【検証:】常設板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.069)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。


「都市型第三セクター鉄道」の再建について〔続〕
 投稿者---TAKA氏(2002/06/16 23:13:18)
「都市型第三セクター鉄道」の再建について
└補助ではなくインセンティブでは?
 └北神こそ受益者負担の限界事例では
  └少なくとも対等のバーターではない
   └北神救済スキームの核心にまつわる異聞
    └北神救済スキームと他の「都市型第三セクター鉄道」救済スキーム
     └他人の褌か、他人の尻拭いか
「都市型第三セクター鉄道」の再建(北総の再建案の提案)
 └無理筋が多い
  └北総救済スキームの核心
   └誰がための大仕掛けか?
    └
横レス:私たちはこのような議論を経てきた
     └北総・東葉の再建に必要と思われる点
(以上前ページ)

    └「三方一両損」を演出する為の「大仕掛け」
     └「三方一両損」は一時の話
      └増資案への私の意見
       └Re:増資案への私の意見
       └回答
        └先の書きこみ前提についてのお詫びと、「回答」へのレス
      └「三方一両損」が長期的には「三方一両得」になる
       └超部分レス(それ以外は後ほど)
       └Re:「三方一両損」が長期的には「三方一両得」になる
        └インセンティブの話
         └ファイナンス面から見た問題
          └ファイナンス面から見た問題(補遺)
           └ファイナンス面から見た問題(補遺2・自治体の財政規模)
        └御提示内容への私なりの回答です・・
         └値下げされない件の限定レス
          └間違い書き込みへの謝罪&其処まで民間運営を
                    信用できないなら公営化しかないのでは?

(以下次ページ)
 本筋に戻ってスキーム案の評価を(総評)
  └総括レス・そもそも国の関与から来た話と考えると

「三方一両損」を演出する為の「大仕掛け」
 投稿者---TAKA氏(2002/06/20 00:54:06)

(スキームの負担の偏りについての回答)
※私の「北総救済スキーム&成田新高速鉄道建設スキーム」の基本コンセプトは「三方一両損」です。
 基本的には、利用者の受益負担・関連公的団体(都市基盤整備公団・空港公団)・自治体・京成の4者が(ですから厳密には「三方一両損」にはなりませんが・・・)成田新高速鉄道建設の費用と、北総開発鉄道の資本費、都市基盤整備公団線の損出、北総の累積している損出を受益負担と千葉県・京成の北総損失処理の損失で賄うと言うのが基本的スキームです。
 ですから私には「資本家優先」であるとは思いません。京成に関しても少なくとも北総への出資金91億800万円+北総への貸付金の貸し倒れ引当金処理(正確な金額の資料がないので千葉県・京成の貸付金合計の50%として)110億円+成田新高速鉄道への出資金100億円=301億800万円の負担があるのですから、成田新高速鉄道関連の設備投資が必要なことを考えてもかなりの金額負担が発生するはずです。
 必ずしも完全平等とは言いませんが、平等に近づける様にする為にこの大仕掛けを組んでいます。
 強いて言えば、一番負担の重いのは空港アクセス利用客の受益者負担でしょう。今の計算では最低1人当たり1回片道400円・スカイライナーを利用すれば700円ですから・・・
 逆に言えば、一番の利益者は既に住んでいる千葉NTの住民です。この人達は都市基盤整備公団の受益者負担分の開発費用(=土地価格)への転嫁も受けずに、北総高速化の恩恵を受け、しかも受益者新規負担無し(成田新高速鉄道利用者負担金は空港アクセス利用客にしかかけない計算)その上累積赤字の北総は処理済みだから、第二種免許事業者の京成の線路使用料+運行経費+利潤+京成分原価償却費で済むのだから、北総の運賃水準より安くなる可能性も多い。
 そう考えると空港アクセス利用者に苛烈なスキームかもしれませんが、沿線住民には「益のみのスキーム」の可能性も多いです。

(北総問題の基本認識)
※これについては基本的スタンスとして私も同意します。只手元キャッシュフローに関しては償還負担を賄える営業成績を確保する意味で有効ですが、自己資本に関してはいったい誰が幾ら増資するの?と言う問題があるとおもいますが・・・

(北総への価格転嫁について)
※上でも述べましたが、空港アクセス利用客に対し価格転嫁する事は考えていますが、北総利用客に対し価格転嫁する気はありません。確かに一般的に普通の交通手段として利用する鉄道の運賃として北総の金額はもう限界です。私も北総の運賃に価格転嫁は不可能と考えています。
 ですから成田新高速鉄道を巻き込んだ大仕掛けにして負担力のある航空旅客(=空港利用客)に対する価格転嫁のスキームを作ろうとしたのです。只これはあくまで仮想論で責任を伴った政治的政策議論ではありません。
 ですから責任が無いとも言えますので意味が無いとも言えるでしょう(只そうすると此処での議論全てが意味が無いとも言えませんか?半分自己否定の様な気がしますが・・・)。

(北総の減資・破綻処理について)
※私は北総に関して「キャッシュフロー改善が出来れば経営改善が出来るが、自己資本増強(=増資)は「いったい幾ら誰が増資すれば解決するのか」と言う問題があると思います。北総の30年前の設立当初の資本金は20億円ですが、ちょっと古いですが平成8年の資本金は198億円、約10倍です。でも現在の段階で鉄建公団への長期未払い金は今の資本金の5倍以上の1,071億円有るのですから誰が幾ら増資と考えたら増資策は現実的でありません。
 究極の北総改善策は「上下分離」で北総から鉄建公団長期未払金を切り離すことです。
 しかしそうして債務を切り離したら、北総には運行しか存在意義が無くなりますし、高水準の運賃で簡単に償還を終わらせ、それこそ私のスキームで北総を精算処理をしないで置いておいたら、単純に仰有られる様な高収益企業が残ります。
 これを避け、北総の経営責任をはっきりさせる為10割減資の実質的な破綻処理(実際には倒産に近い)を行い京成に吸収合併させるのです。
そうすれば京成は収益性の高い空港アクセスと一体で経営を行い、その収益を使用料で還元すれば北総から成田新高速鉄道へ移行させた債務の返還にも使えますし、現行の京成の空港までの運賃を大幅値上げも出来ませんから(利用者への負担金も課していますから)その空港への運賃とのバランスで収益を千葉NTへの現行の北総の高額の運賃体系を値下げすることも又可能と考えこの様なスキームを考えました。

