【検証:】掲示板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.100)
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「女性専用車両」ブームへの疑問
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/12/04 22:43:41)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

「女性専用車両」ブームへの疑問
└本来は料金制によるリザーブが筋では
 └Re:本来は料金制によるリザーブが筋では
  └釈然としないアプローチ
   └Re:釈然としないアプローチ
    └目的が明快でさえあれば
現実に悪夢が起きている
 └広がる波紋
  └Re:広がる波紋
   └難しい「理想と現実」の落としどころ
    └Re:難しい「理想と現実」の落としどころ
  └阪神は「構造上の問題」をどうクリアするのか
   └神戸市の「教訓」から何も学ばなかったのか...
    └速報・青木駅初日点描
     └導入第1週目の様子

 7月1日から大阪環状線、学研都市線で試験導入されていたJRWの女性専用車ですが、12月2日からJR神戸線、京都線、宝塚線、東西線の普通電車及び一部快速電車、つまり、阪和線とゆめ咲線を除く線区の4扉通勤車(103系、201系、205系、207系)に拡大され、時間帯も朝ラッシュのほか夕ラッシュ時に拡大されました。

 ちょうど施行2日目の3日夕方に神戸線に乗る機会がありましたが、上下線の列車を見る限りはこころもち空いているという感じは無くもないですが、駅の階段位置などの条件から来るこれまでの編成内の混み具合を歪めるような効果は見えませんでした。
 各駅では乗車口にあたるホームにペインティングが施され、かつプラカードを持った係員が立つという念のいれようです。
 ただ、三ノ宮以西や朝ラッシュ時の様子を見ておらず、巷間懸念される「専用車が空いていてその他はぎゅうぎゅう」という事態に本当になっていないかはまだ分かりません。

***
 さて、女性専用車は関東の京王を皮切りに、JRE(埼京線)が続き、関西でも阪急、JRW、京阪、大阪市営地下鉄(御堂筋線)と来て、名古屋市営地下鉄(東山線)でも導入とトレンドになっています。
 特にラッシュ時の混雑が比較的緩い中京、関西圏での導入は時間帯が長かったり、終日実施となったり、編成長に占める割合が高かったりとかなり大胆な導入です。
 特に12月16日から導入する予定の神戸市営地下鉄は、西神・山手線が6連、海岸線が4連ですが、それぞれ1両終日導入と、特に海岸線は25%を女性専用車に充てるという例が無い厚遇です。

 これについて締め出された側の男性の批判は大きく、特に名古屋市では男性の反対が8割を超えるなど、時間帯の拡大や占有率の上昇といった本格導入につれて当初は好意的だった風潮も変わってきているようです。

http://www.zakzak.co.jp/top/t-2002_11/2t2002113009.html

 私自身もある程度の配慮は必要とは思うのですが、今のやり方には問題を感じています。
 つまり、例えば飲食店などの商店が女性専用としたり、女性を優遇することについては商行為ですから、他の様々なサービスの一環と見ることが出来ますが、鉄道の場合はどうでしょうか。
 鉄道は「公共」交通機関です。この手の公共空間において、性差で立ち入りを制限することがどこまで許されるのか、充分な検討があったのでしょうか。
 例えば公共の場においてトイレは基本的に男女別で、異性が入ることは許されませんが(混雑する高速道路などで例外が見られるのは嘆かわしいですが)、鉄道はそのような私的空間ではありません。
 もちろん実際に痴漢被害が発生していることは重く受けとめるべきですが、あくまで女性専用車はこの卑劣な犯罪対策としての「緊急避難」として存在するという原則を持たない限り、単に女性を優遇する新しい形の性差別に過ぎません。
 特に阪急や神戸市のように全日終日設定となると、その「緊急避難」としての意味合いも相当薄れます。酔客や混雑対策という理由もありますが、痴漢という「犯罪」ではなく、快適性を重視しての優遇は疑問で、男性も同じ条件で乗車してますし、だいたい、「女性は弱いから配慮」というのも「女性差別」なんです。

***
 さて、明らかに問題なのが男性に対する「経済的、肉体的不利益」の側面です。
 神戸市営海岸線が4両中1両を充てると書きましたが、この場合男性にとっては3両編成、女性にとっては4両編成のサービスが提供されるわけです。編成両数や座席数というのは運賃という対価に見合うサービス提供の内容であり、それが性差によって異なるというのは「公共」交通として問題です。
 まあ海岸線は「ラッシュが無い」というくらいの低迷ぶりですから実害は無いのかもしれませんが、定員を上回る利用がある中での専用車の設定は、やはり不利益といえます。
 そもそも「差別」で問題になるのは、結果の平等よりも機会の平等であり、乗車チャンスが関西圏の実施例ですと10〜25%低くなるのはまさに機会の不平等です。

