【検証:】常設板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.034)
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嗚呼、京福…
 投稿者---551planning 投稿日時:2001年6月25日 00時28分
嗚呼、京福…
└安全が担保できないのなら...
 └Re:安全が担保できないのなら...
  └Re:安全が担保できないのなら...
   └補遺
「安全第一」の難しさ
└Re:嗚呼、京福…
 └Re:嗚呼、京福…

 6/24夕、昨年12/17に次ぎ、京福電鉄福井支社(越前本線)がまたしても正面衝突事故…。
 正確な事実確認がなされる前の言動は避けるべきながら、各種報道によると行き違い列車の冒進が原因と思われ、昨年の事故(ブレーキ故障)よりも現業員の判断に因るところが強い可能性が指摘できそうである。
 京福福井支社管内では路線維持のため、慢性赤字幅の大きい永平寺線の廃線がほぼ確定しており、越前線も第3セクターでの存続かバスへ転換かの瀬戸際に立たされている、非常に苦しい経営環境にある。そんな中補助を持って待望の新車(車体載替)が導入されたり(現場の映像ではその新車がぶつかっていた…)、路線維持を目的とした市民グループが相次いで結成されるなどの状況があっただけに、関係者のみならず「失望感」は今後広がってゆく事が懸念される。

 それよりも衝撃なのが、国交省によって全線の運行停止指示が出され、京福がこれを受け入れ、バス輸送に振替える決定をしたということ。半年のうちに2度の重大事故を起こしたのは事実だが、行政による運行停止の指示というものは今までにあったのだろうか。この措置が継続されるものなのかどうかは不明だが、例は異なるにせよ、風水害による復旧を待たずに廃線処置が取られた地方私鉄は各地にある。「鉄道事業者」としての京福の存在意義が、今後まさに問われることとなろう。
 自ら撒いた種と言ってしまえばそれまでだが、茨の道を進まざるを得なくなった同社。沿線各関係者には、慎重な対応を願いたいものである。

安全が担保できないのなら...
 投稿者--- エル・アルコン氏 (ホームページ) 投稿日時: 2001年6月25日 12時40分

 京福が半年に2回同種の事故、しかも正面衝突という言ってみてば「前近代的」な事故を起こした意味は、鉄道システムと鉄道事業の根幹にかかわる問題です。
 クルマなどに比べればまだ安全という向きがあるかもしれませんが、「本来有り得ない」事故が2回発生するなんてことは、クルマの世界でもまず見られないことです(1回はあっても、時間をやや置いて2回起こることはまず無い)。

***
 まず、鉄道システムという点では、交換駅を盲進して衝突した普通電車にはATSが付いていたが、地上子対応が無いため作動しなかった(中日新聞HPより)ことから、宝の持ち腐れ状態を放置してきたことを指摘できます。
 同社の場合、地上側が対応している区間でも、車両側に無いケース(衝突された急行電車)があるため、地上側で対応していない区間のみならず、全線においてATSのバックアップが期待できない状態にあったということです。
 運転士個人の責任を追及することも大事ですが、保安システムというものは、もし本件が運転士のミスであったとしても、こうしたヒューマンエラーの発生を前提にしたバックアップ体制、いわゆる「フェイルセーフ」の観点で組むことはもはや常識です。

 さて、交換駅で交換しないで盲進した本件ですが、機械的な防止装置であるATSは未設置でしたが、信号とダイヤという2つの確認事項をどちらかでも守っていれば防げました。現地のダイヤは不明なのですが、今回衝突された電車が「急行」ということは、交換駅が通常パターンと異なっていたのかも知れず、「ここでの交換は無い」という思い込みの介入する余地があるかもしれません。
 また、車掌がいれば発車時間前に戸閉扱いをして出発することも、2人揃って同じミスをしない限り無かったはずですが、だからといって2人乗務に戻すわけにも行かず悩ましいところです。

 信号については、故障していない限り赤信号を盲進したとしか考えられません。
 ただ、ごく稀に、場内進入時に過走によるポイント割り出しを防ぐために本線を開通させておくケース(停車後に交換列車が通る反位側を開通させる)があり、その際には出発信号機の現示は青→赤になります。
 万が一この駅の信号がそういうシステムであった場合、運転士が錯覚するおそれがあります。

***
 さて、鉄道事業についての問題ですが、同社の越前本線・永平寺線はだいぶ前から東古市以遠の廃止を巡って地元と協議が続いていました。こうした状況下で廃止対象区間への設備投資が等閑になっていたことは否めないでしょう。
 もちろん同区間の維持が会社経営を左右する問題であることも事実であり、結果として安全対策費ですら一般のコストと同列に扱わざるを得なかったのでしょう。

 京福のみならず他のローカル私鉄においても事情は同様であろうことは容易に察しがつきますが、安全の根幹とまでは行かずとも、車両整備において必要以上のコスト削減をしたり、旧型の車両や設備を騙し騙し使っているケースは地方ローカル私鉄に限らず見られます。
 些か旧聞に属する話ですが、日本最大の鉄道会社で、旧型の通勤電車を使い続け、しかもメンテが悪かったようで、特定の路線(=特定の車両基地)において故障が多発し、挙句の果てに乗客が負傷する重大事故を車両側の事由で引き起こしたこともあります。

