【検証:】空港論過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<ニッポンの空(港)論>
(過去ログNo.425)
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山形-東京便廃止に思う
 投稿者---樫通氏(2002/08/04 08:22:08)
山形-東京便廃止に思う
└他交通機関との競争と効率性
└羽田線の小型機就航の可能性
 └羽田線の小型機就航が出来るなら・・・
  └羽田A滑走路ノースバード進入
└Re:山形-東京便廃止に思う
 └A320で平均40%
  └「マイライン意識」
航空と新幹線−−魅力の根源は?
 └航空と新幹線並立下での交通手段選択
  └まとめて返信
   └最終的なまとめの内容です
    └補足
     └補足の補足です
      └蛇足
       └三点セットの整備基準
        └入口からちょっとだけ
         └始まりの終わり・・・

http://www.mainichi.co.jp/area/yamagata/news/20020803k0000c006001000c.html

 上記のほか大抵のメディアで扱われていて、やや大げさな感が無きにしも非ずとも思ってはいるのですが、10月末での全日空/山形-羽田便廃止が報じられています。これまでも新幹線の延伸等に伴って廃止・減便された航空路線は多々あり、東北新幹線八戸延伸によって三沢でも同様の事態となる可能性は十分にあります。

 個人的に面白く感じたのは、小型便での路線維持への願望を県側が抱いていることです。数は少ないけれども拘束時間の短さなどの理由から、新幹線では代替できない航空便需要があることを示しているように感じます。実現には慢性的な首都圏の空港および空域のキャパ不足解消も必要かと思いますので、当面は困難とは思いますが、今後さらに過疎地域へ展開する新幹線網の補完として小型便路線が増えていくというシナリオもありかなと感じました。

 とはいえ飛行機によって高速輸送手段が確立しているエリアへの新幹線建設に釈然としない気持ちも強く持っております。飛行機=効果で贅沢な輸送手段だったころの幻像がいまだに根強いのかなとも思います。先述の三沢の場合、新幹線では平均すると4時間程度の乗車が必要になるものと思われ、室内居住性を勘案するとややしんどい長さかと思います。飛行機志向も山形より強く残るものと思われ、にもかかわらず路線採算性が悪化することで航空便の減便が生じるとなると、トータルの利便性増加が結構小さいのではとも懸念します。

他交通機関との競争と効率性
 投稿者---TAKA氏(2002/08/06 23:13:41)

 東京〜山形間は山形新幹線で約2時間半ですよね?それだけ短時間で結ばれている地域間で航空機の輸送手段が必要なのでしょうか?
 2時間半というと東京の中心地〜山形市内のの中心地との間で航空機と新幹線では移動時間・搭乗時間を含めて、航空機と鉄道ではほぼ同じ移動時間ですよね?
 良く一般的には航空機と鉄道の間の競争にて鉄道が有利になるのは2時間半〜3時間と言われていますよね?これは必ずしも当てはまらない例が存在しないのは承知していますが、時間的・運賃的に競争に敗れた交通機関が撤退するのは資本主義の市場経済の中では仕方ないことですよね?
 ましてや航空会社は対東京路線を無尽蔵に運行できる条件でしたら採算性がギリギリ取れる路線でも運行する意味はありますが、羽田の発着枠という制限がある以上運行している路線の中で採算性の低い路線に関しては減便・撤退という決断に対し文句も言えないでしょう。

 又小型機による運行というのも選択肢として存在しますが全体の羽田の発着枠が限られている以上、対東京で航空機に匹敵する時間的利便性のある山形新幹線という交通手段のある山形に羽田から小型機を運航するより、新幹線の様な鉄道の高速交通手段が無く東京への高速交通手段が航空機しかなく、しかも航空会社に取り採算性の高い路線にシフトしていくと言うことは仕方ないことでしょうし、効率的な交通手段の日本全国への配分をする為には私は逆に好ましいことであると考えます。
 例えば東京〜山形に東京〜大阪の様な新幹線・航空機が並立する様な需要が有る地域で有ればこの様なことは無いでしょうが、限られた需要しかない地域なのですから、其処に複数の交通手段を提供しその内の一つが効率性に劣る様なことが発生するより、その様な地域には効率性の低い交通機関には撤退して貰い効率の高い交通機関に集中させ、其処に集中投資した方が経済的にも効率的でしょう。

 航空機に関して言えば、その路線に投資するインフラ投資が少なく航空機を簡単に他路線に振り向けられるという参入・撤退の障壁の低さ、対東京路線では羽田の発着枠という絶対的総便数の制約、航空会社の民間企業としての採算性の追求という点からも、代替手段のある不採算路線からの撤退、その枠を機動的に採算路線・需要のある路線に振り向けることが経済的にも正しい手段でしょう。
 但しこれは東京対山形の様な同じ様な所要時間の複数の交通機関があり、極端に地域の利便性を損なわないで代替が出来る場合に限られ、ローカル路線の中で採算性も低くても航空機しか所要時間の短い交通機関が存在しない様な地域の路線に関しては、最低限の対東京の便数は維持されなければなりません。
 又東京〜大阪の様な新幹線・航空機の並立するだけの需要が存在する所は、航空機が撤退する必要性があるとは思えません。
 ですからこの様な少ないパイを新幹線・航空機が奪い合い、しかも新幹線・航空機の利便性・所要時間がほぼ同じという所は限られていると思います(例えば東京〜岡山・北陸新幹線開業後の東京〜富山・金沢(小松)間等)。その様な所では、経済的に効率的な資源配分の側面からも、航空機の撤退・新幹線の需要独占と言う事が発生する事が好ましいことであると考えます。

羽田線の小型機就航の可能性
 投稿者---あんぱん氏(2002/08/06 00:10:38) http://homepage1.nifty.com/m-fujii/

 岡山空港でも、一時期、ANAが山形線と並んで岡山線の廃止検討をしていました。実際に減便も行いました。
 しかし、羽田便が廃止されると岡山県の失政が明らかになってしまうので、空港使用料を大幅にダウンを行い、さらにJRが運賃制度を急速に硬直化させてしまい、航空の大幅な値下げによってギリギリのラインで蘇った路線なのです。

 羽田空港では一時、都心上空通過による北側からの有視界発着を検討され、実際にテストフライトを行いました。が、実際は予想以上に視界不良で、結局断念してしまいました。もしこれが実現していると、フェアリンクやJ-AIRが西広島〜羽田線を直ちに就航させるつもりでした。また、離島航路や政治的地方空港路線は、ボンバルディアのコミューター機が大量投入されていたでしょう。50便程度は運行出来ると見込まれていたのです。

 羽田空港の発着枠拡大策は検討されており、小型機による別ルート設定を行う項目は検討項目に含まれております。フェアリンクと全日空が国内シェアコード便という扱いで、フェアリンクの再生を図っておりますから、山形県が諦めないとしているのは、この点にあるでしょう。

