【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.329)
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〔ゴムタイヤ・トラム〕ゴムタイヤ・トラム再論(浜松・もう1つの提言)
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年6月11日 23時50分
〔ゴムタイヤ・トラム〕ゴムタイヤ・トラム再論(浜松・もう1つの提言)
└トロリーバスから(まづ)考えました
 └日本に適した交通機関では?
  └Re: 日本に適した交通機関では?
└資料を入手致しました
 └拝読しました…立ち読みですが。
 └論点を整理致しましょう
  └Re: 論点を整理致しましょう

 打越健太郎です。
 先日、浜松のLRT導入案を紹介致しましたね。浜松に関してもう1つ、注目すべきページを発見致しました。

http://www.wbs.ne.jp/cmt/f-map/infos/simin-teian03.htm

 こちらは、前回とは少々違い、ゴムタイヤ・トラムの導入を提言しています(架線の無いタイプですが)。ゴムタイヤ・トラムに関しては年明けに僕が紹介致しましたが、その後、どうという事も無く、話も深まりませんでした。今回はゴムタイヤ・トラムを採用しよう、という珍しい提言だったので紹介した次第です。

 ゴムタイヤ・トラムが日本でそれほど評判にならないのは、トロリーバスが殆ど生き残れなかったからでしょう。日本でも一時期、路面電車がジェノサイド(大虐殺)的に廃止されましたが、それでもドイツに次いで残ったというのは、意外と知られていない事実です。イギリスではブラックプールを唯一の例外に全廃、フランスでもマルセイユ・サンテティエンヌなど3箇所が残っただけなんですね。日本でLRTが評判になるのは、既存路面電車の改良という道筋が有望だからでしょう。
 一方、トロリーバスはといえば、フランスでは立派に都市交通の一員として生き残りました。今ではディーゼルエンジンをも搭載し、都心部ではトロリーバス・郊外では普通のバスとして走るハイブリッドのトロリーバスもあるとのこと。これに対して日本では、ほぼ全滅ですね。これではトロリーバスをLRT化する等と言っても、殆ど意味がありません。

 皆様にお尋ね致します。
1)何故、日本ではトロリーバスが生き残れなかったのか?
2)今後、我が国でトロリーバスは復権するだろうか? 
3)「トロリーバスのLRT化」とも言えるゴムタイヤ・トラム、日本では有望か?

トロリーバスから(まづ)考えました
 投稿者---
氏  投稿日時: 2001年6月14日 02時51分

 私はかつてハバロフスクという町を訪ねたことがあるのですが、知っての方は知っての通り、私が訪れた当時はまだ共産圏にありました。そして、路面電車と共にトロリーバスが活躍いたしておりました。数年前、パフィーの特番でハバロフスクの映像が流れたのを見ましたら、両方とも元気に活躍していたようでした。また、先輩でリトアニアに留学されておられた方がいるのですが…氏曰く、市内交通の重責はトロリーバスで、都市間移動はバスが担っているとのことでした。

1)何故、日本ではトロリーバスが生き残れなかったのか?

 これはPの見解です。手許に資料がございませんのでかなりの拙稿ですが、お許し下さいませ…。まず第一に「メカニック面」が挙げられます。確かトロリーバスは2本の架線を2本のトロリーで集電してステアリング操作で走行すると言うものですよね。きっと離線して動かなくなったり、トロリー無しでは動けないため、何らかの形で走行路面に障害物があるとそこから動けなくなったりと融通が利かなかったのではないでしょうか?現在まで残っていたとしたら、この辺りのフェイルセーフ機能は当然搭載されているでしょうが、当時はそこまで考えられなかったのでしょう。
 そして、「高度経済成長による都市のスプロール化」でしょう。これは名古屋のケースなのですが、国内でトロリーバスが淘汰されつつあった当時というのは高度経済成長の真っ只中ですね。これは都市の過密化ならびに周辺部の乱開発の増長すなわち、スプロール化を招き、現在に至っています。時々刻々肥大する都市面積に対して対応できる交通機関はバスぐらいしかない、とりあえずバスで!と思っていたら、トロリーやチン電があるせいで渋滞多発…あとは、打越様も皆様も聞き及びがございましょうシナリオに乗っかるのですが…。ヨーロッパではある程度出来あがった都市は日本のようにドラスティックな再開発がしにくいというのも残った一因ではなかろうかとPは考えます。欧米人は基本的に合理的だから「ある物は使う」の発想から残され、昇華されたのではないでしょうか。しかし!ならすでに出来あがった町である国内の京都では、何故、残れなかったのか?というパラドックスがあります。トロリーバスの国内での去就・可能性を追及する鍵は京都にあるのでは?と、Pは思います。

2)今後、我が国でトロリーバスは復権するだろうか? 

 現在、路面交通の見なおしが叫ばれているご時世です。が、都市交通機関として「復権」する可能性は小さいのではないかと思います。ただ、小樽・萩など規模は大きくないものの、観光地であるため、市内循環バスが走っているような都市ではEcoプロジェクトの一環として導入を検討する余地はあるのではないでしょうか?あるいは現在のバス車両を低公害車ではなく完全な電気駆動車に置き換える方が有用かもしれませんが。

3)「トロリーバスのLRT化」とも言えるゴムタイヤ・トラム、日本では有望か?

 LRTの国内導入後、その結論が出た時点からでなければ、話題にならないと(厭世的な見解で申し訳ありませんが)感じます。軌道敷設をしなくて済むLRTということならば、ゴムタイヤ・トラムに熱い視線を送る自治体は少なくないと思います。

 あまり関係ないのですが…最近のLRT報道を見ていると、LRTを交通機関というよりも、福祉機器として取り上げる風潮が強い事に懸念が残りますが、それでも、良い風潮ではあると感じますね。

 雨続きだった札幌、寒くて上着が必携だったここ数日、明日はやっと晴れるらしいです。 
 So Long.

日本に適した交通機関では?
 投稿者--- とも
氏 投稿日時: 2001年6月14日 23時27分

 ともです。みなさんこんばんは。

 トロリーバス、旧ソ連や旧共産圏では案外と残っていますね。
 あと、北米も多いですね。バンクーバー、エドモントン、シアトル・・・・結構ありますね。
 僕の場合、当然??初乗車は関電バスですが、都市内ではバンクーバーでした。
 ふつうのバスとなにも変わらなかったですね。

1)何故、日本ではトロリーバスが生き残れなかったのか?

