【検証:近未来交通地図】 (過去ログNo.135) 下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。 当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。 |
相互直通の深化・・・近畿地方交通審の検討内容 投稿者---KAZ氏(2004/01/07 17:33:29) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/mono/ |
−ちょいと整理して |
どうもです、KAZです。ネットサーフィンしておりましたらこんな記事が。
新たに16新線検討──近畿地方交通審、LRT提案相次ぐ(日経ネット関西版01/07)http://www.nikkei.co.jp/…
LRTの検討は各地で為されているものの再整理といった感じですが、神戸市営地下鉄と阪急神戸線の直通はちょっとビックリです。どこでどう繋げるんでしょうね。阪急側の狭幅規格がネックになりそうなのと接続地点がどこになるのか興味深いです。しかしそうなれば神戸高速鉄道の位置付けが尚更微妙になってきますが。一部では新神戸分岐・王子公園接続なんて話も出ているようですが、新設区間が長いので事業化のハードルは高そうです。かと言って三宮は無理でしょうし、地下線内での接続工事も大変そうで、どういった構想なのか気になります。乗り入れ先が阪急に限定されているということは恐らく接続地点は花隈以東を想定しているんでしょうし、ああ気になります(笑)。
ちょいと整理して
投稿者---551planning(2004/01/10 01:54:05)御紹介有難うございます(なおURL紹介はありがたく、ただし御手数でしょうが本文の引用は最低限に留めるか、概要の記載をお願い致したいと思います)。
さて追随記事は出ていないのでしょうか?記事を拝見してちょいと整理したいのですが、16新線は何処かということで。
まず検討対象は前45路線、うち29路線が1989年の運輸政策審議会答申第10号盛り込み済みとあります。10号答申は2005年目標だったところ、その見直しを見越す今回の審議会なわけですが、なるほど16新線は自治体などの新提案とも記されていますね。記事には「近畿で検討対象となっている主な路線」として図も載っています。また阪急神戸線と神戸市営地下鉄相直や浪速貨物線旅客化は文中「ほか」で区分されています。
以上から読み取れるのは下記路線となりましょうか。・滋賀県南部LRT案
・京都市内LRT案
・堺市内LRT案
・ポートライナー新神戸延伸
・神戸市内LRT案あと別途検討課題が下記になります。
・梅小路貨物基地等利用によるJR京都線・山陰線・奈良線の乗り入れ(梅小路短絡線の活用)
・浪速貨物線大正−福崎間旅客化
・大阪市営地下鉄相互直通化
(大国町駅=御堂筋線・四つ橋線 谷町四丁目駅=谷町線・中央線 阿波座駅=中央線・千日前線)
・阪急神戸線と神戸市営地下鉄の相互直通化(三宮付近直通新線)・京阪皇子山駅のJR西大津駅前移設
・JR草津線新駅(草津-手原間)
・JR山陽線新駅(鷹取-須磨間 英賀保-網干間)
・南海本線新駅(紀ノ川-孝子間)・近鉄東大阪線の運行速度引き上げ
・京阪関目駅優等列車停車
・南海高野線中百舌鳥駅急行停車***
なお、10号答申言及の新線計画についてピックアップしておきますが、webでまとまっているところがないのが意外でした…手元にも特段資料がないので各種書籍(種明かしすれば川島令三著「新線鉄道計画徹底ガイド 西日本編」(山海堂刊 2001年)に多くを拠っていますが…)からの拾い出しです。「数字で見る鉄道」があれば一発だと思うのですが、大掃除で行方不明になっておりまして…皆様からのフォローを期待!
(A線) [開業済] |
・京都市営地下鉄東西線 (六地蔵-醍醐-二条-西大路) |
1997年10月、醍醐-二条間が開業(御陵-京都市役所前間で京阪京津線が片乗り入れ) |
・大阪モノレール本線延伸 (大阪空港-門真[→門真市]) |
大阪高速鉄道により1997年8月全通 |
・国際文化公園都市線モノレール (万博記念公園-阪大病院前) |
大阪高速鉄道により1998年10月開業(彩都線) |
・大阪市営地下鉄鶴見緑地線 (大正-鶴見緑地) |
1997年8月全通(長堀鶴見緑地線) |
・南港ポートタウン線延伸 (中ふ頭-大阪港) |
大阪トランスポートシステム(OTS)により1997年12月、大阪港-コスモスクエア間が第3軌条式(大阪市交中央線と相直)、コスモスクエア-中ふ頭間がAGT(大阪市交南港ポートタウン線と相直)により開業 |
・神戸電鉄公園都市線 (横山-ウッディタウン[→ウッディタウン中央]) |
1996年3月全通 |
・神戸新交通六甲アイランド線 (住吉-六甲島南[→マリンパーク]) |
1990年2月開業 |
・神戸市営地下鉄海岸線 (新神戸-三宮[→三宮・花時計]-新長田) |
2001年7月、三ノ宮・花時計-新長田間が開業 |
[未開業] |
・京都市営地下鉄東西線 (六地蔵-醍醐/二条-西大路) |
六地蔵-醍醐間で2004年度目処・二条-西大路-天神川間で2007年度目処に整備中 |
・京阪奈新線 (生駒-高の原) |
第3セクター奈良生駒高速鉄道により生駒-登美ヶ丘間で2005年度目処に整備中、近鉄運営予定 |
・大阪外環状線 (新大阪-加美) |
第3セクター大阪外環状鉄道により新大阪-久宝寺間で2006年度目処に整備中、JR-W運営予定 |
・なにわ筋線 (新大阪・北梅田-汐見橋・JR難波) |