***
 厳しい話ですが、せめてATSという機械によるバックアップすら取れない事業者は、残念ながら退場していただくしかないのではないでしょうか。技術的にATSを設置できない鉄道というものは無いの以上、「安全は総てに優先する」のであり、現在「最低水準の」保安設備であるATSすら設置できない事業者は安全を総てに優先させていないことに他ならないからです。
 そうしたら事業が成り立たない、と言うかもしれませんが、鉄道事業は安全が確保されてはじめて出来る事業であり、それが担保されていない限りお客の生命・財産を預かる方がおかしいのです。

 なお、この問題は存亡にあえぐローカルの事業者のみならず、「規制緩和」の錦の御旗の下に参入する事業者にも当てはまります。
 十分な市場確保(=収益確保)をしていない段階で競争力をつけるには、提供するサービスレベルを削るどころか厚巻きにするしかないので、よっぽどお旦(投資家)を確保しているか、コストを削減するしかありません。ここで安全関係の費用も聖域無く削減してしまうと、同じ問題になるのです。

 安全を他と天秤にかけた最も悲劇的な末路は、米国の某航空会社でしょう。
 ハイレベルのサービスと激安運賃で市場参入しましたが、立て続けに2度墜落事故をおこし、多数の犠牲者を出して運行停止に追い込まれ破産しました。

***
 今回、中部運輸局が運行停止の指示を出しましたが、事業者、監督官庁、そして利用者の間の暗黙の了解である「安全の最優先担保」に疑念が生じてきているとすれば、悲しむべきことですが今後は積極的な介入・運用が必要になるのでしょう。

Re:安全が担保できないのなら...
 投稿者--- 打越健太郎
氏  投稿日時: 2001年6月25日 19時03分

 こんにちは。打越健太郎です。

 いや、全く同感です。感覚的に「こんな鉄道乗りたくない!」と、もの凄い嫌悪感を覚えました。わずか半年の間に一度ならず二度までも大事故を起こすというのは、もはや「百年の恋も冷める」という域に達しています。鉄道ファンの僕が完全に見限ってしまうレベルの大失態で、これで金を取って一般の市民を乗せようなどというのは「甘えるのも大概にしろ」と言いたい気分です。半年で2回も事故を起こすというのは、何か技術的な欠陥でもあるのか、それとも運転要員の教育がうまくいっていないのか・・・今後、たとえ鉄道は廃止しても京福という会社は残るのでしょうが、こんな会社には係わりたくない思いで一杯です。

 本県にも日立電鉄という私鉄があります。前にも論じたようにこの鉄道、日立駅に通じていないという弱点があり、それほど乗客が多くなかったのでかなり以前からワンマン運転をしています(鉄道では日本初です)。で、必要性を疑うほど大がかりなATS等が整備されています。日立製作所の子会社という恵まれた立場ゆえと言えなくもないですが、本来この程度の安全性確保は(鐵道に限らず)人様の身体を預かる以上の当然の義務というべきです。ワンマン運転はする、安全装置は不十分というのでは、安全性を置いてけぼりにしていると誹られても反論できますまい。いや、反論の資格が無いと言うべきです。

 厳しい話ですが、せめてATSという機械によるバックアップすら取れない事業者は、残念ながら退場していただくしかないのではないでしょうか。技術的にATSを設置できない鉄道というものは無いの以上、「安全は総てに優先する」のであり、現在「最低水準の」保安設備であるATSすら設置できない事業者は安全を総てに優先させていないことに他ならないからです。

 賛成です。最低限の安全性も確保できず(しかも乗客は乗ったが最後、自衛の方法が無い!)に市場に参加しようという方が間違いでしょう。京福は鉄道免許を剥奪されても文句は言えないとすら考えます。前回・今回とも乗客に死者は出ず(前回の死者は運転士)不幸中の幸いでしたが、こんなものはたまたまの偶然、極端な言い方をすれば、乗客に万一のことがある前に潰したしまった方がまだマシとも言えてしまいます。哀しいことですが。個人的な意見を言えば、京福福井の路線はLRTを福井市に導入するのに打ってつけなので維持したいのですが、誰か京福でない事業者が経営してくれない限り、潰してしまった方が良いのかもしれません。危険を内在させたLRTなど、誰一人として望まないでしょうから。

 なお、この問題は存亡にあえぐローカルの事業者のみならず、「規制緩和」の錦の御旗の下に参入する事業者にも当てはまります。
 十分な市場確保(=収益確保)をしていない段階で競争力をつけるには、提供するサービスレベルを削るどころか厚巻きにするしかないので、よっぽどお旦(投資家)を確保しているか、コストを削減するしかありません。ここで安全関係の費用も聖域無く削減してしまうと、同じ問題になるのです。

 これに関しては、市場原理主義者の言い分は以下のようなものですね。

「そんな会社は消えて無くなる。また経営者も徹底的な責任追及を免れない。だから市場に委ねて大丈夫」

 これは実際の社会と乖離しています。というのは、確かにこんな会社は市場で勝利は得られないでしょう。しかし、不十分な安全対策でも事故が起きない時は起きないので、変なところでリスクをとってハイリターンを狙う輩は、必ず存在します(だからギャンブルというものは無くならない)。また、京福の例を見るまでもなく「潰れそうだから」といって潔く市場から退場しないで、重要な事柄に関して手を抜いて市場に参加し続ける輩も存在するでしょう。更に言えば、エル・アルコン様や僕の想定する「会社が潰れそうなので手抜き経営」という前提も、実は甚だお人好しの予想かもしれません。大幅な黒字を出しながら更に儲けようと衛生対策を怠り、腐った牛乳を売った某大企業がありましたね。

