【検証:】掲示板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.125)
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「マリンライナー」は蘇れるのか〜ようやく始まった反攻
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/15 18:44:31)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

−「2つの課題」とりあえずクリア
 └新型マリンライナーの投入成果とこれからに必要なもの

 関西、特に神戸にいると、明石海峡大橋が身近と言うこともあり、淡路島、四国へは京阪神からの高速バス、そして高速舞子の利用が当たり前になっています。
 冷静に考えると、明石海峡大橋開通までは鉄道もクルマも岡山回りが当たり前。陸路だと手戻りになる徳島は和歌山からの高速艇か伊丹からの空路だったことを考えると、鳴門が四国の玄関口というのには分かっていてもまだ慣れません。ましてや連絡船時代の「高松が四国の玄関口」だったことは遠い昔のようです。

***
 この、交通手段、経路の変化は、本四架橋の効果でもあり、また、ここまでドラスティックに変化した例は滅多に見られないものでしょう。

 10月改正で瀬戸大橋線に新型「マリンライナー」が登場したのを機にJRの「反攻」が始まりましたが、それを伝える四国新聞の特集に目を通すと、瀬戸大橋開通以降の15年間の「激変」に改めて驚きを感じます。

利便性高まるJR瀬戸大橋線 http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/228/index.htm

 開業景気の88年から02年まででマリンライナーの利用が3割減少したとありますが、開業景気がひと段落ついた89年からでも24%。その後のピークからでは28%減と半端でない減少ぶりです。
 特に明石海峡大橋開通以降は、マリンライナーの利用がつるべ落としに減り、それに完全に連動して瀬戸大橋線の利用も減ると言う悪循環です。ここから見えるのは、瀬戸大橋線開業で岡山−香川の流動が増えたとはいえ、この区間の屋台骨は高速バスとトレードオフの関係になる対京阪神だったということです。

 驚愕のデータとして、98年度の香川対京阪神での鉄道:バスのシェアが96:4、つまり、当時瀬戸大橋経由で存在した阪急バスなどの便は相手にされてもいなかったのが、02年度には55:45、高松に限ればバスが7割を制しているとのこと。
 淡路島や徳島関係で好評な高速舞子停車便が1本もないというのに高松・坂出・丸亀線がここまで大増殖しており、まさに恐るべしです。

 ただ、意外な材料としては、マリンライナー以外の数字が減少はしているもののまあ横這いといって良いことで、岡山直通の特急については松山、高知関係の高速バスの攻勢が02年以降という特殊事情があるにしろ、受けて立っているうちに何か対策を取れれば、という気がしますし、対東京でも航空の最終便が羽田を出るのが早く、新幹線のほうが東京の夕刻を活用できるというメリットをどう活かすかが問われます。

***
 記事でおやっと思ったのは、「『東京へ行くのに飛行機よりJRの方が運賃が高い』『岡山―東京間が新幹線で5、6時間もかかる』そんな誤解を打ち消し」、というくだり。
 これはそれこそバスに当てはまる話で、「高松までバスで3時間(神戸だと2時間チョイ)」というと「アホなこと言わんといて!」と信じてもらえない状況、それこそわずか4%のシェアから過半数を制したわけで、その努力を横目で見て何をしていたのかということ。

 また、JR西日本とJR四国の温度差もあるようですが、瀬戸大橋線の改良(2006年度完成予定の早島駅周辺の部分複線化で全線複線と同程度の効果が得られる)や岡山駅の改修にJR四国や四国4県が支出するなど、ようやく「攻め」の姿勢が見えてきました。
 ただ、JR西日本の腰が重いのが行間から伝わって来る訳で、こうした新幹線のフィーダーの涵養が不充分だからこそ、山陽新幹線の凋落が著しいことを理解できているのかどうか、気になります。
 そしてこれが前段のJR四国社長のコメントなのかは明記してませんが、213系置き換えに関して、「ほうっていたら、20年先も同じ車両のままかもしれない。こちらが(導入経費を)全部持つからと申し入れ、強い調子で交渉を進めた」というコメント。88年導入の213系をあと20年とはそれこそN40改造でもされかねないという懸念含みでしょうか。あながち冗談に聞こえないところにJR西日本の施策の難点が垣間見えます。

「2つの課題」とりあえずクリア
 投稿者---551planning(2003/11/06 17:06:12)

 満を持して、背水の陣…いろいろと呼称できそうな今回のマリンライナー車両置換、とりあえず奏効しているようですね。

「マリンライナー」の乗客増える 10月1日のダイヤ改正後−−JR四国(毎日11/04)http://headlines.yahoo.co.jp/…
導入1カ月・新型マリンライナー好発進(四国11/06)
http://www.shikoku-np.co.jp/…

 前年同月比で700名弱、5%増は2年ぶりの増加と、先ずは手放しで喜べる結果ではないでしょうか。当方的には意外!だったのが2FG車の25%増。まぁその分普通車指定席が落ちていますが、自由席も増加と施策成功ということなのでしょうか…。早朝・深夜帯の増発や「のぞみシフト」による影響と見ているようですが、特急含めトータルでの瀬戸大橋線利用増(+2%)からもそれが伺えます。エル・アルコン様に御紹介頂いた四国新聞特集ではないですが、対首都圏のイメージ変化が早くも始まっているとも取れる数字なだけに、この路線で押してゆく事はまさしく「のぞみあり」となるかも知れません。往復切符購入時対応型P&Rの「車deトレイン」新規展開駅の分布からもJR-Sの意図が伺える気がします。
 その意味では、その中西讃・東予地区からの対京阪神方面のアピールも今後面白くなりそうです。のぞみ対応となった「阪神往復フリーきっぷ」設定エリア拡大もありますが、去る10/11〜/13には「マリンライナー京阪神ホリデー号」として1往復の京都延長が実現、まぁ新型車両の京阪神地区への顔見世的側面もあったゆえか今冬では設定がありませんが、以前にも議論となったところである新快速−マリンライナーorしおかぜ延長の現実味を図ってみる事も無い話ではなかろうかと。

車deトレイン http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/03-09-29/05.htm

