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【検証:近未来交通地図】Special027
ゆいレールの延伸と
沖縄の公共交通の提案

(2003/10/01 19:41:41)

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、とも様より当BBSに御投稿頂きました文章を、読みやすく構成させて頂いたものです(一部文面を編集しております)。

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

首里城をバックに
国際通り

backindexnext

 ともです。
 ゆいレール。予想に反して?いや予想通りの大繁盛でしょうか。
 およそ2ヶ月。さすがに落ち着いてきたようですが、循環バス網をはじめさまざまな展開が見えています。

2003・11ゆいレール&那覇都市交通調査オフ備忘録
ゆいレール4つの視点
../report/048.html
027-2.html

 そこで、ちょっと考えたいのが次なる展開。そう「ゆいレール延伸」です。
 ここで一つ「妄想??」をしてみましょうか(なお、以下 現行線:空港首里線 と呼びます)。


延伸構想


1 石嶺・浦添方面への延伸

 いまさらながらでもあり、まぁ誰もが思いつくものでしょう。
 石嶺団地・浦添南区画整理事業区域方向への延伸を考えてみたいところです。

提案ルート)
首里−石嶺−幸地(西原入口)−(沖縄道併設)−琉大(志真志)

 まず「首里」を出発し、一度北進。首里郵便局・JAのあるあたりで「石嶺」、さらに北上し、県道宜野湾南風原線との交差部に「浦添経塚」、ここからは浦添南区画整理事業区域にサービス道路を設置しましょう。県道が尾根のようですが、工夫次第でなんとでもなりましょう。県道上をすすみ、公務員宿舎のあたりに「前田」、沖縄道に近づいた西原入口交差点に「幸地」、ここからは沖縄道に並行して進み、「浦西団地」、西原ICをすぎて「琉大前(志真志)」となります。

 途中、団地として石嶺、浦西、志真志、両サイド1km圏に公共施設も相当あり、カバーはされるかと。

 単に伸ばすだけでもまぁそこそこの需要はつかめそうですが、別スレ※でwataru様ご提唱の「高速舞子」スタイルの高速本線直結バス停を考えて見ましょう。
 浦西団地付近で沖縄自動車道にここに「乗り換え拠点」(トランジットセンター=TC)を設けましょう。
 現在、沖縄自動車道にはこの位置に「幸地バス停」が設けられており、バス路線も111番高速名護線、113番具志川空港線、123番石川空港線、180番屋慶名線が運行されています。便数は舞子(神戸淡路道)に敵わぬまでも利便性はそれなりに確保されていますね。
 この結節を考えて見ましょう。180番はすでに首里駅で乗継可能ですが、その他の路線もここでということです。
 いわゆる本線バス停と駅施設を直結し、那覇都市圏北部の公共交通の拠点としましょう。

 また、欲しくなるのがパークアンドライド。地理的には浦添西原のR330交差点近辺(土地がない・・・)に設置するのが理想でしょうが、古島までの所要時間差がさほど無さそうなので効果があるかな?

※ ゆいレール・開業1ヶ月で利用客130万人〜需要予測の約1.5倍 ../../neotrans/log359.html#3


2 南北新ルート(浦添豊見城線)

 ゆいレールをネットワーク化する妄想を進めてみましょう(笑)
 見ていただいて解かるとおり、真っ当に引いてみました。

提案ルート)
沖縄コンベンションセンター−真志喜−大謝名−牧港−伊祖−(R330沿い)−内間−古島=(空港首里線)=安里−与儀−奥武山公園−小禄南−宇栄原−宜保−豊見城−総合公園−豊見城団地

 58号線沿いか悩ましいところですが、浦添をカバーしたいことと、市街地の58号線は後述のシステムでカバーしてはどうかということで。ゆいレールは速達性重視と考えました。
 コンベンションセンター前「宜野湾海浜公園」(ここにはバスとの乗継拠点を整備)からスタートし、東に進み58号との交点に「真志喜」、58号線を南へ。大謝名交差点に「大謝名」、牧港で県道153号に折れる手前で「牧港」。県道からR330に入り、浦添市民会館前に「浦添伊祖」、南に下がって「内間」、そして「古島」に至ります。

