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【検証:近未来交通地図】Special026
神戸電鉄の21世紀…バスに食われつつある通勤鉄道の現実
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神鉄

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、エル・アルコン様・KAZ様より当BBSに御投稿頂きました文章を、読みやすく構成させて頂いたものです(一部文面を編集しております)。なお、KAZ様のリポート内の写真の著作権はKAZ様に帰属します。

・ 北摂ニュータウン探訪  (2001/06/13)
・ 神鉄特快速から見た北摂三田通勤事情  (2002/01/27)
・ 神戸電鉄に挑む神姫バス「恵比須快速」ルポ  (2002/07/03)
・ バスに食われつつある通勤鉄道の事例  (2003/01/24)
・ 急行で行く粟生線の旅  (2003/06/10)
・ 近いか遠いか三木への小旅行  (2003/07/03)

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。


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北摂ニュータウン探訪  投稿者---エル・アルコン氏(2001/06/13 12:31:00)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 (千葉より転居しまして)いよいよ神戸編の開始です。
 まずは、初乗りを兼ねて出かけた神鉄・公園都市線から。

 土曜の午後、新開地から神鉄でスタートです。実は15時33分の快速に乗るつもりでしたが、時間を間違え、新開地に着くと既に発車後。結局59分の準急に乗りました。
 神鉄のダイヤは事実上普通中心で、特快速、快速、急行、準急という優等がありますが、新開地発を全種別ごっちゃの15分ヘッドにしているだけです。特快速が朝の新開地行きというほかは、快速と急行が思い出したように走るだけで、準急は本数が多いが、六甲山系の向こう側の鈴蘭台に出るまでの丸山と鵯越(ひよどりごえ)、菊水山を通過するだけ。菊水山は普通の大半が通過ですから、優等とは名ばかりです。
 それでも三田方面は快速などもありますが、三木、粟生方面は鈴蘭台以遠では藍名と木津通過の急行が朝夕にピーク方向に2本走るだけで、これでは神姫バスの急行便に勝てません。
 しかも設備が貧弱で、6月23日の改正までは志染以遠に4連が入れないため、乗り換えを強いられるというダイヤです。
 三田方面にしても、快速でも三田まで53分で、準急や普通より5分程度速いだけで、新開地−三田間32kmの時間としては、関西大手、準大手の中で能勢電鉄とならんで遅い数字です。

 4連の車内はサラッと埋まっていますが、鈴蘭台で早くも入れ替わりました。生徒の姿が多く、都市圏というよりローカルの車内光景です。鈴蘭台の乗車は北鈴蘭台、山の街で大半が降りてしまいました。三宮から新神戸トンネル経由で短絡する市営急行バスが接続する箕谷ですが乗り継ぎらしき姿は無し。神鉄上りと北神急行を同一平面乗り換えに改造中の谷上では乗り継ぎ客が結構乗ってきました。
 このあたり、先ほどの箕谷から新神戸へ新神戸トンネルが抜けていますが、それとも接続する高速道路として、神鉄線と並行して第二神明、神戸淡路鳴門道からつながる阪神高速北神戸線が走っています。今は有馬口から柳谷に出てで六甲山トンネルと六甲北道路に接続して終わっていますが、現在有馬温泉を経て中国道の西宮山口JCTまでの工事が進んでおり、完成の暁には阪高経由での神戸、大阪への道路事情の好転と高速バスの進出が見込まれることが神鉄にとっての懸念材料です。

 有馬口から単線になりますが、ひと山抜けた岡場は藤原台ニュータウンの真ん中。地図で見ると西宮北ICが近く、果たして神鉄経由の通勤客はどのくらいいるのでしょうか。
 神戸市は懐が深く、JRの市内駅制度で「道場駅は除く」とあるように宝塚線道場など、六甲山の北側に広大な土地を持っています。もともと鈴蘭台などの「本区」を除けば有馬町、有野村など1町7村を昭和22年から33年にかけて編入した結果であり、今も旧町村が「XX町」として北区内の行政区分となっています。なお昭和48年に「北区」が成立するまでは、神鉄つながりなのか、全域が兵庫区に区分されていました。

 ようやく北区域を出て三田市に入った横山で公園都市線、ウッディタウン行きに乗り換え。まばらな乗客の太宗は高校生です。新線とはいえ単線で、ニュータウン区間のトンネルは、用地こそ将来を見越して複線幅を持っていながら単線分しか掘っていないという悲哀を感じる構造です。
 すれ違う上りもまばら。運転形態は新開地ではなく三田に直通していますが、先ほどまでの三田線車内も閑散としており、厳しさがうかがえます。

 終点のウッディタウン中央で降りましたが、予想外に高くスルッとKANSAIの残高が不足しました。実はJスルーのJRW、南海、京阪、近鉄を除けば2枚投入の導入は案外と遅れており、この駅でも事務所内で処理して出れました。
 ここから新三田まで神姫バスで出ましたが、初め停車中のバスに乗ったところ、遅れ気味の先発がロータリーに入ってきたのを見て、「後ろのバスが新三田に先に着きます」と案内したのは立派です。

 ウッディタウン中央の駅周辺は荒れ地で、やや遠巻きに住宅が並んでいます。なにやら千葉ニュータウンやちはら台に似ており、苦戦がうかがえます。駅前にマイカルの大型店舗があり、そこそこ賑わっていますが、大きな駐車場を併設しており、クルマ中心のようです。商業施設のほうは南ウッディタウンにある施設のほうが賑わっており、周囲の空き地を臨時駐車場にしていました。

 ここで「特急」表示の神姫バスとすれ違い。後で調べると、北摂ニュータウン経由で篠山や関西学院と三宮を結ぶ路線で概ね40分ヘッドです。電車の15分ヘッドには敵いませんが、三宮直通の観光タイプの車両は魅力的なようで、そこそこ乗ってました。
 ニュータウンを出て新三田へ。駅のほうから神姫バスが4系統4台束になって来ましたが、どうやら「丹波路快速」を受けたダイヤのようです。神姫バスではJR連絡定期券の発売もあるようで、列車受けで各方面へのバスが散る様は、新三田を軸にした需要が多い証左でしょう。