(スキーム破綻の可能性と一般の理解問題)
※この資金スキームのシュミレーションが破綻する可能性に関しては、可能性として十分あり得ると思います。
 それに関しては指摘の通りですが、私の力では否定するだけのシュミレーションは出来ませんので、これ以上は何も言いません。
 私自身は無責任であるとは思いますが、もし完全に実行可能なスキームのシュミレーションが出来るのなら、示して頂ければ幸いに思います。
 それに確かに空港利用客の運賃負担に頼るスキームですから、空港利用客に配慮が薄いスキームとも言えますが、空港利用客にはアクセスの大幅な高速化という大きな恩恵をもたらしますし、千葉NTの住民に関しては上述の通り負担が薄いと言えますから十分専門家が詰めて行えば、北総問題が解消し(最適化と言うが最適化はされるが消滅が前提なので・・・)成田新高速鉄道も財政的には最適化されるので、必ずしも理解が得られないとは私は考えません。

「三方一両損」は一時の話
 投稿者---和寒氏(2002/06/20 08:36:44) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 TAKA様御提案のスキームは見た目「三方一両損」かもしれませんが、これは短期的処理に限定された視点です。なぜならば、京成など民間出資者側は一時の損を被るけれど、収益的構造へと体質変換された新会社への権利を留保しているからです。これは利用者・沿線住民が長期に渡って負担を続けるのと比べ対蹠的です。
 これは、民間出資者(具体的には主に京成)に一方的に甘すぎるスキームです。ひとり私が賛成できないというだけではなく、このスキームで社会的合意が得られることなど決してありえないという点に、御留意ありたいと思います。

 仮に、ここまでの大仕掛をやるならば、京成にもリスク分担してもらう必要があります。インフラ所有権の召し上げだけでは不充分です。例えば、新高速のアクセス列車の運行権を競争入札制にするとか。上下分離するならば、JR東日本の参入を拒む理由もないはずですから。
 また、空港関連利用者の受益者負担に関しては、目的税を設定するなどの工夫も要ります。さらにいえば、負担金ではなく空港公団の出資金をより重んじる方が、発想としてはベターでしょう(負担金では負担するだけ。一方、出資金は経営参画や利益配当の権利を有する)。

 なお、増資案の概略は下記のとおり。まったく粗々なので、御容赦のほど。

  1. 鉄建公団への償還金相当を、北総は毎年転換社債にて調達する。
    引受手は千葉県が最善だが、P線方式の変形と考えれば国でも可。千葉県・国に予算措置が可能か否かについては、とりあえず度外視。

  2. これにより、北総の手許キャッシュフローは大幅改善する。

  3. 北総は、転換社債引受手の経営関与を回避するため、自発的に経営努力する(スキーム自体が持つインセンティブ)。

  4. 転換社債は、北総は可能な限り現金で償還する。

  5. 現金化できかった転換社債は株式転換する。
    この時点で既に、北総の財務体質は大きく改善されている。
    転換社債の引受手は、北総の経営に参画しつつ配当金を得るもよし、株式を市場に売却して利益を得るもよし。

※ポイント: 北総の財務体質が大幅改善されること。
北総の自助努力を促すスキームであること。
転換社債の引受手は現金での返済を受けるか、配当金を得るか、株式の売却益を得るかのいずれかメリットがあり、出資に見合う受益が得られること。

増資案への私の意見
 投稿者---TAKA氏(2002/06/21 00:28:50)

☆増資スキームの「鉄建公団償還分を毎年転換社債で償還する」と言うことは、単純に鉄建公団長期未払金を転換社債に借り換えると言う事ですよね?と言うことは別に転換社債でなくて良いのではないですか?転換社債で有れば、常識的に無利子転換社債とは聞いたこと無いですし・・・
 馬鹿高い鉄建公団の譲渡分に対する金利よりは転換社債の金利の方が格段に安いでしょうが、基本的なことでは収入を確保できなければ、償還できず多少金利が安くなっても借金の蟻地獄から抜け出せないでしょう。
 これで転換社債償還が困難になり株に転換されたとしたら、転換社債を買った団体は、実質的に北総を所有可能ですが北総株を売却するなんて不可能です。実際幾ら償還不可能になるかで違うでしょうが、鉄建公団長期未払金1,071億の約半分500億が転換されたとしたら、資本金は500億+既存資本金198億で計698億です。698億も資本金があったら1%の配当に約7億、配当5%だとすると35億です。無配の株など売却しても誰も買わないでしょう。最低限売れるだけの資産価値(=長期保有価値)のある配当政策をするとしたら5%の配当は必要です。そうすると5%、35億の配当は北総では不可能です。そうすると少なくとも出資に見合った受益は北総への経営の介入権しか有りません。

☆しかし鉄建公団への償還は転換社債への実質借り換えによりクリアしたとしても、北総の負債はこれだけでは有りません。
 北総は実質債務超過状態ですし、千葉県・京成よりの借入金が220億円有ります。鉄建公団長期未払金に金額に比べたらたいしたことはありませんが、これを処理しながら上記転換社債の利息と償還はとても不可能でしょう。北総の処理すべき借金は鉄建公団長期未払金だけではありません。

☆このスキームでは、ずーっと社債償還に経営資源をつぎ込む事になるでしょう(少なくとも減資・実質破綻処理・救済合併の様な劇的な解決スキームではないですから)。と言うことは、経営の改善は行われたとしても徐々に緩慢に行われることになり、北総の高額な運賃を下げる前提となる健全な収益をあげる経営(あくまでも運賃を下げると健全経営になるのではなく、健全経営になると運賃を下げることが可能になるのです!この逆は北総では成り立ちません)が実施できる様になるのには何時のことでしょうか?
 このスキームを行ったとして、運賃は下がる様になるのでしょうか?私は少なくとも20年・30年ではその時期は来ないと思います。

※増資案は必ずしも否定は出来ません。只北総処理に関しては劇的な処理の方が最終的には処理に近道であるとは思います。
 基本的には現段階で増資するにしても、最初から有る程度資本金で賄うにしろ500〜1,000億近い出資金の会社が出来ることになり逆に資本金が経営を苦しめる事になりかねません(配当問題等で)。
 その当たりをどうするか検討した方が良いと思います。

増資案への私の意見
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/21 01:51:22) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 確かに配当については将来的にもっとも大きな外部流出になります。