【広島西】小型ジェット機導入が示す地方路線活性化 log408.html
地方航路の危機(2) 失敗?リージョナルジェット log416.html#2

Re:羽田線の小型機就航が出来るなら・・・
 投稿者---TAKA氏(2002/08/07 00:25:32)

 羽田空港で北側よりの有視界飛行で小型機専用の発着枠が出来るという話は初めて聞きました。
 正直言って小型機専用の枠がかなりの本数出来るのなら、山形・広島西・名古屋・新潟・仙台等の他に競合路線や新幹線がある様な都市に対する国内線乗り継ぎ路線兼用の小型機路線を新設するのも好ましいことであると思います。羽田を経由乗り継ぎでないと行けない都市等も有りますからその為の路線として競争で廃止された航空路線を復活させ、同時に東京への超速達路線として運行するのも有りでしょう。
 羽田から小型機でないと運行にペイしない新規路線と言ったら、但馬・能登位しか思い浮かびません。これらの路線だけでは、本当に毎日50便も運行されるのならその枠は使い切れません。
 ですから、この枠を都市近郊空港への第2路線(丘珠・広島西等)や超ローカル路線(佐渡・但馬・能登等)や大型機ではペイしない新幹線の競合に負けた路線(山形・新潟・仙台等)への路線として使うことには意義があると思います。
(この枠は北側からの有視界飛行では伊豆諸島路線には使えないでしょうから・・・)

 只前の「効率性」のレスとの矛盾を指摘されるかもしれませんが、この様な「小型機専用発着枠」の存在がなければ、発着枠の効率運用と航空会社の効率的経営と言う経済的合理性から代替の新幹線に任せて撤退すべきと言う話になりますが、一般発着枠と別枠が出来るのでしたら発着枠の効率運用と言うこととは別問題になりますし、小型機専用枠で小型機しか運用できなければ航空会社の効率的経営も小型機での搭乗率向上と小規模需要での採算性確保も問題なくクリアできるでしょうから、前提条件が異なることになります。この様な条件下で有れば厳しい競合のある低需要路線でも逆に選択肢の多様性を確保する為に運行することも有りかとと思います。
 こう考えると、日本の航空の多様性を妨げているのは「羽田の発着枠制限」と言えるのでは無いでしょうか?これをクリアすれば採算性が取れ参入企業が有れば山形線の様な路線の運行も十分考えるべきではないかと思います。

羽田A滑走路ノースバード進入
 投稿者---あんぱん氏(2002/08/08 09:00:43) http://homepage1.nifty.com/m-fujii/

 南側から渋谷上空で旋回してA滑走路へ進入するというノースバート運行は、昨年夏に試験飛行が行われました。国土交通省のHPに結果が掲載されております。

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha01/12/121012_2_.html

 有視界飛行で進入することが大前提だったために、4回のうち1回しか成功せず就航率が異様に低く、その為、各航空会社は就航を諦め、事実上、中止されてしまいました。
 実現するためには、管制の強化を行うことが避けられません。

 また、IFR(計器飛行方式)運航を検討したところ、千葉県上空を通過してA滑走路に降りるという方法が有効であると言われています。A滑走路は1日あたり出発が32便、着陸が28便あり、現在4便の差があります。この4便の枠を使って小型機を乗り入れさせるという案です。
 ボンバルディアのCRJなど最近のコミューター機は特定低騒音機になっており、YSよりも騒音レベルが低いという話しもあります(大阪空港では余っているプロペラ機の発着枠をこれらが使えないのか問題視されているようです)。この特定低騒音機というカテゴリーの中でより住宅地とかに近いルート設定をしようという話しです。

 当初計画では渋谷上空から進入できる便数は50便程度と言われておりました。従来の発着枠とは別に扱われますし、特定低騒音機に限り許可される予定でした。南側からの進入に考慮されたルート設定なので、伊豆諸島についても考慮されていたものと思います。

 もし、管制システムが強化され渋谷上空からの進入が就航率が高いレベルで実現しますと、政治的に配慮によって運行されている羽田〜ローカル空港路線を、コミューター便に置き換えることが出来ます。大館能代、能登(未完成)、石見、佐賀、南紀白浜などが対象になります。
 小型機に置き換えることで適正な搭乗率の実現により複数運行など利便性の高いダイヤが組める可能性が高いと思います。また、この浮いた発着枠を転用することで、幹線の輸送力をさらに向上させることが出来ます。コミューター航空会社の経営安定性が格段に増すなど良いことずくめであると思います。

Re:山形-東京便廃止に思う
 投稿者---CHIP氏(2002/08/07 04:02:09) http://plaza23.mbn.or.jp/~norimono_land/

 10月末での全日空/山形-羽田便廃止が報じられています。

 ついに、その日がやってくるといった感じですね。
 多くの新幹線競合路線が廃止となっていく中で、よくも今まで耐えられたといった気がします。距離からしても、新幹線で必要充分ですし・・・。
 それにもかかわらず、小型機での運航存続を希望するのは、フェアリンクでの運行を狙っての発言でしょうかね。もし、実現すれば羽田からもCRJの離発着となりますが、それ以前に利用者はどの程度なんでしょうか?
 利用者数を把握しきれていない段階ですが、現状から考えると大抵の人が空港までの(空港からの)移動距離を含めた所要時間では新幹線の方に軍配が上がると思います。それよりも、羽田での山形線の発着枠を高需要路線に当てた方が賢明だと思います。

A320で平均40%
 投稿者---樫通氏(2002/08/08 13:37:32)

★皆様こんにちは。またあんぱんさんには面白い情報をいただきありがとうございます。

 それにもかかわらず、小型機での運航存続を希望するのは、フェアリンクでの運行を狙っての発言でしょうかね。もし、実現すれば羽田からもCRJの離発着となりますが、それ以前に利用者はどの程度なんでしょうか?