岡山新快速の乗り入れの可能性 log084.html#3

***
 さて、瀬戸大橋といえばこんな課題もありました。

新型マリンライナー、騒音目標値クリア(四国11/05)http://www.shikoku-np.co.jp/…

 香川県による与島ポイントでの調査結果、マリンライナーを含む通過列車の騒音レベルが目標値の80dbを下回ったとのこと。御存知の通り速度規制がかかっているはすですが、架橋部はさておき、コンクリ部における更なる防音対応などによる速度向上を将来的に考える事もまた無駄ではないと思います。もちろん数キロのアップが…というところはあるのですが、FGTなどをも考えてゆくときに速度との兼ね合いも今後検討課題になって来るのではと思っております。
 ただまぁスピードアップでは四国新聞特集でもあったように宇野線改良が何はともあれ先決になるのですが、やはり首根っこをJR-Wに押さえられた状況ではなんともはやということでしょうね、ゆえの「先ずは自前車両!」とのJR-Sの意気も判らなくはないです。一方でどうしても拘りたいのがG車連結という部分でして、先ずもっての盛況は良しとしてこれが持続するかどうか、改めてマリンライナーの存在意義をも問う必要があるのかなとも思っています。
 ちょっと最後は纏まらず、ですが…。

新型マリンライナーの投入成果とこれからに必要なもの
 投稿者---あんぱん氏(2003/11/10 13:39:25) http://homepage1.nifty.com/m-fujii/

 新型マリンライナーの投入成果が、徐々にながら見えてきたと思います。

 普通指定席の利用者数減少とグリーン車利用客の増加は、普通指定席における1便当たりの提供座席数の減少がモロに影響している結果でしょう。また、高松駅始発マリンライナーの普通指定席・グリーン車利用客に対して、岡山駅うどん屋の無料利用券を配布している成果かもしれません。

 JR四国が車両を持つメリットは、固定資産税がJR西日本の8分の1であること。これだけでも車両維持費は安く済みます。経営安定化基金を持っているJR四国にしてみれば、相当有利な条件でマリンライナーの新造経費を調達することが出来たからこそ、車両新造に踏み切ったと思われます。

※鉄道施設が支払う固定資産税は馬鹿にならない金額で、山陰線高速化事業では新たな設備投資によって増加する固定資産税のうち、増加分を沿線自治体の負担金としてJR西日本に還元したケースがあります。余談ですが、本州のローカル線問題には固定資産税の問題が密接に絡んできます。

 2階建てグリーン車にこだわったのは、本四公団に支払う瀬戸大橋の使用料が通過車両数に連動する仕組みみたいです。30分に一本間隔のマリンライナーだと1両の減車でも相当な経費削減になります。また、西讃〜岡山の各停を減らしたのも大きいはずです。瀬戸大橋の鉄道部分は建設費の債務償還を国鉄債務に押しつけてしまい、JR四国は維持経費のみを負担する形となっていますが、それでもこの区間を通過する旅客には100円の加算運賃を負担しています。

 トータルとして、JR西日本から車両を借りて走らせるよりも、コストが下がると言えるでしょう。棚からぼた餅ですが、編成減少のメリットが瀬戸大橋海上部の騒音低減にも役だったことから、マスコミや沿線住民との対策面もやりやすくなったと言えます。

***
 (宇野線は)JR西日本の1支線区としては、大変な優良路線のはずです。
 茶屋町〜児島間は陸上部とはいえ、本四公団が所有しており、年間わずか8000万円の賃貸料で走らせています。

 岡山側の問題としては、輸送力の不足でしょう。朝ラッシュ時には9両が7両となり大幅な輸送力低下の上、高松側みたいにローカルの快速電車も設定されていないことです。高松側の運行本数は一地方都市としては過激な運行本数でしょう。そこまでとは言い難いものの、ダイヤの改善で何とかならないものかと思います。
 早朝深夜以外のマリンは岡山〜茶屋町ノンストップ化、茶屋町での緩急・宇野の同時乗り継ぎ、岡山〜茶屋町間の各停増発、クモハ123・1両編成による児島〜茶屋町〜宇野の直通運行、茶屋町での誘導信号新設、場内・出発信号の増設による2列車同一番線使用、など基本的は岡山市内近郊輸送とマリンライナーの決別です。これをしないとマリンは中途半端なままになるでしょう。1つの列車に何でも押しつけることは良くないと考えています。都市圏連絡快速列車として本来の使命を復活させないとダメです。

 営業施策的には、基本的には岡山支社の特定駅しか発売していなかった岡山発着の東京方面への大幅格安切符をJR四国管内でも発売しており、瀬戸大橋の通過需要をどうにかして底上げしようと企んでいます。
 岡山・香川のJR私鉄が大同団結する形で、需要の底上げが必要でしょう。JR・ことでん・岡電・水島臨海・井原と共同で首都圏と似たようなコンセプトのホリデーフリー切符を出すことで行楽需要を公共交通へシフトさせる施策が必要でしょう。大人2000円、子供1000円で出せればと思うのですけどね。
 周遊きっぷでは岡電とJRは連携しておりますし、井原はJRへの乗り入れがある。ことでんとJR四国は共同でフリー切符を出している。JR岡山支社とJR四国は営業施策の協力関係が成り立ちつつある。
 ここは、本四3ルート時代で瀬戸大橋のメリットを最大限生かすには「鉄道がある」このことしかないでしょうね。

「資産」でいいのか(鉄道経営と課税問題)
 投稿者---かもめ氏(2003/11/16 12:48:24)

−〔税負担〕いままでとこれから
−「資産」「消耗品」の区分と固定資産税課税の問題について
 └Re:「資産」「消耗品」の区分と固定資産税課税の問題について
  └固定資産税課税の問題
議論の前段階として
 └Re:議論の前段階として
  └Re:議論の前段階として(先の投稿の修正を含む)
   └Re:議論の前段階として
要は「収入を増やす」よりも「支出を減らす」ほうがいいということで?
 └〔税負担〕内部補助に頼るのは

(以下次ページ)
 └投資への「インセンティブ」として
  └「投資へのインセンティブ」の方向が違うのでは?
   └Re:「投資へのインセンティブ」の方向が違うのでは?
    └根本からしてずれているのでは
     └異議があります

 皆様お久しぶりです。かもめです。
 「新型マリンライナー」についての意見交換のなかであんぱん様の興味深いレスを拝見し新規投稿させていただいた次第です。そのレスとは