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・阪神西大阪延伸線 (西九条-近鉄難波) |
第3セクター西大阪高速鉄道により2009年度目処に整備中、阪神運営・近鉄奈良線と相直予定、阪神尼崎駅も改良 |
・神戸新交通ポートアイランド線延伸 (中公園-(複線化)-市民広場-ポートアイランド第2期埋立地区間) |
神戸空港アクセス線として2005年度目処に整備中 |
・神戸市営地下鉄海岸線 (新神戸-三宮[→三宮・花時計]) |
(B線) [開業済] |
・大阪市営地下鉄鶴見緑地線延伸 (鶴見緑地-茨田[→門真南]) |
1997年8月開業 |
[未開業] |
・京都市営地下鉄東西線延伸 (西大路-洛西) |
二条-西大路-天神川間で2007年度目処に整備中 |
・片奈連絡線 (田辺-長池) |
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・国際文化公園都市線モノレール延伸 (阪大病院前-国際文化公園都市[→東センター]) |
大阪高速鉄道により阪大病院前-西センター間で2007年度目処に整備中、東センターへは都市整備状況を踏まえての予定 |
・北大阪急行電鉄南北線延伸 (千里中央-箕面市中部) |
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・阪急新大阪連絡線 (淡路-十三) |
2003年、阪急が1961年以来保有していた淡路-新大阪-神崎川間の事業許可を廃止、新大阪-十三間のみ残す |
・阪急なにわ筋連絡線 (十三-北梅田) |
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・京阪中之島線 (天満橋-玉江橋) |
第3セクター中之島高速鉄道により2008年度目処に整備中、京阪運営予定 |
・北港テクノポート線 (海浜緑地[→コスモスクエア]-北港北[→舞洲]) |
OTSにより事業着手 |
・大阪市営地下鉄鶴見緑地線延伸 (鶴町-大正) |
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・西明石・西新線 (西明石-西新中央) |
(C線) [未開業] |
・京都市営地下鉄東西線延伸 (洛西-長岡) |
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・京都市営地下鉄烏丸線延伸 (竹田-洛南新都市) |
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・京阪奈新線延伸 (高の原-木津方面/登美ヶ丘-祝園方面) |
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・大阪モノレール本線延伸 (門真[→門真市]-茨田-荒本・堺方面) |
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・大阪市営地下鉄谷町線延伸 (大日-鳥飼-高槻方面/八尾南-藤井寺付近-富田林方面) |
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・大阪市営地下鉄千日前線延伸 (南巽-弥刀方面) |
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・大阪市営地下鉄鶴見緑地線延伸 (茨田[→門真南]-交野方面) |
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・大阪市営地下鉄8号線 (上新庄-太子橋今市-湯里六丁目) |
井高野-今里間で2006年度目処に整備中 |
・大阪市営地下鉄9号線 (住之江公園-湯里六丁目-喜連瓜破) |
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・北港テクノポート線延伸 (北港北[→舞洲]-此花方面[→新桜島]) |
OTSにより事業着手 |
・神戸電鉄公園都市線延伸 (ウッディタウン[→ウッディタウン中央]-カルチャータウン方面) |
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・モノレールによる整備 (阪神モノレール)(大阪空港-武庫之荘方面) |
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・神戸新交通六甲アイランド線延伸 (六甲島南[→マリンパーク]-六甲アイランド南島方面) |
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・神戸市営地下鉄西新線延伸 (西新中央-東播磨方面) |
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・西明石・西新線延伸 (西新中央-押部谷方面) |
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・舞子・学園都市線 (舞子-学園都市) |
検討内容に皮肉込めて
投稿者---安田氏(2004/01/13 11:00:53)記事読みましたが・・・
素人でも分かることだけコメントを。
「千里中央発・梅田経由・住之江公園行き」
10両つないでも常時混雑してる、梅田−なんばに6両入れるつもりでしょうか?
断言します。迷惑です。「生駒発・東梅田経由・大日行き」
先日、所用で乗ったのですが、分岐線は森ノ宮から南に向いて出てました。
都会のド真ん中で、スイッチバックするのでしょうか?
