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ハイグレードバス停

【検証:近未来交通地図】
特別リポートNo.045

浜名湖周遊記
(2003/08/23)

下記内容は予告なしに変更することが
ありますので、予め御了承下さい。
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新浜松駅

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 『浜松にLRT計画』のスレッドで中村スマイリー@光宏様より、8/23に浜松で都市環境フォーラムの集会があると御紹介頂いた事から、かねがね浜松の街を見てみたかったことと手許の18きっぷも丁度余っていたことから、行って参りました。ちなみに当方のほかにも【検証:】の常連様が参加されたのですが、まずは当方個人の私見までに感想を…。
 前述の通り、浜松で降りて何かをするという経験が全くなかったものから、集会参加の前にピンポイントではありますが見て歩いてきましたのでその報告から。

浜松にLRT計画../../neotrans/log360.html#3

天浜線散歩

 まずは浜松を通り越して炎天下の新所原で下車、天竜浜名湖鉄道に乗ります。待合室のうなぎ弁当に惹かれつつもさすがの暑さに到着したての折返列車に涼を求めます。たまたまイベント兼用の「宝くじ号」転クロ車を引き当てました。1両ではありますが観光客や地元用務客を程良く乗せて、学生の立客を出しての発車となりました。暫く走って見えてきた浜名湖は強い日差しに輝いています。新所原駅前の観光案内板には「海水浴場」も点在しているようで、一泳ぎしたくなるような気分ですが、まさか8月終盤ではじめてそんな事を思うようになるとは思いませんでしたね…。
 浜名湖の最奥点となる三ケ日で結構な入れ替わり。丁度浜名湖と分かれた猪鼻湖という手頃な広さの湖に面しているため、かんぽの宿やホテルなどが集まるリゾート地区としての整備が進んでいるようです。立客こそなくなりましたがまだ結構な乗りです。東名高速やR362と絡み合いながら東進してゆきます。浜名湖と分かれる気賀で若干の入れ替わり。対向する列車も新造車、正直云えば広域中心である浜松を迂回し、沿線どころか両端も強い拠点性がない中でまぁ良くやっているなという感想を抱くのですが、軌道もしっかり手が入っている様子、赤字基調ではあるものの輸送人員も過度な減少にはなっていない(1987年度198.3万人→2002年度194.5万人、ただし一時期は220万人超の期も)ことからして、地元の支援に基づく努力を見る思いがしました。
 見事に乗り変わった西鹿島を通り越して天竜二俣へ。よく云われる遠州鉄道との直通化というところですが、ロケーション的には天竜川とトンネルに阻まれたという感じ、さて天竜市の中心である二俣の街の求心力やいかにということで降り立ってみました。天竜二俣の駅構内はトロッコ列車が休憩中、ミニトロッコもありました。外れには20系客車とキハ20が繋がれて放置…(シートをかぶってました)、駅を出ると正面にはC58が保存展示されているなど、やりようによっては鉄道公園チックなこともできそう?検索すると給水棟や転車台など蒸気時代の遺構も一部現役で使われているそうです。

