【検証:】常設板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.067)
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「都市型第三セクター鉄道」の再建について
 投稿者---TAKA氏(2002/06/16 23:13:18)
「都市型第三セクター鉄道」の再建について
└補助ではなくインセンティブでは?
 └北神こそ受益者負担の限界事例では
  └少なくとも対等のバーターではない
   └北神救済スキームの核心にまつわる異聞
    └北神救済スキームと他の「都市型第三セクター鉄道」救済スキーム
     └他人の褌か、他人の尻拭いか
「都市型第三セクター鉄道」の再建(北総の再建案の提案)
 └無理筋が多い
  └北総救済スキームの核心
   └誰がための大仕掛けか?

(以下次ページ)
    横レス:私たちはこのような議論を経てきた
     └北総・東葉の再建に必要と思われる点
    
「三方一両損」を演出する為の「大仕掛け」
     └「三方一両損」は一時の話
      └増資案への私の意見
       └Re:増資案への私の意見
       └回答
        └先の書きこみ前提についてのお詫びと、「回答」へのレス
      └「三方一両損」が長期的には「三方一両得」になる
       └超部分レス(それ以外は後ほど)
       └Re:「三方一両損」が長期的には「三方一両得」になる
        └インセンティブの話
        └御提示内容への私なりの回答です・・
         └値下げされない件の限定レス
          └間違い書き込みへの謝罪&其処まで民間運営を
                    信用できないなら公営化しかないのでは?
 本筋に戻ってスキーム案の評価を(総評)
  └総括レス・そもそも国の関与から来た話と考えると

 お久しぶりでございます。TAKAです。又新しい書き込みをさせて頂きます。

 表題にありますが、今日偶々鉄道ジャーナルの5月号を読んでいたら、北神急行の経営再建について出ていました。
 前にも何処かのHPでも読んだ記憶がありましたが、内容は305億円の累積債務を抱える現状を解消する為に「4月から北神急行は第一種免許を廃止して神戸高速鉄道に鉄道施設を売却、北神急行を第二種事業者・神戸高速を第三種事業者にして運営する。神戸高速への売却益で北神急行は累損を解消し、神戸高速には親会社の阪急・国・兵庫県が融資する。利子負担は国がする。」というスキームが掲載されていました。

 今回は北神急行の経営再建策について出ていましたが、地方だけでなく「都市型第三セクター鉄道」にも経営上の問題が累積していると言えます。これをどの様にすべきかは重大な問題でないかと考えます。
 過去においては、千葉急行電鉄の解散と、京成への譲渡(京成千原線)の事例があり、今でも北総開発鉄道、東葉高速鉄道等まだ抜本的な経営再建策がでていない事例が有ります。

 では「都市型第三セクター鉄道」の何処に経営上の問題があるかと言えば、営業上は十分採算が取れている、只建設費がかかりすぎ、資本費負担が重くその金利負担も又重い、つまり鉄道事業その物は採算が取れているが、その利益では、資本費の償還と金利の償還が出来ないと言う点につきると思います。
 と言うことは、その再建策も見えてくるかと思います。つまり上下分離してインフラを切り離してあげれば、償還負担が無くなり必然的に鉄道事業その物で採算の取れているのですから、鉄道は生き残れると考えます。そうすると今回の北神急行の経営再建スキームは理にかなっていると言えるでしょう。

 しかし私個人では、問題の側面があると思います。それは国の負担の発生です。北神急行のスキームでも、千葉急行の解散スキームでも民間の実質的親会社である京成・阪急は有る意味で出資比率以上の負担をしていると言えます(これはこれで現在の時勢では民鉄会社の株主代表訴訟リスクを考えると好ましくありません)。
 しかし国が直接経営に噛んでいなく、経営責任の存在しない北神急行に対し国が再建スキームで補助・融資をすると言うことに対し問題がある、第三セクターで有れど、幾ら公共交通機関で有れど、国民の税金を投入して再建を補助すること自体に私は問題があると感じます。

 この事は非常に解決困難な問題です。私も「北神急行の場合では国が再建スキームから外れた場合50億の融資と利子補助を誰がするのか?」と疑問を提示された場合、対案が今提示できません。強いて言えば「神戸市の第三セクターである神戸高速鉄道が受け皿になると言えども神戸市は北神急行が神戸市営地下鉄の培養線になっていて、神戸市の六甲山をまたぐ南北交通の重要な動脈であるのだから、受益者負担として神戸市が国の分を肩代わりして負担すべきでは?」ぐらいしか言えません。

 只私自身は、「都市型第三セクター鉄道」の経営再建に関しては、

  1. 基本的には出資比率に応じた経営責任を果たすべき(経営責任の明確化)

  2. それ以上は基本的に受益者負担で負担を求めるべき

  3. 直接出資・受益の存在しない公共体が再建に補助を出さない。関係のある部分のみ責任を取るべき(安易な公的補助依存によるモラルハザードの防止)

等の原則を維持すべきと考えます。
 ただし、国の機関である「日本鉄道建設公団」が実際にそれらのインフラ建設に関わり、有る意味で言ったらインフラの資本費償還の金額増の原因の一部が「日本鉄道建設公団」に存在しているのも事実ですから、そこら辺も踏まえないといけないと思います(ちょっと古いですが会計検査院の「平成11年度決算検査報告」の中でも「都市型第三セクター鉄道」鉄建公団への債務償還について重大な懸念があると報告していますから、国に問題放置の責任も有るとも又言える様な気がしますし・・・)。