 ではこんな会社、また経営者がどう責任をとるか。会社が賠償責任を負ったところで、賠償金を払えない場合には払えないで終わりです。せいぜい潰れるだけ。潰れたらもう、会社の責任は問いようがありませんね。経営者は? こちらも同じ。徹底的に取り立てると言っても、では経営者が本当に飢え死にするまでの取り立てなどということはできるはずが無く(そんな取り立ては違法です。債務者の生活費は、債権者と雖も手を出せません)、また無理に取り立てようにも何兆円等という賠償債権は完全な空証文、何の意味もありませんね。
 つまり甚大な責任を負った者は、結局責任など取れないのです。言い換えれば、極端に大それたことをした者は、絶対に責任など負わない(負えない)のです。刑事罰に至ってはもっと無意味ですね。責任者を刑務所に入れても、それは責任者の衣食住を国が丸抱えにするだけ、そんなものは責任追及とは言いません。「自由な行動、それに伴う責任」という前提自体が(特に「責任」という部分が)実は実現できない理想なのです。この辺りも「市場原理主義者」には考えて欲しいところです。

Re:安全が担保できないのなら...
 投稿者--- Tom氏 投稿日時: 2001年6月25日 20時05分

 こんばんは Tomです。

 私はあのニュースを聞いて、タイムスリップしたのかと思いました。
 1年間に2度の大事故なんて、冗談も休み休みにしてほしいですね。
 これは誰がなんと言っても京福の安全対策への認識不足により起きた事故だと思います。沿線の方々は国土交通省の命令によって突然足がなくなって大変だと思いますが、今の京福に乗り続けるリスクを考えれば納得していただけるのではないでしょうか。

 本県にも日立電鉄という私鉄があります。前にも論じたようにこの鉄道、日立駅に通じていないという弱点があり、それほど乗客が多くなかったのでかなり以前からワンマン運転をしています(鉄道では日本初です)。で、必要性を疑うほど大がかりなATS等が整備されています。日立製作所の子会社という恵まれた立場ゆえと言えなくもないですが、本来この程度の安全性確保は(鐵道に限らず)人様の身体を預かる以上の当然の義務というべきです。

 私も半導体屋さんなので日立製作所というのがどういう会社かはよく聞きます。
 この会社、信頼性評価にはとても気を使っています。分野は違うかもしれませんが、日立の製品は重電屋の気質が息づいているのか、デザインは大したことはないかもしれませんが、品質評価の手法は私どもの会社の信頼性品質管理部の人間をして「家電は日立を買いたい」と言わしめるほどです。そこの子会社なら安全性への配慮は納得が行きます。でも、鉄道屋なら日立電鉄くらいの配慮をしてもしすぎるということはないのではないかと思います。

 安全を他と天秤にかけた最も悲劇的な末路は、米国の某航空会社でしょう。
 ハイレベルのサービスと激安運賃で市場参入しましたが、立て続けに2度墜落事故をおこし、多数の犠牲者を出して運行停止に追い込まれ破産しました。

 アメリカは時に行き過ぎたことをします。証明されないことは信じない国民性でしょうか? ただ、結果をきちんと合理的に検証しようとする姿勢は見習いたいものです。 米国人は世界に冠たる市場主義者ですが、その反面PL法とか、懲罰的損害賠償請求というブレーキもきちんと用意しています。京福のケースは米国なら間違いなく懲罰的損害賠償請求の対象でしょう。 会社がつぶれたら救済の手がなくなりますが、その点については別のシステムを考えれば良いのではないでしょうか。

補遺
 投稿者--- エル・アルコン
(ホームページ) 投稿日時: 2001年6月26日 09時34分

 昨日の報道から気づいたことを少々

●思いこみが介在する余地
 普通電車が交換せずにそのまま発車してしまった駅は、朝夕1回ずつの交換があるそうです。やはり、朝の特急、夕の急行という「イレギュラーな」列車のみの対応であり、「発坂駅では交換など無い」という錯覚に陥ってた可能性があります。

●妙な配線
 NHKで見たんですが、発坂駅から福井方を見た映像が流れていました。
 同駅は相対式2面2線で、福井方に向かって左側の線が安全側線付きのポイントから本線へ合流する分岐側になっており、向かって右側の線が本線側になっています。
 ところが実際の運用は福井からの電車が左側に入り、勝山からの電車が右側から出る右側通行となっているのです。

 この配線で集中管理方式や転轍機を駅で管理する方式であれば、左側通行にして、勝山からの電車が到着するときは安全側線側を開通させ(福井からの電車がホームに入れるように開通させる)、交換列車の到着を待って本線側を開通させるはずであり、何らかのトラブルで発坂駅に止まらなくても安全側線で止めて本線に流出することが避けられます。
 その意味で本来の配線は安全を充分に考えたものになっています。