それとも、ビルの杭も基礎も取っ払って、トンネル掘るのでしょうか?阪急神戸線と神戸市営地下鉄西神・山手線の相互直通運転を検討
以前、山陽電車が、三宮駅が、阪神・阪急のりばに分けられ、使いづらかったことを思い出します。
今度は阪急で再現するつもりでしょうか?諮問機関の偉い先生がたって、「お車」付きで、電車なんか使わないんでしょうね。
Re:検討内容に皮肉込めて
投稿者---うり氏(2004/01/15 00:02:19)うりです。
先生方が議論しいる内容なのか、記者が付け加えた内容なのかはわかりませんが、経由地として梅田にこだわっている点に興味があります。
とにかく、電車の本数の純増が期待できない区間設定のため、不便になる駅、ダイヤが不等間隔になる駅の発生が避けられそうもなく、本当に利用者が便利だと感じる乗り入れなのか、疑問を抱きます。「千里中央発・梅田経由・住之江公園行き」
- 大国町は同一ホーム乗り換えであり、現状でもバリアは小さい点。
- 天王寺、動物園前両駅ダイヤが不等間隔となり、純減が避けられそうもない点。
- 乗り入れ列車の数だけ四つ橋線西梅田発着列車を減らせば、等間隔運転にならず、四つ橋線へさらに足が遠のく点。逆に乗り入れ分だけ西梅田−大国町の区間運転を行うほどの需要は、現状でもほとんどないと思われる点。
安田さん同様、メリットよりも問題のほうが多い乗り入れ案だと判断します。
「生駒発・東梅田経由・大日行き」
おっしゃるとおり、無茶な乗り入れ計画案ですね。
少なくとも既存設備の活用を謳っているので、トンネル掘りなおしということは検討の俎上にないと考えます。生駒と東梅田を繋げば、相当数の利用者が見込めるとでも思ったのでしょうが、スイッチバック+平面交差で乗り入れに伴う本線の支障時間は相当なものになると、私は予想しています。阪急神戸線と神戸市営地下鉄西神・山手線の相互直通運転を検討
穿ったものの見方かも知れませんが、阪急が三宮駅を再建しない理由はこのあたりにあるのでしょうか?
地下鉄直通後は、阪急神戸線は全列車地下鉄三宮に乗り入れると考えれば、辻褄は合います。諮問機関の偉い先生がたって、「お車」付きで、電車なんか使わないんでしょうね。
もしかすると、タクシーとハイヤーしか使ったことのない記者が思いついた、机上の空論を記事にしたのかも知れません。
初夢妄想:阪急、神戸市交の直通 |
投稿者---エル・アルコン氏(2004/01/11
01:36:37) |
新年らしく夢のある話題というわけでもないですが、交通関係としては夢のある話題で始まった感があります。
さて、このメニューでやはり気になるのは阪急神戸線と神戸市営地下鉄の接続です。
とかく噂されたり素人談義でも話題になっている部分で、地下鉄の規格も北神経由で接続する神鉄とは共通しない規格と思わせぶりなこともありました。で、その両線、三宮では地上地下に分かれてそのままでは接続できません。
ではどうしたら可能か、新年らしくパァッと考えてみましょう(笑)●A案・現状ルートの地下化
生田新道を行く地下鉄が三宮で地上に出ることは不可能なので、阪急がそれまでに地下に潜る必要があります。
六甲山麓のまだ標高がそれなりにある王子公園から下り勾配の高架橋を連ねて春日野道に降りてくる現在線ですが、南北の筋や、生田川とその地下に位置する新神戸トンネル(現在R2までの二期工事中)を考えると、春日野道までには地下に入りたいです。王子公園駅を出て山手幹線・原田線を跨いだ後、山手幹線沿いに進みますが、ここは最初中央分離帯、さらに少し行くと街路樹帯と側道まで持つ片側3車線区間であり、浜側の3車線を潰して、中央分離帯と山側3車線のスペースで往復4車線を確保することで地下に入るスペースが確保できます。
さらに現在の高架線を撤去すれば、真ん中に地下に入る阪急線、両脇に道路という空間になります。途中駅は現行通り春日野道になります。
●B案・原田線地下ルート
フラワーロード直下の三宮から新神戸に向かう区間で分岐し、新神戸駅に向かう地下鉄と別れて原田線直下に入り、新神戸駅東南に隣接する格好で布引駅を設け新幹線連絡。そこから原田線の下を進み、王子公園の南を通り、公園東側で地上に出て、旧上筒井駅への線路跡のスペースで現在線に合流。王子公園駅は公園直下に移設。
かつての地下鉄東部線構想をなぞったものであり、かつほとんどが道路用地直下で、しかも施工における交通支障も少ないメリットがあります。
問題は現行路線をどうするのか。春日野道から北に向かうかすがの坂を上がったあたりに「熊内(くもち)駅」を設けて救済するかどうか。現在線敷地を使ってJRに新駅を作ってもらうという裏技も。このほか問題は、布引を大回りする割に新神戸からいまいち遠くメリットが乏しいことでしょうか。
●C案・新神戸駅大迂回ルート
新神戸駅で北神線と分岐し、新幹線の直下を円弧を描いて東、東南に進行。労災病院、葺合高校を斜めに進む形で王子公園敷地に入り、B案同様公園東側で地上に出て現在線に合流。王子公園駅は公園直下に移設。労災病院付近に「野崎通駅」を新設も。
新神戸駅からしばらく民有地の下を進む格好。ただし上は六甲山系の斜面なので山岳トンネルになりそう。新神戸駅接続と市バス2系統の需要の一部をターゲットにした格好ですが、問題は迂回距離が長く、阪神間の需要の逸走の深度化への懸念。ただ山手の需要を強化したり、阪神間から新神戸への需要を一手に握る効果や、北神経由神鉄方面からの需要取り込みの強化も。
●直通の意味合い
神戸市交にとっては三宮で阪急に乗ろうとJRに乗ろうと自局の営業にあまり影響はないわけで、沿線への入り込みもYBBスタジアムや総合運動公園くらいであり、あとは県庁への流動が若干というところでしょうか。
阪急は西神方面からの利用がそのまま阪急でがっちりという期待がある反面、三宮でJRに乗り換えた方が速くて安い(通勤定期)という構図は変わらないわけで、あたかも京成船橋のようなポジションになるかもしれません。
しかも、JRには新長田乗り換えへ誘導という隠し玉が残っており、快速の停車、さらには、という対策も絶対に無いとは言い切れないだけに、労多くして効無しという可能性もあります。とはいえ例えば阪神間であと2分遅くなったら決定的な逸走が生じる、という確証があるのならともかく、そうでないとしたら、C案のように独自の需要の確保・確立を図るチャンスでもあります。阪神間の競合他社を見ると、JRがスピード競争で絶対的な優位を背景に、新駅開業や快速系の停車駅追加と緩急接続の強化で中間での需要を根こそぎさらう勢いですし、阪神は難波延伸による「ミナミ」という独自ニーズを握ろうとしています。
そう考えると、JRより遅いが駅は少ないという阪急にとって、今津線のような独占エリアとの流動以外の「メシの種」の確保が急務であることは否めず、地下鉄との直通案を叩き台に考えてみる価値はありそうです。
●現在線は...