 離線対策は、トロリーバスの欠点としていまだ語り継がれて??いる点です。
 特に、日本場合には違法駐車などの問題もあって難しいようです。
 ただ、これも諸外国ではうまくいってますし(ポールに工夫がしてあって離線対策がとられている)、いまや問題とはならないでしょうね。ましてやタイヤトラムは架線が1本でマイナスを案内軌条でとりますから、通常のパンタグラフが使えます。

 都市のスプロール化に関しては、日本の場合、全国的かつ一般論としてバスそのものの衰退が原因であったと思います。 高需要区間には鉄道が配され、世界でも有数の軌道系依存国でありますから(これはいまでもそうですね。いくらモータリゼーションが進んだと言っても世界的に見れば軌道系依存率は高いです )。

2)今後、我が国でトロリーバスは復権するだろうか? 

 僕はあえて批判をおそれずに言えば、LRT以上に可能性はあると思います。
 福岡や横浜、幕張などではできそうです。特に、ディーゼルや蓄電池との併用によりバイモーダルとなる可能性がある点などから、ガイドウェイバスとの組み合わせやAGTの発展的改良の案としてもありえそうです。

3)「トロリーバスのLRT化」とも言えるゴムタイヤ・トラム、日本では有望か?
日本でLRTが評判になるのは、既存路面電車の改良という道筋が有望だからでしょう。

 それはいえますね。ただ、タイヤトラム自体がマイナーですし、交通計画の分野でもほとんど知られていません。
 とはいえ、LRTに比べてもさらに安価な点や輸送力に差がないことなど有利な点も多いので都市によっては飛びつくのかもしれません。

 個人的には幕張の連節バスの置き換えにどうかと思っています(イベント時や野球開催時の突発的なルート変更にも対応可能であるなど、幕張の地域特性に向いていると思うのですが・・・)。
 あとは、軽井沢や志賀高原ですね。特に軽井沢なんかはいいかなと思いますね。

 相も変わらずの雑文で失礼しました。ではでは。

Re: 日本に適した交通機関では?
 投稿者--- エル・アルコン
(ホームページ) 投稿日時: 2001年6月16日 01時29分

 海外の現役トロリーバスの写真を見て思うのは、架空線が結構密に張ってあるということです。逆にそれくらいしないと離線対策と行動の自由を両立できないのかも知れません。
 トロリーバスの普及でネックになるであろう部分はまさにここで、架空線の存在が、道路上空(及び架空線を吊架・支持するポイント)の利用を制限するということと、現在電線の地中化促進に代表される都市景観の問題が挙げられます。

 路面電車の場合は、いちばんすっきりした形だとセンターポールで直線的に引くだけですから、都市景観上の問題もかなり少なく、センターポールの形状次第では、景観のアクセントにもなります。

資料を入手致しました
 投稿者--- 打越健太郎
氏 投稿日時: 2001年6月16日 17時17分

 先日、ゴムタイヤ・トラムについて投稿した直後、東京に出張して資料を発見・入手致しました。

「トロリーバスが街を変える 都市交通システム革命」
  (森五宏氏著、株式会社リック発行・定価1600円(税別))

です。以前に紹介した内容もありますが、勉強のため、少々の重複を恐れず、少し紹介致しましょう。

 最近のLRTの世界的成功に影響を受けたのか、トロリーバスもチンチン電車同様、今日の都市交通として改良が加えられています。LRTを「チンチン電車の息子」といえば、ゴムタイヤ・トラムは「トロリーバスの息子」と言えるでしょう。
で、その仕組については、いまだ統一は為されておらず、色々なものが提唱されています。

1)ストリーム
 イタリアのゴムタイヤ・トラムです。これの特徴は架線の無いこと。道路にガイドレールを兼ねた架線が敷かれています。無論、これでは危険なので、このガイドレールは電車(トラム)が来た時だけ通電します。蓄電池を積み、短距離ならば自力でも走れます。イタリア・トリエステで2002年に実用化される予定です。現時点では、車両は通常のバスと同じです(定員170人とありますが、そんなに乗れるのかな?)。建設費は残念ながら不明です。

2)TVR
 既にフランス・ナンシーで実用化されているシステムです。これも地上にガイドレールを敷き、ここから電気を逃がせるので、通常のパンタグラフが使えます(但し、ナンシーでは2本のトロリーポールを使用)。パリで実験を行った際には(註:バス専用道路と思しき道に架線を張って走っている写真が出ています。朝晩に少し走っただけのようですが、実際にお客さんを乗せたらしい。多分、ラッシュの激しい時に使ったのでしょう。熊本市電の連接車のように)、3連接で全長24.5m、幅2.5m、高さ3.38m、重量は25トン、定員200名の車両が用いられました。最高速度は80km/h。これの特徴として、ディーゼルエンジンも積んでいるので郊外直通も出来るという点が挙げられています。設備投資が1キロ当たり9500万フラン(1フランは約18円)と、LRTの7割程度で良いそうです。

3)トランスロール
 これもパリで実験中。こちらは地上に1本だけ通常の鉄レールを敷き、これがガイドレールとしての役割を果たします。やはりレールがあるので、通常のパンタグラフが使えます。パリで実験に使われている車両は3連接で全長25m、幅2.2m、高さ2.95m、定員は204人です。占有幅は5.4m(複線)、回転半径は10.5m、連節バスよりも小回りが利きます。こちらの建設費は1キロ当たり7000万フラン。但し、まだ実用化はされておりません。また、面白いことにゴムタイヤ・トラムのうちで唯一、前後両方に運転台がついています。

4)CIVIS
 これにはガイドレールはありません。代わりに地面に2本の白線を引き、これを光学的に読みとって進みます。集電はトロリーポールを使います。車両は2連接。全長は19.2m、幅2.55m、高さは3.4m、定員は140人。

 さて、この「ゴムタイヤ・トラム」の特徴を考えてみましょう。直ぐにLRTと比較したがるのは僕の悪癖ですが、このようなまったく新規のシステム、しかもLRTと似たシステムですから、ここでは比較検討も無意味ではありますまい。

 まず、ゴムタイヤ・トラムは建設費が安そうですね。レールを敷くTVR・トランスロールですらLRTよりも安いし、ましてCIVISなど、架線さえ張れば白線を引くだけ、これは安いでしょう。但し、後で「直通」というテーマでもう1度考えますが、既存鉄道のある場合には、そちらを生かしたほうがお得です。既存鉄道のある場合にはLRTでしょうか。