 しかし、北総(および新高速)における問題は、償却前はもちろん、償却後の営業段階では相当の黒字を計上できるにもかかわらず、営業外費用である支払金利が足枷になって赤字もしくは微々たる経常利益しか計上できないと言うところにあります。
 言い換えれば、支払金利の削減=利益の増加であり、かつキャッシュフローの増加でもあります。それでもなお減価償却費が残りますが、この段階でも黒字は確実ですし、減価償却費は設備投資もしくは外部負債返済の原資ですから、ここでも営業外費用の削減につなげることが出来ます。

***
 転換社債(商法改正により「(転換社債型)新株予約権付き社債」となっています)スキームで、鉄道公団未払金全額を借り替えるのかどうかは、経営状態との相談でしょう。経営権の問題については、それを望まないのであれば優先株(ただし配当が厚めになる)、構わなければ普通株転換と言うように手段はあります。
 転換ですが、これは若干誤解があると思うのですが、転換権を行使した場合、全額資本金になるのではなく資本準備金にも繰り入れられます。また株数については行使価格次第で変わります。

 配当ですが、京成が1株あたり4円50銭配ですが(いわゆる9分配ですが、今は額面制度が無くなっています)、配当を重視する場合は、行使価格に対する利回りで決まります。もっともたいていはキャピタルゲイン狙いですから、転換権の価値(=表面利率の下げ要素)は1株あたりの利益など複合要素で決まります。

***
 では膨れ上がった株をどうするかですが、こちらはある意味簡単です。
 外部負債の資本転換を果たすことで、金利支払を利益配当に変えることが出来、利益を計上したらその範囲で配当することになります。
 つまり、利益の計上が前提となっており、そこで内部留保を厚めに取り、キャッシュリッチになった時点で買入消却と言うプランもあります。

 問題は転換権の行使についてインセンティブを与える術であり、無転換で償還されてはうまみが無いからです。
 利益計上を前提にすれば、将来の上場など思惑を振りまくことも可能であり、決して荒唐無稽ではないと思いますが(まあはっきり道筋が見えるのであればストレートに「増資」でもいい)。

回答
 投稿者---和寒氏(2002/06/21 08:19:39) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 時間がないので要点だけ簡単に。

 増資案は必ずしも否定は出来ません。只北総処理に関しては劇的な処理の方が最終的には処理に近道であるとは思います。
 基本的には現段階で増資するにしても、最初から有る程度資本金で賄うにしろ500〜1,000億近い出資金の会社が出来ることになり逆に資本金が経営を苦しめる事になりかねません。(配当問題等で)その当たりをどうするか検討した方が良いと思います。

 転換社債案のポイントは、当面の借入金返済を転換社債で調達してしのぎ、しかも転換社債の償還は「現金でなくともよい」という点にあります。
 詳細は横レスを御覧頂くとして、これで財政状況が「劇的に」改善することは「総武電鉄スキーム」にて確認済み。また、現金償還できなかった債権を株式転換しても、少なくとも5%配当は可能です。

 ともあれ、TAKA様御提案のスキームは京成及びその筆頭株主の資本家(大手私鉄の筆頭株主は西武を除き全て銀行です)に甘すぎます。私の見解のうち、部分的なところは既に矢切様が指摘されています。詳細は後ほど。

先の書きこみ前提についてのお詫びと、「回答」へのレス
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/21 10:50:39) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 まず、和寒さんの案を完全に勘違いしていました。

 当時の「総武電鉄スキーム」を巡る議論においては、固定負債を増資を財源に繰上償還するという和寒さんの案に対し、私は転換社債型劣後ローンを提案しました。今回の和寒さんの転換社債案と相似形のように見えますが、当時の私が転換促進を考えていたのに対し、今回の和寒さんの案は極力転換させないことを目的にしています。つまり、北総側にとって転換が経営参画(と配当)という負のインセンティブを与える方向でのスキームということでしょう。

 当時の論を読み返して思わず赤面したのですが、銀行の公的資金と同じスキームであれば、転換は経営側にとってプラスではなくマイナスのインセンティブになります。その意味で和寒さんの今回の論は、北総が経営改善を果たさなければ株式に転換する形で償還というまさに公的資金型のスキームです。
 「公的資金」の場合は強制転換条項発動により国の議決権が生じ、国の管理化におかれるという恐怖が経営への刺激になっていますが、北総の場合、もともと沿線自治体が経営側ですから、議決権が発生しようと無かろうと同じ面子での話です。
 この場合は債権として償還できないような事態の場合、株式で償還されることによって、(償還資金を確保できないくらいですから)利益配当の無い株式をさらに抱えることで経営責任を問われるという刺激を経営側に与えると思います(既存経営者以外の引受があった場合は、経営参画への問題も当然起こる)。

 和寒さんのスキームだと、繰上償還ではなく償還のタイミングで返済原資を転換社債で調達するので、鉄道公団の逆鞘は発生しません。ただ、借入金利の低下が期待できないので、営業外費用の削減につながるかという問題があります(読み違いだったらごめんなさい)。
 逆鞘分も含めて元本化してしまった債券を発行し、期限前返済を敢行するという手もありますが...

***
 なお、当時「総武電鉄スキーム」を批判した側からひとこと。

 当時の和寒さんの案に対し、額面での買入償却だと15年劣後ローンと同じであり、投資へのインセンティブを与えづらいという批判をしました。

 しかしながら、この部分を額面ではなく時価(非上場だと価格算定が難しいという批判は重々承知の上です)での買入とすれば、買入コストは上がりますが、一方で、買入コストが上がる事態=キャピタルゲイン期待が高まる=行使価格を「額面」(商法改正で額面という考え方は無くなっているが、旧来の意味で)より高くすることで、転換株数を減らし実質の配当利回りを下げることが可能というメリットが表裏の関係で出てきます(もともとの「総武電鉄」スキームでは増資ですが、この部分もキャピタルゲインを見込めるのであればいわゆる時価発行増資に擬した形式に出来るかもしれない)。

 いずれにしろ配当原資の確保については、最悪(最善?)の場合でもまず問題無いのではという感触をもっています。
 もともと北総は償却費計上後の営業利益率が35%強と現在でも40〜50億円の営業利益を計上できる体質です。ここで営業外費用の大半を占める利払を減少させられれば、配当原資確保への道筋は非常に明るいのではないでしょうか。

「三方一両損」が長期的には「三方一両得」になる
 投稿者---TAKA氏(2002/06/20 22:06:24)