★当該記事以外のところで40%(40.8だったか?)の平均搭乗率と書いてあったように記憶してます。機材はA320らしいので、そうすると大体平均すると片道70人くらいは乗っていたことになるかと思います。

★正直なところTAKAさん、CHIPさんと同じく、よくもまぁここまで路線が永らえてきたなぁと思っていたのですが、この人数を考えてちょっとびっくりして投稿した次第です。

 利用者数を把握しきれていない段階ですが、現状から考えると大抵の人が空港までの(空港からの)移動距離を含めた所要時間では新幹線の方に軍配が上がると思います。それよりも、羽田での山形線の発着枠を高需要路線に当てた方が賢明だと思います。

★山形線については夕刻に東京から1往復すると言うダイヤなのですが、CHIPさんのおっしゃるような状況にもかかわらず平均70人が利用すると言うのがいったいどういう状況なのかと思いまして。この手の数字が観客動員数同様何らかの水増しがされているのか(予約未キャンセルでの未搭乗は搭乗扱いするとか)、また「平均」ゆえに盆暮れ正月などの数字がかなり影響をもっているのか、などがわからないのでなんとも言えませんが、飛行機なりのメリットが想像以上に大きかったのかなぁなどと考えた次第です。また、今までは「ジャンボ化」は聞いても、就航地のほうから「小型化」のダウンサイジングを提案というのはあまり聞かなかったような気もしており、そこまでこだわる理由には単なる地域の面子以外にもあるのかとも思いました。

★和寒さんのコメントは個人的には非常に楽しみにしてます。

「マイライン意識」
 投稿者---551planning(2002/08/08 23:33:43)

 どこぞの宰相は「株価に一喜一憂しない」とのたまうていましたが、まさに「搭乗率に一喜一憂」しているのが地方空港関係者でしょう。山形と同じ話が島根・石見空港でもされていますが、こちらはまず対伊丹便での話が進んでいるところ、搭乗率が採算ライン60%で実情50〜30%台ということで運行会社であるANKから再三突き上げを食らっている状況。それでというと就航機は最大定員130名のB737-500とあらば、30%でも50名足らずが利用している計算、例えばCRJなりDH-8なりならばどうなのか、という気がしてなりません。
 これまでANA系列で同種の100名以下の機材を主力機としてこなかったこともありましょうが、A-NetやFRIが戦列に加われば、という期待もあります。ただし山形の場合県側が小型機乗り入れを成田を含めて模索していること、一方でFRIが仙台ベースとして成田便を設定していることからすれば予断を許さないというか。
 そこでクローズアップされてくるのがJJ連合チーム。御指摘の通り伊丹ではプロペラ枠が残っていることから広島ベースのJ-Airや中国地方もネットしているJACの動向如何では、適正輸送力を持つ機材での進出も夢物語でなさそうな気がしますが…。

 ともあれ、航空会社の匙加減ひとつで地元の足が脅かされる現状は如何ともし難いとはいえ矛盾を感じます。佐賀の様に涙ぐましい「乗ってもらって残そう運動」的な地元負担の発生は地方空港運営に更なる悪循環しか残さないのではなかろうかと。地元にとっては羽田発着枠こそ「最後の砦」なのです。

航空と新幹線−−魅力の根源は?
 投稿者---和寒氏(2002/08/08 19:27:46) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 和寒です。お待たせいたしました。もっとも、楽しみにして頂くほどの内容が伴うかどうか。
 既に多くのレスがついている段階なので、一部重複する箇所もあるかと思いますが、その点は御寛恕のほどを。

■利用者の選択基準はどこにある?
 航空と新幹線が競合する区間では、当然ながら、利用者がどちらを採るかの選択を行います。では、その選択基準、あるいは要因としては、いったいどこに重きが置かれているのか。
 運賃水準は似たり寄ったりです。速さ(特に新幹線側)が選択要因として効くことは間違いなさそうですが、出発地から目的地までの総所要時間という観点からすれば、大差がないというのが実態でしょう。逆にいえば、その点で大差がないからこそ、競合が成立するのでしょう。
 私が注目しているのは、数値化しやすい指標(速度・所要時間・運賃等)よりもむしろ、ダイヤ設定です。

 東北筋で新幹線が航空によく対抗している根源は、ダイヤ設定のうまさにあると、私はにらんでいます。
 山形新幹線が開業する以前の段階から、即ち乗換接続の在来線特急時代から既に、鉄道は航空に対する優位性を持っていました。その背景にあるのは、山形・秋田・三沢・青森の各空港所在都市からみて、最も早い時刻に東京に到着するのは在来線特急+新幹線であり、最も遅い時刻まで東京に滞在できるのは新幹線+在来線特急であったからです。
 それから、本数の違いも見逃せません。新幹線(+在来線特急)は毎時1本以上の本数が確保されていますが、航空は「日に何本」のオーダーでした。これは今でも同じです。
 以上のように、新幹線側のダイヤ設定の妙が優位性を構築してきたと、私はにらんでおります。

 では、山形−羽田便が衰退した原因はどこにあるのか。減便を始めた際に廃止までの道筋は決まったようなものですが、決定的だったのは山形滞泊便を設定しなかった点にあるでしょう。
 日本の航空においては、設備を集約しているせいでしょうか、それともコスト面で不利だからでしょうか、地方空港での滞泊便はほとんどありません。まず羽田から各空港に飛び、それから折り返してくるというダイヤ設定では、鉄道の機動力に対してどう考えても不利、ということになります。
 その点、羽田−秋田便において ANAが滞泊便を設定するようになったのは慧眼です。より時間がかかるという新幹線側に不利な要因もあるにせよ、「こまち」に対する強烈なクサビとして効いています。

 東北新幹線の延伸時には、三沢でも青森でも、同じようなことが起こるでしょう。おそらく両空港とも、滞泊便を設定しない限りは、羽田便は撤退を強いられると思われます。

■とはいえ羽田−山形便廃止は利用者に不利
 ともあれ、結果として羽田−山形便は廃止されようとしています。これを「利用者便益理論」にて評価すると、利用者の効用を著しく減じます。なぜならば、選択しうる交通手段は一つよりも二つの方が効用が高く、二つよりも三つの方が効用が高いという、数理論をベースにしているからです。

※利用者便益理論 ../traffic/special007.html
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/5256/benefit/00.html

 だから、羽田−山形便廃止は、現状がたとえ1往復のみであっても、利用者にとっての効用を大きく下げることにつながります。しかし、航空の減便→廃止は利用者の選択の結果でもあります。利用者が選んだ方向性が自らの効用を下げるという、不思議なパラドックスになるのです。
 もっともこれは、利用者便益理論の現実への応用に対する限界であるかもしれません。

■航空も残したいが
 選択肢を多く担保したいという発想もさることながら、航空には拘束時間が短いというメリットもあります。
 鉄道ナショナリストを自称している私でさえ、近頃は長時間乗車が苦痛です。2時間半、つまりは「のぞみ」東京−新大阪間が限界で、それ以上になるとかなり辛い。これは加齢により気が短くなったということもあるでしょうが、生活サイクルが短くなったことによる影響の方が大きいでしょう。同様のことは、少なからぬ数の方が感じているのではないでしょうか。
 だから航空も残したい。しかし、残すには、小型機の導入が必須条件です。小単位多頻度輸送は、利用者にとっては便利なものですが、社会的には負荷が大きいです。航空による小単位多頻度輸送が羽田空港の容量を圧迫することは、改めて述べるまでもないでしょう。
 これも実は、社会的パラドックスの一部なのです。コンビニに行けば常に新鮮な弁当が用意されていますが、これを実現するために日に何度も商品が配送されるので、社会に対する負荷(トラックの排ガス・渋滞惹起等)がかかるのです。小単位多頻度をどこまで求めるかは、極めて社会的な課題といえるのです。

