【検証:】掲示板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.105)
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角を矯めて牛を殺すが如き事故対応
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/02 14:08:37)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

角を矯めて牛を殺すが如き事故対応
└新マニュアルを巡る厚顔なマッチポンプ
 └さらに曰く、多様な乗り入れが原因と...

 昨年11月のJR神戸線塚本−尼崎間での救急隊員死亡事故に鑑み、JR西日本は人身事故時に警察及び救急の作業が完了するまで当該路線を抑止するように対応を変更しました。
 それ以降人身事故による抑止はそれまでの数分から数十分程度から、1時間以上となるのが恒常化しており、ダイヤの混乱が目立つようになりました。

 確かに現場に被害者がおり、救急作業を必要とするケースにおいては、それが最優先であることはいうまでもありませんし、現場検証もまた大切です。しかしながら、事故後の方針変更に際しては、事情の如何にかかわらず抑止が事実上の基準になっており、それまでの運行優先を単に警察・救急優先にしただけの安易な変更であることは否めません。

***
 尼崎の事故以前、JR西日本が運行を優先していたのは、もちろん利用者に与える影響を最小限にとどめようとする意思にほかならず、それにより人身事故の被害者にはお気の毒ですが、利用者は数分から数十分の影響で済み、ダイヤ混乱が広がることも少なかったわけです。

 それが今の体制になり、利用者の立場が明らかに置き去りになったことは非常に問題です。実際、JR京都線や神戸線のような基幹路線での事故ともなると乗り入れ、接続各線も含めると10万人を超える人が影響を受けるわけですし、事故当事者の列車だけでも場合によっては1000人程度の影響を被っているわけで、冷酷な物言いではありますが、人身事故で犠牲になった人との待遇に著しくバランスを失しているといえます。実際、救急の世界では常識とされる「トリアージ」の考え方がありますが、少なくとも死亡が確認された場合、その人は残念ながら救助の順番は最劣後になる、つまり、電車に缶詰になっている人が本来優先して救助されるべきなのです。
 そもそも満員の電車が立往生したとなったら鉄道側はもちろん、警察や救急が出動して然るべき事態であり、そういう事態を認識するどころか半ば人為的に創出していることは看過できません。

***
 それでも警察や救急がその職務によって発生する「二次災害」を明確に理解しているのであれば、「被害」も最小限で済むのですが、尼崎の事故の少し前に、神戸線立花で起きた人身事故の場合、被害者の死亡が確認されている状況で現場検証に時間をかけ、しかも複々線の全線を抑止したため、朝の事故で夜まで収拾しないというひどい混乱を招いたという実績や、2日の京都線での事故のように、警察官が現場に来ても運行再開の判断を出すことなく時間を空費するような事態に至っては、今の体制に問題があると断じざるを得ません。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20030402i403.htm

 この事故では現場に来た警察官が所管?の向日町署員が来ていないから運行再開を判断できないといったそうですが、事故を通報すると所管外の警察官が派遣されるという間抜けな話があるんでしょうか。

 また、現場の環境が厳しいことは重々承知していますが、「日常生活の安寧を守る」という職務に鑑みれば、日常生活を止めて自分たちを優先して作業をするというのは明らかに行き過ぎた話で、下のコメントを見る限りでは「二次災害」の被害者が圧倒的に多いという事実を認識しているのかも疑わしいです。
 そこまで厳しく言わなくても、と思われるでしょうが、尼崎の事故後に改訂されたJR西日本のマニュアルが支障のない線路での運行再開を認めたことに対する警察や消防の反響が反響で、それを受けてほぼ全面抑止の運用になって今日に至っていることがあるからです。

http://www.asahi.com/osaka/021203a.html

大阪市消防局職員のコメント:
「列車との間に距離があっても不安は消えない。人命救助を第一にする我々の立場からすれば、再開は救出作業後にすべきだ」
大阪府警幹部のコメント:
「JR側が現場で列車の運行状況を説明するというが、やはり救出作業中は列車が一切来ない状態が好ましいのではないか」

***
 さて、尼崎の事故までは、世間の見方は全く逆でした。
97年ごろのJR東日本中央線を筆頭にする人身事故の多発で、防護無線の発報による広範囲な抑止と再開までの時間経過の長さが槍玉に上がり、NHKの「クローズアップ現代」で「中央線はなぜ止まるのか」と題して、人身事故後の運転整理の拙さからダイヤが混乱した事例を、実際に缶詰になった被害者インタビューを交えて特集したほどです。
 その番組も早期の運転再開を是としており、現場検証後の運行再開になるJR東日本に対し、検証前に再開する小田急を対比させていました。

 ところが尼崎の事故では第一事故の被害者の救護状況や警察、救急の体制、JR社員の監視体制の是非を問う以前に、ヒステリックに「走らせるのが悪い」というマスコミの大合唱が起こり、それに当事者が流された感があります。このあたり、在阪マスコミの最も悪い面が出たとも言えます。
 引用の記事は昨年12月3日付けの関西版ですが、マニュアル公表を待ってたかのように6日、夕ラッシュの最中に神戸線で人身事故が発生し、マニュアルに従って抑止を続けたことで未明まで収束出来ない大混乱となりました。

 動かすのはケシカラン、と世間をリードしてきただけにマスコミは振り上げた拳を下ろす場所がなく、7日の大阪朝日の如きは「愚直に安全優先」と、3日の報道はどこ吹く風で暗に対応を批判している信じられない見出しでの報道をしています。