 とはいえ乗客の圧倒的多数が男性というわけではないので、専用車との住み分けが発生すれば実害は無い、というより専用車の比率<利用者の女性比率であれば専用車の方が混雑するのですが、現実には専用車には女性が、そして一般車にも相当な数の女性が乗車しており、必ずしも住み分けが生じている感はありません。
 乗車率に目立った差異が発生している場合、女性は女性専用車に誘導して乗車率の均質化を計るといった対応をあわせて取らないと、機会の不平等のみならず結果の不平等も発生することになります。

 もう一つ問題なのは、本来もっと優遇・配慮すべき存在よりも、性差という一点において優遇されているということです。つまり、身体障害者や老人、また乳幼児連れの男性(おっ、と思うかもしれませんが、育児への男性の参加もまた女性が求めてますよね...)といった層は、健康な女性が「専用車」を与えられているのに対し、一般車で他の乗客の好意にすがるしかないのです。
 重ねて言いますが、各社の規定ではわざわざ「障害者もしくは介護者のどちらかが女性」以外のケース、つまり男性の障害者単独もしくは男性に男性の介護者が付いた場合は乗車できないのです。これはどう考えてもおかしい話で、本来配慮し、譲るべき存在の方が優遇されています。もし専用車の取り扱いが正であれば、各社の優先座席の規定も、「まず女性が優先」と変えるべきでしょう。

***
 そもそも犯罪対策であれば、警察など司法機関の対応が第一にあるべきです。それが不可能、つまり犯罪摘発が出来ないということを当局が認めることは許されない話です。そちらの努力をまず促すべきであり、利用者側の自衛策としての手法についても、もう少し社会的コンセンサスと、既存の社会マナー&ルールとの整合性をとってからやり直すべきだと思います。

本来は料金制によるリザーブが筋では
 投稿者---和寒氏(2002/12/05 21:10:40) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 エル・アルコン様の論旨に全面的に賛同します。

 近頃の百貨店はフロア構成を女性顧客中心にするところが多く、男性が買物するには不向きどころか苦痛さえ伴う場合さえ見られます。まあ、これはその百貨店の顧客対象戦略と納得する余地もあり、当該百貨店を避けることもできますから、許容範囲のうちでしょう。
 しかし、鉄道の女性専用車両とは如何なものでしょう。同運賃でありながら明確に待遇の差を与えるというのは、極めて差別的でありすぎます。
 優遇的な快適環境を提供するからには、相応の対価を求めてしかるべきです。対価なき優遇は、平等の原則に反した差別行為といわざるをえません。

 もっとも、鉄道会社側の姿勢にはそれ以上の問題があります。痴漢という犯罪行為を抜きにしてさえ、現状のラッシュ時混雑による苦痛は基本的人権を無視したものであるからです。日本の大都市圏では非現実的ということを認識してはいますが、定員乗車が可能な輸送力を提供もせず、しかも一部利用者のみを優遇する(現状の専用車比率では全ての女性が受益しえない)という現下のトレンドは、二重の背信ととらえることさえ可能なのです。

Re:本来は料金制によるリザーブが筋では
 投稿者---ねぎ氏(2002/12/06 02:35:02)

 この女性専用車両の設置という対応が厚遇とうつるところあたり、善良な(普通の)方々だと思います。二つの意見はまったくその通りです。女性専用車は大半の男性にとって意味も無く不利なものです。しかし敢えて別の見方をしてみたいと思います。

 痴漢に遭遇しない、つまり善良な市民がいわれの無い犯罪に巻き込まれて被害者にならないのは一つの権利だと思います。好んで犯罪の被害者になる人もいないですし、そのために警察や裁判所があるといえるかもしれません。
 そう考えると犯罪に遭わない(痴漢に遭わない)保障として割増料金を請求するのは不自然であり、痴漢に遭わないのが当然であると思います。しかし現実には犯罪が行われており、権利を保障するものとして、このような対策がとられているなら、性別に関係なく認められるべきだろうと思います。

 阪急も地下鉄も昼間は空いているにもかかわらず、終日設定していることについては痴漢対策とはまた違った視点で評価せざるをえません。ここで、多くの鉄道は公共交通機関でありながら、運営は競争原理と資本主義の働く民間企業であるということも念頭に置いて考えてみます。すると、もし終日女性専用車を設定することで(男性利用客が減ったとしても)全体的に乗客が増え利益増につながったとすれば、たとえ男性にいくら不利な内容であっても採用される可能性があるということです。極端な話、女性専用「列車」ができても儲かれば実現する可能性があるわけです。どう見ても差別だと思いますが、止めさせる具体策は思いつきません。

 じゃあ逆に男性専用車両も作ればよいかといえばこれは違う話で、個人的には非常に乗りたくない車両であり、知人の一人もそう言っていましたが、まったくサービスの向上にはつながっていない的外れなものだと思われます。

