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シンポジウム

【検証:近未来交通地図】
特別リポートNo.045-2

浜名湖周遊記
(シンポジウム参加編)

(2003/12/07)

下記内容は予告なしに変更することが
ありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の
無断転載および再配布を禁じます。

シンポジウム

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 12/7(日)、浜松駅前のフォルテホールにて、浜松都市環境フォーラム主催による『天竜川・浜名湖地域合併に伴う広域都市交通を考えるシンポジウム LRTとパーク&ライドによる「人と環境にやさしい都市づくり」』が開催されました。8月のフォーラム訪問時御紹介頂いていた事もあり、都合をつけて参加して参りました。以下簡単ですが御報告までに。なお、私的メモと記憶に頼っているため、一部異なる可能性もありますので参加されたの方には御指摘を賜りたく。

浜名湖周遊記 045.html

●正直結構な規模にびっくり!

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 最初はどこかに寄って、と思っておりましたが、結局東京11時前発のこだまで直接浜松入り。と、新幹線改札口から緑色のジャンパーを着たスタッフが立ってますねぇ。で、実は当方てっきり13時開場13時半開会だと思ってしまったので、到着後16角形バスターミナルを見て、また遠鉄百貨店から見下ろしたりしておりました。遠鉄百貨店は歳暮の特設開場をはじめ結構な入りで、思わず集客性に注目しました。

 で、向かいのフォルテホール内シンポジウム会場へ。緑ジャンパーに促されて進むとホールはB2とは珍しい、来賓・浜松市内・静岡県内・県外と区分された窓口で受付を済ませ、A4で30数ページに上る資料と「LRT導入を支援する市民の会」会員募集案内の小冊子を手渡され中へ。県外の名簿をちら見では30名ほどが参加されているようで。それにしても、確かに当方の本名はいささか難しいながら、事前申込の名簿で苗字も名前も間違っているようではちょいと気分を害しますよ。

 と、あら既に始まっておりました…丁度開会挨拶後の経過報告の終わりの段で、危ない危ない。で、改めて会場を見ると、定員500人と聞いていたところ、会場の席は半数をゆうに超える感じで埋まっておりなかなか混んでいます。男性が大多数で年齢層はちょっと高めという印象です。空いていた前方に進んで腰を下ろすと、内田会長の挨拶が始まりました。
 会長の話は、浜松市周辺12市町村合併についてこれまでいろいろな提言を行ってきたこと、またそれに合わせて産業博物館構想やこのLRT構想をもって地域の活性化を図ってゆきたい旨、プロジェクターを適宜織り込んでののものでした。

●来賓挨拶より

 その後来賓挨拶として、北脇保之浜松市長・塩谷立衆議院議員(静岡8区=浜松市東部・自民)・城内実衆議院議員(静岡7区=浜松市西部・浜北市など・自民会派←熊谷弘旧保守新党党首を破った御仁)から挨拶があるとともに臨席の柳川樹一郎浜松市議会議長・井ノ口泰三浜松市自治会連合会長の紹介と、メッセージ代読として竹山裕(自民)・山下善彦(自民)両参議院議員の祝辞が紹介されました。

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 このうち北脇市長からは、20世紀のモータリゼーションの時代を経て、環境などに代表されるように社会的要請として自動車に頼らない公共交通を中心とした交通政策の必要性と、12市町村合併で全国最大の市域となることから「クラスター型政令指定都市」を目指すうえで、新しい交通システム作りが課題となっていることを挙げ、その中では既存のモードとの連携を中心に検討する中で、材料のひとつとしてヨーロッパでは街づくりにも貢献しているLRTがあるとしつつ、運営事業者や採算性の観点からそのまま導入というわけにも行かず、これはテーマとして幅広く考えるべきであるという認識を示し、そんな中で市民団体であるフォーラムからこのような提案、シンポジウム開催がなされることはまさに意義深いものであり、このような市民合意形成の過程から、行政として真摯に受け止め最善の選択をして行きたいという趣旨の話がありました。

 また両議員からは「合併なくしてLRTなし、LRTなくして合併なし」(塩谷氏)、自身のヨーロッパ実体験からもその素晴らしいものが浜松でも実現して欲しい(城内氏)といった話がありました。そういう意味ではその後、若い女性司会者から、是非国レベルでのLRT導入推進議員連盟の設立を求めるとともに、現在ある「超党派の国会議員によるLRT研究会」への地元議員の参加を、と呼びかけていたのは逆に印象に残りましたね。

 さて、このあと第1部に入ったわけですが、ここで来賓は壇上から退場、うち市議会議長と自治会連合会長は客席に座っていたと思いますが、市長と議員はどうされたのでしょうか、当方には判らなかったのですが…。ちなみに当日は地域防災訓練他各種行事も目白押しであったそうで。

●さて本題…

 来賓退席の後直ぐに第1部としてフォーラムのLRT研究部会長である森信勝氏より導入構想案の概要説明が行われました。以前に当方が紹介していますし、フォーラムサイトでも更に手が加えられているので既に皆様も御承知かと思いますが、「全容はシンポジウムで発表!」とされていましたので改めて御紹介致しましょうか…こちらはシンポ参加報告と区分するため別掲とさせて頂きます。なおプロジェクターを交え、まさしく我が子、孫をいとおしむかのような熱の篭った説明で、丁度目の前で緑ジャンパーの女性が紙に書き込んだ合図を懸命に送っているのを知ってか知らずか少々時間オーバー加減となったのが微笑ましかったですね。