 しかし現実は要員削減なのか、福井方から左側の線に入る分岐側を正位とするスプリングポイントになっており、正位・反位を逆にして使用しています(なぜ右側通行にしているのかは不明) 。これでは安全側線の意味が無いばかりか、スプリングポイントということで容易に出発できます。もともとあった安全対策をぶち壊しにしたことも事故の遠因であることは否めません。
 なお、見たところ2灯式の色灯信号機を用いてますが、閉塞区間に他の列車がいれば赤信号を現示するようです。これを管理できるのであれば、なぜポイントと連動するシステムにしていなかったのか、これもATS同様実は効果がゼロに近づく中途半端な設備といえるのでしょう。

***
 以下雑感。
 昨日の夕刊フジの市場欄に、改正JR会社法の成立にマーケットが好感を寄せているという内容のコラムを見つけました。コラム自体は大量の政府保有本州3社株の放出をマーケットが受け入れられるかという観点から、法改正で提灯付けを狙う向きへ疑問を呈しているだけなのですが、その中で気になる記載がありました。

 それは、改正法の成立により、赤字ローカル線をさっさと切り離してより市場主義の経営が可能になることが材料視されているというくだりです。これはまさに話題の「未完の国鉄改革」で著者の葛西JRC社長が違和感を覚えた部分でもあり、「市場」と「利用者」(場合によっては「事業者」も含むでしょう)が決定的に対立する部分でもあります。

 こうした「マーケットの声」に傾聴しすぎて破局を迎えることが無いよう願いたいものです。「市場」は移り気ですから、市場主義でお留守になった蟻の一穴が大きなトラブルを招いたとしても、決して責任をシェアしてはくれません。そればかりか「対策や賠償で経営悪化が予想される」と手の平を返して資金を引き上げる、世に言うホットマネーであることを忘れてはいけません。

「安全第一」の難しさ
 投稿者--- 551planning 投稿日時: 2001年7月22日 23時34分

 日本最大のバス会社・西日本鉄道グループが今、「おかしい」…。昨年来バス運転手のケアレスミスからと思われる各種事故が多発、7月にはついに九州運輸局から再発防止の直接指導まで受ける事態となっている。中には現在開催中の世界水泳選手権の関係者輸送中に物損事故を起こしたり、乗客を乗降ドアで挟んでおきながらも警察への届出が遅くなったなど、一言では済まされない事象も発生している。

http://news.yahoo.co.jp/headlines/nnp/010717/loc_news/10450000_nnpnws018.html
http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/010719/dom/22160000_maidomc157.html

 モータリゼーションによる長期的なバス凋落傾向の中で、他社に先駆け積極的な子会社施策など事業のスリム化を進め、来年に迫ったバス事業規制緩和を目前に収益を支える高速バス事業までをも子会社化するとともに、域内100円運賃や高速バスでも1,000円バスで知られる、判り易い大胆な運賃体系を導入、まさに「背水の陣」となった昨年度は各種施策が実を結び、ついに20年ぶりに前年度実績を上回った。また、「わかくす号事件」も記憶に新しいところだが、従前から(事件)事故再発防止へ全社的な取り組みを行っていることでも知られている。
 ひとたびマスコミで取り上げられれば、普段ならば取り上げられないような些細な事故でも大きく取り上げられてしまう嫌いはあるかもしれない。しかしながら5日も6日も「事故」が起こってしまうのも異常だ。リストラの深化で技術を持った中高年層ドライバーの減少で、技術の継承が不十分な若年層が昔よりも過度な勤務についているため、との指摘もなされているが、そもそも人命を預かっている立場を、運転手および会社に十分わきまえてもらいたいところである。

 技術の継承…「原因」とされている若い運転士の「現状」が気にかかる…。正面衝突事故からまもなく1ヶ月、中部運輸局は7/19、京福電鉄に対して鉄道事業法第23条の規定に基づく「事業改善命令」を史上初めて出した。立入調査に際し、京福が去年12月の事故を受けて提出した改善策を適切に実施されていたかを重点的に調査、12月事故原因(ブレーキ系統の破損故障)である車両検査・点検は概ね実施されていたものの、線路幅の誤差が社内の基準を超えていたり、枕木の腐食やバラストの不足など、軌道・電気関係施設管理や運転士教育が不十分とされ、5項目の改善事項が指示されることとなったのである。
 京福には2ヶ月以内に改善策を取り纏めることとされており、中部運輸局の認証まではさらに時間が掛かるものと思われ、現時点での運行再開はまだ見えない…しかも改善項目としてATSの緊急整備が挙げられた。京福社長はATS整備は長期的課題とし、中部運輸局側も何らかの回答があるべきとしているが、国土交通省も来年度予算概算要求に経営基盤の弱い中小鉄道事業者などに対する安全確保諸設備整備への重点的補助を盛り込む方針ということで、ATS設置は今後最低限の基準になる可能性もある。京福の福井支社全線維持は事故云々の前に難しい状況であり、地元利用者との狭間で、京福は大きな踏み絵を踏まされることとなった、とつい感じてしまった。

中部運輸局による京福への事業改善命令 http://www.mlit.go.jp/chubu/soumu/tetsudo010719.htm

 司法の見解はATS云々をも飛び越えて、安全に対する厳格さを求めてきた。7/11松山地裁判決は警報機・遮断機のない第4種踏切で発生した人身事故に関して、見通しが悪く電車接近への危険性が高いにも拘らずこれを放置したとして、被告の伊予鉄道に慰謝料の支払いを命じるものとなった(伊予鉄は控訴方針)。

http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/010712/dom/09300000_maidomm161.html