☆私は基本的に「便利な鉄道の基本には健全な経営」があると思います。又高運賃により得た高収益を鉄道業だけでは寡占の状態にあるからと言って、居住に関しては他地域間・地域内交通に関しては他交通機関・空港アクセスに関しては他アクセス手段との広義な競合が存在している今、高運賃による高収益で寡占だからと言って運賃に下方硬直性が存在するとは思いません。健全な経営で大きく収益が上がっていたら運賃を下げ競争力を高める時代になっていると言えます。
 ですから、京成が不良債権を捨てた北総と合併し、京成自身も財務上の北総処理を終えて北総・公団線が高収益路線になった時何時までもその運賃を維持するとは思いません。運賃を下げるには、収益の上がる経営が前提です。
 何故こんなに北総の運賃が高いか考えてください。それは資本費償還で収支が圧迫されているからですよ。
 それで北総・公団線が北総処理を終えて、成田空港アクセスを加えて高収益になり運賃等で利用客に還元できるようになった時

  1. 単純なる運賃の値下げ

  2. 成田新高速鉄道の使用料値上げ→成田新高速鉄道の債務繰り上げ償還での早期スキーム解消

  3. 同じく成田新高速鉄道の使用料値上げ→一般利用者からの利用者負担金(200円)の値下げ

の3つの方法があると思います。私はその中で、1.が千葉NT利用客にも恩恵があり、運賃値下げにより千葉NTの利便性がより高まり、都市基盤整備公団の負担金の根拠にもなり一番良いと考えます。
 これでも京成が高収益を自分の物にすると疑われるなら、スキーム決定時に「一定以上の収益時には、運賃の値下げか、使用料の値上げをその収益の上がった分だけ呑む」との一筆を入れさせればいいでしょう。
 その時には運賃・ではなかなか変動させられないので成田新高速鉄道の使用料値上げ分を成田新高速鉄道スキームの早期解消につぎ込み、高収益が3年以上続く場合3年目以降は運賃値下げで利用者に還元させる。と言うのが良いのでは?

☆京成のリスクは北総の出資金減資+貸倒引当金処理+成田新高速鉄道への出資金の合計約300億円では不十分でしょうか?
 確かに成田新高速鉄道だけを見れば出資金100億だけですが、多分成田新高速鉄道の借入金に対しては債務保証が必要になるでしょう。その時には686億円の借入に対し出資比率に応じて(京成は25%)債務保証をする(その場合京成は171億5千万の債務保証)と言うことで、私は十分リスクを負うと思います。
 但し競争入札は理論上は正しいですが、余りにも現実の運行を考えると現実的とは言えないと考えます。
 つまり京成高砂以西を完全に京成が押さえている以上、京成が自分の利益を奪った第三者に優先的に便宜を供与するとはとても考えられません。公平なアクセス権を法で定めても、電話の自由化に対するNTTの抵抗の様に京成も合法的抵抗をするでしょう。そうするとアクセスは不便で中途半端になります。
 特にJRは積極的に参加するとも思えません。軌間も違いますし、その為ネットワークも組めないですし京成の妨害も考えられれば、余りにも現実的とは言えません。

☆確かに負担金は負担金で持ち出しだけです。それに対し出資は株を売ることも可能ですし、配当も期待できます。又経営に参画や介入も可能です。その点では明らかに出資の方が有利でしょう。
 但し配当のコスト負担が問題です。正直言って配当の期待できないジャンク債的な出資では、手を出しても企業・公団・自治体にしろ、収益も上がらず、配当も出来なく、倒産リスクがあるとなったら出資に抵抗を示すかもしれません(そんな危なっかしくて、儲からない物を資産計上しておく発想に問題がある)。
 それでしたら負担金の方が、一時で損失処理できるし、リスクも一時で終わる。リターンは現実の便利さ(=便益)で回収できる等の事が負担者にあり、受け入れ者も返済義務と配当義務に制約を受けなくて済み、その会社が金利を払って融資を受けるのと変わらない支出をする必要に迫られるので、それよりかは宜しいと思います。
 但し負担金だけでも負担した以上経営でなく現実の運営に意見できるシステムは作っておくべきでしょうし、出資金と負担金の併用がベストでしょう。

超部分レス(それ以外は後ほど)
 投稿者---和寒氏(2002/06/21 08:25:12) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 但し競争入札は理論上は正しいですが、余りにも現実の運行を考えると現実的とは言えないと考えます。

→「下」の会社に列車編成及び京成・東京都への直通ダイヤそのものを持たせ、ハンドルを持つ権利を入札させるのです。ヨーロッパでは当たり前に実行されているスキームです。ただ、日本ではなぜか障壁が多いというだけなのです。

Re:「三方一両損」が長期的には「三方一両得」になる
 投稿者---矢切氏(2002/06/20 23:18:56) http://www3.ocn.ne.jp/~skylark7/

 又高運賃により得た高収益を鉄道業だけでは寡占の状態にあるからと言って、居住に関しては他地域間・地域内交通に関しては他交通機関・空港アクセスに関しては他アクセス手段との広義な競合が存在している今、高運賃による高収益で寡占だからと言って運賃に下方硬直性が存在するとは思いません。

 千葉ニュータウン対都心では今の運賃であっても他路線に対し所要時間面から圧倒的優位であり他路線との競合を理由に値下げすることは考えられません。ニュータウン内移動についてはいくら値下げしたところで自動車には勝てません。値下げによる入居促進(他居住地域との競争)を考えても増収になる保証はどこにもないし少なくとも人口増になるまでは確実に減収になります。従って北総線を運営する事業者が自らの意思だけで(競争の激しい空港関連以外の)運賃値下げを行なうとは考えられません。値下げさせたいなら千葉県や印西市など自治体が(それなりの負担をして)口を出す資格を持つことが要でしょう。

 京成が不良債権を捨てた北総と合併し、京成自身も財務上の北総処理を終えて北総・公団線が高収益路線になった時何時までもその運賃を維持するとは思いません。運賃を下げるには、収益の上がる経営が前提です。

 必要条件と十分条件は違う。運賃を下げるには収益の上がる経営が前提になるとしても、その逆が自明に成り立つとする貴説は納得できません。

 これでも京成が高収益を自分の物にすると疑われるなら、スキーム決定時に「一定以上の収益時には、運賃の値下げか、使用料の値上げをその収益の上がった分だけ呑む」との一筆を入れさせればいいでしょう。

 経営努力すると値下げしなければならないというのは、努力を妨げるスキームであり、好ましくありません。京成のコストとも北総のコストとも取れる項目を北総のコストとして計上することで京成の利益を確保しようと考えてくるかも知れません。
 また、行政側からの口出しをするというのであれば、行政は負担金(→口出しできない)を払うのでなく株(→口出しできる)を持つとする方が素直でしょう。株主であれば、一筆書き忘れたことがあっても、後から正当な権利としていろいろ要求できます。

 京成のリスクは北総の出資金減資+貸倒引当金処理+成田新高速鉄道への出資金の合計約300億円では不十分でしょうか?