 また犯罪対策として警察などが常に張り込むことは事実上不可能です。基本的に警察はことが起こってからしか動きません。となると鉄道会社は自ら何らかの対策を取らざるを得ないわけで、その一つの形であると思います。ここで施策について反論があるということからも男性が不満をもっていることが窺えますが、文句をたれていても仕方がないので、男性がより公平と感じるような、痴漢対策のアイデアがあれば伺いたいものです。個人的には何も思い浮かばないので、最高の案として現状を受け入れています。

 現状のラッシュ時混雑による苦痛は基本的人権を無視したものである

 一言だけ言わせてもらうと、列車の編成をより長くし、複々線化などをすればよいのかもしれませんが、そのお金は誰が出すのかということです。例えば運賃が5倍になれば対策など取らずともそれだけで空いてしまうのが現状だと思いますが?もちろん鉄道会社の怠慢であるような路線もあるでしょうが、多くの場合すでに限界近くまでやってくれてると思います。

釈然としないアプローチ
 投稿者---和寒氏(2002/12/07 10:06:17) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 ねぎ様、こんにちは。

 勿論、朝夕ラッシュ時のこれ以上の混雑緩和は現実的に難しいこと、そしてその混雑があるという前提においては、痴漢犯罪防止に寄与する実効策が少ない、ということは承知しております。
 しかしそれでも、「専用車」というアプローチには釈然としないものを感じるのです。

 都市圏の鉄道車両の構造からして、混雑率100%であってさえ席に着けない利用者が半数ほど存在します。そして現状の混雑率は(路線や列車にもよりますが)200%前後あります。この現状に対して、混雑率緩和には目標値(150%/首都圏暫定目標値は180%)が示されていますし、利用者との約款のうえでも、各鉄道会社には混雑を緩和する責務があるといえます。
 混雑緩和は実現します(あるいは痴漢犯罪が起こらないようにします)、しかしそれには時間がかかるので暫定措置として専用車を設けます、というアプローチであればまだ理解できます。でも、現在の専用車に対するアプローチは、鉄道会社の責務実行が明示されないかたちで、「サービス上の設定」という意味あいが強いように見受けられます。
 ここが釈然としない点の一。

 専用車の設定には大きな矛盾があります。
 専用車の混雑率が列車全体の平均を下回る場合、全ての男性利用者の負担を増すとともに、(発車間際の乗車などの事由で)専用車を利用できない女性利用者の負担をも増すことになります。つまり専用車の設定は、同料金を徴しておきながら一部女性利用者のみを優遇する、男性全利用者と多くの女性利用者に対して差別的な措置だ、ということです。
 専用車の混雑率が列車全体の平均を上回る場合は、論を待ちません。専用車を利用するだけ負担が増すことになります。
 ここが釈然としない点の二。

 専用車のアプローチには、鉄道会社の責務遂行が明らかにされておらず、しかも対策として矛盾のある弥縫策であるということで、先の投稿では「二重の背信」と厳しく記したのです。

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 現時点で広く支持が得られるであろう対策は、料金を課した快適環境の提供です。これはなにも特別な方法ではありません。現実にグリーン車やライナー号として幅広く認知され受容されているものです。
 どのような属性の利用者であれ、別料金を支払うことで等しく快適な空間を得ることができる、という仕組みの方が妥当ではないでしょうか。

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 ただし、輸送力に余裕がある時間帯での専用車設定については、御指摘のとおり各会社の顧客戦略に属するものであって、外野はとやかく言えません。たとえ優遇されない属性から見て面白くない内容であったとしても。

Re:釈然としないアプローチ
 投稿者---かまにし氏(2002/12/08 01:09:19)

 かまにしです。みなさん、こんばんわ。

 僕は、基本的に女性専用車のコンセプトについては賛成の立場です。ただし、「やりすぎは反感を買うのは当然で、それを承知の上で」と考えております。

 女性専用車の導入にあたっては、僕は以下のことが前提になると考えています。

  1. 指定席料金を徴収する列車の増結・増発が不可能

  2. 通勤時間帯における当該路線利用者の性比

  3. 混雑区間が長い

 最初に女性専用者を導入した京王電鉄については、深夜時間帯の優等列車ということで1と3の条件にあてはまり、なおかつ京王沿線は首都圏の他の路線と比較して勤労者女性の割合が高い地域であり(←統計もあります)、1〜4の条件を全て満たしています。しかも10両編成中の1両のみに限った施策でした。だからこそ、女性のみならず男性からもある程度の支持が得られたのだと僕は考えております。

 埼京線についてもこれは同様で、特に埼京線は痴漢被害が多いことで有名だったことも事実ですので、これも納得の行く話ではないかと考えております。

 一方、関西のJRや阪急の対応については、私は正直言って理解に苦しむ部分があります。JRについては、列車が京王や埼京線のように都心ターミナル駅始発ではない中で、女性専用列車を導入する区間に入った途端に男性は専用車外に追い出されてしまうのでしょうか?正直言って、「そこまでしてやっても…」と感じざるをえません。

