【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.358)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
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東京・多摩地区でコミバス開業ラッシュ
 投稿者---かまにし氏(2003/03/23 09:20:07)
東京・多摩地区でコミバス開業ラッシュ
└小田急バスが世田谷・調布で小型バス一挙4路線

 かまにしです。

 今月(3月)は、東京・多摩地区の各自治体でコミュニティバスが異例の開業ラッシュを迎えています。以下に、現在分かっているものを列記します。この他にもありましたらぜひ皆さんからの情報、お待ちしています。ついでに、実乗レポートなどもあればなおうれしいです。

○3月3日 小金井市コミュニティバス「CoCoバス」運行開始

○3月8日 国立市コミュニティバス「くにっこ」運行開始

○3月21日 八王子市地域循環バス「はちバス」運行開始

○3月21日 国分寺市民バス「ぶんバス」運行開始

 まさに、中央線の小金井・国分寺・国立、そして八王子と近接している数自治体のコミュニティバスが一気に開業といった感じです。これもおそらく予算の関係上、コミュニティバスの事業実施を年度内にということで、3月ギリギリのスケジュールが組まれたものと思われますが、それにしても…といった感じです。

 ちなみに、これで中央線の杉並区以西の全ての自治体が、市が委託するコミュニティバスを実施していることになります。中央線は「コミバスライン」とも言える様相。。。

 その中で今後はそれぞれの持つコミバスを、いかに各地域の特性に合った運行スタイルに磨き上げていくか、そして利用者のニーズに合わせるために、今後はいくつかの自治体の共同運行を模索しても良い段階に来ているのかもしれません…。こういったことは既に、地方では行なわれているわけですし。。。

 ではでは。

小田急バスが世田谷・調布で小型バス一挙4路線
 投稿者---551planning(2003/03/28 01:28:45)

 3/27付交通新報記事で掲載されていました。小田急バスが世田谷区及び調布市から要請を受け、交通不便地域解消を目的に下記の4路線を小型ノンステで3/30ないし4/1から運行開始します。うち調布市要請の1路線がコミュニティバス(ミニバス東路線)としての運行です。

【世田谷区要請】  
 ○(歳25)千歳船橋駅−希望が丘団地(循環)  31回 3/30開業
 ○(狛12)狛江駅−宇奈江  31回 3/30開業
   
【調布市要請】  
 ○(仙01)仙川駅−三鷹台駅  19回 3/30開業
 ○コミュニティバス 仙川駅−緑ヶ丘循環  36回 4/ 1開業(3/30・/31無料試乗会)

 一般路線は大人210円(小児110円)、コミュバスは大人200円(小児100円)で、4路線ともシルバーパス・バスカード利用可。
 特にコミュバスは三菱エアロミディCNG小型ノンステップバス(特別デザイン)を使用、現時点で小田急サイトでは灰色に塗りつぶされて未公開と気合の入りよう?…ただし記念バスカードのページを見ると、銀色基調かな?しかも調布市サイトでは『鬼太郎などの妖怪が描かれた車両』とのこと…。

小田急バス http://www.odakyubus.co.jp/
調布市 
http://www.city.chofu.tokyo.jp/cgi-bin/odb-get.exe?…

***
 当方土地勘なしなので、ここは「識者の方々」にお任せいたしましょう!

京成バスの「戦略的値下げ」は奏功するか?  投稿者---551planning(2003/03/26 00:49:51)

 定期巡回(?)中に京成サイトでこんな拾い物をば。

京成 http://www.keisei.co.jp/keisei/kouhou/news/14-091/index.htm

 鉄道完全並行型フィーダーバス、あるようでないような。東京西部には多いでしょうか。京成で云えば行徳−妙典(富浜)とか西船橋−船橋(市役所までしか入れない!)とかがすぐに思いつきます。
 それにしても並行路線、しかも子会社(京成タウンバス)運営路線をも併せて値下げ、かつ専用定期まで売り出すとあらば、相当気合入ってるといっても過言なしでしょう。もっとも、150円という価格設定はおとなりとも云うべき金町・南水元コミュバス「アイリスループ」で採られたものでもあり、その成果の反映ともいえるのかもしれませんが、掲載写真は普通のノンステバスですし。
 …ま、ちょいと調べてみると、お定まりの「政治的な匂ひ」が漂ってくるようではありますが、いずれにせよ利便性向上が図られるのならばいいではアリマセンカ!と第3者は思うのでした…。