地下鉄三宮が2層でそれぞれ1面1線と窮屈であり、現在線直下に折り返し線用ホームを別途設けることで運用を柔軟にする手はあります。
というか現在の地下鉄線だけを活かしてスルー運転するとABCの三案いずれも絶対に破綻します。あとは神戸高速線方面ですが、板宿、高速長田は地下鉄経由でカバーできますし、それ以遠への阪急からの直通はそうそう無いでしょう。また肝心な高速神戸と新開地への対応にしても、現実に阪急線内から直通する乗客の数を考えたとき(特急でも三宮で大半が入れ替わる)、高速神戸方面から三宮までの需要はカバーできる阪神ルートに統合して「廃線」を考えてもいいのでは。花隈駅も西元町駅東口と地下鉄海岸線みなと元町駅で代替可能でしょうし。
●で、実地を見てみました
焦点となるはずの王子公園、さらに地下鉄新神戸、三宮を見てきました。
王子公園駅東側、線路山側の生活道路の一部区間を一時閉鎖すれば工事は出来そうです。上筒井旧線跡の盛り土用地が意外とあるのも大きいです。また、新旧分岐地点から王子公園東側までで地下に潜ることも出来そうですが、西郷川をどう交わすかが鍵になりそうです(河床、流路と潜る線路が重なるかも)。
あとは工事によっては王子スタジアムの休止が必要になるかもしれず、せっかく移転してきたばかりのアメリカンフットボールにとっては災難ですが。新神戸駅は島式の2、3番ホームの線路をそのまま伸ばせば延長ができそうです。
新神戸から三宮の区間も、トンネル断面を見る限りでは箱型ですから、追加の造作についてもシールドトンネルのような問題は無さそう。
特筆事は三宮で、フラワーロードから生田新道にカーブして駅に至るまさにその箇所、駅からの鉛直方向に短くトンネルが伸びた格好になっており、下層側の西神中央行きの線路にはその区間を保守基地にしているのか横取り分岐が伸びています。地下の施工を考えると難しそうに見える三宮分岐が意外と簡単なようであるのも意外ですが、神戸市がなぜそういう意味深な構造にしているのか。布引からの東部線という計画だけだったはずなのに、阪急との乗り入れを見込んでいたのか、それとも南下して神戸空港、というか世が世なら関西空港への乗り入れを視野に入れていたのか、いずれにしろ可能性を秘めた構造が生きる日が来るかもしれません。
厳しい話題が続く関西の交通界 |
投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/24
20:36:44) |
激しい競争と全国平均以上の景気低迷に苦境が続く関西私鉄ですが、また苦しい話題が聞こえてきました。
●OTSを三種路線化へ
23日の大阪朝日(夕刊)が伝えたところによると、大阪市は大阪港−コスモスクエア−中ふ頭で地下鉄とニュートラムを運行する第三セクター鉄道OTS(大阪港トランスポートシステム)の料金を、現在の別建てから市営地下鉄の料金体系に組み込むことで大幅値下げをする意向を固めたようです。運賃体系の変更には鉄道事業形態の変更が必要とのことで、OTSが三種、大阪市が二種での運行になりそうですが、車両を保有する三種事業者としては都市公団(二種事業者=北総開発鉄道)とならぶ珍しい存在になりそうです。
OTS線料金、大幅値下げの方針 大阪市(朝日02/23)http://www.asahi.com/kansai/news/…
別建てのおかげで、咲洲や南港への運賃が市営一本なら270円程度のところ480円と割高であり、苦情が絶えないのか梅田をはじめとする駅にはOTS線は別料金がかかる旨が掲示されています。そのせいか臨海部への足も鈍りがちなのか、先ごろ特別調停が成立したWTCやATCの苦境は言うに及ばず、企業用地が売れ残っています。
確かにただでさえ高い地下鉄なのにさらに別建てで加算という、京都や神戸に行っておつりが来るような運賃では足も遠くなります。大阪港からひと駅で倍近くはねあがる運賃はあこぎで、さらに住之江公園方面に抜けたほうが早いとOTSを通過すると、目的地によっては通過連絡(OTSを挟む前後の大阪市交区間を通算)扱いではなく、打ち切り計算されてしまいます。しかもその基準が曖昧なうえ、大阪市〜OTS〜大阪市の3回初乗りではなく、地下鉄とニュートラム間に中間改札のあるコスモスクエアで打ち切り計算されるため、OTSの初乗りを二度取られると言う論外な計算をされるため、経路としても使う気にならないのが現実です。
建設費の回収という問題もあり、加算運賃や三セクなど別会社化して別建てで徴収するケースは多いですが、利用者から見たら頼みもしないのに目的地の手前で別会社になって高くなるというのでは散々で、とりわけOTSのケースはその加算額といい、咲洲の入場料のような加算区間の設定といい、利用者のイメージを必要以上に損ねていたことは事実です。