 結局、極めて残念な結論ですが、警察や消防の当事者に全体を総覧するだけの力がないというか、そうした発想に欠けているとしかいいようがないです。
 尼崎の事故はともかくとして、それまでの実績を見ますと、現在オミットされている格好の鉄道側に采配に任せるのが結局はベストではなかったのか。
 今日の事故でも17万人が影響を受けており、そうした「被害」をまず防ぐ対応をやり直すべきです。
 

新マニュアルを巡る厚顔なマッチポンプ
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/03 00:16:57) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 あらかじめお断りしておきますが、晩酌の勢いで書いています。というか、あまりのひどさに1本余計に付けたほどです。

***
 2日の京都線での人身事故ですが、大阪朝日は2日付夕刊1面で扱った(これはweb版と同内容)ほか、社会面(11面)でも取り上げていました。

 その4段抜きの見出しを見て本当に腹が立ちました。
 「JR大混乱」「新マニュアル、負の面も」「事故防止妙案なく」とあり、見出し脇のリード文は、「昨年11月の消防署員死傷事故以来、一つの人身事故が10万人以上に影響を及ぼすのはもう6件目だ。JR西日本が新マニュアルで運行再開を慎重にしたことが、混乱に拍車を掛けている」と結ばれています。

 あたかもJR西日本の「新マニュアル」が問題のような書きぶりですが、先にも紹介した新聞記事を思い出して欲しいです。

http://www.asahi.com/osaka/021203a.html

 新マニュアルも当初発表になったときは最小限の停止で早期の運行開始を計っていましたが、それでも足りないとばかりに警察や消防の批判を付けてネガティブキャンペーンをしたのは誰でしょうか。その成果が今のザマなのです。

 そうです。真相は「昨年11月の消防署員死傷事故以来」の次に、「マスコミの批判に押されて採用した新マニュアルにより」という文章が入るのです。
 さすがに批判キャンペーンを張っていた最中だけに12月6日の大混乱では「愚直に安全優先」で逃げましたが、半年近くたって分かりゃしないだろうとでも思ったのか、見事なまでの責任転嫁です。再度言いましょう。JR西日本は当初、影響を最小限にしようとしたマニュアルを作ったのです。それを寄ってたかって潰したのは誰か。あまつさえ責任を転嫁したのは誰か。

 記事ではJR西日本幹部が「運行再開が長引くほど影響が膨らまざるを得ない」と的確な分析をしていますが、上記の記事のように止めた電車のことは何も考えずにただ止めることを是とした立場を貫くのなら、「正しいマニュアル通りだから止まって当然」と書くべきでしょう。

***
 新マニュアルの負の面があるのは当然です。運行を管理する側がギリギリの妥協をしたものに「素人」が駄目出しをした欠陥品だからです。関西、そしてJR西日本だけが人身事故が際立って多い訳ではないのに、尼崎の事故以来大混乱に陥るのは、新マニュアルが原因というほかに理由はないです。
 何故このような事態になったのか、どうしてこのようなマニュアルができたのか。まずマッチポンプで騒ぎ立てた自省を充分にした内容の分析をこの新聞社はすべきです。

さらに曰く、多様な乗り入れが原因と...
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/06 23:51:23) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 JR西日本の事故に伴う混乱について、朝日新聞(大阪)は更に5日の朝刊(29面)の「ダブルクリック」欄で、「慎重さ裏目 大混乱」と新マニュアル起因の混乱を指摘しています。
 なぜ慎重になったか、という根本を隠しての報道に一顧だにする価値もありませんが、文中に更に追い討ちを掛けるようなくだりを見つけて唖然ととしました。

 いわく、JR東日本にもJR西日本と大差ないマニュアルがあり、複々線区間もJR東日本の方が多いが、人身事故で運行再開まで1時間以上掛かることや10万人以上混乱することはほとんどない、と比較しています。
 厳密には5年ほど前には悲惨な状況だったわけで、そこからなんとか現状にこぎつけたという面があるのですが、そうした経緯を省くのはミスリードですし、当時は全く逆の立場で批判を浴びた経緯もあり、運行再開までの手順の迅速化や防護無線の発報・確認手順で無関係な路線への波及防止策など、一定の成果を収めている違いもあります。

 問題はそのあとで、「その理由の一つに、複々線での列車の走らせ方の違いがある」として、品川−田端間の山手線、京浜東北線を例に取り、違う路線の列車が乗り入れないことを指摘しています。
 さすがに線路別複々線を例示しなかっただけマシですが、記事は「線路を二本ずつ分け合っており」とあり、発想は使用線路の峻別にほかなりません。
 事故時の混乱防止のために、京都線は全部神戸線のみ、宝塚線は全部東西線に流して尼崎で乗り換え。環状線からゆめ咲線は西九条、大和路線は新今宮、阪和線、関西空港線は天王寺で乗り換えにせよ、といっているようなものであり、だったら電車が走らなければ事故は起きないとでも書いたら?と言いたくなります。

 とかく不評のJR東日本の線路別複々線や系統分断ですが、ここに来て関西ばりに湘南新宿ライン、埼京・川越・りんかい線の乗り入れなど、多種多様な系統を用意する方向を出しています。もちろん当初は「お客様混雑」という呆れた表示まで出る混乱もありましたが、最近ではかなりこなれてきており、それで異常時対応もしていると言う事実は、記事の指摘がいかに的外れかということでしょう。