 次に、輸送力です。参考までにストラスブールのLRTを考えてみると、全長は34.75m(5連接)・43.05m(9連接)、幅2.65m、高さは3.1m、定員は調べがつきませんでした。ゴムタイヤ・トラムはこれよりも1回り小さいですね。まあ、LRTよりも建設費が安いところに目をつけた小都市が採用するという点では、この「小ささ」も適度なリーズナブルさになり得ます。では、ゴムタイヤ・トラムの定員を大きくすることは出来るのか? これが技術的に出来ない、またはコスト的に得策でないというのならば、LRTとゴムタイヤ・トラムとは適切に使い分けが可能になりますね。逆に「幾らでも定員を増やせるし、コスト的な問題も無い」というのであれば、これはLRTの基盤を揺るがす大問題です。

 勾配にはゴムタイヤ・トラムは強そうです。登坂力に関して、13パーセント(13パーミルじゃありませんよ。つまり130パーミル)でも上れる、と資料にありますから、これは凄い武器ですね。但し、ゴムタイヤの登坂力は滑りの悪さによるものですから、通常の軌道では、エネルギー効率が悪いかも知れません。通常の鉄道でアプト式ラックレールを使っているようなものですからね。

 最後に、既存鉄軌道との関係です。LRTが元来「チンチン電車近代化」という視点から作り出されてきたことからも明らかですが、LRTは既存軌道や鉄道とは非常に親和性があります。既存鉄軌道など、投資ゼロでLRTに出来る場合もあるでしょう。ゴムタイヤ・トラムはというと、これは出来ません。代わりにTVRなどのようにディーゼルエンジンを積んでいれば、架線の無い郊外にも直通できますね。因みにTVRの場合、ガイドレール無しでも走れます。これは都市の特性に応じて使い分けが可能ですね。例えば日本に導入する際、既存路面電車のある広島・岡山などは絶対にLRTですね。また、新規導入であっても金沢市(北陸鉄道石川線と直通を予定)、前橋市(上毛電鉄・上信電鉄・JR信越本線と直通を検討)、新潟市(JRと連携を検討)などはLRTでなければ話になりません。これに対して、既存鉄道など有り得ない沖縄ならば、ゴムタイヤ・トラムも賢い選択肢の1つですね。また、僕としてはガイドウェイバスにもゴムタイヤ・トラムは向いているように思います。AGTのコスト削減ゃね郊外との直通にも使えるでしょうか。CIVISなら、軌道に白線を引くだけで良いのですから…

 皆様、是非ご意見をお聴かせ願います。  

拝読しました…立ち読みですが。
 投稿者--- 551planning 投稿日時: 2001年6月17日 02時14分

 打越様が当初お書きになられたとき、既にこの本を見ていたので、連動したのかな、と思っておりました。そんなタイミングで出された本です。
 表紙がかっちりした綺麗な本でして、買う気が起きませんでした…このテの中身の本は当方もよく買いますが、個人的な意見としては、新書版とか、何となく情報主体かな?と思わせてくれる、そういうスタイルのほうが読みたい気が起こります。
 中身はさらっと読みましたが、昨今のトロリーバス…おっと「ゴムタイヤ・トラム」ですか、その諸事情が丁寧に纏められていました。しかしながら、打越様が親記事で当初御質問になられた、日本でも各地であったのに何故無くなったのかが全くといって良いほど書かれていません(その意味でも打越様がまず読まれて書かれたんだと思っちゃってました)。

1)ストリーム

 免許持って無い当方でも、衝動買い?たくなったクルマですよね…というボケは置いておいて、一番興味を持ちました。なんといっても架線が無いですから。軌条方式が辛いですが、蓄電式電気バスだと思えば無い話ではないです(横浜市が試験的に走らせるやつはどうしたのかな?)。

2)TVR
3)トランスロール

 おフランスは中量交通システムの実験場化してますね。

4)CIVIS

 詳細まで読みませんでした…また立ち読みしよ。


 トロリーバスというと、当方の棲む東京都江戸川区にかつて走っておりまして(上野公園―今井(一之江付近)間)、当方が生まれる前に無くなっていたので現物は残念ながら知らないのですが、小学校の社会科で習ったこともあってなんとなく親近感があります(余談ながら、江戸川区は長野県穂高町に「穂高荘」なる区民宿泊施設を持っていて、適宜バスツアーが組まれており、行程の中で黒四ダム観光があるのでトロリーバスに乗るんですねぃ…当方もそれで乗りました)。
 習った際に写真があって、当時の流行りとはいえずんぐりとしたバスがポールを立てておりまして、架線が縦横無尽に張り巡らされている(今井車庫で折り返す施設のためらしい)といったものだったかと記憶しています。都市景観で電柱もだいぶ見かけないところも増えて来ましたが、そういう理由もあったのかもしれません。あるいは運行初期には随分ポールの離線があったようですし、改善された現在とは違うんでしょうが、すぐに技術導入してやってみよう!というのもどうなのかなとは思います。

 上手く纏まりませんが…とりあえず雑感で。もう一度読んで見ることとします。

論点を整理致しましょう
 投稿者--- 打越健太郎
氏  投稿日時: 2001年6月19日 20時23分

 打越健太郎です。ゴムタイヤ・トラムですが、トロリーバスの殆ど生き残れなかった日本においていかなる意義を持つのか、今1つ分かりませんね。因みに、例の資料によると、ドイツでもトロリーバスはほぼ全滅だとか。日独では路面電車がしぶとく生き長らえる一方、トロリーバスは駄目だったわけですね。フランスではその逆、というのも、何か面白い話ではあります。

 さて、何かといえばLRTと比較したがるのは僕の悪い癖ですが、この「ゴムタイヤ・トラム」とLRTは、ともに都市交通の一員として、安価なバリアフリーの交通機関という共通点を持っています。この両者は果たして適切に使い分けることが可能なのか、それとも両者は殆ど同じような特性を持っているのか、興味のあるところです。ちょっと論点のみを書き出してみます。皆様のご意見を伺いたい所です。

  • 輸送力(LRVのほうが一回り大きいようだが、ゴムタイヤ・トラムは技術的に、またコスト的にLRV同様の大きさに出来るのか。また詰込が利くのはどちらか)
  • 燃費(鉄レールのLRVのほうがエネルギー効率は良さそうだが、全体的に見てはどちらが無駄無くエネルギーを活かしているか。または両者を比較して、もっとも効率の良い輸送密度は同じか、違うか)
  • 既存交通手段との互換性(LRTは既存鉄軌道との互換性に長じている。ゴムタイヤ・トラムの場合はバスとの互換性に優れているようだが、日本の道路事情から見てどうか。日本に数多いAGTとゴムタイヤ・トラムは直通できるか)