 鉄道施設が支払う固定資産税は馬鹿にならない金額で、山陰線高速化事業では新たな設備投資によって増加する固定資産税のうち、増加分を沿線自治体の負担金としてJR西日本に還元したケースがあります。余談ですが、本州のローカル線問題には固定資産税の問題が密接に絡んできます。

というものです。
 これについて私はかねてから疑問を持ってきました。車両や施設・それらが立地する土地それはそもそも「資産」なのかと。
 鉄道に関する議論のなかでよく「それは経費がかさむから・・・」という声が出てきます。なのに税法上経費としては認められていません。(経営上)経費になる部分に対しても課税されてしまっています。

 逆の例があります。個人事業主は一般的にはどうみても資産としか思えないものでも経費認定されるケースが多々あります。毎年5月に発表される「長者番付」の申告納税額についても多くの疑問がなされています。
 鉄道会社も幅広く損金計上できるようにするべきではないのでしょうか?

 構造改革が叫ばれている今日、資産と経費の線引きの再構築は必須であると考えています。

〔税負担〕いままでとこれから
 投稿者---あんぱん氏(2003/11/18 02:57:54) http://homepage1.nifty.com/m-fujii/

 経験上からのお話をさせて頂きますが、ご了承ください。

 JR西日本のローカル線は大規模な合理化又は減便を2回にわたり実施しております。
 1回目は鉄道部制の実施、2回目は線内需要のみを対象にしたクローズドタイヤの設定による大幅な減便。実施時期をみますと、鉄道施設に対する固定資産税の減免措置が減らされた・廃止された時期と重なります。
 新人の養成が退職者に対して全く追いついていない現実もありますが、主要組合が拮抗して関係が複雑であるJR西日本にとっては外部圧力がないとなかなか合理化策が出来ない事情がありますので、税負担の増加が素直に実施できる環境を作ったと考えられます・

 山陰線高速化事業の補助負担議論において、市町村がそれによりどれだけ課税されているか、一般へ向けて明らかにされたわけです。 鳥取県は智頭急行で開業時から地方税の免除を行っていますから、そういう認識が行政当局にあったのでしょう。一番の問題なのは、大都市鉄道や新幹線と同じレベルの課税だと言えます。

 三島会社や並行在来線、国鉄転換第3セクター、さらに大都市圏の輸送力増強に対しては税負担の軽減措置が広く行われていますが、地方私鉄や本州のJR地方線区に対しては税負担はこれらに比べて厳しいものになっています。
 さらに京福事故をきっかけに地方線区で審査されている安全審査で、橋梁やトンネルなど地上設備に多額の補修を厳しく求められています。JR西日本が乗客を無視した異常なレベルの速度制限、黒字が計上できるレベル上田交通など地方線区で廃止騒ぎが続発しているのは、これがきっかけになっています。安全を審査出来る基準がない古い設備の為、必要以上の補修を求められている様です。税負担を嫌ってか、河川改修とかで鉄道のみが取り残されているケースが多く、災害時にこれが穴となり大規模な災害を起こすケースも出てきそうです。事実、岡山の吉井川水系で多くみられております。

 岡山・広島の井原鉄道や島根の一畑電鉄では、上下分離の発想に基づいて新たな補助制度を生み出そうとしております。共通しているのは所有権は従来のままだが、架線・軌道や場合によっては車両も含めた下部については今までよりも手厚い一定額に固定した補助金により保守維持する。人件費や運行については運賃収入でまかなっていくというやり方です。

 これに対する補助制度は無いのは、社会的に損をしていると思っています。鉄道施設を公共財として認識して補助システムを作っていかないと、ダメだと思います。

「資産」「消耗品」の区分と固定資産税課税の問題について
 投稿者---TAKA氏(2003/11/16 19:16:36)

 かもめ様初めましてTAKAです。この問題此処には経営等にも詳しい方が多くいらっしゃるので詳細はその様な識者の方々に任せるとして、私も興味のある内容なので今までや今の経験にもとずいて自分の意見を書きこみたいと思います。

 これについて私はかねてから疑問を持ってきました。車両や施設・それらが立地する土地それはそもそも「資産」なのかと。鉄道に関するする議論のなかでよく「それは経費がかさむから・・・」という声が出てきます。なのに税法上経費としては認められていません。(経営上)経費になる部分に対しても課税されてしまっています。

☆資産か消耗品(経費)かと言う概念は非常に難しいと思います。基本的には一定期間以上保有出来る恒久的な物は資産であり、その一定期間ほど持たない物は消耗品であるとの考え方であると思います。資産は売却が出来るから残価が発生する、だから企業の単年度の収益とは別の資産の勘定に入れる。又その資産が収益を生むから固定資産税を課税するという事でしょう。消耗品は毎年の様に買い換えなければならないから、一度買えば当分の間収支を生む物ではないし、残価も発生せず消えてしまうから固定資産税は課税しないし単年度の収支に反映させるという事でしょう。
 さてどちらが有利なのか?固定資産の購入に関しては非常に高額な費用が掛かるのですから、やはり単年度の収支からは切り離さないと企業の収支は乱高下してしまいます。固定資産で有れば減価償却費引当で積立をしていけば更新の費用が内部留保で保留されます。
 そこから鉄道事業について当てはめれば、やはり車両や構造物等は固定資産計上した方が企業経営にはプラスでしょう。負担が分散化されるのですから・・・。

☆しかし自治体が固定資産税を資産に課税するのには一定の配慮が必要でしょう。鉄道事業者は半分公共的な公共輸送業務を行うことで収益をあげています。これは普通の企業が収益をあげる為に機械や土地等を購入するのと多少違います。普通の営利企業より公共性が高いことを行っているのですし、下手したら公共事業として公共セクターが行うべき事を民間企業が内部補助等で補填しながら運営している例もあります(ローカル線等)。
 この様な場合「公共性の高い物を行って赤字なのに何で営利企業と同じ税金を負担するのか?」という事になるでしょう。これは鉄道企業の側面からすれば納得しないでしょう。「公共性が高い物を運営しているのだからローカル線等で普通に運営したら大赤字で営利企業として成り立たない様な事業にも固定資産税を課税されるのなら辞めてしまおう」という事になる可能性もあります。此処には配慮が必要であると思います。

☆ですから経営上の資産と消耗品の区別と固定資産税課税に関しては分けて考えるべきでしょう。経営上の資産・消耗品に関しては基本的な考え方は現行のままで良いと思いますが、固定資産税課税に関しては此処の事例ごとに考慮することも必要ですが、基本的には地方ローカル線等の場合固定資産税に関しては減免もしくは徴収の上、地方よりの補助としての還付等の方策が必要であると思います。

 鉄道会社も幅広く損金計上できるようにするべきではないのでしょうか?