 JR東日本のコメントとして、「一概に比較できないが、警察も消防も含め、事故処理の手順に慣れている面はあるかもしれない」とあり、97〜98年の混乱が今に活きた格好ですが、先に指摘した在阪の警察、消防のコメントと比較しますと、やはり事故処理に対する姿勢や「何をすべきか、どういう状況で、どういう被害がでるか」という発想に警察や消防、そして現行マニュアルにせざるを得なかったJR西日本も含めて欠けている面は否めません。

 これがJR東日本のように手際が良くなればいいんですが、マニュアルの根本の違い、つまり、通常運行への復帰を考えた補正がされているJR東日本と、それを二の次、三の次にしている、というか在阪マスコミによってたかってさせられたJR西日本の違いがある限り、その差は埋まらないでしょう。

バリアフリー2003

 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/14 16:53:07)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 4月24日から26日まで、大阪南港のインテックス大阪で国際総合福祉機器展「バリアフリー2003」(高齢者・障害者の快適な生活を提案する国際総合福祉機器展)が開催されます。

http://www.itp.gr.jp/bf/index.html

 主催は社会福祉法人 大阪府社会福祉協議会とテレビ大阪 。福祉機器関連の総合見本市と言う感じで、1998年以来の開催とのことですが、一般来場を断り原則としてユーザー、メーカー両サイドの福祉関係者に限定した会となっています。
各省庁やマスコミ系福祉財団、そして各国の大使館や通商代表が後援し、業界団体が協賛、そして在阪の鉄道各社や流通が協力というラインナップで、そのためか各駅にポスターが掲出されています。

 私自身ポスターで知り、交通バリアフリー関係かと思ってアクセスしたところ、掲記の内容を知ったわけですが、出典対象物は生活関連の多岐にわたる分野となっています。
交通関係ではメニューから見た範囲では身障者運転自動車の出展があるようですが、あとはホームエレベーター程度。鉄道各社の協力体制のわりに、交通バリアフリーの問題はどうなっているのか、どう扱われるのか、興味深いものがあります。

 もちろん、鉄道会社の取り組みは見本市に馴染まない面はあるものの、出展物を使って社会生活を送る際に避けては通れない「交通機関の利用」において、交通機関側の「バリアフリー対策」がマーケットに出まわる機器との親和性をどれだけ考えているのか、また商品の開発側がどれだけ「バリアフリー対策」と情報交換をしているのか、実のある内容を期待したいですし、実効を上げているのであれば、それをもっと世に知らしめる工夫もほしいです。

神戸市内夕刻の直通特急から
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/12 02:40:44)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

神戸市内夕刻の直通特急から
└山電の歴史と苦悩
 └知名度と実績のギャップを埋めるには
  └高い遅い・・・
   └Re:高い遅い・・・
    └買えない商品
     └山陽・神明間をどうしよう?
      └利用者の「目的」を踏まえた木目細かい戦略が必要
     └「売る気が無い」会社の実例

 先月中旬、平日夜に神戸市内山陽区間まで直通特急に乗る機会を得ましたので、その時の様子をレポートします。

 目的地は舞子ですが、平日は舞子公園に停まらないので垂水乗り換えです。垂水は相対式2面2線と緩急接続ではなく、手前の須磨で接続なので夜は4分、日中は6分待たされるのが難点。対面接続の須磨で乗り換えれば良いのですが、垂水の時点でそれだけの時間差がついていることには変わりがありません。

 三宮19時21分発の直特は阪神車。後ろ寄りに空席のある状態で到着しましたが、三宮、元町、高速神戸と降車よりも乗車が勝り6両とも立客が20〜30人はいる状態になり、御影−三宮が谷という悲しい現実が浮き彫りになっています。
 しかし混雑もほんの束の間で、神鉄乗り換えの新開地でドッと降りました(100人以上)。神鉄も結構乗るな、と思いましたが、まあバス2、3台分。阪神は12分ヘッドで、阪急特急からの乗り継ぎもあるからバス5台位かと冷静に考えると、バス2、3分ヘッドで賄えるレベルが神鉄新開地口なのかもしれません。

 高速長田の下車が多く(50人くらい)、板宿も30人くらい。乗り込みはあまり無く、座席定員割れの状態で地上区間に。三宮〜板宿で完結するのでは直特どころか特急の看板も不要かもしれず、東須磨あたりへの区間運転で充分と言われそうです。
 JRとの完全並行区間に入り須磨は20人程度降車。ところが大半が対面の普通に乗り込み、下車はわずかで、快速停車駅と張り合うことすら出来ていない感じ。普通は4連で10人程度の状態で、乗り移りでやっと30人くらい。
 夕方から停車の滝の茶屋は20人くらいで停車する意味はあるようです。ここは「ジェームス山」のほうが通りやイメージが良さそうで、改名しても、と思う反面、ベタな電車に「ジェームス山」だと笑われるだけかな。

 「山陽電鉄バスは乗り換え」の放送が入った垂水も20人程度。ちょうどJR駅には普通が到着しており、100人は降りてました。
 ここで降りましたが直特は結局座席定員の半分以下で明石へ去っていきました。後部の乗車率が良いのは独占区である東二見の客でしょうか(東二見は最後部に出口)。
 下りの数との比較で見ると同時発車の上り直特の降車が健闘してましたが、山手に東播地区に工場のある企業の社宅が多いといった特殊性の反映でしょうか。

