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(過去ログNo.123)
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新聞記事から斬る2003年大手民鉄点描
 投稿者---551planning(2003/10/08 15:09:59)

新聞記事から斬る2003年大手民鉄点描
└阪急小噺…「9ちゃんファミリー」って?
売上か輸送人員か…東急に関する面白い記事読みくらべ
└おけいはんの逆襲

 『私鉄曲がり角 苦心の集客策』 10/07付讀賣朝刊経済面にこのような題字の記事が載りました。中身を見るとちょっとうーん…あまりにやっつけ仕事でして、そうであればと触発されました!そこで最近の大手民鉄にまつわる話題を拾ってみたいと思います。

http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20031006ib26.htm

 先ず記事からですが、「民営鉄道の経営が岐路に差し掛かっている」との書き出しで、少子高齢化や景気低迷による輸送人員減少に歯止めがかからないことから各社は利用客取り込みに苦心しているという内容。「車の普及もあって地方では都市部より旅客の落ち込みが激しく、民鉄の事業環境は厳しい」との吉田民鉄協会長(南海会長)の言を引いておきながら、取り込み策としては
  ・京成の新車導入(ブロック成型による部品点数減少・軽量化、環境配慮を訴えるもの)
  ・京急の品川改修(新幹線開業対応と高齢者配慮等)
  ・小田急のグループ共通カード発行(グループ総合力結集)
と、関東民鉄の話題に終始しています(これとは別にリストラ策として東武の貨物撤退も写真つき囲み記事で掲載)。

 民鉄協サイトでは2002年度の営団を除く大手15社の輸送実績が紹介されており、トータルでは対前年比△1.1%となっていますが、近鉄の△3.0%をはじめ関西各社で軒並み2%台の落ち込みなど下落傾向が続いており、一方関東では東急・京急・京王がわずかながら増加基調になっている事から見ても、本当に問題視すべきは民鉄協会長も触れているように地方圏の状況であると云えましょう。