天竜二俣駅で並ぶ天浜線主力車両
天竜二俣駅で並ぶ天浜線主力車両
西鹿島駅はバスとの結節点として機能
西鹿島駅はバスとの結節点として機能

 二俣川を渡り市街地へ。ハッピを着た人が多いということは…丁度夏祭りでした。中心と思しきクローバー通り商店街が車両通行止めとなり、丁度山車が練り歩いてくるところでしたが、さすがの暑さに引き手もダルそう…ギャラリーもそう多くなく、夜店が開店準備中とあってはまだ序の口なのでしょう。ただ街中を見ても「商店街」と呼ぶにはほんとに活気があるのかな?と訝しく思いつつ、時間の都合上早々に辞します。ちなみにあとで調べたところ、二俣諏訪神社祭礼(二俣祭り)として、14台の屋台が駆けめぐる勇壮な祭りとして結構知られているとか。
 商店街から住宅街を奥に入った二俣本町という、どこぞの海辺に似たような名前があったなと思う駅へ。名前通りこの駅が二俣市街への玄関口なのでしょうが、こちらもいまいち冴えないと云うか…道路の交通量もそこそこというところ、磐田へ抜けるバス路線の本数の微妙な多さに流動が読み切れない所もありましたが、云い返れば盆地の小都市ゆえの閉鎖性、さらには必ずしも浜松依存ではない流動の存在を感じた気もします。これもあとで知ったことですが、かの家康長男松平信康終焉の地でしたか…ロマンを感じる前にまさに「歴史に秘められた」場所という感覚を受けました。
 再び天竜川を渡って西鹿島へ。先程もそうでしたが見事に乗り変わります。という事で当然出てくる天竜二俣直通案なのですが、下記サイトでも可能性は十分ありだとの結論になっていますが、造りとしては天竜川とトンネルのパス次第では結構お手頃なのかなとも思いつつ、さてではその効果の程はと問われると、個人的には難しいものも感じました…というのも、西鹿島のそう広くない駅前広場ながら、昨年秋にJR東海バスから路線移管が行われた事とあいまって、遠鉄バスとの結節点としての機能が垣間見れたということもその要因のひとつに挙げておきます。それにしても水窪まで630円ですか…上限運賃極まれり?再訪を誓います。

日本財団 図書館 鉄道乗り入れに伴う社会的経済的効果に関する調査研究(地方自治研究機構 1998)
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1998/00342/mokuji.htm

 さてここから遠鉄、2000系インバーター車で南へ向かいます。それにしてもオープン貫通路ながら2連で律儀に弱冷車を分けている意味は…?広く知られる12分ヘッドですが、16時過ぎの西鹿島段階で各車両10名オーダーの乗り、以後拠点と思しき浜北含め、1箇所でどばーっとという感じではなく、各駅でしっかり乗りがあってじわじわ混んでくる感じです。各駅には駐輪場が整備されていて中には2階建駐輪場も。勿論結構停められていました。てっきりワンマンかなと思い込んでいたのですが、車掌が適宜車内をきびきびと動く姿は好感が持てます。
 東名高速を潜った先の自動車学校前で一旦降り、以前ハイウェイバス乗車時に気になっていた東名浜松北バス停を訪ねます。交通量の多い県道を越え東名寄りに入ってゆくと、「東名バス 名古屋方面のりば」という看板があり、従って築堤沿いに進めば階段がありました。階段を上れば直ぐにバス停ホーム。次のバスは15分ほど後ながら、既に見送り含め5人ほどが所在無げにいらっしゃいました。うち一人の女性はスーツケースを抱えていましたから、名古屋から海外にでも飛び立つのでしょうか…。それにしても高速道路のバス停は殺風景、PC・携帯で位置情報発信中はいいですが、それでなくても運行状況のフォローが欲しいところです。
 駅に戻ると、横のビルにカンタンな待合所がある程度の簡素な造りながら、清潔感とまでは行かないでも安心感はあります。何よりもLEDで情報が流されているのがいいですね。ニュースが流れていましたが、運行支障時には何らかの案内がなされるのかな?

自然に停められた自転車浜松北バス停
自然に停められた自転車は、それを意図したかのようなスペースともども何を物語る…?

浜松市街観察

 再び遠鉄で新浜松に向かいます。自動車学校前の時点でそこそこ立客が出ている状況、沿線も高層マンションこそなけれど、大都市近郊の沿線風景と何ら変わることない感じ。真新しい建売住宅も見られることから、人口流動の活発さも伺えましたが、さて。アクトシティの威容が大きくなって高架に駆け上がれば、駅北の区画整理地域を横目に新浜松着。大勢の人並みに押されるように階段を下ります。と、遠鉄車両を写真に収めていなかったので一旦ホームに戻りましたが、既に折返列車の車内は座席が埋まって立客も多く見られる状況、17時前とはいえなかなかの乗りでしょう。