☆上記の様に只「何でも損金計上」では逆に収益の乱高下等の弊害も生まれます。そう考えると資産計上の上減価償却をしていくという選択肢もありだと思います。それこそ構造物等のインフラ的な物まで損金計上したら、取得時に大赤字になります。
 例えば小田急の複々線ですが今の喜多見〜梅ヶ丘間が2005年3月に完成しますが、この固定資産取得額は約2500億円です。これを損金計上したら(暫定供用ごとに損金計上しても)多額の損金が収益を圧迫することになります。又出来高毎に損金計上という方法もありますが、それでも恒久的構造物である以上資産というのが適当と言う事になるでしょう。
 そうすると何でもかんでも損金計上というのも好ましい話ではありませんし、個人企業の損金計上は私的な費用までグレーゾーンを損金計上しているという側面もありますからそれと同列に考えない方が良いでしょう。

 構造改革が叫ばれている今日、資産と経費の線引きの再構築は必須であると考えています。

☆私は基本的には不要であると考えます。今のままで良いとは思うのですが、どんどん新しい物が出てきている以上、物によっては適宜見直しをすべきではあると思うのですが・・・。それはケースバイケースという事になると思います。
 私は見直すべきと思う物それは「パソコン」です。今やパソコンは3年もすれば機能的にはオンボロになりますし、更新が必要になるのですが、私が今のパソコンを買った時(個人企業名義で購入しました。当然仕事にも使っています)パソコンは固定資産扱いで5年間の償却でした。只5年も保有していると最後は時代遅れですし、何時も持ち歩いているノートパソコンだと壊したりします。
 私の会社のパソコンは実際2年目でノートパソコンを壊してあえなく除却で、又新規購入になりました。そこまでしょっちゅう更新したり買い替えたりする物であるならば、消耗品に指定して貰い、収益の上がっている年に思い切って更新を早めに行いたいと思ったことは有りますが断念した経緯があります。
 この様に技術革新が早い物も世の中には多数有りますからその様な物は構造改革以前に適宜見直すべきであると思います。

 一応私の考えを書き込みましたけど、皆さん色々意見もあると思いますし私が間違えている所もあると思います。
 これを叩き台にかもめ様を始め皆さんの意見を伺ってみたいと思います。

Re:「資産」「消耗品」の区分と固定資産税課税の問題について
 投稿者---かもめ氏(2003/11/16 21:14:18)

 TAKA様はじめまして。早速のレスありがとうございます。かもめです。
 実体験に基づいたレスは、私にとって新鮮で目を見開かされた思いです。

 しかし自治体が固定資産税を資産に課税するのには一定の配慮が必要でしょう。鉄道事業者は半分公共的な公共輸送業務を行うことで収益をあげています。これは普通の企業が収益をあげる為に機械や土地等を購入するのと多少違います。

 そうですね。私が最も納得しかねるのがこの部分です。多くの土地を必要とししかも余所へいくことができない、製造業のように海外移転なんて有り得ない鉄道は自治体にとって恰好の「安定財源」になっているという面があるからです。
 学生時代には、操車場があった市に住んでいたある教授が「旧国鉄がお金を落してくれて住民税が安かったのですが…」と得々と話されている場面に出くわしたことがあります。
 更に最近では(本論から多少離れますが)法定外目的税で鉄道が狙い撃ちされるケースも出始めています。
 このあたり、もう少し広い視点に立った配慮が必要であると思います。

 ですから経営上の資産と消耗品の区別と固定資産税課税に関しては分けて考えるべきでしょう。
 経営上の資産・消耗品に関しては基本的な考え方は現行のままで良いと思いますが、固定資産税課税に関しては此処の事例ごとに考慮することも必要ですが、基本的には地方ローカル線等の場合固定資産税に関しては減免もしくは徴収の上地方よりの補助としての還付等の方策が必要であると思います。

 特定財源化ということでしょうか?それは賛成できます。
 私が最初に述べた「資産とするべきではない」と言う意見と矛盾していることは承知ですが、私も若輩ゆえまだ確固たる意見は持ち合わせていません。その点様々なケースで考えていきたいのでお許しください。

 現在、「最強」といわれる道路、それには及ばないまで空港や港湾は特定財源としての囲い込みがなされています。
 それに対して鉄道は1991年に発足した鉄道整備基金から端を発してまだ十数年、しかもその財源はと言えば償還済みの東海道新幹線をいわば二重課税の形でJR東海に買い取らせたものが主な原資というお寒さです。また、これがために東海が他社と足並みが揃わず鉄道全体で大きなマイナス要因になっています。
 自治体もろとも新たなフレームを再構築できればよいのですが。

 私はサラリーマンですのでついつい現在の税制は「不公平だな」というところからみてしまいます。TAKA様のおっしゃるパソコンの例は今まで実感として感じたことのない部分でしたので感動しました。
 まだまたつたない意見と言うか感想ですけれども、様々なご意見をよろしくお願いいたします。

固定資産税課税の問題
 投稿者---TAKA氏(2003/11/17 00:06:31)

 かもめ様御返答有り難うございます。私の意見も税務・経理に関して素人同然ですから怪しいですよ。
 パソコンの話も買って1台壊して修理して、その後ずっとしてから決算のときに税理士から言われてビックリしたと言う状態なので、私の知識も怪しいです。此処の来られる方の専門家に近い方の意見も聞いた方が良いと思います。