 須磨で抜いた普通はガラガラ。垂水発車時点で25人。霞ヶ丘で6人下車。路線図(種別系統図)には「明石海峡大橋前」のサブタイトルが入り、吊橋マークの「高速バス乗り換え」があるのに車内放送は「舞子公園」だけの舞子公園では私を入れて4人下車、高速舞子には誰も向かわずと悲惨でした。駅は20時前のこの時間帯で無人と立場ありありです。

 高速舞子に顔を出すと、山電の閑散ぶりとはうって変わって人がおり、20時の始発東浦経由大磯行きが18人で出発。学園都市始発の徳島行きは3人と散々でしたが、10分の新神戸・三ノ宮始発の徳島行きは舞子から4人乗車して満席となりました。
 25分に岩屋シャトルと国道洲本、30分に東浦経由大磯があるため、20時過ぎから続々と人が来て、10分過ぎには乗り場にかたまる30人を優に超えていました。
 舞子駅に向かう道すがらもすれ違う人は多く、おそらく70人以上がこの3便に乗っているでしょう。

 ちなみにJR舞子ですが、普通でも70人は降りてます。乗って来た電車の2本後になる山陽も見ましたが乗客20人強に降車は3人。ざっとの計算で1時間あたりの下りからの降車は山陽:JRで1:40という感じで、京成市川真間も真っ青な大差です。
 京成の場合はまだ満員の特急とライナーが通過していきますが、山陽は座席半分以下の直特と乗客20人程度の普通しかないですから深刻です。

 帰路はもちろんJR。古色蒼然の113系のボックスに揺られて帰りました。

山電の歴史と苦悩
 投稿者---KAZ氏(2003/04/12 18:49:08) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/mono/

 どうもです。

 山電こと山陽電気鉄道は、明治期の開業である「兵庫電気軌道」をベースにした路線で、兵庫電軌の経営問題や播州鉄道(現在のJR加古川線)との競願・会社乗っ取り、沿線の急速な発展と構造不況による構成の変化など、様々な苦境や変化を乗り越えてきた会社です。
 戦前まではローカル都市間輸送と神戸市西郊の都市内輸送を担ってきたのですが、戦時中に沿線は軍需工場が多く立地し、通勤輸送を行うようになりました。戦後はそれらの民間払い下げ等で「播磨重工業地域」が形成され、沿線はここへの就業人口受け入れによって発展してきました。ダイヤも高度成長期以前は途中飾磨・明石・長田のみ停車(その後高砂や須磨も追加される)の特急が1時間毎・その他主要集落最寄り駅に停まる急行と各駅停車の組み合わせで構成されていました。

 沿線工場の従業員が沿線に住み着き、また神戸や姫路の市街地との生活面での結びつきも大きくなってきたことから「ローカル都市間輸送と神戸市内輸送」のダイヤから「沿線各地のローカル輸送と母都市への結節」を意識したスタイルへと変えた。即ち特急停車駅を増やし急行を吸収統合し、各停との緩急結合を重視したダイヤにすることによってローカル輸送と都市間輸送、そして沿線各地から都市へ向かう流れをうまく拾えるようにしたのです。
 またこの頃は沿線各地から別府・高砂・荒井・飾磨・広畑などの工場最寄り駅へ向かう通勤客に加えて姫路や神戸からも通勤客があり、上下線が同時にラッシュを迎えるので車両のやりくりが大変だったようです。この頃の設計の電車には関西では事例の少ないスタンションポールや荷物棚への握り棒設置、従来からの小型車を更新して車端部の座席がない3扉車にするなどラッシュ対策が目立ちました。
 沿線と神戸・大阪とのつながりですが、元々は生活面での依存は小さく、神戸・大阪に出るのは一種の「観光」というような感覚でした。沿線の宅地化もベッドタウンとしての開発ではなく「職住近接」のための開発でしたから近距離の通勤流動と生活圏の核だった姫路への流動、そして明石以西の神戸都市圏内でようやく神戸へ向かう都市的流動が見られるといった状態でした。

 しかし沿線の工場が構造不況で従業員を減らし、職を変える人が増えてきました。当然それらの人は姫路に比べ求人の比較的多い神戸や大阪を目指すこととなり、沿線の性格も神戸・大阪のベッドタウンに性格を変えました。しかし山電は元々そういう需要に対するサービスを考えた対策を取っておらず、また明石以東が軌道線出身故の低規格な軌道だったこともあって、急に増えた「イレギュラー」な需要に右往左往することとなります。それと同時に沿線の道路整備も進んだことからクルマへの転移が始まり、さらに高校の増設で自転車通学が可能なエリアが拡がり通学客も減少し始め、スーパーの進出などで買い物客も自転車やクルマに流出するという事態に。
 そこで神戸都市圏内の輸送サービスと播州エリアでのサービスをバランスさせるために運転パターンを従来の20分パターンに特急1本・全線普通1本・東二見以東の区間普通1本という形から、特急・全線普通がそれぞれ15分毎(現在のスタイル)に改め、朝の上り方向を増発する形(当初は普通・その後区間特急〜現在のS特急)も採りました(それまではヘッド短縮のみ)。それでもやはり対神戸・大阪への利便性は国鉄・JRには格段に劣るのでその流動は国鉄へ流れて行きました。