 北総線が健全化し金を産む機械になったときに京成だけが口出しでき行政や住民が口出しできないようなスキームになるのがいけないとしたら、現時点の負担額がどうあれ提示されたスキームではまずいのでは?

インセンティブの話
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/21 00:17:48) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 事業スキームについては、近々述べる、というかご質問をさせて頂きます。

***
 さて、気がついた部分につき少々。

 まず、出資金と負担金の部分ですが、もともと事業収益を上げて配当可能原資を確保するまでは配当は出来ません。確かに1割でも配当することで外部流出が発生しますが、そこはあくまで利益の範囲内と考えれば、然程苦にならないでしょう。この利益を値下げ原資に回して利用者に還元すべきと言うかもしれませんが、利益が出るまで事実上何も貰えなかった出資者に還元することまで否定することはさすがに酷でしょうし、それくらいのインセンティブがあって初めて負債ではなく資本としてお金が集まります。

 負担金についても、確かに便益の形(相当部分は直接的にはキャッシュ項目では戻ってこない)での回収はあるものの、その負担金の調達コストも含めて醵出者にのしかかります。これが出資であればまだ経営に対するコミットや、配当と言うインセンティブがあり、定性的で評価しづらい受益部分を下支えできると思います。ちなみに、経営に対するコミットを心配するのであれば、議決権が無い優先株など手法はいくらでもあります。

 次に、国の負担は最小限にする代わりに、地元自治体に負担を求めると言う部分ですが、結局受益者負担という名目で、直接には受益していない層に負担を求める枠の線引きの問題に過ぎません。
 北総・新高速の場合、千葉県内の沿線自治体は7市2村です。例えば北辺の小室町をこのルートが通る船橋市に「受益者負担」を求める場合、どう考えてもこのルートを使いようの無い市南部の総武線や京成線沿線の住民を含めた存在である「船橋市」と言う括りが果たして妥当でしょうか。

 結局、直接の受益者だけでの負担が不可能だから、間接の受益者、無関係の存在にも広く薄く負担を求めざるを得ない現実を前に、その対象を国にするか、沿線自治体にするかと言う線引きでしょう。ただ、それを自治体にした場合、対象範囲が狭いことから、「広く薄く」とは言い難く、受益者負担と分担の悪い面だけを選りすぐってしまうように見えます。

 最後に減資ですが、北総を京成が合併するためには、100%減資後に第三者割当増資を行う体裁になるはずです。
 また簡単に減資と言いますが、古いですが京成の平成12年3月期の有価証券報告書によると、北総に対する投資勘定は158億円。これと長期貸付金110億円を一括損失処理した場合、370億円近い特損は、単体で4200億円強の総資産の京成にとって極めて厳しいものになります。
 いわんや自治体にとって、損切以外の何者でもない処理については、北総が千葉急のような状態でもないだけに、受け容れられるかと言う問題もあります。

ファイナンス面から見た問題
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/23 02:22:09) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 まず誤解なきように申し上げますが、私は成田新高速について必要かつ有益と考えます。そして北総問題についても、収益を下支えするという点において新高速は有効な解決策と考えています。

 本議論におけるTAKAさんの案が、新高速の建設と北総問題の解決という効果を目的とする範囲において、表面上は目指すところが一緒のようでもありますが、実際には立場を大きく異にするものであります。そしてTAKAさんの案において、専ら資金面から以下の通りの問題点等を指摘致します。

●ファイナンススキームについて
 キャッシュベースで収支が相償うことを前提にしていると考えると、このプロジェクトは、事業一切を担保にして事業収益をもって返済するという「プロジェクトファイナンス」(以下PF)という理解に至ります。
 事業主体である空港アクセス社は一種の特別目的会社(SPC)であり、事業者そのものを信用する「コーポレートファイナンス」にはなり得ません。

 総事業費を2,659億円としていますが、それゆえに各セクターの個別部分においてもなお3桁億の巨費を必要としています。しかしその資金調達などの背景を半ば無視した失礼ながら数合わせのようなスキームとしか見えないのです。

●事業規模のレベルについて
 総事業費2,659億円という規模ですが、我が国におけるPFの実施例を見るとその数字がどれだけのものかがわかります。鉄道の場合、大阪の城東貨物線の旅客化プロジェクトが該当しますが、それが約1,200億です。もともと実施例が少ないのですが、巨額のPFを挙げてみますと、USJが約1,700億円です。ちなみに現時点での我が国最大のPFは、神戸製鋼による電力卸供給事業(IPP)の約2,000億円であり、TAKAさん案の数字はそれを大きく上回るものになります。

 なお、借入金自体は少ないという批判が予想されますが、例えば補助金や負担金といった資金の一部が途絶えることが、このプロジェクト全体に波及するという事を考えると、事業への与信判断はあくまで総事業費2,659億円として行われます。

●事業規模の見積もりについて
 本来FS段階で資金収支を作成し、資金運用表で事業収入で賄えない部分を負債もしくは資本で賄う事になります。
その試算の前提でいくつか疑問点があります。

  1. 建中金利
     これはもともとの1,286億円ベースへの疑問ですが、事業費には引渡までの建中金利が入っているのでしょうか。

  2. 借入金の金利
     借入金686億円とすると、引渡後期間20年の約定返済(据え置き無し)とすれば、20年の平均残高が343億円になります。これに金利率として3.0〜3.5%程度(スワップレート+1.5〜2%)を見込むと、20年の金利支払総額は205〜240億円になります。
    ※引渡初年度の利払は実に約20〜23億円になる。

  3. 租税公課
     1,286億円プランでは17億円の「手続費用」を見込んでいますが、例えば686億円の借入金に対する抵当権設定だけで約3億円(1000分の4)とか、保存登記やPFに欠かせない担保設定などの費用を考えると、まず足が出そうです。