民鉄協 http://www.mintetsu.or.jp/news/news/030728/data_01.html

***
 では記事にできないほど話題がないのか…そこで最近の点描をば。8月発表の第一四半期概況及び各種リリース等から拾ってみました。

【東武】  「東武グループ再構築プラン」に基づく経営再建策を推進中。3/19「半直」開始をバネに鉄道主軸の経営へ。9月一杯で大手民鉄唯一で残っていた貨物営業を廃止、駅業務の分社化やバス事業再編といった効率化も進める。ちなみに池袋の東武百貨店本店は売場面積日本最大級を誇ってきたが、9月に名古屋松坂屋本店増床でその称号?を明け渡したのも話題に。
【西武】  大きな話題とすればライオンズV逸、監督交代くらい…?ただSARS禍やスキー・ゴルフ人気低迷によって「本業」レジャー部門の業績がパッとしないところも気掛かり、ゆえに東海道新幹線品川開業にかける期待は大きそう。バスは高速・空港路線を中心に堅調の由。鉄道では9月の池袋線「無人暴走トラック」による脱線事故も記憶に新しいところ。
【京王】  いまや「陸の王者」の貫禄さえ備わってきた?業界の雄。ビジネスホテルや新業態スーパーなどを非沿線地域で展開、PFIで生涯学習施設運営など、堅実さに加え進取性も。バス事業展開が活発で、空港路線、中央道高速に加え大阪進出、分離子会社名も10月に再編(東武に倣いつつ、「東・中央・西」と英語にしなかったのは?)。ところで調布連立に絡み談合疑惑浮上は今後どのような影響に…。
【小田急】  去年の大幅ダイヤ改正効果が浸透、今春には湘南急行を初めとする輸送力増強が実施される。全駅での定期券発売化や横浜銀行ATM設置なども進む。小田原駅改良工事が完成、複々線化工事も前進中で、高架下レンタル収納スペース業も積極展開。自動改札機連動型情報配信サービスgoopasによるグループ連携企画も進行。新型ロマンスカー製造も正式発表された。
【東急】  「半直」始動、多摩田園開発50周年、来年にはMM21線直通など、エポックメイキングな年に。大井町線改良も本格化、鉄道基盤テコ入れはまだまだ続く。経営再建途上で主要子会社の完全子会社化も進展、民鉄グループ最大の事業規模の再生に注目。東急百貨店東横店では好評のフードショウに次いで伝統ののれん街が完全リニューアルした。路線バス事故が相次いだのは心配。
【京急】  品川変革に遅ればせながら乗っかった感じ。乗降客も2000人は増えるとの皮算用も、羽田シフトダイヤ改正、空港駅好調で真実味あり?バス事業再編で10月に完全分社化、空港路線に加え大阪進出など展開も活発。その他グループ会社も主体的な動きを求められているようで、いろいろな施策が総花的に出てきている点は今後の動向を待って評価したいところ。
【京成】  こちらもバス会社分離独立。都内に自前で操車場を確保してのアクアラインバス本格化も注目。ただし本業の成田輸送でSARS禍の影響が心配される。船橋市内連続立体化工事が進展するほか、12年振りとなる完全新型通勤車3000形を導入、阪急に次ぐ「リース導入」も話題に。なお7月に京成不動産を吸収合併、名実共にOLCの筆頭株主になっている。
【相鉄】  持株会社体制への移行を最終目標とするグループ新経営管理体制構築が進展中、早々と今期無配を発表している。横浜駅開発と沿線開発という本業である不動産事業の両輪の建て直しが今後の課題だが、今春にはスト直前まで行くなど労使関係の微妙さも伺える。8月にダイヤ改正を実施、ラッシュ時のスピードアップと日中の増発により車輌管理のスリム化へ。
【営団】  3月に営団最後となる半蔵門線延伸を無事終え、パスネット浸透による定期外利用客も増加。来年に迫った「東京地下鉄」誕生へ向け、毎月1回新聞に1面広告を展開するなど積極的な特殊会社化アピールに努めている。付帯事業動向も活発で、ローソンとの提携による構内コンビニ再編も話題となった。都心最後の大型幹線というべき13号線の動向も目が離せない。
【名鉄】
 中部国際空港アクセス鉄道関連工事も進展、一方で末端線区廃止や岐阜市内線の動向も気に掛かる中で、パトカー電車やリバイバルカラー電車などの話題も。しかしながら何といっても6月に発覚したバスの「無免許身代わり事件」からの一連の不祥事が社会的信用を大きく毀損させた。経営再建途上、地元密着施設の休廃止の嵐の中、頼みの空港・愛知万博対応も懸念される事態が気掛かりだ。
 
【近鉄】  新「近鉄グループ経営改善計画」を推進中、9月には当初予想より増収増益となる見通しも発表された。アーバンライナーnextによる名阪特急テコ入れも進行、構内売店の積極的な出店など、さまざまな囲い込み策に取り組む。バス事業も高速バス路線に活路を見出すか。残るは長期低迷を続ける伊勢志摩観光の抜本的改善だろうか…先は長い。三重での列車妨害事件も記憶に新しい。
【京阪】  京阪グループ新生計画Re-Born21による経営改革の下、前期復配に戻し積極策を次々展開中。9月には交野線直通列車新設など本線白紙ダイヤ改正を実施、大津線の自立化も進めている。乗務員部門の分社化も実施へ。付帯事業もジューサーバー首都圏進出など主体的展開が見られる。スルKANICカードPiTaPaに対応、グループカード導入でマイレージサービスも実施へ。
【阪急】  宝塚ファミリーランド閉園などの大型リストラ策断行に一段落、鉄道では宝塚線ダイヤ改正や京都線洛西口駅開業・新型特急9300系登場が話題に。グループ結束の掛け声の中、独特の個性的なカラーリングだった能勢電鉄車輌のマルーン化も話のネタに。ブックファースト・スタッフィの首都圏浸透も地味ーぃに図る中、TBSブリタニカ買収による出版業本格進出も注目。PiTaPa展開動向が気になる。
【阪神】  何と云っても、タイガース18年ぶりのリーグ制覇!優勝を目前に通期予想の改善発表も行われ、百貨店の優勝バーゲンも大きな話題に(まさしく京王は漁夫の…?)。阪神パーク閉園などのリストラ策が進められているほか、悲願の難波進出へ向け尼崎駅改良など西大阪線延伸関連の各種工事がスタート、女性専用車両導入も。ともあれ、日本シリーズにとりあえず期待。
【南海】  2月のダイヤ改正で看板特急ラピートのノンストップ廃止などの策に出た肝心の関空輸送がSARS禍直撃に沈み、創生120計画に基づく経営再建過程では苦しい情勢。タクシーや観光バスの譲渡、旗艦であるサウスタワーホテルも外資ラッフルズ傘下とするなどの大幅リストラ策断行の果てに、まさに企業存亡を賭けた難波再開発「なんばパークス」成功に全勢力を注ぐ。
【西鉄】
 本業のバス事業再編も最終段階を迎え、直轄の福岡地区以外は総て分社化、高速バス部門も弾力的に子会社への配分を実施。鉄道では主要駅の改築などバリアフリー対応を積極的に展開、ホテル事業もビジネスホテルの東京出店など多角展開を始めた。グループ内横断組織「西鉄ブランド委員会」設置など、付加価値の見直しによる競争力向上にも貪欲だ。
 