シンポジウム 浜松都市環境フォーラム http://www.alcclub.net/~lake-hamana/

 資料に挟まれてあった質問事項記入用紙の書込みを含め15分ほどの休憩が取られたあと第2部となり、『LRTとパーク&ライドによる新交通システムの導入について 車を運転する人もしない人も、住民も旅行者も、健常者も障害者も、誰もが安全かつスムースに移動できる都市を実現するには…』というテーマでパネルディスカッションとなりました。コーディネーターは黒川洸東京工大名誉教授、パネリストは着席順に中尾正俊広島電鉄取締役電車カンパニープレジデント・斎藤桂RACDA岡山副会長・大塚幸作浜松市都市計画部交通政策課長・斎藤粛浜松大教授と先の講師である森信勝氏です。
 まず黒川氏が「先の発表を踏まえ、御神輿担いで…で本当にいいのか、いやもっとやれ、ということでも」として各氏から自身の立場・経験を踏まえての所感を求め、各氏の発言中に黒川氏が参加者からの質問事項を纏める、という形で始まりました。

 中尾氏は「鉄道・バス運営で全国に名が知れ渡る(地場の)遠州鉄道さんを差し置いて私が、というのもですが…」との前置きで、路面電車の退潮および見直しの現状、またLRTへの方向性について簡潔な説明がなされました。トピックとしては国産超低床台車開発で来年中には近車+三菱+東洋による純国産LRVが広電に納車予定との由。導入論としては道路占用、軌道法の問題が触れられるとともに、市(行政体)のリーダーシップとビジョンの必要性、また市民の参加が肝要であること、運営体としては公営と比して民間では赤字補填が厳しい状況にあること、また既存バスとの共存共栄もポイントになるとも挙げておられました。

 RACDA斎藤氏(ちなみに斎藤教授も居られたので、黒川氏の発案で会場では「桂さん」「斎藤先生」と呼ばれていました…以下こちらでも勝手ながら従いましょう)は、「浜松案を拝見して、岡山RACDAが以前に発表したもの(環状化+JR線直通構想)を上回る“大風呂敷なプラン”だなぁと」と至って率直な感想。ただし現に岡山でもこの後吉備線直通案が具現化してきているように、“中風呂敷案”としての成立可能性が…とフォローされていたのはやはりサスガです。この後RACDAの経緯をかいつまんで紹介しつつ、それでも延伸に至っていないのは「反対者の声のほうが大きい」こと、その理由として大きく4つ(・交通権等を示す交通基本法制がないこと、・都市を中心とした具体的交通計画の欠如、・財源問題、・市民合意の形成システムがないこと)を挙げるととともに、市民合意について(地場)マスメディアとの微妙な関係性に言及、また訴求プロセスの明確化としてマニフェスト「ACTION5」を掲げたと紹介されました。また現在のバスマップ策定を踏まえつつ、P&BRでの実体験に基づく利点欠点を挙げ、マーケッティングとプロモーション(具体的な目的・目標の明示と対象者へのアピール戦略)がポイントであるとの考えを示されました。「浜松は遠鉄バスの取り組みが全国的にも有名ですよね」として、16角形バスターミナルの標識等も素晴らしいと述べられていました。

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 斎藤先生からは自身の研究である「都市における公共交通網の最適計画」と題した地域ブロック別移動量分析についての説明と燃料電池システムの現状紹介がプロジェクターを使って示されました。ただ正直内容が専門的であったこととテンポの問題で時間がちょっと長めになったこともあり、少々中弛みの感が否めず…まぁ事前にプロジェクターでの説明等が示されていたのか黒川氏も「会場からも燃料電池LRVについての質問が多いようですので、ちょっと時間がかかってもいいですので…」と下駄を預けてしまったこともあり、結果的にこのあたりで退席する人も居たのは残念ではあるものの致し方なかったかなとも…。

 個人的に注目した大塚氏の発言ですが、浜松市域の交通状況の問題点がポイントよく示され、遠鉄バスの輸送人員がこの10年で半減している、ただし(1997年の)オムニバスタウン指定後は年4%減と全国レベルにまで減少幅が下がってきたことを挙げ、特に市と遠鉄が連携したP&R駐輪場整備等が奏効しているとの分析を示しつつ、実情としては分担率が自動車59.4%に対しバスが3.7%・鉄道が2.4%という数字が現にあること(また二輪車15.8%・徒歩18.7%という数字も挙げられた事に注意、なお以上出典の言及は無かったかと)や、現在遠鉄から6路線の廃止提案が出されているとも述べられました。ただ現在進展中のバスカードIC化推進により、データ集積化が可能となることで先の 斎藤先生発表の分析がより具体的かつ詳細までできるようになれば、遠鉄と協力してバス路線網の見直しを進めてゆきたいともされていました。一方LRT計画については市長の言を引いて検討材料になるだろうとしつつ、軌道法の問題、道路占用における警察との折衝がネックになるであろうとの見解と、採算性・コスト面も重要である事から、市民の合意形成、「市民からの声を!」と結ばれていました。