 当然国鉄もそういう動きを見逃しておらず、タイミング良く新快速の増発や運転時間の拡大を行い、増え始めた播州対神戸・大阪の流動を積極的に取り込んでいきます。また国鉄の沿線は海岸部の工場群からは遠かったので宅地開発はそれほど進んでおらず、また山電沿線と違って人口・集落の少ないエリアで、且つ土地利用も山電沿線は農地として「利用」されていたのに対し国鉄側は丘陵地で農地としての利用もさほど多くなく、大規模開発の余地が残っていました。電車が便利になるとどんどん沿線はベッドタウンとして開発され、「新しく開発の進む国鉄沿線」と「雑多な土地利用と沈滞ムードの山電沿線」という構図に陥りました。対神戸・大阪の輸送圧力が大きくなればなるほど山電が明石以東に抱える低規格軌道のデメリットは際だち、国鉄の優位性は揺るぎないものになっていきます。これは明石市内や垂水区内といった西神戸エリアでも同じで、国鉄優位で推移します。しかし運賃が安い山電を使う動きもあり、ラッシュ時はともかく日中はそれなりに山電で神戸や大阪へ向かう流れもありました。
 しかし国鉄がJRに代わり、ラッシュ時の新快速本格運行と新車導入で一気に攻勢を仕掛け、山電はおろか阪急・阪神までもが苦戦の気配を見せるようになります。山電もクロスシートの新車を導入し旧型車を一掃するなど体質改善を進めましたが、明石以東での「遅さ」は如何ともし難く、また播州内での移動はクルマが完全優位という状況になり、通勤流動からはほぼ見放されます。また運賃格差が私鉄側の値上げにより縮小または逆転し、普通券の利用者もJRへ本格的な逸走が始まります。現在はこの状態に加えてJRの値下げとバス便がJR駅をターミナルとして発着することもあって明石・神戸市内の利用者も低迷し、どうしようもない状態になりつつあります。ただ東二見〜大塩間はJRの培養線的な性格での沿線開発が進み、山電の最混雑区間は滝の茶屋〜塩屋間から西新町〜明石間へ移動しました。

 現状は姫路都市圏輸送と大塩〜明石間でのJR培養線としての機能、そして明石以東でのバス代わりのような利用が中心となり、運転形態と利用実績との乖離が見られるようになりました。阪神との直通特急も長年の懸案でしたが実現した時は既に時遅し、明石以東の需要増加は微々たるものだったようです。利用者が望んでいるものは明石や垂水でのJR結節強化なのかも知れませんが、やはり歴史ある会社としての意地か、JRとの結節は敢えて意図されていないかのような状態です。以前は神戸からの帰りに着席できるという大きなメリットがあったものの、今では直通化によって三宮での着席可能性が減少し、山電を敢えて選ぶ意味もなくなってしまいました。また須磨区内でも従来は各駅から大阪直通列車が10〜20分間隔で利用できたのが(阪神・阪急合計)、今では特急停車駅から15分毎にしか利用できず、また各停列車も大幅に減少したことから不評なようです。

 現状のダイヤは鉄道ファンとして、そして山電ファンとしては「夢の大阪直通特急」がクロスシートの6両編成で走る姿など非常に気持ちの良いものなのですが、果たしてこれで本当に「便利」になった人がどれだけいるのか、冷静に考えたら疑問な点もあります。直通相手の阪神電鉄も短い駅間ときめ細かなダイヤで沿線利用者を掴んできたという歴史的な流れを考えると、山陽・阪神とも「直通特急」という長距離優等列車を設定すべき路線なのかどうか、そこから考え直す必要があるのかなとも思ってしまいます。両社とも沿線利用者を細かくサポートし、JRとの無駄な競合を避け「共存」という選択肢やJRが拾えていない需要(例えば三宮での着席サービスなど)を拾っていくような方策が必要なのではないかとも思います。
 とはいえ「直通特急」はメディアでも大々的に取り上げられ、両社の「大看板」として大きな役割を果たしているのも確かで、認知度もかなり高いものです(利用に結びついていないのが悲しいところですが)。これをどうやって伸ばしていくのか考えるのも、ひとつの方策です。利用者として、ファンとして、今の「直通特急」の姿には再考の余地が大きいように感じています。これまで様々な難関を乗り越えてきた山電は、現在の苦境をどう乗り越えていくのでしょうか。

知名度と実績のギャップを埋めるには
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/12 23:25:06) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 先日帰宅時の阪神の車内で、ちょうど隣りに座っていた若い女性2人連れの会話が聞こえてきました。
御影での直特待避の最中だったんですが、片方が直特に乗り換えるようなんですが、いわく、「直通とか言っても全然早くないのよ」とのこと。
 甲子園に帰るようで、「魚崎とかいっぱい停まるのよ」といってましたが、お嬢さん、その意味では甲子園も追加で停まるようになってるんですけど(苦笑)

 「直通特急」はKAZさんのおっしゃるように阪神、山陽の大看板として君臨しており、案外と知名度もあります。ところがそれが利用に結びついているかというと甚だ疑問で、なまじ「特急」という最上位種別に、「直通」とこれもある意味速さを示す接頭語をつけたがゆえに、冒頭のような評価になっているようです。
 冒頭のエピソードも特殊な事例という訳ではなく、はなから「遅い」というイメージが浸透してしまっているのは事実です。明石や舞子、垂水あたりで梅田行きの直特を見ると、三宮の階段位置が近い車両が空いている様は、残酷な評価の一端とも言えますが、だからといって一部にある「停車駅を削減してスピードアップを」と単純に言っても、絶対的にスピードで勝てない現状では、停車駅を削減して物理的に集客できないようにすることは致命傷になりかねません。

 結局はその知名度を活かしつつ、利用者が阪神・山陽の直通に何を期待しているのか、そして出来る範囲でどこまで応えられるのかというところから見直す時期なのかもしれません。