***
 それにしても最近はバスネタ満載です。現在トップ写真に挙げている東京駅丸の内南口−お台場間の都営バス「快速バス」も3月いっぱいで廃止(ほか12年12月の大江戸線開業に合わせた大改正「失敗」の末路がいよいよ…)、コミュバスでは3/28から渋谷で「ハチ公バス」が日野ポンチョでデビュー(東急トランセとの色分けは?)、以前より注目する(首都圏)近距離高速バスでは東急バスの溝の口−新横浜線で途中停留所設置、JRBK・東武の江戸川台線の増便などもありますし…。ま、このあたりは追々拾っていくこととしたいと思います。

東急バス http://www.tokyubus.co.jp/top/news/2003/0318.html

あのハチ公がついに渋谷でコミバスに!
 投稿者---かまにし氏(2003/04/05 01:34:42)
あのハチ公がついに渋谷でコミバスに!
└東急トランセとの不思議な関係
 └Re:東急トランセとの不思議な関係
  └Re:東急トランセとの不思議な関係

 3月28日より、渋谷区のコミュニティバス『ハチ公バス』が運行を開始した。
 その概要は以下の通り

 またルートは、

といった感じでようは、渋谷区役所・渋谷駅・恵比寿駅・恵比寿ガーデンプレイス・代官山駅を8の字にぐるっと回るといったイメージ。

 運行開始当初は、1時間に2〜3本しかないものの、4月12日からは完全20分間隔に増便され、利用者が使いやすい本数が確保されるようだ。

 ルートについては、おそらく交通不便地域やコミュニティバスのニーズが高い高齢者施設などを結んでいたら、結果的にこのような路線設定となったのだろう。ただ、長距離を乗りとおす人は絶対にいないとはいえども、

  1. 1つの路線が複数の拠点を回ることでよりきめ細かいニーズに応えられるという点

  2. 車両の運用面から、いくつかの路線に区切るよりもまとめた1つで扱った方が必要な車両数が少なくて済む点

という長所は考えられる。しかし、「分かりやすさ」という意味ではいかがなものだろうか?上記の長所と「分かりにくい」という短所を比べた時、結果としてどちらの側面が効いてくるのだろうか?これらの点も含めて、4月12日の増便後に実乗してみたい。

東急バスホームページ http://www.tokyubus.co.jp/top/news/2003/0318.html

東急トランセとの不思議な関係
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/07 19:58:10) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 代々木競技場や青学、恵比寿方面は分かるんですが、代官山から青葉台、南平台方面は既存の東急トランセと被ってますね。山手線、東急線、玉川通り、旧山手通りに囲まれたエリアを小回りに循環するトランセに対し、循環とはいえあまりにも大回りなハチ公バス。料金もトランセ150円(同行者100円)に対しハチ公100円、トランセは専用ICカードで、ハチ公は専用回数券がありますが、共通カード利用不可で、同じような性格なのに互換性の全く無いバスを同じエリアに走らせる意図が知りたいです。
 おまけにハチ公バスの受託は東急ですから分けがわからない状態で、少なくとも代官山から南平台にかけては毎時2本見当のハチ公が何を今更10分ヘッド以下のトランセと競合するのか、意味がわかりません。

 強いて意義を見出せば、福祉的色彩のハチ公に、あくまでミニマムサイズのバス事業としてのトランセという違いであり、エリアの利用者がどちらを選ぶか、そして使い分けるのかが見ものです。
 とはいえ、バス事業が総じて苦しい中、特に行政が後追いになったことは無駄の謗りを免れ得ないでしょう。

 厳しい感想ですが、エリアの交通をトータルで考えているとは思えないケースと見ました。

Re:東急トランセとの不思議な関係
 投稿者---かまにし氏(2003/05/12 12:32:31) http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/kcbl

 かまにしです。

 先日、問題の「ハチ公バス」と「東急トランセ」の関係などを、実際に視察してきました。その時のレポートを以下に記します。
 なお、写真は以下の僕のサイトで見ることができます。

http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/hachiko_toranse.htm

 2003年のGWの前半山場である4月29日午後、3月末に渋谷の地に誕生した渋谷区主導のニューフェイス『ハチ公バス』とすでに4年目を迎えた『東急トランセ』の渋谷2大コミバスの視察に向かった。