 古島−安里間は空港首里線と重複ですが、複々線にするかどうかは微妙なところ。仮にするのなら3駅それぞれで接続方法を変更することで各方面の平面乗り換えを担保したいところです。
 「安里」からはひめゆり通りをそのまま南下します。壺屋地区(やちむん通り付近)に「壺屋」、与儀十字路に「与儀」、R329の交点で「古波蔵」と停車し那覇市東側エリアをカバーします。「奥武山公園」で空港首里線と接続。ここでの接続で那覇空港→与儀方面、豊見城→那覇中心部が平面乗り換えが可能になります。
 小禄駅の手前で南へ返信。前原郵便局付近に「小禄南」、宇栄原小学校付近に「宇栄原」、海軍司令部壕跡南を通りりうぼう付近に「宜保」、豊見城市役所前に「豊見城」、総合運動公園に「豊見城総合公園」、那覇空港道を超えた豊見城団地付近に「豊見城団地」を設けます。

 バスとの乗継拠点は「宜野湾海浜公園」「浦添伊祖」「牧港」「豊見城」に整備。「宜野湾海浜公園」・「豊見城総合公園」・「浦添伊祖」にパークアンドライド駐車場を設置します。


3 東西新ルート(牧港マリンタウン線)

 ネットワーク化第二弾として南北〜東西方向への新規ルートです。

提案ルート)
牧港−城間−屋富祖−安謝−天久−上之屋−泊港−牧志−壺屋=(浦添豊見城線)=与儀−寄宮−国場−上間−兼城−与那覇−与那原−中城湾港マリンタウン

 ちょっと妙なルートですが、意味は複雑。
 「牧港」からR58上を進み、「城間」、「屋富祖」、「仲西」「勢理客」「安謝」、「天久」、「上之屋」と駅を設けます。ほぼ600〜700m間隔です。泊港の横に「泊港」(とまりん直結)。ここから東に向きを変え、安里川上を進みます。空港首里線と合流し「牧志」。ここから南に下り、北からの浦添豊見城線と合流して「壺屋」。「与儀」まではルートを共用です。与儀十字路を左折し、市民会館をすぎたところに「真和志(寄宮)」、県道を南に下りバイパスに入って「沖縄大」、そのまま南下して「国場」、ここからはR329沿いに進みます。バイパスとの交差点西側に「上間」、南風原町に入ってすぐに「真地団地」。兼城十字路に「兼城」、与那覇集落に「与那覇」、そして与那原の中心部に入り「与那原」。ここからR329と別れ、R331を進み、江口で左折。すぐのところに「江口」。そのまま中城湾港マリンタウンエリアに入って「マリンタウン」というルートです。

 バスとの乗り継ぎは「牧港」「安謝」「上間」「マリンタウン」。パークアンドライドは「城間」「マリンタウン」となります。
 牧港で止めていますが、朝晩などは宜野湾海浜公園まで運行するようなイメージかと。


4 環状線

 これは新規ルートとはいえ、これまでの各路線の集積的なものです。建設するのは以下の区間です。

(空港首里線)壺川−(浦添豊見城線)古波蔵
(牧港マリンタウン線)安謝−銘刈−(空港首里線)古島
(空港首里線)美栄橋−(牧港マリンタウン線)泊港

 これにより、那覇都心部を周回するルートが概成します。これをいわば「山手線」のような存在として運行しましょう。

 ひとまず、こんなところです。

 さて、ここまで見ると「あんだよ那覇近郊だけジャン。LRTとかで郊外結ばなくて良いの?」という意見もあると思います。
 確かに、名護や糸満との連絡は課題です。

 しかし、軌道系で・・・というと初期投資が大きいこと、施設整備の問題があります。
 そこで、沖縄BRT(高規格バスシステム)網を考えてみましょう。基本的には専用部として導入空間を確保するので将来的にLRTへの昇華はさほど難しくはないですし、当面、「必要な箇所だけ整備する」というスタンスでの整備が可能であり、運営上の課題も少なくなります。


