【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.337)
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ノンステップバスを考える
 投稿者---CHIP氏(2002/04/27 22:55:16)
 
http://norimonoland.info/
ノンステップバスを考える
└Re:ノンステップバスを考える
 └Re:ノンステップバスを考える
  └Re:ノンステップバスを考える
   └東京西側地域バス事業の課題ともいえる
    └Re:東京西側地域バス事業の課題ともいえる
└Re:ノンステップバスを考える

 最近、各社で導入が進んでいるノンステップバスについて皆様と共に考えていこうと思います。
 最近のバス会社各社の新車導入はノンステップバスやワンステップバスを主体とした導入が続いております。(補助金が出る為か?)
 しかしながら、ここで私が感じるのは路線を走る大多数のバスがノンステップバスになった際、朝の通勤時間帯にこたえられるのか?と言う点です。ノンステップバスは通常の普通車よりも定員が少ない為、混雑率が上がる危険性があります。また、組み合わせによっては車内後部に段差が出来、逆にこの段差が車内事故を起こす危険性もはらんでいます。このようなノンステップバスの導入で真のバリアフリーになるのでしょうか?
 また、各社の投入路線にも疑問を感じる場合があります。例えば、主要路線(ドル箱路線)に投入すると混雑するからといった事で利用者の少ない路線に回されていたり、市役所・病院等の機関を通る路線にもかかわらず全く投入されていない路線がある場合があります。特に前者の利用者の少ない路線に投入される場合の多くは狭い道を通るため、車いす利用者が乗車する際にスロープ板を出すことが不可能な場合も見受けられます。
 このような、ノンステップバスについて皆様の意見を伺いたいと思います。

Re:ノンステップバスを考える
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/04/29 01:09:00) http://6408.teavup.com/narashinohara/bbs

 ノンステとワンステと一般タイプの差はそれぞれ出入口の段差が1段ずつ増えるだけです。如何にノンステとはいえ、障害物が無いとしても歩道にぎりぎり幅寄せするのは厳しいこともあり、結局は乗降時に歩道(1段降りる)車道(1段上がる)バスという昇降を要します。

※歩道と車道の段差を無くすバリアフリーを採用すると、当然のことながらノンステ車であっても絶対に段差が発生する。

 またご指摘のように、ワンステ車からは車内後部と中央〜前部との間に段差が発生しますし、タイヤハウスとの関係でノンステ車の椅子の位置は結構高くなります。
 この時、乗降時に結局昇降を伴ううえに、車内で空席の位置次第では二次的な昇降を伴いますが、これとワンステ車、いや、一般車のように乗降時に一気に数段の昇降をするのとではどちらが苦痛で、かつ安全かということになります。

 個人的には、あえて一般車の車高として車内の段差を無くしフラット化し、出入口について、前扉も拡大(中扉のような4枚折戸)して真ん中に乗降用の握り棒を設置。ステップはあえて段数を増やすかわりに1段の高さを低くし、ニーリングシステムとの併用で車道レベルから低い4段の昇降で車内と行き来というほうが安全かつ使い勝手がいい気がします。

 スロープ板使用での車椅子の乗降も、ご指摘の通り充分な幅員を確保できなければ絵に描いた餅であり、この点はNY市バスのように乗務員が操作するリフトのほうが実用的です。
 ちなみにNYの市バス(というかGMCの市内バスモデル)は、通常の2段ステップですがニーリングシステムで路面と1段目のステップの段差を相当埋められます。そして中扉にリフトを持ち、その対面を跳ね上げ式の車椅子スペース兼用座席(ロング)にしています。
 リフト操作は乗務員が行いますが、停止→乗務員中扉移動→車椅子スペース確保→リフト操作→車椅子繋止→運転台移動→出発の一連の作業にかかる時間は2〜3分であり、それで十分実用的なのです。

Re:ノンステップバスを考える
 投稿者---とも氏(2002/04/29 01:42:53) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 ドル箱路線への導入については確かに難しい面がありますね。おそらくイメージされているのは同じ場所(3ドア車高頻度運転をノンステ2ドアに変更したら苦情が殺到したとウワサされる東京・関東バスの青梅街道関連路線(荻窪駅〜武蔵関、北裏、南善福寺線))では?
 結局当該所の2ドアノンステは中途半端な路線に投入され、なんら効果を発揮できないということになっています。
 ここは特殊例としても、他にも東急の青葉台営業所等同様のものはありますね。

 NYをはじめ、北米は2ステップが多いですね。最近になって、エドモントンやバンクーバー、シアトルにノンステ車が入っていますが、まだ少数派です。
 一方、ヨーロッパはノンステが主流です。
 おそらくこの辺の考え方は、それぞれの国のバリアフリーに対する考え方の差ではと感じますが、日本の場合、ヨーロッパタイプのノンステ車が多くなっており、今後も増え続けるでしょう。

 北米タイプでの導入も一案ですが、オーストラリアでは連接ノンステが、ヨーロッパや香港には16m級のノンステバス、逆に北欧やオーストラリアには9m級の全フロアノンステバスが、香港・シンガポールには2階建てノンステバスがありますので、輸送力や車両制限はなんとかなる部分も否定できず、また、歩道の段差に関しては、マウンドアップ(歩道を車道より一段高くすること)が都市内では一般的であり、バリアフリーとしては逆に車道を歩道の高さに上げるハンプ型交差が増えているという実情もありますので、大差はないかと。
 ましてや大阪のようなテラス型バス停による歩道の車道・路肩部分の張り出しが検討されていることもありますので、旨くミックスさせればなんとかなるかなとも考えられます。

 ただ、私も闇雲にノンステバスを導入する今の施策にはどうも納得が行きません。
 たしかにノンステバスはユニバーサルデザイン的発想の良いバスですが、歩道整備や道路拡幅など必要な整備をやらずしての導入はせっかくのメリットを殺しているとしか思えません。
 このチグハグな状況を是正することが第一歩ではないでしょうか。

 ではでは

Re:ノンステップバスを考える
 投稿者---CHIP氏(2002/04/29 03:00:18) http://norimonoland.info/

 おそらくイメージされているのは同じ場所(3ドア車高頻度運転をノンステ2ドアに変更したら苦情が殺到したとウワサされる東京・関東バスの青梅街道関連路線(荻窪駅〜武蔵関、北裏、南善福寺線))では?