 どうやら新三田がニュータウンの「玄関口」のようで、神鉄が旧千葉急行や北総線とだぶってきました。近所に便利なJRがあるのは旧千葉急行と外房線鎌取のような関係です。ウッディタウン中央から新三田までバスで10分程度。三田まで神鉄で12分なら始発のある新三田に出たほうが利便性が高いのでしょう。
 唯一の救いは鎌取のように駅前が栄えている訳ではなく、公園都市線のほうが近いニュータウンエリアに商業施設があることです。ただ、駅と住居と商業施設の軸がずれているので、公共交通にとっては効率的な路線を組みづらいです。ここで公園都市線が実力を発揮できれば、バスをもっと効果的に活かせるのですが。

***
 その後は宝塚から有馬温泉に出て一浴びして、芦有道路の山越えバスで芦屋に出て帰りましたが、有馬温泉のすぐ下まで西宮市山口のニュータウンで、ちょうど神鉄岡場も程近い位置関係でした。ちなみに、時刻表で宝塚駅から鎌倉峡経由で有馬に行くバスは、実は西宮名塩駅を経由します。新三田から宝塚に戻って乗ったバスが西宮名塩を通ると知ったとき、思いっきり力が抜けました...

神鉄特快速から見た北摂三田通勤事情  投稿者---エル・アルコン氏(2002/01/27 23:52:15)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 1月11日、実家へ帰るのに有給をとって「昼特急」を利用したんですが、せっかく平日に休むのに何もしないのも何なので、前運用として関西の「通好み」な通勤電車を試乗しました。異動後初の通勤電車シリーズです。

***
 まず最初は神戸電鉄の特快速。このなんとも言えない半端な響きのする優等列車ですが、平日2本、土休1本の運転で、しかも三田から新開地の運行で、三田発が6時52分と7時9分(土休は6時53分)という非常に乗りづらい運行です。結局先発便の三田6時52分発にターゲットをあわせましたが、三田への足付けが非常に苦しく、摂津本山を5時18分の神戸線始発となってしまいました(このあとは三田6時50分着ときわどい)。
 201系の神戸線始発電車は座席の半分くらいの入り。立花でまとまって乗ってきたのを確認して尼崎で乗り換えです。神戸線下りの「神戸方面加古川」行きの207系と同時発車の新三田行きは207系。宝塚線の通勤用送り込みとあって当然ガラガラです。寝入ってしまいはっとして目覚めたら道場で、かなり危なかったです。

 6時15分に三田着。まだ明ける気配も無い冬の朝は寒く、駅前を見るに休むところも無さそうで、上りホーム階段裏に待合室があったので移動しました。跨線橋を行くと、「急行」の放送が聞こえ、寝ぼけたのかな、と思ってるとディーゼルカーの轟音が響いてきました。忘れていた「だいせん」の登場で、エーデル車2連。自由席に5人ほど乗り込みました。車内は空気輸送かと見えましたが、実は向かい合わせにしたり、2人分を占領して横になっている人が見えなかっただけで、自由席は15人くらいの乗車。指定席は展望室も含めて空気輸送でした。

 まだ暗いといえども通勤客は続々現れており、普通電車はまだ空席が結構見えますが、快速はここで立客も出てます。時刻表を見て気付いたんですが、普通電車のうち、尼崎から内側線走行で塚本停車となるものと、外側線走行で塚本通過になるものがあります。まあ塚本に用がある人は些少でしょうが、紛らわしいです。
 神鉄の駅から放送が聞こえてきて見ると6時37分の急行新開地行きの発車。車内に人影無しで、いくらなんでもという光景です。
 逆に神鉄の電車が着いたのか、大量の乗り換え客がやってきており、6時40分の快速木津行きには各扉5人程度が並んでいます。その木津行きは到着時点で座席がほぼ埋まっており、車両によっては座れたようですが、北新地まで46分という三田で7時前から着席通勤が難しいという現実は、比較的楽といわれる関西圏での厳しい現実がうかがえます。木津行きに乗らずに次の48分発の快速大阪行きを待つ人も少なからずいますし。

 そろそろ神鉄駅に移動します。42分着のウッディタウンからの電車から大勢乗り換えてきましたが(目視で70人くらい)、人波が去った三田駅はひっそり。52分の特快速は新開地からの45分着の折り返しですが、降車がざっと見で80人くらいに対し、結局乗車は35人。宝塚線と違い学生層が目立つ客層で、三田行きの様子からして新開地行きが「逆ラッシュ」です。車内にLED表示を付けた5000系4連がわびしいです。発車間際に見た48分発の快速大阪行きは117系の6連。1両少ないですが車両あたりの座席が多いせいか結構三田からの乗客も座ってましたが、それでも立つ人も多く、こちらの車内が別世界です。

 この特快速、英訳は「Special Rapid Express」です。神鉄では快速が「Rapid Express」を名乗り、「Rapid Service」ではないのです。言ってみれば「快速急行」で、だから急行の上位種別になっているのでしょう。
 ここで歴史を紐解けば、そもそも準急と急行だけだった神鉄に昭和63年に「特急」が登場しました。この時の停車駅は三田、横山、道場南口、岡場、有馬口、谷上、山の街、北鈴蘭台、鈴蘭台、湊川、新開地で、運転もデータイムでした。その後平成3年に快速が通勤時間帯に有馬線と粟生線に登場(粟生線はのちに休止)、平成7年に特快速が登場しています。
 快速は谷上まで特急(と急行も)と同じで、その先有馬口以遠各駅、特快速は有馬口を通過して岡場以遠各駅となっており、有馬口の扱いはありますが、特急の下位種別という位置づけゆえ、苦しいネーミングになっています。しかも平成10年に特急が運行休止になったため、見た目はなぜ特急ではなく快速に特快速という不自然な状況になったのです。

 三田本町では乗車無し。ホームに横山からの折り返し乗車をしないように訴える貼り紙がありましたが、公園都市線と三田線が横山でなく三田本町で交換する以上、ここで乗り換えたくなるのが人情で、苦しい掲示です。
交換の公園都市線は立客も多く、明らかに三田を向いた流動を見ると、横山で公園都市線が三田に直通するのは理に適ってることが分かります。  その横山では各車15人から20人の乗客です。ようやく電車らしい入りになり面目を施しましたが、これならいっそ特快速だけでもウッディタウン直通にすれば、とも思います。