 多くの土地を必要とししかも余所へいくことができない、製造業のように海外移転なんて有り得ない鉄道は自治体にとって恰好の「安定財源」になっているという面があるからです。
 学生時代には、操車場があった市に住んでいたある教授が「旧国鉄がお金を落してくれて住民税が安かったのですが…」と得々と話されている場面に出くわしたことがあります。
 更に最近では(本論から多少離れますが)法廷外目的税で鉄道が狙い撃ちされるケースも出始めています。
 このあたり、もう少し広い視点に立った配慮が必要であると思います。

☆余所へ行けないインフラ企業の鉄道を狙い撃ちして居ることが問題と言うより、公共性に考慮しないで只闇雲に固定資産税を課税していることに問題があると思います。今や地方も地方税の自主課税も出来る様になってきている時代ですが、自主財源たる法定外目的税等を含めて課税する場合のその事業の公共性には十分考慮を図るべきです。
 良くあるパターンとして第三セクター鉄道にも固定資産税が課税されるパターンがありますが、第三セクターは地方公共輸送を維持する為に赤字線を引取自治体が負担をして作っているのに、自分が赤字になれば負担金を出す第三セクターから固定資産税を課税徴収しても、最後はそれ以上の物を赤字補填と言う事で地方自治体の支出として出すことになるのだから本末転倒です。
 今のルールには明確に「固定資産税はその公共性に応じて減免すべし」という指針はないですがもうその様なことまで考える時代に来ているのではないでしょうか?

 特定財源化ということでしょうか?それは賛成できます。

 現在、「最強」といわれる道路、それには及ばないまで空港や港湾は特定財源としての囲い込みがなされています。
 それに対して鉄道は1991年に発足した鉄道整備基金から端を発してまだ十数年、しかもその財源はと言えば償還済みの東海道新幹線をいわば二重課税の形でJR東海に買い取らせたものが主な原資というお寒さです。また、これがために東海が他社と足並みが揃わず鉄道全体で大きなマイナス要因になっています。
 自治体もろとも新たなフレームを再構築できればよいのですが。

☆過去に此処でも通行税的な税金を取って地方公共輸送維持の補助金にしたらと私も此処で提案したことはありますが、鉄道資産の固定資産税の特定目的税化迄は提案していません。地方の赤字路線で収益を生み出していない資産の固定資産税は公共性に応じて還付したらと言うぐらいです。都市鉄道等はその固定資産で十分な収益をあげている以上公共性は高くてもやはり規定の固定資産税を払うべきであると言えるでしょう。
 只道路特定財源に近い様な補助スキームを作るべきかもしれません。その財源として鉄道から課税した固定資産税を充てる言うのも一つの方策です。只悪い意味での第二の道路特定財源にならない様にしないと行けません。使い方・財源等色々検討すべき事は沢山あると思います。

 私はサラリーマンですのでついつい現在の税制は「不公平だな」というところからみてしまいます。

☆私も基本的に今の税制はきわめて不公平であると思います。例えば法人税や事業税が赤字の企業には課税されないという点企業は利益を上げる為に必至なのに、やっと少し黒字にしてもその分税金を持って行かれるのだから、ちょっと赤字の方が最終的に残るお金が大きいなんて不平等きわまりないです。その様に税制の矛盾は沢山ありますが、有る程度は諦めなければならないとは思いますが、「不公平だ」という考えだけは持ち続けなければならないと思います。

議論の前段階として
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/11/17 10:29:55) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 これは今の交通全体における問題の根底に共通する部分でもありますが、一方で税法、会計の根本の部分を疑うことにもなります。
 そうなると、まず「あるべきルールはどういうものなのか」という総論部分を確立させないと、論者ごとの「かくあるべし」というルールを持って議論しては平行線になります。
 もしくは、いちおう現状のルールを前提にして、その適用方法についての是非を問うというような各論として論じるのであれば、あまりややこしくない話かもしれません。
 この部分、総論部分への疑いをはじめるときりが無い部分としては、「固定資産に対して自治体が固定資産税の課税を行う」という制度根本の部分や、どちらも同じ現預金等の支出なのに資産に計上するか、費用として計上するかという会計原則の部分です。

***
 これまでの議論を拝見して思ったのは、そもそもの問題提起の部分で、「経費がかさむ」とされる「経費」とは何を意味するのか。それが曖昧だと議論の建てようがないのです。

 損益計上の話なのか、キャッシュフローの話なのか。固定資産の場合、損益ベースであれば資産に計上されますが、基本的には減価償却費として各期に計上されるわけで、その部分は税法上でも費用となります。
 キャッシュ面で言えば、資産取得費用を即金で払っているのか約定返済なのかという違いもあるわけで、初年度に全額損金認定となっても、翌期以降は約定返済見合いの支出部分に相当する費用計上が無いわけで、キャッシュアウト部分なのに課税対象になり(言ってみれば否認された交際費部分のようなものか)、パソコンのようにキャッシュアウト見合いの損金計上が無いケースとは逆のケースもあるわけで、そこらへんの検討も必要です。

***
 固定資産税の存在を前提にして議論を進めてみましょう。
 今の制度は私有財産制度を前提にしているわけですが、法人個人問わず、その所得に対する課税と、資産に対する課税という形で私有財産とその収益から一定の回収を行い、行政サービスの原資にしたり、いわゆる富の再配分を行うわけです。

 租税は法律によって決まり、法の下での平等が保証されているわけですが、今のルールでは累進課税という名の富の再配分と言う機能は容認されているわけです。
 富めるものに対する累進課税の反面、減免対象もあるわけで、富の再配分を受ける対象ともいえる低所得者および赤字企業に対する減免があります。
 そして事業内容による減免もありますが、これは事業の公共性、つまり行政サービスの原資と言う面を考えると、タコが自分の足を食うような所為で事業の足を引っ張ることはしないと言う意味合いでしょう。

 そこで同じ交通における公道に対する課税免除と私道および鉄道に対する課税という違いがあります。
 その線引きの理由は何か。結局は、事業者が所有する資産における排他的使用の有無に尽きます。サービスの提供内容、時間など、監督官庁の許認可事項とはいえ原則は事業者の専権事項であるケースでは、私有財産による収益として課税対象となるわけで、逆に公道の場合は収益を目的としていない(有料道路は償還費用の回収である)わけで、以前、永久有料になったら課税すると課税権をちらつかせた自治体の根拠もそこにあります。
 また、例の開かずの踏切もそうですが、踏切道で事業者の都合で閉鎖時間を決められるのもそこへの排他的使用が認められているゆえです。