 他の論点も含め、是非御意見を…

Re: 論点を整理致しましょう
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年6月21日 01時34分

 とも@会社です。こんばんは。

 ゴムタイヤ・トラムですが、トロリーバスの殆ど生き残れなかった日本においていかなる意義を持つのか、今1つ分かりませんね。

 あまり深く考えない方がいいと思います。たしかにゴムタイヤトラムはトロリーバスの発展形ともとれますが、LRTの派生形ともとれるわけです。
そこを無理に結びつけて考えるよりは、別物だと割り切った方がよいでしょう。

 因みに、例の資料によると、ドイツでもトロリーバスはほぼ全滅だとか。日独では路面電車がしぶとく生き長らえる一方、トロリーバスは駄目だったわけですね。フランスではその逆、というのも、何か面白い話ではあります。

 これは国情があるんでしょうね。
 ドイツと日本に共通するのは都市圏鉄道の充実です。
 フランスの場合、パリ以外ではほとんど都市圏鉄道は廃れていて、鉄道はTGVやICに代表される都市間交通機関となっているのでは?
 都市圏輸送をバスに頼っているのでのこっているのではないでしょうか。

 対してドイツや日本は地方であってもそれなりの都市圏鉄道が形成されていますよね。
 ですから、バスが廃れてしまっているんでしょうね。ドイツもバスは貧弱ですね。
 軸足をバスにおくか、鉄道におくかの違いと考えれば良いのかもしれません。

 輸送力(LRVのほうが一回り大きいようだが、ゴムタイヤ・トラムは技術的に、またコスト的にLRV同様の大きさに出来るのか。また詰込が利くのはどちらか)

 1編成あたりでみればLRTのほうが大きいでしょうね。
 ただ、ゴムタイヤトラムは軌道という制約がないので追い越しなどが簡単ですから、ダイヤ次第かもしれません。

 燃費(鉄レールのLRVのほうがエネルギー効率は良さそうだが、全体的に見てはどちらが無駄無くエネルギーを活かしているか。または両者を比較して、もっとも効率の良い輸送密度は同じか、違うか)

 んー。大して変わらないのでは?確かに摩擦係数の関係から鉄軌道のほうが良いはずですが、逆に急勾配などへの対応はゴムタイヤに軍配が上がりますから、どっちもどっちでしょう。

 既存交通手段との互換性(LRTは既存鉄軌道との互換性に長じている。ゴムタイヤ・トラムの場合はバスとの互換性に優れているようだが、日本の道路事情から見てどうか。日本に数多いAGTとゴムタイヤ・トラムは直通できるか)

 まず、AGTとの直通は、そうできるように設計すれば良い話であって、可能でしょう。
 たとえば、面的な広がりの強い都市にはバスとの互換性のあるゴムタイヤトラムが、線的な広がりの都市には鉄道との互換性のあるLRTがといった都市規模や形態によって優劣がつくんでしょうね。
 ですから、それぞれの特徴ということで考えれば良いのではないでしょうか。

まずはこんなんで。ではでは。

岡山電軌探訪記  投稿者--- エル・アルコン氏 (ホームページ)
 投稿日時: 2001年7月4日 09時20分

 6月24日、明石大橋・大鳴門橋経由で高松入りした帰路、岡山に立ち寄りました。神戸三宮への神姫バスまでの待ち合い時間ですが、岡山電軌を見る目的もあります。
 とりあえず地下の商店街で土産(家で自分が食う^^;;)の吉備団子を買いましたが、駅売店と違い、普段使いのサイズや、塩味、桃味と多彩でした。

 それはさて置き電車のりばへ。毎度ながら地下中央改札から商店街を抜け、地下通路を少し行って階段を上がるという構造は、気軽に乗るという範疇を大きく逸脱しています。しかもバリアフリー対応もないのが気になります。
 ホームに出ると、東山行きが5分ヘッド、清輝橋行きが9分ヘッド(なぜ…)で発着。期待していた1日券はないですが、この規模では当然か...
 東山行きに乗車。東山線県庁通、清輝橋線郵便局前まで100円、以遠および乗り換え乗車140円と均一ではありません。100円区間は流行のワンコイン制でしょうか。運賃が2種類になったため、後払いの運賃収受の際、駅行きは100円区間から乗車の際に整理券を取るルールです。

 桃太郎大通りとR53(R30)が交差する要衝の柳川で清輝橋線が右折します。ここから城下にかけて、地下駐車場があります。西大寺町まで電停は島式で、軌道敷の幅員を最小限にする工夫が見られますが、運転台が真ん中で、ドアが最前部両側にあるので、ホームの位置を左右状況に応じて柔軟に出来るのが特徴です(他の都市では進行左側だけというケースも多い) 。

 城下で右折、そして西大寺町を出て左折すると片側1車線の道路。旭川の2つの中州を京橋、中橋、小橋で越えた小橋と、次の中納言の2つの電停はなんと安全地帯の無い路上に緑のペイントだけ。余りの落差にびっくりです。
 中納言から右左折を繰り返してR2、西大寺への通りに入ると再び4車線です。すぐ門田屋敷、そして東山終点です。ここは道路の左右に車両基地と整備場があり、軌道はそれぞれへ引き込まれていきます。

 とりあえず小橋まで歩いて戻ることにしました。30年くらい前、この東山に祖父が住んでおり、電車で訪れた記憶がありますが、10年位前に再訪した時、かすかな記憶を頼りに露地に入ったら、当時の家に出たのを思い出しました。
 門田屋敷の十字路は、東山を経て西大寺に向かう県道(ここまでR2)と、右に進めば児島湖大橋経由で玉野、左はR2姫路という要衝で、すぐ岡山寄りで脇道から電車が合流という構造もあって滞りがちです。電車は中納言で曲がって小橋に向かいますが、小橋方からくると中納言で曲がらず直進すればR2に抜けられる(門田屋敷の1つ東の交差点)ため、抜け道利用のクルマが並びます。電車も5分ヘッドですからかなり錯綜しており、中納言と小橋の電停が路上ということもあり、乗降にはちょっとした技術が要ります。ちなみに岡山−東山経由西大寺のバスは10分ヘッドです。

 京橋から中納言までクルマを締め出せば良いと思うところですが、旭川沿いの道から来ると、並行するR2の橋と立体交差で入れないため、この道を使わざるを得ないのが難点です。中納言には吉備団子で有名な廣栄堂本店と廣栄堂武田の2つの古めかしく風格ある店が並び、小橋のたもとには石造りの中銀小橋支店と、小道具はあるのですが、もう少し街並みがしっかりしていればトランジットモール化の発想も出そうなだけに残念です。