 ハチ公バスの「渋谷駅東口」の乗り場は、東急会館の前にあり、最初はバス停を見つけるのにも一苦労。それにしても「恵比寿ガーデンプレイス方面」という表示からも、遠方からの利用者も取り込んでいこうとする東急の思惑?すら感じさせられる。渋谷⇔恵比寿ガーデンプレイスへの流動のてこ入れは、確かに穴場なのかもしれない。

 さて、ハチ公バスはどのぐらい利用されているのだろうか?と思ってバスを待っていたら、ガーデンプレイスに向かうと思われる親子がやってきて、結局、渋谷駅東口からは僕も含めて3名が乗車。その時、すでに9名が乗っていて車内はちょうど座席が埋まるぐらいの乗りに。。。しかし、車内は遊びに来ている高校生やカップル、親子連れが中心。地域住民に根ざしたコミバスというよりは「デートバス」という状況だった。

 ハチ公バスで特筆されるのは、8の字のルートを描いており、8の字の中心にある「恵比寿区民施設」バス停では、先に南半分を回った一本前のバスと接続をとっており、なんと乗り換えができることである。例えば青山学院方面から代官山駅に向かいたいときなどは、わざわざガーデンプレイスまで行くことなく、一足先に代官山に向かうことができる。乗り継ぎの際に乗換券をもらうことができるので、新たに運賃を支払う必要もないのである。

 僕はそのままガーデンプレイスを経由して、代官山駅まで向かったが、渋谷駅東口⇒ガーデンプレイスまでは、乗降を繰り返し15人前後の乗車率を保っていたものの、ガーデンプレイスからの乗車で一気に30人近い乗車に。日野ポンチョではさながらすし詰めそのものの様相だった。

 代官山駅では、東急トランセが駅前まで入らないのに対し、ハチ公バスは駅前にバス停があるせいか、降車とともに乗車も多く、トランセとは明らかに使い分けられている模様。

 以下に、渋谷駅東口⇒代官山駅の乗降メモを掲載した。

・渋谷駅東口 9+3  ・広尾1丁目(休日のみ) +1
・渋谷駅2丁目(こどもの城) +2    ・恵比寿社会教育館 ±0  
・青山学院西門 ±0    ・恵比寿4丁目 ±0  
・渋谷4丁目(実践女学院) ±0    ・加計塚小学校    
・白根記念郷土文化館 -2      (エビスビール記念館) +1  
・渋谷図書館入口 ±0    ・恵比寿ガーデンプレイス -4+10 +ベビーカー
・渋谷車庫前 +1    ・恵比寿南1丁目 ±0  
・東2丁目 -1    ・恵比寿駅入口 ±0  
・恵比寿区民施設 -4    ・恵比寿区民施設 +3  
・恵比寿駅東口(ルミネ裏) -1    ・恵比寿西2丁目 ±0  
・恵比寿1丁目 ±0    ・代官山学童館 ±0  
・新橋区民施設 +2    ・代官山駅 -2+3  

 次に代官山の街を散歩がてら、東急トランセの乗り場を探した。代官山アドレスを抜けつつ、一つ丘の上の道路に出た。東急トランセはこの道路を通っているようだが、駅から上がった場所がちょうどバス停の中間だったようで、はたまたバス停を見つけるのに苦労してしまった。

 代官山駅入口のバス停に到着。先に東急バスの一般路線が到着し、おばあさんが乗車。代官山の住民はトランセと一般路線をどのように使い分けているかが少々気になった。しばらくすると、見た目はワゴン車の「東急トランセ」が到着。

 その日は休日運賃のおかげで100円。車内は自分も含めて6名だった。途中、猿楽町では3名の乗車、乗泉寺では1名の降車を経ながら、5分ほどで終点・渋谷駅西口に到着した。

<意外と棲み分けられていた?ハチ公バス・東急トランセ>

 正直、「渋谷駅に何種類のバスサービスを入れるんだ?」という思いはあったのは事実で、新参者の「ハチ公バス」がどんな状況になっているのか、個人的にはあまり期待していなかった。また、代官山〜渋谷というエリアで両者のバスは地図上では明らかに被っており、このあたりの状況がどうなっているかも、今回の注目点だった。