ナイトステイの実体 log426.html

航空と新幹線並立下での交通手段選択
 投稿者---TAKA氏(2002/08/10 22:17:11)

 今晩はお久しぶりでございます。久しぶりなので書き込みさせて貰いました。
 今までの和寒様との一連の議論から私も考え方が変わっているとは言えませんが、思う所があり書き込みさせて頂きました。

■利用者の選択基準はどこにある? → 選択手段の内訳

 基本的な選択基準には、運賃・ダイヤ・所要時間・交通機関までのアクセス等々沢山あるとは思いますが、やはり最大の選択基準はダイヤでしょう。その点は完全に同意致します。確かに毎時1本の新幹線が運行されていてしかもアクセス時間等を考えて両都市の中心間の所要時間がそんなに変わらず、しかも新幹線でも所要時間が約2時間半という状況で、新幹線の方が最大滞在時間が長ければ利用者の選択が新幹線に集中しても当然でしょう。
 東京〜山形間でしかも山形は人口が100万に達しない様な規模の都市への輸送手段としては複数の大量輸送手段が採算の取れる下で成立するというのはなかなか困難でしょう。
 そう考えると現状は致し方ない状況でしょう。

■とはいえ羽田−山形便廃止は利用者に不利 → 利用者便益理論と市場原理

 確かに航空路線が廃止されれば、今までの航空路線利用客には当然不利でしょう。
 しかしこの航空路線が廃止されることで確かに利用者便益は選択肢が狭められることで悪化しますが、この路線が存在しなければ東京へ高速移動手段がないと言う状況に陥る訳ではありません。即ち航空路線が廃止されても対東京の高速交通手段は確保される事即ち交通のシビルミニマムは確保されている事になります。
 ですから企業の採算ベースで運行されている航空路線を、全日空が搭乗率の悪さを理由に山形線を廃止して限られた羽田発着枠を他に転用して、企業として収益の局限化への行動を行うことは企業の行動として正しいことであり、経済的にも市場が資源配分の効率化を押し進めることであり、高速交通のシビルミニマムが確保されている状況では市場原理から考えて正しいことであり、自治体等が補助を出して航空路線を維持する必然性は無いと言えるでしょう。
 利用者便益理論から考えたら確かに便益あそこなわれることではありますが、此処で利用者便益理論を優先するか、市場原理を優先するかの問題になりますが、利用客という市場が新幹線を選択した以上此処は市場原理に逆らうべきではないかと思います。

■航空も残したいが → 残す為の条件について

 確かに航空路線を残す事で交通手段を多く担保しておきたいと言うことは理解できます。
 しかしそれには採算性の確保と羽田発着枠の問題を解決する必要があります。これには前レスの「小型機専用発着枠」の確保と小型機での運航が条件となるでしょう。
 今の状況では少なくともこの羽田の発着枠を採算性の確保されていて、しかも航空路線しか対東京高速交通手段のない都市の利便性向上に利用した方が、日本全体で考えたら全体の社会的便益が確保されると思います。
 又少なくとも上記条件が確保され小型機での対山形線の運行が出来る様になったとしても新幹線がある以上、そんなに需要が無いと言えます。需要があるならば小単位他頻度輸送は社会の負担には必ずしもならないでしょう(環境問題等がありますが・・・)。しかしそれは空くまでも需要が有ればの話で、需要がない空気輸送の状況では、社会的負担になるでしょう。其処は限られるであろう羽田の小型機発着枠と需要を秤にかけて慎重に検討すべきであると考えます。
 そう考えると条件がクリアできて小型機でフェアリンク等が路線を再開させたとして、需要等から考えて一日2〜3便が限度でしょう。それでも新幹線に対抗できるだけの山形滞泊等を含めたかなり思い切ったダイヤ構成と、アクセス手段の費用を含めて新幹線と同じ程度か+α程度の費用に納めないとなかなか厳しい戦いを航空路線は強いられることになるでしょう。

まとめて返信
 投稿者---和寒氏(2002/08/12 12:43:51) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 多くのレスを頂戴しました。私なりの考えを記しておきます。

■総需要は交通機関を規定するか?
 TAKA様が記されているとおり、総需要がさほど多くないところでは、複数交通機関が併存できる余地が少なくなります。
 勿論理論的には、新幹線と航空機のシェアは算出できます。ところが、シェアがいくばくかあったとしても、利用者の絶対数が少なければ、事業として成立しえないわけで、片方の総取りという展開もありえてきます。
 需要予測モデルをいくつかいじってきた経験からすると、運賃や所要時間や運行本数だけではなく、総需要を説明変数に組みこんでもいいという感覚があります。

■評価の理論と実際
 航空が廃止されて利用者の効用が下がるというのは、要するに、選択肢が一つ減る分の不効用を新幹線側が補いきれていない、ということでもあります。
 例えば山形新幹線がフル規格で整備され、所要時間がもっと大幅に短縮されていれば、そういう「紛れ」はなかったかもしれません。
 航空の羽田−名古屋/羽田−仙台/羽田−花巻各便が廃止になり、しかもそれに意外な感じがしないのは、新幹線開業による効用向上が圧倒的であったからでしょう。逆に、阪神大震災の山陽新幹線不通時には大阪−岡山便が設定され、新幹線をロストした不効用を補いました。

■小単位多頻度輸送
 といえば、実は新幹線側もそうなのです。「つばさ」も「こまち」も、一列車あたりの輸送力は新幹線としては最小水準です。それを毎時1本以上のペースで運行しているのだから、本来は負荷がかからないとおかしい。この両列車の輸送力を現状で下回るのは、山陽の4両「こだま」くらいでしょう。
 であるにも関わらず、「つばさ」「こまち」ともに、東北新幹線には大きな負荷をかけてはいません。それは併結運転という芸当ができるからです。

 航空でも、例えば「山形経由庄内行」「秋田経由大館能代行」なんて便を設定すれば、羽田空港の容量を圧迫させることなく、いずれの空港にとっても実質的な増便を図ることが出来るのですが、なぜかそのような動きはありません(理由はあってのことと思いますが)。
 そして、このことは新幹線側を利する要因の一つとなっていると思います。

■滞泊便は新幹線の脅威
 新幹線側は東京に朝一番に着くダイヤをもって優位性を構築したいところですが、航空側が滞泊便をもって対抗するとダイヤ上の優位が簡単に覆るため、脅威となるところです。
 滞泊便が簡単に実現しないしない理由はTom様のレスで理解できました。ということは、現在実現している空港では、その投資を活かすためにも、今後とも滞泊便が継続されるのでしょう。いよいよもって、航空「最終防衛線」の輪郭が見えてきた心地がします。