 以上長文になりましたが、宜しければ皆さんのご意見をお聞かせ願いたいと思います。

(PS:私も具体的事例を述べた意見を書かないと「具体的意見が無いと説得力がない」と言われかねないと思いますので2〜3日以内に北総開発鉄道を具体的事例にした具体的意見を書きたいと思います。ただすいません。基本的意見は既に出来ていているのですが、明日朝早くてもう寝ないと起きれそうにないので・・・(個人的理由ですいません)
 只基本的な私の北総問題への考えは過去に書き込みをしているので(今回はこのアレンジ版になります)もし議論に私の意見の具体例が必要でしたら、大変申し訳有りませんが下記アドレスのサイトをご参照下さい)

成田新高速鉄道事業と北総の救済策を一体化させれば? ../ctc/log157.html#3

補助ではなくインセンティブでは?
 投稿者---和寒氏(2002/06/17 14:50:16) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 只建設費がかかりすぎ、資本費負担が重くその金利負担も又重い、つまり鉄道事業その物は採算が取れているが、その利益では、資本費の償還と金利の償還が出来ないと言う点につきると思います。

→誰であれこのあたりの事実認定が食い違う、ということはまずないでしょう。
 この問題意識を共有しながら、ではその先はどうする、という議論なのだと思います。ここで、

 しかし国が直接経営に噛んでいなく、経営責任の存在しない北神急行に対し国が再建スキームで補助・融資をすると言うことに対し問題がある、第三セクターで有れど、幾ら公共交通機関で有れど、国民の税金を投入して再建を補助すること自体に私は問題があると感じます。

→このあたりの事実認定は、見る立場によってかなり違ってきそうです。

 北神のスキーム変更は、複雑な手続きを踏んでいますが、ウルトラ大雑把に要約すると、
   a)償還期間の事実上の延伸
   b)利子補給利率設定の変更
を行っただけなのです。
 つまり鉄建公団P線方式のマイナーチェンジに過ぎず、本質的には利子補給であるわけです。即ち、ここで行われているのは、資本費補助や運営費補助ではなく、大規模投資に対するインセンティブ、ということです。基本的に、P線方式は受益者負担にて成立していると、考えられます。ただ、財政上の問題から、後付けで条件を緩和した、というように理解するべきでしょう。

 さらにいえば、

 民間の実質的親会社である京成・阪急は有る意味で出資比率以上の負担をしていると言えます(これはこれで現在の時勢では民鉄会社の株主代表訴訟リスクを考えると好ましくありません) 。

→これとて「短期的な」問題といえるでしょう。
 北神は、ギリギリの線で粘れなかったものの、初期投資償還の大半には耐えていました。仮に初期投資を完全に償還した後は、運賃値下げを強要されない限り、北神は極めて優良な収益的な会社となるわけです。そこまで粘れれば、出資した各会社は「先見の明」を賞揚されることになるでしょう。

 北神は、「短期的な」償還負担に耐えきれなかったがために、スキーム変更を行う必要に迫られ、結果として「長期的な」収益源となるインフラを手放さざるをえなくなったと、解釈できます。
 国が拠出した資金が増えたことは事実ですが、北神が得をしたわけではないのです。北神の最大株主たる阪急グループも同然です。最も得をしたのは神戸高速の最大株主神戸市、という図式になるのでしょうか。これとて、国の出資増分をかわりに受益すると考えれば、多少筋が違うとはいえ同じセクターですから、あながち無理筋とも思えません。

北神こそ受益者負担の限界事例では
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/17 18:06:09) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 北神急行の処理(というのも辛いですが)スキームについては、過去ログ収録の拙レポートもご笑覧下さい。

北神急行、資産分離で再建へ log042.html#2

 このスキームについては、他の鉄道にはない北神特有の事情が深く絡んでおり、その評価については注意深くする必要があります。

●北神の特徴

 まず、北神急行の特徴については、おなじみの和寒さんのHPでの解説をご覧頂きたく存じます。

http://www.geocities.jp/history_of_rail/hoksin/00.html

 北神急行は公営交通である神戸市営地下鉄と直通していることから、第三セクターとして見られていますが、厳密には阪急グループが筆頭株主である「民間主導プロジェクト」です。
 つまり、市営地下鉄の延伸ではなく、湊川−鈴蘭台の急勾配(普通鉄道としては異例、通勤鉄道としては他に例を見ない50パーミル)を抱えてスピードアップや輸送力増強がままならぬ神戸電鉄のバイパスとして計画されたのです。

 実際には狭軌で老朽化した車両が多かった神鉄有馬線・三田線の直通を諦め、谷上乗り換えで市営地下鉄直通の標準機新線の道を選びましたが、この選択については間違っていないと思います。すなわち、もし神鉄からの直通に拘るのであれば、神鉄全線の改軌もしくは、谷上以東とそれ以外で2種類の軌間を併用するという大規模な投資と不合理を強いられるうえに、有馬・三田線車両の全交換に等しい車両新造が不可避でした。乗り換えにしても、新開地での神戸高速東西線との乗り換えと谷上(昨年6月のホームタッチ化前)を比較しても、谷上が劣ることはないばかりか、通路や階段が広い谷上に分がある状態でした。

●スキームの特徴1・自治体による救済スキーム
 では、このスキームに見る北神特有の事情とはなんでしょうか。

 他の三セク処理案においては、メジャーを握っている自治体が結局尻拭いをすることに他ならないのですが、民間主導の北神の場合、一義的には出資者として、利益の果実を享受出来る立場にある阪急グループが責任を負うべき話です。
しかし、それこそ峻険な六甲山によって分断されている神戸市の南北交通の要たる北神急行ゆえ、県や市がこれまでも支援をしてきた経緯があります(収入補填による80円値下げ)。
 今回も、これで北神を破綻させるわけにはいかないため、例外措置を駆使して公的セクターが乗り出して「民間の尻拭い」をしたのです。