 ・・・なんでお分かりになったんですか?
 やはり、そんなに有名なんでしょうか?一説には北裏での折り返しが難しいとの話も出ていましたね。しかしながら、その北裏も最大で30cm掘り下げ、フラット化がされました。(その性でH尺、L尺共に折り返しはぎりぎりで場合によっては折り返せなくなりました。)それに、「荻3x」への投入が苦情だけで投入をやめたとは思えません。おそらく、混雑するとか、座席が少ないとか他の要因があるはずです。
 私がノンステップバス投入開始直後に「荻32」「荻34」「荻36」の3系統全てに乗車したことがありますが、その時の乗客の受けはとても良かったように感じました。特に高齢者の方や大きな荷物を持った方に好評で、運転手の方に「とても良い」と話しかけている方もいました。そんな中に出た、苦情のウワサとそれを証明するかのような投入路線変更は衝撃的でした。

 ここで暴露してしまえば無駄な投入では?と思ったのは「西02」系統です。また、2100代の増備で再投入されていますが、善福寺−西荻窪駅間ではスロープ板が出せない箇所があるという話です(その前にあの道で車いすの方を見かけたことすらない・・・) 。
 そして、ノンステップバスが多い武蔵野(営)でも西窪病院来院者や武蔵野市役所へくる方が多く乗車する「鷹0x」系統も未だノンステップバスが投入されていません。「吉55」はほぼオールノンステップ化されてはいますがこの路線で来院・来庁する方は少ないです。(現状で武蔵野(営)管内でノンステ未投入路線は三鷹線(鷹01〜04、31、40、45)と保谷線(鷹21)のみ)です。一時期、鷹0x系統を通学で利用していたのですが、その際、普通車での乗降に手間取る方を数々見てきました。特に均一運賃区間では前のりのため、介助しようにも運賃箱が邪魔で介助と言えない様なことしか出来ませんでした。
 ですので、やはり、市役所関係がある路線にはノンステップバスを多く投入して欲しいと思います。

東京西側地域バス事業の課題ともいえる
 投稿者---とも氏(2002/04/30 00:13:28) http://town-m.vop.jp/

 ともです。
 やや個別ネタですが、東京西側の一般論含みです。

 荻3X系統というのは、JR中央線荻窪から青梅街道沿いに進み、杉並区西北部、練馬区西南部、武蔵野市北部をカバーする系統で、関連する系統を含め、朝ラッシュには全国的に極めてメジャーなバスルートである幕張本郷−海浜幕張なみの高頻度運転がされ、バスによるバスの渋滞という状況が日常茶飯事のバスの限界をそれこそ見せ付けられる区間です。
 最近になって、荻窪駅付近での中央線変異式バス専用レーンの導入などが進められているものの、関東バスが乗り気ではないのか杉並区や東京都がまったく手をつける気がないのか、「放置プレイ」状態が続いています。
 おかげで、荻窪は23区では稀有の例といえる5キロ以上の自転車駅勢圏を有するとすら言われ、多様な問題を生んでいます。

 この路線に関しては、確かに総合病院があるわけでも公共施設が集中しているわけでもなく、これまでの概念ではノンステップバス導入の必然性は低い区間です。
 しかし、バス専用レーンもとりあえず用意され(遵守率は低いが・・・)、歩道のかさ上げも行われており、今後、バス活性化事業などの適用がされれば、確実に化ける路線であり、ノンステップバスが入らないのはおしいところであります。

 ここで暴露してしまえば無駄な投入では?と思ったのは「西02」系統です。また、2100代の増備で再投入されていますが、善福寺−西荻窪駅間ではスロープ板が出せない箇所があるという話です。(その前にあの道で車いすの方を見かけたことすらない・・・)

 というか歩道もセンターラインもないですからね(苦笑)

 関東バスは本音では荻窪線なり三鷹〜市役所系統に入れたいのでしょうが、これらの路線はすでにバスのキャパシティを超えていますから、難しいものです。
 しかも、各路線の終点での折り返しが厳しいこともあって、超ロング車を入れることもできず、さらには荻窪のバスターミナル機能の脆弱さもあって、対処法はほとんどないといえます。

 ノンステップ3ドアバスの商品化もされたことですし、今後に期待するしかないですね。

 バス活性化をするのにはノンステップにプラスしてソフト施策も行わなければということでしょうか。

Re:東京西側地域バス事業の課題ともいえる
 投稿者---CHIP氏(2002/04/30 00:35:28) http://norimonoland.info/

 まず、バスの地位が低すぎると言うことを感じてしまいます。特にバスレーンは守らないドライバーも多い事ながら、警察側もそれ程取り締まる気もないようですし・・・。歩道がかさ上げされていることはノンステップバスをよりノンステップにする上で必要な条件ですね。「荻3x」系統などが通る青梅街道はまだバスレーンがしっかりと整備されている区間だと思います。場合によってはバスがバスを抜く事も可能ですし。問題は三鷹駅につながる三鷹通りのバスレーンです。途中から左折車が入れる構造になっており、バスレーンを乗用車が通ることが日常茶飯事になっています。武蔵野警察署もそれを知っているようで時々、取り締まりというよりも一般車路線に戻るよう注意していますが余りにも効果がないのが現状です(雨の日はバスレーン上を一般車が走行することを容認しているようにも見える) 。バスの地位を上げることも今後必要ですね。
 「荻3x」の話に戻れば、かつて丸の内線の田無延伸が計画される程利用者が多いことを象徴しています。実現はしませんでしたが、利用者が確実に多い路線であることは証明しています。ですが、最近減便したことも謎です。確か、「荻3x」系統は高需要路線といえるにも関わらず、関東バスの認識は通常の一般路線だった気がします。(これも影響しているんでしょう。)

 荻窪駅の再開発計画があったと思いますが、実現するのは当分先でしょうね。武蔵野(営)管内は全路線にノンステップバスを入れる勢いで増殖していますので、将来的には投入されるでしょうが投入後、つまり、現在走っている車両の後続車までがノンステップバスとなったら、本当に通勤地獄の始まりになってしまいますね。関東バスはこの不況化の減収で経営的にも中型車を買うのが精一杯では?と某掲示板に書かれていましたが、本当に中型車主体に構成変更されるのでしょうか?

Re:ノンステップバスを考える
 投稿者---CHIP氏(2002/05/26 03:36:11) http://norimonoland.info/

 このスレッドで取り上げました関東バスの荻窪線、三鷹線ですが、5/13に三鷹線の「鷹01」「鷹02」「鷹03」に、5/25には荻窪線の「荻32」「荻34」「荻36」にノンステップ車が投入されました。おそらく、試験的な投入だと思いますがこのような動きがあるということは、バス会社側としても投入は必要だが投入すると乗客を収容しきれないという葛藤がある物と思われます。
 とりあえず、このような動きがありましたことをお知らせしておきます。

活発な武蔵野地区のコミュニティバス
 投稿者---CHIP氏(2002/05/04 03:33:44)
 
http://norimonoland.info/
活発な武蔵野地区のコミュニティバス
└Re:活発な武蔵野地区のコミュニティバス(西東京編)
└Re:活発な武蔵野地区のコミュニティバス(武蔵野編)
└はなバスの実態とムーバスの成功から考えること・・・
 └Re:はなバスの実態とムーバスの成功から考えること・・・