折り返し電車内新浜松駅前

 さて、駅前の円形BTに移動、館山寺温泉方面行きのバスに乗って市の郊外を目指します。丸文字の「オムニバス」標記は如何と思いつつも、ノンステ車の多さには驚かされますね。まぁ初期の導入という事もあり、車内空間的に良し悪しなのですが。繁華街…と思しき一角を抜け、浜松市役所の横から坂を駆け上がり、文教地区を抜けてゆきますが、丁度尾根伝いになる様子も良く判りました。それにしてもアイドリングストップ中に音楽が流れる嗜好も面白いですね。確かに普通は「変な静寂感」に包まれるものではあります。県道48号館山寺街道の細道を潜り抜ければ佐鳴湖北部の富塚、その先の弥生橋で降ります。
 遠鉄サイトで一番近そうな自転車駐輪場併設のバス停と見て向かったのですが、そのほかのバス停でもある若葉色の大きな待合室を中心に駐輪場が配置され、待合所には「ハイグレードバス停」の文字もありました。残念ながらクーラー付とまでは行きませんでしたが、バスロケ表示機やLED案内板がしっかり設置されていました。それ以前に本数が多いこともあって結構な頻度でバスがやってくる事も停留所の拠点性のポイントのひとつでしょう。

ハイグレードバス停バスロケ

 同じ路線で戻ることになりましたが、行き交うバスの多さを見るに、この時間各便とも浜松駅発は立客も出る乗り、市街地での乗降は目立ちませんでしたが、平均乗車距離の長さは伺えました。駅行きの路線も席が程好く埋まる乗りで、流動自体は結構活発さが伺えたのですが…。あと、路線の集中する区間もありますが、同方向でも適宜ルートが変えていて、バスを巧く使った面的な需給カバーの裏返しかなとも思われました。
 浜松市役所で下車、坂を下って繁華街へと歩いて向かいます。R152にはカラー舗装された朝夕ラッシュ時のバス専用レーンが設けられているのを実見、土曜の夕刻ですが交通量は多く機能している様を見ました…それにしても人通りが少ない!官庁街だからかと抜けていった先、デザイン舗装された肴町通りもガラガラ、コミュニティバス「くるる」まちなか西ループが通る老舗通りを経た有楽街でようやく活気といえるほどの人通りに合流しましたが、それでも…尤も道の両側はカッコ良く言えば「メジャー系」居酒屋やファーストフード店を多く目にする程度で、映画館と上新電機くらいしか目的地がないという感じです。そして目の前にはザザシティと松菱「跡」。このあと駅方面に向かうと遠鉄百貨店を中心として流動が多く目立ったことからも、そぞろ歩きに適当な直結ルートがないこと、まさに遠鉄の高架が駅方面と鍛冶町肴町といった繁華街を隔てる高い壁にも感じられたのでした…。

道路の広さも印象的、ただ広域的機能の程は?
道路の広さも印象的、ただ広域的機能の程は?松菱「跡」とはいえ、結構綺麗な建物なのが逆に印象に残ります
松菱「跡」とはいえ、結構綺麗な建物なのが逆に印象に残ります

 この時点ではや18時過ぎ。浜松駅メイワンのドトールで小休止の後、指定の「浜松まちづくりセンター」を目指します。バリアフリー改修中のBTの下を抜けて名鉄ホテルから広小路を目指しますが、はや名鉄ホテルで人影が途切れるのは驚きました。地区が再開発途上ではあるでしょうが、60万人都市にしては中心街の狭さ、偏りを実感します。
 「浜松まちづくりセンター」は昨年春にできた、市の都市整備課も入るビルで、2階に会議室があるほか、パソコン閲覧コーナーやフリースペースなどがあって、学生の勉強スペースとして使われているようでしたが、いわゆる地域のコミュニティ会館にしては随分と都心部にあるなという印象も受けましたが、特に複数の団体の活動が展示物で示されていることなど活発な様子が強く伺われ、広域的市民運動活動拠点として機能しているなかなかの施設だと思いました。

浜松まちづくりセンター http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/lifeindex/partnership/city/hudc/

 実はこの時点で19時直前、しかし入口の催事案内を見ても、市職員と思しき担当職員窓口で聞いても、フォーラム開催予定は全く聞いていないとのことで少々焦ったのですが、暫くして代表の内田氏をはじめとするフォーラム参加者が三々五々到着、結果計8名+3でフリースペースの円卓を囲むざっくばらんな雰囲気で始められたのでした。