 しかし、意外にも代官山駅上の幹線道路にバス停のある「東急トランセ」と、駅前まで乗り入れる「ハチ公バス」は棲み分けられているという印象だった。「ハチ公バス」はむしろ恵比寿方面から代官山という流れをフォローするための設定だったのかもしれない。

 また、渋谷・恵比寿・代官山といった日本有数の行楽スポットを抱える同区にとって、ワンコイン運賃による「水平エレベーター」の根強い需要が存在していることを改めて認識させられた。

 しかし、であればなおさら今の「ハチ公バス」には中途半端感を抱かざるをえない。おそらく渋谷区の公共施設をくまなく回っていることからも、本来のターゲットは地域住民であり、より採算性をよくするためにガーデンプレイスなどの行楽スポットを加えたというのがいきさつと推測される。しかし利用の実態は全く逆である。

 「ハチ公バス」も税金を使ってやっている以上、ある程度区民をターゲットにするのは当然で、そこに行楽客にもメリットがある形で取り込んでいく考え自体は否定しない。ただし、同区のコミバスの場合、利用の実態や輸送力面から現状では明らかに両者にメリットのある状況とは言い難い。やはり、既存路線バスとの役割分担を整理した上で、こういった施策を考えていくことが不可欠ではないかと強く感じた。ただし、今回の視察はGW中ということもあり、平時の状況をもう少し見極める必要はあるのかもしれない。

Re:東急トランセとの不思議な関係
 投稿者---551planning(2003/05/13 01:12:43)

 かまにし様、レポート有難うございました。なお御紹介頂いている通り、かまにし様のサイトでは写真つきになっていますのでこちらもどうぞ!

http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/hachiko_toranse.htm

 さて、ハチ公バスについては5/11付日刊スポーツで紹介されていました。『渋谷から「小回り」の地域密着型』『100円で散歩気分』『フロントに犬の顔がキュート』との題でバスの写真が載っており、ルートも図示されています。2000年7月から渋谷区役所で検討され、高齢者や障害者に対するニーズ発掘を主眼においていたところ、「子供さんを連れた親御さんも多い」とのことで、GW中は利用者が後を絶たない状態だったそうで御同慶の至り。
 この記事が良くできていたのが、東急トランセ及び都バス六本木ヒルズ循環路線への言及もあった点。ルート図も3路線載っています。東急トランセについては『地域密着バスの先駈けともいえる』『車体はワインレッドと、ちょっと大人っぽい雰囲気』と書かれていましたよ。どうせならこれにNHKスタジオパーク線(東急トランセ・京王バス)への言及があればもう完璧?

 「ハチ公バス」も税金を使ってやっている以上、ある程度区民をターゲットにするのは当然で、そこに行楽客にもメリットがある形で取り込んでいく考え自体は否定しない。ただし、同区のコミバスの場合、利用の実態や輸送力面から現状では明らかに両者にメリットのある状況とは言い難い。やはり、既存路線バスとの役割分担を整理した上で、こういった施策を考えていくことが不可欠ではないかと強く感じた。

 ニーズがはっきりしましたから、今後のてこ入れが期待できそうですね。現在のルートだといささか欲張り感があり、渋谷駅東口−恵比寿駅−ガーデンプレイス循環系統とトランセ、NHK線辺りへの集約化がいいのかなとも。そもそもポンチョでは荷が重そうな気がします…見ずの記なので当方も早めに出かけてみたいと思っています。

「コミュニティバス」の定義とは
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/05/18 23:02:11)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
「コミュニティバス」の定義とは
└ちょっと横レス的な御返答
 └”コミュニティバス”は地域交通における一種の現象として捉えるべきでは
  └異議あり!
  └注目すべき「取り組み」…ただしマイナス効果な
                          ものから考える「地域交通改善」
   └Re:注目すべき「取り組み」…
   └補足というか蛇足というか
    └益田と福井の現状補足

 「コミュニティバス」という言葉はこの掲示板のみならず世間でも最近よく見聞きしますが、その定義はなんでしょうか。中量系交通機関、というか交通全体を見回しても、「コミュニティバス」は「LRT」とならんで広く知られているがはっきりしない言葉として位置づけられると思います。

 コミュニティバスの代表格として上げられることの多い武蔵野市の「ムーバス」を例に取ると、自治体の企画で既存事業者に委託、「ワンコイン」に代表される独自の運賃体系と小型車両による木目細かい巡回型の路線設定という性質が見えてきます。
 また、杉並区の「すぎ丸」も同様ですが、こちらは路線設定が木目細かく狭隘路線を走りますが、拠点間輸送の側面が出てきます。