 ご存じの方も多くいらっしゃると思いますが、武蔵野市のムーバスに三鷹北西循環が、また西東京市の西東京キャンバスは路線を変更して4路線になり「はなバス」の愛称で3月下旬にデビューしています。
 運行開始から約1ヶ月が経ち、様々な面が見えております。まず、はなバスに関しては第2ルート(東伏見駅北口−保谷庁舎−保谷駅)と第3ルート(東伏見駅南口−武蔵野女子学院−境橋−田無駅)の2路線に関しては渋滞による遅延(酷い時には30分程遅延する)、第1ルートは始発点が保谷駅より遠く利用者が低迷し続けたまま等の問題が発生しています。ムーバスに関しては一部住民から反対の声が聞かれるようです。(開業前から反対運動が起きていたようです。)

 このような、コミュニティバスの問題点はなんと言っても狭い道のため車とのすれ違いに困る、バス停が民家の前に立っている事が多くバス停前の住民からすればプライバシーを侵害されかねない。(バスに乗るためバス停で待っている状態は、そこの住民からすれば玄関先に人が常にいるのと同じ状態と言える)バスの騒音が少なからずある等が挙げられます。利点はなんと言っても、すぐ近くにバス停があるため歩く距離が短くて済む。大抵の場合低床車のため乗り降りが楽。そして多くの場合運賃が安いことです。
 このような、コミュニティバスは今後どうあるべきなのか考えてみましょう。

Re:活発な武蔵野地区のコミュニティバス(西東京編)
 投稿者---かまにし氏(2002/05/05 20:37:32) http://www.sfc.keio.ac.jp/~t99971dy/kcbl

 CHIPさんこんにちは、かまにしと申します。

 私は大学のゼミで、コミュニティバスの自治体の政策過程について研究しているんですが、武蔵野地区はまさに研究のフィールドだったりするので、私が知っている範囲でコメントしたいと思います。

 正直言って、西東京市の「はなバス」に関してはがっかりしています。私ががっかりしている理由を、西東京市のコミバスをめぐるこれまでの動きを交えて簡単に紹介します。

 「はなバス」の開業以前に西東京市で走っていた「キャンバス」は、旧保谷市において平成2年に係長級の職員による「都市交通システム研究委員会」が発足し、その中で同市が三日月型のいびつな形のため、小・中学校の通学に必要だったスクールバスを、市役所・公共施設のアクセスとして一般利用させることができないかというアイディアから生まれました。ムーバス1号線の導入とほぼ同時期の平成8年春に導入されたのですが、両者の間に相互参照などは全くなかったようです。
 しかし、次第にムーバスの成功が認知されてきた中、ほぼ市域全体が吉祥寺の勢力圏である旧保谷市・田無市では、住民による「ムーバス」の導入を求める動きが高まり、議会等への請願も見られるようになりました。

 ちょうどその頃、保谷市長が推進していた保谷・田無の合併が本格的に進み、正式な合併協議会が設置されます。住民の中には、合併による諸手続きによってコミュニティバスの導入がかえって遅れるのではないかといった不安の声もあったようです。しかし合併のための市民フォーラムや説明会などによって、行政と住民が対話する機会が多く設けられ、その結果として、合併後の新市の方向性を示唆する「新市建設計画の4大重点施策」として、ワンコイン運賃のコミュニティバスの導入が盛り込まれました。
 平成12年度には「西東京市コミュニティバス導入調査」が実施され、学識経験者として横浜国立大の中村先生が加わりました。この調査で、キャンバスのOD表による分析、バス走行ルートの周辺住民に対する社会調査による分析などを通じて、第1ルートと第2ルートは15分間隔、第3ルートは途中折り返しを含めて概ね15〜20分間隔、第4ルートは20分間隔という結論が出され、平成13年3月に報告書として住民へ公開されています。(市役所の情報公開室に行くと置いてあります。)

 しかし、3月末から走り出した「はなバス」はなぜかそのような形態とは大きくかけ離れています。
 第1ルートは20〜30分間隔(ランダム)、第2ルート・第3ルートは30分〜1時間間隔(ランダム)、第4ルートは完全30分間隔となっています。
 運賃については、キャンバス時代の170〜210円(周辺の路線バスと揃えた運賃体系)から、ムーバスと同様の一律100円に変更していますが、これも当初はバスカード・シルバーパス一切利用不可だったものを、今年の9月30日までシルバーパス利用可としています。ムーバスは、バスを運行を支えていくためには高齢者や障害者からも一律100円を徴収することが必要という考え方でしたが、はなバスは期間限定とはいえ一度シルバーパスの利用を認めてしまったら、「もう少し延長してほしい」という話になりかねないと思います。

 どうして、こんなに話が違ってしまったのでしょうか?以下は自分が乗ったときの経験と推測を交えて、自分なりに考えてみました。

○第1ルート(保谷駅北口〜北町循環)について

 CHIPさんがおっしゃっていたように、保谷駅北口の駅前広場の整備が今年の夏に終わるそうで、それまでは駅から300m程細く曲がりくねった道を歩いてバス乗り場にたどりつかなければなりません。本来ならばこのような状況で運行することに意味があるのかとも感じましたが、2002年春の運行開始を市の方はアナウンスしていただけに、他の地域だけ運行を開始するというのは、道義的に許されなかったのかと感じています。
 僕が乗ったときは10名ほどの利用者がいましたが高齢者の方が大半で、シルバーパスを適応するとほとんど運賃収入は入らないんじゃないかといった感じでした。バスの車両は、一部に幅4.5mで両側通行の道路があるため、ワゴン車並みのク セニッツバスを用いています。

○第2ルート(保谷駅南口〜保谷庁舎〜東伏見駅)について

 第2ルートと第3ルートはキャンバスのルートをそのまま踏襲し、末端部をそれぞれ保谷駅・田無駅に接着させたルートとなっています。ダイヤについては先ほど触れましたが、結局のところ、本数はキャンバス時代と比較してほぼ同じことに気づきました。そして利用者数も私が利用した時は自分を含めてのべ7名で、これはキャンバス時代の1便あたり平均6名とほとんど変わっていません(←数値は先ほどの報告書より)。すなわち、運賃を100円に下げた分だけそのまま減収したといえます。車両はキャンバス時代と同じリエッセで、おそらく塗装し直しただけなんでしょうか。
 本数を増やせなかった理由は、第2ルートで保谷駅南口〜保谷庁舎で3〜4のバス停で、第3ルートの武蔵野市境では大部分が一般路線と重複しているため、(1)道路状況が悪いこの地域でこれ以上の増発が難しかった、(2)一般路線との運賃格差で本数を増発すると利用に歪みが生じる、のどちらかではないかと推測しました。

 ただ第3ルートについては、時間の関係上、私は乗車することができませんでした。CHIPさんがおっしゃっていた渋滞による遅延がどの区間に多いのかを教えていただけると幸いです。