 また、落雷によって遮断機が誤作動を起こすという踏切の故障に対し、これに気づかずに乗用車と衝突事故を起こしたとして、秩父鉄道の運転士他関係者が書類送検された。国土交通省鉄道局施設課も非常に珍しいケースとしているが、「必要なのはこうした不可抗力の事態に対応できる安全対策だ」と話していると…事業者はどこまで安全への網を張らねばならないのか、とも考えてしまう。

http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/010711/dom/06000000_maidomm139.html

 なお、今年1月の「新大久保事故」以降の各社取り組みが国交省サイトに纏められている。是非御覧頂きたい。

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha01/08/080719_.html

Re:嗚呼、京福…
 投稿者--- shibakei氏 (ホームページ)投稿日時: 2001年7月28日 10時33分

 551planningさん、ご無沙汰です。柴田です。

 京福電鉄、もう再建は難しいようですね。
 三セク移行にしても採算はとても取れないようですし、ATS設置する金もないですし・・・。
 栗原鉄道みたいにディーゼル化する方法もありますが、やはりバス代行化になってしまうのでしょうか。

Re:嗚呼、京福…
 投稿者--- Tom
氏 投稿日時: 2001年7月29日 08時04分

 京福が運行している福井の場合、福井市の人口が20万、それに加え京福沿線としては勝山市,永平寺町,松岡町,上志比村,三国町,芦原町,坂井町,春江町です。福井市以外の人口は知りませんが、京福沿線人口としてはせいぜい30万位でしょう。その割りに本線・永平寺線は国道が並行していますし、三国線は平野部の為道路はたくさんあります。おまけに福井自体が人口が減少傾向にあり、これから多大な投資をしても効果があるかどうかは疑問です。
 同じ福井市の私鉄でも福井鉄道の場合は鯖江・武生という産業があるところを結んでいますが、この点でも京福は弱いです。また、永平寺に参拝に行くのに京福を使う人はごくわずかでしょう。
 残念ですが、京福は鉄道路線廃止しかないのではないかと思います。

〔鉄道代替バス〕バス化するなら増便を
 投稿者---打越健太郎
 投稿日時:2001年7月1日 21時43分
〔鉄道代替バス〕バス化するなら増便を
└Re:バス化するなら増便を

 打越健太郎です。

 京福の事故、一体どのように処理されるのでしょうね。これまで「廃止」の噂が有ったのは越前本線の東古市以遠と永平寺線だけで、残る路線を活用して、福井鉄道とも連携したLRT導入が立案されていたわけですが、全線廃止、となってしまうのは悲しいことです(残るはずの部分は、決して経営状態が悪くない)。徹底的な原因追求と今後の交通体系の在り方について、冷静かつ真剣な議論が求められる所です。それにしても、ほぼ同一の地域に在る福井鉄道のほうは全く事故を起こさず、京福は半年で2回も酷い事故を起こす、というのは一体何なんでしょう。

 さて、京福に限らず、鉄道が維持できない、ないしは役割を終えたというのでバス転換が図られる例は多いですね。これ自体は止むを得ない事だと思うのですが、気になるのは「バス転換によって活性化した、という例を聞かない」ということです。大概は数年で減便となり、酷い場合には代替バス路線が廃止になってしまう例もあります。これに対して、鉄道を維持した場合には、廃止されたのは弘南鉄道・下北交通・のと鉄道に限られ、大概は利用客増、中には甘木鉄道のように黒字転換に成功した例すらあります。こんな点を見ても「鉄道はバスよりもインパクトがあり、利用される傾向にある」という仮説に至るわけです。個人的にはこの仮説を信じますが、実は鉄道を維持した場合にはもう1つ、活性化に繋がる施策が取られています。それは何でしょうか?

 実は活性化に成功した鉄道は、ほぼ例外無く増便・ダイヤパターン化・接続の改善を図っています。この典型例が前述の甘木鉄道ですね。国鉄時代には8往復しか走っていなかった路線に30分間隔のパターンダイヤを導入し、西鉄小郡駅の隣に駅を移設したのですから)。これに対し、バス化を図る場合、鉄道と「同数の」本数を運転しているに過ぎないようです。これはバス化された路線が活性化しない一因でしょう。もっともこれに対しては「バス化されるような路線は、そもそも利用者が殆どいないのだ。甘木鉄道と一緒にするな」と反論されそうですが、鉄道とバスとでは、ランニングコストは圧倒的にバスのほうが少ないのです。また、飽くまでも仮説ですが「バスは軌道が無いがゆえに、路線の存在感が薄い。これを補うには頻繁運転が必要だ」という説得力のある意見も存在します。ならば、ここは少々地元に頑張ってもらって、バス化するならば増便を図る、という実験を行ってみてはどうでしょう。それも1〜2本などの形式的なものでなく、最低でも30分間隔くらい、出来れば15分間隔くらいの大幅増便を図るというのは、1度実験の価値があると思われます。

 バスであっても活性化が出来る、というのであれば、地方においてかなりの無駄を出しながら鉄道を維持する必要性は薄れます。個人的には「ローカル線の廃止」というのは残念ですが、ここは発想を転換し、軌道計が有望かつ必要な大都市(東京など)や地方都市(県庁所在地など)に集中的に投資して、公共交通主体の都市を造るきっかけにもなると考えましょう。こんな手法も考えてみては如何でしょう。