ということで、ゆいレールの妄想につづいて、路面公共交通網、「高規格バス網の展開」を考えてみましょう。

 沖縄の都市交通の現在の主役、それは「路線バス」です。
 しかし、沖縄においては決して高度化されているわけではなく、従来からの路線バス網が入り組んで運行されており、系統番号こそ各社共通で揃っていますが方面別に明確に振られているのでもなく、また、路線網自体がネットワークにはなっているものの基幹軸が明確ではない上に経由などのイレギュラーも多く、決して使いやすいとは言えません。

 その解決策としては、

1) バスを高度化する・・・ゾーンバス、基幹バス、BRT
2) 軌道系交通軸を導入する・・・モノレール、LRT、HRT
3) バス運行システムを充実させる・・・バスロケ、PTPS
4) バス網を再編する

といったものですが、3)は対処療法にすぎず、4)は当然必須ではあるものの、今のままの再編ではさしたる意味を有しない可能性が高いです。
 そこで、4)を念頭におきつつも1)や2)をすすめることになります。

 しかし、先にも書きましたように、軌道系の整備は初期投資が大きいことや施設整備の問題があります。モノレールに関しては、すでにゆいレールが存在するため同一規格によるネットワーク化は可能であり、その可能性は高い物です(それが先の提案です)。
 とはいえ、基本的に10km〜20km前後の中距離をテリトリーにするモノレールでは輸送に限界があり、また、長距離になればなるほど、こまめに停車することによる所要時間増加は避けられず、パークアンドライドなどの「緩やかなTDMによる誘導」の効果が薄まってしまいます。
 また、LRTも一案ですが、モノレールと同じくテリトリー的に沖縄市までの都市間輸送には向かないですし、通過運転や朝晩の柔軟な経路変更など路線の柔軟性に難があります。
 さらに、沖縄には「沖縄自動車道」が主要都市間を結んでおり、この高速道路の活用は考えられましょう。

 そこで、将来的にはHRTもしくはLRT(高速タイプ)への昇華を念頭においた「高規格基幹バスシステム」である「BRT(Bus Rapid Transit)」の導入を提案したいと思います。

(注)BRTとは
 BRTとはブラジルのクリチバ、アメリカのマイアミ、カナダのオタワなどに導入されている公共交通システムで、物理的に隔離された専用通路(アメリカではトランジットウェイと呼ばれています)を連接などの大量輸送型のバスが高速運転を行うというものです。ガイドウェイバスとは異なり、案内軌条などは設けられてはおらず一般道−専用道を自由に行き来することができます。また、モードインターチェンジも不要で、その代わりチェックゲート(フランスで導入されているようなセンサー式ボラードなどが使いやすい)を設置します。そのため、あくまで「バス」であり、システムなどを新たに構築する必要が無く、既存バス事業者との連携により導入が安価に可能となります。名古屋市の基幹バスをより高度化したものというイメージが近いと考えます。

 なぜ、沖縄にBRTか。
 私の考えはこうです。

  1. 既存道路網(R58やR330)、沖縄自動車道などを活用できる
  2. 西海岸道路や那覇空港自動車道によりトリップ分離が可能となり、主要道路の交通規制への制約が少ない
  3. 急峻な地形が多く、曲線・勾配に極めて柔軟に対処できるゴムタイヤ方式のほうが対応しやすい
  4. トロリーバスや燃料電池などにより環境負荷は小さくできる
  5. 線的なTOD的土地利用がされているが、拠点が点在しており、それぞれに軌道を延ばすと軌道延長の増大となり非効率である。であればバスシステムによるシームレス化を図る方がよい
  6. 基本的にバスなので既存のインフラを最大限活用できる
  7. 建設・運行コストが非常に安価
  8. 道路幅員が本土に比べると比較的広く、交差点も大きいので連接車両の通行に支障が少ない。
  9. 都市内システムとの融合が容易