 阪急については、ラッシュ時の導入は理解できる面があるとは言え、むしろ非ラッシュ時になぜそれを導入するのか?これは少々きつい表現をしてしまえば「逆差別」と言われても仕方ないのかなと僕は思います。

 ただし、おそらくエル・アルコン様や和寒様と、ラッシュ時における導入の是非については意見が異なっているものと思われます。僕は、

 専用車の設定には大きな矛盾があります。
 専用車の混雑率が列車全体の平均を下回る場合、全ての男性利用者の負担を増すとともに、(発車間際の乗車などの事由で)専用車を利用できない女性利用者の負担をも増すことになります。つまり専用車の設定は、同料金を徴しておきながら一部女性利用者のみを優遇する、男性全利用者と多くの女性利用者に対して差別的な措置だ、ということです。

 このような状況は、当然あってはならないと僕も考えていますが、

 専用車の混雑率が列車全体の平均を上回る場合は、論を待ちません。専用車を利用するだけ負担が増すことになります。

 これについては、「たとえ女性専用車がそれ以外より混んでいたとしても、専用車に乗って安心して帰りたい」という女性は結構いるのではないかと思われ、そうだとすると、他の車両の混雑も若干緩やかになり、双方にメリットは生まれてくると思います。もちろん、実際にそこまであからさまな状況は生じないとは思われますが…。

 裏を返せば、やはり「女性専用車」というサービスは、身体が触れ合うほど混雑している状況だからこそ、男女双方に支持されるサービスとして成り立つのであり、逆に非ラッシュ時への導入はそもそも当初のコンセプトを逸脱して、男性を中心とした乗客の反感を買っても仕方がないと思います。いかがでしょうか?

目的が明快でさえあれば
 投稿者---和寒氏(2002/12/13 10:54:03) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 和寒です。いささかの反省を籠めつつ、書きこみます。

 先日埼京線を利用する機会がありまして、飛び乗ったのは大崎方先頭車。着席してふと窓を見ると、「女性専用車」とステッカーが掲げられているではないですか。乗ってはいけない車両に乗ったかと、慌てて周囲を見渡すと男性の乗車もあります。よくよくステッカーを見ると、「大崎発22:56発以降の列車では女性専用車になります」との由。
 この注記を見て、埼京線の女性専用車の意味がわかったような気がしました。私自身はその時間帯の利用経験がないのですが、深夜帯の埼京線列車は特に赤羽以北において空いており、なにかトラブルがあっても助けを呼べないという意味において不安感がある、と妹から聞いたことがあるからです。だから、埼京線の専用車には、輸送力に充分余裕がある状況での「安心空間」の提供という意義があると直感したのです。
 以上は推測ですから、JRの真意がどこにあるかはよくわきまえません。しかし、以上のようなことが専用車設置の理由であれば、しっかりアナウンスしておくことで、合意が得やすくなるのではとも思いました。
 してみると、他社での理由を詳しく知りたいものですが。

現実に悪夢が起きている
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/01/23 19:48:22) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 問題点として指摘はしましたが、悪夢としか言いようの無い事態が本当に起きています。
 以下、重大な問題なのでweb版の消失に備え、敢えて記事全文も併記します。

 電車内の痴漢被害の防止を目的に、兵庫県内のJRや神戸市営地下鉄などで運用が始まった女性専用車で、視覚障害などがある男性が知らずに乗車し、トラブルになるケースが起きている。子どもを除けば男性は乗車できない専用車両。しかし、視覚障害者にとって、生活訓練で体得した乗降位置の変更は負担が大きく、鉄道各社は今後、改善が求められそうだ。(松本茂祥)

 男性のうち女性専用車に乗れるのは、女性同伴で、小学六年以下(JRは同伴なしでも可能)▽介護が必要な人か介護者が女性の場合に限られる。障害者男性の単独利用は認められていない。

 昨年十二月から女性専用車を導入した神戸市営地下鉄には、視覚障害や車いすに乗った男性から「従来通りの位置から乗せてほしい」「専用車両が分からない」といった意見が寄せられている。

 また、本紙イイミミ(注=神戸新聞の情報募集部門)にも障害がある男性が駅員から他車両への移動を求められて拒否し押し問答になっていたという目撃情報や視覚障害者のサポートをしている団体職員から白いつえの使用者の適用除外を求める声が寄せられた。乗車時だけでなく、降車する際にホームの位置も変わるため、歩くルートも変更されることになるという。

 視覚障害者が一人で電車が利用できるまでに一年近くを要することもあるといい、乗車位置の変更で再訓練を余儀なくされる。また、視覚障害者が女性専用車と認識できる誘導設備もない。

 市交通局運輸サービス課は「導入当初は想定していなかった問題」とし、「女性に安心して乗ってもらうという専用車の目的を守ったうえで、柔軟に対応したい」と具体的な検討に着手。障害がある男性が乗車できるよう利用客の要件を見直していくことにしている。

