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【検証:近未来交通地図】<近未来鉄軌道転換可能性地図>
(過去ログNo.001)

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
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日立電鉄、鉄道線廃止を表明  投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/27 14:35:44)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 日立電鉄が2005年3月限りで鉄道線を廃止する意向を明らかにしました。

日立電鉄線廃止へ 05年春目標(朝日10/24)http://mytown.asahi.com/…

 利用が激減、グループで債務超過という厳しい状況に加え、施設の老朽化が進んでおり、経営資源をこれ以上鉄道事業に割けないと言うところでしょうか。

***
 かなり前になりますが、「検証」でも日立電鉄を取り上げたことがありました。

〔LRT導入プラン〕日立への導入プラン・都市交通計画つき ../../topics/citydesign/log212.html#2

 ただ、当時の議論は日立市街地の輸送問題がメインであり、現実には日立市中心街に届かない日立電鉄をどう生かすのか、もしくは役に立っているのかと言う根本の部分の議論が不可避です。
 さらに問題は設備の老朽化問題であり、車両こそ営団から譲り受けたものの、肝心の軌道や橋梁、トンネルがネックとなると厳しいです。このあたり、地方鉄道に共通する話題でしょうが、改修費が容易に出せない状態では、京福電鉄のように破局を迎えるか、今回の日立電鉄のように白旗を上げるかになります。

***
 日立市街地の道路事情はR6、R245ともに悪いようで、11月から1ヶ月間、社会実験として日立南太田−日立中央−日立北の区間相互の通行料を50%オフとして常磐道への転移を促し、R6、R245の通行量軽減を図るくらいです。

第一回地方からの提案型社会実験実施案件一覧表 http://www.mlit.go.jp/road/press/press03/20030917/20030917-1.html

 海岸線を行くR6日立バイパスの計画があり、一部は竣工していますが、海岸線にすら用地が確保できず、海上に張り出すことを余儀なくされるなど難工事です。ただ、これの完成後は、鮎川−日立間で現R245を使った併用軌道で延伸も可能と見られ、日立市中心街への直通による効果を見てみたかった面もあります。

 ただ、日立市の発展が常磐線の山手側に偏っており、日立電鉄線の改善がこうした人口の取り込みに寄与しない可能性が強いこと。大甕から常北太田までの区間が厳しすぎること。ということを考えると、整備すべきエリアと日立電鉄線のエリアが全く違うわけで、これでは整備する公共交通がもし軌道系であっても日立電鉄線の存在に拘らないスタイルで考えたほうが良いのかもしれず、そう考えると日立電鉄線の存続問題というのは厳しいです

〔岐阜〕着々と進む「最後通牒」手続に問われる公共交通と行政の関係
 投稿者---551planning(2003/12/24 14:55:08)
─交通新聞記事より
 └『撤退する準備はできていた』

 「堀の埋立作業」は粛々と進められているのでしょうか…「タイムリミット」が見えてきました。

岐阜市内線など4線撤退/名鉄、年明け正式決定/岐阜市は受け皿検討急ぐ(岐阜12/24)http://www.jic-gifu.or.jp/…

 2004年度を目処とした名鉄の岐阜市内線関連4線撤退問題で、年明けにも労使合意、取締役会決定で廃線スケジュールの具現化を図る見通しとなったと報じられています。
 一方で沿線自治体である岐阜市は先の社会実験等の分析評価を行うとともに受け皿づくりの検討を進めている由ですが、『一月の話は聞いていないが、本当なら検討を早める必要がありそうだ』との関係者談にもまさに“一年有半”の心境が伺えるような気がします。御存知の通り名鉄の廃線手続が行われれば実施まで最長1年、とすればもはや鉄軌道としての存続を図るには実質半年程しか時間が残されていないわけです。個人的には鉄軌道存続は実質的に断たれた状況にあろうと思いつつ、一方で市バスや岐阜バスなどの状況をも懸念される中でどのようにイニシアチブを取って落としどころを探ってゆくのかが焦点になろうと思います。
 その意味においても、岐阜の状況は随分前から広く知られてきた中で、行政がどのように動いてきたのか、そして今後どのように対応してゆくのかは、今年になって全国各地で鉄道廃線問題がピックアップされてきているところからも注目に値するものと考えます。それは“受け皿”という表現をどのように解釈するか、そして地域公共交通維持における方向性をも占うものになるのではなかろうかと感じています。

交通新聞記事より
 投稿者---和寒氏(2004/02/06 19:41:12) target="_blank"http://www.geocities.jp/history_of_rail/

平成16年2月6日付記事より

名鉄4線の来年3月末限り廃止 岐阜県・市に正式伝達
 名古屋鉄道の木村操社長は3日、岐阜県庁と岐阜市役所を訪れ、同車が運行している岐阜市内、美濃町、揖斐、田神の軌道線四線計36.6kmを来年三月末を限りに廃止することを正式に伝えた。
 同社は今後、関市、本巣市、北方町、大野町といったほかの沿線自治体にも伝えた後、本年度内に国土交通省へ廃止届を提出する。

『撤退する準備はできていた』
 投稿者---551planning(2004/02/24 19:13:52)