 いちおう空席があったものの、道場南口で座席が埋まりました。対向列車は満員で、三田経由大阪と流動が拮抗しています。こちらの車内を見ると、突端駅である三田行きのようにあからさまに先頭車が混んでいません。実は新開地も突端駅ですが、偏りが見られないと言うことは現時点の乗客は新開地まで行かないということでしょう。
 まとまって乗ったのは田尾寺で、各車30人見当。下りを待つ人も多かったですが、発車後すれ違った下りはガラガラで、西宮市山口地区を控えた田尾寺が流動の分水界のようです。

 谷上までの最後の停車駅になる岡場(藤原台)では田尾寺以上の乗車。ただ学生中心に10人/車くらいの降車もあり、反対側に停車中の始発普通新開地行きに乗り換えも若干。普通も座席がほぼいっぱいで、始発への狙い乗車でしょう。
 ここから北神急行乗り換えの谷上まで通過です。有馬口では有馬温泉からの準急新開地行きと同時進入。岡場の接続とあわせて、追い越しこそ無いですが上手く捌いています。谷上までの途中駅では大池での待ち人が目立つ程度ですが、時間を合わせてくる人が多いでしょうから、このあと準急が来るまでに増えるとみます。

谷上駅ホーム

 改良で北神急行とノーラッチの対面接続になった谷上に7時18分着。ホームで特快速を待つ人は少なく、逆に接続次第発車の18分発の西神中央行きは先行の岡場発新開地行きも受けており到着前から立客がいます。そして谷上の段落ちは壮絶でした。各車60人は優に降り、各車座席定員+10人程度にまで落ちたのです。ビジネスマン系はほとんど降車したようで、残ったのは高校生が大半。三宮着が北神経由で7時28分、新開地経由で7時55分では、自腹を切る学生などを除けばわざわざ新開地を回る人はいないでしょう(しかも地下鉄は湊川公園/神鉄湊川に特快速より8分早く着きますし、三田6時48分の快速大阪行きに乗り、尼崎で新快速に乗り換えると三ノ宮7時37分着)。
 さすがに鈴蘭台方面から谷上経由というのは少ないようですが、ここで「三田からの特快速」は事実上終点になった感じです。

 ここから停車駅が増えます。新神戸トンネル経由の市営急行バスが頻発する箕谷はさすがに更なる逸走懸念か、勝負にならないと悟ったのか通過しますが、山の街、北鈴蘭台、鈴蘭台と連続停車です。しかし停車するだけあって乗車は多く、特に北鈴蘭台は各車50人程度の乗車です。北区役所のある鈴蘭台でも日中のように降車が目立たず、乗車が勝り、谷上到着前のような入りになりました。三田発谷上行きと谷上発新開地行きの複合のような利用実態で、地下鉄乗り換えの湊川でも10人/車程度の降車であり、ほとんどが新開地から神戸高速東西線乗り換え及び下車のようです。
 しかし設備が貧相で、コンコースからホームへの階段が狭いため、1分後の直通特急に乗り継げず、次は6分後の急行。阪急も8分後で、三宮や神戸市内(特に阪神普通への接続)が悪すぎます。こうした点も新開地ルートの弱さ、いや、神鉄沿線指向への障害になるのではないでしょうか。

待たずに座れる?阪神区間特急 ../../topics/traffic/log050.html#5

神戸電鉄に挑む神姫バス「恵比須快速」ルポ  投稿者---エル・アルコン氏(2002/07/03 01:56:03)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 六甲山の向こう側で神戸電鉄と神姫バスのデットヒートは完全に神戸の近郊・通勤路線での争いとなっており、フラワータウン経由で北摂NTや丹波篠山に向かう特急バス、御坂もしくは第二神明玉津IC経由で、三木・小野・西脇への急行バスとぴったりマークしています。
 そして、2001年9月に開業した「恵比須快速」は、とうとう神戸市西区と三木市東部の、木幡から押部谷、緑が丘、恵比須と粟生線に張り付いた格好で、残る独占区は鈴蘭台地区だけというところまで追い込まれました。
 しかもこの4月にはそれまでの毎時1本から一部時間帯は2本に増発されており、バスの侵食は着々と進んでいるようです。

***
 仕事が早く片付いた今夕、その恵比須快速に試乗してみました。
 18時20分頃に大阪寄りのJR高架下にある神姫バス三ノ宮ターミナルに行くと、次の発車は18時45分。土休は三宮に出たお帰り需要を狙ってか昼下がりから宵の口まで毎時2本ですが、平日は若干時間が詰まる程度にとどまっています。
 高架下の橋脚間に櫛形に8列バスが入る(実は待機分を含めて2台縦列に入っている)ターミナルで、バス側で待つスペースが無いため、狭いターミナルの案内表示に10分前に乗り場が表示されるまでそこで待つシステムです。
 待つ間にちょうど30分発の高松行き、阿波池田行き、北摂のけやき台行きが発車しましたが、北摂特急は前後扉、34席がほぼ満席の盛況でしたが、高松行き、阿波池田行きともそれぞれ1人、2人と目を疑うような惨状で、好調が伝えられる明石海峡大橋関連とは思えない様子でした。

 10分前の改札の時点でゲートにはもう20人くらいの行列です。恵比須行きのほか、洲本行きと急行玉津経由西脇行きが同じ45分に出るからで、どれも利用が良いだけに早々に長い列です。
 乗り場8番が表示され、乗り場に向かうと、北摂特急や西脇急行でお馴染みの前後扉車ではなく、高速車タイプの前扉車(11列トイレ無し。補助席付き)です。結局改札時点で乗り込んだのは25人を超えており、結局38人まで膨れ上がりました。察するに、高速車使用は定員を稼ぐ狙いかもしれず、実際、運転席後ろには、5月から平日の恵比須駅発7時20分発は2台運行という掲示があり、朝の通勤利用もかなりあるようです。