○第4ルート(田無駅北口〜芝久保〜多摩六都科学館)について

 第4ルートは30分間隔と最も運行間隔が長い路線ですが、その代わり昼間のダイヤが0・30分でパターン化されているとともに、運行時間帯も8〜21時までとコミバスにしてはかなり遅くまで運転されています。また、朝・夕は15〜20分間隔に増発されます。もう少し増発しても(当初の計画通り20分毎ぐらいに)良いと思ったのですが、気になったのは途中の道路幅の広いバス停で時間調整を行なってすれ違いをしていたので、昼間のパターンを崩すのは難しいのかもしれません。
 利用者数は自分を含めて13名。若年層の利用もあり、「はなバス」4路線の中では最も利用率が高いように見えました。車両は、第1ルート並みに狭い道路が連続しているため、こちらもク セニッツバスを用いています。

<全体的に感じたこと>

 西東京市は道路状況が悪いところに住宅が密集しているため、これまでバスを必要としている地域にも民間の路線バスが入っていけなかったという事情があったようで、特に第1ルート(保谷駅の北側)・第4ルート(田無駅の北西側)へのバスの運行は悲願だったといえるでしょうし、実際に新設のこれらのルートの方が乗っているように見えました。それを考えると一概に、コミバスはいらないという結論とは言えないと思いました。

 しかし、第1ルートに関しては現状は保谷駅から300m以上離れた地点で下ろされ、そこから歩くことを考えるといくら100円でも少なくとも若年層には敬遠されて当然と言えるでしょう。
 キャンバスのルートを東伏見で分断した第2ルート・第3ルートに関しては、私が見た限り値段が100円に下がってもこれまでと同じぐらいしか乗っておらず(第3ルートは視察していないので現状が違っていたら申し訳ありません)、明らかに失敗だったといえると思います。本数を増やせば西武池袋線〜西武新宿線の連絡機能を担うこともできると思いますが、保谷〜東伏見で増発するぐらいなら、先日、西東京市の庁舎間輸送で増発された保谷〜田無の方が意義があると思いますし、何しろ何もない東伏見と駅ビル等を持つ田無では集客力が異なります。第2ルートに関しては、運賃格差のため増発できないのならばいっそのこと一般路線にするのもありだと思いますし、コミバスとして残すなら東伏見北口からの循環路線に再編成した方が良いかと思いました。

 シルバーパスの使用については、これまでのキャンバスで使えていたため、パスの使用期限が切れる9月までは認めようという話でしょうか?しかし、新路線の第1・第4ルートまで認める必要はなかったはずで、少し理解に苦しみます。

Re:活発な武蔵野地区のコミュニティバス(武蔵野編)
 投稿者---かまにし氏(2002/05/05 20:49:09) http://www.sfc.keio.ac.jp/~t99971dy/kcbl

 改めまして、かまにしです。

 はなバス第4ルートの中間あたりの芝久保バス停は一般路線と共用で、吉祥寺行の西武バスも走っています。本数は1時間に2〜3本ではなバスより若干多い程度です。この路線バスに乗って吉祥寺に出ました。

○2号線(吉祥寺北西循環)について

 吉祥寺に降りてさっそくムーバスのバス停に向かったのですが、ムーバスのドル箱路線である吉祥寺北西循環が、4月から土休日に限って10分間隔での運行を開始したようです。土休日とはいえ、いかにこの路線が儲かっているかを裏付けているといえ、コミバスでも勝ち組と負け組が二極化しているのでしょうか?

 気になったので、久しぶりにその吉祥寺北西循環に乗ってみました。僕が乗ったのは平日(4月23日)午後だったので従来通りの13分間隔で、座席が埋まり少々立ち客が出たぐらいで出発となりました。
 しかし今回乗って驚いたのは、以前、平日に来てがらがらだったムーパークが、6割を埋めていることでした。ムーパーク最寄りのバス停で降りて様子を観察しようと思いました。するとちょうど入れ替わりで乗ってくる人が2〜3名いて、彼らはムーパークのチケットを持っていました。
 しばらく観察していて分かったのは、ムーパーク利用者は必ずしもムーバスを使うのではなく、歩いて所用を済ませる人も少なくないことでした。確かに普通の駐車場として使うにしても、1時間で100円は相場と比較すると安いですからね。

○4号線(三鷹北西循環)について

 ムーパークから、三鷹北西循環の走る関前地区まで歩いてみました。しかし地理感覚がそれほどある土地でもないので、途中、西東京市に逆戻りしたりしながら住宅地の中を進みつつ、「市民の森公園」バス停に到着。4号線は20分間隔と吉祥寺の2路線と比べて間隔が長く、私も10分ぐらい待ちました。利用者数は私が乗った段階で7〜8人。途中、同数の降車と乗車があって、結局それ以上増えないまま三鷹駅北口に到着しました。

 CLIPさんのおっしゃっているように、4号線は今までの3路線以上に、車が1台やっと通れるような道を無理矢理走っている感じが否めません。しかもバスの走行ルートの周囲にはより広く走りやすい道路もあります。おそらく一般路線バスとの競合を避けるために裏道を通るルート設定にせざるを得なかったという感じでしょう。しかし、バスを待っていて感じたのですが、この関前地区は自転車の利用者が非常に多く、彼らをバスに誘導するためには吸引力の高い街(付近では吉祥寺)に直通するか、間隔を短くするしかないんでしょう。ただ、少し歩くと吉祥寺・三鷹両方につながる一般路線バスがかなりの頻度で走っているんですよね。そういった事情から考えても、住民が反対するのも仕方ないんでしょうか。

○3号線(境南循環)について

 中央線で三鷹から武蔵境へ一駅移動しました。武蔵境を起点とする3号線は西循環と東循環の2系統があり、それぞれが20分間隔で運行されています。この路線のポイントは武蔵境駅から徒歩8分の武蔵野赤十字病院にあります。ムーバスは西循環と東循環で異なるルートを通るのですが、この武蔵野赤十字病院にはどちらのルートのバスも寄るようになっていて、概ね20分に2回の乗車チャンスがあります。駅からたった8分しか離れていないんですが、ムーバスのバス停は武蔵野赤十字病院の玄関前にあるので、来院者でこれから帰る人はつい使ってしまうみたいです。実際、それまで4〜5人しか乗っていなかったバスからほとんど人が降りた後、病院からの乗車で一気に15人ぐらいに増えます。
 一方の地域輸送は、3号線が走行するエリア全体が概ね武蔵境駅からの徒歩圏で、特に東循環での利用はかなり少ないようです。つまり3号線は利用の大部分が病院輸送であると言え、単に交通空白地域を埋めるというだけではなく、そこに上手く駅と病院のドアtoドアで、たった徒歩8分の距離を新たな需要にしてしまっている点は見事です。

はなバスの実態とムーバスの成功から考えること・・・
 投稿者---かまにし氏(2002/05/05 21:00:18) http://www.sfc.keio.ac.jp/~t99971dy/kcbl

 今回(4月23日)、はなバスの初乗車&ムーバスの再乗車を体験から、両者を対比してみて感じたことを、以下に簡単にまとめてみました。

○ムーバスの2番煎じ:単なるコピーは通用しない

 単によそのコミバスをそのままコピーしたものは必ず失敗するということです。当然ながら各自治体が抱えている地域的な環境が全く異なるわけで、さらにその上に住民や利用者のニーズを加えて、初めて運賃やルートの設定という話になるべきなのでしょう。