 森氏からは先の発表の補足的言及として、LRT構想の動機として中心市街地活性化としての起爆剤的位置づけが示され、また調査の過程で戦前に遠鉄統合前の遠州電気鉄道等3社の「幻の軌道計画」が今回のLRT計画にかなり近かったとのエピソードが紹介されるとともに、中尾氏発言のバスとの共存については遠鉄バスは急行バスというスタイルでのドル箱路線維持が可能ではないか、また大塚氏発言の警察云々を受ける形で「信号システム(PTPSを示すのか?)による協力体制を構築したい」との発言がありました。

●意見交換は深部へ

 ここで黒川氏は纏めた質問事項として、運営体についての更なる言及、特に遠鉄バスとの関係性を含めて森氏に、軌道法の問題点の詳細について行政側の大塚氏・事業者側の中尾氏に、“マニフェスト”ACTION5で「ピーク時に座れる」というものは採算性として如何なものかと桂氏に、燃料電池車両の価格について斎藤先生・森氏にそれぞれ回答を求めました。

 まず運営体としては・浜松市公営で、・遠鉄が、・別途民間企業が、・3セクで、・公設民営でといった大別5案がフォーラム内で出たものの決定するまでに至っていない、むしろ「決定すべき立場に無い」との見解が示されました。これは後に質問でも出ますが2010年開業を掲げている割に…と違和感を感じざるを得ないところではありました。
 軌道法の問題点について、まず大塚氏より、鉄道事業法が自身の土地での運営を定めている、すなわち自主性が強くなるのに対して、軌道法では道路占用の問題は当然、速度や車両長などの規制、採算性審査や事業特許の必要性など手続き上からもハードルが多いとの認識が示され、実際に遠鉄西鹿島線八幡駅付近高架化に際して市道中央部に高架橋を建てた際には鉄道事業法の特例許可を得られたものの、後の助信以北高架化ではその許可が下りずにその部分、すなわち道路中央の緩衝帯部分については遠鉄所有とすることで鉄道事業法のままとした…という話がなされました。一方中尾氏からは、1つの路線で鉄道事業法と軌道法双方にまたがる形態もある旨が大塚氏の言に加える形で改めて指摘されるとともに、軌道法はもうひとつの側面として道路占有に関して強い権限を持っており(例:自動車の軌道上走行は原則禁止←警察折衝でこれが緩和された事が路面電車衰退の一因とされていることは皆様御承知の通りかと)、それゆえに運行が守られているともいえること、また現在では国交省も各種支援体制にあることや、軌道法の鉄道事業法との融和化という方向性もあることから、楽観視というわけではないもののケースバイケースで柔軟な対処方が期待出来得るとの話でした。

 ACTION5については言い間違い聞き間違いということで、「ピーク時以外は座れる」が正解、ただし補足として岡山の場合バスでは6事業者がひしめき合っており路線別で見れば非効率な部分もあるのが事実、さらにバスマップ作成の際各社とも情報をクローズする傾向にあった、ゆえに自ら地道に調査したとのエピソードも。
 燃料電池LRVについては、先ず森氏よりGREENMOVERやMOMOの先例を横睨みにしつつ3連接2億9千万、2連接2億5千万換算していることが、また斎藤先生からは現在東京都バスで実証実験中の燃料電池バスの開発費が3億円、これを量産レベルでは1/10にしたいとされており、燃料電池LRVでも決して夢物語ではないのでは、との見解が示されました。
 なおこの前後で大塚氏は所用のために途中退席となりました…残念。

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 黒川氏はここで会場からの質問を募り、まず地元参加者から質問というか応援というかの感想が述べられ、ついで宇都宮から参加の方が、宇都宮での市長vs知事の現状に触れつつ、資料で初期投資について具体的数値まで出されているが、運営事業体も漫然としない中でどのような負担を考えているのか、市民運動・合意形成についての方策について、またバスよりLRTが優位であるポイントを示して欲しい旨の質問があり、先ず初期投資負担については森氏が各種検討しているがやはり決定権は無い…といった玉虫色の返答、次いで中尾氏より、民間事業として減価償却等の問題もあることから公設民営がひとつの回答になるであろうとの返答、およびLRTの優位性については環境面が強調されている面があるものの燃料電池自動車の登場でなかなかそれだけでは…という中で、大量輸送性とトータルコスト・効率性といった複合的観点をより強調してゆくべきかとの考えが示されました。また桂氏からは単なる市民運動の難しさを指摘しつつ、「市の方も市長さんも帰られたので…」として、先の市長挨拶を聞いても、本当に市長がやりたいのかどうなのか、また政策に挙げただけでも実現するわけではないので、強力なリーダーシップの必要性が肝要とするとともに、一方で「何でバスじゃダメなのか」というところもより明確になされるべきではないかともされていました。

 隙を見て…というわけではないのですが折角と当方も質問、ちょっと絞り切れなかったものの

と2点挙げてみました。

 まず自動車交通との関係ですが、森氏は1次計画案については、主要道路との干渉を避けるようなルート取りを心掛けたと、具体的には大通りでなく1本横の道としたり、駅周辺でもなるべくルートを集約させて駐車場との関係性を図っているとの回答、またバスとの関係性についてかつての遠鉄西鹿島線と二俣街道を走る遠鉄バスのバッティングを挙げていずれ集約過程になるとの見解を示すとともに、将来構想として環状線にもLRTを通す計画を持っているがあくまで将来構想上で…との回答で、期待した「ロード…」の「ロ」の字も出なかったという…。