***
 確かにこう並べると関西民鉄の旗色が悪く映りますね…ただし京阪や阪急はもう少し話題になっても良い様な。PiTaPa進行状況も気になりますが、そういう意味でも大きな話題には間違いなく。関東でもJR・バス横断でのICカード導入も発表されていますし。また、近鉄の特急再生もそうですが、記事で小田急を拾うなら丁度同日発表になった新型ロマンスカー正式導入決定の話題を載せてもとも思いました。

阪急小噺…「9ちゃんファミリー」って?
 投稿者---551planning(2003/10/08 15:09:59)

 阪急京都線に6300系以来四半世紀を越えて登場する特急車両9300系。その優美というか何と云うか、独特なフォルムはド級の側面窓とあいまって「金魚鉢」なんてな呼名も得ているようではありますが、そんな最中に阪急からこんなリリースが出されていました。

京都線新型特急車両9300系デビュー記念「阪急電鉄9300系オリジナルグッズ」を発売します。〜イメージキャラクター「9ちゃんファミリー」も登場〜
http://www.hankyu.co.jp/ir/data/200309121N1.pdf
(参考)京都線新型特急車両9300系の運転開始日の決定について
http://www.hankyu.co.jp/ir/data/200308121N1.pdf

 ん?「9ちゃんファミリー」ってナンだ?
 そういえば以前営団小噺と題し営団各線の擬人化について御紹介したことがありますが、今回はそれを越えた?と云いましょうか…。

おじいちゃん 【ひゃくぞう】 100形
おばあちゃん 【おせん】 1000系
おとうさん 【ろくぞう】 6300系
おかあさん 【ななこ】 7300系
おにいちゃん 【はちまる】 8000系

 その昔、国鉄「燕」とデットヒートを繰り広げた祖父、新幹線と渡り合った父を持つとは、阪急特急は男性的な香りのする印象ですか。さすがは宝塚歌劇を擁するところですね。あ、2800系は縁の下の力持ちな伯父さん、といったところでしょうか。 芦屋令嬢?1000を射止めたオジイサン、3300・5300といった年増…淑女ではなく7300を選んだオトウサンはさすがですね。お兄ちゃんはいろいろな顔を持っているようですが、何で8300ではなかったのでしょうか?
…ところで9300系の名前は?「きゅうまる」では面白くないでしょうし、ねぇ。

営団小噺 log064.html

売上か輸送人員か…東急に関する面白い記事読みくらべ
 投稿者---551planning(2003/10/27 22:44:20)

 10/27(月)、大手民鉄のトップを切って東京急行電鉄が9月中間決算を発表しました。ただし単体のみの発表で、連結決算は1ヵ月後の発表となります(東急は従前より連単同時発表せず)。
 決算短信はまだ見ていませんが(翌日に東証サイトで掲載、及び自サイトでも開示されるはず)、速報記事が2点出ています。

東急9月中間、単独最終赤字395億円(日経10/27)http://www.nikkei.co.jp/…

 こちらは当方も先の名鉄に関する投稿で軽く触れているように、東急建設完全子会社化に伴う子会社株式評価損発生に加え、裏磐梯グランデコの東急不動産への売却損などにより総額887億円の特別損失が計上されたためですが、売上高も付帯事業の縮小により前年同期比20%減となっています…それにしても裏磐梯は一時期かなりのブームになったものですが、スキー人気の凋落に一瞬の煌めきとなってしまったようで。