 ついにというかようやくというか、名鉄が岐阜市内線関連4線の来年3月いっぱいでの営業終了・廃線を自社正式決定しました。

岐阜600V線区の廃止について http://www.meitetsu.co.jp/news/pdf/040223.pdf

『これまで当社では、考え得るあらゆる合理化や利便性向上への取り組みを実施してきましたが、平成14年度は12億円を超える赤字を計上しており、もはや一民間企業として岐阜600V線区を維持していくのは困難な状況にあることから、撤退することとしました』

としていますが、この“一民間企業として”という表現の含みとしては、沿線自治体が模索する公的関与による存続方向がどうなるかの横睨み、というよりは早くから匙を投げていた感もあると個人的には思いますが、別途報道によると存続方向にあっては各種支援体制を取ると明言していることから、いくばくかの後ろ髪を惹かれる思いもあるのかもしれません…とはいえその期限も手続処理上の観点から6月までと「設定」もしており、ホンネでは早くさっぱりしたいというところもありましょう。
 それにしても、同じく限りなく撤退方向にある日立電鉄の動向と比べると、岐阜についてはずいぶんと以前より云われ続けてきた印象を受けます。その意味では名鉄としてはずいぶん前より「撤退する準備はできていた」といえるでしょうし、沿線自治体や利用者にとっても考える時間はずいぶんとあったのだと感じます。その間には近鉄北勢線の存廃→三岐移管という、存続運動に取り組む方々にはエポックメイキングな事象もある傍ら、生まれたての本巣市にとってはさらに樽見鉄道の存廃論を抱えるという状況、ロケーションは違えども近隣に貨物輸送による支えを持つ事業者があったということとその顛末を比べるとえも云われぬものを感じます。

***
 なかなか書き込む余裕がないのですが、当方もこの元日に駆け足ながら未乗だった岐阜市内線と揖斐線に乗っています。無論特殊日ではあるものの、岐阜市内の多少なりの活気と、それなりの乗車状況を見ましたが、その傍らで岐阜バスや市営バスが「大挙」行き交う姿を見てアンバランスさを感じずにはいられませんでした。
 その意味では大手民鉄で括られる状況から身軽になって切り詰めて…としての延命措置への期待は揖斐線についてはあるのではないか(美濃町線は一昨年乗車しましたが…)とも感じましたが、それとて特に専用軌道(電車線ですからこの表現はおかしいかな?)区間を持っていることとその状況が、昨今の安全基準云々という点で早晩引っかかることが十分予測されるだけに、致し方ないと考えています(こう書くと本当に北勢線の事例が稀有なものと感じてしまう…)。
 沿線自治体はどのような結論を導き出すのか、とりあえずは3月にも示されるとされる「3セク方式or公設民営方式」のシミュレーション内容に掛かってきそうです

堺市内の阪堺線が廃止の危機です!!
 投稿者---やまさん2701氏(2004/01/18 23:50:02)
─正味の話、現状維持だけでは厳しいのでは?
 └Re:正味の話、現状維持だけでは厳しいのでは?
  └Re:正味の話、現状維持だけでは厳しいのでは?
   └確かに現状維持だけでは厳しいです。
阪堺電車の未来は!?
 └とりあえず参考資料
  └参考資料に僭越な補足

 始めまして、情報です
 堺市内を走っている路面電車の阪堺線が、利用客の減少で廃止の危機だそうです。新聞に記事が載っていました。
 それで、堺市が中心になって、「愛する会」が設立されて、利用客を増やそうと運動が始まったそうです。
 何とか、廃止の危機が免れると良いのですが。
 下に問合せ先のアドレス書いておきます。

堺のチンチン電車を愛する会http://www7.ocn.ne.jp/~sakaiudc/aisurukai.htm

正味の話、現状維持だけでは厳しいのでは?
 投稿者---551planning(2004/01/19 01:00:32)

 やまさん2701様、初めまして。情報提供有難うございます。

 当方も阪堺線廃止、免れて欲しいとは思いますね…まだ乗ったことが無いもので、乗ってみたいというのがありまして。
 ただし、未見ではあるものの、阪堺側の廃止をも含めた提案を客観的に考える限りにおいて、現状維持というスタンスだけでは正直結論はそう変わらないのでは…という気がします。阪堺間では高速鉄道が南北に3本結ばれており、更に地域輸送として阪堺線があるわけですが、今回の提案ではしっかり大阪市内路線への言及は特段ないところをどのように評価するかが焦点でしょう。確かに「トカゲの尻尾切り」になる危険性はありますが、現実問題として当該提案区間の「上がり目」も感じられないというのが感想です…それゆえ独断と偏見ではありますが“転換指数40%…”とさせて頂いた次第でして。

 無論「愛する会」の活動には注目していますし、背景として堺市のキモイリである事が多分に感じられる事からも、前々から云われる「東西鉄軌道軸」がLRTでの可能性を探っているという事もあって連携可能性を含めて存置方向で…ということかと邪推しますが、あながち外れてはいないと考えます。その意味では阪堺側が堺市に対して「施設買取等」をも含めて提案していると伝えられているところからすれば、堺市の腹の括りひとつでさほど重大な問題にまではならないのでは…とも思っております。