 料金システムについては、先ず中尾氏より広島ではバス・アストラムラインとの共通磁気カードが導入されている現状(パセオカード、1997年〜)と、一方で東急世田谷線せたまる導入での利用増加実績(3%増とか)・またポイント制など各種展開の容易さを引き合いに出してICカードの利便性については各種研究は行っているものの、先の減価償却論ではないものの、磁気カードシステムの償却も済んでいない中でICカードシステムを後付けするのもなかなか…また共通カード共同事業者との兼ね合いもあって停まっている状況であること、またチケットキャンセラについては昨年の西友での“返金騒動”以後ムリではという認識・現実問題として取り締まるにしても権限が無いため、正直消極的…とこれはまさしく先月の運輸政策コロキュウムにおける広電社長の見解と同じ、当然ながら広電上層部の認識一致を図らずも確認することができました。また桂氏からは自らSuicaを示して、上京の折に良く使っていること、一方で関西にはあまり行かないのでスルッとKANSAIやICOCAはまだ良く判らなくて…との由。岡山では中国運輸局(岡山運輸支局)が熱心で、両備グループのスルKAN導入方針もあるものの、一方で吉備線延伸話を踏まえてもJR-Wとの関係性が明確でないと…との私見が示されましたが、こちらも先の中部路面電車サミットat万葉線における岡会長の認識と同じですね。

東京ではコロキュウム「わが国へのLRTの導入は可能か?」
「第2回中部地区路面電車サミットat万葉線」参加備忘記
../special/030.html#21
049.html

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 浜松案では標準軌を採用する傍ら、既存の遠鉄西鹿島線の天浜線直通(天竜二俣までの電化乗入)案を掲げていることについて、現状を問われた中尾氏は広電宮島線の例や吉備線・富山港線相直案などはやはり同じ軌間であることが前提になっているが、一方で3線式や改軌、FGTといった技術革新もあるので…との返答。質問者が森氏に問わなかったので中途半端にはなりましたが、何故浜松案がJR-C在来線や遠鉄・天浜線とあえて別の軌間を選択するのかはやはり疑問です。勿論通路幅や着席スペースの問題はありますが、まさしくMOMOがそれをクリアしているわけですし。
 「ドライバーには50〜65歳を積極採用し、人件費の縮減とシルバー人材の有効活用を図る」との浜松案に対して、利用者の愛着と持続を考えれば若い世代の活用も必要なのではとの地元参加者の問いに対しては、森氏がメンテ部門等では若年層の採用も十分あるし、熟年世代の就職状況の厳しさからも雇用確保はポイントになる。もっともこれはあくまでも案でして…との返答。すかさず黒川氏が「熟年世代もそうですが、若年世代の就職状況こそ日本の将来に関する重要な問題ですよ」と質問者を応援する一幕もありました。

 一方、東京からの参加者が構想案のルート取りについてより詳しい選定理由をとしたのに対しては森氏鋭く反応、「説明時にもお話した通り…」と、特に先行7路線はまさに浜松のほとんどの道という道を自ら走ったという実地調査に基づき採算性有望なところを挙げた旨の説明がなされましたが、長くなりそうと思ったのか黒川氏が「時間が…」と制してましたね。
 最後にフォーラムの役割、特に政治や行政との関係性構築についての質問には裏に控えていた内田代表が現れて「まさか私が当たるとも思わず少々ウトウトしておりました…」と云いつつ(ん、これはちと拙いのデハ?)、フォーラムとしては17年前から活動し各種イベント等を手掛けてきた事、規模としては最大180名ほどが所属していた事もあったが新陳代謝が進んで現在ではコアメンバーは30名ほどながら今日も緑ジャンパーでお手伝いしてくれる方々の存在もあること、政治や行政との関係性としては、市民団体としての各種情報提供という役割を通して構築している、ただしさすがにRACDAのように国交省と渡り合うまでは…と桂氏を持ち上げつつ、LRT構想につながった理由としてはやはり欧州の状況、まさにストラスブールの素晴らしさを目の当たりにしたことで、翻って浜松を見たときに、特に中心市街地の退潮という現状や地域の合併という転換点を踏まえて提示に至った。その意味でも今日黒川氏とは初対面ながらまさに「凄い方とお知り合いになれたのでこれからも是非…」という旨の回答がありました。

●個人的には引き締まった大団円

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 ここでほぼ所定時間となり、最後に黒川氏が発言されました。まず日本全体の状況として、これまでの自動車依存の郊外拡散の限界から都心回帰傾向が散見されるようになってきた事を踏まえ、都心をどのように再生するのかが現在の課題であり、特に交通政策としては交通結節点を軸とした徒歩圏がひとつのポイントであり、またその結節点との交通モードとしてLRTが注目されている事を受け、まもなく発表される答申案(すみません、何の答申かがメモ漏れました…)で「LRTについては“特に”緊急整備対象…」としている(なお、LRT限定とする“特に”の認識でクレームがついている由)との紹介がなされる一方で、現実問題としてはやはり採算性や自動車交通との関係性から政策レベルでの積極展開には厳しい状況にあるとの認識が示されました。