 18時45分、発車です。ドアが閉まると誘導員が高架脇の道路にパッと出て、バス出発用のスペースを作ります。そこへ大外から我が恵比須行き、そして頭ハネのように西脇行きが割り込み、洲本行きは後ろにつきました。洲本行きは半分強の入り(このあと高速舞子に停まる)、そして西脇行きはほぼ満席と盛況です。
 R2から生田川で川沿いの道に入り、北摂特急や神戸北町への市営急行バスが停まる新神戸駅のバス停を通りますが、こちらは無停車扱い。新神戸トンネルに入ると、すぐ西神への山麓バイパスを分岐。そしてしばらく闇の中を走りました。

 トンネルを抜けると箕谷。西脇急行のように県道経由ではなく阪神高速北神戸線へ入り次の藍那で降りました。このあたり、東側のように峻険な六甲山系ではなく、緑豊かな丘陵地帯ですが、人家が少なく、押部谷や三木の住宅街との間に広がる緩衝地帯となっています。巨大な採石場を巻いて下り、山陽道(神戸淡路鳴門道への枝線)と交差すると最初の停留所でもある神戸複合産業団地。さらに降りて木幡に至るとようやく人里です。

 小幡から降車が出始めました。ここから栄駅、押部谷駅、緑が丘駅と停車停留所は総て駅にぶつけるという真っ向勝負です。ところが各駅3〜5人の降車があり、神鉄の苦しさが見えます。
 藍那を出たのは三ノ宮からわずか20分でしたが、押部谷では40分近く経ってます。県道がやや混んでおり、滞る中、新開地を18時52分に出た普通が抜いていきましたが、車内はガラガラでした。ちなみにこの電車に乗るには阪急三宮発18時40分です。

 緑が丘は非交換の棒線ホームですがロータリーは立派。バスはここで粟生線と別れ、住宅街を縫うルートに入ります。
 賑わう商店街の中程の緑ヶ丘中1丁目で5人降車と、このバスの狙いが明らかになってきました。緑が丘西1丁目西などという笑える停留所を過ぎると緑が丘はおしまいで、次は自由が丘です。東自由が丘からあかねが丘、西自由が丘と続く一戸建てが並ぶ一大ベッドタウンを通るうちに乗客は降りきってしまい、街を抜けた最後の吉田公民館前で1人降りると私だけになってしまいました。
 結局19時50分着の恵比須まで乗ったのは私一人でした。メインの自由が丘を考えると三ノ宮から1時間弱というイメージでしょうか。ただ恵比須は御坂経由の西脇急行がカバーしており、自由が丘へは志染から神姫ゾーンバスであり、なぜ志染行きにしなかったのでしょうか。

 ただ、緑が丘、自由が丘という粟生線の根幹を成す住宅街にターゲットを絞った直行型のバスサービスはやはり脅威です。毎時1本レベルでここまで狙うのですから、ある程度のフリークェンシーを確保した時、神鉄が壊滅的な影響を受ける可能性は非常に高いです(三ノ宮ターミナルの容量が増発を阻んでいるのかも)。関西私鉄の中でも神鉄のサービスレベル(ダイヤ、アコモ)は相当落ちるところに、高速バスクラスのアコモと運賃、時間で斬り込んできています(緑ヶ丘までバス640円、鉄道690円)。運賃は個札ならバスが安く、時間もほぼ互角で、駅からバス圏の場合は圧倒的にバス有利でしょう。

 帰りの神鉄で、下り電車を観察すると、志染の降車は30人台とか、電車によっては乗客全体で20人程度(広野ゴルフ場前)とか、急行ですら4両で160〜170人程度(押部谷)とか、両者の本数差があるとはいえ、輸送人員ではバスが案外とシェアを確保している感じが見て取れました。
 六甲の北側の道路網整備は過剰と言って良い好条件ですから、今後も神鉄の苦戦が避けられないところです。

***
 ちなみに、緑が丘駅からの神姫ゾーンバスは日中毎時1本、夕夜間毎時4本(土休は3本)、志染駅からのゾーンバスは日中毎時2本、夕夜間毎時4本(土休は2本)で、恵比須快速が毎時1本(土休夕方は2本)なので、特に自由が丘エリアにおいては乗車チャンスという点では、平日は半分、土休は日中半分、夕夜間はイーブンです(緑が丘エリアは駅から恵比須快速自体の利用が出来る。なお途中まで一緒の路線を含めると緑が丘は日中毎時4本、夕夜間毎時8本(土休6本)になる)。

 同じ神姫バスなので単純に競合とは言い難いですが、住宅街から見た利便性ではバスのほうが相当高いように見えます。
 なお、三木市のHPの「三木市への交通アクセス網」のトップの地図では、「新開地駅から55分」「JR三宮駅前から神姫バスで50分」「新神戸駅から車で40分」となっており、どうも電車の地位が見て取れます

バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/01/24 14:27:17)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─大阪市はもう食われているところがあります。
─Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
─Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 └思うところ・・・
  └BRTシステムと郊外バスシステム
   └神戸の立派な道路も・・

大都市の通勤鉄道とバスが真っ向から競合、というかバス優位ともいえる様相になっている神戸電鉄と神姫バスですが、三宮をベースに考えると時刻・普通運賃は既に神姫バス優位になっています。

 今週、夜に神姫三ノ宮バスターミナル前を通る機会に恵まれ、神姫の近郊路線の様子を見ましたが、北摂NTのフラワータウン経由便がで40人前後の乗車、恵比須快速が30人程度、三木経由の西脇急行も20人程度と、30分ヘッドで運行している時間帯ですから時間あたりで、横山以遠の公園都市線方面へ80人程度、木幡以遠の粟生線へは100人強の輸送を確保している計算ですから、三宮から公園都市線方面はおそらくかなり優位、粟生線方面も相当なシェアを占めていることが推測できます。

 平日の通勤時間帯での健闘ですが、乗り換え無しのライナー的利用かと思っていましたが、ふと定期運賃を比較して驚きました。バスの定期というと週休2日制では使いモノにならないレベルというのが通り相場ですが、神姫バスの場合もギリギリの価格設定です。もっとも6ヶ月定期の設定があるのは親切で、まあそのベースで神鉄と比較してみたのですが、その結果はというと...