■さて実際はどうなる?
 東北新幹線八戸延伸「はやて」の新設は、運行本数を見ると、現状の在来線接続特急の単純な置換であるようです。これは利用者にどのように受け入れられるでしょうか。
 八戸駅にしても、旧市街地からは離れています。古牧温泉や奥入瀬渓谷のような観光地ともいささか遠い。絶対的優位性が備わっているわけではありません。とはいっても、総需要の大きさからすれば、新幹線の総取りになる可能性はあるでしょう。
 あるいは、三沢空港の民間使用縮小の方向というような、別の外力が働く可能性もあります。

 とりとめありませんが。とりあえず。

最終的なまとめの内容です
 投稿者---TAKA氏(2002/08/13 20:30:37)

 和寒様今晩は TAKAです。一応私の考えをまとめてみました。
 とりとめのない長い文章になりましたがよろしければ御一読の上お考えを聞かせて頂ければと考えます。
 ちょっと文章が長くなりましたので文章を二つに分けます。

「1」 交通機関の存続の選択→どうすれば存続できるか?

■総需要は交通機関を規定するか? → 総需要こそ根本では?

 交通機関とて採算を考えたら一定の需要が存在しなければ成り立ちません。そう考えると「利用者便益理論」も必要ですが、究極的な制約として存在するのは、総需要でしょう。新幹線の場合一つの線路が複数の都市・地域を東京等大都市と直結する為に、需要としてのパイが一つの都市圏とその周辺地域にしか影響を及ぼさない空港よりも総需要に対する制約が少なく、その為に大きな輸送力でも採算が取れる事になります。
 山形県を例に取れば、対東京で山形市周辺なら「山形駅からつばさ」「山形空港から飛行機」と言う選択肢が取れますが、米沢市では「米沢駅からつばさ」の選択肢しか取れず、わざわざ山形空港まで行って飛行機で東京へ行くなんて物好きしか考えません。そう考えると単位輸送力では  新幹線>航空機 で総輸送力でも 新幹線>航空機 に成りますが、総需要では  中間需要を取り込める新幹線>山形圏の需要しか取り込めない航空機 になります。そう考えれば中間需要を大きく取り込める交通手段の方が多少便益に劣っても便益が広範囲に広がり、恩恵を多くの人に与えられ、需要を望めて好ましくなります。
 輸送力に応じた需要が採算性の根元でありますから、そんなに差がない便益を与えられる交通手段が並立している環境下で、複数の交通手段が成り立たない程度の需要しかない所では、複数の交通機関の健全な並立は不可能ですから、一つに絞るべきですから、国土の均等な発展に貢献できるシビルミニマム的な交通機関以上の物が並立していて、又並立して存在できない程度の総需要しかない場合は、総需要に応じて交通機関を絞り込むべきでしょう。
 それに田舎の村に新幹線を引いたりしても、無駄ですからやはり総需要に応じて便益を提供できる交通手段を設定していくのが社会的に見ても、効率的で公平で好ましいと思います。

■評価の理論と実際 → 物事の矛盾が発生しているが・・・現実を直視すべきでは?

 確かに山形の場合でも、航空路線廃止に伴う利用者の便益(実際の利用時間が短い等)を完全に新幹線がカバーは出来ません。東京−名古屋・仙台間の様に新幹線が出来たから廃止と言うように切り替わりすれば、「飛行機が無くても新幹線は速いし本数多いし駅は都心だし便利」と言うことになり、新幹線の便益の大きさに目が行き航空路線が無くなった事への不便さが表にでず、隠れてったからでしょう。これは現実的には利用者の便益が減少してもそれ以上の便益の向上が同時に発生した為に起きた現象であり、あくまでもイメージ的な問題です。
 山形の場合、出来た新幹線が「新在直通新幹線」であり、インパクト的に中途半端でありその上に航空機路線と並立しておりその並立が解消されずに今まで来て、現在になり今まで以上に新幹線の方が改善されない状況で航空路線の廃止というマイナスが起きた為、航空路線廃止による便益のマイナスという面がクローズアップされる事になっただけであると思います。
 但し利用者便益理論上マイナスが発生しているが、同時にこのマイナスを引き越したのは便益を受ける利用者の選択であり、その結果全体で見れば社会の資源の有効配分が市場の選択という「神々の見えざる手」で起きたと言うことであり、利用者便益理論と市場原理で矛盾が発生しているとも言えますが必ずしも一面的な理論では物事は解決しないと言うことであろうと考えます。それが山形で発生している現実であると考えます。
 利用者の選択という「市場の審判」は、それがシビルミニマムを損なう物でない以上甘んじて受け入れるべきでしょう。
 収益を追求する企業に損を出しても路線継続を強要できないですし、公的補助をして路線継続してもそれだけの税金を支払った県民のニーズが存在していない以上税金の無駄使いです。此処は航空路線の利用者減による撤退という現実を受け入れなければならないでしょう。

■小単位多頻度輸送 → これこそ日本の航空の一番の苦手点では?

 確かに仰有られている「新在直通新幹線の分割併合による小単位多頻度輸送」は利便性にあった多頻度運転・需要にあった小単位輸送・社会的負担を最低限に押さえた分割併合運転等、鉄道でしかできない効率的な輸送システムであると思います。このシステムは「フリーゲージトレイン」の導入等を合わせて押し進めるべきでしょう。需給関係に逼迫している東海道新幹線ではなかなか難しいでしょうが山陽新幹線対山陰・四国・九州各都市や上越新幹線対庄内等でも採用すべきであると思います(併結運転で東北・上越新幹線の東京〜大宮間の線路容量の問題も解決できるでしょうから・・・)。
 しかし航空機で近距離で複数空港を経由する便を設定するというのはなかなか困難でしょう。国際路線では成田〜台北〜香港等の経由路線が
 近距離路線でも存在しますが、航空機の場合一度着陸したら乗客・荷物の出し入れ等や離陸までの時間で経由地に1時間近くいる事になります。又離着陸回数が増えればその分飛行機にも機会上の負担が掛かりますし、空港使用料もその分か借ります。
 と言ってその分の費用増を経由による効率化で相殺できるとも思えませんし、便数増の経費を賄えるだけ経由便を運行するような空港に需要が存在するとも思えません。又便数が増えてもその分時間が掛かる事になりますから、その利便性の相殺でトータルして需要が増えるとも考えられません。確かに出来ればメリットが有るとは考えますが、現実的ではないと考えますし、デメリットばかりに目が行って評価を受けられないのではないかと考えます。
 ではその様な経由便にしないと対応できないような小需要だけれども東京へは高速直通手段が航空機しかないような路線(大館能代・庄内・南紀白浜・能登・石見・但馬等・未就航を含む)には、正直言って小型機運航しかないでしょう。しかしこれは前のレスの羽田の小型機専用発着枠が制定されない限り、羽田の発着枠制約を解消する事にな成りません。羽田に小型機専用発着枠が出来た段階で検討課題として考えるしかないでしょう。
 この発着枠が出来て1日50便とかそれ以上の小型機発着が多の発着枠を減らさずに出来れば、日本の航空にとって重大な進歩になり地方にも大きな恩恵を与える事が出来るでしょう。又離島路線をこの枠に含めれば、羽田の通常枠も空きますから増便できますし、その増便分を新規参入航空会社に割振る事も出来競争の促進も図れて一石二鳥でしょう。

「2」 航空機と鉄道の競争

 こちらは各論です。宜しくお願いします。

■滞泊便は新幹線の脅威 → 滞泊便はこれ以上拡張する余地無いのでは?