 それを踏まえて固定資産税の減免を考える場合、事業者の専権事項に属する部分への制約を強める必要があるわけです。これは所謂「構造改革」や「規制緩和」の逆であり、実際、郵政や道路公団の民営化論議においては法人税や固定資産税納付による国家、地方財政への寄与も何気に語られています。
 そうした部分の整合性を考えて見るとどうでしょうか。ということでもあります。

Re:議論の前段階として
 投稿者---TAKA氏(2003/11/17 19:29:00)

 エルアルコン様今晩はTAKAです。ご登場お待ちしておりました!非常に詳しい方ですから、私が半分教えを請いたいぐらいでしたので・・・私も色々とお聞きするかと思いますが宜しくお願い致します。
 基本的に経理的なことに関しては現状に制度に関して私は否定する考えはありません。只パソコンの話は「制度が時代の現状に付いていって居ない」とは実感として感じましたが・・・

 損益計上の話なのか、キャッシュフローの話なのか。固定資産の場合、損益ベースであれば資産に計上されますが、基本的には減価償却費として各期に計上されるわけで、その部分は税法上でも費用となります。
 キャッシュ面で言えば、資産取得費用を即金で払っているのか約定返済なのかという違いもあるわけで、初年度に全額損金認定となっても、翌期以降は約定返済見合いの支出部分に相当する費用計上が無いわけで、キャッシュアウト部分なのに課税対象になり(言ってみれば否認された交際費部分のようなものか)、パソコンのようにキャッシュアウト見合いの損金計上が無いケースとは逆のケースもあるわけで、そこらへんの検討も必要です。

☆基本的に固定資産を取得して毎年減価償却費で損金償却していくという事は、固定資産を分割して損金計上することで、損益計算上のアンバランスを均等化するという事ではありませんか?(非常に大雑把な言い方ですが)巨額の固定資産取得費を一度に損金計上すると損益が本業の収支を反映しないで乱高下すると言う好ましくないことが発生する等のことを考えると、多少の区分けの問題があるにしろ基本的には現行制度を否定するつもりはありません。
 ですから損金計上の問題に関しては基本的にかもめ様提議の問題に関して総論に置いては検討する等の問題はないと思います。それにこの問題はキャッシュフローの問題まで深く話は進んでいないと考えます。

 固定資産税の存在を前提にして議論を進めてみましょう。
 今の制度は私有財産制度を前提にしているわけですが、法人個人問わず、その所得に対する課税と、資産に対する課税という形で私有財産とその収益から一定の回収を行い、行政サービスの原資にしたり、いわゆる富の再配分を行うわけです。
 租税は法律によって決まり、法の下での平等が保証されているわけですが、今のルールでは累進課税という名の富の再配分と言う機能は容認されているわけです。

 それを踏まえて固定資産税の減免を考える場合、事業者の専権事項に属する部分への制約を強める必要があるわけです。これは所謂「構造改革」や「規制緩和」の逆であり、実際、郵政や道路公団の民営化論議においては法人税や固定資産税納付による国家、地方財政への寄与も何気に語られています。
 そうした部分の整合性を考えて見るとどうでしょうか。ということでもあります。

☆固定資産税が私有財産制度上でその財産の収益に対する行政サービスの原資や富の再配分等に関しては基本的に異論がありません。
 しかし問題なのは事業者の排他的使用というより「赤字企業への減免」という事が会社全体ではなくその個々の資産毎の考えても良いのではという事です。基本的にJR各社(特に本州3社)は黒字企業ですから基本的に固定資産税は減免されませんが、此処の固定資産(路線)毎では赤字もあり、その赤字は地方ローカル輸送維持という公共サービスの代行的側面もあり、又都市での高収益路線からの内部補助で維持しているのに、その恩恵を被っている地方公共団体が固定資産税まで徴収するのはちょっと違うではないか?こう言う所には個々の対応も必要ではないかという事です。

 確かに固定資産税減免等で縛り付けることは事業者の専権事項の侵害等になるかもしれませんが、実際問題として参入参出への規制の緩和は進んでいるといえども、現実問題として参出は非常に難しいですし、営利企業の内部補助という善意に近い内容で地方が公共輸送の維持というメリットを受けている実情があります。その実情に地方が固定資産税等を減免することで一定の補助を与え、協力することは必要であると思います。
 只その前提は運営者との協議と言う事になります。協議と言う事には成りますが「規制緩和」の題目の下で営利一筋で運営していくことになれば、地方のローカル路線なんか切り捨ててしまえと言う事になります。それが資本主義かでの収益の最大化に一番合致することなのですから・・・
 公共のサービスも民間に任せた方が効率的であることは間違い有りません。只営利優先になってしまえば地方等は切り捨てだという事になりますし、郵政にしろ道路公団にしろ全国一円へのサービスと言う事になれば、地方の不採算分を民間企業に負担させることになり、それは新規参入業者との間で公正な競争を阻害することになります。
 郵政では新規参入業者に全国一円サービスを義務付けることが新規参入への障壁になっています。この様な障壁を作るより全国一円サービスを義務透ける変わりにそのコスト分の一部を公共サービスの一部として補填する。その代わり局地的収益部門に関しては新規参入の競争を則すという方が効率的でしょう。

 その様なことを踏まえて、全国一円に最低限の公共サービスを提供するのも有る意味国の役割です。それも又国全体での富の再配分という事でもあるのです。公共サービスを民間にさせようと言う流れが主流になりつつある今の情勢を考えると、その様な形を変えた補助と言う事も考えるべきではないかとは思います。
 その方法の一つが赤字ローカル線の固定資産税減免という方法ではないかと思います。赤字丸ごと補助する訳ではないので運営民間企業の自助努力を促進させることもなりますし、公共サービス代行料という意味合いもあって良いのではないかと思います。その様な方法の一つとして上げただけです。それに税の減免で有れば収益が上がる状態になった時には減免措置を解除すればいいのですし、減免の条件として用途を規定すると言う方法もあります。ですから決して原則を否定する訳ではありませんが原則から一歩踏み出して考えても良いのではないでしょうか?