 小橋から柳川へ戻ります。中橋−京橋と西大寺町から駅までがセンターポール化されていてすっきりしていて、ポール自体が都市景観なのですが、特にカーブする中納言付近が頭上を覆い尽くすように架線と吊架用の線が張り巡らされており、都市景観どころではありません。それどころか、特定の高度については全く自由にならない状況で、何か良い解決策が無いでしょうか。

 柳川で降りて周囲を観察しながら歩き、郵便局前から清輝橋へ。R53上を淡々と進み、1線しかない棒線の清輝橋に到着し、すぐ折り返しました。センターポールは大雲寺までです。清輝橋電停は歩道へは歩道橋経由と、これもちょっと不便です。
 100円区間の郵便局前からまとまった乗車。小橋から乗った便も、シンフォニーホールで何か催物があったようで、城下から30人以上が乗ってきており、100円制度のせいもあってか利用が多いです。そして高速バス乗り場に近い西川で締めました。

***
 見ていて思ったのは、中納言付近はともかく、道路事情が恵まれていることです。桃太郎大通りは片側3車線、R53(R30)も田町以北片側3車線(これは1車線が右折車線兼用)で、柳川と大雲寺(門田屋敷に至るR2との十字路)は、全方向に常時左折可の専用車線があり、軌道が道路交通を支障することがまずない恵まれたインフラです。
 ただ、右折車両が軌道敷に入り込むケースが多く(広島ではほとんど見られないケース)、しばしば立ち往生したのが目立ちました。あと、岡山の特徴か特例か、城下や西大寺町で、黄色い矢印の電車信号ではなく、自動車信号で右左折しており、対向車や後続車との調整が気になりました。

 NHKが柳川で取材中(軌道敷にカメラを置くのは危ないよ!)でしたが、岡山電軌の電車への取り組みは積極的で、電停や車内で目立ったのは、平成14年3月導入予定の2両連接超低床車(水戸岡氏デザイン。氏が岡山出身という縁)のネーミング大募集のお知らせ(詳細後述) 。何とそこには「LRT路面電車整備計画(提言)」と題して、岡山駅−市役所−大学病院と、大元駅ー市役所−西大寺町の計画図が入っており、岡軌自身かなりやる気のようです。

 ただ、路線が短いだけに、徒歩がライバルというケースも多そうです。そしてバスで充分賄えそうでもあるのですが、バスが東山、清輝橋方面とも岡山駅に至る前に、天満屋バスセンターに立ち寄るため、時間的優位性が直通する電車にあるのも、電車が流行る一因でしょう(西大寺町までの「ビジネスシャトル便」もある) 。

 さて、岡軌のネックはやはり岡山駅です。岡山駅をキーにした場合、バスに対してあまりにも不便で、例えば地下化して、地下中央改札前に乗り入れるといったバリアフリーも考慮した対策が考えられます。もしくは、岡山駅は二の次にして市内移動の平面エレベーター機能を重視すると、城下駐車場とのアクセスを容易にするといった手段など、既存区間の改善点もまだまだあります。
#城下から地下化して、駐車場と平面連絡、そのまま地下の岡山駅前電停に入る。
 危険な小橋、中納言は、現在電停を軌道敷の左(外)に置いていますが、これを対向列車の軌道敷にするという改善も考えられます。こうして、軌道敷兼電停にはクルマを入れなければ、降車時の決死の左右確認も不要でしょう。(対向車が客扱い中は、止まって待つ)

 意外と粗が目立ったきらいもありますが、総じて頑張っている印象を受けました。

***
「岡山路面電車ネーミング大募集」応募要領

●参加資格は岡山にゆかりがある人に限ります
#電車に乗ったことがある。旅行したことがある程度で可。
●住所、氏名、年齢、電話、性別、LRVの名、ゆかりを記載の上、
●葉書・封書は、
703-8291
岡山市徳吉町2-8-22 岡山電気軌道株式会社 LRVネーミング係
●Eメールでの応募は、
tram@okayama-kido.co.jp
まで、1件1点(1人何件でも可)で願います。
●締切は9月15日(当日消印有効)。
●賞は、最優秀賞を1人に10万円、優秀賞を3人に2万円の旅行クーポンです。
●問い合わせは、086-272-2101まで。

岡山電気軌道 http://www.okayama-kido.co.jp/

〔LRT国内第1号〕大穴、登場か?京阪奈LRT。
 投稿者---  投稿日時: 2001年7月10日 22時35分
〔LRT国内第1号〕大穴、登場か?京阪奈LRT。
└Re: 大穴、登場か?京阪奈LRT。
└Re: 大穴、登場か?京阪奈LRT。
 └Re: 大穴、登場か?京阪奈LRT。

 お元気ですか?Pでございます。先日発刊されました「新線鉄道計画徹底ガイド 西日本編」。ご存知、川島令三氏の著になる書でございます。こちらをご覧の皆様の中にも、すでにお目通しなされた方も多かろうと推察致しますが…。前刊の東日本編の時にも、首都圏近郊を中心に、多くのLRT導入計画が紹介されており、西日本では如何にや?と期待いたしておりましたところ…。やはり、既存路線延伸を中心に、多くの都市での計画が紹介されておりました。目を引いたものは幾つもあるのですが、その中で、P的に「これは!?」と感じたものが、京阪奈新線支線部のLRT改定案です。
 まず、京阪奈新線についてですが、かいつまんで言うと、首都機能移転地に名乗りを挙げる京阪奈学研都市と大阪方面とのアクセスを目的にし、現・近鉄東大阪線_大阪市交中央線の延伸的路線としてとりおこなわれるもので、建設は第1期として生駒−登美ヶ丘間が、標準軌第3軌条規格、上下分離方式ですでに決定いたしております。この路線、第2期では登美ヶ丘より近鉄京都線高の原まで、情勢を見てその先、木津方面へ…という計画です。
 そして、かねてより、登美ヶ丘から分岐線として、同近鉄京都線新祝園(しんほうその)間での支線がセットになっておりましたが、この支線、分岐駅を手前の北大和(仮称)に改め、新祝園まで、中規模のLRTとして整備する案が紹介されておりました。京阪奈新都市の中心部ではセンターリザベーションとし、専用軌道も多用するとか…さにあらず、新祝園では地下線走行もするという案。つまり、完全なシュタットバーン・スタイルのEU型LRTとなる事が暗に示唆されております。既存の町でしたらコンセンサスを得る必要があり、この点の手続きで、足踏み期間が長くなるのですが、新規に造られる都市ですから、その必要も薄く、以外とここが「日本型LRT」第1号となる可能性も濃いのではとPは感じた次第です。
 ただし、京阪奈学研都市自体が公共事業抑制論の強いこの昨今、どう帰趨するか…?という点が、この計画の最大の壁かもしれません。

 また、奈良市内におけるLRTの計画も取り上げられておりました。架線を使わないイタリアで開発された方式(LRTストリーム)による整備の研究が進んでいるとか。HNどおりに、奈良環状LRT様のご意見を伺いたいですね。

 皆様は如何にお考えでしょうか?So Long.