  4. ファイナンスコスト
     上の「手続費用」とも絡みますが、スキーム組成費用が相当掛かります。これはいわゆる「開業準備費」「開業前経費」ですが、これを考えると17億円という数字は少なすぎます。
     あと、国の債務保証ですが、通常「日本国」が保証するのではなく、財投機関や専門の特殊法人が保証料を取って有償で実施します。1,159億円の場合で年間2〜5億円は掛かると見たほうが良いでしょう。

  5. 資金調達の順番
     出資、スポンサーの融資の順で金融機関は最後になりがちです。
     つまり、出資、自治体等の補助金、負担金を全額投入してからと考えるべきであり、早い段階で予算措置などを講じる必要があります。
     そのため、その時点では対応できない場合、スポンサーサイドが繋ぎ融資をするといった新たな資金負担を予め想定します。

  6. 各種リザーブ金
     
    担保の一環ですが、元利金支払基金など使えない手許現預金を留保する必要がありますし、事業費自体にも予備費を設定するのは当然です。

  7. その他前提
     エスカレ率(インフレ率)を織り込むべきです。現状では1%程度でいいですが、中長期的に見たら2%程度でも良いかも。また利用者数変化の想定も必要です。
     なお、川島令三氏の「鉄道はクルマに勝てるか」で、北総の粗利ベースの営業係数を39.7としており、固定費負担をあわせても償却前で経費は45%程度と見られます。
     これを用いて収入と経費の相関も出せます(利用者増加のシミュレーションをエスカレ後ベースで可能)。

 なお営業費用に減価償却費の計上が必要ですが、CF上は非キャッシュ項目なので利益配当の数字を決定する時に用いるだけです。資金運用表では減価償却費を調達側に置くので、設備投資や外部負債の返済減資になるため、減価償却費は計上→消去されます。

***
 これらを織り込んで資金収支を作り、再度資金運用表を仕立てるべきです。
 おそらく総事業費は3,000億円にタッチしてもおかしくないと見ています。
 なお、総事業費に対する資本金(および劣後融資)の比率は20%以上である事が通常です。ですから2,659億円ベースでも532億円はもともと必要であり、それが大幅に増えます。

●資金調達リスクと国の負担
 金額が大きくなると、信用リスクもさることながら、マーケットが消化できるかという不安もあります。このリスクでも調達コストは上昇します。
 このあたりがマーケットが大きい国債と大きく異なる部分です。
 国の保証を付けるという方策もありますが、そうなると国の与信となることを忘れてはいけません。

 そして、利子補給や債務保証も立派な国の負担であることをお忘れなく。
 上記の試算を踏まえると、もし利子全額を補填した場合、国の補助額は半端なものではない数字になっていますし、元本に対する偶発債務も含めると、恐ろしい数字です。

***
 若干尻切れトンボですが、思うが侭に書きました。

 なお、ここまで緻密に書かれるのであれば、是非上記のような資金収支、資金運用表を年単位でいいから作ってみては如何でしょうか。

ファイナンス面から見た問題(補遺)
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/23 13:23:45) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 自己レスです。

 これらを織り込んで資金収支を作り、再度資金運用表を仕立てるべきです。
 おそらく総事業費は3,000億円にタッチしてもおかしくないと見ています。
 なお、総事業費に対する資本金(および劣後融資)の比率は20%以上である事が通常です。ですから2659億円ベースでも532億円はもともと必要であり、それが大幅に増えます。

 厳密にいうと、経常分ではないプロジェクトのコストにも事業収入で賄うべき部分も含まれていますから、収支表を作成する時には営業部分もきちんと考慮する必要があります。
 それを踏まえて整理すると、上記の資本金の比率とはいわゆる「デットエクイティレシオ」(外部負債と資本の比率)であり、事業収支を含んだ事業費の20%にはなりません。

 なお、TAKAさんの案を拝見すると、利用者からランニングで回収する部分がありますが、特別目的での徴収である事から、通常の営業回収というよりプロジェクトに対する調達と見なせます。そのため、バランスしている2,659億円の調達サイド全額で比率を計算しました。

ファイナンス面から見た問題(補遺2・自治体の財政規模)
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/26 20:03:13) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 補遺の補遺ですが、自治体の負担ということを考えてみましょう。
 NT中央を擁する印西市のデータです。

http://www.city.inzai.chiba.jp/machi/budget.html

 平成13年度予算の規模は198億円です。
 収入は市税が110億円、地方交付金が14億円などとなっており、市債の発行は6億円程度です。
 支出は教育費の43億円を筆頭に土木費が34億円、公債費が27億円となっています。

 まあ白井市や本埜村、印旛村も推して知るべしでしょう。

 ちなみに千葉県は1兆7千億程度と桁違いですが、こちらはそれに見合う様々な事業を抱えています。
 ちなみに県債の発行は平成14年度予算で2,000億円を超えており、未償還残高は2兆円を超えました。

***
 なお、こうした厳しい財政状況からもこのような事業自体の取り止めを問うことも確かに可能ですが、一方で必要な事業まで削ることは将来への禍根を残します。
 その執行にあたり、予算規模が小さい自治体に多くを頼るのか、都道府県レベルとするのか、国が見るのか。ただ削減すれば良いとか、負担しやすいところに頼ればいいといった安直なものではない議論が必要でしょう。

御提示内容への私なりの回答です・・
 投稿者---TAKA氏(2002/06/21 21:06:17)

(北総・公団線の運賃値下げについて)
☆確かに今の千葉NTアクセスでは対都心アクセスは北総・公団線の独占状態ですから、値下げへの動機は乏しいとも言えます。但し値下げへの動機が乏しくても要は競争が存在しない時には値下げをしないと断定できないのではないでしょうか?
 今まで基本的に運賃は下方硬直性があり値上げ去れども値下げされない物でしたが、現在では京王が全線で運賃値下げをしている様に、必ずしも競合が一部しか存在しなくとも(新宿〜京王八王子間や渋谷〜吉祥寺間ではJRと競合しているが)全線で値下げしている実例は存在しています。ですから規制緩和の今の時代では、必ずしも競争の不在=高運賃の維持とは言えないと考えます。
 それに成田空港アクセスで競合が存在している以上、空港アクセスに関しては他アクセス機関との競合に勝てる運賃を設定せざる得ません。それにこのスキームでは、空港アクセス客に200円〜500円の負担金を課していますから、それこそ北総の運賃水準をそのまま移行させたら現行で優位の運賃でも不利になったら、競合に勝てなくなるでしょう。
 それに空港アクセスも千葉NTアクセスも同じ第二種免許事業者が統一して運営する以上、空港アクセスとNTアクセスのダブルスタンダードの運賃設定は理屈的に不可能でしょう。そんな事したら最終的にそれこそ民間企業としての信頼を失い、北総・公団線・成田新高速鉄道を第二種免許で運行するであろう民間の新会社は、市場から退場させられるでしょう。