続・浜名湖周遊記(浜松都市圏縦覧編) 045.html#2


フォーラム参加

 事前に中村様には訪問の旨を伝えていたのですが、集会に先立ち改めて今回の訪問の趣旨を伝え、内田代表よりフォーラムの経緯と、そこからの提案である「浜名湖百年計画」に基づく新交通システム導入に関連して昨年12月から11回に渡る公開講座を実施、LRTに関する基本的な勉強を行ったうえで、すでにLRT導入へ向けた実践的な市民運動・計画作りに入っていること、今日はその実質的な初回の集まりであるという説明を受けました。
 ここで県の鉄道史をつぶさに調査されているという、遠鉄OBでもある森様が地図を広げ、自ら引いたというLRT導入計画(1期路線)について説明。ここで驚いたのが、Webでも出ている百年計画云々のところはあくまでも1期計画(30数キロ)で、その後2期、3期で総延長100キロを目指している由。地図には停留所や車庫と思しき線まで細かに書き込まれていました。ともかく軌道に乗せるために1期線は採算を重視し、沿線集客施設等を勘案して決定された由。もはや軌道敷設自体は各種補助制度によって原資確保という観点では難解という事はなく、むしろ現状においては運転士の確保・養成、営業運行までの試験習熟運転をどうすればいいのかというところにまで論点が向かっているとの言には、はっきり云って度肝を抜かされました。

 さて、具体的な方向性としては、12月に大規模なシンポ実施が決定しており、さらには直近にもある浜松市を中心とした「環浜名湖政令指定都市構想」へ向けた法定合併協議会設置の動きと連動した各種広報活動を進めてゆく事が会長より報告されました。ちなみに行政の連携について質問すると、「現職市長は理解している」とのことで、先の選挙(統一地方選で再選)時の公約でも<新交通システム導入の検討>が謳われたとか。「導入!って言ってしまえばいいのに」とのホンネもちらりと聞かれました。ただ、浜松市なり行政という単位での連携なりが行われているというところまでは、個人的には窺い知れなかったという感想を抱きました。
 たまたま話の流れで宇都宮はどうなんだ、というところになり、あそこは市と県であんまり合わないという旨の話が出ると、何なら自分が行って造らせようか!、という声が上るような和気藹々とした雰囲気で会は進んでいきました。
 このあとに、LRT云々とは別の視点、中心市街地活性化の方策を探るためになされたというレポート紹介がありました。遠鉄百貨店の駐車場利用動向を一人1日張り付いて調べたというもので、細かく駐車待ち渋滞発生の模様が描かれているほか、そこから環境への配慮、駐車料金の各地比較(浜松は高いそうで)、そして買い物客へのアピール度等が纏められたなかなかの労作と感じ入りました。結論としては「クルマの締め出しと公共交通利用促進を!」というところだったのですが、実際駐車料金比較で参加者からも「浜松は高いね」という言葉が漏れたことが何を示すのか、一見ではそれではわざわざ中心街まで行かないよとなるのか、それとも実は自動車流入の少なからずの抑止効果をも持っているのではないかとの見方もあながちずれているともいえなさそうで、ひとくちに「中心市街地活性化」といってもなかなか難しい気がします。ただ、参加者からも声が出ていたように継続的な調査の実施や、他方個人的には遠鉄のお買物乗車券や遠鉄百貨店のお帰りきっぷサービス等の取り組みとの兼ね合いが判ればより貴重な資料となると感じたのも事実です。

お買物乗車券 http://jikoku.entetsu.co.jp/okaimono.htm
お帰りきっぷサービス http://jikoku.entetsu.co.jp/okaeri.htm

 ここで当方らはタイムアップ、途中で離席するという形になってしまったのですが、フォーラムの皆様にはこの場を借りて改めまして飛び入り参加を快くお許し頂いた事に感謝致したいと存じます。

浜松都市環境フォーラム http://www.alcclub.net/lake-hamana/
環浜名湖政令指定都市構想 http://www.kan-hamanako.jp/

再構・浜松LRT計画 ../../citydesign/special205.html
浜名湖周遊記(シンポジウム参加) 045-2.html


続・浜名湖周遊記(浜松都市圏縦覧編)
 投稿者---551planning(2003/10/01 17:06:25)
─遠鉄バスから見た浜松

 別スレで触れていましたが、去る9月最初の週末に浜松を再訪しました。このときには【検証:】の常連様総勢6名で、半日と短い時間ではありましたがレンタカーで機動的に廻ることができました。中村様に是非ナビをとお願いしたのですが、御多忙とのことで実現しなかったのは残念でした(突然の依頼ということもありましたので…御無理を云いまして恐縮でした)が、余所者なりに?ポイントを絞りつつも多角的に見ることができたかなと思っております。改めて当方の行程を中心に纏めたいと存じます(適宜フォローをお願い致したく>参加各位)。