 今回の西東京市の「はなバス」は、「ムーバスの2番煎じ」をやろうとして、結果的にそれすらできなかったという典型例なのだと思いました。特に第2・3ルートは路線バスが重複している区間があまりにも多く、今になって思えば運賃を無理に100円にするよりも、一般路線の運賃にそろえた上でパターンダイヤ化した方が、結果的には住民にとっても使いやすいものになったのかもしれません。

○単なる地域輸送「+α」の仕掛けが必要

 これは、ムーバスの2号線(吉祥寺北西循環)と3号線(境南循環)に象徴されることですが、コミバスとしての単なる地域輸送に「+α」の機能を付け加えることで、コミバスをより利便性の高い地域交通にも仕立て上げることができるのではないかと感じました。
 例えば杉並区で中央線の阿佐ヶ谷〜井の頭線の浜田山を結んでいる「すぎ丸」も、区政の永年の課題であった南北交通の整備を、交通空白地域の解消や市役所への足確保とともに、コミバスという形で実現させたものといえるでしょう。15分間隔での運行や100円運賃も、他の一般路線と重複しない地域的な環境があったからこそ実現できたと言えるでしょう。
 ついでに、同じ南北交通の整備でも、杉並区は高円寺〜永福町に関しては、途中の永福町〜松の木団地線を高円寺まで延長するという形で実現させようとしているそうです(→すぎ丸担当課のお話)。ここからも、必ずしもムーバスのようなコミバスにこだわっていないことが伺えました。

Re:はなバスの実態とムーバスの成功から考えること・・・
 投稿者---CHIP氏(2002/05/06 00:29:26) http://norimonoland.info/

 詳細な書き込みありがとうございます。

 はなバスの第3ルートに関してですが、第3ルートは東伏見駅−田無駅を結ぶ路線と田無駅から周辺を一周する田無循環、東伏見駅から周辺を1周する東伏見循環の3路線からなっていることはご存じかと思われます。
 で、この路線で使用されている車両は今回新しく導入された小型RN車を使用しています。(私としてはそんなに需要があるのか疑問ですが・・・)主に渋滞となるのは五日市街道でしょうか。また、青梅街道へでる際の東伏見4丁目付近も土・日・休日は特に渋滞の要所になるようです。この路線の遅延の原因はなんと言っても車両数が少ないことだと思います。つまり、1台がある時間帯に遅延したら大抵の場合はその遅れが相当長く残ってしまうのです。
 また、はなバスの面白いところは第1ルートはクセニッツ(西武バス)、第2ルートはリエッセ、第3ルートは小型RN車、第4ルートはクセニッツ(関東バス)となっていることでしょう。また、第1ルートと第4ルートで同じク セニッツでも大きさが異なっていますし、第4ルートのみ関東バスが運行担当になっている点も面白いところだと思います。
 ですが、どの路線も利用者が少ないようですし、はっきり言ってしまえば、第3ルートは必要か疑問です。東伏見から田無へ行く際は普通は西武新宿線を利用するでしょうし、電通裏以西はバスが頻繁に通る路線です。もし、バス路線のない場所を穴埋めするのなら、別のルートが有るのではないかと思います。

 ムーバスの三鷹北西循環にも通じる事ですが、現在バス路線が多く有る場所にきめ細かく走らせても利用者は余りいないと言うことではないでしょうか。ムーバス東・北西循環の成功はバス路線が他の路線と干渉せず、独立しているからだと思います。武蔵境のムーバスに関しては武蔵野日赤病院への輸送という面もありますしね。やはり、コミュニティバスを走らせるには既存のバス路線と干渉しない路線であることは必要だと思います。また、発着地が街として有る程度成長していることも必要なのではないかと感じております。

コミュニティバス概論 =「ムーバス」から先へ進むには=
 投稿者---551planning(2002/06/02 17:17:46)
コミュニティバス概論 =「ムーバス」から先へ進むには=
└コミュニティバスに必要なのもの
└地域にどういうバス路線を提供するのかが先になければ
└コミュニティバス概論 =「ムーバス」はなぜ先駆的だったのか?

いま改めて考えたいコミュニティバス

 先の投稿で「小型バス」という車両面に絞っての話を前面に出したのは、「コミュニティバス」というものに対して当方がはっきりとした意識付けを持っていないから、ということがあります。言い換えるならば、「コミュニティバス」というカテゴリー区分が果たして必要なのかどうか、ということになりましょうか。

ミニバス商戦を探る〜千葉からのリポート〜 ../report/039.html

 「コミュニティバス」という言葉がどこから生まれたのか、手持資料をひっくり返してみたが根源は分かりませんでした。語彙についても

交通&まちづくり用語集 http://town-m.vop.jp/yougo04-jpKA.html
日本バス友の会 
http://www.bus.or.jp/buslife/city1.html

と都市・過疎問わず広範に捉えられると考えられましょう。
 先のミニバスレポートにあてはめると行政主導、という観点で行けば浦安市、鎌ヶ谷市はまさしくコミバスに入りますが、住民の足確保とすれば新京成2路線も範疇内になり、むしろ鎌ヶ谷市のはコミバス、というカテゴリーに馴染まないとも見えます。「福祉バス的」としていましたが、狭義の福祉バスは福祉施設利用促進バスであり、無料運行ながらその他利用を排除するものです。
 このようにコミュニティバスのカテゴリーは非常に多岐に渡る曖昧なものであるといえそうです。他方その土地土地の特性をも考量する意味合いが強いことから、当方は「コミュニティバス」を定量的に分析することは難解であり、無意味と考えています。

ムーバスの功罪

 東京・武蔵野市が1995年から運行しているムーバスはまさしくコミュニティバスの代名詞とされ、小型バス、路地裏走行、短いバス停間隔、ワンコイン運賃、赤字補填の自治体主導といった目新しいシステム構築は瞬く間に全国に波及していった感があります。浦安「おさんぽバス」もまさしく上記のポイントを総じて押さえているものです。
 ムーバスの事例は全国屈指の過密住環境下の交通空白地域にスポットを集めたという意味において先進的であり、トータルシステムデザインの勝利であったわけですが、こうしたシステム自体はムーバス発祥ではなく、武蔵野市自身が先進事例として調査している武蔵村山市内循環バスや日野市内連絡バス、遠鉄バスロケシステムや四日市一番街商店街振興組合ループバスなどのパーツを研究し尽くした結果であり、ではそのシステム一つ一つを拾い集めて地域特性と混ぜ合わせればおらが街版ムーバスの出来上がり、とそう単純に進む話でもありません。ましてこの「地域特性分析」に武蔵野市は多くの時間と労力を割いています。