 そして今日のパネルディスカッションでは、質疑応答含め参加者全員が“供給者側の認識下”での発言であり、根本としてLRT導入云々の際に求められる「本当に利用するのか」、利用者としての見解がなかったのではと投げかけ、以前宇都宮でのまちづくりに関連するイベントで「やるのかできるのか」を問い、さらに前橋でのイベントでも「やるか前橋、できるか前橋」として挑発的なタイトルを掲げることでそこまで云われて…という反応が実際に市民から出ていることを挙げつつ、そのココロは必要だからこそ「自分たちがやらなければ」という認識が肝要であるとしました。さらに市民合意形成の妙案として「口コミに勝るものなし」として、それはまさに今日にでもできることであり、こと浜松ではこのような構想案という土壌もあることから是非参加者からも進めて欲しいとの締めにて散会と相成ったのでした。

 桂氏の“大風呂敷”ではないですが、正直見掛けは素晴らしい構想案、特に「2010年実現」という魅惑的な文字が並ぶ割にはさて細部は…という認識が深まっていただけに、最後の黒川発言はまさに重みのあるものとして当方は受け止めました。

☆黒川教授発言要旨につきまして、パネリストのお一人である斎藤桂様(RACDA副会長)より補足を頂きました。

 管理人様が黒川教授のまとめについて書かれておりました。とてもいい内容でございましたので要点を書きます。

 国は21世紀の都市ビジョンを書くのに郊外と都心をどちらを活かすかというと、郊外から都心を取るように折り返してきている。
 それには都市の交通結節点(バス・電車)を核にして徒歩で移動できる。公共交通をできるだけ利用しやすくする施策を、特にLRTについては都心の代表的な交通手段として緊急に整備する方策を考えるとある。

 ヨーロッパの街でLRTやトランジットモールがあるのは導入まで血のにじむような努力があった。多くの首長がLRTを政策に訴え住民に審を問うたけれど、多くの候補者は落選した。このようにLRT導入は政策として厳しいものがある。理由は総論では賛成だが各論では反対だから。
 欧米でなぜ出来ているかというと自分達が払った税金がちゃんと使われているか監視の目が届いているからで、日本ではその透明なシステムがない。日本の政治が邪魔をしている。

 今回のシンポジウムでは導入したい側の討論ばかりで、本当は市民に本当に使いますかを問わないといけない。自分は車に乗りますけれど、免許を持たない学生・子供・高齢者は必要ね。でもアタシは乗らないわ。ではこの計画は実現不可能であって、こういう風になったらアタシも乗るわというような議論に持っていかないといけない。
 時速が車よりはるかに遅い電車に市民が乗るような踏み込んだ建設的な意見が必要であるということだ。
 特別な運動より、環境問題やごみ問題に取り組むNPOたちとのコラボレーションのなかで交通の問題も『根本は同じ』という運動が口コミで展開することが一番の効果だ。

※下線部は551planning注記

 散会後はちょっとあっさり目の退場となる中で、資料に織り込まれていたピンク色のアンケートが入口で回収されました。当方は以前高岡での帰路たまたま御一緒した方にお声を掛けて頂き、しばし意見交換。今日は気賀から路線バスで来られた由、空いていたそうです。「合併ありきですかね…」という印象は当方も8月来訪時以来感じていた事※でもありました。尤も当方も帰りの新幹線の時間もあったので、また駅頭までの同道とあわただしい御挨拶になったのは勿体無かったです。
 さてホームに上がろうかのところでこんどはRACDA斎藤副会長に遭遇。斎藤様から「MOMOショップに来てくれた方ですよね〜」と声を掛けて頂きまして、正直覚えて頂いていたかと驚きました。ちなみに斎藤様には2回お会いしており、今回も御挨拶を…と思っていたところタイミングを逸していたので、ここで御挨拶できたのはラッキーでした。不躾な質問の非礼を詫びつつ所感を訪ねると、やはり「ある程度運営体が認識にないと」とのこと。こちらもちょこっとお話をしただけでタイムアップとなってしまいました。いつかに岡山再訪の旨をお伝えしてお別れ致しました。

政令市化と交通計画 ../../neotrans/log361.html#12
岡山MOMOオフ会備忘記 ../../neotrans/log340.html#3

 改めて駅構内を眺めるとかなりの活気があり、また新幹線ホームでもかなりの乗降を見て取れました。それでも中心市街地の減退化が現実なわけで、これをどのように持続させてゆくのかはやはり大きな課題であろうと感じます。その中での「LRTに賭けること」がどのようになるのか…今秋現地として触れた高岡・浜松は勿論、日本全国での今後の動向について、客観的個人的な立場ではありますが【検証:】という空間としてより注目してゆきたいと感じるとともに、一方でプロジェクトを立ち上げ推進するのはあくまでも地元の方ありきの話である認識の上で、イベント参加者として各団体に対してはその成果の積極的なディスクローズを強く期待するものであり、高岡や福井で速報されているのを頼もしく感じるところです。浜松も是非…。


〔補〕新聞はこう伝えた●

 フォーラムでシンポジウム開催速報が出ました。仔細は纏まり次第報告予定ということですので大いに期待したいと思います。
 参加者は県内外から約260名に上った由、後援の静岡・中日両新聞に加え朝日新聞でも翌朝刊に記事が掲載されたそうです。静岡新聞記事に書かれたように、今後は市民の合意形成が新交通システム導入の成否を決める重要な鍵として、「LRT導入を支援する市民の会会員募集」と「意見広告掲載」に焦点を絞って活動してゆくとされています。