 まず、北神急行への直接の支援は、自治体の出融資に対する規制があって出来ません。そのため白羽の矢が立ったのが「神戸高速鉄道」という第三セクターです。
 兵庫県や神戸市は、鉄道事業に対する公的資金の導入についてあるパターンを確立しています。それは、そもそも市内交通の直通化を図って設立された「トンネル会社」として有名な神戸高速を、それが第三セクターであり、自治体の出融資規制の対象外であることを利用して、資金投入の受け皿にしているのです。今回の北神救済の前にも、山陽舞子公園駅の改修、阪神岩屋、春日野道駅の改修などに際して、事業主体を各鉄道会社ではなく神戸高速にすることで、スムーズに公的資金を投入しています。

 つまり、鉄道公団への債務返済原資の305億円は、神戸高速という「トンネル会社」に投じた公的資金と阪急グループの資金で賄われています。逆に国が負担しているのは、期限前返済により鉄道公団が被る金利損失31億円にすぎず、北神急行やその出資者、自治体に投入されていないことに注意すべきです。

●スキームの特徴2・前向きな清算
 もう一つ、北神急行は払わなくてもいい負債を払うことに注意すべきです。
 これは、金利負担の軽減を、減免ではなく元本の一括繰り上げ返済という荒業で達成し、しかもその原資を融資ではなく資産売却という手法にしたことです。
 つまり、北神は、まだ期日が来ていない債務を繰り上げ返済するために下物を売却し、神戸高速が資産取得(一種の出資)をすることで、有利子負債のアリ地獄から解放したのです。

 ここに何故国が公団に補填したかという部分が隠されています。本来未払金の期日までの利息が公団にとって収益として認識されていたのが、期限前返済によりその部分の金利と、足下の金利の差額が損失となるのです。おまけに積極的な投資活動など出来ない公団にとってはその資金を逆鞘必至の再投資すら出来ないのです。国民の資金である財投資金の運用で損失を出すことは許されません。ですから期限前返済は禁止されるのが原則です。
 しかし、そうなると北神救済が達成できません。とはいえ国も公団経由が得る利息収入のために北神を「追い込む」訳には行きませんから、公団に利息収入を諦めさせるかわりに、補填するのです(これは結局資金運用部の利息収入とネットで考えれば、得べかりし利益の放棄に過ぎない)。

●実は受益者負担の貫徹でしょうが...
 このスキームをつぶさに考えると、北神急行の出資者が応分の負担を神戸高速に融資の形で実施していることに気がつくと思います。また、兵庫県及び神戸市は、公共交通維持のために応分以上の負担をしていると見ることすら出来ます。
 国の負担にしても、資金運用部の利息収入というセクターの受益者であり、そのために負担していると見るのが自然でしょう。

 なお兵庫県、とりわけ神戸市は、震災復興対策の影響で財政が極めて厳しい環境下にあります。そうした状況において公共交通の向上や維持のために「神戸高速スキーム」を確立していることは、公共交通への責任を十二分に果たしているということはあっても、さらに負担を求めることは失当でしょう。

※もちろん、財政が厳しい割りには支出が放漫気味であることは否めない。

 また神戸市の場合、先に述べたとおり六甲山系によって南北に分断されているという地理的要因があり、南北交通の確保に多大なコストがかかります。北神救済スキームでは阪急と並んで神戸市も応分の負担をすることで南北交通の維持を堅持しましたが、では神戸市の財政がにっちもさっちも行かなくなった場合、それでも神戸市の負担以外は認めないのでしょうか。
もし、それが正しいとなれば、インフラ整備に多大な負担がかかる地形的制約をはらむエリアを維持することは困難であり、合併どころか分離圧力すら出かねないと思うのですが。

***
 都市型三セクの問題を語る際に、事業体を事実上清算してまで鉄道を守った北神はあまりにも例外的です。しかも、実際には金利負担や償却費負担を除けば全国屈指の高収益であり(1区間しかないから非常に効率的)、だからわずか305億円の負担で期限前返済が出来たとも言えます。

 一方で他のケースはそれこそ身動きが取れないレベルの負債を抱えています。しかし、北神同様に、では「破綻」して運行を止めるわけにはいかないというジレンマがあります。必要だが金が回らないという存在に、鉄道を通常の企業経営と同一視していいのかという問題が見え隠れしていると感じるのは私だけでしょうか。諸賢の忌憚なきご意見を賜れれば幸いです。

少なくとも対等のバーターではない
 投稿者---和寒氏(2002/06/17 19:05:40) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 もう一つ、北神急行は払わなくてもいい負債を払うことに注意すべきです。
 これは、金利負担の軽減を、減免ではなく元本の一括繰り上げ返済という荒業で達成し、しかもその原資を融資ではなく資産売却という手法にしたことです。
 つまり、北神は、まだ期日が来ていない債務を繰り上げ返済するために下物を売却し、神戸高速が資産取得(一種の出資)をすることで、有利子負債のアリ地獄から解放したのです。

→ここがポイントですね。国側は資金拠出が増えた(あるいは得られるはずの利益を放棄した)かもしれないけれど、その条件として北神全線のインフラ所有権を移転させたわけ(※)ですから、取引条件として悪くないどころか、えげつないというかあこぎというか。

※:ただし公側の真の取り分は神戸高速における神戸市出資比率が上限。これは50%?55%?(すみませんうろ覚えです)程度だったはずです。

 このスキームをつぶさに考えると、北神急行の出資者が応分の負担を神戸高速に融資の形で実施していることに気がつくと思います。また、兵庫県及び神戸市は、公共交通維持のために応分以上の負担をしていると見ることすら出来ます。
 国の負担にしても、資金運用部の利息収入というセクターの受益者であり、そのために負担していると見るのが自然でしょう。