 LRTを新たに入れるとなると時間も費用も膨大にかかります。いくら行政の補助と言っても限りがあり、採算性確保は難しく、行政負担も増えるおそれがあります。
 まず、このシステムで路面公共交通の「ベース」を作ろう。そういう発想です。

 では、BRT網を具体的に考えてみましょう。
 まず、総論として、システムや運営面を含めた点から参りましょう。

1 路線網

 基本的には次の考えでバス路線を設定します。
 すべてがBRTではなく、一部をBRTにしていきます。

1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
 基幹軸路線
 軸間路線
 補助軸路線
 地域サービス路線
 コミュニティ路線
 直行路線
 都心循環バス
 リゾートトロリー
 主要都市間を結ぶ路線
 基幹軸相互を結ぶ路線(いわゆる環状軸)
 基幹軸の支線的な路線
 フィーダー的路線
 生活路線
 速達性を重視したサービス
 那覇市内、沖縄市内、名護市内の循環バス
 恩納村、本部オクマ地域のシャトルバスサービス

 このうち、1)と6)、2)の一部をBRTシステムによるトランジットウェイを整備、もしくは高速道路の活用とし、2)は基幹バスシステム。3)4)5)は通常のバスサービスとし、7)8)は各種システムをミックスしての運行になります。

2 システム

 基幹軸路線のうちと直行路線はクリチバなどで採用されているスタイル、チューブバス停ホームを基本にしますが、空港などで利用される「ノンステップ両サイドタイプ」の車体を使うことで、確実に平面乗換が可能なシステムとします。
 軸間路線は基幹軸路線からの直通が入るような路線では基幹軸と同じスタイルですが、それ以外では一般のバスを使用します。
 補助軸路線、地域サービス路線は従来通りですが、地域サービスのうち、特にフィーダー路線においては小型のバスを使用しましょう。

 基幹軸路線相互の接続ポイント、及び軸間路線との接続ポイント、ゆいレールとの接続ポイントなどには「トランジットセンター」(TC)を設けます。
 この施設はいわば「駅」で、バス路線や事業者に関係なく、バスやモノレール相互の乗換ができる施設です。パークアンドライドやキスアンドライドにも対応したもののイメージで、BRTとゆいレール、BRT相互、軸間・補完軸路線では極力「同一ホームでの乗換」もしくは「エスカレーターを下るだけ」「エスカレーターを昇るだけ」で乗換が可能なシステムを目指します。

3 運賃制度

 基幹軸路線と軸間路線ではセルフチケットチェック(チケットキャンセラー)方式を採用し、運賃収受は乗務員は行わない方式とします。ターミナルとなるTCにおいては改札機を設置し、チェックを行いますが、中間バス停では行わず、車内で行う検札のみとなります。罰金制度の拡充が不可避ですね。
 なお、軸間において一般バスを使用する路線では、大阪などで行われている「乗り継ぎ券方式」で対処します。

 基本的な運賃制度は「ゾーン」とし、各地域の都心部の一定エリア内は100円もしくは無料といった格安料金とします。また、都心循環バスは無料を原則とします。
 これらの無料の原資は駐車場との一元経営により確保し、フリンジ段階毎に駐車場を値上げし、都心部においては割高の料金とします(パース市で行われている方式)。

4 運営

 運営は運営(特殊)会社(公社・公団・営団等を想定)による一元化とします。ダイヤ・運賃・運行管理・乗務員訓練は運営会社に属し、各事業者は従来通り残るものの、運営会社からの委託による運転という形をとり、運営会社から運行距離、乗客数、便数などにより収益を分配されます。車両は運営会社が保有し、各事業者に貸与します。
 これは、利用者からすれば同一事業者であるためシームレスネットワークサービスが受けられるメリットがあり、運営会社からすると車両のメンテナンスや乗務員を事業者からの貸与という形で運行できるためコストが圧縮できます。
 事業者は車両を保有しないもののメンテナンスや乗務員の貸与により現在の従業員をそのまま雇用できるほか、収益の高い観光部門は各社に残り、路線と一体で整備などを行うことで整備部門の効率化が可能になりコスト圧縮が可能です(このようなスタイルは名古屋ガイドウェイバス、京都市の民間委託路線、クリチバ、パリなどで採用されています)。
 なお、当然のごとくチェック機関が必要となりましょう。その組織は市民や行政、旅行会社(観光客の代理)による第三者機関として設立し、苦情や運行トラブルなどのチェックを行います(このシステムはニューヨークやパース、クリチバで採用されています)。