東急電鉄、輸送人員が過去最高に 地下鉄連絡など奏功(朝日10/27)http://www.asahi.com/…

 さて、気になる本業の鉄道事業はこの朝日記事の通り輸送人員が半期ベースで1992年度を400万人以上上回る4億9,833万人で過去最高を更新、年度予想もまさしく大手民鉄の輸送人員減少への転機となった91年度の300万人超となる9億7,775万人での更新を見込んでいるそうです。これは云わずもがなの目黒線に始まる大規模改良工事が結実に向かっている事に加え、大井町でのりんかい線接続化、田園都市線の急行増発や六本木ヒルズ効果も大幅上乗せに繋がったと見ているようです。
 ただし、日経記事には鉄道工事費用増や不動産販売減少による経常利益15%減を伝えており、手放しでは…という状況にあることも注意が必要かと。

***
 当方自身はたまたま日経→朝日の順に見たので、朝日記事の手放しぶり?にちょっと戸惑ったものではありますが、一方として一昨年あたりから東急・京王・京急などでの輸送人員減少の「底入れ感」が見えていたこともあるだけに、その流れの伸長には感慨を覚えるものです。ただし、新線効果や値下効果というように各社の理由は明白なところ、全社的な流れでない、特に関西圏においては…という実状もある、それが基投稿の主旨でもあるだけに、改めて記事から受ける印象に思いを馳せたのでした…。

おけいはんの逆襲
 投稿者---551planning(2003/11/11 23:58:48)

 淀屋けい子さんは転勤、だそうですが…。

 依然として苦しい経営状況でありますが、当社では、このように「京阪グループ新生計画Re-Born21」に沿って経営改革を進め、V字回復をめざしています。本年度を京阪グループが「利益ある成長」の軌道に乗るための足がかりの年として恵まれたビジネスチャンスを生かすとともに、有利子負債の圧縮など財務体質の更なる健全化にも力を入れ、経営基盤の強化に努めてまいりますので、みなさまには一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

京阪電気鉄道 第81期(15年3月期)事業報告書 社長挨拶より一部抜粋
http://www.keihan.co.jp/news/kcompany/news/ghokoku/data/81kimatsu.pdf

 経営再建計画途上、今年を「利益ある成長」の軌道に乗るための足がかりの年と定めた京阪グループの動きが目覚しいです。将来の持株会社化を念頭とした端緒として事業役員制度導入による経営機構再編を実施、瀬戸大橋与島フィッシャーマンズワーフ撤退が話題となった各種リストラ策も先日には主要旅行会社である京阪交通社再編の発表もなされたように深度化する一方で、主要駅での商業施設整備やジューサーバーの首都圏進出などの積極展開もなされています。本業の鉄道事業では9月に白紙ダイヤ改正実施の傍ら大津線系統のワンマン化(将来的の分離子会社化もアナウンス済)や乗務スタッフの契約社員採用実施などの策も進められています。近々にはICカード「PiTaPa」システムによる新ハウスカード「e-kenetカード」の稼動、さらには将来には中之島新線延伸というビックプロジェクトも控えるなど、体力回復と活性化が着々に進展している事を伺わせます。
 というところでこんな話が出ていましたね。

京阪電鉄、東証上場へ 06年の3月までに(共同11/08)http://headlines.yahoo.co.jp/…

 記事にもある通り、これまで京阪と南海が東証に上場していなかったのですが(蛇足ながら箱根登山・富士急と新京成が1部の先輩?ですね)、大証が自らのゴタゴタ含め規模の縮小傾向にあることから東証を目指すのも納得なところ、もうひとつは先述のジューサーバーではないですが、ひょっとして首都圏進出の策がいろいろとあるのかもしれません。

***
 ところで冒頭にも触れましたが、(関西では)イメキャラとしてすっかり定着している「おけいはん」さんが置換…もとい代替わりだそうで。今夏首都圏では小田急ロマンスカーのイメージCMとCMソング(ロマンスをもう一度)が密かな話題となりましたが、関西圏ではこのおけいはんシリーズで流れたその名も「中之島ゆき」の歌うCMソング(「出町柳から」/「朝靄の京橋で乗り換え」)がブームになったとか…続編なんて話も出ていますが、どうなったものでしょうか。
 個人的にはこうした企画モノで思い浮かべるのは、実写板ではないですが「マンスリーとーぶ」で毎月沿線スポットを紹介してくれる「業平あずま」ファミリーでしょうか。短大生あずまのイラスト日記帳風紹介コーナーですが、彼氏あり友人もワールドワイド(結構外国人が出てくる)と奥行き(というかやたらめったらな広がり?)のある展開がイラストともども微笑ましく映ります…。
 さて、2代目「京橋けい子」さんは新米教師としての学園シリーズ!だそうですが、「枚方パーク学園」はいささかやりすぎか…と思う、「おけいはん=伊武雅刀」イメージから抜け切れていない当方なのでした。