→この視点は斬新です。参考になります。国が受益者というのは、確かにそうですね。市や県ができる限りの負担をしてなお重い負担が残るのであれば、元々のスキームに国の関与がある以上、このようなスキーム修正を展開するのもありなのでしょう。

北神救済スキームの核心にまつわる異聞
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/18 10:30:11) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 北神急行「救済」スキームですが、調べてみると情報が錯綜しています。
 ここの正誤によっては、議論の根底が崩れかねないので、以下現時点で分かる部分だけ。

疑いのない部分は、

  1. 神戸高速が305億円で北神急行の施設一切を購入し、谷上−新神戸の第3種事業者となり、北神急行は運営会社として同区間の第2種事業者となる。

  2. 北神急行は譲渡代金の305億円をもって鉄道公団未払金の繰上償還を行う。

  3. 国は繰上償還に伴う鉄道公団の金利損失31億円を補填する。

***
 さて、異説があるのは305億円の分担で、神戸高速への融資によって賄われますが、205億円が阪急(および神鉄など阪急グループ)であることは確かですが、残る100億円について、50億円が兵庫県というのも疑いがありません。しかし、残る50億円について、情報ソースによって神戸市と国に分かれます。

神戸市とするもの:
 神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/020201ke41080.html
 メールマガジン:阪急エクスプレス 
http://www.melma.com/mag/57/m00029357/a00000180.html

国とするもの:
 ニフティ鉄道ウィークリー http://www.nifty.ne.jp/forum/ftrain/weekly/2001/tw20011228a.htm
 鉄道ジャーナル 
http://www.railfan.ne.jp/rj/news/0205/027.html

***
 もともと昨年9月の段階では、国、県、市及び北神の出資者である阪急グループ(私も誤解してましたが、北神へ地交体は出資していないとのことです。情報ソース:会計検査院資料)が神戸高速に貸し付けて賄うことになっていました。
 このことは、神戸市議会の記録に残る昨年11月での企画調整局長の答弁でもわかります。

会計検査院資料 http://report.jbaudit.go.jp/org/h11/1999-h11-0552-0.htm
神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/010905ke21800.html
神戸市議会記録 
http://wwwa1.city.kobe.jp:8002/dsweb.exe/documentframe…

 この答弁にもあるように、神戸市は実質負担ゼロを目指しており、また融資金の原資についても、起債制限にかかわることから、国が実質肩代わりした可能性はあります。

神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/011129ke31330.html

 ただ、「国」説を取るエフトレの本文を見ると、国が予算化したのは鉄道公団への利子補填金のみであり、融資金の予算化に言及していないのはヘンです。

北神救済スキームと他の「都市型第三セクター鉄道」救済スキーム
 投稿者---TAKA氏(2002/06/18 22:26:22)

 北神急行「救済」スキームですが、調べてみると情報が錯綜しています。
 ここの正誤によっては、議論の根底が崩れかねないので、以下現時点で分かる部分だけ。

☆これは仰有られるとおりです。本来は言い出しっぺの私が言い出さないといけないことなんですが・・・ 言って頂いて有り難うございます。

疑いのない部分は、

  1. 神戸高速が305億円で北神急行の施設一切を購入し、谷上−新神戸の第3種事業者となり、北神急行は運営会社として同区間の第2種事業者となる。

  2. 北神急行は譲渡代金の305億円をもって鉄道公団未払金の繰上償還を行う。

  3. 国は繰上償還に伴う鉄道公団の金利損失31億円を補填する。

☆これに関しては、私も記載の通りで異論はありません。
 只国の金利補助に関する見解は、私も考えませんでした。そう考えれば全体的には鉄建公団の利息収入→資金運用部の利息収入を一般会計で補填する。それは繰り上げ償還を認めていない現行制度の落とし穴を埋める為の物であると言う考えには、私もたどり着きませんでした。

☆私は鉄道ジャーナルの内容を基に書いていた為50億円は国の融資支出と書きました。
 その為「北神急行の存在で神戸市営地下鉄の培養線効果と六甲山地を挟む神戸市街地と神戸市北区を結ぶインフラとしての存在」で大きな受益者としての神戸市が負担しないのはおかしいと発言しましたが、これに関しては、まだ此処の書き込みでどちらかはっきりした物が出てこない限り「国が50億円の融資をしているなら」との条件付きにしましょう。

 ただ、「国」説を取るエフトレの本文を見ると、国が予算化したのは鉄道公団への利子補填金のみであり、
融資金の予算化に言及していないのはヘンです。

☆確かに予算化していないことを考えると、50億は国の支出というのは基本的に有り得ないでしょう。
 只神戸市が北神救済スキームで実質負担ゼロを目指すと言うのは、基本的に発想自体に問題があるでしょう。はっきり言って「他人の褌で相撲を取る」様な物です。財政状況から50億の支出が厳しいのは理解しますが、今回のスキームで一番得するとも言える?神戸市が1円も出さないのには納得がいかない?のではないでしょうか。
 肩代わりなら、いつかはその負担を何とかしてでも神戸市で負担すべきでしょうね。

☆今回の北神救済スキームが出来るのは、基本的に「都市型第三セクター鉄道」は資本費償還と利子償還を考えないとすれば収益が上がる企業である。即ち私も皆さんも言っている、問題は資本費と利子にありと言うことです。
 そう考えると、資本費を運営会社から切り離す上下分離は有効なスキームであると言えます。
 しかしその債務処理費用を誰が負担するかというのは重大な問題です。基本的には投資主導者の責任+受益者責任になるでしょう。
 北神の場合阪急グループの205億円は妥当?な負担でしょう。本来ならば子会社神戸電鉄のバイパス線、事業の主催者にして推進者と言うことを考えれば、もう少し負担しても良いのでは?と考えますがこれぐらいが落としどころでしょうし、もし国の50億円が神戸市の負担で有れば今回の北神救済スキームは皆が責任に応じて負担した落とし所のスキームと言えるでしょう。

☆私はこの後に控えている?千葉県の「都市型第三セクター鉄道」の問題2社の救済に関しても、この繰り上げ償還+上下分離のスキームは有効ではないかと考えます。
 北総開発の場合はより空港アクセス客で収益の上がる成田新高速鉄道を受け皿にして都市基盤整備公団線を含めて一体的に新しいスキームを作り処理して行うのがベストかと思いますが、問題は東葉高速でしょう。
 これをどうするかは問題ですね!