 ただし、現在は類似地点にいくつかの社の営業所が見られるケースがあります。これらの統廃合は必要になりましょう。

5 車両

 上述の通り、空港などで使用されるタイプ同様の両開きノンステップを基本にします。が、ここは一つ冒険としてトロリー+燃料電池のハイブリッドに挑戦したいところ。開業時までに実現化すれば何の問題もないわけですし。
 また、輸送力が求められる路線では連節バスを用いましょう。

 高速道路を走る路線では着席が必須ですので、ハワイやオーストラリアで使用されているような多座席ワンステップ連接車の投入を考えてもよいでしょう。

6 系統番号

 細かい点ですが、先に。
 基本的にルールを明確にしましょう。
 基幹軸ごとに番号を符番するとともにアルファベットを組み合わせ、初めての利用でも不安が無いものにしたいところです。
 また、クリチバやバンクーバーで行われているような「バスの性格別の色分け」を考えたいところ。
 外国からの観光客や米軍関係者も多い土地柄、サインの「ユニバーサルデザイン化」は協力に進めたいところです。

 ということで、次回からはいよいよ路線検討に入りましょう。
 それでは。


沖縄でLRT建設計画始動か?
 投稿者---くるりん氏(2004/02/15 18:00:47)
−Re:沖縄でLRT建設計画始動か?
 └ゆいレールと市内線バス
  └Re:ゆいレールと市内線バス
   └Re:ゆいレールと市内線バス
   └どちらが優先するのではなく

 こんばんは。
 まさかと思いつつ、ようやくなのだろうかと思いつつも、同じ沖縄でこんなニュースがあがってきました。

<沖縄市>路面電車を09年にも試験開業(琉球新報02/14)http://headlines.yahoo.co.jp/…
コザに路面電車を/有志で会社設立、5年後開業めざす(沖縄タイムス02/14)http://www.okinawatimes.co.jp/…

 どうやらようやくここにきて沖縄本島にもLRTという機運だけはきたようで、まずは沖縄市で試験運行ということで、会社設立になったようです。母体に近いのが沖縄うまんちゅ鉄道準備委員会のようです。

沖縄うまんちゅ鉄道準備委員会http://www.umantyu.com/

 さて、ここで注目すべき点は、県都の那覇市ではなく、沖縄市に先行整備しようとしているところでしょうか。くしくも4月以降の状況次第では沖縄モノレールの早期危機的状況も考えられるところですし、こちらの動向も注目される点ではあります。ただ、やっぱりバス会社との接点や、なんといっても民間営利企業が行うので、採算問題も考えねばなりません。その辺も見ておくべきかと思われます。

 ところでなぜ沖縄市なのだろうかと・・・疑問に思うところではありますが。

 それでは。

Re:沖縄でLRT建設計画始動か?
 投稿者---とも氏(2004/02/16 22:20:54) http://www.koutsu-machi.com/

 ともです。

 沖縄市は以前から鉄軌道システム導入検討の噂が耐えませんでしたし、返還直後の運動を考えれば至極当然の成り行きともいえます。

 ゆいレールに関しては明らかなネガティブキャンペーンといいますか、少なくとも閑散期、しかも観光客の一番少ないシーズンのデータを引っ張ってきて、「需要予測を下回る」から「危機的」ではいくらなんでもです。
 4月以降どうなるかは別として、パークアンドライドの進展もさることながら、当初予測とは違う形での乗継展開なども興味深く、総合的に見て果たしてゆいレールが失敗か成功か、今の段階で判断するのは極めて危険です。

