいません。那覇市街というと国際通りの印象が強いですが、国際通りの南東側、与儀なども市街地です。こちらへのルートとしては南回りも別に遠回りではないです。
 さらに、那覇市の南側は急速な市街化が進む地域であり、特に小禄、赤嶺は新市街として高い集積を持つ住宅地域です。需要からすれば断然こちらのルートが魅力になります。

・ルート中心部(市街)
 国際通りに関しては、16〜18m前後しかなく、その両サイドの店舗をセットバックさせて・・・というのはスプロールを心配する那覇市としてはできなかったのでしょう。都市計画はあるのかな??
 よって、理由をこねて今の川の上ルートなんでしょうが、非常に微妙です。
 久茂地(県庁前)、牧志を押さえてますのでいわゆる「奇跡の1マイル」区間の両端を押さえてますが、この区間、本当に1マイルですからまぁ歩こうとすると結構厳しい。私など牧志まで歩くとなったら結構な体力を消耗します。ただの運動不足かもしれませんが。
 本音からすれば路面公共交通(バスかLRT)がベストなんだとは思うんです。この区間なら。モノレールとの乗り継ぎを工夫すればなお良し。久茂地なんかはパレット久茂地なんかと一体整備で結構化けると思うんですよね。

 あの国際通りにモノレールなんぞ通ったらせっかくの沖縄独特の情景が失われます。それを考えれば今のルートで私は賛成です。

・ルート北部(市街〜首里)
 首里城に行くには使いにくそうだし・・・なんともかんとも微妙な感じですがどうなんでしょうね。
 新市街からのルートはクネクネしてますが、まぁ足にはなるでしょう。

●では足になるのか
 「ぶっちゃけ」解りません。
 少なくともあれば便利、確実にバスより便利でしょう。沖縄のバスのわかりにくさといったらないですから、モノレールは少なくともルートが見える分マシでしょうか。
 需要がありそうなところは抑えている、観光施設も。
 そうなるとどんなものか、沖縄県と那覇市のお手並み拝見ですね。

 ルート展開論も大風呂敷にやってみたいなぁ・・・LRTなんかもよさそうですが。

 ひとまず。ではでは

明暗分けた?高松市内「循環バス3兄弟」の行く末
 投稿者---551planning(2003/02/22 23:06:34)

明暗分けた?高松市内「循環バス3兄弟」の行く末
└Re:明暗分けた?高松市内「循環バス3兄弟」の行く末
 └虹よふたたび

 現在香川県高松市内では性格の異なる均一料金の循環バスが3路線試行されている。

高松商工会議所 http://www.takacci.or.jp/
高松市 
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kaihatu/keikaku/index.html

 いずれも03年3月末までの試験運行だが、その明暗がはっきりしたようで…まさに3種3様の体である。

四国 http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.asp?id=20030219000084
毎日 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030219-00000005-mai-l37

 特に実績の最も悪いショッピングバスの運行継続と「善戦」ともいえそうなレインボーバスで明暗がくっきり分かれた格好となっており、上記報告がなされた市議会建設水道調査会(ん?)の席上でも3路線のあり方、特にレインボーバスが「四国運輸局のキモイリ→15年度予算での国庫補助の見通し悪し」から早々の店仕舞となった点が問題視されたようである。

***
 当方、先の「さぬきびサミット」の帰路高松に立ち寄り、たまたま時間が悪かったこともあって高松駅から市中心部の高松天満屋(ことでん瓦町駅)までレインボーバスに試乗している。

 そこでも書いているが、この3路線市内中心部では同一経路を走る場合も多く、ゾーン制にするのか、100円あたりで割り切るのかは難しいところか。高松駅でショッピングバスとの乗りを見たが、このときはショッピングバスのほうが乗っていたような…それは市役所や県庁前方面へ先に寄る西廻り路線、当方乗車のレインボーバスは先に瓦町に行く路線だったのだが。
 ただいずれにせよ指摘できるのは30分〜1時間間隔という運行スタイルもあるのでは?気軽なまちの足としては使いづらい印象も受けた。ことでんが市内路線として高松築港駅と瓦町を結んでいるが、JR高松駅との結節が弱いところも循環バスの性格とあいまって宜しくないというか…そもそもレインボーバスの経路である南部大型商業施設はクルマで乗り付けて、というショッピングスタイルなだけに、市中心部との結節性そのものとも検討の余地ありなのかもしれない。