 これは1993年12月、武蔵野市コミュニティバス実施検討委員会が纏めた運行コンセプトですが、これひとつとっても他の事業体がこうしたコンセプトを掲げているか確認したくなります。
 例えば「地域の人が育てるバス」。ムーバスやすぎ丸では車内にコミュニティボードが設置され、沿線住民の情報交換に一役買っていますが、「おさんぽバス」や「ききょう号」ではこうしたものはありませんでした。むしろ新京成「ドレミ号」は路線開設誘致を行った沿線団地自治会の情報が掲出されており、千葉ではこうした事例は他でもあります。そう、この点は必ずしも行政主導であるべきではないのです。

 ムーバスの「罪」とまで云えないにせよ、コミュニティバス各地波及を促進させた大きな理由は「潜在需要創出」と「採算性」字面だけ先行して伝わっている点、それとトータルのシステムのパッケージング的自己評価を押している点ではないでしょうか。
 「潜在需要創出」は綿密な調査の元予測されたとはいえ常時立席状態で「採算可能」なのに、そこだけの評価だけがピックアップされている…「高齢者や幼児連れの人などが抵抗感無く利用できるバス」といえるかどうかは検証が必要と考えます。独立採算制は考慮すべき事象であり、ムーバスも検討時は将来的な民間移譲を目指していたとしても、です。
 それとシステムとして完成されたがゆえ、一般の路線バスとは全くの別物、という見方が形成されたきらいもあります。武蔵野市は積極的に情報開示しており、関連書物もありますが、ネガティブな評価はあまりされていません。確かに成功事例ですしいけないことではないのですが、客観的な視点での分析が必要と考えます。…すみません、これは今後の課題ということで先に進ませて頂きます。

小型バスとバリアフリー

 ムーバスとともに「コミュニティバス」の代名詞となった日野リエッセ。新規コミュニティバス事業者側から「ムーバスと同じやつ」というリクエストで納車、という話も多いとか…あっという間に全国で見るようになりました。
 ムーバスも基本構想時は電気自動車を検討したといいますが、環境適応性がより重視されるようになった現在では多彩なオプション構成を持ったクセニッツが注目されています。リエッセでもリフト対応車やCNG対応改造がなされたもの(すぎ丸)も出ていますが、ノンステップバスの乗降性は注目せざるを得ないかもしれません。
 ただ、後方接地3cmを誇るクセニッツシティIIでも、車椅子搭載後の旅客有効面積はかなり低下することは事実。輸送容量の低い小型バスとバリアフリーの両立は、いまだ採算面が重視される環境下にあっては越えられないハードルではないかと考えます。
 現在は介護タクシーシステムが確立過程にあり、STS(スペシャル・トランスポート・サービス=移動制約者特化型輸送サービス)の方向性も示されつつあると思われます。リエッセを使うすぎ丸ではリフト付き車両が1台のみで、狭隘路中心なことから利用可能停留所すら限られているのが現実なのです。「適材適所」ではないですが、コミュニティバスの名称に惑わされない現実的な対応をすべきではないでしょうか。

 「小型バスであること」がコミュニティバスの条件ではありません。例えばMM21地区の「みなとみらい100円バス」もコミュニティバスと位置づけられると思います。しかしこちらは別の意味で検証が必要かと。適切な需給関係にあるのか、運行形態はどうなのか。同じ臨海新興地域であるお台場では無料シャトルバスが運行されています。MM21地区も当初無料運行が行われていました。「運賃を取る・取らない選択」もひとつの課題と考えます。少なくとも、運賃を取る以上はそれなりのニーズ対応が肝要と考えますが、その意味において小型バスという選択は1台あたりの着席性=快適性が低下するという意識を持つべきでしょう。常時立客を抱えながら、狭隘路を通り短距離交通と割り切っているというムーバスの現状は当方にはひっかかります。であるならば路線網見直しなど需要負荷を下げてやる、それに伴って使用車種を見直すといった方策もあるのではないでしょうか。

「コミュニティバス」と既存一般路線バスを峻別すべきか

 浦安市の事例を見ると、既存バス路線と完全に分離された運行形態であることが分かります。しかし拠点駅間運行としては既存路線と重なる面もあるわけです。西東京市「はなバス」にもそうした傾向が見え隠れしています。結局、コミュニティバスの名の下でなければ既存事業者も動かない状況が生まれつつあるのかな、という気もしてしまいます…仮に事実なら、助成欲しさは許容するとしても、事業者側の「受け」の姿勢は利用者に向いていないとも取れます。是非は別として、運行受託を専門とする新興事業者も現れているのが事実ありますし。
 ムーバスの頃は運賃もそうですが既存事業者のカテゴリーに入り込むということでかなり気を使ったことが伺い知れます。小田急バスのカテゴリーしかも営業所がある区間では通過運行をしている点です。ここの営業所出入の回送バスを営業運行して欲しい、という市民の要望がきっかけのムーバスの皮肉ともいえます。すぎ丸の阿佐ヶ谷駅−杉並区役所間も重複区間ですが委託事業者が同じ(京王)ために是認されているようです。
 ここでふと思うのは、まさしくタイトルの通り。事業者・運行主体が違うからとシステム自体区別してしまうのはどうかと考えます。参考例は大阪市の赤バスや盛岡市での岩手県交通の取り組みが挙げられましょうか。今年2月からの乗合事業需給調整規定撤廃で状況は変わりつつあるかもしれませんが、コミュニティバスがまさにコミュニティ内のためのもの=閉鎖的に見られている点についてはあまり変化が無いようです。新京成やちばレインボーバスの既存路線撤退が続いた鎌ヶ谷市での動向もそのひとつといえます。

 「コミュニティバス」によって「カネも出すがクチも出す」という発言権を得た自治体。規制緩和で逆に機動性が増した既存事業者。今後の方向性はより広い地域としての公共交通システム提供が課題となってくると思われます。例えば浦安、あるいはムーバスの再検証において、自治体側が事業者側へ既存路線の再編を含めた提言を積極的に行ってゆく関係づくりはできないものなのでしょうか。

バスサービスのあり方とコミュニティバス

 御存知の通り、モータリゼーションから乗合バス需要は長期低減傾向、はっきり云って「激減した」といっても過言ではありません。
 しかしながら、道路環境悪化だけがその原因だったのか、ちょっとした知恵と適切なバックアップの元に地域バスは再生する…コミュニティバスはまさしくその光明でありました。
 ただ現状をつぶさに拾ってみて、どのような果実を生んでいるのか…一過的なブームから政治的に導入が図られ、そのままになっていないか、一応の成功のまま現状に甘んじていないか。一般路線バス代替として無駄な出費を重ねていないか…ここで思い出すのは『地域の人が育てるバス』というムーバスのコンセプト。利用者個々がそうした視点を向け、かつ事業者・運行主体がそうした声に応える土壌を整備すること、それには適切な外部のアドバイザー・コーディネーターの存在も肝要と考えます。

 …あなたの周りのバスサービス、満足していますか?