 まず、並行路線バスの再編すらできない、乗り継ぎも確保できない、DFSのオープンもまだと今は苦境で当然。そもそも完全に並行する9番系統がそのまま残っているというのはどうしようもありません。
 実際乗ってみればびっくりするほどの利用者がいるわけで、そもそも定員165人の編成で200便ということは、入れ替わりを考慮しても常に50%近い乗車率を確保しなくてはならないということであり、おそらくそんな都市内交通機関は日本の地方都市には無いでしょう。

 ところでなぜ沖縄市なのだろうかと・・・疑問に思うところではありますが。

 単純に考えて沖縄ですんなり導入ができるのは沖縄市ぐらいしかないでしょう。那覇は道路が狭い、豊見城・糸満・与那原は軸として弱い、恩納村はスペースが無い。名護は需要が見込めない。

 沖縄市のプラザハウスから具志川は現在でも相当な頻度でバスの走るメインの都市軸です。集積も高く需要も堅い。将来的に普天間基地が返還されれば延伸も期待できるゆいレールとの結節も可能です。
 しかも沖縄道がありますし、プラザハウス以北ならバイパスもあり、池武当〜知花の現在事業中の拡幅が終われば迂回路も整備できます。となれば下手にR58あたりに入れるよりずっと効果的です。

(以下 沿道の写真 2004.2撮影)

胡屋バス停付近
胡屋バス停付近(とも様御提供)
コザ十字路付近この辺りが狭隘区間。拡幅は不要?
コザ十字路付近 この辺りが狭隘区間。拡幅は不要?(とも様御提供)
プラザハウス付近を走る那覇交通バス(とも様御提供)
プラザハウス付近を走る那覇交通バス
終点となるプラザハウス(とも様御提供)
終点となるプラザハウス

 無論、手放しで賛成とはいかないのですが・・・

 怖いのは、「都市再生には路面電車が必要」という触れ込みですね。コザの問題は業態転換の遅れなのは明らか。アクセスが悪すぎますから導入することは賛成しますが、かといってではLRTを入れればよいかといえばそういうものではないことでしょう。
 その点が明確になることを期待したいところです。

ゆいレールと市内線バス
 投稿者---No.15氏(2004/02/17 00:30:17)

 初めまして,No.15と申します。
 私は現在沖縄県に居住する中で,さらには交通問題に興味がある中で,このツリー並びに掲示板を興味深く読んでおりました。
 そこで1点だけ,申し上げたいことがあり,今回初めて投稿致しました。

 まず、並行路線バスの再編すらできない、乗り継ぎも確保できない、DFSのオープンもまだと今は苦境で当然。そもそも完全に並行する9番系統がそのまま残っているというのはどうしようもありません。

 9番小禄石嶺線に関しては,運行する那覇交通に対する県からの資金貸付とその後の経営破綻が話をややこしくしていますが,そもそも,はたして9番線は完全に「並行」していると言えるのでしょうか。

 私から見れば,モノレールと9番線は並行していません。
 確かに小禄地区から那覇都心を経由して首里地区を結ぶ基幹路線というコンセプトは同じです。
 しかし,それぞれの地区での走り方をみると,まるで違う訳です。儀保,安里,県庁前,奥武山といったモノレールとの接点でも,両者は必ず平行せずに交差しています。

 もっと単純に考えて,もし9番線を廃止してモノレールと循環バスにして・・・という改編を実施したとしても、たとえば首里山川町のあたりから安里に行くのに,循環バスに乗って儀保か首里駅まで行って乗り換え,などと手間のかかることはおそらく誰もしないと思います。

 いたずらに9番線を廃止したところで,その利用者がモノレールに流れるとは思えません。車利用に流れるだけです。
 9番線を廃止することで一時的にモノレール利用者が増えたとしても,長期的には車利用の増加と那覇中心部の衰退を招き,結果としてモノレール利用者が減少するということに繋がりかねないと思います。