 私は自治体等に出資をさせた上での資本の圧力をかけるより、市場の圧力の方が有効であると考えます。しかし民間企業の行動を「性善説」で見るか、「性悪説」で見るかで違ってくるでしょうが・・・
 「性悪説」で見れば資本の圧力等の強硬手段を唱えるしか、自己の短期の利益の最善化を計る民間企業の行動を掣肘出来ないと考えるでしょうが、私は「性善説」で見ますから、市場の流れ・公共のバランス・自社の利益等を総合的に考え行動すると考えます。
 と言うことは、私は皆さんの言う様な強硬手段を執らなくても受益負担で最終的に生み出された利益を独占することなく運賃等で自然に還元すると考えます。

(運賃値下げの前提条件)
☆私は「運賃を下げる前提は健全な経営である」とは言いましたが、その逆「運賃を下げたら経営が健全化する」とは言っておりません。少なくとも競争が存在せず、運賃値下げでは直接的に獲得する客が存在しない千葉NTアクセスの現況では仰有られているとおり単純な運賃値下げは減収に直結します。そう考えたら単純な方法では北総への出資にしろ解決できるとは思いません。

(出資でも経営の主導権を握らない限り、値下げは棄却される。経営の支配権を握ったとしても出資者の行動としては会社に損をさせる行動は背任的問題がある。又それにより出資会社の経営を傾かせてその結果、出資が無駄になる様な行動をしたら運賃が下がり住民には利益が得られたとしたと、最終的には住民が会社の経営悪化という形で損をすることになりこれも又背任的行動である)

☆そうすると矛盾した内容に読めるでしょうが、収益が上がる前に値下げをしたら会社の経営に直結するが、会社の経営が負担金等自分以外の努力が基で健全化し、その収益を還元するのは必ずしも経営悪化とは直結しないと言うことになります。
 幾ら値下げしても千葉NTに住民が増える要因の一つにはなりますが、値下げ→住民の増加→乗客の増→収入の維持・増加と言うサイクルを単純にたどれるとは思いません。ですからあくまでも「運賃値下げの前提は健全な経営」と言うことになります。

(運賃値下げと利益追求の相関関係)
☆利益を上げた段階で、値下げを約束させるというのは確かに努力を妨げるスキームですが、別に利益の全額を召し上げて運賃値下げをせよとは言っていません。「利益の一部を運賃に還元できる様なスキームを予め作る必要がある」と言っているだけです。
 一部の還元で有れば、少なくとも悪意の粉飾等をしない前提で有れば、少なくとも経営上の利益を確保できるメリットがある以上経営努力するでしょう。要はみんなに利益が上がり努力するスキームを作ればいいのです。

☆確かに破綻処理後の北総を京成が合併したら、当然京成の全体の中で運営されることになります。ですから当然一体で経営されるので区別が困難になることもあるでしょう。
 又北総分だけは補助を受けている以上、経理上分離して経営状況を明示せよとも言えるでしょうが、その場合は仰有られる様な原価の付け替え等の利益確保策を採る可能性も存在します。
 しかし明示するという公約をした状況で原価付け替え等の経理操作で利益を粉飾したらそれこそ、虚偽報告・詐欺の世界に入ります。普通の民間企業が其処までリスクを負うでしょうか?

(北総・公団線運営会社への受益者発言権の確保)
☆確かにその様なことを避けるスキームも必要かもしれません。例えば

  1. 成田新高速鉄道はインフラの所有者で、第三種免許事業者でインフラを貸す先を選択する権利がありますし、私のスキームで京成は第二種免許事業者としてインフラを借りて運行する立場なのですから、この私のスキームで京成高砂〜成田空港間を所有する成田新高速鉄道が中心として受益負担者(空港公団・都市基盤整備公団・自治体)インフラ所有者(成田新高速鉄道)運行者(京成)で協議会を作り、強制力を持った調整する(運行者には運航権の選択権を盾に、インフラ所有者には出資者の権利を盾にする)。

とか、

  1. 北総を破綻処理した時、京成合併でなく京成・その他の関係者折半の新会社を作り、北総は一定金額でその新会社に設備・人員を含めて営業譲渡する。その会社は京成を筆頭株主とした第三セクターになりますから受益負担者(空港公団・都市基盤整備公団・自治体)も資本の力で経営に監視と介入が出来る。

 但し営業譲渡金+当座の運転資金分が資本金になりますから、多少かかる費用が増えるのと、北総の経営責任が全ての債務を出資比率で処理するスキームよりは、営業譲渡益で債務を埋められる分薄くなりますが、こちらの方が良いかもしれません。

☆私はあくまでも、処理スキームの一例として一連の案を提案しただけで、私の案が完璧とは思いません。個人の私見ですし、処理スキームを練り込むだけの力も資料もありません。
 あくまでも叩き台にして皆さんの意見を伺いなから議論を進めたいとは思っていますが・・・

値下げされない件の限定レス
 投稿者---矢切氏(2002/06/22 03:53:02) http://www3.ocn.ne.jp/~skylark7/

 京王がなぜ値下げしたかご存知ないのでしょうか?業績が良くなったから値下げしたのではありません。施設強化のため加算運賃をとっていたところ、複々線化断念・10連化などに投資となり金が余りました。加算運賃の認可を運輸省から取った際の理由からして他目的使用できる金ではないですから、運賃値下げにより取りすぎた分を返しているのです。取りすぎた分の返却が終わればもとの運賃に戻ると思われます(西武が特定都市鉄道整備準備金の取崩終了により新宿線を値上げしたのは記憶に新しいところです)(京王は再値上げによる利用客離れを防ぐために今の水準を維持する可能性はあります:そのようなきっかけは北総にはありません)。北総の運賃には特定都市鉄道整備準備金のような制約がありませんから、値下げする義務はありません。