三ノ宮−緑が丘 三ノ宮−三木 三ノ宮−フラワータウン
神鉄135,550円 神鉄144,510円 神鉄(新開地経由)151,310円
神鉄(北神経由)217,840円
神姫145,150円 神姫156,490円 神姫158,760円

神鉄

 6ヶ月で1万円前後の差しかついていないばかりか、神姫バスの場合、1ヶ月30,000円、6ヶ月だと163,000円を超える設定は無く、その金額での全線定期券になりますので、初乗りの150円区間で6ヶ月34,020円ということを考えると駅からバスというエリアだと全く価格競争力がありません。
 しかも環境定期券制度があるため土休は同行の家族は400円未満区間は100円、600円未満は200円ときて1,000円以上は500円というサービス(本人乗り越しは100円均一)も受けられるため、格差は広がる一方です。

 もちろん神戸駅周辺や県庁付近との流動では神鉄優位の部分もありますから、単純に勝ち負けを論じられないとは言え、ここまで鉄道とバスの条件が拮抗、というよりバス優位になっているのは大都市圏では珍しい事例だと思います。
 ここまで来ると毎時4本がデフォルトの神鉄なみのフリークェンシーを確保したら地滑り的な勝利も有り得ますが(実際、箕谷・神戸北町は神戸市バスの急行64系統の圧勝)、三ノ宮バスターミナルのキャパシティもあってか自重しているようにすら見えます。

大阪市はもう食われているところがあります。
 投稿者---Ferrovie federali氏(2003/01/25 14:14:56)

 バスが通勤鉄道を食ってしまう事例は何も神戸に限ったことではなく、大阪にもあります。

 弁天町と南港ポートタウン東および西・中ふ頭の相互間では明らかに地下鉄が不利なのです。またOTS経由があるのは確かですが企業がこの線経由の定期券を出したがらない傾向があるためによりバス優位の形成を成す有様です。
 比較のために定期券代を記しますと

バス 全線(大阪市の料金制度は2キロ未満か全線しかない) 3ヶ月 23,940円
地下鉄とニュートラム乗り継ぎはひどく遠回りなので論外。但し3ヶ月31,300円(4区) 33,860円(5区)
OTS経由は不明。但し地下鉄との乗り継ぎ割引があるとしても30,000円以上はかかると思われる。

 このようにバスが料金では大幅に優位です。所要時間はバスでは弁天町と南港・ポートタウン東の場合の間は平均25分、地下鉄とOTS乗り継ぎでも同程度です。
 地下鉄やOTSのほうが明らかに頻度が高いのですが、バスは朝混雑時では1時間に16本ほどあり、ポートタウン西と中ふ頭によらないものも半数あります。それでもなおバスに分があるのです。

 確かに大阪市でも環境定期はあるのですがその恩恵を受けにくい大阪市外の乗客が南港に流入することもこのケースにおける特徴です。

 他にも日常利用でバスが地下鉄を食うケースが大阪の一部地域でありますがここでは割愛します。

Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 投稿者---とも氏(2003/01/26 03:36:24) http://www.koutsu-machi.com/

 ともです。

 神姫バスvs神戸電鉄の構図は一つの可能性を示しているといえます。
 名古屋における小牧や三重方面への高速路線バスなどもそうでしょうが、これまで鉄道に対しての競争力がもち得ないといわれてきた郊外への近距離路線バスもやり方次第で成功するという事例でしょう。

名古屋「都市圏高速バス」のりある記  ../report/035.html

 都市内においては古くは渋谷−六本木−新橋の都01系統や大阪のゾーンバス、名古屋の出来町線、最近ではお台場への快速バスや福岡の都市高速経由のももち線など鉄道に対する競争力に近いバスサービスを提供し、かつ支持されている例があります。

 中距離以上になれば「東京−つくば」や「福岡−久留米」に代表される高速バスとしての成功例が数多くあります。
 しかし近距離、しかも都市−郊外となるとやはり限られた事例であり、直通サービスという特異性で成立している事例はあるものの、いわば真っ向勝負ではなかなか成立し得ないと考えられてきた部分は否定できません。

 しかし神戸は成功しているといえます。なぜかを考えてみたいです。

 まず運賃面において神戸電鉄と拮抗するというのは大きなポイントです。
 定期ベースにおいて差が無いとなった場合、鉄道の優位性がそがれる可能性があります。ましてや神戸電鉄の場合、速度にも問題があり恵比須快速などでは差が無いというのが実情です。
 さらに神戸の場合恵まれた道路網による定時性の担保も大きいです。首都圏でも江戸川台や三郷松伏など同様の条件での路線が増えているものの、やはり定時性が足かせになっている部分は否定できません。
 神戸は幸いにしてそれが無い。そこが大きいでしょう。

 「バスに食われつつある通勤鉄道」というよりも、「通勤鉄道クラスの信頼性と選好優位性を持ったバスシステム」という評価がよいのかもしれません。

 まとまりませんが。ではでは

Re:バスに食われつつある通勤鉄道の事例
 投稿者---KAZ氏(2003/01/27 13:49:14) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/pri/

 KAZです。ご無沙汰しております。
 一応地元の話題ということで、少しだけレスを・・・。

 神姫バスの最近の積極策には目を見張るものがありますね。篠山急行を統合・拡大させた「三田特急」の新設から「恵比寿快速」の設定と「西脇急行」のルート変更など、明らかに神鉄と競合する路線を強化しています。神鉄はこの他にも神戸市交通局の急行64系統(三宮〜新神戸トンネル〜箕谷〜神戸北町)とも競合していますから、バス側の攻勢が凄まじいですね。
 これは神姫バス側の意識改革が始まっている事を示しているようで、加古川や姫路といったエリアでも都市型のバスサービスを模索し始めているように見受けられます。エリア内住民としては、今後の展開が少し楽しみだったりしますね。

 あと兵庫県内でバス優勢の区間といえば、川西市の能勢電VS阪急バスも見逃せませんね。能勢電と微妙に離れたエリアに広がる新興住宅街からのバス路線が、高規格バイパス道路の完成によって急行や準急便の大量設定で能勢電に攻勢をかけています。こちらは最近の輸送改善が目立つJR駅へのアクセスという面でもバスが有利で、能勢電&阪急電車の劣勢は聞こえてきています。

 この他まだ構想段階ですが、阪神高速湾岸線を使った通勤高速バスの設定なども考えられているようで、関西のバス事情はこれから変わっていきそうです。まとまりのない文になってしまいましたが、とりあえずご挨拶程度に(笑)