他人の褌か、他人の尻拭いか
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/19 00:29:04) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 神戸市の負担についてですが、実はすでに兵庫県と合同で、運賃80円値下げの原資を補填しています。このように公的セクターが民間プロジェクトの事実上の補填・補助をすることは、本来好ましくない(いわゆる「公的資金論」と相似形です)というか、法もそれを禁じているのですが、種々の名目でクリアして実施しています。

 先の書き込みで引用した会計検査院のレポートによれば、北神急行は地方公共団体の出資が無い民間会社です。通常、民間会社の経営が傾こうが潰れようが、税金を投入してそれを救済することは有り得ません。その意味で、この救済スキームで国(国土交通省)が兵庫県と神戸市による神戸高速への融資という青写真を書いたことは、本来税金による私企業救済と言うモラルハザードの問題になります。
 しかしながら、北神急行の場合は、もはや神戸電鉄や市バスで代替不可能な利用客を抱えており、その事実を無視した処理は神戸市民をはじめとする利用者を考えない暴挙とも言えます。ゆえに、県や市がそのスキームを飲んだのであり、他人の褌ではなく他人の尻拭いであることに注意しないといけません。

 今回のスキームで、もし神戸市が起債による調達が出来なかったと仮定すると、それでも「受益者」として無理矢理融資させるのかと言う問題になります。それこそ神戸150万市民全体に対する行政サービスを犠牲にしてまで一企業と神戸市北区と三田市などの利用者の利益を確保することを国が強制できるのかと言う議論が不可避です。

※私は神戸に引っ越して1年以上ですが、必要を感じて北神急行を利用したことは1度もありませんし、それで何の不自由もないエリアです。それでも「受益者負担」といえるでしょうか。

***
 今回の問題でも、北神急行というプロジェクトは利払・償還費用を考えなければ極めて優良なプロジェクトでした。さらに神戸市北区や三田市の地域開発や沿線住民の利便性向上という効果を見れば、便益の面でも相当な効果を挙げていることは想像に難くありません。だからこそ国や県、市は北神急行の運行は止めないと言う強い意思で、北神急行という企業は解体しても運行を守ったのです。

※資本費負担から免れれば神鉄や神姫バス、市交通局など並行各社の経営を脅かすような高収益企業になってしまうため、事業者がケジメをつける形で解体したのでは?

 しかしながら、会計の世界では破綻の淵にあるプロジェクトと言う評価であり、その側面を重視したからこそ北神急行は事実上解体され、このプロジェクトは頓挫しました。以前から問題になっているのはまさにここであり、会計上収益が上がらないプロジェクトであればする必要はないのか。そして、北神のようにいったんは民間が手がけたプロジェクトに対して、会計上の収益を重視するのであれば今回の県と市の救済は論外としないと、整合性が取れないのではないでしょうか。

 ちなみに北神急行の場合、神鉄と新神戸トンネル経由の市バスと言った時間は掛かるが代替可能なルートが確保されており、これ以上新規の乗客を増やす開発はしない前提で、パンク(は本当は必至だが)すれすれで回せないことはないので、「ミニマムアクセス」は維持されていると言う意地悪い見方も可能ですが...

「都市型第三セクター鉄道」の再建(北総の再建案の提案)
 投稿者---TAKA氏(2002/06/19 01:15:06)

 こんばんは〜TAKAです。書き込みが遅くなりまして申し訳有りません。
 最初の書き込みで書きました、具体的な再建のスキームを問題「都市型第三セクター鉄道」の代表例・北総開発鉄道を実例に挙げて考えてみたいと思います。

北総の問題点と再建のポイント

北総の再建スキームの提案

 基本的に、上記で述べた様な「上下分離」による解決。北神急行での神戸高速鉄道の立場に成田新高速鉄道を利用する。又公的補助は、一時期間の償還繰り延べ期間及び償還中の受け皿への利子補給だけにとどめる。と言う考え方を基本に「経営責任の追及・それに応じた資金供出」「受益者負担の原則」をコンセプトに再建スキームを考えました。

  1. 北総開発鉄道は、京成の連結決算にでている「鉄建公団長期未払金」1,071億円で成田新高速鉄道へ売却。
    →これで北総は成田新高速鉄道への売却益で鉄建公団の償還を行う。

  2. 都市基盤整備公団は都市基盤整備公団線の債務超過額302億円で成田新高速鉄道へ売却する。
    →都市基盤整備公団は試算に関して売却に関しての簿価との差額(多分差損がでるはず)は都市基盤整備公団の千葉NTへの開発の誘因の為の一環として、開発利益で補填し経営責任を果たす。

  3. 北総は京成と減資の上合併する。そして京成高砂〜成田空港間に関して京成が第二種免許事業者・成田新高速鉄道が第三種免許事業者として、一貫して運営する体制を整える。
    →累積債務を抱える北総を京成が減資の上合併することで、出資者は出資責任を果たし、京成は子会社の経営責任を果たす。又千葉県・京成は両者の北総への貸付金220億円を貸し倒れ処理する。