堺市でLRT導入を検討へ ../../topics/neotrans/log355.html

Re:正味の話、現状維持だけでは厳しいのでは?
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/01/21 17:25:37)http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 今回廃止提案があったのは堺市内区間というわけですが、堺市が計画している東西軸でのLRT導入も絡む問題を投げかけています。

 大阪と堺の都市間輸送と言う意味では、JR、南海、南海高野というHRT3路線があるわけで、クルマに負けたというよりも公共交通同士のモード選好に敗れたという感じです。
 とはいえ軌道線というメリットを活かして地域に密着した運行ですし、かたや大阪、こなた政令市以外では最大の堺市という人口集積を考えると、都市間輸送ではなく域内輸送でもそれなりの需要があると考えられます。

 ところが堺市内に関してはそういう域内需要を含めて生き残ることが出来ないという三行半を付き付けられた格好であり、そうなるといわんや東西軸においておや、という話にもなるわけです。
 もちろん阪堺、ひいては南海グループという営利企業と違い、利益確保が絶対ではないですが、一方で堺市内の交通整備、維持に必要なコストとして見合うレベルかという「健全な赤字」の範囲で考える必要があるわけで、そこまで考えた時、市内の移動手段として機能しているのかいないのか、潜在需要はあるのか、そうであれば利用に結びつかない理由は何か、そうした分析をすることで、軌道系交通を市内交通の軸に据える可能性が見えてくるかと思います。

Re:正味の話、現状維持だけでは厳しいのでは?
 投稿者---KAZ氏(2004/01/21 18:23:38)http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/momo/

 どうもです。阪堺ですが、路線網が「過去」のものなんですよね。
 開業当初は大阪側ターミナルである恵美須町は「新世界」の名の如く新しい繁華街として賑わっていましたし、経由地も古くからの住宅地、更に住吉付近は当時の「高級郊外住宅地」であり、浜寺公園辺りは大阪・堺市民の手軽な観光地として認知度・集客力も高かったとのことで、更に上町台地の高級住宅街を走る上町線とで魅力的な公共交通ネットワークとなっていたのでしょう。
 しかし今では全てが裏目に出てしまっているような状態で、また繁華街がHRT路線の駅に吸引されて移動しているので(難波・堺東)、阪堺の路線は「どこへ行くにも使えない」というイメージですよね。市内流動と言っても阪堺線は日中12分ヘッドでイマイチ使いにくいですし、沿線にも特に集客のコアとなるような場所もなく、上町線はともかく阪堺線は「何で残っているのか不思議」というのが正直な印象です。
 堺市内の存廃論議は現状だけ見れば存在意義は非常に薄く、新規LRT路線構想を阪堺線を絡めて早急に整備できるのかどうか、そこがカギになってきましょうか。

確かに現状維持だけでは厳しいです。
 投稿者---wataru氏(2004/01/22 23:50:30)

 堺市内部分の廃止を考える際に、まず把握すべきことは「堺市内各駅からの乗客の流れがどこへ向かっているのか」ということでしょう。その場合、答えは以下のいずれかになると思われます。

(1) 堺市内相互間の移動に利用している(大和川は越えない)
(2) 大和川を越え、大阪市内の各駅へ向かう

 (1)がほとんどであるなら、仮に堺市内部分のみを廃止しても残存部分への波及はわずかであり、その意味では廃止しても何の問題もないといえます。しかし、(2)の割合が少なからずあるならば、ちょっと問題が起こります。
 仮に堺市内部分を廃止しバスに転換したとして、それまで阪堺線で大阪市内へ向かっていた利用者は、堺市内から代替バスを利用して我孫子道に向かい、そこで阪堺線に乗り換えるという面倒なことをしてくれるでしょうか? 乗継割引などで運賃面での配慮をしても、まず期待は出来ないでしょう。
 その結果、残存部分においてもそれまでの「堺市内〜大阪市内」の直通利用者分が利用者減となって跳ね返ってくることになり、最悪の場合乗客減→減便→さらなる乗客減→全線廃止というスパイラルに陥る可能性もあります。

 実は私、恵美須町駅にもほど近い日本橋でんでんタウンで仕事しておりますが、KAZ様御指摘のように恵美須町(新世界も含め)にかつての吸引力はなく、それゆえ阪堺線利用者にとっても恵美須町駅は「最終目的地」ではなく、乗換駅として利用されている要素が強いと思われます。
 ところが、乗換相手の地下鉄堺筋線がやや力不足(難波にも梅田に行くにも再度乗り換えを要する)なわけで…それでも、南霞町から地下に入り、地下鉄恵美須町駅にて同一ホーム上で乗り換えが出来るぐらいの大改造が出来れば、利用者も少しは増えるかもしれませんが。

 そのような設備投資が難しい場合でも、堺市内部分の存続を前提に考えるなら現行の運転系統を見直し、上町線を浜寺公園まで延長し、阪堺線は我孫子道止めにした方が良いのではないでしょうか。つまり、浜寺公園から天王寺まで乗り換えなしで行けるようにするということです。恵美須町よりは天王寺の方が吸引力があるのは自明の理ですから