 当日の参加者は首都圏からはとも様・打越健太郎様・かまにし様と当方551planning、関西圏からエル・アルコン様とKAZ様で、それぞれ期限ぎりぎりの18きっぷ片手に早朝に出立、東組のうち2名が浜松駅でレンタカー手配、残り2名と西組が舞阪駅で合流して、まずはLRT計画で延長構想のある、『浜名湖の入り江の川があったりで実際の距離感&地域性の違いは相当な物』という、雄踏町の状況を実際に歩いてチェックに向かいます。
 当方はレンタカー手配組、旅のお供は駅レンでマツダボンゴフレンディに決定、川縦オフに次ぐとも様の軽やかなハンドル捌きで出発です。そうそう、手続き中に免許証は見事にスキャニングされ取り込まれていました…さすがゴールドながら、こうやってあちこちでパーソナルデータが溜め込まれていくんですね…。
 大柄の白いボンゴの助手席にお邪魔させて頂き、雄踏組と携帯で連絡を取り合うと、当初計画で雄踏組は路線バスで浜松入りの予定だったのですが、この段階で外は結構な暑さ、しかも雄踏の街はどうも単調なようなのでいっちょ出迎えにとなりました。JR-C浜松工場を横目に県道62号をバイパスから本筋に向かいますが、確かに交通流量はそこそこなものの、行き交うバスも本数もさほど(10〜20分間隔程?)で、乗りも大して…で、なんだかんだで雄踏町内に入るも市街は古い町並みが続くばかり、停滞感とまでは云わないものの、時代を感じさせるものがありました…それにしてもコンビニとかのランドマークがありません!KAZ様・打越様と合流するまで結構掛かりました。
 初志貫徹でエル・アルコン様とかまにし様は路線バスに乗られた由、再び元来た道を戻ります。昼前の混雑時直前という感じで何とかスムーズなまま浜松市街へ戻り、バスで到着したてのお2人をを鍛冶町ザザシティ前でピックアップ、さてというところでまずは浜松西南の可美地区へ。R257から南側、東海道線の高塚駅が近いとはいえ微妙な距離のあるところ、フォーラム案にある入野地区は旧道沿いには家が張り付いているものの、ジャスコのあるバイパス側はまだまだ開発余地たっぷり、裏を返せば人口の張り付きの無い地域でしたが、この可美地区はそれなりの人口の張り付き具合を感じられるところ、採算性云々ならこちらも捨てがたいというよりは先に来るのでは?という感じを実感しました。まぁ東海道線新駅&適切な公共交通サポートで十分という感じでしたが。
 で、このあとに入野のジャスコで小休止、ハコ的にはイオン級でもよさそうな大きさではありましたが、衣料系他が然程なのかもしれません。さすがエル・アルコン様は生鮮売場チェック、海沿いなのに海鮮が弱いと厳しい見立てです。そういえば東組の移動車中で、焼津−浜松圏の相互流動が数値であるという話が出たのを思い出しました。意外な中に、遠州灘という地域特性を思い浮かべます。