浜松都市環境フォーラム http://www.alcclub.net/lake-hamana/

***
 ここで上記にある通り、3紙で紹介された記事をweb上にある部分について、web上からの消去対応を含めさまざまな角度からの検証に資するべく、あえて全文転載します。なお、責任は管理者である551planningが負うものである旨、予め御理解御了承の程。

●超低床型路面電車の導入 市民合意が課題 浜松で討論(12/08静岡)

 浜松市を中心に燃料電池式の超低床型路面電車(LRT)を導入する「浜名湖百年計画」を提案している市民団体「浜松都市環境フォーラム」(内田宏康代表)は7日、JR浜松駅前のフォルテで、公開討論会「広域都市交通を考えるシンポジウム」(静岡新聞社・静岡放送後援)を開いた。官民代表のパネル討論を通し、市民の合意などLRT導入の課題に理解を深めた。

 来賓の北脇保之市長はあいさつで、周辺11市町村との合併が実現すると全国最大の面積になることに触れ「LRTは新市の交通システムの検討材料の一つ」として、市民の議論の高まりや積極的な提案を期待した。同フォーラムLRT研究部会の森信勝部会長は、JR浜松駅を中心に7路線44.9キロを一次計画とする構想を披露した。
 パネル討論では、道路を使う路面電車の特質から市民合意の難しさを指摘する意見が相次いだ。岡山市の路面電車計画にかかわる市民グループの斎藤桂さんは「実現が近づくほど、自動車利用者や沿線商店街が反対する」と現状を訴えた。路面電車を運行する広島電鉄の中尾正俊常務も合意形成が難題とし「バスとの役割分担など、行政がビジョンを示すことが大切」と述べた。

 浜松市交通政策課の大塚幸作課長も「最大の壁は道路利用に対する理解。特に警察サイドを説得するには、市民の要望しかない」とした。浜松大の斎藤粛教授は、市民の交通移動を数量分析する独自の研究や燃料電池車開発の現状を示した。

http://www.shizushin.com/newshama/hama_2003120801.html

●合併後に新型路面電車を 市民団体がアクトでシンポ(12/08中日)

 浜松市など天竜川・浜名湖地域の十二市町村が合併した場合の広域都市交通に、新型の路面電車(LRT)の導入を提案している市民団体「浜松都市環境フォーラム」(内田宏康代表)が7日、JR浜松駅前のフォルテで「広域都市交通を考えるシンポジウム」(中日新聞東海本社後援)を開き、LRT構想を市民向けに紹介した。

 同団体は天竜川・浜名湖都市圏で世界初の燃料電池式LRTを導入し、総延長約131キロの路線計画のうち、一部を2010年に実現させたい考え。LRTの主要駅には駐車場や駐輪場を確保し、パーク&ライドを可能にしたいとしている。内田代表らは、年内に「新交通システム提案書」にまとめ、同地域の合併協議会に提案する予定。

 シンポジウムでは、同団体のLRT研究部会長の森信勝さんが、構想概要を説明した後、広島電鉄常務取締役の中尾正俊氏らをパネリストに招き「LRTとパーク&ライドによる新交通システムの導入」をテーマにパネルディスカッションをした。

 来賓として訪れた北脇浜松市長は、LRTの欧州の成功例に触れ「成功が、そのまま天竜川・浜名湖地域に当てはまるというわけではない。建設費や採算性などの問題もあり、十分検討しなければならない」と慎重な姿勢を示したうえで、「市民が自発的に研究、提案されるのは意義深い。研究成果を真摯(しんし)に受け止め、市政運営の中で最善の選択をしていきたい」と語った。

http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/topics/20031208.htm

●新交通システム路面電車導入案 浜松でシンポ(12/08朝日)

 浜松市周辺地域の新交通システムを考えるシンポジウムが7日、市内で開かれた。燃料電池式の車両を走らせる「LRT(ライト・レール・トランジット)」と呼ばれる路面電車の導入案が市民に紹介された。

 シンポジウムを主催した町づくり市民団体「浜松都市環境フォーラム」(内田宏康代表)は、欧州などで見られるLRTを、浜松市など12市町村が合併した後の新市で導入してはどうか、と提案した。LRTは水素と酸素の電気反応による燃料電池だけで動くため、二酸化炭素などを排出しない。架線をひかず車道にレールを敷くだけなので町の美観を損ねない。1キロあたりの事業費は約20億円と地下鉄の15分の1、モノレールの5分の1で済むという。

 同フォーラムLRT研究部会長の森信勝さんは、浜松市周辺に16路線、営業距離計131キロの敷設案を提示。そのうち浜松市の三方原や佐鳴湖方面の7路線、計約45キロを第一次計画として2010年を目標に敷設してはどうかと説明した。

 来賓としてあいさつした北脇保之市長は「採算面などこの地域にあてはまるかどうか、十分な検討が必要だ」と語った。

http://mytown.asahi.com/shizuoka/news02.asp?kiji=10020

再構・浜松LRT計画(新版…シンポジウムでの全容発表を受けて)../../citydesign/special205-3.html


浜松フォーラムに出席して
 投稿者---桂氏(2003/12/18 11:31:15)