 このかもめ様と私の固定資産税減免に関する議論では原則論は置いておいて先に実際の補助論になりつつあるので、その意味ではエルアルコン様に原則論を示して頂けることは非常に勉強になり感謝しております。

Re:議論の前段階として(先の投稿の修正を含む)
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/11/17 21:18:40) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 ちょっと慌てて書いたので粗が目立ちすぎました。
 ちなみに私は別に会計や税務の資格所有者でもないので、間違いが多々あるはずですのでご海容の程。

 損益計上の話なのか、キャッシュフローの話なのか。固定資産の場合、損益ベースであれば資産に計上されますが、基本的には減価償却費として各期に計上されるわけで、その部分は税法上でも費用となります。
 キャッシュ面で言えば、資産取得費用を即金で払っているのか約定返済なのかという違いもあるわけで、初年度に全額損金認定となっても、翌期以降は約定返済見合いの支出部分に相当する費用計上が無いわけで、キャッシュアウト部分なのに課税対象になり(言ってみれば否認された交際費部分のようなものか)、パソコンのようにキャッシュアウト見合いの損金計上が無いケースとは逆のケースもあるわけで、そこらへんの検討も必要です。

 ここにつき、以下のように訂正します。

 損益計上の話なのか、キャッシュフローの話なのか。固定資産の場合、土地であれば損益とは関係なく資産に計上され、償却資産の場合は資産に計上された後に基本的に減価償却費として各期に計上されるわけで、その部分は税法上でも費用となります(このほかに償却資産を含む不動産の場合は不動産取得税や事業所税と言った対象になる)
キャッシュ面で言えば、資産取得費用を即金で払っているのか約定返済なのかという違いもあるわけで、初年度に全額損金認定となっても、翌期以降は約定返済見合いの支出部分に相当する費用計上が無いわけで、キャッシュアウト部分なのに課税対象になる反面(言ってみれば否認された交際費部分のようなものか)、パソコンのような一括支払、また損益とは関係ない土地のようにキャッシュアウト見合いの損金計上が無いケースとは逆のケースもあるわけで、そこらへんの検討も必要です。

***
 そのうえで、「経費」という言葉をどう使っているのかが問題になります。

 販売用以外の土地の取得であれば現在のところは「減損会計」は無いので自分の資産として目減りもしません。ゆえに損金にはならず資産価値も減少しませんが、その対価の支払は「損金」ではありません。
 利益が多くて法人税の納付が多いケースでは問題かもしれませんが、一方で資産評価や債務超過などの評価の問題になるわけです。一方で償却資産の場合は資産という意味と同時に、おっしゃるように費用の分散(繰延)という性格もあると思います。

 これらのキャッシュフローベースでの「支出」を含んで考えているのか、単に損益、税務上の経費として認定される幅が狭いというだけなのか。後者であれば税法と会計のいわゆる一時差異や永久差異などに共通する議論になると思います。

 もしくは前者のキャッシュベースと損益ベースの違いを問うのであれば、これはこれでまた一興です。
 出資者への配当を損益を基準に行っている反面、国や自治体の「予算」に代表される「お小遣い帖」方式に近い「資金繰り」が回らなければ黒字でも会社は潰れます。
 交通のような公共事業においては、事業に投下した資本をどう回収するのか、という見方をするのか、事業からどれだけの収益を上げるのか、という見方をするのか。鉄道に限らず、いま話題の道路公団等の問題にも共通する論点です。

Re:議論の前段階として
 投稿者---かもめ氏(2003/11/17 21:43:16)

 エル・アルコン様こんばんわ。レスありがとうございます。

 私自身税務の専門的なはなしはよくわからない人間なのですが、常日頃抱いている疑問をぶつけてみようと思い投稿した次第です。そのために今回のレスでは同じく前段階として、その疑問の内容について述べたいと思います。

 そのうえで、「経費」という言葉をどう使っているのかが問題になります。

 私がイメージしているのは個人事業主です。最初の投稿でも触れましたが、例えば高額納税者番付で公示される納税額には首をひねる部分が多々ありますよね。
 普通に考えれば「資産」とみなされてもおかしくない、あるいは単なる遊びでしかないお金の使い方が「経費」と認められれば課税対象から外されるという現実からこうなった、といわざるをえないでしょう。

 鉄道の経費もこの「経費」としてみなすべきではないのか?というのが私の意見です。上記とは正反対に経費とされてもおかしくない部分まで資産として課税されているのですから。

 鉄道にも経費が幅広く認められれば例えば節税のためにあえて豪華な車両や施設を新造する、またイベント列車の運行経費を広告宣伝費名目で落とす、といった具合にはなしが大きく膨らんでくるのではないでしょうか?

 経費が認められる部分がそれぞれ大きく異なっている。このような不公平は許されないことだと思っています。

要は「収入を増やす」よりも「支出を減らす」ほうがいいということで?
 投稿者---551planning(2003/11/18 17:03:46)

 議論のスジが整理されて見えやすくなってきたところですが、個人的にはまだフィルターが多いかなという気がします。ちょいと乱暴ですがこういうことなのでしょうか?(違っていたら御教示賜りたく)

公共交通事業体(特にJR本州3社)に対する“平等な”固定資産税賦課は不公平
→何らかの策(=減税措置?)を採るべき

 個人的にはこの趣旨についてすんなり受け入れることができかねています。以下私見までに…。

***
 『金は天下の廻りモノ』とはよく云ったものですが、議論の前提として現段階においても、ローカル線問題のほかさまざまな形で行政による補助制度が組まれていることは御承知と存じます。正直あんぱん様に挙げて頂いた具体的なスキームは寡聞にして非常に勉強になったところですが、まずマリンライナー車両に関しては三島会社への優遇措置の存在こそ知ってはいましたのでなるほどと思いますし、山陰線高速化事業における固定資産税分の還流措置はまさしく地域活性化という“利益”を受ける沿線自治体負担の明確化として注目されるところです。また例は違いますが、宇野線複線化に対する四国4県、京急蒲田連立化に対する横浜市などによる事業費負担というカタチも現れてきています。