 ところがこれらの「性質」については、コミュニティバスとして認識されていないケースにも備わっているケースが多い訳で、おまけに「トータルサービス」として、と考えても同様に複数の性質を持つケースもあり、何を持ってコミュニティバスか、となると答えに窮しかねません。
 そういう私自身も、明確な答えを持っている訳でもなく、おおよそのイメージで使っているだけに、お知恵拝借という意味合いもあります。

***
 上記の「性質」ごとに、限界事例と思しきケースを見てみましょう。

◇自治体企画:
 ・公営交通一般。特に大阪市の「赤バス」は?
 ・民間企画の場合。また住民組織が委託者の場合

◇既存事業者委託:
 ・過疎バス一般
 ・民間企画で直営の場合

◇独自の運賃体系:
 ・各地の「100円バス」など

◇小型車両(バリアフリー対策済)による運行:
 ・(多くのケースあり)

◇巡回型路線設定:
 ・(多くのケースあり)

◇狭隘路線による拠点間:
 ・(多くのケースあり)

 ややこしいケースとして以下のケースはどうでしょう。

◇桃花台バス(愛知県小牧市〜春日井市)
 桃花台ニュータウンの住民組織が貸切業者の「あおいバス」に運行委託した会員制バスでスタート。後にあおいバスが欠損補助規定のある4条路線バスとして再スタート。

◇日本城バス(大阪市住吉区〜大阪府松原市)
 松原市天美地区の住民の要請で地元タクシー業者が運行。路線免許。自治体の補助は受けていない。

◇十津川村営バス(奈良県十津川村)
 奈良交通のローカル路線と十津川村のスクールバスを統合する形でスタート。奈良交通の幹線バスのフィーダー機能と、国道筋から外れる各集落と村中心部の交通機関として機能。

 表面的には似ているケースはどうでしょう。

◇新京成バス鎌ヶ谷グリーンハイツ線(千葉県鎌ヶ谷市)
 従来道路事情が悪く路線バス設定が出来ないとされていた地区への路線設定。狭隘路線の特定の住宅地巡回型。運賃も他路線と異なり150円均一。バリアフリー対策が施されたマルチライダーを用いた専用車両「ドレミ号」で運行。
※ただし輸送力不足が顕著になり車両変更の見通し。

***
 一言に「コミュニティバス」といっても、というか、一言で言うこと自体が難しいのかもしれません。運営者、利用者それぞれから見てどういうバスが「コミュニティバス」なのでしょうか。現状は言葉が一人歩きをしているようでもあり、形から入るのではなく、本質を捉えた普及を図るためにも、その性質についての「共通認識」を作る時期かもしれません。

ちょっと横レス的な御返答
 投稿者---551planning(2003/05/19 00:04:31)

 昨今問題のSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome 重症急性呼吸器症候群)、こと今関西ではバタバタしておられましょうが、先日テレビで某元内閣安全保障室長氏が「スペイン熱や香港風邪という表現がある。何も遠慮せずに「中国肺炎」と呼べば(何やら得体の知れない頭文字を並べずとも)判りやすい」とのたまうておられましたが、確かに言い得て妙、もはや「未知との遭遇」ではない「今そこにある危機」への対処を冷静に考えるのが肝要なのだと思います。

 で、コミュニティバス。LRTにせよ、御託を並べて「定義する」といってもそうやすやすと行かないのだから、大雑把に捉えれば良いのではないか、むしろ狭く考えすぎでは?と当方は思ってしまう性質なのですが、エル・アルコン様御指摘も頷けるところ、【検証:】でもすでに以前、定義論に触れられておりますが纏まったわけでもないため、このあたりで議論の前提としての「共通認識」の確定はある程度必要だとは思います。

コミュニティバス概論 =「ムーバス」から先へ進むには= log337.html#3
コミュニティバスからコミューターバスへ…ミニバスが拓く路線バスの可能性 log341.html