Re:バス化するなら増便を
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年7月2日 01時02分

 ともです。やっと投稿がコンスタントにできます。

 さて、京福の事故、もうこれはお粗末以外の何ものでもないわけで、バッサリと断罪するのも今後の鉄道事業者に対する監督官庁の態度としてありうるので、なんか考えてほしいものです。

 ところで、バスによる活性化の話ですが、打越様の意見については、半分賛同、半分異論ありということでしょうか。

 まず、打越様も書かれていますが、バス化されるような路線というのはそもそも利用者が少ないのです。であるからこそバスで輸送可能なのであって、鉄道としての経営維持が可能な輸送密度をもっているのであれば、鉄道で残すのが自然なことなのです。よって、それをもって「バスよりも鉄道はインパクトがあって利用される」という判断は間違いではないかとおもいます。

 で、バス化による高頻度運転については賛成です。
 バスであれば、鉄道以上にきめ細やかな路線設定が可能なのですから、例えば団地や都心部直通にルートを変更する、バス停をこまめに設け、利用者獲得につとめるといった施策を狙えばいいのです。
 といっても簡単ではないですが...
 まずは鉄道代替バスを一般バスネットワークに組み込むこと、幹線鉄道との結節性を確保することなどいろいろやれば違うはずです。

 まずは、こんなんで。
 ではでは。

〔鉄道工事〕改軌に掛かる時間、何故こんなにも違うのか?
 投稿者--- 打越健太郎
 投稿日時: 2001年7月22日 09時22分
〔鉄道工事〕改軌に掛かる時間、何故こんなにも違うのか?
└Re:改軌に掛かる時間、何故こんなにも違うのか?
 └昭和と平成の改軌、何故こんなにも違うのか?
  └Re:昭和と平成の改軌、何故こんなにも違うのか?
  └Re:昭和と平成の改軌、何故こんなにも違うのか?

 打越健太郎です。整備新幹線は結局、フル規格で建設されるようですね。折角「スーパー特急」「ミニ新幹線」といった手法を編み出したのに、あまり使われずに終わってしまうのでしょうか。まあ、僕の予想としては、整備新幹線が出来てからも、周囲の亜幹線に新幹線を直通させようというニーズが生まれ、ミニ新幹線の手法はここで生かされると考えています。

 もっとも、スーパー特急はともかく、ミニ新幹線には大きな欠点があります。大してスピードアップしない、という点のほか、改軌工事の間、列車を止めなければなりません。秋田新幹線のときには北上線があったので迂回させることが出来ましたけれど、こういった迂回ルートが存在しない場合、バス代行にするしかありませんね。バスで運び切れないが故の鉄道なのに、これは無理がありすぎます…と書いていて、疑問が生じました。
 改軌というのは、実は新幹線の専売特許ではありません。地方の軽便鉄道といった例はともかく、関東では京成線(偏軌1372mm→標準軌1435mm)、中京では近鉄名古屋線(狭軌1067mm→標準軌1435mm)というのが、特に大規模な工事例ですね。ここで疑問。これらの改軌は、実はそれほど時間を掛けていません。京成は約1ヶ月、近鉄に至っては僅か10日足らずで、しかも人力で工事を終えてしまいました。どちらもかなりの距離ですよ。しかも近鉄は伊勢湾台風による運休時に工事しましたが、京成は列車の運転を続けながらの工事でした。一方、山形・秋田新幹線の改軌工事は1年近く列車を止めましたね。ミニ新幹線の工事の際には「ビッグワンダー」なる最新鋭の機械を用いたにも拘らずです。所要時間が何故こんなにも違うのでしょう? 

 仮説としては一応、以下のようなものが考えられます。

1,ミニ新幹線は、たまたま地形等の制約があって難工事になった
2,ビッグワンダーより人海戦術のほうが工事期間は短くて済む
3,JRは工事の手際が悪い
4,ミニ新幹線工事の際には、改軌以外の改良を併せて行った

…どれも説得力不足ですね。敢えて言えば4が最もまともな仮説でしょうか。この辺り、詳しい方のご説明を頂きたい所です。

Re:改軌に掛かる時間、何故こんなにも違うのか?
 投稿者--- brother-t
(ホームページ) 投稿日時: 2001年7月23日 01時08分

 打越さんんお久しぶりです。

 僕の予想はもうミニ新幹線はないと思います。フリーゲージトレインでと言う発想になりそうな気がするので、とは言えミニ新鹿線の欠点としては結局どの道特殊な車両を作って…という事になるので輸送力の厳しい東海道や、常にスピードアップを考える山陽新幹線では躊躇が出てきそうな気がします。とは言えスピードアップをしないと言うのはそうとは言いきれ無いような気がします。と言うのはミニ新幹線が台改良のきっかけ(と言うのは自治体等から資金が出るから)になるので会社によっては本社所在地直通以外ではミニ新幹線・新幹線開業でしか新車投入や曲線改良を伴う大幅スピードアップをやってない会社もあります。とは言え160km/hクラスのスピードアップで無いのは確かなのですが…。

 仮説としては一応、以下のようなものが考えられます。
1,ミニ新幹線は、たまたま地形等の制約があって難工事になった
2,ビッグワンダーより人海戦術のほうが工事期間は短くて済む
3,JRは工事の手際が悪い
4,ミニ新幹線工事の際には、改軌以外の改良を併せて行った