 それに成田空港アクセスで競合が存在している以上、空港アクセスに関しては他アクセス機関との競合に勝てる運賃を設定せざる得ません。

 私は千葉ニュータウン対都心や千葉ニュータウン内が値下げにならないと論じています。空港対都心の運賃で話をそらさないで下さい。千葉ニュータウン対都心が高い運賃のまま成田空港対都心の運賃が安くなるような設定は可能です。高砂〜空港第二ビル間の移動では途中下車しなければ安いほうの運賃を適用するルールとし(パスネットのルールではそうなる)、空港第二ビル〜成田ニュータウン北間が適度に高い運賃(今の北総レベルの運賃で十分高い)設定とすればOK。類似の運賃逆転は国鉄にも例があります。

 以上から、先の投稿で述べたことは依然として成り立ち、千葉ニュータウン対都心や千葉ニュータウン内の移動について値下げすべしとする「市場的」圧力は微々たるものであり、行政などによる圧力がなければ値下げはなされないでしょう。

間違い書き込みへの謝罪&其処まで民間運営を信用できないなら公営化しかないのでは?
 投稿者---TAKA氏(2002/06/22 06:33:10)

 京王がなぜ値下げしたかご存知ないのでしょうか?業績が良くなったから値下げしたのではありません。施設強化のため加算運賃をとっていたところ、複々線化断念・10連化などに投資となり金が余りました。加算運賃の認可を運輸省から取った際の理由からして他目的使用できる金ではないですから、運賃値下げにより取りすぎた分を返しているのです。取りすぎた分の返却が終わればもとの運賃に戻ると思われます。

※確かに仰有られるとおりです。これに関しては私の誤解での間違いの書き込みです。
 私の不明をご指摘頂いたことに感謝すると同時に間違いを書き込みましたことを謝罪させて頂きます。

 私は千葉ニュータウン対都心や千葉ニュータウン内が値下げにならないと論じています。
 千葉ニュータウン対都心や千葉ニュータウン内の移動について値下げすべしとする「市場的」圧力は微々たるものであり、行政などによる圧力がなければ値下げはなされないでしょう。

※はっきり言って市場的圧力は現在でも存在するでしょう。今でも千葉NTの住民や自治体が北総に値下げを陳情しているのですから。これを市場圧力と言わずして、何というのでしょうか?
 現在は北総の経営状態が余りにも悪いし、運賃補助等の直接的補助が存在しないと言う大義名分があるからこそ北総は値下げを拒否していますが、確か北総の大株主には千葉県も居ますよね?千葉県の傘下の自治体が値下げの陳情をしているのに少なくとも私の知る限り千葉県が大株主として又大口の融資・支援先として運賃値下げ等の圧力をかけたり、その為の補助を行ったりする様な政治的行動を行った形跡が見られないのですが・・・
 少なくとも皆さんの言われる様な自治体が資本の圧力で値下げへ介入するのなら、既に何かしらのアクションがあってしかるべきと思いますが?

※ではこの様な状態で私のスキームにある様な北総が第三セクターから完全民営の京成に合併された場合、高収益会社に生まれ変わり上記の様な高運賃を維持している大義名分を失った場合、当然上記の様な収益を運賃に還元しろとの陳情等の圧力が掛かってくるでしょう。
 その時に、一つの路線に2つの運賃体系を利用する客が存在する様な状況で、又1つの会社で大幅に離れた運賃体系が存在し、それにより、より不当とも言える大きな収益をあげている場合、短期的行動としてその運賃を維持して収益を局限化する事は企業行動的にありえるでしょうがその様なことで市場の反感を買い、住民の流失(=顧客の流失)を引き起こす様な長期的に不利になる行動を行う程民間企業は愚かでしょうか?
 少なくとも、住民はこの高運賃に耐えられなくなったら他地域に引っ越す逃等(=沿線住民の流失)逃散的な行動をしかねません。それが北総線の企業経営にとり高運賃維持のマイナスとして認識でき、その防止の為に陳情等の市場圧力を受け入れ値下げをするぐらいの賢明な見識を民間企業は持っていると考えます。

※技術論的には、仰有られる様な二重運賃維持は可能でしょう。それは過去に話し合いましたよね?
 只対成田空港に関しては安い運賃を適用することは制度上今まで他でも十分存在したはずです。しかしそれはあくまでも間にはいるのが別会社で短絡線を運営している様な例であると考えます。
 今回は北総が京成を合併しますから、京成本線も北総・公団・成田新高速鉄道線も同一経営会社が運営しています。同一会社内に加算運賃を取る例は多く存在していますが、完全に違う運賃体系が2つ存在していて、それが余りにも金額が離れていて不当な利益をもたらす様な例は存在するのでしょうか?
 私はその様な運賃体系が維持できるとは思いません。

 私のスキームでは、北総の高運賃の原因たる鉄建公団長期未払金償還に空港利用者まで動員して北総線運営者の負担を軽くしています。それであるならば、北総を京成に合併した時には、基本的には京成の運賃体系を導入して其処に使用料支払いに必要な加算運賃を上乗せする方が現実的になるのではないでしょうか?私は少なくとも未払金償還負担が軽くなった後まで高運賃を名目無く維持して短期的収益を局限化して長期的収益に影響を及ぼす様な愚かな行動を京成はしないと考えています。

※でもそんなに「民間企業は暴利をむさぼる」「民間の暴利を抑制するのには公共体が資本で参入して資本の圧力をかけるしかない」という考えで有られるのでしたら、北総の破綻スキームで、わざわざ資本参入で済まさず千葉県営の鉄道にでもすればいいのではないですか?
 出資では突き詰めれば過半数以上の株を持たないと、本当の意味での資本の圧力は使えません。過半数以上持つのなら、第三セクターにしないで公営鉄道にしてしまえばいいのではないですか?そうすれば、「千葉県が買い取って公営交通として運営する」の一言で北総処理は終了して増資だの、繰り上げ償還だの合併だのと言った財務上のマジックを使わずに簡単に北総処理スキームを行えるでしょう?
 そんなに民間が愚かで「性善説」的行動を行うと考えているのでしたら、本当に公営化したら良いのです。
 もしそうで無いというのなら、それに対応する様なスキームを示して頂けたらと思います。
 少なくとも未払金に相当する1,000億近くの増資をするのなら、公営化の方がスッキリするでしょう。公営化すれば、所有・運営するのですから資本の圧力等でなくもっと分かりやすい形で簡単に行えるではないですか?

▽以下次ページ

2004.11.02 Update


Copyright © 1998-2004 Unlimited Liability Company 551planning. All rights reserved.
Designed for Microsoft Internet Explorer 5.0 …by Microsoft FrontPage 2002