こうなると同様に利用者からの目が厳しい神戸高速線は、という風当たりが強くなることが予想されます。ちなみに、阪神、山陽と大阪市交による「大阪・姫路」「大阪・明石」の1dayチケットが、通常大阪市関係のフリーチケットで乗れないOTSにも乗れるのですが、チラシにはわざわざ「OTSにも乗れます」と歌うあたり、「あの」OTSにもそのまま乗れるというのがセールスポイントになる、阪神間から播州の利用者にも十分アピール出来るというわけですし、そこまでOTSの「異名」が轟いているということの現れでしょうか。
●六甲有馬ロープウェイ、表六甲線を休止へ
24日の神戸新聞によると、神戸市の外郭団体、都市整備公社が運営する六甲有馬ロープウェイ(表六甲−六甲山頂カンツリー−有馬)は、2004年内に表六甲線(表六甲−六甲山頂カンツリー)が休止されることになりました。
利用客激減一部休止へ 六甲有馬ロープウエー(神戸02/24)http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/…
表六甲線は利用者減少が著しく、老朽化した搬器などの更新費用の問題もあり、休止に踏みきるのですが、せっかくの六甲ケーブル〜ロープウェイでの周遊コースが途絶えるのは残念、とか、マイカーに負けるとは、と言いたくなりますが、現実はちょっと違う面があります。
六甲山上のスポットは表六甲駅の少し西側の丁字が辻から今回の休止区間の東端である山頂カンツリーの間に集中しており、表側からのアクセスは阪神御影、JR六甲道、阪急六甲からの市バスと六甲ケーブルで天覧台駅(表六甲駅)に行き、六甲山上バスに乗るか、季節運行の阪急六甲からの直通登山バスに乗ることになります。で、ロープウェイはというとこれらスポットを横目に宙を行くわけで、これでは話にならなかったと言う蔭の面があったわけです。同じ整備公社の摩耶ビューラインのように摩耶ケーブルとロープウェイを上手に結合して山上に誘導するのとは全く違うわけで、今回の短縮により、六甲ケーブル〜山上バス〜裏六甲線という周遊ルートに絞ったほうがかえって分りやすいでしょう。
また、企画商品もロープウェイに関してはないわけで、六甲ケーブルを含めて割高感があったことは否めません。基本的には阪神系の六甲ケーブル(山上バスを含めて六甲摩耶鉄道が経営)を軸にした六甲山クーポンが往復型、片道型などのラインナップを揃えていますが、摩耶山やロープウェイとの連携が今一つです。前に書きましたが、昨夏に摩耶ビューラインと山上カンツリーまでのロープウェイを合わせた「六甲・まや一日乗車券」が出たくらいです。
また、この2月18日から3月31日まで、「有馬・六甲周遊パス」が発売されてますが、これは阪神御影〜JR六甲道〜阪急六甲〜六甲ケーブル〜ロープウェイ〜神鉄〜北神〜地下鉄三宮のほぼ一周ルートをどちらかの向きで一周するもので有馬温泉の金の湯もしくは銀の湯の入浴券付き。冬場で山上諸施設の多くが閉鎖されていることもあり、そのてこ入れでしょう。
スルッとKANSAIに見る「企画きっぷ」の意義 report/043.html
こうした企画商品のサポートによる集客も継続性に欠けるわけで、こうした経営姿勢では残された裏六甲線の帰趨、また六甲ケーブルなど他の公共交通機関もいずれは先細りという懸念すら起こります。
ちなみに六甲山、摩耶山の交通の隠れた役割として、年間を通じて盛んな登山、ハイキングのエスケープルートとしても使えるという特徴があるのですが(山上の交通が無いと、東側の芦有道路を行く阪急バスと、西側のR428を行く阪急バス、市バスしか山系にからむ公共交通が無くなる)、これらの交通機関が廃れると、眼下に神戸市街地を手に取るように見ながら、タクシーを呼ぶか、それとも、という事態になるわけで、特に裏側に下りる唯一の公共交通である裏六甲線の今後が気になります。
東急の金額式回数券導入と今後の定期外利用 投稿者---かまにし氏(2004/01/18 13:19:43) |
−定期外利用は”パスネット”主流だが、回数券にも意味はあるのでは? |
かまにしです。
先日、東京急行電鉄が1月31日より回数券の方式をこれまでの「区間式」から「金額式」に改めるとのプレス発表がありました。
1月31日から東急線の回数券を区間式から金額式に変更します 券面金額内の区間なら東急線内のどの駅からもご利用可能に
http://www.tokyu.co.jp/contents_index/guide/news_fram.html
私事で恐縮ではありますが、私は蒲田と蓮沼を両方利用できるところに住んでいるので、この改正を非常にありがたく受け止めています。例えば、蒲田の運賃で比較すると〜武蔵小杉・日吉・自由が丘・五反田が190円、〜中目黒・渋谷・二子玉川が210円、と大半の目的地が190円・210円区間に集中しており、加えて回数券を例えば蒲田〜中央林間330円の精算にも利用できます。
これは、東横線→渋谷・目黒や田園都市線→渋谷・大井町などにも言えるわけで、いずれにせよ回数券の利用価値が格段に高くなることは間違いありません。そしてこの背景には、1月31日がちょうどみなとみらい線の開業とも重なるタイミングであることからも、「相互直通によって拡充される東急の鉄道ネットワークをより活用してもらおう」という東急の戦略が見て取れます。