高い遅い・・・
 投稿者---安田氏(2003/04/17 20:39:25)

 ↑これでは、乗らないですよね。
 現に、塩屋在住の私も新開地・板宿へ行く時くらいしか、使いませんから。

 せっかく、「武蔵」「大阪姫路」「直特+山陽バス」などの割引切符をカード・磁気券で作っているのに、これらを切符の自動販売機や山陽バスで売らないのは、何か理由があるのでしょうか?
 わざわざ乗せない・使わさないようにしか、思えないんです。
 クーポンの発行も、少しのソフト変更+有人駅での対応で済むことです。

エルアルコンさま
 後部の乗車率が良いのは独占区である東二見の客でしょうか。

あと、独占地の高砂・大塩も、最後部(大阪側)が出口です。

 「直通とか言っても全然早くないのよ」とのこと。

 逆に、梅田で「三宮に停まりますか?」と、???なことを尋ねられたこともあります。
 姫路行き直通特急=「姫路へ直行」・・・確かに紛らわしい。
 直通特急より速い区間特急、特急より遅いS特急・・・さらに難しいです。
 JRだったら、速いのは新快速ですし、快速もそれなりに速いから、わかりやすいです。

KAZさま
 以前は神戸からの帰りに着席できるという大きなメリットがあった

 この点、以前は「阪急三宮」「阪神三宮」両方から始発だったので、どちらに行けばいいのか、時刻表と相談が必要でした。
 現在は、「ほぼ」座れる特急が、必ず「阪神三宮」と「阪神元町」から出ているので、解りやすくなりました。

Re:高い遅い・・・
 投稿者---KAZ氏(2003/04/17 23:27:07) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/mono/

 どうもです。

 三宮での乗り場が分かれていた件については、確かに今の方が便利ですよね。前は「どっちの三宮に行けばいいんかいな?」と時刻表と睨めっこしてましたが、今はこの苦労から解放されています。
 しかしこれは梅田直通が必須条件という訳ではなく、三宮発着でも阪神もしくは阪急の三宮に乗り場を統一することも可能な訳で(実際には各社のダイヤ摺り合わせがうまくいかないんでしょうけどね・・・)、私としては以前の30分に直特1・特急1の方が良かったようにも思ったりしています。今の黄色直特だと山陽側から三宮への所要時間も5分延びてしまっていますから、元町・三宮へ行く際の時間調整が非常に鬱陶しい。これを解消し、更に三宮での「確実な着席」を提供する上でも「三宮始発の山陽特急」を戦略的に設定するのもいいんじゃないかと思っています。

 各種企画乗車券の件は完全同意です。山電の券売機には「企画券」のボタンが用意されていますし、券売機での発売も考慮していたんでしょうが、何かしらの不都合が生じたんでしょうか。山陽バス車内での販売は、運転士に高額な乗車券・釣り銭を扱わせることを避けるための措置ということも考えられます。一部の会社ではこういう理由で回数券の車内販売を行わないところもあるようですから。
 しかし岡山の宇野バスなどではバス車内にバスカード販売機を設置したりしていますから、本当にやる気があれば何だってできるんでしょうけどね(笑)。

 「直通」と「直行」を勘違いしている利用者は、直通初期の頃には多くありましたよね。梅田で怪訝そうに種別幕を見て「西宮には停まるんかしら?」と悩んでるのを見た時には、教えてあげるべきかどうか考えてしまいました。駅員の停車駅案内放送で停車を悟ったようですが・・・。しかし逆に考えれば只の「特急姫路行き」では、ここまでのインパクトを持ち得たかどうか怪しいのも確かで、戦略的には「成功」なんでしょう。

 ということで雑記まで。ではでは。

買えない商品
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/18 00:15:55) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 確かに、駅や車内の広告で多彩な商品を宣伝している割にはそれを入手するのも一苦労です。
 阪神の場合、基本的には梅田、尼崎、甲子園、御影、三宮の駅長室だけであり、自社線を含む乗り放題きっぷの購入に金をかけると思われては勝負アリです。
 たまたま近々大阪明石1dayを使おうと思っていますが、いつ何処で買おうか苦慮してます。

 このあたり、途中駅でも大阪周遊パスや有馬温泉湯けむりクーポンのように改札が開いてる時間帯は売ってるケースもあり、多彩な「らくやんカード」を揃えられるのなら商品も売って欲しいです。
 ちなみに、途中駅乗車でこれら商品を購入したい時ですが、単に「三宮(などの駅長室のある駅)に行ってください」と言われるときもありますが、当日使用の場合は頼めば梅田までと言った乗車票を無料で切ってくれて、駅長室申し送りで購入出来るようです。

 まあ中間駅は概ね3台の券売機がありますから、らくやんカードは1台にして、残り2台でカード型商品を売ってくれたら良いんですが。

山陽・神明間をどうしよう?
 投稿者---西尾氏(2003/04/24 18:05:26)

 三宮で並んでヨーイドン、新快速が明石到着時に直特は板宿ではお話になりません。(黄直特なら大開!)スピードアップしたところで勝負にならないのは明白です。

 須磨・垂水区民は山陽が改善するより明石以東を廃止して替わりにJRの駅を作る方が喜ぶでしょう。(月見山・滝の茶屋・霞ヶ丘・大蔵谷と人丸前の間?)さらに山陽垂水のスペースを利用して列車線ホームが出来ればもう最高でしょう。
山陽が第2神明の所を走ってたら勝てずとも棲み分けは出来てたと思うのですが…(一の谷の合戦でも知られるようにものすごい傾斜です)
 ここをどうにかしようとすると川島先輩(僕も芦屋高校出身ですので)並、いやそれ以上の妄想になってしまいます。さっさと逃げ出した青木雄二氏が利口なのでしょうか。