 JRと地下鉄の導入前に登下校の再訓練をしたという神戸市内の盲学校の教諭は「生徒が誤って乗車し痴漢のように見られてしまうこともある。弱視者にも分かるよう車両の色分けや駅員による誘導などの対応をとってほしい」と指摘している。

 関西では大阪市営地下鉄だけが、昨年十一月の導入当初から白いつえを持った視覚障害者の乗車を認めている。

神戸新聞web版 2003年1月23日付 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/030123ke93050.html

***
 乗客相互間のトラブルは言うに及ばず、神戸市の職員である駅員から障害者が移動を求められるとは尋常ではありません。こういう例えを持ち出すのは適切ではないかもしれませんが、JRWの場合は「皆様のご協力を」というお願いであり、なかには専用車に居座る不心得モノ?もいますが、退去を求めるところまではいっていません。
 ところが神戸市では駅員が強制している、ということはただ女性であれば障害者よりも優遇されるということを行動で示しているわけです。

※「人権教育及び人権啓発の基本的あり方について」提言(中間取りまとめ)
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/18/menu03/t/humanrights/teigenikenbosyuu.htm

 この手の提言や宣言を無評価で受け入れることには抵抗がありますが、少なくとも神戸市がこういうスタンスで女性や子供、高齢者や障害者について項を起こしてまで「人権」を語っている一方で、混雑の有無にかかわらない終日設定であるうえに、実務面でもこのような運用を行っているという事実には、行政の担い手足る神戸市に対し、強い疑問を感じます。

 さすがに障害者の乗車条件を緩和するようですが、高齢者の問題もありますし、なによりも「導入当初は想定していなかった問題」とコメントした市交通局運輸サービス課の見識というより常識は厳しく問われるべきでしょう。
 昭和40年代、中央快速線に最後まで残った「婦人子供専用車」が廃止になった際、その代わりに設置された「シルバーシート」は誰を対象にしたのか。痴漢という犯罪の有無にかかわらず、まずいたわるべき対象を見失った今回の顛末には憤りと情けなさを感じます。

広がる波紋
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/02/18 00:38:24) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 この問題は2月16日付の朝日新聞神戸版でも取り上げられました。
 「神戸市営地下鉄女性専用車両 揺れる障害者の利便」「車椅子の場所、半減」
 見出しだけで中身が分かりますが、囲みの半7段ですから大きな記事です。

 西神・山手線は6両編成ですが、そのうち中程の3、4号車に車椅子スペースが設けられており、駅のエレベーターもそれに合わせて中程に設置してあります。
 ところがそのうち1両が女性専用車に指定されたことで、せっかくの設備が半分死んでいます。市側は両端は駆け込み乗車が多くトラブル発生の元、としていますが、神戸市に抗議書を提出した元養護学校教諭の方の談話が出ていますが、「2両目か5両目でも良いはずなのに」とあり、なぜわざわざそうした設備のあるクルマを指定し、しかも女性障害者単独もしくは女性介護者付き以外の利用をオミットしたのか、全く不明です。

 先の神戸新聞の記事では、視覚障害者の方にとって、乗車位置変更は一からトレーニングをやり直さないといけない難行とありましたが、まあこれは健常者にはピンと来ない話と言うことも可能です。しかし、車椅子スペースやエレベーターについては設置者たる市交通局がいちばん熟知しているはずで、確信犯といって差し支えないほどです。

 記事では極度な弱視者の男性の談話も出てましたが、白い杖を利用しているのに女性客に注意された話がありました。さらに記事によると視覚障害者の多くはわざわざ人込みを避けてピーク時を外して利用しているのに、終日設定のため影響を受けています。

 神戸市では男性障害者の単独乗車も認める柔軟な対応を「検討する方針」を打ち出したとありますが、この期に及んで「検討」とはどういうことでしょうか。迷惑行為が発生する以上、女性にとってのリスクフリー空間が必要という市のコメントが出ていますが、車内でいちばんの被害者は女性という認識にまず根本的な間違いが在るといえます。女性が被害に遭うのは痴漢等の「犯罪」行為であり、警察力による摘発と抑止がその対策のはずです。それを障害者(お年寄りなどもそうでしょう)というより弱い存在を犠牲にして「リスクフリー」を確保するというのは論外です。
 だいたい、この「理由」は乗客が少ない、犯罪の起きにくい時間帯を含む終日運用の理由に全くなっていないことに注意すべきでしょう。

 記事の最後は市交通局のアンケート(募集中)の中間集計で締めくくられていますが、941件の集計中、賛成211、反対620、どちらとも言えないが110となっており、反対票の単純な比率で約66%、賛成比では3倍となっており、そこまでの批判と欠陥を抱えて続行すべきかが問われています。

Re:広がる波紋
 投稿者---坊主氏(2003/02/22 04:14:08)