Re:大穴、登場か?京阪奈LRT。
 投稿者--- ゲバラ焼き肉のタレ氏 投稿日時: 2001年7月24日 22時10分

 皆様、はじめまして。京都市左京区に在住の、一中量輸送オタクのものです。宜しくお願いします。
 先日のPさんが書き込まれた、京阪奈LRTのお話しですが、私も「新線ガイド西日本編」を"立ち読み"して知りました(川島さん、ごめんなさい)。Pさんもおっしゃられた通り、新規の都市が故に、トランジットモールやセンターリザベーションが容易に出来ますので、日本初の「理想的なLRT」の可能性は極めて濃厚やと私も思います。もし、この案に付け加えるとしたら、新祝園から近鉄京都線、新しくできる「東大阪線登美が丘延伸」にそれぞれ乗り入れられたらエエなあと個人的には思います。但し、その場合は東大阪線の一部(生駒まで?)に架線が要りますけどね。

 奈良市内LRTですが、電源を地下に埋め込む所謂「ストリーム形式」を採用するのでは、という話しが出てますが、これは、私の知る限りでは、ゴムタイヤ方式のものと聞いていますが、鉄道形式では使われないんでしょうか?
 川島さんの本では他に、滋賀県大津市・草津市南部の丘陵地帯のLRT計画の事も触れられていました。京阪石山坂本線との直通を念頭に入れているとの事ですが、もしそうなら,その「南大津LRT」は京阪線に合わせて高床式になるのでしょうか?あ、その事を考えると、「京阪奈LRT」もそうなるかも?

Re: 大穴、登場か?京阪奈LRT。
 投稿者--- (仮)奈良環状LRT
氏 投稿日時: 2001年7月26日 00時44分

 (仮)奈良環状LRTです
 ストリーム方式は、極めて魅力的ですが、奈良での採用には不適切では無いでしょうか?

理由1)
 システムが新式ですので、工期や工費さらには車両費やメンテナンス費用の計算が困難です、路面交通に未経験の奈良の手に負えるか否か不安です。

理由2)
 車両の中古入手が不可能。
 低床車等が、各地で導入されれば、中古車が余ります。
 この中古車を購入する事により、比較的安価に車両を入手可能であり、メンテナンス等の指導を受ける事が出来ます。

 以上の点により、在来型の軌道で、右回り単線ループでの建設が適切と考えます。

Re:大穴、登場か?京阪奈LRT。
 投稿者--- とも
氏 投稿日時: 2001年7月26日 01時16分

 こんばんはともです。

○京阪奈
 うーん必要性が理解できません。バスで十分では無いかと思います。
 もし既存鉄道(近鉄)との直通を考えるのならば、近鉄の規格(=1435mm第三軌条)で素直に建設すべきと考えます。
 地上式で道路中央帯に建設すればさほど建設費に差はないはずです。

○奈良
 奈良市への導入については個人的には面白いなと思いますが、奈良市内の狭い道路事情を勘案すると奈良環状さんの提案される単線ループが良いかなという気がします。
 で、ストリーム方式ですが、奈良は景観に配慮すべき都市であり、できるだけ電線類の地中化を図るべきという観点からして採用しても良いと思いますね。
 メンテナンスについてもすでに海外での実績もあり、さほど問題とは思えません。
 あと、新設軌道での中古車両導入はちょっと...
 奈良環状さんはもしかして鉄道ファンの方ですか?であれば気持ちは理解できますが、やはり低床式車両にすべきで、旧型車などはもっと観光に特化した都市(軽井沢なんかいいんでしょうね)で導入するのが適切ではないでしょうか。

 まずはこんなんで。
 ではでは。

台東区循環バス「めぐりん」
 投稿者--- 矢切氏 (ホームページ)
 投稿日時: 2001年7月15日 12時33分
台東区循環バス「めぐりん」
└Re: 台東区循環バス「めぐりん」

 吉原・三ノ輪・千束といった地域を巡る100円バスが6月に誕生していました。詳細は都のページを参照ください。

http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/topics/h13/003.htm

 この路線、約15分に1本という本数では 健闘しているものの、2点気になります。
   (1) 1周45分もかかる路線なのに、「内回り」はあって「外回り」がない。
   (2) 鶯谷駅のそばまで言っておきながら、鶯谷駅バス停がない。

 一周30分以上もする路線で片周りしかない路線って他にあるのでしょうか。
 両回りあっても30分に1本しかないよりは、この方が良いのではありましょうが、福祉センターへ行く高齢者が主な利用者なんでしょうか?

Re: 台東区循環バス「めぐりん」
 投稿者--- 551planning 投稿日時: 2001年7月15日 23時27分

 実は乗ってました。6/29に開業、当方は翌日朝に試乗しました。

***
 銀座線で降りた浅草駅。構内のバス案内表示に「めぐりん」はなく、3/31限りで消えた「二階バス」はしっかりと書かれており…。
 鉄道各線が周囲を取り囲み、都バス路線がそれなりに通っている浅草北部地域。しかしながら住民の多くが高齢者であり、気軽に街を巡るには少々不便だったこの地域の活性化を目的として台東区が企画したのがこの循環バス「めぐりん」。浅草寺ニ天門を(形式上の)起終点とし、隅田公園・今戸・吉原大門・三ノ輪・下谷・根岸・千束といった地域を反時計回りに、7.4km全29停留所を45分間で一方向循環するというもの。

 浅草松屋東停留所には台東区役所職員も出て、真新しいバス停に興味津々の御老人方の質問に応えていた。「ええ、昨日からなんですよ…一方通行でね…シルバーパスは使えないんです、けど今日はね、特別タダなんですよ」運行開始当日の6/29と6/30は無料でどんなバスなのかを気軽に試してもらおうという試みだそうで、やってきたバスには地元の方が多く乗り合わせていた。