 逆にここでのJRは偉いと思います。「山陽に勝つ」だけなら各停のみ毎時8本でも負けません。6や4だとちょっと困りますが、それは負けるからではなく混むからです。それを「4本では少ない」の声に快速の各停化ではなく、神戸発着の普通の須磨→西明石延長で対処しました(221の運用増と普通の運用増のどっちが経費増なのかは分りません)。

 鉄道以外のサービスで差をつけるしかないのかもしれません。例えば阪神の2軍の本拠地を明石球場か姫路球場にし、山陽の往復切符の復か回数券を見せれば入場無料にするとか。

利用者の「目的」を踏まえた木目細かい戦略が必要
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/25 00:41:31) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 さて先日20日に明石から尼崎まで直特に乗りましたが、明石到着時に結構降りたのは確かですが、転クロが半分程度埋まってました。垂水や須磨はちょぼちょぼですが、板宿、長田とまとまって乗り、新開地でドカッと乗ってきました。
 一つの区切りとなったのは元町で、休日のお昼頃とあって大丸や南京町?と見ると、多くは新聞片手の中年層。そういえばその日は皐月賞。開催は中山ですが、元町のウィンズに行くようです。

 三宮で新開地以上の乗車があり、見ると明石以遠からの乗客が結構残っています。珍しいものだと思ってしばらく進むと、西宮で結構入れ替わりました。そして甲子園で大量下車。ちょうど阪神−横浜のデーゲームの開始に近く、野球観戦需要のようです。明石以遠からの乗客も大半がここまででした。
 ちなみに尼崎も降車が多く、しかも西大阪線に乗り継ぐよりも改札をくぐるほうが多く、さすがに「兵庫県」尼崎市、下り神戸方面との流動がそれなりにあるようです。

 帰りはその試合帰りの最中でしたが、野球関係の乗客にはやはり山陽へ乗り通す人もいましたが、仲間うちで「山陽は高いな」「日本一じゃないか?」「いや、日本一はほかにあると聞いたことが」「だったら神鉄じゃないか?」と寂しい談義。

 これらの例から言えることは、元町のように新快速が停まらない駅、また独占区かつ集客力の大きい甲子園のような駅の利用促進は有効ではということです。
 さすがに場外馬券売り場とのタイアップはうるさいでしょうが、甲子園のゲームなど、阪神・山陽で行くことに対してメリットを感じさせるシーンがまだ隠れていると思います。

「売る気が無い」会社の実例
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/25 00:21:54) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 今や当たり前となった鉄道各社のホームページ、アクセスすると最新の話題に沿線情報、そして企画商品の数々の宣伝と相場が決まっています。
 ところが、スルッとKANSAI協議会を軸に、各社局共同での多彩な企画商品が出ているはずの関西私鉄で、アクセスしてもそうした商品紹介がほぼ無い会社があるのです。

 その商売っ気の無い会社ですが、まさかと思われるでしょうが阪急なのです。
 「お得なチケットのご案内」という企画商品のコーナーにアクセスしても、今ですと「京都ウェストサイド物語チケット」があるだけ。あとは鉄道事業のトップに「いい古都チケット」の名前が見えますが、詳しくは駅までとそっけない表示です。

お得なチケットのご案内【阪急鉄道インフォメーション】 http://www.hankyu.co.jp/rail/ticket/index.html

 実際には神戸街遊チケットや神戸おさんぽきっぷ、高野山1dayなど多くの商品があるわけですが、これでは沿線外の人には分かりません。というか、沿線住民でも、「なんかこんな商品があったな」と記憶をもとにアクセスしても確認できませんし、だからといっていちいち駅に聞くのも億劫です。

 需要が低迷するなか、あの手この手の集客作戦に励んでいるはずなのに、周知を全然していない。本当に売る気があるのか、いや、やる気があるのかを疑わせます。アイデアマンとして、また私鉄経営のお手本として名高い一三翁がもし見たら卒倒しそうな内容であり、せっかくの商品を売る気が無い様には、鉄道事業を大切にしているのかという疑念すら覚えます。

神戸の準大手3社、「生き残り」へスクラム
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/24 17:57:53)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

神戸の準大手3社、「生き残り」へスクラム
└悲しき「神戸高速外し」
└西三社の悲哀

  鉄道を核に地域振興を図ろうと、神戸電鉄、山陽電鉄、神戸高速と沿線自治体、近畿運輸局の三者が23日、地域活性化協議会を発足させ、今後1年かけて、鉄道と地域が一体となった具体的な活性化策を検討するそうです。

神戸 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/030424ke105730.html

 地域が抱える課題を、公共交通機関と自治体、国土交通省が連携して解決していく施策「公共交通活性化総合プログラム」の一環で、近畿運輸局によると、準大手を対象としたものは全国初だそうです。

 記事では神戸電鉄、山陽電鉄、神戸高速鉄道の三社(神戸高速も含めて「準大手」としてます)の状況について、「利用者減に歯止めがかからない」「全国、関西よりも落ち込みが激しい三社」としており、23日の初会合では近畿運輸局が「マイカーの普及や少子化に不況が重なり、鉄道利用客は全国的に減少傾向。県内三社はさらに、震災が追い打ちをかけている」と述べているなど、相当深刻な事態であることは自覚しているようです。

 ちなみに記事の末尾では同局企画課は「鉄道は通勤・通学の足で、大切な都市基盤。なくなれば大きな影響を及ぼす。三社が連携し、鉄道と地域を活性化させたい」と言う談話を紹介していますが、「なくなれば」という前提が出るとは...