エル・アルコン様へ

 当掲示板にてはじめて発言いたします坊主と申します。
 私は神戸市営地下鉄に乗車して通勤しているものですが、貴殿のご意見には全面的に賛同いたします。女性専用車両は、朝夕のラッシュ時および深夜帰宅時の酔客・痴漢対策を目的として導入されるべきものであり、昼間時のようにラッシュでない時間帯まで導入すること自体が論外でございます。
 JR線、他都市の地下鉄、私鉄(阪急以外)では女性専用車両を時間限定で導入しており、時間帯にばらつきがありますが、平日のラッシュ時をカバーしている点では評価に値すると思われます。女性専用車両は車両の長さも需要な要素であり、私の個人的見解ですが、ラッシュを考慮すると6両編成以上の電車でないと設定は難しいのではと考えます。海岸線については、4両編成の電車でほとんど混んでいないのであれば、女性専用車両の運用は停止すべきであるという意見もあります。
 私は、貴殿のご発言にあった地下鉄のアンケートに連日のように終日運用の問題点を書いて投書しています。6割以上が反対とのことなのですごく味方を得た気分になりました。

難しい「理想と現実」の落としどころ
 投稿者---551planning(2003/02/25 20:42:27)

 神戸市営地下鉄の話はさらに広がってゆきそうです。

毎日 http://www.mainichi.co.jp/area/hyogo/news/20030224k0000c028001000c.html

 ソース失念で恐縮ですが、車椅子対応設備設置の進展で公共交通での車椅子利用者が増えてきているというデータも先頃公表されているだけに、記者の反省も記されているところ、「障害者」と括る視点から先も欲しかったような気がしますね。マナー、モラルという切り口と、「利用者への座席提供」の観点から見た「車椅子スペース」=座席撤去という風潮…そういえば阪急が「優先席」を全座席として久しいですが、どんな状況なのでしょうか。

 「車椅子スペース」とよく言いますが、これも結構難しいというのも最近出てましたね。

毎日 http://www.mainichi.co.jp/area/nara/news/20030222k0000c029001000c.html

 これはまた別途投稿しようと思いますが、「バリアフリー」の歪みとでもいいましょうか…障害のある方が強く欲するものは、実は広く一般的に望ましいニーズと合致しているはずですよね。それが「ユニバーサルデザイン」なわけで。ただ、その中でも優先度合いがあるわけで、そこは広い意味でのモラルがカバーすべきところなんですが、コトバではカンタンでも、の世界ですね。

***
 女性専用車両に話を戻すと、こんな「不届者」もいるようで。

毎日 http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/871810/82i82q90bc93fa967b-0-1.html

 「常習」はある意味コワイですね。かといって乗り間違いやそれこそ障害を持つ方がやむなしにという場合に、周囲の女性の方の反応もまたコワイところ…いや、冗談ではありませんよ。
 「痴漢」というよりも「酔客対策」からはじまった女性専用車両。かつて国鉄時代も朝ラッシュ混雑緩和策で結局消える運命にあったわけですが、一度はじめたもの、なかなか「すぐ止めます」とは云いづらいトコロ、さらにはやめるにせよ、どのように説明するのかも至難なのでは?鉄道会社も半ば流行りに飛びついたところがあるでしょうが、これからはおいそれとというわけにもいかなさそう、改めて検証が必要かもしれませんね。

Re:難しい「理想と現実」の落としどころ
 投稿者---坊主氏(2003/03/01 02:03:07)

551planning様、はじめまして。

 女性専用車両の運用で障害者対応が不充分であると批判されていた神戸市営地下鉄が、障害者男性客(車椅子、視覚障害者)の単独乗車を認めました。2月28日から実施されています。

神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/030228ke98250.html

 私は、障害者対応が不充分である件をめぐって「お客様アンケート」に毎日のように文句を書いておりました。今回の神戸市営地下鉄側の対応で、1歩前進したのではないかと思われます。大阪市営地下鉄では昨年11月に女性専用車両を導入してから視覚障害者の男性(白い杖を持っている)については単独乗車を認めていると聞いておりました。神戸市営地下鉄当局が本当に保護すべき乗客が誰であるかを忘れていたことに気づかされたことはいうまでもありません。
 阪急線の女性専用車両の例外条件につきましては、こちらの情報不足のためコメントできません。大変申し訳ありません。

 女性専用車両に話を戻すと、こんな「不届者」もいるようで。
 「常習」はある意味コワイですね。かといって乗り間違いやそれこそ障害を持つ方がやむなしにという場合に、周囲の女性の方の反応もまたコワイところ…いや、冗談ではありませんよ。

 上記については、JR側でも視覚障害者の方が乗り間違いという場合は、黙認するそうです。たとえ軽犯罪であっても、障害者の乗客が無実の罪を着せられるのは納得できることではないでしょう。周囲の女性客の反応については私も予想できないと思いますが、もし質問があれば、JRの職員が説明責任を負うべきでしょう。