コミュニティバスに必要なのもの
 投稿者---CHIP氏(2002/06/04 00:50:02) http://norimonoland.info/

 とも氏が「ムーバスの呪縛と小型バス信仰」で書かれておりますように、ムーバスの二番煎じ的な路線が多い事は否定的ない事実であるとおもいます。先日開業した西東京市のはなバスに関しても非常に似た点が多いと感じますし、みたかシティーバスに関しても似ている点は多々あります。それだけ、ムーバスの功績が大きい(確か交通博物館のバスの歴史年表?にも記載されていますよね)と言えますが、だからといって似せて作ったバス路線が成功するかと言えば、そうではないことは明らかだと思います。

ムーバスの呪縛と小型バス信仰 ../report/040.html#11

 元祖コミュニティーバスとも言えるムーバスでも、路線によってカラーが異なります。吉祥寺発着の2路線(東循環・北西循環)はバス網から外れている地域(道が狭く通常はバスの乗り入れが困難な地域など)をカバーするという割合似た性格を持っているものの武蔵境の路線に関しては武蔵野日赤病院への輸送が主たる任務といった所です。三鷹発着路線に関しては、吉祥寺の2路線と性格が似ているもののそれ程バス網から外れた地域でもないところからも性格が掴みにくい路線の様に感じます。これらから考えていくと、「通常の路線バスの路線から外れた地域」もしくは「公共性の高い建物(ここでは武蔵野日赤等が該当)への交通アクセス網の拡充」のどちらかと言えます。
 このことを西東京市のはなバスに当てはめると第1ルート(保谷駅北側の循環)、第2ルート(東伏見駅−保谷庁舎−保谷駅)、第4ルート(田無駅−多摩六都科学館)の3路線についてはムーバス同様のコンセプトが伺えるものの、第3ルート(東伏見駅−田無駅)についてはそのようなコンセプトを伺うことが出来ないのです。もし、このコンセプトを満たすのならば第3ルートの補助路線的に設けられた「東伏見循環」「田無循環」のみで充分なのです。なぜ、第3ルートだけはこのコンセプトが伺えないのかと言えば、まず東伏見駅と田無駅はどちらも西武新宿線の駅であり通常この区間を移動する際には鉄道を利用することが普通であると考えられること。さらに、電通裏−小金井公園東間は路線バスと競合していることが挙げられます。また、武蔵野北高校−武蔵野女子学院間についてはバスの本数が激減しますが、ここに関しても近隣にバス停があることからそちらを使うのが一般的でしょう。つまり、第3ルートは競合している部分が多いと言うことです。
 これら、はなバスの利用者数は増加してはいるものの、ムーバス吉祥寺北西循環の様な増便へ繋がるのはまだまだ先の話です。

 まず、コミュニティーバスとして必要なのは、二番煎じ的な発想で開業するのではなく、(もちろん、良い面は真似すべきだが・・・)通常の路線バスにはないアットホームな雰囲気でお年寄りの方に配慮されたバスを作っていくべきでしょう。また、通常の路線バスに関してもコミュニティーバスの良さを真似して良い関係を構築していけるといいと思います。

 長々と乱筆失礼いたしました。

地域にどういうバス路線を提供するのかが先になければ
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/10 13:26:14) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 コミュニティバスが、既存路線バスが二の足を踏んでいるような需要実態のところに路線網を広げるだけということは事実上不可能で、拠点駅や公共施設へのアクセスを踏まえると既存路線との競合が不可避です。そういった時、現状で不可解なのはコミュバスの路線が既存路線に重ならないように妙な経路を取ったり、本来直通すべき拠点に入らなかったり、停留所位置を変えたりして、競合区間、本来のカバー区間ともに利便性をわざわざ下げる方向であることです。

 こうした利用者不在の「調整」は、ただでさえ公共交通にとって不利な「連続性」や「時間の拘束」の面を悪化させる自滅と言ってよいです。もちろん事業者同士の消耗戦も困りますが、そのエリアにどういう交通を用意するのか、という大局的観点から路線の調整をすべきでしょう。

 現在、そういう視点で見ると意外と使い勝手が良さそうなのが大阪市の「赤バス」です。
 「既存事業者」も同じ大阪市というアドバンテージはありますが、既存路線との乗り継ぎ制度や各種企画乗車券での利用も可能など、営業面での連続性への配慮がされています。
 実は赤バス拡充の平成14年1月改正から、既存路線における「幹線」「支線」の別を無くし、全系統での乗り継ぎ割引(既存路線料金1乗車分で乗車可能)を導入しました。さすがに赤バス相互と赤バスと地下鉄の乗り継ぎ割引はありませんが、赤バスと既存路線、赤バス−既存路線−地下鉄の乗り継ぎは可能です。

 こうした対応は事業者が異なると難しいですが、もともとコミュバスの原型ともいえる過疎地域での事例において、まさに黎明期から民間事業者と自治体が調整している例もあります。
 何度この例を出したか忘れましたが、奈良県十津川村の村営バスがそれで、もともと村内にR168を縦貫する幹線と、枝線ローカルを奈良交通が持っていたのを、幹線を奈良交通、枝線を十津川村が担当し、幹支線を接続するダイヤにすることで合理化と村内交通の質の向上を両立させています。

【バス】列車との連携…内灘駅に学べ log327.html#2

 現在のコミュバスのパターンを見ると、競合回避型か撤退後穴埋め型がほとんどであり、ネットワーク効果を期待できないケースが多く、結局自治体の財政が許す範囲でのミニマムアクセス維持がやっとというレベルがせいぜいです。それが「コミュニティバス」の定義として定着するとしたら、非常に悲しいですが。

コミュニティバス概論 =「ムーバス」はなぜ先駆的だったのか?=
 投稿者---かまにし氏(2002/06/11 00:27:30)

 こんばんは、かまにしです。
 6月中は私の今後の身の振り方に関することで、いささか余裕がなくて、コメントが遅くなってしまいました。よろしくお願いします。

 私は、「ムーバス」のどこが先駆的だったのか?、という問いかけに対して、551さんとは少々異なる見解を持っています。私は、「ムーバス」が先駆的だったと言われる理由は以下の2点にあると思います。

 自治体が地域の交通政策に関わっていけるきっかけを作った点
II  さまざまな政策目的を有機的に結びつけた点

I 自治体が地域の交通政策に関わっていけるきっかけを作った点

 後に、ムーバス検討過程で「コミュニティバス実施検討委員会」の委員長として加わった岡並木氏が、1990年に行なわれた武蔵野市長期構想シンポジウムで次のように発言しています。

 武蔵野に合った交通対策というのは、現状の縄張りではできないということをまず申し上げておきたいと思います。日本だけなんです。自治体がその地域の交通政策を立てることができないという立場におかれているのは。

 これに対してやり手の武蔵野市土屋市長は、「これまでも地方行政の枠のできる範囲で、ローカルルールを作ってさまざまな問題の解決を実現させてきたわけだから、やってやれないことではない」ということで、始まったのがムーバスの検討です。