 そろそろ昼食をどうしましょうかという時間、まぁ走りながらということで再び雄踏手前に進んで、今度は県道65号浜松環状線を北上します…市街から7〜10キロほど外周を巡る道路、フォーラム案の第3次整備計画路線にも挙げられていますが、まぁ100万都市になったらね、という光景…アップダウンも多分にあり、浜松西ICが近いこともあって所々事業所が点在するも集落はほとんど無し…ただ湖東高校やその奥に団地もあることから浜松とのバス路線も横切っていることはありました。それにしてもこんな奥まで「オムニバス」(普通の大型路線バス車両)が直に入ってくるの…と驚きの声も。
 結局浜松西IC付近でもめぼしいロードサイド店が無かった事から、至近になる高丘地区を見る見ないという話から環状線を離れ東名沿いに中に入り込むと、イオン系のマックスバリューやユニクロなどが集まるロックタウンというセンターへ。駐車場はほぼ満車近くながら、出入りも多くストレスない感じが活気に拍車をかけていましたね。ここの和食レストランで昼食、さすが多くの方がうなぎを召し上がられました…。
 この時点で14時前後でしたか、再び車に戻って東名を潜って住宅街と物流団地が適度に交じり合う高丘地区から自衛隊浜松基地・ホンダの工場横を通り、ちょっとした商業集積のある小豆餅を横切ります。地域特性として既に多くの方から御指摘のあった三方ヶ原の台地形状を体感しながら東進、途中当方の半ば強引なリクエストで東名浜松北バス停の状況を見て頂きつつ、浜松IC手前の県道を北上、このあたりでは田畑と住宅地が入り混じり、都市圏郊外のスプロールを感じます。浜松北病院や河合楽器、ヤマハの工場などを横目に再び市街地となって浜北市街へ。
 浜北市役所を掠めて倉庫然のヤオハン、その北のユニー跡を見、建替え途中で仮設の浜北駅舎と駅前ロータリーを挟んでどんと聳える再開発ビルのなゆた・浜北のコントラストを楽しみつつ、ここで遠鉄試乗のかまにし様が先ず一時離脱。車は西進、すぐに田畑が広がりR152と交差、台地の上になる内野台住宅群を横目に南下、再び浜松環状線に戻って周囲の区画整理状況を実感しつつ坂道を加速して登ると、都田テクノに至る玄関でもある赤松坂からR257バイパスを南下します。浜松工高からはフォーラム案の機軸である三方原本線を伝いますが、東名交点南側で再び路線バス試乗をということでエル・アルコン様が離脱しました。
 残る車組は浜松基地を巡るようにしつつ、西山から県道48号に入って弥生が丘へ。過日フォーラム参加時に訪れた弥生橋駐輪場併設ハイグレードバス停を見学後、富塚から市街へ。浜松城址を北側から廻り込み田町から駅北側に出ればもうすぐレンタカーのタイムアップの17時直前、そのまま指定GS経由で南口にて降車と相成りました。その間離脱組から連絡が入り、遠鉄百貨店前で合流。それぞれ「くるる」2ルートを片方ずつに乗車されるなどお2人とも市内チェックも逃していません。

 ここからは駅周辺散歩。わかふじ国体直前とあって駅前ではブラバンの演奏会が催され華やいだ雰囲気になっていました。松菱跡から有楽街を通りビオラ田町を抜けるとさすがに人通りも減ります。東進して常盤町から遠州病院前駅を横目に複線化もという遠鉄高架軌道の造りをチェックしつつ、先日のフォーラム会場である浜松まちづくりセンターを訪ねます。ここでやったんですよーなどと紹介している間に、開架書庫から『どえらい発見』もなされたりと、一同興奮の声を上げて…館内は静粛に、でした。
 そうこうしているうちに時刻は18時を廻り、普通ならこれから…というところながら各人18きっぷの身では時間が残り少なくなり、中途半端な整備に留まるアクト通りの遊歩道を抜けてひっそりとすら感じられるアクトシティの地下からバスターミナルを経て賑わう駅へ…ブラバン然り、駅前回流の仕掛けが必要ではと感じ入りました。
 このあと東京に戻る打越様と分かれ、残る5人は車中でそれぞれの実見の情報交換をしつつ豊橋へ。夕闇に包まれた駅前ペデ直結軌道電停を見学の後、各人の帰路についたのでした…。
 個人的には駅南部、中田島砂丘に至るルートや駅東部・天竜川岸地区の状況も見たかっただけに、また機会あれば、という思いを強くするのでありました。

***
 「結論」とするにはまだ早く、かつ大仰過ぎるかもしれませんが、個人的には遠鉄バスなかなか良くやっているなと。特に10月改正で終バスの時刻延長もなされるとか…その一方で昨今は減便基調にあるそうだとか。これだけの環境にありながらやはりというかの厳しい状況が伺えます。
 その意味でもの道路状況ですが、駆け足で見た限りには道路交通の逼迫的状況を強く感じるというところには至りませんでした。ただし渋滞ポイントについて余所者でもすぐに感じられるところは複数目に付いたのも事実で、ここは小手先での対処(ポイント毎の流量円滑化等)でいいのか、環状線構想の推進、全通をめざすことが求められるのか解答に悩むところです。ただし、クルマが飽和ゆえのLRT網整備こそ最重要課題だ、とするのはやはり総計といわざるを得ないかなと。勿論フォーラム側も承知ゆえにP&R等の各種乗継促進提案を行っているわけですが、さて。