…どれも説得力不足ですね。敢えて言えば4が最もまともな仮説でしょうか。この辺り、詳しい方のご説明を頂きたい所です。

 僕は1と4が有力だと思います。結局ミニ新幹線が大金を注ぎ込んでの最後の大改良と言う視点が地方のほうにあると思いますので当然踏切統合など大規模な工事となり、更に秋田も山形も基本的に山越えルートの幹線ルートで距離も長く地形も平野中心でない分厳しいものと思われます。

 2はともかく3はいろんなしがらみがあるとは想像できます。僕には非常に説得力が感じられました。
 それではおやすみなさい。

昭和と平成の改軌、何故こんなにも違うのか?
 投稿者--- さいたま市民@西浦和
氏 投稿日時: 2001年7月24日 00時45分

 打越さんこんばんわ。

 まあ、ミニ新幹線で結ぶことのできる都市は尽きてしまったということですかねえ?
 山形の場合、ほとんど「県営鉄道」といってもいいくらいお金を出しましたね。

 山形秋田の場合、スーパー特急ほどでないにしろ、最高速度向上のための改良を路盤から行いましたから、時間がかかったのだそうです。最高速度95kmだった奥羽本線を130kmで走れるようにするためには、一見普通に見える土盛りや掘り割りの路盤すなわち砂利の下の土にセメントミルクなどを注入し、土を固化する改良を行ったそうです。積雪地帯で地下水位が高かったことなどからこの改良に時間がかかったようですが、おおむね日程通りで完成したそうです。土の上を走っているように見えるつばさ号やこまち号ですが、実はコンクリート高架上と同じ状態で走っているのです。もちろん踏切統合や駅舎改良も時間がかかります。また、この路線は積雪地帯のため、線路中心と架線柱の間隔が除雪のために広くなっており、電気関係の施設は電力(電流)の増強以外ほとんど改良せずに済んだのは、改良スピードを上げるのに効果があったと言えましょう。
 たしか、「スーパーひたち」号導入時(130km運転)の常磐線でも同様の改良が行われたのではなかったでしょうか。常磐線の場合、平常の輸送を行いながら路盤改良などを行ったのでしょうから、準備から実現まではずいぶんかかったのでしょう。

 山形の工事はバブルの最中の計画でしたから、あまり多いとは言えない地元企業を中心とした施工となったのではないでしょうか。全国チェーンのゼネコンももちろん加わったでしょうが、人も企業も不足していた頃の話でしょう。新庄、秋田の頃は状況は変わっていたかな?

 京成と近鉄の改軌の話ですが、奇しくも両社とも昭和34年に実施された大工事でしたね。京成は35年からの地下鉄乗り入れ準備、近鉄は伊勢湾台風の大被害の復旧という大きな理由があったわけですが、両社とも周到な準備が行われて実現したはずです。特に近鉄は、おそくとも36年ぐらいまでには実施する計画だったはずです。架線柱の間隔を広げたり、車両の台車を改良したり、新しい車両を買い入れたりと数年の準備があったはずです。実際の工事は線路中心をずらし、枕木の犬釘を抜いて打ち直すだけに見えますが、ホーム部分などは線路全体をずらさなければ車体の裾がこすれるでしょうし、架線と線路がずれていては電車が走りません。京成の場合広がった幅が数十ミリですから線路中心のずれはその半分ですからいいとして、近鉄の場合は30CM近く広がったのですから、改軌当初の線路はまさに被害を受けたところでなくても仮設状態だったのでしょう。運行を復活してからしばらくは、両社とも特別ダイヤでの運行を余儀なくされたのでしょう。

 当時の人件費と現在のそれの問題もあるでしょうし、作業自体も軽いレールに木製枕木の時代と路盤改良から行う現在では大きな違いがあるでしょう。
 山形県も秋田県も、半永久的な社会基盤と覚悟して整備したのではないでしょうか。

 蛇足ですが、ミニ新幹線とかでなく、地方の幹線をすべて改軌するというのはどうでしょう。どこかでこんな話を…。

 乱筆ご容赦。おやすみなさい。

Re:昭和と平成の改軌、何故こんなにも違うのか?
 投稿者--- とも
氏 投稿日時: 2001年7月24日 01時33分

 こんばんは、みなさん。海外帰りのともです。

 さてさて、改良に関してはおおむね皆様のおっしゃるとおりです。
 まず、専門的に言うと一番大変なのは橋梁です。補強がひつようになります。
 というのも、そもそも鉄道橋の場合には軌道位置に荷重がかかることを想定していますから、改軌のときにはその荷重位置の移動による補強が必要です。
 これは大したことは行わないものの、手間がかなりかかるので、時間を要します。
 また、車両限界が微妙に異なり、トンネル部建築限界に問題が生じるので、トンネルの下半分を改良しなくてはなりません。
 山形や秋田の場合、そこが一番のネックとなりました。
 そして線形改良です。路盤強化については山形の場合にはそもそもF型電気機関車の荷重で設計してますからセメントミルクの注入(これを薬液注入地盤改良といいます)や曲線カントの修正、曲線の入り口(緩和曲線といいます)の変更程度なので簡単(えっと思われるかも知れませんが、こんな工事なら簡単すぎます)ですが、規格が低かった田沢湖線の場合には結構大掛かりな改良をしていたと思います。
 とはいえ山形の場合にも板谷峠区間の積雪や地盤凍結により冬期には地盤改良ができないので、そういった部分での施工の苦労はかなりあったと思います。

 山形の工事はバブルの最中の計画でしたから、あまり多いとは言えない地元企業を中心とした施工となったのではないでしょうか。全国チェーンのゼネコンももちろん加わったでしょうが、人も企業も不足していた頃の話でしょう。新庄、秋田の頃は状況は変わっていたかな?