 確かに航空機で滞泊便を設定するのは、より利便性の高い便を設定する為に有効であると思います。
 しかし新幹線には基本的に両方の拠点から朝一番(6時とか7時)に発車する列車が設定されていますし、夜も遅いですから、これに新たに滞泊便を設定して対抗するのもなかなか難しいかと思います。
 秋田では善戦しているようですが、東京駅〜秋田駅間で時間を比べれば新幹線約4時間に対して航空機約2時間40分で航空機有利ですから、秋田の場合新幹線より航空機が有利とも言えます。この様に伯仲の競争をしている所で有れば滞泊便も有効でしょう。基本的には滞泊便により新幹線との競争に有効なのは、秋田・青森・三沢位でしょう。只これらの所は今後12月1日には東北新幹線が八戸に延伸されますし、遠くない将来青森まで延伸される事を考えれば、今後飛行機は厳しい競争を強いられる事になるでしょう。

■さて実際はどうなる? → 鉄道対航空機の競合路線を考える

 今後の競争は航空機にとってなかなか厳しいでしょう。東京都内を基準に考えて新幹線直通だけでなく在来線乗換を含めて考えると青森・秋田・八戸(三沢)・富山・金沢・岡山・広島当たりが航空機対鉄道の競争が激しくなる地域でしょう。
 この内八戸は12月1日の新幹線開通で圧倒的に不利になり、仰有られるような航空機撤退も十分あり得るでしょう。
 しかし八戸で在来線に乗り換える青森は在来線の時間は短いですが、新幹線が青森まで伸びない限りは航空路線は生き残るでしょう。けども延長は現実の物ですから、延長した時には最悪航空路線撤退もあり得る大苦戦が予想されます。
 又秋田・富山・金沢は鉄道に大きな改善が当分の間見込めないですから、航空路線の運賃ダンピング等の競争政策次第では航空路線が鉄道から需要を奪い取る事も予想されます。北陸新幹線開通は遙か彼方先でしょうから、当座は北越急行経由の「はくたか」をフリーゲージトレインにして上越線内等を高速化して、同時に何とか北陸線内でも140kmぐらいの運転を行う事が出来れば、対金沢で3時間20分程度にする事が出来るでしょう。そうすれば都市都心間で所要時間でも鉄道有利になりますから、金沢・富山では鉄道有利になるでしょう。秋田では鉄道の改善策が乏しいですから航空の競争が激しくなり積極策を採られると鉄道は厳しいでしょう。

 岡山・広島は需要も多い地域ですし、広島は100万都市です。それに此処は広島の場合新広島空港の立地の悪さが影響を及ぼしていますし、対広島で所要時間で「のぞみ」が約10分〜20分不利なだけで、運賃も割引運賃を考えるとほぼ同額ですし、何せ需要のパイが大きいですから、激しい競争を繰り広げていると言えるでしょう。これは岡山でも同じ事が言えるでしょう。
 此処では岡山線へのJALの参入が競争要因ですが、同時に此処では「のぞみ」のポスト700系に
   (1)曲線通過速度の向上が出来るアクティブサスペンション・車体傾斜制御等を採用
   (2)東海道区間で285km運転可能(今の700系の最高速度、15km向上)
   (3)山陽区間では300km+αで運転可能が出来る
車両を投入して東京から対大阪で10分、対広島で15〜20分の所要時間向上と回数券等の割引運賃を適用しないと、将来対岡山ではJAL対ANAの競争に、対広島では羽田の小型機発着枠問題がクリアできれば搭乗する羽田〜広島西線に乗客を食われかねません。此処でも果断な対策が必要でしょう。
 今後とも飛行機と新幹線の競争は激しくなる事は想像できますが、山形みたいに航空路線廃止というような地域は三沢以外有りそうにないですが競争の促進は利用者の利便性向上に繋がり好ましい事ですので、着実にでも競争が促進される事が望ましいと考えます。

補足
 投稿者---和寒氏(2002/08/14 08:45:03) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 TAKA様、こんにちは。この件に関して見解が大きくわかれる点はないと認識していますが、若干言葉足らずの点もあったので、補足しておきます。

■総需要は交通機関を規定するか? → 総需要こそ根本では?
 米沢市では「米沢駅からつばさ」の選択肢しか取れず、わざわざ山形空港まで行って飛行機で東京へ行くなんて物好きしか考えません。

→既存の需要予測モデルを使う限り、たとえコンマ数%以下の微少なオーダーであっても、米沢からわざわざ山形空港まで行って航空を使う利用者がいるという答が出てきます。まあこれは計算上の話ですから、モデルを使う側が誤解しない限り問題にはなりません。
 悩ましいのは、そういう微少な数が積み重なって、例えば「航空利用者は片道合計20人」という数字が出る場合ですね。現実のサービス水準をインプットして、そのサービス水準が成立しえない答が出てしまっても、フィードバックする仕掛が構築されていないのです。
 これへの対応は、簡単なようで難しい。なぜならば、サービス提供側の戦略を仮定によらず、なんらかの理論で確定していかなければならないからです。
 総需要こそ根本、という考えは直感的には正しいです。私もそう思いますし。ただ、それを需要予測モデルに当てはめていくとなると、博士号相当の業績になると思いますよ。

■評価の理論と実際 → 物事の矛盾が発生しているが・・・現実を直視すべきでは?