非ラッシュ時運用を見て
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/21 12:14:41) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 昨日朝、市営地下鉄に乗る機会を得ました。実は西神ならクルマ、他は他社線で用が足りることもあり、地下鉄に乗ることはほとんど無く、ようやく何かと話題の市交の女性専用車の実態を見ました。
 乗車日時、区間は日曜朝8時過ぎの板宿から学園都市間。別に混み合うとも思えず、お出かけ需要も無さそうな逆方向であり、閑散時の専用車運用の是非を考えるには良い題材です。

 専用車の隣の車両に乗りましたが、各駅ともホームや壁面に目立つピンク、というかショッキングピンクに近い色彩の掲示があり、いやがおうでも目立ちます。さらにダメを押すように階段を降りたところのホーム上にも、女性専用車はこちらと誘導する掲示が同色であり、ピンクの洪水といった感です。
 ガラガラの車内を予想してましたが、高校の運動部か、部活動のグループがけっこうまとまって乗っており、車両によっては詰め合って座るまでも無いのか名谷あたりまでは立客もちらほらいました。

 肝心の女性専用車ですが、乗客は10人程度。他の車両が前述の通り立客がいたり、その後も30人程度は乗っていたのと比較しても有意に空いています。その意味では万遍なく乗せれば無理無く座れて、しかも目が届くレベルですから問題は無いはずですが、他の車両の混雑度を歪めてまで必要以上に優遇している傾向は明らかにあるようです。

 そもそも女性専用車が痴漢対策の緊急避難的存在という位置付けのはずですが、どうも「女性に対してだけ(彼女等の主観としての)快適な車内空間を提供する」という位置付けになってしまい、しかも利用する側もそれを当然のように受け止めていることは否めません。
 例えば名谷で駆け込んで来た若い男性がそのまま座ろうとすると、声高に立ち去るように要求する人がいましたし、一部マスコミでも話題の車内マナーという面では、人目もはばからずに化粧直しにいそしむ人も目立ちました(母数が少ないのに複数人がやってました)。

 男性障害者への対応については改めたようですが、男性の老人については今もオミットされたままであり、そうした社会の一般常識としていたわる対象であるはずの「社会的弱者」よりも優遇されているという「異常事態」への自覚があるかどうか。車内の実態を見ると本来「異常な」優遇であることを当然視している「一般常識の無さ」がうかがえ、暗澹たる思いでした。

Re:非ラッシュ時運用を見て
 投稿者---坊主氏(2003/04/23 02:33:21)

 これは大阪市営地下鉄御堂筋線の女性用車両運用時間内に発生した話です。
 2ヶ月前(2月21日)のことですが、女性専用車に乗っていた視力障害者(と思われる)男性乗客が、女性乗客から立ち去るように要求されて口論になっていました。電車が動物園前駅に停車すると、その男性乗客は女性乗客からホームに突き飛ばされたというものです(情報源:読売新聞の女性読者向けサイト「大手小町」から)。

大手小町内「発言小町」 http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/index.htm

 上記は、女性乗客が声高に自分だけの権利を主張しすぎて、車内暴力にまで発展した事例です。名古屋市営地下鉄でも同じ事件が起きたようですが、このときは、女性乗客が駅長室に連行されたそうです。
 私の個人的見解ですが、ただでさえ女性用車両に対して猛烈なレームが出ている神戸市営地下鉄でこのような事件が発生すれば、女性用車両を全面的に廃止せよとの声が強まるのは必至と思われます。声高に自分だけの権利を主張しすぎるような女性乗客には女性専用車両を利用する資格はないという考えでしょう。

阪神は「構造上の問題」をどうクリアするのか
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/04 15:15:21) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 在阪大手私鉄では唯一導入を決めていなかった阪神も3月24日から平日朝上りの区間特急に導入することを決定しました。
 まあ自社線内完結の種別で、かつそこそこ混んでいることから実効性も見込まれる無難な選択ではありますが、実は区間特急だから発生するという厄介な問題もあります。

***
 区間特急は三宮始発で朝ラッシュ時に14分ヘッドで6本運転されています。停車駅は青木、芦屋、甲子園となっており、梅田まででは直通特急よりも所要時間が短く停車駅も少ない(直特:御影、魚崎、芦屋、西宮、尼崎)事実上の最優等列車です。

 JRや阪急に対する最大の差異点として、この区間特急は三宮始発ということが挙げられます。もっとも、3社分の着席需要で大賑わいというわけではなく、次の青木でも若干名が座れたり、芦屋の入れ替わりでそれなりに座れるといった実状もあり、座れる数だけが愛用している、という感じです。
 また、対大阪一辺倒というわけではなく、青木や芦屋の事業所への通勤、芦屋や甲子園への通学といった区間利用もそれなりにあります。