「京阪のる人、おけいはん。」の人気CMシリーズが刷新 学園シリーズに“おけいはん先生”登場
http://www.keihan.co.jp/news/kcompany/news/news03/2003-11-06.pdf

おけいはん CM曲快走(朝日06/10)http://mytown.asahi.com/…
マンスリーとーぶ「私たちが業平ファミリーです」
http://www.tobu.co.jp/monthly/november2003/narihira11.html

気掛かりな名鉄グループの彷徨
 投稿者---551planning(2003/10/21 16:45:51)

気掛かりな名鉄グループの彷徨
└Re:気掛かりな名鉄グループの彷徨
 └ウロな補足で恐縮ながら
└Re:気掛かりな名鉄グループの彷徨
 └言葉足らずの訂正

 9月中間決算記者発表が1ヵ月後となる中で、民鉄各社から業績予想修正が発表されています。全般的に経費削減効果による上方修正となっており、京成は鉄道部門でSARS禍を乗り越え半蔵門線押上延伸効果等により当初見込みを上回る見込み、東急は東急建設の処理に伴う子会社株式評価損を織り込んだ当初予想を連結ベースで大きく上回る中間純利益計上見込みとのこと。
 その中でも名鉄が20日付に発表した単体業績修正は注目です。

会計基準を変更特別利益130億円 名鉄の3月期単独決算(中日10/21)http://headlines.yahoo.co.jp/…
業績予想の修正に関するお知らせ 
http://www.tse.or.jp/DISCLOSE/pdf/daily/20031021_4a14043_9048.pdf

 中日記事は端折られている分よく判りにくい(納税義務が発生するので会計上特損処理していたものを時価会計の観点から特利とする…とはめちゃくちゃな文章!)ので補足すると、それこそ「旬の話題」である連立化や踏切拡幅工事などで国や地方自治体から工事負担金として一部支出補助を得ているものについて、従来は当該工事によって取得した固定資産(高架橋なり踏切舗装部分など)の計上額からその相当分を差し引く処理をしていたもの(法人税で云う圧縮記帳)を、取得固定資産をそのまま計上する代わりに負担金をそのまま利益に残す、という話(厳密にはちょい違うが…)です。

(従来)
 工事負担金受入  現金入金 100/工事負担金受入
    (特別利益)
100    
 固定資産取得  固定資産 100/現金支払 100    
 圧縮記帳  工事負担金受入圧縮
  (特別損失)
100/固定資産 100     【当期計上】  特別利益100
 特別損失100
 
(会計処理変更後)
 工事負担金受入  現金入金 100/工事負担金受入
    (特別利益)
100    
 固定資産取得  固定資産 100/現金支払 100     【当期計上】  特別利益100
 固定資産100

 圧縮記帳をしないことで特別利益が丸まる発生する事から、これに直接的に法人税が掛かります。2通りとも正規な会計処理方法ですが、正直営利体としては損しているわけですが、裏を返せばそれだけ利益が欲しい、という事もできましょうか。
 名鉄は現在「名鉄グループ新中期経営計画」の下で再建途上であり、今年度の復配が絶対目標となる中、バスでの不祥事や先日は鉄道で新岐阜駅オーバーラン事故、幅広い関連事業も大規模なリストラの中で今年度撤退を表明していた御岳ロープウェイでの衝撃的な事故と、表現はさておき「ツキのない」状態が続いており、この会計処理変更が何を意味するのか…特に連結ベースの業績予想修正発表が先送りされているところから見ても大いに気掛かりなところです。

Re:気掛かりな名鉄グループの彷徨
 投稿者---くろ氏(2003/10/28 21:30:47)

 圧縮記帳の説明とても分かりやすかったのですが、「損してまで利益を出している」という点が背任まがいの行為に見え、当方とても心配になりました。

 それで少し調べた所、「圧縮記帳しなかった分、翌年度以降減価償却費を損金として計上でき、支払う税金が少なくなるので全体では損得なし」ということで納得したのですが間違いないでしょうか?(税金前払いによる利息分程度の損は残りますが)