阪堺電車の未来は!?
 投稿者---ピロリ菌氏(2004/11/08 10:21:06)

 はじめまして。阪堺電車で働いてる者です。今、阪堺では堺市の廃線問題または東西線の参入などの行く末や、親会社である南海の財政問題などであらゆる面で危機状態にあるとおもいます。しかし、ほとんどの社員はそういった問題に関しては無頓着です。よって正確な路面電車についての情報が入ってきません。だからここで少しでもいいので阪堺に関する皆さんの意見を聞かせて下さい。東西線の問題はどこまですすんでるのか?なぜ大阪において路面電車は衰退していったのか?またコネックスみたいに第三者介入の可能性はあるのか?最後になりましたが僕は路面電車に未来があるとおもいます。路面電車に対する古い制度や考え方を変えてゆくよう、みんなで頑張っていきましょう!

とりあえず参考資料
 投稿者---551planning@おさぼり管理人(2004/11/08 10:57:12)

 はじめまして、御投稿ありがとうございます。
 ハンドル名が穏やかでないことはさておき、投稿時には管理者まで連絡先を連絡頂きますようお願い致します。

 【検証:】でも阪堺というか堺市のLRT構想については以前議論しておりました。東西軸の中心となろう堺−堺東間のリポートもありますので、参考にしてみて下さい。
 また、無頓着と御謙遜ですが、堺市都市整備公社主体の「堺のチンチン電車を愛する会」の活動も活発で、現時点からの参加はできないようですがワークショップも行われており、結果報告が注目されましょう。

堺市でLRT導入を検討へ ../../topics/neotrans/log355.html
堺市LRT計画を妄想混じりで考える ../../topics/neotrans/log355.html#2

堺のチンチン電車を愛する会 http://www7.ocn.ne.jp/~sakaiudc/aisurukai/

 最後になりましたが僕は路面電車に未来があるとおもいます。路面電車に対する古い制度や考え方を変えてゆくよう、みんなで頑張っていきましょう!

 社員様ということで、趣味人や利用者より切実なお立場に居られると思います。当方自身は阪堺線は数度の乗車体験しかなく、古くのインターバンというべき存在から沿線全体の市街地化が進んで市民の身近な足として親しまれつつ、モータリゼーションの中である意味良くぞここまでやってきたな、という印象を持っているのですが、日頃から見つめられているお立場として、制度や考え方がどうあるべきなのかを具体的に御教示頂ければ、私達にとっても大きな参考になろうと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

参考資料に僭越な補足
 投稿者---Mistral氏(2004/11/13 10:34:47) http://eurotram.web.infoseek.co.jp/

 ピロリ菌様初めまして

 隣市の路面電車(私の住んでいる市にも乗り入れていますが)の話というわけで、コメントさせていただきます。

 まず、管理人様からの情報の補足です。「堺のチンチン電車を愛する会」は堺市役所の後援によって作られた会です。半官半民の団体で、2004年の第8回全国路面電車サミットin高知にて、路面電車愛好支援団体への加入が承認されました。全国の他の団体からのバックアップを受けやすい状態となったので、今後の活動にはプラスとなるでしょう。

 続いて堺市役所ですが、最近鉄軌道課を新設しました。鉄軌道課の目標は主に2つあります。

・阪堺線の存続ならびに活性化
・東西LRT新線の導入

 鉄軌道課には合計13人もの職員が配置されており、市営交通を持たない都市としては破格の規模といえるでしょう。

 阪堺に勤めている方のお立場でしたら、岐阜という不吉な前例が気になるかもしれません。しかし、今堺市は全国でも路面電車存続・改良・拡充に対して最も力を入れている自治体ということになりました。岐阜のようなことにはならないと思います。行政が力を入れ始めたことによって、阪堺電車の存続には最も大きな後ろ盾を得たと言えるかも知れません。

 阪堺の場合は、軌道設備は(空間面で)非常に立派です。ドイツでさえ、ここまで専用軌道区間と立派なセンターリザベーション軌道を持っている街はありません。人口密集地を走っていることもあって、近代化すればかなり乗客も増えるのでは?と思います。現在の阪堺線は堺市の中心部へは通じていませんが、東西線が出来れば浜寺方面−堺東駅前(市役所前でもあります)というルートも開拓できるので、既存線の活性化になるでしょう。現在の路線は、大阪−堺間の直通ルート競争の名残なので(阪堺電軌開業時、南海は蒸気機関車だったので、路面電車でも十分競争できました)、堺市内交通ネットワークへの改編は急務と言えます。

 最後に、阪堺電車が完全民営の状態では今後存続することは難しいでしょう。何らかの公的資金導入プロセスを経ないと存続も拡充もあり得ないことは確かです。赤字補填の存続モデルとしては、万葉線があります。また、国土交通省の補助金制度が充実して、軌道改良や新線建設に対しては予算の半分は国から補助が出ます。低床車両購入の補助金は、車長20mまでが1億円、それ以上が2億円事業者負担で、差額は全て補助金で賄われます。路面電車(LRT)財政の話をすると頭が痛くなるのですが、それでも今の制度を工夫して使えばかなりの額の財源を確保できることは確かです。