悲しき「神戸高速外し」
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/25 00:07:47) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 23日の大阪朝日夕刊に、阪急の見開き広告が出ており、その中に「神戸おさんぽきっぷ」という企画乗車券の宣伝がありました。
 見ると、往復乗車券にハーバーランドの複合商業施設モザイクのお買い物券500円分に、600円相当の大観覧車のりもの券、さらにモザイクもしくは港めぐりの割引券がついて、阪急神戸・宝塚線全駅から1000円、阪急京都線全駅もしくは能勢電各駅から1300円とお値打ちです。
 このあたり、1000円分の「割引券」でお茶を濁した「神戸街遊きっぷ」よりも付加価値の付け方としては良い感じです。

 さて、このきっぷ、よく見ると三宮までの往復となっています。モザイクの最寄りは阪急からだとそのまま直通の高速神戸ですが、なぜか三宮までです。まあ片道120円の乗り越しですし、三宮での途中下車に、地下鉄海岸線やJR経由、市バスシティループもありますし、街歩きも良いですから、かえって自由度が増しています。

***
 しかし、その謳い文句に思わず苦笑というか複雑な思いに囚われました。

 いわく、「歩こう 神戸!」「行こう モザイク!」です。
 駄目を押すように、「モザイクへ歩こ!」「阪急・能勢電鉄各駅から、阪急三宮駅下車」「神戸の街を楽しんで、モザイクまで歩いて約30分」と来ました。

 普通は乗り入れている神戸高速の利用をまず勧めるでしょうに、神戸高速の「こ」の字も無い宣伝です。それがライバル会社なら分かりますが乗り入れ先、しかも、阪急が出資している会社じゃないですか。神戸高速各駅で売っているスルKANカードは阪神や山陽、神鉄ではなく阪急の「ラガールカード」と親密さがうかがえるのに、この露骨な「神戸高速外し」の仕打ち、ちょっとあんまりな気もします。

西三社の悲哀
 投稿者---KAZ氏(2003/04/25 01:07:41) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/nagano/

 どうもです。

  神戸高速・山陽・神鉄を総称する言葉として「西三社」というのが関係者の間で使われているようです。さてこの西三社、存続すら危ぶまれる事態にまで陥ってしまったのかと思うと悲しくなりますが、確かに経営環境が激減してしまって大変なのでしょうね。山陽は西神戸の旧市街地を縫うように走り、神鉄は山裏の団地群への足、神戸高速はそれこそ「都市軸」として機能していたのが、国鉄の電車化・増発、バスの都心直結路線強化、神戸市営地下鉄の開業など、元々さほど多くない需要を奪い合う形になってしまった訳ですからね。
 特に神戸高速と山陽は代替輸送機関が十分にありますから二重投資を避けて効率的な整備を図るという視点で行けば「廃止」ということになってもおかしくない(三宮〜湊川〜長田〜板宿間は神戸市営地下鉄が、月見山〜須磨〜垂水〜明石間はJRが並行)。神鉄はそう簡単に廃止はできないでしょうけど、神戸市営地下鉄の延伸や北神急行の開業で重要性は薄まってしまった。おまけに神姫バスや神戸市バスが三宮乗り入れ路線を強化し、神鉄の客をじわじわ奪っていく。これらの事象に対し、山陽は線形改良が困難で速度向上は絶望的、神鉄は都心である三宮へ直通できないという決定的なデメリットを抱えており、ライバルに対して効果的な対策を打てずにいる。そこへ来て震災と不況、たまったもんじゃないんでしょうね。
 山陽などはJRのフィーダー輸送に徹して縮小均衡という方策も取れるでしょうが、神鉄は深刻かも知れませんね。まさか神姫バスや市バスのフィーダー輸送にヘビーレールを、なんて馬鹿なことはできないでしょうし、カーブと勾配の連続する線形では速度向上も厳しい。対するバスは住宅地と三宮を直結し、神鉄と変わらない、もしくは早い所要時間で走ってしまう。神鉄沿線で完結する需要を生むにしても沿線にめぼしい都市もなく(三田・三木・小野とも拠点性は低い上に業務系の集積が低い)、また道路の整備が進んでいるので自動車との厳しい競合があるので、思いつく改善策がありません。

 そもそも神戸市の細長い市街地に国鉄・神戸高速・神戸市営山手・海岸線という四本の並行路線が必要なのか、そこから疑問があります。北須磨・西神へのアクセス路線は板宿分岐で三宮へのアクセスは神戸高速線の輸送力強化という形で対処できなかったのか、もしくは狭軌で建設して神鉄各線との相互乗り入れに配慮できなかったのか、いくら公約とはいえ旧市電のルートに忠実に山手・海岸線のルートを取る必要があったのか、疑問だらけです。まあ当時は成長基調だったでしょうから将来輸送力が逼迫しないようにという配慮があったんでしょうけど・・・。

 今更言ってもしょうがない内容ですが、存続させることに固執して都市全体から見てバランスを欠いた都市整備が行われないよう、見ていきたいものです。

2004.11.02 Update


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