 特に後段、「コミューターバス」などと当方はなにも別表現を提唱したわけではないのですが、やはり「ムーバス」ありきのところがどうしてもあって、その例がミニバスであるとか、循環路線であるとか、ワンコインバスであるとか行政支援であるとか、断面的な認識が先行している中、一方で「すぎ丸」に注目するのは上記に当てはまらない面があるからこそだ、というわけでもなく…。「コミュニティバス」のイメージとして一般的なあたりでだいたい挙げられ得るところになってくるのが「小規模地域圏内輸送機関」=コミューターバス、と括れるのかなぁという気がします。

 やはり原点に立ち返れば、まさしく「コミュニティ」=地域が育む公共交通機関であることがポイントなのかなと。それにはなにもミニバスであるとか、行政支援であるとかの必要性はないわけで。言い換えれば、表現はともあれ過疎地のバスは「コミュニティバス」であるべきだ!ともいえましょう。それこそバス連携モデル「十津川方式」なるコトバまで生んだ十津川村営バスがコミュニティバスかどうか、という判定の必要性については、悩ましいというよりもそうなんだ、いや、そういう視点での斟酌は不要ではないか、と思ってしまいます。
 別視点では、「福祉バス」なる総じて高齢者の拠点輸送サービスとの対比が生じるでしょうが、これは「地域の皆が誰しも使えるか否か」という判定材料はあろうかとは思います。これに加え昨今では通学バスの地域開放という話も伝わってきていますから、大きな流れは「コミュニティバス」という一大カテゴリーへの集約化が進んでいるのかもしれませんね。

 なんだか論点外しみたいで恐縮ですが…。

”コミュニティバス”は地域交通における一種の現象として捉えるべきでは
 投稿者---かまにし氏(2003/05/24 10:07:32) http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/kcbl

 かまにしです。

 私は、『コミュニティバス』という言葉が示すものは、バスサービスの内容ではなくて、「自治体・事業者・住民による地域交通改善の取り組み」そのものだと認識しております。そして、それらが武蔵野市『ムーバス』などをきっかけにして、全国各地に連鎖的に増加するという現象が起きたのではないかと考えます。

 だからこそ各々の地域に合った事例が増えれば増えるほど、その範疇は拡大していき、定義づけも難しくなるわけです。確かにここにきてある程度、いくつかの方向性に集約されてきているのも事実です。しかし、今後さらに「高齢化」や「人口減少」が進んでいく中で、地域の交通をいかに維持していくかが重要な課題になる以上、さらにより良いシステムが各地で誕生する可能性もあるでしょう。したがって、現在挙げられている事例だけで無理に定義づけをしていく必要は、今は別段ないと考えます。ただ、だからこそこれから誕生する事例には、常に気を配っておく必要はありそうです。

異議あり!
 投稿者---とも氏(2003/05/26 01:13:00) http://town-m.vop.jp/

 ともです。
 ちょっと手抜きですが。

 私は、『コミュニティバス』という言葉が示すものは、バスサービスの内容ではなくて、「自治体・事業者・住民による地域交通改善の取り組み」そのものだと認識しております。そして、それらが武蔵野市『ムーバス』などをきっかけにして、全国各地に連鎖的に増加するという現象が起きたのではないかと考えます。

 うーん・・・
 「取り組みそのもの」というのは非常に抵抗がありますね。であればコミュニティバスだけではなくコミュニティゾーンやゾーン規制などとの区別ができない。このような議論において定義すべきは政策面だけではなくシステムをもふくまなくてはと私は思いますが。
 確かに、ムーバスからの広がりはコミバス論において正論と思います。
 しかし、かまにし様の定義はコミバス導入の理念としては正しいものの、あくまで導入論における政策面での理念であって、交通計画論をも内包しているとは思えませんし、ましてやコミバスを示したものとはちょっといえないかと思います。

 交通政策、交通計画、交通運営など様々なものを交通というものはふくむわけで、理念を示すのであればそれらを内包できるものとする必要がありましょう。

 私なりに定義するのならば、
 「交通弱者対策、公共交通プアなど地域における交通問題の改善をはかるため、行政または民間事業者が主体となり、関係する機関、住民などとの共動や連携により地域内交通機関として導入する路面公共交通システムの通称」
でしょうか。主導がなんにせよ、関係各機関の調整や住民、企業との連携などを行った上で導入する交通機関と。
 これであれば類似例であっても明らかに民間が主導し、行政の関与は協力程度でとどまるようなものは除外されますし、行政が主体的に運行する福祉バスサービスも除外されます。