 バスは小型のノンステップバス。区作成のパンフには16席、立席17の33人定員とされているものの、正直狭い…。小型ながらもさすがにタイヤハウスが出っ張っており、中扉から後ろは段差がつけられていて、最後部座席に座るも(当方が大柄とはいえ)ちょっと窮屈さを感じた。
 運転手に加えサポート役の添乗員もおり、「時刻表です」とこちらは運行受託の都交通局作成のパンフを気軽に配布。乗車の地元の方々からの質問にも気軽に接していたのは当然とは云えさすが。
 吉原大門で一端下車、付近の商店街も[祝循環バス開通]ののぼりを立てて祝賀ムード。数停留所分を歩いたが、多くの停留所で区職員が出て、中にはトランシーバーを持って乗車動向を調査中。区の意気込みを知らされる…お疲れ様です。

 次のバスは若干の遅れをもってやってきた。こちらも御老人を中心に地元の方でさらっと席が埋まる込みよう。三ノ輪で昭和通りを横切って金杉通りに入る際、添乗員が「昔都電が走ってたとこですよ」。御老人方も想い出話に盛り上がる…。入谷駅で乗客が入れ替わり、千束方面へ。浅間神社周辺では昼から「お富士さんの植木市」が開催されるとあって道の両側に出店の準備中。循環バスもこのあとからは早速迂回ルートをとるという。道に掛けられた提灯にも「循環バス開業記念」の文字が。
 平日は15分間隔、日祝日が20分間隔と、地元志向のダイヤ。一方通行の面は利用者から質問が出ていたが、「クルマを買えればねぇ」とは乗務員の返答。もっとも実乗したところでは井戸端会議場と化していたので、御老人方には丁度良い時間と価格と云えるのかもしれない…?

詳細は台東区HPもどうぞ

http://www.city.taito.tokyo.jp/taito-co/kouho/bus/bus.htm

この路線、約15分に1本という本数では健闘しているものの、2点気になります。
  (1) 1周45分もかかる路線なのに、「内回り」はあって「外回り」がない。
  (2) 鶯谷駅のそばまで行っておきながら、鶯谷駅バス停がない。

 外回り路線に関しては、松屋浅草(東武浅草駅)のV字ターンが事実上できないことや清川出張所付近の道路の狭さなどから、同ルートでの運行が事実上不可能という点も理由として挙げられます。わかりやすさで訴えるコミュニティバスとしては15分程度のフリークェンシーが確保され得るのならば一方ルートにしたほうが無難でしょう。もっともムーバスがコミュニティバスというシステムを作り上げてしまった(というかそれに乗っかった運営体があまりに多い )ためで、ということもあるでしょう。

 なお(2)は、鶯谷駅の場所が中途半端なので、バスを取り回さなかったというところでしょう。日比谷線下谷駅が代わりとされているようです。個人的にはむしろ雷門前を通してほしかったかなという気がします。せっかくレトロ調のバスを新調し、浅草北部の歴史ある潜在的観光スポットを気軽にめぐれる意図をも狙ったのであれば絶対に抑えておくべきポイントではないでしょうか。蛇足ながら、インパクトで云えば墨田区役所方面を経由し、(歩行者専用の)桜橋を渡るというのはどうかなと。

神戸市営海岸線レポート  投稿者--- エル・アルコン (ホームページ)
 投稿日時: 2001年7月16日 10時19分

 土曜日、7月7日に開業した神戸市営地下鉄海岸線「夢かもめ」に乗ってきました。地元ゆえ初日にでも乗りに行けるところ、なんとその週末は市川に帰宅していたという間の悪さで、延び延びになっての試乗です。
 なお、このレポートをどっちにポストすべきか悩んだのですが、都市内輸送がメインなので中量のほうにしました。

***
 所用で湊川の北のほうに行った帰りの試乗ですが、そこから新開地までバスに乗った際に見た掲示では、神戸駅に出てから三宮に向かうバス路線が開業と引き換えに路線短縮になるなど、今回の開業を機に市バスは大胆な路線再編をしています。
 もちろん救済措置もありますし、同時に降車から次の降車まで90分以内という条件ですが、専用カードによる乗継割引(2回目の乗車が半額の100円)が出来ました。
※乗継といっても行程が連続する必要が無い。割引対象外の山間区系統に乗り継ぎ、次に対象の均一区や近郊区に乗った場合、最初の降車から90分以内の降車なら割引になるとパンフでも例示。

 湊川公園から地下鉄に乗るのが速いのですが、高速長田/長田の乗り換えを見たくて新開地から神戸高速に乗り長田で地下鉄西神・山手線に乗り換えました。海岸線に乗り換えの新長田では西神中央寄りにラチ内連絡通路がありますが、90分以内の乗り継ぎは通算なのでいったん出てみます。改札口では乗り換えを尋ねる乗客が何人かおり、そのまま出て、海岸線改札から入るように言っていました。そして案内表示に従って海岸線乗り場に向かうと、何のことはなくラチ内通路と同じ空間を柵で区切ってるだけでした。
 真新しい海岸線コンコースは、出口通路が連絡通路を橋のように跨ぐなど凝ったデザインの空間です。なお400円の1日乗車券は売り切れで、700円の西神・山手線共通の1日券だけは売店で売ってました。
 特に開業記念のカードはなく、券売機で売ってるカードも基本デザインで、以前スルKAN拡大記念の路線図バージョンが入っていたことを考えると、芸が無いですね。

 運賃表を見ていた2人連れが大声で「感心」していたのですが、新長田から西神・山手線経由三宮と海岸線経由三宮・花時計前までの運賃が違うのです。前者は6.3km230円、後者は7.9km260円で30円の違い。海岸線が和田岬を迂回して距離があるのと、7kmに境界があるせいですが、このほか三宮・花時計前と三宮で運賃が異なるのは、西神・山手線の名谷、学園都市、西神南の3駅です。さらに海岸線で1駅手前の旧居留地・大丸前も、三宮乗り換えのほうが安いのですからなんともはやで、対キロ区間制を杓子定規に運用するのも善し悪しです。(三宮−駒ヶ林間も新長田経由のほうが安い)
 このあたり、定期券が新長田−三宮間を経路に含めば、西神・山手線経由でも海岸線に、海岸線経由でも西神・山手線に乗車できる(但し券面表示の経路外となる途中駅での乗降は不可)という「2wayサービス」を導入しているのに、何故という感もします。