 阪堺に関しては近々詳しく調査する予定なので、また何かあれば報告します

くりでん存廃“先送り案”の愚  投稿者---551planning(2004/01/20 17:59:52)

 昨年11月に2007年度末でのバス転換を取締役会で決したくりはら田園鉄道ですが、ここに来て「先送り案」が急浮上しているのだとか。

くりはら田園鉄道存廃 “先送り案”が急浮上 宮城(01/19河北)http://jyoho.kahoku.co.jp/…

 実は沿線の10自治体が2005年3月を目処に合併、「栗原市」となることがほぼ決定しています。廃止決定前に描かれた新市の青写真「栗原地域合併将来構想」ではくりでんや路線バスを含めた公共交通のあり方を考えることが盛り込まれていますが、それを踏まえてかどうか、各自治体の首長の間で存廃問題に対する温度差が出ているというのです。
 記事に拠れば栗駒町長が「新市誕生が鉄道再生の最後のチャンス」と廃止手続に入っていない現状を踏まえてその先送りを主張すれば、鶯沢町長も「廃線後の処理費が不透明な中、存廃判断はできない」と態度留保。一方でくりでん社長でもある若柳町長は廃線の基本的合意を前提とすべきとし、「赤字ローカル線を新市の市長と市民に丸投げするのは無責任」と疑問を投げれば、石越町長・金成町長も「安全性と経済性の観点から廃線はやむを得ない」との立場。構図としては処理策の早急な取りまとめをとする若柳町長と残された時間で出来る限り存続の道を探るべきとする栗駒町長との間での綱引きとなるようです…。

栗原地域合併将来協議会http://www.k-gap.org/
栗原地域合併将来構想http://www.k-gap.org/PDF/gappei_digest.pdf

 余所者である当方が何をや云わん!とされるのは百も承知、ただし(2003年元旦という特殊条件下ではあれ)実際に乗車経験のある身としては率直に云って新市の勢力関係が背景にあると容易に想像できる今回の話、まずもって3年間の延命措置自体が不可解にも映る中で、結果的に更に税金を垂れ流しにもしかねないことから合点がいきません。当方自身何も即刻廃止を!という意味ではないのですが、「存続派」の首長の方は新市となって本当に再興が可能なのか、改めて胸に手を当てて考えていただきたいと思うものです

〔三岐北勢線〕新駅開業!…どこまで「小手先」は通用するか
 投稿者---551planning(2004/01/28 23:54:08)
─コスト削減策でしょう
 └三岐北勢線早駆けの記
  └自分が乗ったときの印象

 「書き逃げ」チックになりますが、取り急ぎネタ出しにて。
 新駅開業とは聞こえがいいですが…。

北勢線3駅、3月廃止 / 4月に「大泉」駅オープン(01/28伊勢)http://www.isenp.co.jp/news/…
三岐鉄道 http://www.sangirail.co.jp/contents/annai/hokusei/oizumi.jpg

 まもなく移管1周年を迎える三岐北勢線ですが、各種テコ入れ策が行われているものの乗客減は続いているようで。そういえば一部駅で自動改札も導入されていると聞きましたが、今回の話は3駅を廃止して代替的に1駅を新設し、効率的な駅配置でのスピードアップを図るというものですが…。
 当方も1度きりしか乗っておらず、地図を見ても当該駅区間の記憶がないために、ブレタ返答であるかもしれませんが、なんとも小手先的な印象が否めません。特に長宮駅の真横は小学校なんですが、通学利用は無いのでしょうね。六石は林の中の小駅だったかと思いますが、至近の病院の足にもなっていなかったということでしょう。利用の細さを改めて実感します。
 せめてもの救いは、新設駅にかなりの拠点性を持たせる点でしょうか。P&R・産直センター化に、北大社止まりを延伸させての大盤振る舞いとも思われますが、道路との関連性はどうなんでしょう?

 確かにスピードアップは重要とされる方も多いでしょうが、正直どれくらい変わるのかと。なんといっても忘れてはならないのは「ナローゲージ」であるということでしょう。鉄軌道としての意義をもっての存続であるならば、その価値の再検証はより厳であるべきなのではなかろうかと。何せ55億円もの税金が投入されるのですから…たまたまRDFなり工場稼動なりといった話とダブらせて見てしまうものですが、「マニュフェスト県政」の光陰含め考えなければならないのではとも思います。
 いずれにせよ、新駅の発展を祈念せずにはいられません。

コスト削減策でしょう
 投稿者---和寒氏(2004/01/29 17:22:50)http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 前回(といってもかなり前だが)に引き続いてのコメントです。

近鉄北勢線、三岐鉄道へ経営権移譲…三重県方針 ../../topics/neotrans/log346.html#2

2駅廃止
  →所要時間短縮
  →折り返し時間見直し
  →運用数減
  →運行本数維持し人件費等コスト削減&一編成スクラップで部品取り

という連想が働きました。利用客数が増えるという期待はあまりないように感じられます

三岐北勢線早駆けの記
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/01 23:33:55)http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 その北勢線ですが、昨年12月に並行、関連バス路線を絡めて乗ってきました。