 いかがでしょうか。
 批判的ですが。ではでは

注目すべき「取り組み」…ただしマイナス効果なものから考える「地域交通改善」
 投稿者---551planning(2003/07/11 00:00:14)

 書こう書こうと思って随分と遅くなってしまいました…。
 定義論とはいささか離れるのですが。

 引用部適宜省略は御容赦の程。

 私は、『コミュニティバス』という言葉が示すものは、バスサービスの内容ではなくて、「自治体・事業者・住民による地域交通改善の取り組み」そのものだと認識しております。
 今後さらに「高齢化」や「人口減少」が進んでいく中で、地域の交通をいかに維持していくかが重要な課題になる以上、さらにより良いシステムが各地で誕生する可能性もあるでしょう。(中略)だからこそこれから誕生する事例には、常に気を配っておく必要はありそうです。

 なるほど。ではこの事例は如何でしょうか?


益田市の生活バス1日から運休 中国新聞(05/27)
益田市の生活バス無料運行問題で市長らの処分発表
 山陰中央新報(05/30)

 中山間地の交通過疎解消を目的に島根県益田市が主体となって去年から運行開始した生活バス「おでかけ号」の拡充の際、委託事業者の見直し(民間事業者→市絡みの三セクに切替)を図ったが、関係各所の合意を得られぬもそのまま手続ミスによりに強行、結果乗合バスとしての不法運行を回避すべく一部路線のみ急遽無料運行としたものの、前委託事業者が不利益を被ったして市幹部らを相手取る民事訴訟にまで発展、その後市は関係者の処分および不公平解消のため無料運行路線を休止するに至ったもので、訴訟では市側は争う構えを見せている由…かなり複雑なようです。

生活バス「おでかけ号」 http://www.web-sanin.co.jp/orig/news4/2-0301a.htm


津軽路線バス協が役目終え廃止 東奥日報(05/28)
住民参加型バス路線廃止へ/浪岡
 東奥日報(05/30)

 1990年から地域の赤字生活路線を支えるべく関係自治体および運行事業者が連携して各種協議や調査、さらには運行のための「維持資金」補填などの活動を行ってきたものの、昨年の乗合バス事業規制緩和に伴う国の補助制度の変更に伴い、個別自治体での対応に移行すべく「発展的解消」を決めたというニュースと、1995年から住民が町とともに赤字の一部を負担する、全国でも数少ない住民参加型の形態を取って運行してきた路線が、利用者の低迷と周辺環境の変化に伴う運行事業者および自治体の弱体化を受けて廃止に至ったというニュース。双方ともに地域交通政策としては先進的な事例だっただけに、時の流れを痛感します。


JR福井駅から2施設へ無料バス 図書館と生活学習館 9月から試験運行 毎日(07/03)
フレンドリーバスに「待った」
 福井(07/09)

 県民から募った意見を反映させたとの県知事キモイリで行われようとした、公共施設巡回無料バス試験運行の補正予算案が「行政が不特定多数の乗客を運ぶのはおかしい」と県議会で問題化、継続審議になっているとか…福井といえばえちぜん鉄道の動向も注目されるところですが、市や商工会議所、商店街事業者などが出資した3セクが運行するコミュニティバス「すまいるバス」が順調なだけについ違和感を覚えてしまいます。

「すまいるバス」 http://www.ftmo.co.jp/index.htm

***
 上記はちょいと拾った端緒な例です。「コミュニティバス」という括りからは外れるものかもしれません。しかし、地域交通における一種の現象として捉えるべき重要な案件ばかりと考えます。当方は事例を挙げただけで個々の分析をしていない、ある意味ズルイ問題提起ではありますが、これらの事例が何を物語るのか…そこからがスタートなのではないか、という気がしてなりません。

Re:注目すべき「取り組み」…ただしマイナス効果なものから考える「地域交通改善」
 投稿者---かまにし氏(2003/07/11 00:56:08) http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/kcbl

 かまにしです。

 私は、『コミュニティバス』という言葉が示すものは、バスサービスの内容ではなくて、「自治体・事業者・住民による地域交通改善の取り組み」そのものだと認識しております。
 今後さらに「高齢化」や「人口減少」が進んでいく中で、地域の交通をいかに維持していくかが重要な課題になる以上、さらにより良いシステムが各地で誕生する可能性もあるでしょう。(中略)だからこそこれから誕生する事例には、常に気を配っておく必要はありそうです。