 いやはや鋭い冗談を(笑)
 実際にはそんなことはないですよ。下請けに入ることは十分考えられますが、鉄道の軌道工事ができるゼネコンは実はありません。軌道工事はすべて専門工事会社という会社が行います。よって、山形や秋田も同じです。
 実は、高速道路や国道などが鉄道の下を潜る部分の工事を行っている現場も同様です。鉄道は施工管理基準(工事の実施によって生じる影響の許容範囲)がかなり厳しく、よって、鉄道関係の現場には必ず鉄道系の建設会社(小田急や西武、鉄建など)が入ります。そうしなければ鉄道という極めてデリケートな構造物の施工ができないからです。
 よって、山形にしても秋田にしても2や3の意見を聞いたら携わった技術者はみな激怒しちゃいますよ。(笑)

 京成と近鉄の改軌の話ですが、奇しくも両社とも昭和34年に実施された大工事でしたね。京成は35年からの地下鉄乗り入れ準備、近鉄は伊勢湾台風の大被害の復旧という大きな理由があったわけですが、両社とも周到な準備が行われて実現したはずです。特に近鉄は、おそくとも36年ぐらいまでには実施する計画だったはずです。

 まず、京成は1372mmから1435mmですね。この程度ならば構造物への影響は無視できますし、JRとは異なり荷重が軽い(電車だけ)ので特に構造物の修繕が不要であったというのが大きいです。
 近鉄も近いですが、近鉄の場合には橋梁の改良もあっさり出来たと言うことがありますね。
 ちなみに両者共に車両の建築限界を変えていませんので、軌道中心線を修正せず、さらに車両自体も台車の変更だけで済ませました。よって駅部などは本当に軌道をいじるだけなのです。
 ホームのかさ上げまでやったJRとは違うんですね。

 こんなんでどうでしょうか。
 ちょっと回りくどいかも知れません。ではでは。

Re:昭和と平成の改軌、何故こんなにも違うのか?
 投稿者---
氏 投稿日時: 2001年7月24日 01時59分

 皆様こんばんは、お元気ですか?Pでございます。

 整備新幹線は結局、フル規格で…ミニ新幹線の手法はここで生かされると考えています。(打越氏)

 特に問題となるのが、かなり早期に完成の陽の目を見る(見てしまう?)北陸の糸魚川−新黒部間ですね。

 僕の予想はもうミニ新幹線はないと思います。(brother-t氏)

 私:Pの予想もそうです…というよりも、確信ですね。b-t氏も仰っておりましたが、ミニ新幹線よりもはるかにロー・コストなフリーゲージ電車の実用化が迫っておりますから。西日本各地に秋田・山形同様なミニ新幹線適材地は数多とあるのですが、いずれも構想・話すら聞かなかったというのは、FGTを見とおしてストップがかかっていたようにしか感じられません。

 山形の場合、ほとんど「県営鉄道」といってもいいくらいお金を出しましたね。(さいたま市民@西浦和氏)

 ジェイアール山形ですからねぇ。

 私は、皆様御紹介のエピソード、初めて知りました。でも、当然そうでしょうね。気候・地勢条件が近鉄・京成の例とは格段に異なりますから。
 JR-Eの社内上下間が上手くいっているはずがないですからね。この辺、最下層労働者を長く続けているPにはありありと想像できます。 

 近鉄の伊勢湾改軌は語り草ですね。近鉄は当時の悲願と言っても差し支えないぐらいの大懸案事項でした。いつでも改軌に取りかかれるような体制でいたところに、かの、未曾有の大水害(中京地区の年配の方には、空襲の恐さは知らなくても水害の恐さは判ると言う方が、本当に多いです)が襲いましたので、復旧と改軌を同じにしてしまったようです。台風の水が引いた時点ではなく、その前から準備があったと言う点があの伝説の伊勢湾改軌の裏話です。しかし、手際の良さは当時の方が良かったのは合点が行かないところではあります。

 当時の人件費と現在のそれの問題もあるでしょうし、作業自体も軽いレールに木製枕木の時代と路盤改良から行う現在では大きな違いがあるでしょう。
 山形県も秋田県も、半永久的な社会基盤と覚悟して整備したのではないでしょうか。

 そのためのビッグワンダーだったはずです。ただ、ビッグワンダーは作業能率が悪いらしく(1日数キロが限界だったようです)、やはり人件費対策の機械だったようですね。
 形はどうあれ新幹線、まさにそうでしょう。

 蛇足ですが、ミニ新幹線とかでなく、地方の幹線をすべて改軌するというのはどうでしょう。どこかでこんな話を…。

 私:Pも読みましたよ「弾丸列車」前間孝則:著。

 さいたま先生、ご無沙汰でした。こちらも相変わらず長く主旨不明瞭で
 So Long.

2005.02.05 Update


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