 日曜日の朝7時45分発の名鉄BT発ネオポリス行きでスタート。非常に中途半端な時間帯ですが5人「もの」乗客。マイカル口で降りて桑名駅行きに乗り換えましたが、待ち時間にバス停をチェックすると、マイカル口の平日朝は7時台の桑名駅行きが16本に対し、名鉄BT行きが18本、栄行きが20本という超物量作戦。時間3本の北勢線を考えると、マイカル口経由だけで5倍程度の輸送力と言うことになるわけで、益生や桜通り経由を考えるとその差は絶望的とも言えます。
 桑名へは福島経由のバスでしたが、R1が頼りないとはいえ全般的に道路事情は良さそう。南側からアクセスする従来路線もあるわけで、全面的な麻痺でもない限りは道路交通での対応が不可とも言い難いです。

 桑名のバス乗り場は実は桑名駅ではなく西桑名駅前というオチがあるわけですが、中心市街地自体の活気が乏しいのは否めず、5000台収容のマイカル桑名が完全に新しい中心になっているようです。実際、桑名市のコミバスもマイカルをキーにしていますし、名古屋や四日市への流動であれば北勢線ではなく三交バスなどへのP&Rのほうが有効でしょう。
 そして8時50分の21系統阿下喜行きに乗車。乗客は3人で、だだっ広いR1からR421に入ると旧街道然とした狭い道。JR、近鉄の踏切になっている近鉄益生駅を過ぎ、旧市街を行きますが、商業地なのか住宅地なのかはっきりしない市街です。

 坂井橋を過ぎ、星川交差点で桑名ICからのバイパスに合流。BPもここまで4車線で、星川がボトルネックですが下り方向の混雑は時間的にもないようです。ここから一転してロードサイド店舗が目立ち、活気づいています。星川のサンシティで私以外の乗客が降りると結局阿下喜まで私1人で、バスも苦しいようです。
 沿道のロードサイド事情を見ると、大仲新田ではMIDORIの店舗がありますが駐車場が不足気味なのか渋滞の原因になってます。そして楚原駅入口にはBONANZA CITYと適宜存在する感じで、北勢線からは見えない「現実」でもあります。
 楚原の先で道路は県道5号になりますが、国道が後から継ぎ接ぎで指定されただけであり、益生から阿下喜方面への一本道です。ロードサイド店のほか、事務所や工場立地もそこそこ目に付き、どうも集落形成そのものがそもそも街道側を向いている感じです。

阿下喜駅前(エル・アルコン様御提供)

 阿下喜の街に入り、坂を下りながら北町、中町、いなべ総合病院を経て桑名から40分程度で阿下喜駅に至りますが、市街は駅に向かう下り坂に沿って形成されています。確かに古い趣きがありますが、歴史を感じるほどではないのも事実で、ライトなレトロ趣味程度ではインパクトは弱いです。「歴史」であれば、東海道五十三次、「その手は桑名の焼き蛤」の桑名の集客力と比べるべくも無い感じです。
 ちなみに三岐本線と絡めて乗る場合、伊勢治田まで歩くかバスと言うのが「常道」でしたが、1日2往復ながら阿下喜と西藤原を結ぶバスがお目見えしました(上坂本線)。時刻は阿下喜発が11:40と16:45、西藤原発が7:33と12:23。所要は12分です。

 こんどは北勢線で戻ります。
 9時53分発の電車は三岐カラーに塗り直された3連。中間の付随車の床が両端の電動車に比べて一段低いのはなぜでしょう。
 阿下喜の駅は駅舎はありますが券売機が無く、きっぷは車内で買うようです。ホームからは電車をバックに石灰石採取で異様な山容の藤原岳が見えます。
 ちなみにバスが通ったいなべ総合病院ですが、電車の線路の延長線上にあり、途中特に阻害する建物も無いようです。バスは病院の車寄せに入りますが、いっそ北勢線を延長し、BTも移動して病院をターミナルにすれば利便性が全然違ってくるのですが。

三岐カラーの北勢線車両(エル・アルコン様御提供)

 9時40分頃の桑名行きバスが3人でしたが、電車も6人と良い勝負。北大社発で21人まで増えましたが、日曜のおでかけタイムにしては淋しい実績です。もっとも北大社以南ではそこそこ増え、降車した馬道到着時には46名。手前の西別所までの乗客もいたため50人弱ですが、それでもバス1〜2台分と言われればそれまでで、特に代替バスとせずとも21系統の存在を考えれば、毎時2本の電車のバス転換のハードルは極めて低い印象です。
 あと、近鉄時代にはロクに集札もしてなかった印象がありましたが、今回は北大社から特改が乗車するなど熱心です。ただ、楚原の自動改札は「場違い」と言わざるを得ない理解に苦しむもので、三岐になっての対応もちょっとチグハグです。