 本論であろうローカル線に対する助成制度についてですが、固定資産税賦課に対して光を当てたことについて当方自身考えが及ばなかったため注目するところですが、「私企業が営む公共性の強い事業に対して優遇措置を検討するべき」というところについては理解するものの、その論拠として他業種との“平等性”なりの側面からのアプローチにはひっかかりを覚えるところ、その点はエル・アルコン様が指摘されているわけですが、故に一方で各種助成制度もあるという関係性を忘れてはならないでしょう。なお、JR本州3社の場合にはこれら助成制度の適用外となる事が多いという指摘は可能ですが、裏を返せばそれだけ助成は限定的であるべきということになろうかと考えます。
 それら助成制度が不十分である、また財源の問題について指摘する事は可能と思いますし、【検証:】でも道路財源の問題から交通税に至るまで種々議論経過を経てきたところではありますが、当方自身含め明確なコタエ、方向性はなかなかに見えていないというのが実際のところです。 そこで固定資産税を考えるとして、一方で地方財政はどうするということにもなります。まさにかもめ様御指摘のように(特に旧国鉄下における)「安定財源」としての側面があったこと、そして財政破綻回避性の強い「平成の大合併」の現状含め、このあたりはより慎重に考えなければならないところでしょう。その意味においては行政運営と鉄道事業の維持を天秤に図ったときにはいささか暴論になりますが、それこそTAKA様が根底として拠り所にされているであろう(違いますかな?)「排他(=株主以外)的資本主義」の名の下に従うべきということになろうかと思いますが。

#個人的にはこの排他的資本主義にはその対象がJR本州3社や大手私鉄の場合においては与しません。先の身延線問題のところでも出ましたが、鉄道事業というそのものが内部補助ありきの事業形態である以上、利益の極大化=株主還元というところに相容れないものと考えます。そしてその填補として安定配当と各種優待制度により株主の納得が得られているものと考えます。
 なお、この半ばシステマティックな部分については、法人税からアプローチしようとしたところ挫折していた部分でもあるので興味津々ですが、個人事業主的側面から解き明かすのはなかなか難しいというか時に見当違いになりかねないとも思います。

長距離客をとるか日常最利用客をとるか、「のぞましい」ダイヤ編成とは log127.html

頑張る大阪国税局 log108.html#7

***
 改めて現実は良くできているもので、先にあげた各種スキーム然り、それこそ例示のパソコンについては「パソコン減税」を経て耐用年数の低減化などの対応がなされています。赤字会社有利とされた法人税についても繰越欠損金控除措置がしっかり区切られている(これも現行5年から7年に延ばされるそうですが)わけですし。「不公平だという考えを持つ」ことそのものは必要ですし、時と場合において柔軟に対応されるべきところであるわけですが、それが固定資産税からの切り口で達成されるかは正直懐疑的にあります。また、「国全体での富の再配分」の必要性が指摘されているところでもありますが、だからこそ地方税である固定資産税では?という単純な疑問もあります。
 それであれば、事業者側の支出(納税)を減らす努力をするのならば、弾力的な収入(補助)を増やす事のほうが容易であり、チェックも効きやすいと考えます…何故ならば実はそこに直接的な補助が困難ゆえに3セクを噛ますなり上下分離という発想が生まれてきているからなのです。

…ちょいと大上段にかぶりながら精神的論に徹した嫌いはありますが、皆様と一緒により深く勉強するために投稿させて頂きました。混乱させてしまった事を御容赦の程。

#なお個人的に感じたのは「損金」と「経費」の言葉のあやふやさでした…当方も本職でもなんでもないので代わり得る適切な表現を示すのは難しいですが、P/LとBS、CFと租税における表現がごっちゃになっている印象を受けます…なにか良い対処はないものでしょうか?という意を込めて議論のスジのシンプル化に期待します!

〔税負担〕内部補助に頼るのは
 投稿者---あんぱん氏(2003/11/20 00:24:56) http://homepage1.nifty.com/m-fujii/

 内部補助という一般・株主には見えない資金でローカル線が維持されることが、本質的に幸せなのでしょうか?規制緩和により撤退が事実上、鉄道事業者により主導的に進められる様になったことで、ローカル線を切ることで直線的に利益の最大化が出来るようになりました。大手私鉄では沿線の反発を喰らってまでこのようなことをするメリットは低いでしょう。でも、本州のJRは違います。特にJR西日本では・・・

 可部北線の廃止では、年間6億円の赤字が出ていた線区で、しかも無償で沿線自治体へ現状引き渡しとなりますから、数十億円掛かる撤去費用すらJRは殆ど負担せずに済みます。
 線路用地はよほどの市街地でもなければ、形状から売却は極めて難しく、可部線は橋梁が多く、人家が間近にあるので防災上、管理しない状態で放置するわけにはいきません。自転車道など何らかの改修か、完全撤去のいずれかが必要です。
 JR北海道の深名線ではJR直営で代替バス運行していましたし、人家がまれな沿線なので完全撤去の必要性は低いので、可部線のケースに比べると比較にならないほどマシでしょう。一般的な通学定期の激変緩和措置も可部線では行われない様です。鉄道経営におけるモラルハザードといえる状況でJR西日本は可部北線を廃止しようとしています。

 一方で地方自治体にも問題があります。JRの内部補助に頼ることで身銭を出さずに公共交通機関が維持できているのです。可部北線が廃止に至った背景には、駅舎改築を自治体が行わなかった(ここ10年ほどの間、芸備線や姫新線、津山線などでは沿線自治体が多額の負担を行い駅舎改築・新築が多くで行われている)。また、キハ120の配置では駅トイレが未整備だったために反対活動を行って、結局流れてしまった経緯があります。さらなる背景には河川改修で可部線だけが取り残されていた点もあり、第3セクターへ移行できたとしても、存続には多額の設備投資が避けられない状況がありました。

 老朽化した地上設備を抱えているJR私鉄問わないローカル線に対する上下分離の発想による新たな助成制度が必要でしょう。私の考えとしては、「富の再配分」という税の発想により、道路特定財源を改めて、鉄道施設に対する固定資産税など公共交通機関全般を一元的な特別財源とすることで、公共交通全般の施設整備(場合によっては運営補助を含む)、権限は県レベル(もしくは複数の県が統合した州レベル)、ということでモードごとではない包括的な財源確保を目指さないと、地方における公共交通の改善は難しいというのが実感です。

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2004.11.02 Update


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