 いずれにせよ、四国記事内にあるとおり、『市は交通政策の窓口を早く一本化すべきだ』という意見は、表面上でも他力本願が伺える?市にとっても重いものではないだろうか。

Re:明暗分けた?高松市内「循環バス3兄弟」の行く末
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/12/20 11:52:02) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

  このコミュバス3兄弟の明暗が利用や収支とリンクしているのならまだわかりますが、ショッピングバスが係数328、病院バスが170、レインボーバスが155で、もっとも便あたりの利用実数が少なく、営業収支が悪いショッピングバスが継続で、営業収支がもっとも良いレインボーが終了というのは市議会ならずとも説明がつきません。

 ここから見て取れる問題は下記の2点です。
 まず、制度や補助名目の問題があるのでしょうが、3種類を並行して試行していること自体がそもそもの無駄で、近距離100円、遠距離200円とした2区間制のバスに一本化したほうが運行効率も良いでしょう。150円区間の乗客が明暗を分けますが、要は割り切りで、その分フリークェンシーが高いというメリットを前面に押し出せばまた違う結果が見えてきます。

 次に、採算ラインが異様に高いことです。都市部の循環運行という比較的効率の良い運行形態なのに、1便あたりの採算ベースが20人から34人というのは異常な数字に見えます。
 この数字、大型路線バスでも全便立客がいないと達成できない数字ですから。
 100円バスだから収入が少ないとはいえ、倍の収入、つまり200円でも便あたり17人いないと収支均衡に持っていけないというのはそもそもの事業計画に難があるとしか思えません。

***
 採算が「悪い」とされるショッピングバスですら便あたり10人の利用があるわけですから、通常の路線バスなら「健闘」の域でしょう。いわんや病院バスは15人ですからこれは「大入り」の域です。
 いまごろどこかの事業者が、「おいおい、宝の山に気が付かないのかい?」と切歯扼腕しているかもしれませんね。それこそこのデータを元にPFI事業として運行者を求めたら、飛びつくかも。

虹よふたたび
 投稿者---551planning(2003/03/30 02:55:46)

 レインボーバス、期間限定ながら事業者であることでん主導で復活します。
 ゆめタウン高松と高松天満屋の支援を得、10月末まで継続運行されることに。既存路線とも併用できる回数券を導入してこ入れも図られます。

四国 http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.asp?id=20030322000224

 いまごろどこかの事業者が、「おいおい、宝の山に気が付かないのかい?」と切歯扼腕しているかもしれませんね。それこそこのデータを元にPFI事業として運行者を求めたら、飛びつくかも。

 先の「採算性」での数字もいかにもお役所的感を持っていましたが、裏を返すとレインボーこそ民間レベルで維持拡充余地ありとの判断が切れるかなとも思えるだけに、記事中の高松市のコメント、『民間主体での継続が決まり、非常にありがたい』が切ない…ですね。根底にはことでんショックもあるだけに、形を変えた行政支援にも限界はあろうかと。まぁ事業者が『少しずつだが固定客も増えていたので、何とか継続したかった』とするくらいですから、何をや云わんとも。

 いまどき民活とは聞こえがいいですが、ショッピングバスも地元商工会議所のバックアップがあってこそでもあり、日本型の公共交通維持拡充スキームといいましょうか、「独立採算」の束縛から抜けられない現実といいましょうか…。

2004.11.14 Update


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