 今回駅の統合があるエリア、長宮から北大社を経て六把野までは国道と若干離れており、ゆえに北大社まではそこそこの乗車があると言う感じですが、その先の国道沿いにP&R機能を持つ新駅を作り、北大社折り返しの延長と推測される区間運転の設定があるということはかなり意味深です。積極策に見えて、どうもスクラップアンドビルドが見えてくるわけで、今回駅が廃止される六石などに代表される末端区間は、阿下喜を含めて段丘の上の街道と市街地の間に高低差があり、かつ路盤状況が極度に悪く最徐行でも車体が飛び跳ねる状態ということを考えると、今回の新駅以遠の鉄道としての存続に付いて考える時期が遠からず来る可能性も見て取れます。
 三岐が請け負った期間は10年ですが、その間は現状維持なのか、手を入れるのか、さらにそれをスクラップアンドビルドの発想で行うのか、今後が注目です。

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 今回は馬道で降りて路地を歩いて近鉄益生駅に出て四日市方面に向かいましたが、確かに近いことは近いですが、すぐそばと言うこともないです。
 益生自体が急行通過駅で本数が少ないですが、まあ益生からなら上りは桑名待避、下りは四日市まで逃げ切りというダイヤを考えると利用価値はあるという所でしょうか。

自分が乗ったときの印象
 投稿者---和寒氏(2004/02/02 09:13:48)http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 あと、近鉄時代にはロクに集札もしてなかった印象がありましたが、今回は北大社から特改が乗車するなど熱心です。ただ、楚原の自動改札は「場違い」と言わざるを得ない理解に苦しむもので、三岐になっての対応もちょっとチグハグです。

→私が乗ったときは平日午後でしたが、楚原から高校生(いなべ総合学園高か?)の大量乗車がありました。通学定期だけでも落ちがないようとするための自動改札ではないでしょうか。

 今回駅の統合があるエリア、長宮から北大社を経て六把野までは国道と若干離れており、ゆえに北大社まではそこそこの乗車があると言う感じですが、その先の国道沿いにP&R機能を持つ新駅を作り、北大社折り返しの延長と推測される区間運転の設定があるということはかなり意味深です。積極策に見えて、どうもスクラップアンドビルドが見えてくるわけで、・・・・・・

→それはありえるでしょうね。もともと北大社で極端な段落ちがあるようですから、末端部の廃止は視野に入っているはずです。興味があるのはどこで切るかですが、高校生の逸走を避けるならば楚原、輸送密度だけで考えるならば北大社、中間としては新駅、というところでしょうか。

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 それにしても、例示された川沿いの路盤が悪い状況もさることながら、全般に規格が低い(というよりも低すぎる)路線を生かしておく意義がよく見えません。三岐鉄道の旅客列車はほとんどが中古車なので会社側はよく理解している様子ですし、またその意欲も持っているように見受けられますが、他鉄道からの安価な中古車を受け入れられる規格に揃える必要があります。三岐本線とあわせるならば、1067mmへの改軌は不可欠だと思います

〔樽見鉄道〕「セメント輸送の打ち切りはプラス」…支援団体の評価に見る「マイレールとは」
 投稿者---551planning(2004/02/23 01:12:40)
−少数株主である地元に「使命を終えた」鉄道を残す覚悟はあるのか

 <近未来鉄軌道転換可能性地図>、データを更新しました。2月も各路線でいろいろな動きがありました。最たるものは名鉄岐阜市内線関連4線、ついに名鉄からの「最後通告」が出たわけですが、3月にも対策協議会から3セク・公設民営両方式での存続方向性調査結果が出される事になっている由、これ如何で今後の方向性がはっきりしそうです。また銚子電鉄でもなにやら不穏な動きが…社長が同社名義で多額の借金、私的流用していたとして解任されています。当面は現状のままの経営体制で行く旨が臨時株主総会で決まっているとはいえ、屋台骨が揺るぎかねない状況で行政がどのように動くかが焦点になりそうです。

 今回、独断と偏見で設定している「転換指数」の変動は樽見鉄道について、40%から50%へと1段階引き上げました。主要株主でもある住友大阪セメントが、05年度での貨物輸送の廃止方針を打ち出したというもので、低減傾向にありながらも安定収入の要であった貨物輸送の廃止は同社の経営に大きく影響を与えるものと考えられます。
 そんな中、『セメント輸送の打ち切りはプラス』とする方もいらっしゃいます。支援活動を行っているNPO法人「樽見鉄道を守る会』の高橋理事長です。