思うところ・・・
 投稿者---Ferrovie federali氏(2003/01/27 19:07:30)

 バスと鉄道の競争はどのような事例でも思うのですがバスなら乗り継ぎが無い場所であるのに、鉄道の場合は乗換えが必要になる場所に行くとき、鉄道の乗り継ぎ時間を含めたその場所までの所要時間がバスに通しで乗る場合と変わらなければどうしてもバスが優位に立つように思います。

 神戸市の急行64号は隣の大阪から見てもとくに車両面でも輸送力の大きな車両を導入するなど相当な力を入れてるように思います。もしかすると連節バスが導入される可能性も十分にあると思います。

 またともさんが大阪市のゾーンバス制度に触れられていますが、この制度はどうしても系統の種類に因る乗り継ぎの制限があり、これだけが最大の欠点でした。
 また1994年の系統再編大改悪で大阪市住吉区ではこの制度が活用出来なくなって移動が不便になるなどの障害も引き起こした事もあります(東西の移動や住吉区南部から上本町方面への移動が大変不便に成り下がったため)。
 このため、これが鉄道との競争力があったと言うのには些か疑問を感じます。

 親投稿の都心と郊外を結ぶバスと通勤鉄道の事例で無い場合のバスと鉄道なら大阪市の場合は天保山系統の60号(なんば)、88号(大阪駅)、36号(大阪駅−地下鉄門真南)の場合でも並行している地下鉄を乗り継いで行ける区間ではあるものの、乗り換えなしのバス利用が優位になっています。

BRTシステムと郊外バスシステム
 投稿者---とも氏(2003/01/27 21:59:07) http://www.koutsu-machi.com/

 ともです。
 ちょっと議論に疑問点がありますので、修正がてら。

 大阪であればゾーンバスは明らかに「都市内」(都心に比較的近い住宅地と都心を結ぶ路線を含む)路線ですし、例に出された天保山系統の60号(なんば)、88号(大阪駅)、36号(大阪駅−地下鉄門真南)に関しても都市内路線と考えるのが妥当でしょう。
 都市内においては今に始まったことではなく、「都市新バス」などが盛んに検討された昭和50年代から鉄道に比較優位なバスの存在はありました。
そういった「都市の基幹軸として鉄道並の利便性を有するバスシステム」をBRTといいますが、Ferrovie federali様があげられたものはそういったものに近い基幹的システムではないでしょうか。

 都心内路線と都心−郊外線の違いは、都心内路線は一般の路線バスとして面サービスが前提であるのに対し、都心−郊外線は末端部においては面的サービスを行いながら基本が線的サービスであるという点でしょう。
 今回、親レスでエル・アルコン様が提議されたものは「都心と郊外を結ぶバス」であり、KAZ様が上げられた神戸市の急行64系統のように、都心内や郊外部では面的サービスを行うものの、郊外への途中経路では自動車専用道路を走行することで直結性を担保した面+線+面のサービス形態を持つものと考えられます。

 急行64系統は新神戸トンネルの開通にあわせて設定されたパークアンドライドの受け皿的路線であり、確実に堅調な需要に支えられた路線です。
 しかし、その規模は全国的に見れば珍しいものではないのは確かであり、大型車は入るものの、連節バスが・・・とまでなるかどうかは疑問です。
 未だ増発の余地はありますし、朝夕の特定時間帯以外は一般車体の車両で十分カバーできます。
 輸送力増強なら逆にメガライナーのような二階建てでしょうか。輸送力に差は無いですし、連節バスに比べると安価でノンステップというメリットもあります。神戸の丘陵地帯でのカーブの弱い連接車の運行は不安があります。諸外国ではまさにこういった都心−郊外線で使われることの多い車体ですし、香港などでは山道でもなんでもドンドン入っていきますから。

 さて、他都市での展開ですが、同じような都心−郊外線が成立しているのは横浜などもそうですね。第三京浜や保土ヶ谷バイパス、横浜新道、首都高を経由する路線バス網が形成されています。
 神戸と横浜で共通なのは鉄道輸送が比較的弱いポイントが多いこと、道路状況が良く、バス路線網が維持できていた点でしょう。
 やはりポイントは郊外と都心をダイレクトに結ぶ道路網、そして渋滞の少なさでしょうか。

 最近では東京〜江戸川台、吉川・松伏をはじめとする常磐道系統や、アクアラインを利用した路線、比較的混雑が少ない湾岸道方面への路線が増えてきています。これらは羽田アクセスの成功というちょっと違う要因のものではありますが、神戸とはまた違う展開を見せています。

 じっくり考えてみたい事象です。
 まとまりませんが。それでは。

神戸の立派な道路も・・
 投稿者---Ferrovie federali氏(2003/01/28 15:19:26)

 都市と郊外を結ぶバスが鉄道より優位な場合は、郊外の特徴もこのバスに有利な点を与えています。郊外はどうしても山を切り開いた場所が多く、どうしても地形的にアップダウンの激しい場所にならざるを得ぬ場所になります。またこの地形条件が鉄道駅が遠く思える原因にもなるために、家からの徒歩距離が少なく済むバスの優位性がより明白になります。
 また神戸市の場合は有料自動車専用道路に大きなものが多いうえにその道路が都心郊外を見事に直結し、かつ幹線道路の車線数の条件も大阪や京都に比してずいぶんよいのがバスや自動車が鉄道に対して優位に立つ事ができる最大の原因です。このようなことは制約の多い大阪や京都ではとても無理でしょう

急行で行く粟生線の旅  投稿者---KAZ氏(2003/06/10 23:52:32) 
 http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/mono/

 どうもです。夕方以降少し時間が空いたので、神姫バスの猛攻&神戸市交通局の侵食に粟生息吐息(笑)と言われている神戸電鉄粟生線、それも希少な急行列車に乗ることができると判明したので、ついつい新開地で神鉄ホームへ・・・。

 18時過ぎの新開地駅ホームは、夕ラッシュとはいえさほど殺気だった雰囲気ではなく、皆さんマイペースに思い思いのホームへ歩みを進めています。14分発で三田行の急行があるものの、乗客もさほど多くなくのんびりしたものです。