回数券の方式について話を戻すと、関西では「金額式」回数券がこれまでも当たり前であった反面、関東ではJRと地下鉄を除いた民鉄は全て「区間式」回数券を採用してきたわけで、東急が今回「金額式」を採用した意義は大きいと考えております。ただし今後、この「金額式」が他の民鉄に広がっていくかどうかは正直疑問なところではあります。そもそも東急のように、同一会社内で複数の経路選択が可能な鉄道会社は少なく、しかも乗り越した際の精算にも割引のある回数券が使われてしまうわけで、需要創出につながる民鉄は少ないと考えるからです。あえて言えば、東急以上に多くの路線ネットワークを持つJR東日本でしょうか。
加えてもう一つの論点を提示するとすれば、「回数券をICカードへいかに対応させるか」です。前述のJR東日本は定期外の利用に関しても明らかにICカードへシフトしているわけで、今さら回数券にてこ入れするとも思えません。逆に言えば、JR東日本は「割引率の高い回数券から割引のないICカードにシフトさせることで、収益性を向上させた」と捉えることもできます。
その流れの中で、東急の今回の「回数券へのてこ入れ」は、数年以内に導入を予定しているICカードの流れといかにリンクをさせていくのかが疑問に思えてしまうわけです。もっとも関西私鉄で導入予定のICカード”PiTaPa”では、クレジット決済を基本とすることで回数券に準じたサービスを提供する予定ではあります。ですから、東急をはじめとした関東私鉄がICカードでどんなサービスを展開していくのかを考える上でも、今回の東急の対応は個人的に深読みしたくなってしまうものがあるのです。
では、失礼いたします。
定期外利用は”パスネット”主流だが、回数券にも意味はあるのでは?
投稿者---TAKA氏(2004/01/18 21:56:22)かまにし様今晩はTAKAです。久しぶりに新しい話題が出たので、早速書き込ませて頂きます。
基本的に私は”パスネット”利用が主流です。自営業(自由業に近いですが・・・)で都内近県をかなりの範囲で移動しますので、民鉄何処でも使える”パスネット”・バスでは何処でも使える”バスカード”・JRはOKの”Suica”の3種類は必ず持ち歩いています。この3種類を持っていれば関東圏の公共交通機関で利用できないところはほとんど無いので、特定区間を毎日利用する訳ではない私の場合重宝しています。
まあその様な私の状況を踏まえて、興味のある内容なのでコメントしたいと思います。先日、東京急行電鉄が1月31日より回数券の方式をこれまでの「区間式」から「金額式」に改めるとのプレス発表がありました。
そしてこの背景には、1月31日がちょうどみなとみらい線の開業とも重なるタイミングであることからも、「相互直通によって拡充される東急の鉄道ネットワークをより活用してもらおう」という東急の戦略が見て取れます。☆まさしく関東初の「金額式」回数券ですね。東急の場合比較的狭いエリアで目的地たる地域が複数存在していて、その上路線網のネットワーク化が進んでいるというかまにし様が言われた様な条件が揃っているからこそ「金額式」のメリットが有ると言えます。回数券利用客にネットワーク内で目的地やアクセスポイントを複数選択して貰える様にしたと言う事でしょう。
又これが回数券であることがミソですね。パスネットは自社内で販売しても自社内で利用して貰えなければ販売手数料以上の収入にはなりません。回数券の場合割引はする物の買って貰えばそれで収入が確定します。回数券は利用者にとってはパスネットみたいな利便性がない物の鉄道会社としては収入が確定的に得られる分好ましい物です。
東急にしてみれば何処で利用して貰っても収入を得ているのですから関係有りません。それならば区間を制約するのを辞めて運賃だけの制約にして利便性を高めてあげて、パスネット普及で利用客が減っている回数券に乗客を呼び戻そうという事であると推察します。又これが上記の東京南西地域での東急ネットワークの存在により一層生きてきて回数券の魅力が上がると言えます。☆実際これが都心へのアクセスポイントが複数選択出来ない路線ではそんなに意味がありません。私も上記の様に色々な区間を移動しますが、自宅と都心へのアクセスの西武池袋線「桜台〜池袋」間と重要な仕事先があり週に何度も行く小田急線「新宿〜成城学園前」間は、利用頻度から考えて実を言うと回数券を買った方が得です。しかしパスネットの利便性にかまけてパスネットを利用しています(経費精算の利便性という問題もありますが・・・)。