 それゆえに、フォーラムはじめ是非とも浜松の皆様に広く御意見を頂戴できれば幸いと考えます。

遠鉄バスから見た浜松
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/05 01:37:12) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 既に約1ヶ月前の話となり、ルポをここまでアップしなかったことは申し訳ないのですが、取り敢えず当時のことをいくつか述べます。

●舞阪駅→雄踏町

 来年の浜名湖園芸博の表玄関となるべく、北側に駅舎と駅前広場が建設中の舞阪駅に降り立ちました。昼前の時間帯、見てますと浜松行きに負けない乗客が新快速大垣行きに見受けられるようで、浜松直通快速の復活に代表される名古屋の求心力が見て取れます。
 もとからの南側の出口を出て、小さなアンダーパスを潜って北側に出ます。すると行き止まりのスペースに自転車が並び、駐輪場もあります。さらに民間の自転車預かり所が数軒ありますが、自治体経営の駐輪場ではなく、民間経営の駐輪所(しかも露天ではなく建屋内)が成立するのは、今まで見てきた中では自転車利用が相当太い場合に限られるようであり、地勢から見ても雄踏町から舞阪駅経由という流動が相当太いことが分かります。ただ、これが浜松を向いているのか、湖西、豊橋、名古屋を向いているのかという問題があります。

 少し歩くと東海道線をオーバーパスしてR1につながる道路に合流し、浜名湖につながる入江を渡る橋にかかります。交通量はそこそこで、自転車も見られます。10分強で雄踏町役場、そしてバイパスを越えて市街に入りますが、20系統のバス停が見当たりません。商店で聞くと市街地では西行きと東行きにルートが別れているようで、宇布見西が崎バス停にようやく辿り着きましたが、舞阪から市街地はざっくり徒歩15分程度、自転車で充分という距離でした。

●雄踏町→浜松

 ちょうどノンステップ車「オムニバス」が来るので、レンタカー組を待たずに乗車。
 バス停は電照式でないタイプなのにバスロケが付いており、接近時に点滅までするすぐれもの。携帯のバス情報アドレスや、近くのETカード(SFカード)販売所の表示、場所によってはパーク&サイクルライド駐輪場の案内など、バス停は必要な情報をきちんと盛り込んでいます。

 「オムニバス」の運行は決まっており、時刻表に掲出されていますが、半分近くという感じで比率が高いです。座席数は30席、うちノンステ部が10席で、ノンステ部は多いほうですが、通路が狭いです。またシートピッチもやや狭く、遠鉄バス特有の窓側と通路側の位置を少しずらして出入りしやすいようにした工夫が無くなっていました。あと、後部の行先表示が無いのは不親切です。
 停止時にアイドリングストップするのはよくある話ですが、静まり返り過ぎるのを嫌ってか、BGMが流れます。

 毎時5本の運行で、平日朝1本は入野からバイパス経由の急行便。フリークェンシーの確保については遠鉄バスのレベルは非常に高いです。
 宇布見西が崎では1人だった乗客ですが、浜松市に入った志都呂地区から乗車があり、入野着は9人。右折渋滞がときおりあり、またバスの後方に車列が出来ますが、すぐ解消するようで、バイパスやR257方面に逃げて県道62号をそのまま行くクルマは少ないようです。バイパスと旧道が合流する西伊場町付近ではクランク状に進むためしばし渋滞。このあたりから乗降入り乱れる状態で、単に浜松中心街へ向かうだけでないようです。商工会議所から4車線ですが、西伊場町まで拡幅工事中。結局かじ町で降りましたが35分の所要。乗客はMAX17人でしたが、目立ったのは入野以東、伊場町地区という感じで、お昼前のおでかけタイムですがあまり雄踏町との流動はないようです。

●三方原→浜松

 レンタカー組と合流しての子細は551さんのルポに譲りまして、今度は三方原エリアからのバスです。
 東名を越えた地点でクルマを降り、初生大橋から50系統に乗りました。