 さて三田行の急行が出れば、その後には粟生行の急行が入ります。南北線(神鉄)新開地駅は3線あり、中線は両側ホームで有馬線・三田線列車は2番乗り場側の、粟生線列車は3番乗り場側のドアを開く形で路線分離を行っています。さてここで一番の特徴はランプ付き乗車目標。2扉・3扉の相互混結で3〜5連を自在に編成する神鉄ならではのもので、編成内に2扉・3扉が混在してもそれに合わせて乗車目標のランプが点灯して旅客を誘導します(昔は阪急梅田も同様のものがあったようです)。

 さてやってきた粟生行急行は最古参の1000系2扉車。古いとはいえ非冷房車じゃないだけマシです(4番乗り場の志染行普通は非冷房車混結)。しかし車内は古色蒼然としており、昨今のサービスレベルにないように感じます。シートもベコベコですし・・・。

神鉄

 4番乗り場には先発の志染行が停まっていますが、僅かながら急行を待つ人もいます。追い越しは行わないので単純に恵比須以遠へ行く人なのでしょう。そうこうしているうちに志染行がそこそこの乗りで発車し、急行の車内も俄に賑わってきます。急行の狙い乗車があるのかと思いきや、単純に恵比須以遠への列車が20分以上も空いており、そのぶん混んでいるだけの様子。

新開地駅ホーム
神鉄

三田行急行車内(発車直前)
神鉄

神鉄
1000系車内
神鉄
1000系外観(小野駅停車中)

神鉄
三木駅発車時点の急行車内

 発車が近づいてくると混雑も増し、それなりに夕ラッシュらしい乗車率になれば発車。湊川でも乗車があり、関西としてはかなりの混雑率で鈴蘭台へ向かいます。50パーミルの急勾配を50km/h程度のスピードで登っていき、僅かに下ったかと思えば鈴蘭台。しかしここでの下車の多いこと。1/3程度は降りてしまいます。降りた客数の約半数程度の乗車があり、鈴蘭台西口・西鈴蘭台と連続停車。西口では僅かな降車、西鈴でそれなりの降車があり車内は僅かに空いてきました。ここからは山間の無人地帯にある藍那・木津の両駅を通過して木幡へと向かいます。

 さて無人地帯を抜けると木幡駅、ここから急行は各駅に停まるよになります。以前は木幡・栄も通過して押部谷から各停となっていたのですが(木幡・栄停車は快速を名乗っていた)、両駅周辺の開発も進んだ上にバスで西神中央駅へ出るルートもあるため、地下鉄への対抗という意味もあって停めているようです。駅周辺はローカル色豊かですが、丘の上を見れば住宅がびっしり。丘の反対側へ出れば三宮直通の市営地下鉄がある訳ですから神鉄も大変なのでしょう。
 木幡・栄・押部谷と少しずつ客を降ろしていった急行ですが、市境を越え三木市に入った緑が丘駅で高校生が大量に乗車。また少し車内が賑わいます。広野ゴルフ場・志染で少し降り、恵比須・上の丸・三木では結構な下車。志染までは10分前に先行列車があったものの、恵比須以降ではこの急行が久しぶりの列車ですから当然と言えば当然。三木ではかなり降り、車内はガクっと空いてきます。

 乗車率ばかりを追ってきましたが、急行と言うからには速く走るのかと言えばそこが難しいところで、勾配・カーブとも極端にきつい神鉄は元々スピードを出しにくい路線。車両も高速走行より勾配区間の安定走行に重点を置いた設計になっているようで、高速走行は苦手です。しかし木幡から粟生にかけては勾配やカーブも少しは緩和され、最近になってようやく80km/hでの運転が始められています。比較的駅間の長い粟生線区間では部分的に制限はかかるものの、各駅間でとりあえず出せるだけ出して走っていますので、案外キビキビとした印象です。並行する道路もさほど規格は良くなく流れも悪いので、各停だとは言え電車が遅く感じることは少なそうです。

 そんな感じで大村・樫山・市場と進み小野へ向かいます。途中樫山では国道175号線新道と並行しますが、道路側が立体化されている上に駅前もさほど広くはなさそうなので結節は難しそう。そうこうしているうちに列車は小野に到着。新開地から約1時間、やはり遠いですね。駅は島式ホーム1面2線で、ホームのない待避線(留置線)がもう1本という構成。立派な駅ビルも建っており駅前も整備されていてクルマも入れます。

小野駅ホーム
神鉄
小野駅正面口と駅前広場
神鉄
神鉄
小野駅裏口と駅前広場(暗くて見えないかな?)
神鉄
駅前ではキス&ライドでしょうか、高校生が数人迎えを待っている様子。

 小野駅は街外れにあり、中心を通るのは神姫バス。その神姫バスは社・西脇と三ノ宮を結ぶ急行バスが昔からあり、他にも明石行もあって便利なのでバス利用も多いようで、新開地止まりの神鉄は厳しい局面にあるようです。今度の改正で三木折り返しが小野まで延長されるようで、さてそれがどういう戦略なのか気になるところです。小野駅自体は綺麗に整備されており小野市も気合いを入れているようですが、小野市自体がさほど大きくない都市ですし(ようやく人口が5万人に達したレベル)、社や西脇・加西方面からの結節も考えているのでしょうか。

 私は小野から粟生周りで帰りましたが、高校生の流動が興味深い。粟生を挟んで加古川線〜神鉄粟生線相互の流動があること。今回も20人を超える数で加古川線へ乗り継いでいました。加古川線の先にある西脇市は小規模ながら独立都市圏を有する拠点都市であり、加古川線の電化と併せて神鉄との連携など何か面白い工夫ができればいいのですが・・・

近いか遠いか三木への小旅行  投稿者---エル・アルコン氏(2003/07/03 19:57:26)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 仕事も片付いた夕方、時間があったので三木まで遠征してきました。
 KAZさんによる神鉄粟生線ルポと違い、往路は加古川、厄神乗り換えの三木鉄道、復路は神姫バスの西脇急行と、神鉄外しの小旅行でした。