→TAKA様は利用者便益理論と市場原理の相克というかたちでとらえられているようですが、私は違います。
 山形−東京というロケーション、ミニ新幹線方式を導入した、結果として航空が撤退した、といった条件がもたらした境界的な事例だという認識です。利用者便益理論だけでとらえるとおかしな事例ではありますが、だからといってこの例が理論全体を否定するものではないと思いますし、あるいは否定するための材料として使えるわけでもないとも思います。
 この事例が示すのは、「利用者の選択の結果」が「利用者便益を下げ」る方向に作用した、という矛盾に満ちた事実がある、ということです。それ以上でもそれ以下でもありません。

■小単位多頻度輸送 → これこそ日本の航空の一番の苦手点では?
 しかし航空機で近距離で複数空港を経由する便を設定するというのはなかなか困難でしょう。

→なぜ苦手で困難なのか、本当のところを知りたいものです。
 日に数便しかない空港では、たとえ途中立ち寄りの空港で1時間休憩しても、便数の増加による効用が大きいところはあると思います。それをなぜやらないのか。
 勿論、理由あってのことでしょうけれども。私には不思議に思えます。

■さて実際はどうなる? → 鉄道対航空機の競合路線を考える

→どうなりますかね。これは事前の予測と実際が大きく異なってくる場合がありますから、論じていても楽しい点ではあります。
 まあ、既に記したとおり、航空の滞泊便がある区間が航空側の「最終防衛線」というところなんでしょう。在来線乗換でもいい勝負となっている区間はありますから、さらに白熱するんでしょう。
 航空も新幹線もサービスを提供しえるという状況は、利用者の選択肢の多様性をも生みますから、このましいことだと思います。

補足の補足です
 投稿者---TAKA氏(2002/08/14 10:37:51)

 この件に関して見解が大きくわかれる点はないと認識していますが、

 それに関しては私の同感です。「天と地」ほどの差ではなく「隣の家同士」ぐらいの距離の差であると思います。
 で・・・私もちょっと「補足の補足」をしておきます

 既存の需要予測モデルを使う限り、たとえコンマ数%以下の微少なオーダーであっても、米沢からわざわざ山形空港まで行って航空を使う利用者がいるという答が出てきます。まあこれは計算上の話ですから、モデルを使う側が誤解しない限り問題にはなりません。
 悩ましいのは、そういう微少な数が積み重なって、例えば「航空利用者は片道合計20人」という数字が出る場合ですね。 (中略)
 総需要こそ根本、という考えは直感的には正しいです。私もそう思いますし。ただ、それを需要予測モデルに当てはめていくとなると、博士号相当の業績になると思いますよ。

 確かに米沢〜山形空港〜羽田〜東京と言うルートをたどる人が「居ない」と断言は出来ません。
 微少であってもいる可能性は否定できませんし、米沢以外にも他の地域からわざわざ山形空港経由で飛行機路線を使用して東京へ行く人はいるでしょう。しかし航空路線の需要計算に其処まで入れるモデルを作る事は私の知能では出来ません(仰有られるとおり「博士号」物だと思います)。
  しかし大局的に見て、此処の掲示板で其処まで完全に学問的に詰めるのなら別ですが、私は其処まではなかなか出来ないと見ています。ですからその様な「微少な需要もある」というのを踏まえた上考えるしかないでしょう。
 私も解を出したい所ですが、さすがにそこまで航空機と新幹線の完全需要予測をするほどのデーターもないですし・・

 TAKA様は利用者便益理論と市場原理の相克というかたちでとらえられているようですが、私は違います。
 山形−東京というロケーション、ミニ新幹線方式を導入した、結果として航空が撤退した、といった条件がもたらした境界的な事例だという認識です。
 この事例が示すのは、「利用者の選択の結果」が「利用者便益を下げ」る方向に作用した、という矛盾に満ちた事実がある、ということです。それ以上でもそれ以下でもありません。

 確かに山形の例では「利用者便益理論と市場原理の相克」が存在すると考えます。
 航空路線が廃止される事で東京〜山形間移動の利用者の全体の利便性は低下しています。同時に利用者が飛行機を使わないと言う形で市場の意志を示しています。企業としては利用者が居なければ不採算で撤退せざる得ないですし、それが市場原理に基づいた行動です。
 此処で考えなければならないのは「必ずしも一つの理論は絶対でない」と言うことであると考えます。
 基本的に私は前から「市場原理重視」でしたし、和寒様は「各理論をバランスよく考える」立場であると思います。
 必ずしも市場原理が絶対でないと言うことは経済史上証明されています。しかし利用者便益理論が矛盾を引き起こす例が存在する事もあり得ると考えます。
 この山形の例は上記の「利用者便益理論と市場原理の相克」を引き起こすような所に当てはまってしまったと言えると思います。偶々条件がその様になってしまった希有の例であると認識しております。ですから今回は「利用者便益理論と市場原理の相克」と言う物の見方をしてますが、これが何処でも発生する物であるとは考えていません。

 日に数便しかない空港では、たとえ途中立ち寄りの空港で1時間休憩しても、便数の増加による効用が大きいところはあると思います。それをなぜやらないのか。
 勿論、理由あってのことでしょうけれども。

 経由便に関しては、下記のような理由が有りなかなか設定されないと思います。

  1. 経由する事により最終目的地の空港への総所要時間が多く掛かりすぎる。
      →最終目的地への速達性が低下する。
  2. 必ずしも便数増加による利便性の向上が乗客増加に結びつかない。
      →その様な所は基から総需要が少ない。 
  3. 必ずしも経費の削減にならない
      →1往復当たりの機体・人員の拘束時間が伸び全体として機体・人員の節約効果が少なくなる。
  4. 最終的な利用客を考えると大型機材を使わざる得ない
      →経由地で乗客を集める分大型機材でないと運べない可能性がある。
        そうすると今の機材編成では大型機が足りなくなる可能性がある。
  5. 過疎目的地へ経由便を増やす事は全体で着陸料・離着陸に伴う機材の消耗・燃料等の消耗にペイするだけの乗客を確保できない。
      →全体で離着陸回数が増えればそれらの経費が増える。しかしそれに見合うだけの乗客増は?である。

 これらの理由が考えられます。まあメリットも考えられますが、それ以上にデメリットが多いと考えているのでしょう。
 正直言って航空会社に聞いた訳ではないので本当のところは分からないですが・・・意外に「前例がないから」という官僚的な理由が原因である可能性が高いような気がしますが・・・

 (鉄道対航空機の競合路線は)どうなりますかね。これは事前の予測と実際が大きく異なってくる場合がありますから、論じていても楽しい点ではあります。

 基本的にはどうなるかは分かりませんが、確かに考えると面白いと思います。
 私の信仰する?市場原理では競争こそサービス向上の源泉ですから、航空路線と鉄道が競争してくれる事は、社会全体に取り利便性を向上させてくれる事で、最終的に利用者の利便性も向上するはずですからどんどんやって欲しいです。
 それ以上に競争の消滅して新幹線の寡占体制が成立してしまう山形での新幹線のサービス低下が発生しないかが正直言って心配です。それこそこちらを慎重に観察する必要があると考えます。

蛇足
 投稿者---和寒氏(2002/08/14 15:00:04) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 TAKA様こんにちは。ちょっとだけ、蛇足のようなコメントを付しておきます。