 当時は、周囲に210円のバスが走っている中で、100円のバスを入れようということは、運輸省が地域内同一運賃政策を取っている以上、考えられないことだったはずです。しかし運輸省の中にも「歩くのには遠いけどバスに乗るほどでもない距離を、遠距離と同一の運賃を取るのはどうか」と疑問を持っている人々もいたようです。そのような状況の中で、検討委員会に運輸省やバス業界団体をうまく取り込んでいったことが、最終的に「ムーバス」がブレイクスルーすることができた一因ではないかと思います。

 さらにその後、MKによるタクシーやバスの事例もあって、バス・タクシー事業への参入と運賃設定は、規制緩和の方向に動いていったのは皆さんもご存じだと思いますが、ムーバスもその流れに布石を投じたと言えるのではないでしょうか。

***
 ただ、ムーバスは、その成功が次第に認知されていくとともに、ミニバスや100円バスという部分だけ一人歩きしてしまったという点については、私も551さんと同じ問題意識です。

 とは言っても、自治体が積極的に自らの地域交通に取り組む機会を得たことが活かされて、その後、さまざまな事例が生まれてきたと私は考えています。例えば杉並区の「すぎ丸」も、同区の永年の課題の1つであった「南北交通問題の解決」を、コミュニティバスという手段を使って解決させようとした事例と言えます。同じ目的を、ワンコインのコミュニティバスという手段にこだわらずに実現させたのが、世田谷区の千歳烏山〜成城学園前のバスといえるでしょう。葛飾区の「アイリスループ」も、降水確率50%以上の増便やバスカードも使える150円で、独自性を追求しています。

 自治体が地域交通改善に取り組む中で、コミュニティバスはその手段の1つでしかないと私は考えています。代替案として、地下鉄やLRT、モノレールなども考慮に入れながら、最終的にコミュニティバス、という形が本来あるべき姿ではないかと思います。

 あと、一般路線との運賃格差が問題になる場合は、あえて一般路線の体系に合わせる代わりにコミバスを増便・パターンダイヤ化するのもありではないかと思います。私が見ている限り、一般路線が近くを走る場合にはどうしても運行形態が一般路線を抵触しないものになりやすいみたいです。

 先月末に、茅ヶ崎市で「えぼし号」というコミュニティバスが登場しました。運行は神奈中が行なっています。日中は30分間隔で、途中の中海岸地区の密集住宅地を縫うように走りながら、R134沿いのサザンビーチまで到達、西浜海岸から南湖地区から再び密集住宅地に入り、茅ヶ崎駅南口に到達するという循環路線です。近くには神奈中の一般路線も走っているんですが、こちらも30分間隔になっていて、R134沿いの西浜地区では一部ルートが完全に重複しています。
 ダイヤは、一般路線が茅ヶ崎駅発で毎時「0.30」、コミバスは「15.45」だと住民にとっては非常にありがたいのですが、実際は一般路線と同じ「0.30」です。西浜地区でも、一般路線がコミバスの数分先を走るというダイヤになっています。

 これが現実なのでしょうか?とは言っても「えぼし号」は、日曜日だったこともあり、杖をついたお年寄りや海岸へ遊びにきた人の途中利用もあり、必要ないとは言えないものなんですが…。

II さまざまな政策目的を有機的に結びつけた点

 「ムーバス」以前にもコミュニティバスはあったわけですが、それらは主に特定施設間の輸送に特化したもので、エル・アルコンさんがおっしゃられたように、他の交通モードとのネットワークとしての汎用性がなかったと言えます。この点、「ムーバス」はコミュニティバスとしては初めて4条免許を取得して、15分間隔の高頻度・200〜300mでバス停を設置したことに加え、他の交通機関との乗継も便利できるように適切に駅付けを行なったことで、「ムーバス」は武蔵野市の交通体系の一部となりえたわけです。「ムーバス」が武蔵野市の交通ネットワークの一部となりえたからこそ、吉祥寺駅周辺の放置自転車は減少し、ムーパークはP&Rとして成功して中心市街地の活性化にも貢献したと言えるでしょう。

 そういう意味では、武蔵野市は最初から「福祉サービスの向上」のためだけに、「ムーバス」を走らせようとしたのではなく、これまでバスすら走らせることのできなかった「交通空白地帯の解消」や、H5まで全国ワースト1だった「放置自転車の減少」、「街の活性化」が当初から念頭にあって、だからこそ「ムーバス」のコンセプトは「誰もが使いやすい市民交通システム」になったと考えるのが自然だと思います。

***
 そう考えると、まず I で書いたように新たな武蔵野市の交通ネットワークを作るための手段としての「コミュニティバス」というモードの選択があり、その上で II で書いたような、地域の問題解決のためのさまざまな政策目的の実現に「コミュニティバス」を利用した、と捉えることができると思います。そして、「ムーバス」はその最初の事例として評価することができるのではないかと私は思います。

 問題なのは「ムーバス」以後、コミュニティバスが全国に波及していった背景の中に、「ムーバス」の本当の先駆性であるI・IIのエッセンスではなく、「100円バス」とか「ミニバスによる交通空白地帯の解消」といった手法ばかりが注目されて、独り歩きしていった点ではないかと思います。

 また結局のところ、これまで「ムーバスの二番煎じ」をしてきて失敗した所は、最初は「市民が使いやすい交通システム」を念頭において検討していたとしても(もちろんその検討自体が中途半端なことも否定できないが…)、最終的には既存事業者との妥協・折り合いがあり、その妥協・折り合いが原因で非常に中途半端な交通システムにしかならないという事例が少なからず見られています。しかしこの点については、その自治体の行政手腕によるとしか言えないことがなんとも哀しいですが。。。

 余談ですが、私の地元・蒲田でも99年から、京急バスの既存路線について「JR蒲田駅〜京急蒲田」間のみ100円に値下げされましたが実績はかなり悲惨なようで、この原因としては、JR側のバス停が駅前にロータリーがあるにも関わらず商店街の要望でそこに置けずに100m以上離れていること、京急側のバス停も道路が狭くて駅前まで入れないことなどが言われています。
 ただ、この両駅間には当時約6,000人が主に東急〜京急の乗り換えのために歩いているという調査結果が出ているぐらいなので潜在需要は間違いなくあるようで、98年には東京都が両駅の改札前をドアtoドアで結ぶミニバスを社会実験で導入して好成績だったことからもそれは伺えます。すなわち、他の交通機関との結節性やネットワークの見直しがあってこその交通であり、そういった点を妥協して導入しても全く意味のないものになることを物語っていると思うのです。

 実はよく読んでみると、551さんもエル・アルコンさんも根底にある問題意識は似ているようで、私の書き込みは言い方を変えただけの話になってしまった気もします…(爆)。何はともあれ、どうせ作るなら「市民」のためになるコミバスを作ってほしいと願っているのですが、現実はそんなに甘くないようで。。。

2005.06.05 Update


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