と以前、このスレッドに書きましたね。確かに「『コミュニティバス』という言葉が示すものはバスサービスの内容ではない」と書いてしまったのは言い過ぎだったと反省しておりますが、要は「サービス内容について定義ができないぐらい多様化しているし、また『コミュニティバス』のこれまでのバスとは違う新しさは内容よりも、地域交通改善の取り組むプロセスそのものにあるのではないか」という主旨の書き込みでした。

 以前、結局『コミュニティバス』の発想の原点は、過疎地において交通網を維持するためのアイディアにあったことは触れたと思います。ただ、そのようなアイディアをもってしても、利用者減がさらに続けば根本的に成り立たなくなってしまうのは火を見るよりも明らかです。上記の事例のいくつかはそういったことが原因となっているのではないでしょうか。

 551planning様が何をおっしゃりたいのか分かりませんが、冒頭のような定義づけの裏返しとして、今回、ご紹介頂いた事例のようなことは今後も少なからず起こりうると思われます。ただ全体として見れば、私個人としてはこういった地域交通改善の取り組みが自治体やコミュニティレベルで試すことができるようになったことの意味は大きいと感じており、それらを良い方向に活かすことができるか、ここにあげられた地域の皆さんはまさに正念場になのかなと思います。

補足というか蛇足というか
 投稿者---和寒氏(2003/07/11 14:07:25) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 住民参加型バス路線廃止へ/浪岡

 この事例は「自分は使わないけれど地区のために必要と思われるバス路線存続に対してどれだけ負担出来るか」を、アンケート調査したうえで学術的に定量化し、各戸負担額を決めたと聞いています。その負担額では、実際に発生した赤字を埋められなかったわけですから、やはり相応の利用者数を確保できなければ維持は難しい、と評することは可能です。
 その一方で、負担の形態にも注目が必要であろうかと思われます。運行資金の直接的な補助ではなく、回数券の購入にした、という点がかなり重要です。つまり、負担する側にとっては、その回数券を利用するというインセンティブが働きます。要するに、回数券を買った(買わされた)以上は使わなければ損であるという動機づけが作用してしまう。一方のバス運行側にとっては、収入の最低保障が得られるだけで、それ以上の伸びが期待できないという痛さもあるのです。

 運行をやめた、ということじたいの理非や賛否を論じるつもりはありません。とはいえ、運行維持するための負担(補助)システムが最善だったか、という点については後世のために検証する必要があるかもしれません。

益田と福井の現状補足
 投稿者---551planning(2003/08/30 21:35:20)

 青森津軽については和寒様より補足頂いたところ、遅ればせながら益田と福井の現状についても報道されましたので補足しておきます。


JR福井駅〜県立図書館を無料運行“フレンドリーバス”が運行開始 福井放送(08/30)

 福井市郊外の県立図書館や生活学習館へのアクセスとして、「県民の声の反映」として現知事が推進した企画ですが、もともと練られたところをパッと「公約」にしたという陰口も聴かれるようではありますが、紆余曲折の末、ついに導入されたということですね。
 それにしても1年間の無料運行後は有料化を検討ですか…「公共交通」と「採算性」というテーマは確かに難題ではありますが、先に示した通り「すまいるバス」などとの関連をも含め、なんだかしっくりこない行き当たりばったり感を感じずには…。何はともあれ、これはえちぜん鉄道の動向含め、少なくとも今年中の再訪にてこの眼で確かめてきたいと思っています。

フレンドリーバス(無料)のご案内 福井県文書館


益田の生活バス 市の手続きミスで運休2カ月 中国(08/12)

 こちらは泥沼化、とでも云うべきでしょうか。益田市生活バスの運行事業者切替に伴う手続ミスにより、新設ルートについて開業の4月からとりあえず無料運行されたものの、既存路線が有料ということで不公平という事で結果新設路線については6月から運休に追い込まれているというもので、関係者の思惑が手続を遅らせているという状況に。「2カ月の間、喜ばせておいて、また元どおりに。疲れた…」という元利用者の声が切実に伝わってきますが…。

 何故「コミュニティバス」のスレでこの3例を挙げたか、「何をおっしゃりたいのか分かりませんが」と切り替えされていたところ返答が遅れてしまいましたが、改めてこの後その理由を考えてみたいと思います。しばし御猶予の程…。

2004.11.02 Update


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