 管理人様
 こんにちは RACDAの桂です。浜松では駅で失礼しました。
 あのあと慌ててホームに上がり、来た新幹線に飛び乗ったら1本前のこだまに間違えて乗りまして名古屋からののぞみの接続に間に合わず、次発ののぞみで大阪まで立ち通しという間抜けな帰り道でございました。

 浜松の感想で“大風呂敷”と言ったのはRACDAもJR線乗り入れ案を含んだ1400億円ものプランを出したときに、あちこちから“大風呂敷”と言われました。JR線などは荒唐無稽のように言われましたね。でも外部環境の変化や国の考え方が、ここ数年でずいぶんLRTに関しては後押しをしてくれている環境になってきていると感じています。ひとつは環境問題からくるTDMの推進ですね。また道路構造令の改正にしても道路の使い方について180度の転換です。しかしながら市町村にまではなかなかそういう考えが降りて来ない。だって今までは補助金とシゴトが手に手をとって降りてきていたのですから。

 浜松だって、いくらバスが進んでいると言ったって弱いところがあるはずです。バスでいいじゃないかというようなことは岡山でも言われましたね。だから、今徹底的にバスの調査をしています。LRTの推進をしているRACDAがバスばっかりするのは正直空しいものもありました。RACDAは電車が出来ないからバスをやりだした。とかバスマップを出したら出したで、何も実現しないから存在を忘れられないようにいろいろやっているとか、でもバスに少し頭を突っ込んでわかりましたね。全方向にLRTを敷設するのは不可能、それにはバスを繋げなくてはならない。なぜ公共交通から離れるか?便利じゃないから。それならば使う側に立って便利なように便利なように構築していくことが、遠回りのようで近道であるということが分かってきたのです。私どものアクション5は10年のお約束ですが、案外早く実現するかもしれない。浜松の場合もとても広範囲に路線が延びて夢のあるプランですが夢を紡いで行くことが大変です。まず、最初の1本の路線を描くことが大事だと思います。

 それから、LRTは複数の主体が関わるPJですから、関係主体が出来るだけ適切な形で参加して研究を重ねていくことが大事だと思います。時間がかかるのはやむを得ないのです。
 むしろこの時間の経過を楽しむぐらいの方がいいですね。悲壮な気持ちで市民活動なんてする必要はないと思います。LRTを考える街もずいぶん増えてきました。街によっていろいろ向き不向きはあるかとおもいますが、情報もずいぶん増えてきたように思います。
 また、WEB上でも情報交換が出来るようになってきています。私たちもネットワークにずいぶん助けられております。

夢を紡いで行くために…
 投稿者---551planning(2003/12/18 23:02:04)

 なんとまぁ岡会長に次いで斎藤副会長を弊BBSにお迎えすることが出来、RACDA会員でもない一介のサイト管理者としては晴れがましい気持ちでおります…非礼を承知で云えば、どうかこの場では「桂様」であり「ゆうなぎ鉄道様」でお付き合い賜れればと存じます。

 さて早速本題へ。

 でも外部環境の変化や国の考え方が、ここ数年でずいぶんLRTに関しては後押しをしてくれている環境になってきていると感じています。ひとつは環境問題からくるTDMの推進ですね。また道路構造令の改正にしても道路の使い方について180度の転換です。しかしながら市町村にまではなかなかそういう考えが降りて来ない。だって今までは補助金とシゴトが手に手をとって降りてきていたのですから。

 長いスパンで見ると、大昔鉄道、最近AGT、そして今LRT…各種法制・支援体制整備の形態は違いましょうが、現在が決定的に違うのはいろいろなモードがほぼ自由にチョイス可能になったことでしょうか。それこそ数年前までは新規はモノレールないしAGTが前提だったのが、LRTは勿論GWBといった形態も十分視野に入ってきた。さらには御指摘にもありますが曲がりなりにも国土交通省が誕生したことで鉄道と道路の整備施策の融和が図られつつあるのが非常に大きいですね。ただ趣味的な認知が進む一方で地方自治体の理解が追いついていないこと、そしてまさに現在の“ニッポン社会”の行き詰まり感が知らず行政サイドを及び腰にさせているということがありましょう。
 それゆえ市民の手による諸活動、さらにはサポート組織の存在は意義深く、継続性という観点からも重要と考えます。何故なら交通問題に留まらず、地域社会のあり方についてはスタートもゴールも市民の介在無くして成立しないからです。その意味において【検証:】の立場というのはリスペクトしつつ個々では是々非々でありたいと思っております。RACDAだから良くて浜松だから、また既存の軌道線のあるなし、LRTだからそうでないから…などと前提条件を置いてドウコウ、というスタンスではありません。ゆえに幅広くお話を聞かせて貰いたいものと思っております。そういう意味では岡山でもお話を聞かせて頂いて今があるのですが、偶然というか必然というか、“縁”の不思議を思わずに居られません…。

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 浜松の場合もとても広範囲に路線が延びて夢のあるプランですが夢を紡いで行くことが大変です。まず、最初の1本の路線を描くことが大事だと思います。