又西武の場合殆ど「池袋〜桜台〜練馬」間しか利用しませんが、小田急の場合仕事の都合上しばしば成城から下り方面を利用しますが、「新宿〜成城学園前」間と運賃が同じ区間となると限られてきますし、そこを利用するとは限らないですし、最後の目的地は大概都心アクセスポイントの「新宿・上原・下北沢」になります。又この3駅への運賃が同一な所となると調べては居ませんが多分無いでしょう。そうなるとこの様な路線の場合回数券を金額式にしても殆どメリットがありません。例えば西武でも池袋線・新宿線所沢以遠で池袋・小竹向原・高田馬場・西武新宿への運賃が同一であるという様な区間の場合(有るのかは確認していませんが)には金額式のメリットはあるでしょう。又多少の金額の差(10〜20円程度)で有れば、複数の都心へのアクセスポイントが回数券で選択出来るメリットと相殺され、金額式回数券が歓迎されるでしょう。しかしその様な所は多くありません。東急・西武の所沢以遠・京王線(新宿・渋谷の選択)ぐらいしか思い当たりません(小田急の場合新宿・上原・下北が一列に並んでいるので運賃上デメリットが大きい)。
やはり東急の関東では恵まれた東京南西部・神奈川東部にネットワーク化された路線網が金額式の回数券を意味ある物にすると言えます。加えてもう一つの論点を提示するとすれば、「回数券をICカードへいかに対応させるか」です。前述のJR東日本は定期外の利用に関しても明らかにICカードへシフトしているわけで、今さら回数券にてこ入れするとも思えません。逆に言えば、JR東日本は「割引率の高い回数券から割引のないICカードにシフトさせることで、収益性を向上させた」と捉えることもできます。
その流れの中で、東急の今回の「回数券へのてこ入れ」は、数年以内に導入を予定しているICカードの流れといかにリンクをさせていくのかが疑問に思えてしまうわけです。☆JR東日本の場合自社内システムですから、精算の手間は自社システムないで完結しますから、回数券の割引分が無くなる分収益が向上します(その上他社加入した場合事務処理手数料収入も入る)。その点では経営的にも非常にメリットのあるシステムです。その上電子マネー利用カードとしても実験中ですから、JR東日本としては自社の事業の中心にSuicaを据えて活動するのは当然と言えます。この様なシステムで有れば、回数券に力を入れるのは下策でSuicaに力を入れるのが上策と言えます。
しかし民鉄の”パスネット”は事情が違います。各社共通である分精算のシステムが自社の外にあり、その上運賃を先に貰ってもそれが自社に全て入ってくる物ではありませんし自社の「預り金」になる物ではありません。預り金なら資金運用等も出来るでしょうがその様なメリットがある訳ではありません。精算システムが自社外にあるという事は清算の事務手数料を払わなければなりません。これが”パスネット”は運賃先取りであるにもかかわらず割引が存在しない理由です。
こうなると民鉄各社には”パスネット”は乗客の利便性や券売機・精算機等の削減以外に鉄道会社へのメリットがないことになります。逆に何処の鉄道も使える分民鉄の平行線があると何処でも使える分乗客が逸走する可能性もあり、その分乗客が減る可能性もあるという事になります。こうなると逆に”パスネット”より回数券の方が収入を先取り出来る分好ましいとも言えます(回数券割引=パスネット精算手数料とかんがえれば)。☆この様に考えれば定期外利用客が増加している今の時代から考えると、回数券にテコ入れするという事は理解出来ます。理由は上記の様に”パスネット”に以外に鉄道会社へのメリットが乏しいからです。もし”パスネット”がICカード化しても状況は変わりません。基本的にビジネスモデルが変わる訳ではないですから、今の”パスネット”の状況から変わる訳ではありません。
同じICカードでもSuicaとはビジネスモデルが異なります。もしパスネットICカードで”PiTaPa”と同じ事をすると事務処理の原資を何処かから引き出してこなければなりません。そうすると前は回数券割引を原資にしていた物が今度は別の物を原資にすることになります。
それがクレジット決済の手数料とかになるのでしょうが、民鉄会社にするとICカード化で設備投資をするのに、収入が減り経費が増えるという好ましくない状況が発生することもモデルによっては考えられます。
こうなるとどうするか?自社回数券の販売を強化するのも、時代に逆流すると見えますが鉄道会社としては意味のあることです。又自社のハウスカードをもう一度作るという方法も有りますが、それは”パスネット”と精算システムを2重に作らなければならないので、非合理的であると言えます。と言ってSuicaに加入しても手数料収入をJR東日本に持って行かれるだけで意味がありません。
時代は回数券→ハウスカードの磁気カード→共通利用の磁気カード→共通利用のICカードと進んでいますが、収益的にはだんだん自社内の取込辛くなっているとも言えます。今回の東急の一策は来る”パスネット”ICカード化時のサービスと言うより、収入確保の一策と考えるべきなのではないでしょうか?長文ではありますが取り急ぎコメントさせて頂きました。皆さんの御意見・御批判お待ちしております。
回数券と定期券、そしてSFカードの行く先は...