 すぐの萩丘地区で四つ池公園のグラウンドなどを経由してR152に抜ける系統と、R257バイパスを真っ直ぐ行く系統に別れており、R257経由が毎時5本、R152経由が毎時3本見当。R152経由は萩丘住宅経由と豊隆団地経由の2種類があります。
R257経由の50系統は浜松駅を越えて中ノ町まで直通。便によっては更に磐田まで行くようです。
 直前に見送ったグラウンド経由は5人程度。乗車した50系統は8人。結果から言うと駅までのMAXは興誠高校付近での11人でした。

 今度はワンステ。座席定員は「オムニバス」と同じ30名ですが、先述の食い違いシートがあり、シートピッチも広めで、「オムニバス」並みに詰めたらあと1列4人は稼げそうです。というか、従来車並みの座席定員という制約でああいう窮屈な車内になったのでしょうね。
 LED表示にスクロールで運転手名が流れるのは新鮮。4車線道路を淡々と行きますが、興誠高校から結構急かつ長い坂を下ります。中沢町の交差点(長楽寺バス停)を右折してR152に入りますが、右折レーンを2車線とっても1回で曲がれず、信号を2回待ちました。R152自体は空いており、右折合流の構造上の宿命です。

 R152は中心街方向3車線、北行き2車線で、各1車線がバスレーンとなっており、朝夕2時間ずつ専用になります。両方向朝夕の設定、かつ平休日ともというところにバスの地位と本数の多さがうかがえます。
 城址に立つ市役所の手前でいったん丘に登ります。そしてゆりのき通りに向かい坂を下ります。市役所あたりから業務系のビルは並んでいますが、繁華街というイメージがある地区はゆりのき通り以南です。伝馬町で曲がり、16角形のバスターミナルへ。駅を乗り通したのは3人程度、約30分の所要でした。
 ちなみに、駅到着時に「これからも公共交通のご利用を通じ、渋滞の無い環境の街づくりにご協力をお願い致します」とテープが流れ、「オムニバスタウン」の意気込みが伝わりました。

●くるる(まちなか西ループ)

 16角形のターミナルをうろうろしながら本隊と連絡を取るとまだ時間があるようです。ちょうど目の前に真っ赤なマルチライダーと目立つ「くるる」がいたので衝動的に乗りました。
 ちなみにこのターミナル、駅方面から真っ直ぐ上がってきて案内所、そして乗り場が取り巻く構造ですが、「角数」が多くて何処の乗り場になるのかがいまいち掴みづらく、1周近くしてしまいました。一回り小さい8角形の神戸駅もそうで、もう少し誘導を分かりやすくしてほしいです。

 バスは3人でスタート。かじ町を経て伝馬町へ、と思いきや、肴町通りに入ります。石畳の1車線の一方通行で、そのあと田町中央通り方面へ横走りした通りもそうで、トランジットモール気分です。その肴町とすぐの肴町魚がし跡で都合3人乗車ですが、街の雰囲気はトランジットモールとは程遠い「賑わい」でした。

 このあとも路地を縫うようにしてR152へ。大通りだと帰って落ち着かないなと思ったらすぐ右折。住宅街を抜け、また中心街に戻ります。遠州病院を過ぎ遠鉄の高架を潜ると遠鉄の線路付け替えに伴う再開発地区。総合庁舎を過ぎ、ロータリーのようなそうでないような楕円形の周回路を通り、北上して文化芸術大学へ。車寄せに入ると駅への適当な交通機関が乏しいのかここからの乗車が多く、MAXの6人になりました。
 アクトシティへ真っ直ぐ降りずにさらに東の学園通りを通り、アクトシティも車寄せに入りました。そして浜松駅まで1周27分100円。乗り通す酔狂な人間がもう一人いたのには驚きですが、まあ手近な市内観光というところでしょうね。

 逆回りだが微妙に経路が異なる東ループもあり、それぞれ15分ヘッド毎時4本ですが、中心街エリア、市役所などのエリア、再開発エリアと経路をちょっと欲張った感もあり、必ずしも流動にあっているように見えません。中心街〜市役所、再開発エリアで分けてしまい、それぞれ一方通行のループで15分程度で回るように再編したほうが使い勝手がいいかもしれません。

浜松都市圏の交通に対する私見 ../../citydesign/special205-2.html#2

浜名湖周遊記(シンポジウム参加編) 045-2.html

2005.06.03 Update

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