 コンコースからホームへは2階層あり、西神・山手線より深く、ホームは島式です。昼過ぎで10分間隔というのは並行路線と比較してもまずまずです。「鉄」系もちらほら見えますが、主力?は、話の種というか、取り敢えず利用してみたという感じの地元の客でした。小断面の  リニア地下鉄ですから、車両自体は大江戸線や長掘鶴見緑地線と同じ感じです。
 最初は年甲斐もなく先頭部にかぶりつこうとしていたんですが、運転手が遮光幕を下ろしてしまいました。運転の都合で閉めさせて頂きますというお断りが幕に書いてあり苦笑するしかなく、席につきましたが、意外と乗客が多く、立客を出して発車しました。

 この路線は三宮への速達というより、長田・兵庫両区の海岸部の足として、インターシティならぬインナーシティ輸送という位置づけです。今までは市バスのみで、和田岬にはJR和田岬線が朝夕のみ運転と、公共交通網からやや外れていたことは否めません。バスのほうが木目細かいのですが、定時性の問題と、地形的な制約から海岸線のルートと平行せざるを得ず、独自色が出しづらいこともあってか、あっさり廃止されています。そこでLRTといいたいところですが、W杯会場であり、ヴィッセル神戸のホームになる御崎公園の神戸ウィングスタジアム輸送や、和田岬の三菱重工神戸造船所の通勤輸送をターゲットにすると、LRTはやや力不足と言わざるを得ませんし、道路容量も、六甲山系が迫り東西に細長い市街地という神戸独特の地形を考えると、利用が見込める通りは交通量も多く、代替が利きづらいのです。

 ウィングスタジアム最寄りで、車庫があり2面4線の御崎公園では初乗りを試す家族連れの姿が多かったのですが、次の和田岬では、地元の日常利用といった人や、土曜出勤といった感じの通勤客が多く乗ってきました。ホームや電車内の表示に「和田岬線乗り換え」の文字は全くないのですが、ご存知の通り三菱重工の通勤輸送対応をメインとしてJR和田岬線が来ています。ただ、朝夕のみの運転で、休日は朝夕1往復ずつと最小限ですが、海岸線の様子や、工場の勤務体系や本社や他事業所との行き来を考えると、日中や休日の利用が無い訳ではなく、バスで間に合っていたといえばそれまでとは言え、JRは案外と需要を取りこぼしていた可能性があります。
 海岸線への対抗か、7月1日に電化が完成し、今までの気動車から冷房付きの103系6連にグレードアップ?したのですから、和田岬線ももう少し積極的になってもいいのではないでしょうか。

 人気スポットのハーバーランドではかなりの人が降りました。山側の神戸高速の高速神戸駅が「ハーバーランド前」と強引なサブタイトルを付けるくらいの集客力あるスポットだけに、最も近い海岸線にとって最大のポイントです。次のみなと元町、そして旧居留地・大丸前と乗降が錯綜し、海沿いのポイントを縫う海岸線がまあ予想通りの使われ方をしているといったところです。
 終点の三宮・花時計前ですが、文字どおり市役所北の花時計前下です。既存各社との乗り換えなどが心配されるところですが、花時計付近が三宮の周遊スポットの一つということで、却って目的地によっては紛れの無さがメリットになります。そして地下街さんちかに直結しており、道なりに進めば阪神駅に至りますが、感覚としては商店街の混雑から来る体感で遠く感じるものの、距離的には阪神からなら西神・山手線の三宮駅とほぼ同じです。JR、阪急からは明らかに遠いですが、西神・山手線のバイパス路線としての利用は所要時間、運賃の両面からも望めないですし、海岸線は海岸地区の市内利用が中心と考えれば、さんちか、花時計経由で海岸線、そしてハーバーランドという回遊の一角という位置づけになるため、三宮・花時計前駅の位置も悪くはないと考えます。(旧居留地まで歩いて海岸線というルートも取れる)

 今夏、復興事業の一環としてKOBE2001〜光のプログラム〜が開催されますが、メインとなるのは異人館、トアロード(北野から降りてくる筋)と、旧居留地とメリケンパークです。もちろん海岸線の開業とシンクロしているのですが、街めぐりの足として定着することを祈りたいです。欲を言えば、スルKANの神戸1dayチケットが7月18日から8月19日まで市内各社局乗り放題で発売され、海岸線記念の海岸線+各社というフリーきっぷも7月いっぱい(神鉄は8月も)発売されますが、こうしたきっぷを通年発売して観光利用をしやすくして欲しいものです。
※余談ですが、あの「ルミナリエ」もそうですが、今回の「光のプログラム」にしても、どちらも復興のイベントであり、なぜ「光」にこだわるかについては深くて重い意味があるのです。ルミナリエはその費用負担が重荷になって継続が危ぶまれていますが、だからといって観光色だけを移設したような「ミレナリオ」をその後継とするのには抵抗があります。集客や話題性を考えれば、後援や協賛したくなるのも分かりますが、魂を抜いた形だけの移設を後援・協賛することに対しては、その企業の矜持を問いたくなります。

***
 海岸線はここで終わりになってますが、もともとは生田川経由で新神戸まで延びる計画でした。ここで神戸市の海岸部の開発を踏まえ、延伸をとりあえず採算は抜きにして考えて見ると、やはり東の延長線上にある東部新都心(HAT神戸)の交通の軸として考えるのが一番自然です。
 R2、R43の南側を通り、HAT神戸内で灘の浜、脇の浜の住宅、オフィス地区を縦貫することで、現在阪神岩屋、JR灘駅まで徒歩か、三宮や灘経由六甲道へのコミュニティバスというアクセスを改善できます。(阪神バス国道線の枝線の形でバス路線が設定できれば利便性が飛躍的に向上する)

 HATどまりでも良いのですが、盲腸線というのも大阪方面への需要を考えると手戻りですから、灘の酒造地域を経て阪神新在家からJR六甲道、阪急六甲と結び、神戸大学を終点にするというのはどうでしょうか。勾配に強いリニア地下鉄を活かし、六甲山系に分け入り、鶴甲(つるかぶと)団地から六甲ケーブル下まで行くのも手です。現在並行する阪神御影−六甲道−六甲ケーブル下・鶴甲団地の市バスは本数が多いですし、六甲山観光をリンクさせられます。神大や松陰女子大の学生輸送、酒造メーカーや製鉄所・発電所の通勤・用務利用も見込めるルートです。
 もちろん、建設費がペイできるかというと、はなはだ心許ないですが...

2004.11.14 Update


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