言葉足らずの訂正
 投稿者---551planning(2003/10/28 21:53:15)

 くろ様の御指摘の通り、厳密には損得なしと行かずとも、一時の利益計上による税負担発生の裏返しとして翌年以降固定資産計上による減価償却発生に伴う損金計上での税負担低減となりますね。ただし当該固定資産の種類により概ね10年から30年程度に渡って低減されてゆく「であろう」(課税方法変更如何では…となるため)ことからも、背任とまではならずとも、傍目にはそこまでして当年度での利益確保が…と思ったまでですが。

 ともあれ、表現に言葉足らずな点がありましたことについては訂正させて頂くとともに、圧縮記帳するしないに関わらず正当な会計処理であることを強調させて頂きたいと存じます。御指摘有難うございました。

Re:気掛かりな名鉄グループの彷徨
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/28 18:50:58) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 今年の1月16日付で会計士協会が、鉄道業の工事負担金等の会計処理を「重要な会計方針」として取り扱うことにしたのも影響しているのかもしれません。
 ここいらはB/S上の固定資産が資産価値を正確に現していないことを重視したんでしょうか。

※「鉄道業における工事負担金等の圧縮記帳処理に係る監査上の取扱い(主として開示方法の在り方)」
  (業種別監査委員会報告第29号)

 そもそも論として、圧縮記帳と言うシステムは戦争中の企業合同における有価証券の受入益の繰延に端を発しており、補助金や保険金による代船取得時の評価差など、取得主義の原則化において「時局の要請」により評価益を計上、課税してしまうことを緩和する目的だったようです。
 工事負担金は性格上、その他資本剰余金なんですが、税務では特別利益になるため会計でも特別利益として取り扱い、見合いの圧縮記帳による特損計上をぶつけているようで、結果として実態との乖離を呼んでいます。

 まあそれはそうとして、少々の利益を出しても税金と言う外部流出の心配が無いという悲しい事態があるわけで、かつ、一般論として、銀行でこれが問題になっていますが、利益体質を出しておかないと繰延税金資産の取り崩しといった問題も見え隠れするわけで、利益を少しでも拾おうという方針でしょうか。

 まさか資産を膨らますことで、という某公団のような論点があるとは思えませんので、これは杞憂でしょうが。

ウロな補足で恐縮ながら
 投稿者---551planning(2003/10/28 21:23:43)

 エル・アルコン様、フォロー有難うございます。当方自身もウロのトコロが強いため識者の御回答に期待したいところですが、ちょいと補足までに。

 まず会計士協会の監査上取扱公表については下記サイトにもある通り、『本報告の作成過程において、工事負担金等の現状を把握するため、調査を実施しましたが、会計処理はより保守的と考えられる工事負担金等を直接減額する方法が多数でありましたが…』とされており、名鉄自身も上記方法に拠っていた(当該取扱は2002年度決算から適用、決算短信・有価証券報告書で注記されている)ことから経緯はあれど処理事態は正統のものであると云っていいでしょう(ココはまぁ当然のところではありますが)。

JICPA http://www.jicpa.or.jp/technical_topics_reports/004/004-20030116.html
名鉄2002年度個別決算概要(p6参照) 
http://www.meitetsu.co.jp/profile/zaimu/pdf/z_kobetsu7.pdf

 圧縮記帳処理は収用等による代替地取得等でも一般的なところとなっており、税務処理としては特殊な中でも云わば「使いがいのある」ものであるだけに、改めて会計処理上の取扱方が定められた事で透明性向上が図られるのは望ましいことと考えます。

 まあそれはそうとして、少々の利益を出しても税金と言う外部流出の心配が無いという悲しい事態があるわけで、

 この部分については、蛇足ながら前期発生の繰越欠損金の存在を意しているものと思いますが、云わばこれゆえに(少なくとも)当年度の納税負担について現実的にこれがないであろうものとはいえ、会計方針の変更はおいそれと変えられるものでもないので、将来的の税負担をどのように考えているのかと。土地再評価を適用していることを含め将来の減損会計の影響可能性等を見越してのものなのか、再建計画上当期復配が前提となっている中で益出しがままならない状況に切羽詰ってのことなのか…名鉄百貨店吸収合併の流れ然り、いずれにせよ気になります。

2004.11.02 Update


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