 モノレールに対するネガティブキャンペーン,ととも様は言われていますが,バスに対しても,県民のバス会社に対する不満と不信を背景にして,モノレール利用が伸びないのは9番線を廃止しない(バス会社の)せいだというネガティブキャンペーンが行われていると私は考えます。つまり,9番線が一種のスケープゴートにされていると思うのです。

 資金を貸し付けた以上はバス路線を廃止せよ,というのはあまりに短絡的です。
 この貸付金問題はありますが,むしろ9番線を何らかの形で生かした方が,長期的にモノレールの利用者(すなわち那覇中心部を指向する人)も伸びると思うのです。

Re:ゆいレールと市内線バス
 投稿者---和寒氏(2004/02/18 12:09:48) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 No.15様の御意見を興味深く拝見いたしました。
 新規に御投稿された方とお見受けいたしますが、極めて本質的な点を衝いている意見ですので、一点コメントしたいと思います。

 9番線を廃止することで一時的にモノレール利用者が増えたとしても,長期的には車利用の増加と那覇中心部の衰退を招き,結果としてモノレール利用者が減少するということに繋がりかねないと思います。
 むしろ9番線を何らかの形で生かした方が,長期的にモノレールの利用者(すなわち那覇中心部を指向する人)も伸びると思うのです。

→那覇中心部に限らずどの地域・地区であっても、より多様な交通機関が存在している方がより効用が高いことは間違いありません。またそれが都市の魅力でもあり、あるいは都市のポテンシャルとも呼ばれる要素でもあります。つまりNo.15様の御意見は、都市魅力最大化を目指す立場ということができ、那覇市全体を考えるうえで至極まっとうな意見といえます。
 その一方で、交通機関の採算性を最適化させるという観点がありえると思います。自覚されているかどうかは措くとしても、とも様がこの立場ですね(そして私も同様です)。少なくとも、モノレールをつくった以上は、採算が傾くような事態は極めて好ましくないと考えられます。いくら参入撤廃の自由化がなされたとはいえ、初期投資の償還が済む前に撤退というような極端な事態になれば、未償還投資をどう回収するかという深刻な事態に直面しなければなりません。
 まあ、これは極論としても、イニシャルコストが相対的に高いモノレールと、相対的に低いバスとを比較考量すれば、導入済という事後の場面ではモノレールを優先するという発想はおおいにありえると思います。またモノレールそのものが高速性などの面で効用の高い交通機関と考えられるので、その経営が安定するまではバスの並行路線は抑制するという発想も支持されうると思います。
 誤解しないで頂きたいのは、以上の考えはNo.15様の考えを決して否定するものではなく、その考えを導入すべき時点はいま少し将来になるのでは、といっているにすぎない、ということです。

 No.15様の指摘のなかでは、モノレールと9系統とでは性格を異にする、という重要な指摘もあります。路線図を見る限りこの考えは正しいと考えられます。
 そうするとこの場合ありえる解としては、9系統の存続、ただし経由地はモノレールとずらす、というところでしょうか。
 ただし、私はバス事情には詳しいとはいえないので、些か自信がないところですが。

Re:ゆいレールと市内線バス
 投稿者---とも氏(2004/02/18 23:00:59) http://www.koutsu-machi.com/

 No.15様、はじめまして。よろしくお願いいたします。
 地元の方から見れば違和感があるかも知れませんが、お付き合いください。

 さて、

 むしろ9番線を何らかの形で生かした方が,長期的にモノレールの利用者(すなわち那覇中心部を指向する人)も伸びると思うのです。

 基本的には私も同意見です。
 やや書き方がややこしく、誤解を招いたかと思いますが、私の考えは

というものです。

 ゆいレールの定時定速は、バスの信用度の低さに比べれば魅力的です。
 特に国際通りを走る区間では気持ちとして安里や古島での乗り換えという発想は自然と出てくるものです。
 当然、近距離の首里山川町から首里や儀保乗継で牧志や美栄橋では乗継のデメリットが圧倒的に高いのは当然ですが、石嶺あたりからの首里駅乗継ならば利用は十分考えられますし、山川町などからでも安里や牧志乗継で県庁前や旭橋ならば乗継のメリットは感じられます。
 実際、首里駅ではキスアンドライドが見られますし、不安視されているバスとの乗り継ぎも古島や小禄、赤嶺ですでに行われています。このあたりは先に発表された利用状況でも示されています。