 個人的には末端のバス・タクシーや自転車を含めたグランドデザインという意味で“大風呂敷”でも構わないと思います。ある種のインパクトを持った提示ということも必要だったかなとも思っています。
 そういう意味でどのように”中風呂敷”化してゆくのかが気になっているのです。更に付言すれば環境なり自動車を悪と捉える前提からの見方は比較的容易ですが、実際にコトを進めるにあたって先の黒川教授の発言ではないですが、一“移動”者としての動きをどのように把握してLRTなりの路線(利用)に置き換えてゆくかがまさに難題になってこようかと。

 それから、LRTは複数の主体が関わるPJですから、関係主体が出来るだけ適切な形で参加して研究を重ねていくことが大事だと思います。時間がかかるのはやむを得ないのです。
 むしろこの時間の経過を楽しむぐらいの方がいいですね。悲壮な気持ちで市民活動なんてする必要はないと思います。

 ACTION5の理念にも随分とバスの要素が組み込まれていますね。『遠回りのようで近道』とも仰られていますが、両者は決して相反するものではないと。先ずこの前提理解で早くも近道を進めることが出来ます…浜松でもバス路線の再構築が謳われているところ、岡山では8つもの事業者が入り乱れるところ、浜松では1社、しかも事業者としては施策が全国的に知られるところであることをどう捉えるかも肝要と感じています。それは必ずしも既存事業者寄りにコトを進めるべきという意味ではなく、運賃面や運営面で実際の利用者の利便向上につながるがゆえです。そういう意味では「適切な関係」の構築による今後の展開を大いに期待したいですね。

***
 改めて、『夢を紡いで行くこと』『時間の経過を楽しむ』という言葉の重さを噛みしめつつ、全国各地での公共交通のあり方を見つめ直す動向を幅広い視野から気に掛けてゆきたいと思いました。
 そして浜松についても更に考えたいと思います。特にフォーラムの方々には以前送付の質問含め弊BBSで展開中の議論に御返答を強く期待するとともに、より多くの方からの御意見を頂きつつ、閉塞した“ニッポン社会”をも見据えたさまざまな方策を交通という分野を通して考えてゆければ、と考えます。

〔浜松都市環境フォーラム〕天竜川・浜名湖合併協議会提出の御報告
 投稿者---中村光宏氏(2004/02/16 17:11:50) http://www.alcclub.net/~lake-hamana/

 こんにちは、中村です。ご無沙汰しておりました、お久しぶりでございます。動きがございましたのでお伝えいたします。

 まず、先日私どもの団体「浜松都市環境フォーラム」は天竜川・浜名湖合併協議会に「新交通システム導入に関する提言書」を提出いたしました。
 去る2月6日(金曜日)、天竜川・浜名湖地域合併協議会会長(北脇保之浜松市長)宛てに「新交通システム導入に関する提言書」を提出して参りました。これにより、導入されるかどうかは政治の舞台に移ることになりました。今後は、幅広く市民に賛同を呼びかけ、世論を高めていきたいと思います。
 また、世論の高まりとしましても浜北市の市議団が岡山市を視察するなどだんだん高まってきた感がございます。
 そして、浜松市・浜北市両市が、新市建設計画に「新交通システム構想調査事業」を提案しました。私どもにとって大きな前進ですが、調査事業では意味がありません。
 今後もさらに活動を推進して「新交通システム推進事業」に格上げされるように強く働きかけていきたいと考えております。

 次に、「LRT導入を支援する市民の会」についてでございます。
 これからは、世論づくりが最大の課題です。いくら立派な提言書ができても、世論の後押しがなければ、実現は困難です。そこで、「LRT導入を支援する市民の会」の募集にも今まで以上に力を入れてまいります。会員1万人が目標です。こちらもがんばって参ります。
 またその関連で4月4日(日)には浜松まちづくりセンターにてこの「LRT導入を支援する市民の会」の総会を開催いたします。

 また、私どもの提案が中日新聞静岡版の第1面に掲載されました。
 提言書提出に先立ち、中日新聞が事前報道として提出前日(5日)の静岡版朝刊の第1面に関連記事を掲載。市民活動が新聞の第1面に掲載されるのは異例のことでございます。また、提出後の翌日(7日)の朝刊は県内版のトップで掲載されました。お陰様で大きな反響がございました。

 次に、LRT立体模型の制作が進行中です。5月下旬に開催される「トランセット2004」国際会議に展示する新交通システムLRTの立体模型は現在、私の学校、浜松興誠高校鉄道研究部において制作が進められています。国際会議終了後は、この模型を使ったイベントを各地で開催してPR活動を進めて参る計画でございます。

 そして最後にお礼でございます。私どもがここまで参れましたのも、LRT公開講座をはじめ、LRT導入シンポジウム、2年に亘りまして毎月2〜3回ペースで開催して参りましたLRT研究部会にご参加いただいた皆様、そして何よりもいろいろな形で陰ながら御支援・御応援をして頂いたり、そして時にはまた叱咤激励したりしていただきました皆様ののお陰でございます。皆様にこの場をお借りいたしまして深く感謝の意を示させていただきます。誠にありがとうございました。

 また、御質問頂きました件につきましても今後私からあくまで私見という形でございますがお答えさせていただくという方向で考えております。しばしお時間を頂ければと思います。

 以上の件手短ながら、お伝えいたしました。疑問点等ございましたらて何なりと私、中村までお伝えいただければ幸いです。それでは失礼いたします。

2005.06.03 Update

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