 スタートは三ノ宮18時14分の外側快速。新快速なら乗り換え無しですが、ちょうど夕方のはレアな垂水、須磨、舞子通過となる外側快速が来たので明石まで先行。221系12連ということで三ノ宮では各車10人弱が座れたようで、乗りこみが多かったのは神戸、兵庫で、座席定員の1.5倍以上になりました。明石では座席定員+α程度まで降車。おそらく400人は降りてます。そのうち70〜80人が後続の新快速の列にそのまま付きましたが、外側快速は大久保退避、また兵庫から加古川以西へは明石ですぐの乗り換えが可能なので便利です。
 続行の新快速(三ノ宮18時19分)は223系12連。外側快速とほぼ同じ位の乗客数で到着し、外側快速よりやや少ない数が降りて座席定員程度+α(221系なら座席定員程度)、100人以上乗車してドア部に10人程度で発車。西明石では100〜150人程度の降車で、ここから補助席が解禁となりますが、勝手知ったる通勤客は放送より前に引き出して座ってました。
 大久保で抜いた外側快速は座席定員程度。そして高架化なった加古川では200〜250人が降車。対面の快速に50〜70人が乗り換え、まだ地平の加古川線には50人程度の乗り換えです。

 18時56分発の厄神行きはワンマン2連。120人程度。日岡で10人程、団地があり駅員がいる神野では約50人とまとまった降車で、新快速からの乗り継ぎもここがメインのようです。はや終点の厄神降車は60人。この間全駅交換駅で、単線ですがダイヤ編成は楽そうですし、ポテンシャルがあります。
 で、すぐ連絡の19時12分の三木鉄道にどれだけ乗り継ぐかと思ったら19人でこれが乗客の総て。夕通勤時にボックスを占領するかロングに座るかという感じでは、せっかくレールバスを大型化したのも空しい感じです。三木の降車は13人。これでは大阪、神戸どころか加古川からの流動すら取れていないようです。もっとも並行する県道のクルマも少なく、加古川・姫路−三木という流動は案外細いとか。

 三木着は19時25分。四角形の3辺を大迂回するイメージの三ノ宮から1時間6分、大阪から1時間25分は案外早く感じますし、実際、神鉄が新開地乗り換えで1時間強、神姫バスが50分ですから時間的には健闘の域です。
 もちろん本数的には神鉄の毎時4本に比べると少なくラッシュで毎時2本見当は西脇急行より少ないですし、乗り換えが2回あり、そもそも値段が1070円では神鉄の740円、西脇急行の670円に比べると話になりません。
 ただ、加古川線の電化や、逆にキハ120でも借りて加古川まで直通快速でも走らせれば(三木線内は毎時1本の停車の要もあるのかな)、少なくとも神鉄よりは早く、特に三ノ宮行きで神戸市街と社〜小野で遅れがちな西脇急行より信頼性があるので、値段を850円くらいまで勉強すれば大化けするかもしれません。まあ加古川線と神戸線の直通でも、と妄想したことがありますが、加古川線の分岐位置が悪く、新快速や快速と加古川で分割併合、というスタイルは無理そうですが...

***
 三木駅から19時半というのにうらぶれて寂しい中心街の本町までは徒歩で5分ほど。帰りの西脇急行は30分待ちなので、美嚢川を渡り神鉄の三木駅へ歩きます。街の雰囲気はベッドタウンというより地方都市独特の風情というか風格すらあり、同じ三木市でも緑が丘あたりのベッドタウンとは街の表情が全然違います。
 駅前に来て驚いたのは神鉄三木駅前の神姫バスの停留所。名前が神鉄を完全無視して「福有橋」。逸走を恐れた結果なのか、歯牙にもかけない自信なのか...

 19時45分頃、三ノ宮18時45分発の第二神明・玉津経由西脇急行が到着。上の丸や本町での降車後ですが15人ほどの乗客のうち、神戸市内のデパートの紙袋を下げた女性客など5人下車。続く51分には神鉄上下電車の交換ですが、新開地行きは乗客10人程度で三木から2人乗車。新開地を19時5分に出た粟生行き急行は乗客50人程度で三木で17人下車。これはちょっと驚きの少なさです。ちなみに三木駅、志染以遠の3連から4連対応にホームを延伸した際、構内踏切が撤去されたようで、昔ながらの駅舎は粟生方面のみ。新開地方面は外の踏切を渡り新築の駅舎からと分かれています。
 20時ちょうどの西脇急行が3分ほど遅れたおかげで、20時6分発の準急新開地行きの到着も観察できましたが、乗客5人でホームに3人。西脇急行が5人で到着しておりいい勝負です。時刻表を見ると、日中〜夜間は15分ヘッドなのに朝が志染折り返しが入るせいか20分ヘッド。平日も休日も同じで、時刻表からは「ラッシュ」が見えません。一方の西脇急行は朝は毎時4本、明石行きも朝は毎時6本と多いですが。

 神姫バス独特の急行用前後扉車の西脇急行は福有橋で1人、本町で1人降車。ただこの人は小野から明石に行くのに後の明石行きと誤乗したようで、結局4人で神戸市内に至りました。対向の西脇急行は、本町で見た下り御坂経由(三ノ宮19時15分)は本町降車後で15人程度、三木東ICに近い御坂の先、三津田下で見た御坂経由(三ノ宮19時50分)は25人程度でした。エビス(バス停はこう表記)では駅前に三ノ宮行きの恵比須快速が見え、ちょうど出てきましたが三ノ宮到着は20分近く後。三木市と神戸市の境界付近(三木市域)の三津田下から新神戸まで一気に通過となり、呑吐ダムのダム湖である衝原湖畔の景勝地も闇の中。右手に鈴蘭台などの灯りが一瞬見え、谷あいの道が終わるといきなり箕谷で、20時40分前に通過しトンネルへ。ちなみに新神戸は下りは夜の数便しか止まらないのに、上りは御坂経由の全便と朝1本玉津経由が止まる変則停車で、市バス急行64系統と違い、一回りして駅1階正面に着けます。
 結局三ノ宮には20時50分着と2分延はそのままでしたが、安い・早い・乗り換え無しでは文句が出ません。
 もっとも、三木から670円が安いだけのようでもあり、西脇からは1380円。しかも西脇から三木だと930円。運賃設定も神鉄イジメかもしれません。

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2007.01.28 Update


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