参考) 沖縄総合事務局南部国道事務所HP http://www.dc.ogb.go.jp/nankoku/

 市内線のバスの再編はゆいレールの経営安定はもちろん、対クルマということで考えて、トータルの公共交通利便性確保のためには避けては通れないと考えます。県の計画がすべてとは思いませんが、何らかの再編を考える必要はありましょう。
 今のままではそれこそ経営安定すら双方ともに満足に図れないのですし。

 もちろん、運賃の問題は残ります。市内線ならば200円均一ですからゆいレール乗継では割高になりますので、そのケアも重要です。
 トータルでの利便性向上策を考えても良いでしょう。

 少なくとも今のままではどちらにも良くはありません。何らかの対策は必要です。それはゆいレールにも損が無く、バス事業者にも損が無い。そして何より利用者のメリットにつながらなくてはなりませんね。

 さて、次なる半年でどうかわるか。いろいろ考えたいところです。

どちらが優先するのではなく
 投稿者---No.15氏(2004/02/19 00:28:54)

 和寒様,お返事をいただきありがとうございました。

 まず,1つ訂正せねばならないことがあります。

 儀保,安里,県庁前,奥武山といったモノレールとの接点でも,両者は必ず平行せずに交差しています。

としましたが,よく考えれば旭橋で両者は並走します。直角に交差することが異なる経路を走ることの証明には何もならない訳ですが,経路が錯綜する都心部ではともかく,郊外において両者の経路は接しつつも異なるものである,という意は汲んでいただきたいです。
 また,後半のネガティブキャンペーン云々に関しては,少々筆が滑ったと読み返して思う所です。

 さて,私の文中に経営的な視点が抜けていたのは事実です。
 ただ,モノレール開通に伴うバスの再編に対して,あまりにモノレールの経営という要素を重視するあまりに,利用者の利便性とい根本を無視した,なりふり構わない論調が(少なくとも県内では)目立つために,経営的な要素には触れませんでした。

 もう一つの問題として,根本的に何を持ってして「並行」とされるのかが私には分かりません。
 9番線は「並行」しているとされるのですが,実際に生活して両者を利用する中で,とても並行していると思えないのですね。両者にそれぞれ異なった役割が与えられている気がします。
 だからと言って,私はとにかくバス路線を現状維持で残せ,と言っている訳ではありません。
 しかし9番線には単純に廃止するには惜しいものがあると思います。私に時間がなくて,数字で示せないのですが。

 「現段階では」モノレールを優先する,という和寒様のお言葉はよく分かります。
 しかしそこを一歩間違うと,例えば首都圏のように不満を抱えつつも利用する,という図式にはならず,単純に車に流れるだけです。
 モノレール「だけ」を優先するのではなく,公共交通全体を優先する施策をとらないと,逆にモノレールに乗ってくれません。

 確認しますが,私はモノレールを不要としている訳ではありません。
 むしろ那覇という街に,渋滞とは無関係に走り,バスに比べて高い輸送力を持つ交通機関を整備したことは,必要なことであるし,かつ評価できることだと思っています。

 最後にもう一点。
 2月1日をもって,那覇交通の124番という路線が廃止されました。
 この路線は市外線ですが,モノレール開通以前は市内と空港を結ぶ役割も担っていました。今回の廃止はモノレール開通が理由なのですが,124番のように,淘汰されるものは淘汰されていきます。
 ですから,慌てなくても,真にモノレールが利便性の高いものならば必然的に利用者が移り,バス会社もそれに合わせた対応を取るのではないかと思うのです。
 もちろん,県などが全体的な立場からある程度バス路線をコントロールするのも必要です。

 繰り返しになりますが,モノレールという抜本的な変化を伴う交通機関が出来たからこそ,バス路線の性急な改編は車利用を招くだけである,と私は思います。

2007.01.28 Update

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