  4. これで成田新高速鉄道は「成田新高速鉄道自体の事業費1,286億円+北総資産の買取費用1,071億円+都市基盤整備公団線の累積債務額(買取額)302億円=2,659億円」が事業の総費用になります。

  5. この2,659億円に関しては「空港公団の受益者負担金400億円+空港利用者全体に「アクセス改善協力金」として1人当たり200円を空港利用税の値上げで徴収(当座空港公団が先に支出・年間2,000万人*200円として年40億円、10年間で400億円徴収)の400億円+都市基盤整備公団の受益者負担金200億円+千葉県等の受益者負担金100億円+出資金400億円(空港公団100億円+京成100億円+千葉県・地元自治体100億円+都市基盤整備公団50億円+その他企業50億円)+成田新高速鉄道利用者負担金473億円(1人当たり200円*予想利用客25,900人/日*365日*20年)+借入金686億円=2,659億円で賄う

  6. 国は北総再建スキームへの協力として上記の内民間借り入れに一時的にでも頼らざる得ない1,159億円に関しては利子補助・債務保証を行い、利子ゼロで事業を行える様にする。

  7. 第二種免許事業者の京成は、5)の「成田新高速鉄道利用者負担金」の他にスカイライナー利用客から300円の加算料金を取る(成田新高速鉄道利用客の半分12,950人*300円*365日=約14億1,800万円)。
    それに北総の減価償却分12億円(運賃は取るのにインフラを持たないので減価償却分=資本費として成田新高速鉄道に支払う)と京成から運賃の資本費相当額として18億円を取る。そうすると京成→成田新高速鉄道への支払は年額約44億2000万円になる。

  8. 成田新高速鉄道は借入金686億円を20年分割で京成からの使用料収入44億2,000万円で支払う。
    686億円の年額の返済額は34億3000万円になるから、差額の9億9千万円は、成田新高速鉄道の経費等に使う。

  9. 北総の運賃に関しては北総の営業外収支の15億円(=金利支払い)を減資にして多少の値下げをする。
    この運賃値下げと、千葉NT中央・新鎌ヶ谷への特急停車等で利便性を向上させ都市基盤整備公団の開発地への入居促進を図り、都市基盤整備公団の受益者負担の根拠とする。

 以上が成田新高速鉄道事業&北総救済のスキームです。
 北総救済に関しては、公的補助を減らした分受益者で公共団体の空港公団と都市基盤整備公団の負担が増える構図になっています。
 只都市基盤整備公団に関しては既存の都市基盤整備公団線の債務超過が消せてその上にメリットがあるのですから決して悪い話ではないですし、空港公団とて利便性が増せば、利用客が増えて空港利用料(=収入)が増える上に新しい負担金を作れば、自腹の分は減りますから当初計画より持ち出しが減るでしょう。
 それに公的な補助金も無利子融資分だけになりますから、その利子補給を国に全部して貰うとしても多分今のスキームより国の補助金は減るでしょう。千葉県・沿線自治体に関しても同じです。その浮いた補助金で懸案の一つの北総問題も処理できるのですから、支出はそんなに増えずに北総を処理でき有る意味では多少損をして負担が増えても容認できる処理でしょう。
 それでもこのスキームで一番損をするのは京成と千葉県かもしれません。何故なら両者の北総への貸付金約220億円を損失計上しなければならないからです。しかしこのまま北総をズルズル引っ張っておくより此処で損失を確定させ清算した方が良いでしょう。
 多分このスキームで京成がかかる費用は北総への貸付金の損失計上(私の手元に資料がありませんが多分220億の半分位でしょう)110億円と出資金1000億円に新規設備投資の費用です。これで合計多分300〜350億円でしょう。
 只この費用は千原線の買い取り(=千葉急行の精算)に300億円使うよりはマシであると思います。
 この様な方策ですが、基本的に北神救済スキームの変形です。公共体の支出は北神スキームより減りますし、空港アクセス客が居る分東葉高速鉄道よりかは救済しやすいでしょう。只この様な救済スキームに関して言えば、時間との競争とも言えますから、
 なるべく早く実施しないと問題が大きくなるでしょう。現在の元本償還猶予は問題の先送りに過ぎません。

 私の乱暴かもしれない意見ですが、皆さんどの様に考えられるか教えてください。宜しくお願いします。

無理筋が多い
 投稿者---和寒氏(2002/06/19 12:55:01) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 和寒です。ちょっと時間がないので簡潔にコメントを。

都市基盤整備公団は都市基盤整備公団線の債務超過額302億円で成田新高速鉄道へ売却する。
→都市基盤整備公団は試算に関して売却に関しての簿価との差額(多分差損がでるはず)は都市基盤整備公団の千葉NTへの開発の誘因の為の一環として、開発利益で補填し経営責任を果たす。

→売却する必要があるのか、若干疑問です。NTの都市装置と解すれば、それをコストとみなす考え方も成立しえます。

北総は京成と減資の上合併する。そして京成高砂〜成田空港間に関して京成が第二種免許事業者・成田新高速鉄道が第三種免許事業者として、一貫して運営する体制を整える。
→累積債務を抱える北総を京成が減資の上合併することで、出資者は出資責任を果たし、京成は子会社の経営責任を果たす。又千葉県・京成は両者の北総への貸付金220億円を貸し倒れ処理する。

→ここが最大の無理筋。
 北総の資金不足分を県等が増資で補ってきた経緯があり、実質的には京成の子会社であるにもかかわらず、体裁は第3セクターです。その北総が京成と合併すると、県等が京成全体の経営に関与することになり、明らかに筋が違ってしまいます。法的にも許容されない可能性が高いです。ただし、減資が経営からの完全撤退を意味するならば、その限りではないですが。