セメント輸送打ち切り 樽見鉄道に痛手(朝日02/21)http://mytown.asahi.com/gifu/…

 上記記事にある通り、『セメント輸送がなくなることで、樽見鉄道が純粋に「地域の足」として位置づけられ、本来の第3セクターの形になる』という見解からの視座なのですが、ゆえに『沿線に通学する高校生のためにも税金を投入するべきだ』という主張に持ってゆくのはなかなか難しいところもあります。勿論字面だけでは主張そのものを理解する事はできませんし、“税金”が指すものも判りませんが、現時点でも税金は投入されている事や、通学の高校生対象ならば特定輸送のほうが効率的とも思われます。無論ゆえに当方が廃止論者というわけでもありませんので誤解なきよう。
 個人的にこの視座に注目したいのは、貨物輸送のおかげで経営安定化の基金がなかったという点にあります。会社側としてもそれに胡坐をかいていたわけではなく、むしろ延伸を薄墨桜と結びつけ大々的に売り込んだことが想起されるように、さまざまな方策を検討していたことを理解しているのですが、それだけに今の苦境が俄かに信じ難いというか、厳しく云えば中長期的展望に欠けていたのかということも云えようかと。
 その意味で「地域の足」として生き残るために何が必要なのかということが、今まさに問われているのだということを当該地域がどれだけ理解しているのか?…それは支援団体がNPO法人化されたという動きに見て取れると考えますし、丁度合併となった本巣市にとっては名鉄揖斐線の動向を含めた新市の交通体系方針にも関わるものであることからも、今後注目したいと思っています。

少数株主である地元に「使命を終えた」鉄道を残す覚悟はあるのか
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/24 21:39:38)http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 何というか、その真意よりも見識を疑う発言です。

 鉄道の存廃問題が起こった時に、何がなんでもバス代行は宜しくないと鉄道至上主義ともいうべき反応を示すケースはありますが、今回のそれは「旅客鉄道至上主義」とでもいうのでしょうか、新手の発想のように見受けられます。

 言うまでも無い話ですが、鉄道の目的は旅客輸送だけではありません。いえ、日本のように旅客輸送がほとんどと言うのは世界的に見ても珍しく、貨物輸送もまた鉄道の重要な使命です。
 それゆえに、鉄道である理由が旅客輸送ではなく貨物輸送があるからというケースがあっても当然であり、その典型が宇部興産の石灰石輸送のために「幹線」として位置付けられた美祢線でしょう。同社の専用道輸送へのシフトで「抜け殻」のようになってますが、貨物無かりせば現在のようなまことに閑散とした線区が「幹線」として君臨出来たのはまさに貨物輸送なのです。今で言えば津軽海峡線もそうであり、旅客輸送は青函連絡船時代を下回る規模になってますが、北海道から本州、遠くは九州までつながる貨物輸送の大動脈として機能しています。

 奇しくも同じ岐阜県(といっても最北端ですが)の神岡鉄道とこの樽見鉄道は、その多くが軌道を残せなかった旧国鉄の一次廃止対象路線において、まさに貨物輸送のために第三セクターとして存続したのであり、もし樽見鉄道にセメント輸送が無ければそもそも鉄道で残ることすら有り得なかった、また、樽見延長も無かったでしょう。だいたい、出資の3/4が民間(51%が西濃鉄道、24%が荷主の住友大阪セメント)であり、荷主の三井金属が51%を出資する神岡鉄道同様、企業主体の「専用線」という側面が強いと言うことは理解すべきです。
 つまり、鉄道である目的が失われた場合、当然鉄道である理由そのものが問われるにもかかわらず、それが存続にとってプラスと言う発想はどこから来るのでしょうか。確かに少なからぬ通学利用をはじめとする地域の足という面はありますが、それを地域が税金を投入してまで鉄道輸送に固執する意義があるのでしょうか。三セクとはいえ民間主導ですから、その決定に反して地域が鉄道を維持するのであれば、赤字運転資金の補填にとどまらず、出資金の肩代わりという多大な「痛み」を覚悟する必要がありますし、それは行政のみならず納税者も含めた地元が一から賄うべきものですが、そこまで考えての「プラス評価」なのでしょうか。

***
 そもそも大量輸送においてメリットを発揮する鉄道ですから、事業者は通勤、通学その他のベースとなる利用者を開拓・確保し、さらに観光客など不定期客の入り込みを図ることで利用者を増やそうと努力しています。

 樽見鉄道におけるベースの利用者は、たまたま物言わぬセメントだったわけで、ではその「ベースの利用者」の「逸走」に対して、人間を相手にするような努力は何かしたのでしょうか。もっとも、貨物輸送はその先のJRもあるわけで、樽見鉄道だけではどうしようもない面もあるだけに、おそらく努力はしたであろう樽見鉄道側を責めるのは酷かもしれませんが。

 旅客がメイン、もしくは旅客専用の鉄道においては、利用者が極度に減少したら存続が難しくなります。利用者の減少は漸減傾向であることもあれば、企業や学校の移転により、一夜にして失われることもあります(旧JR大社線)。
今 回の樽見鉄道の事例は実はこれと同じであり、旅客輸送と言う面だけで事象を見るから真相が見えなくなっているのです。
 確かにセメント輸送が無くとも、通学輸送があり、淡墨桜の時期は専用ダイヤを組むほどの人手で賑わいます。しかしながら、それだけで鉄道を維持出来るのか、また、鉄道でなければ輸送が麻痺するのか、そういう検証がまず必要でしょう。

 今回のセメント輸送打ち切りは決して「プラス」でありません。まさに鉄道存続の土俵際に寄り立てられているのです。そして、地域が何とか支えてこらえるのか、鉄道という土俵は取り敢えず割って体力を温存するのか、ギリギリの議論がこれから始まるのです。

Since 2004.01.17 Last Update2004.11.15

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