■総需要
 が少なければ、選択肢は少なくなりえる、ということですね。ただ、これを需要予測モデルで表現することは難しい。成立しえないサービスを切ってしまう処理(あるいは混雑する区間のサービスを手厚くする処理)は簡単ですが、サービス提供側の戦略に合致するかという観点からの調整が必要だからです。

■三点セット
 いわゆる三点セットを求める声を、過剰投資であると批判する声があります。需要が少ないから全部は要らない、という筋ですが、その境界を予め定めることは困難です。
 それぞれの地方が三点セットを求めるのは、ある意味当然なんです。なぜなら選択肢が増えることにより、その地方での効用は確実に増すのですから。それを贅沢だと批判するのは、厳しすぎると思います。
 山形県が羽田便の廃止を望んでいないというのは、同じような理由に基づくのでしょう。大仰な理論分析などせずとも、本質がすぐわかる事柄ではあります。

■複数空港経由便
 が日本では成立しにくいというのは、「直通」に魅かれる日本人のマインドをあらわしているのかもしれません。そうでなければ、秋田新幹線の成功も理解しにくいですし。
 あるいは、経由便で途中で長時間ロスするくらいであれば、地域内の基幹的空港までアクセスした方が速いということが効いているのかもしれません。

■勝負の行方
 まことに興味深いです。鉄道ナショナリストとしては、是非とも新幹線に勝ち抜いてもらいたいものですが、航空は強敵、そう簡単にはいかないでしょう。少なくとも、「最終防衛線」の突破は難しいのでしょうね。
 最高速度 300km/h超の列車が出てくれば、違う世界も見えてくるのでしょうが、今のところその手の話は聞こえてこないですね

三点セットの整備基準
 投稿者---TAKA氏(2002/08/14 15:43:34)

■三点セット → 欲しい理由は理解できるが・・・

 地方が三点セットを欲しがる理由は理解できます。私は都会にしか住んだ事がないので地方の人々の感情的な物が全て理解できるとは言えませんが、都会への高速交通手段3点セットが地域の発展に直結すると考えるのは当然でしょう。しかし日本全国の県庁所在地まで3点セットを作るのは正直言って無駄が存在すると思います。
 国税が投入されている以上、都会の人々から見れば「我々の税金が地方にばかり投資されている」との感情を持ってしまいます。例えば全部地方税でやるとか、インフラは国税と地方税折半でも運行の採算の問題とインフラの維持管理に地方が責任を持つというのなら未だ理解できますが、只「欲しい欲しい」では地方のわがままであると思います。
 確かに3点セットの必要な地方も沢山あります。又山形でも羽田線は別にして、関西線・名古屋線等の空路は採算が合えば維持するメリットがあるでしょう。しかし市場から不要と言われた物というのは利用者が居ないのですから、地域の実際の住民も要らないと考えていると言えます。
 その様な場合、資源の効率的配分の為にもどの様に整備するべきか、要るのか要らないのか等を明確でみんなで理解できる基準を作らないと問題があると思います。

 今の道路公団の問題でも、この基準内無しで只整備だけしてきたから問題になっているのではないでしょうか?
 そこら辺は意見が非常に対立する点であるとは思いますが議論する必要があると愚考します。

入口からちょっとだけ
 投稿者---和寒氏(2002/08/14 16:22:16) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 デタントが進んだと思ったら冷戦に逆戻りですかな(苦笑)。

 冗談はさておき。
 なぜ「蛇足」というタイトルにしたかというと、議論として叩いていくにはテーマが大きすぎるからなんです。なにしろ、背景が一筋縄ではないですからね。「べき」「べきでない」で括れる問題でもないんです。だから、話を持ち出しておいてなんですが、これ以上議論をするのは避けたいという気持ちが私にはあります。
 TAKA様が「欲しい理由は理解できるが」と記されたことは、上記の背景を理解しようという意志のあらわれだと思いますので、とりあえずこの辺で止めておきませんか?

 ちょっとだけ手がかりを記しておきます。
 公共投資の是非論は、都会対地方という構図でとらえられがちです。ここで、都会の居住者の祖父母世代がどこに住んでいたか、を考察することは決して意味なきことではありません。
 一極集中は自然的な現象ではないのです。政策的に誘導されている面が、濃厚にあります。これを考えれば、地方交付税交付金の社会的意味と意義が見えてくると思いませんか?

 謎めかしたままで恐縮ですが、とりあえず。
 おいおい考えながら、議論の入口を見つけていきましょう。

始まりの終わり・・・
 投稿者---TAKA氏(2002/08/14 18:00:37)

 デタントから冷戦に逆戻りではなく、この話が出てくる限り改革派と保守派の戦争みたいな物ですよ・・・今後も続くでしょう。
 政治の世界で議論になっている「道路公団改革」とて大元は此処での三点セットと同じ議論で有ると思います。

 正直言ってこれは経済学的問題だけでなく政治的問題です。簡単には議論の決着をする事は出来ません。ですからこの議論をしても最終的には経済学の理論だけでなく此処の個人の持っている思想・政治的立場等の踏議論になりますから、多分平行線で進むでしょうし、前の「成田新高速」についての事業の可否の議論と同じ平行線の泥仕合になるでしょう。

 ですから此処で三点セットの議論に関しては「休戦」と言うことで如何でしょうか?
 ただ決して避けられない議論ではあると思います。ですから私からも議論の思考の投げかけを・・・

 地方が「都会に近づきたい」「うちの町も便利になりたい」「便利な交通手段が欲しい」という考えは理解できます。少なくとも生活に関して、最低限の高速交通手段は必要と考えます。それに関しては都市から地方への税金の還流である「地方交付税交付金」等を使い整備すべきであると考えます。

 しかし「一般国道と殆ど所要時間が変わらないので使われない高速道路」「大都市までは新幹線で1時間半位で行けるのに、需要が疑問な状況下での空港建設」「近くの自治体に空港があるのに、自分の大都市には空港がないと言って海を埋め立てて作られる空港」等々についてどう考えますか?

 又今や日本の国債は「ボツワナ」と同レベルです。財政赤字は危機的状況です。
 日本の進む道は「国家財政の破綻」「大増税」「ハイパーインフレ」等々暗い言葉が飛び交うほど、国際的信用は失われ赤字は破綻寸前の危機的状況です。
 この国家財政の状況をどの様にしてクリアすべきなのでしょうか?

 私たち一人一人はこれらを総合的に考え、「今後日本はどの様に進むべきか」考える必要があると思います。これは逃げられる事ではありません。
 議論しないまでも考えてください。

 と言うことでこの問題に関しては、「休戦」「先送り」と言うことにしましょう。
 あくまでも「始まりの終わり」と言うことで・・・

山形-東京便、ANA去り半年、JASひらり… log428.html#2

2004.11.14 Update


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