この2,659億円に関しては「空港公団の受益者負担金400億円+空港利用者全体に「アクセス改善協力金」として1人当たり200円を空港利用税の値上げで徴収・・・・(以下略)

→要は成田空港利用者にも 800億円負担してもらう、という話ですね(空港公団負担分は最終的に利用者転嫁される)。であるならば、北総と京成の合併という大きな仕掛を考えずとも、空港公団が新高速会社に出資もしくは補助すればよいだけの話では? というか、その方がより素直な「受益者負担」の形ではないでしょうか。大仕掛の中で「受益者負担」を稀釈するのは、好ましくないです。
 都市公団の負担も、日生NT能勢電鉄方式の焼き直しで、詰まるところ宅地価格に転嫁されることになります。でもそれは、公団線区間では既に実行済のスキームであって、大仕掛のうえに更に範囲を広げる(金額が増えるだけでなく北総京成の合併により対象地域が大幅に拡大されてしまう)という点が、かなり納得しかねる部分です。

第二種免許事業者の京成は、5.の「成田新高速鉄道利用者負担金」の他にスカイライナー利用客から300円の加算料金を取る。

→先の負担にプラスしての利用者負担ですから、これは過重です。

***
 一読して思うに、これは「誰に負担させるか」の検討であって、スキーム変更ではありません。結果として、大仕掛の必然性が乏しく、そもそも筋論からして実現不可能な部分も多いです。特に大仕掛については、それが持つ意味をもっと考慮してほしいものです。

北総救済スキームの核心
 投稿者---TAKA氏(2002/06/19 01:15:06)

(都市基盤整備公団線売却について)
★必然性という面から考えると、必ずしも売却の必然性はありません。只下記の理由から売却がベターと考えました。

  1. 鉄道の保有は都市基盤整備公団の本業では無いこと。

  2. 既に都市基盤整備公団線の累積債務額302億円というこちらも単独では、経営破綻に近い状況が存在していること。

  3. 成田新高速鉄道が出来ると、成田空港アクセスには第一種免許事業者の北総、第二種免許事業者の京成・北総、第三種免許事業者の都市基盤整備公団・成田新高速鉄道というように複雑な権利関係が入り乱れて運営されることになります。これを整理して、成田空港アクセス・千葉NTアクセスを一貫した体制にて運行する方が好ましいのでは?

 以上のことを考え、都市基盤整備公団には、本業以外の赤字の損切りをして貰い、それにより本業の開発へのいっそうの注力と出資者・受益負担者として外から協力して貰い、所有・運行は本業(に近い)成田新高速鉄道と京成に任せれば?と言うのが売却論の理由です。

(北総・京成合併について)
★私は此処は無理筋ではなく、最大のポイントの一つと考えています。

  1. 北総解散に関しての減資は基本的に10割減資即ち破綻処理を考えています。ですから減資後の北総・京成合併は京成による救済・吸収合併であり、千葉県等の公的セクターが合併による株の交換等で京成の株を取得することは、基本的にありませんし、ましてや支配権を握れる33%以上の株を公的セクターが取得することは、全く私の考慮の外です。

  2. 10割減資の上破綻処理で解散することは、京成・千葉県に出資金と220億円の貸付金をあきらめ、減損と貸倒金処理をする事で出資先の第三セクターへの経営責任を全うしなさいと言う事です。

 本来は北総開発鉄道は確かに民間の京成主体で作られた鉄道ですが、千葉県が千葉県営鉄道の建設を断念した段階で、千葉県も旗を振り都市基盤整備公団と一緒になって作った(多少の語弊はあるでしょうが・・完全に実情を反映する表現が浮かばなかったので)千葉NTのアクセスに北総開発鉄道への出資を経由して責任を負うことになった。と考えれば千葉県にも応分の経営責任か有ると考え北神救済スキームの自治体セクターの関係とは違い完全な当事者として千葉県に責任を取ってもらう為に、敢えて北総を消滅させ此処で鉄建公団債務以外を出資者に負担して貰うことを考え、10割減資・破綻処理・京成救済合併を考えました。

(空港公団・都市基盤整備公団の受益者負担について)
★まさしくその通りです。この北総救済スキームの基本は「成田空港アクセスに関わる問題会社債務全てを成田新高速鉄道に集め、空港アクセス客・空港関係者の受益負担にて処理する」という点にあります。
 本来なら空港利用客等に負担させるのも多少筋違いかと思いますが、逆に北総・公団線は成田新高速鉄道線の根本に当たる部分であり、成田新高速鉄道が印旛日本医大前〜成田空港間を建設しても北総・公団線が破綻して存在しなければ全く存在意義が有りません。その為北総・公団線も成田新高速鉄道が飲み込みその北総・公団線部分の資本費負担をして貰うのも、問題なく又必要なことであろうと考え、この様なスキームを考えました。
 そのスキームを有効たらしめる為又北総の経営責任を明確化して一気に処理する為に大きな仕掛けを練り出しました。これで私は北総・公団線・成田新高速鉄道の3社の路線に対し一括所有してその必要分をその量に応じて受益者負担をするという考えでは、所有形態が一体化した分単純化すると思います。

★確かに公団線部分に関しては、鉄道インフラ投資の宅地価格への最終的転嫁は行われているででしょう。しかしそれは成田新高速鉄道の時と同じく、小室〜印旛日本医大前だけを所有していても千葉NTアクセスに何の足しにもならない、やはり根本の北総線有っての千葉NTアクセスと言うことになりますから開発利益の還元で対象範囲が広がれど、北総線部分に関しても一定の負担をする根拠にはなるでしょう。
 本来なら最初からもっとちゃんとした開発利益還元のスキームが有れば問題なしなのですが、無かった為北総の破綻が現実化してきたという側面も否定できないですから、都市基盤整備公団の応分の負担も範囲が広がれど(千葉NT外でも新鎌ヶ谷で区画整理もしていますし)問題無いと思います。