投稿者---エル・アルコン氏(2004/01/21 17:09:51) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs先日六甲道駅で見た話ですが、姫路まで回数券を求めた客に駅員が同じ値段だからと英賀保までの回数券を発売していました。確かに我々も同じ値段の最遠駅まで買うのは茶飯事であり、気の利いたサービスなんですが、一方で姫路を起点に考えたら同じ値段(1100円区間)は芦屋になります。
常識的にみて、英賀保まで乗り越すケースと芦屋や住吉に乗り越すケースでは圧倒的に後者が多いはずで、そうなると英賀保までの発行は要らぬサービスになるわけです。こうしたケースも金額式回数券なら全然問題無いわけで、さらにネットワークがあれば姫路や六甲道にとらわれない任意の区間を選択できるわけですが、そうでない一本棒の区間であっても区間式より金額式のほうが自由が利くわけです。ですから関西私鉄では事実上一本棒のような阪神電車も含めて金額式がデフォルトなのです。
ちなみに阪神の場合、有効期間も3ヶ月後の応答日までではなく、応答日のある月末まで有効となっており、月初に購入すると事実上4ヶ月使えますし、乗り越しは打ち切り計算ではなく差額精算となっているため、取り敢えず回数券を買っておけばなんとかなるうえに安いというメリットがあります。
利用者から見るとこうした「特典」はお得感をくすぐるものですし、事業者にとってはそれで利用意欲が沸くのであれば御の字というわけで、まさに損して得取れの世界です。このあたりはさすが関西という感じです。***
さて、SFカードの導入とその共通化により、回数券もカード化されて久しいわけですが、同じサイパネ規格のカードとはいえ定期券、回数券、共通SFカードと枚数が増えるとやはり鬱陶しいです。
その取り敢えずの回答がSuicaとICOCAというIC化による定期券とSFカードの融合ですが、一方で週休二日の深度化により利用率が上がっている回数券というのが鬼っこになっています。一方で今年阪急、京阪、能勢電鉄からスタートすることがアナウンスされている関西私鉄版ICカード「PiTaPa」の場合は、プリペイドではなくポストペイ機能が目を惹くわけですが、それ以上に独創的なのは、利用頻度に応じて割引を実施するという部分です。
つまり、10回利用なら1割、20回なら、というように回数券と定期券が融合するイメージです。ただ、現行の定期券の最大の特徴である「途中下車」をどう把握するのかという謎がありますが、イメージ的には、ローテクの極みともいえる「スタンプカード」の発想に逆に近いのかもしれません。実はこうした定期券と回数券の融合型商品としては、2001年初めに阪急もしくは阪神と神戸市交通局の間で「阪急(阪神)・神戸市営地下鉄連絡20daysチケット」という商品が期間限定ながら発売されていました。
これは6ヶ月間の任意の20日間、阪急もしくは阪神の梅田から三宮接続で新神戸及び西神中央までの地下鉄西神・山手線全線の区間が乗り降り自由という商品であり、途中下車自由という意味では定期券的性格で、任意の日に使えるという意味では回数券的性格というものでした。
ご存知スルッとKANSAI3dayチケット(期間限定版)も任意の3日間乗り放題と言う性格は一緒ですが、20日間という一定の継続的利用を前提にした商品というところが出色です。***
こうしたICカード化への流れと回数券、定期券の関係ですが、結局は王道のリピーター客確保のため、自社のルールを魅力的にするということでしょう。発行会社との間の精算とタイムラグはありますが、他社発行のカードでも乗りやすいルール、割引サービスを受けやすいルールにすることで自社利用を増やすことが可能であり、プリペイドによる囲い込みから、サービスの中身による囲い込みへの変換といえます。ハウスカードとしての囲いこみはどうでしょうか。クレジット機能(ポストペイ実施のため)が必須になることも推測されますが、一方で会費その他の問題もあり、消費者は昔のように闇雲にカードを持つのではなく、クレジットカードの所有を絞る傾向にあるわけで、そうしたときの決めてはクレジットカードとしてのサービス機能になるはずです。
逆に運行会社発行のカードでしか享受できないサービスがあると言うように、共通カードとしての汎用性を殺すようになれば、カードの利便性が低下するわけで、機能的にはそれくらいの使い分けは可能と見ますが、各社がどこまで考えているかになります。結局、阪急が現在の百貨店用「ペルソナカード」との融合を発表していますが、こういう付加価値で勝負するイメージでしょうか。イメージとしては各種会社が自社カードにETC機能を持たせている感じです。そう考えると、各発行会社によるクレジット機能での独自サービスがある1枚のETCカードで、各公団独自のサービスが受けられ、かつ前払はウェブサイトで行う必要があるとはいえ、前払い金とそうでない場合の利用代金はクレジット機能で引落というスタイルに収斂するともいえます。