(スカイライナー利用客加算金について)
★しかし成田空港アクセスの高速化の恩恵を一番受けるのはスカイライナーの利用客です。スカイライナーは幾ら都心アクセスが悪いと言われても日暮里〜成田空港間を36分で結ぶのですから、対山手線で考えればNEXより20分以上早く結ぶことになります。
 24分の短縮で一般客の一律負担200円+スカイライナー客特別負担300円で合計500円の負担ですが、これでもNEXの運賃より安いはずです。
 ですから時間短縮効果と考えれば、これぐらいは十分負担可能な範囲内であると考えます。

(負担者・救済スキーム・スキームの大仕掛けについて)
★確かに「誰に負担させるか」が基本です。北総救済スキームに関して、「上下分離」以外の妙手が見あたらない現在において、上下分離以外のスキームの根本の変更も困難かと思います。
 只単純な「上下分離」のスキームで1,071億円の債務の償還が可能かと言えば、多分不可能でしょう。
 又現在の救済策の償還の先送りでは、基本的に処理の先送りになり猶予期間の利子計算を中止していない限り、利息だけ増えて将来的には利息負担が増えていくだけになります。
 その中で単純に大仕掛けでなく、成田新高速鉄道の第二種免許事業者の京成からの通行料収入で、北総の収入・収支を改善させその中から鉄建公団債務を償還させるというスキームも、こちらの方が一般的スキームではあると考えます。
 只これは通行料収入と言う事は、運賃にだけ受益負担を求めることになり、空港公団・都市基盤整備公団・自治体等の北総線が存在することに対する受益負担(つまり成田空港アクセス・千葉NTアクセスの根本が北総線であり北総線がなければどちらも意味をなさない)を取り込んで、北総救済スキームを作ることが私には思いつかなかったと言うこともありますし、減資・破綻処理・京成との救済合併でないと北総への経営責任・出資責任を明確化することが出来なかった。と言うこともあり、この様なスキームを考えました。
 多少複雑すぎる嫌いも有りますが、少なくとも現在できてしまった成田新高速鉄道のスキームを変えることが出来れば、少なくとも私の考える限り、心理的抵抗等は有れども必ずしも法的・行政的に困難でも不可能な事は無いのでは?考えます。

誰がための大仕掛けか?
 投稿者---和寒氏(2002/06/19 21:33:16) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 TAKA様の基本方針はいちおう承知したものの、しかしこのスキームには賛成できません。なぜならば、このスキームは受益者負担の貫徹をうたいながら、一方の受益者である鉄道・空港利用者もしくは沿線住民に重い負担を強い、もう一方の受益者たる機関投資家もしくは資本家の都合が優先されすぎているからです。利用者・沿線住民に酷烈なスキームと評すこともできます。

 北総開発鉄道の財政上の問題点は、CTC新高速板にも記したとおり、下記の一点に要約されます。この点に関する異存は、ないでしょう。
 <営業成績は堅調だが、初期投資に比べ自己資本過小であるため、償還負担が過重である。>
 これを改善するための選択肢は、受益者に価格転嫁して手許キャッシュフローを増すか、自己資本を手厚くするか、いずれかになります。ここまでは、認識を共有できると思います。問題はここから先です。

 現状で既に北総の運賃水準は極めて高いことを考慮すれば、価格転嫁は厳しいというのが私の認識です。
 TAKA様は価格転嫁できると認識されている様子ですが、しかし、この点に関して争う気はありません。薄く広く転嫁できるならば、それに越したことはありませんから。また、仮想的な議論をしても意味がない、ということもあります。

 問題はこの一点、「10割減資」に尽きます。これは端的にいってあまりにも法外すぎます。
 北総を破綻処理するに忍びないとか、そういう情緒的なことをいうつもりはないのです。先にも記したとおり、北総は、自己資本を増強すれば経営改善できる程度の状況にあります。その状態で減資を行うとどうなるか。
 債務償還を終えた時に、極めて少ない資本で、極めて収益的な会社が出現してしまうのです。しかもそれは、利用者・沿線住民の重い負担によって、初めて成立しえるのです。たとえ「負担金」の枠を外したところで、新会社がごく収益的であることは間違いありません。

 利用者・沿線住民の利益と、機関投資家・資本家の利益を完全に両立させることは無理です。しかしながら、あまりにも後者の立場に偏しているこのスキームには、賛同できません。


 もう一つ。
 負担金が多いがゆえに、空港利用者が伸び悩むとかNT人口が増えないなどの現象が発生した場合、北総の財政問題が空港やNTに転嫁されるだけという問題が発生しえることをも、指摘しておかなければなりません。
 国鉄清算事業団がバブル最盛期に土地を最高値で捌いていれば、国鉄長期債務問題の程度はかなり緩和されたでしょう。その一方で、捌かれた土地に投機した銀行は、現状よりも更に深刻な不良債権処理に追われることになったでしょう。これは極端な例ですが、要はそういうことです。
 北総・新高速の財政のみを最適化し、空港・NTへの配慮が薄いこのスキームが、社会的支持を受けられるかどうか、私は疑問に思います。

 このほか、都市公団は今までに開発者負担を行っていることに加え北総〜新高速全ての区間にさらに負担することが妥当とは思えないこと、開発者負担は開発区域内に限定されるのが全国的な通例であり妥当とは認められないこと、受益者に東京都交通局が含まれていない(新高速により浅草線の利用者が増えれば受益する)こと、新会社の経営権をどこが主導するかが明確でないこと、等々数多くの疑問がありますが、これらは上記の問題と比べれば枝葉末節です。

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2004.11.02 Update


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