 さて、その区間特急=区特への女性専用車導入の問題点ですが、まず、導入車両の位置です。始発の三宮が階段が最後尾、青木は先頭、梅田が先頭と最後尾近くが階段位置であり、両端車両への導入は男性利用者にとって到底受け入れられません。
 また前寄り2両目から3両目は芦屋の階段位置にかかっており(最後尾が最寄りの西口もある)、芦屋川の橋梁上にホームがあり、その階段付近以外の幅が狭い芦屋駅の構造からそこを避けて並ばせることは安全上からも出来ません。
 そうした消去法から前(梅田方)から4両目に決定したのでしょうし、事実そのあたりがあくまで相対論ですが空いているのは確かですが、一方で途中駅降車客がただでさえ混みやすい車両に回るというデメリットもあります。

 ところで区特は三宮3番線の発車です。このホームは折り返し専用になっており、乗車ホームは下り新開地・姫路方面の2番線と共用の島式になっていますが、停車位置が梅田方に偏っており、唯一の階段を降りてから2両分くらい歩く構造です。
乗車側ホームは柱も立っており狭く、梅田寄りの2両分位は非常に狭いです。しかも発車パターンを見ると、折り返し区特になる急行が到着してすぐ直特が発着し、その後、区特発車のすぐ前に高速神戸行きの普通が発着します。そのため発車ホームを前寄りに進むことは下り電車の乗降客を考えるとかなり難しいです。
 実際、夕夜間の始発電車である快速急行や急行を見ても、先頭が階段の位置になる青木下車客ですら、狭い地下ホームを歩いて移動せずに、後ろ側に座ったり、車内を移動するケースが多いです。
 なお乗降ホームを入れ替えれば、と考えたくなりますが、降車ホームは実は5両分しか有効長がなく、梅田寄りの1両はドア締め切りになっているため入れ替えは不可能です。

 こうした構造と状況、また三宮終着である山陽S特急との接続時間(1分)から、後ろ寄り車両に取り敢えず乗車して車内を移動するケースは多く、西灘や大石あたりまで車内を歩く人が目立つようです。
 このとき、先頭から4両目、三宮から3両目に女性専用車が存在した場合ですが、車内の通り抜けの可否が問題になります。制度趣旨から言うと通りぬけも出来ないはずですが、構造上ホーム移動が厳しいのに、車内移動が出来ないのであれば、後ろ2両が非常に混み合い、前4両がガラガラという事態も有り得ます。

 特に着席サービスが目玉でもある区特において、同じ時間にホームにきても男性は事実上2両の座席を争うのに、女性は専用車の向こうの3両を併せた都合6両全部にアプローチ出来る、つまり青木までは6両編成の前4両が事実上の専用車となる著しい不公平が発生します。
 そして三宮のみならず青木や芦屋での着席チャンスの問題も併せると、阪神の競争力を削ぎかねません。

***
 混雑時の痴漢防止というそもそもの制度趣旨からすれば、三宮駅の構造上の問題から、車内移動による乗車率の平準化に頼らざるを得ない以上、女性「専用」車として運用は青木からとして、青木までは「優先」として車内移動を容認するといった緩和策が必要です。

神戸市の「教訓」から何も学ばなかったのか...
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/06 10:50:40) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 阪神電車各駅に女性専用車の告知ポスターが貼られました。

 さて、ポスターを見てこれは問題と思ったのは、「女性専用」の除外規定です。
 幼児関係は他社並みですが、障害者関係が問題です。つまり、本人もしくは介助者のいずれかが女性でないと乗車できません。つまり、男性の障害者単独、もしくは男性の障害者に男性の介助者が付いた場合は健常な男性と同じ扱いになるのです。
 これは各方面で問題になった神戸市営地下鉄での扱いと同じであり、その神戸市ですら2月28日から男性障害者の単独乗車を認めており、かつ隣接事業者で既に問題になっていると言うことは女性専用車設定、運用上の重要な問題点として当然認識すべきことであるのにそのままというのは、阪神の障害者に対する意識の低さを指弾せざるを得ません。

 もっとも、区間特急停車駅に限って考えると、三宮、青木、芦屋、甲子園の各駅ともエレベーターはなく、エスカレーターも芦屋と甲子園の一部のみとお寒く、問題になる可能性が著しく低いのでは、という悲しい現実もあります。

速報・青木駅初日点描
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/24 10:12:56) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 今日から阪神の区間特急でも女性専用車の運用がはじまりましたが、青木駅での様子を速報致します。

 改札口で係員が女性専用車設置のチラシ(既に各駅で配布されているもの)を配り、普段は無い構内放送でも対応しています。
 梅田行きホームでは梅田寄りに放送担当の係員が出ており、案内放送と発車ベル扱いをしており、専用車乗車口にはプラカードを持った係員がこれも案内に努めていました。
 普段の青木駅は改札口に1人配置であり、これらの係員は応援要員のようですが、不慣れなのか放送担当が区間特急発車後にもう一本直特の通過追い越しがあるのを失念して「急行発車します」とやってしまい、離れたところにいた乗務員が苦笑する場面もありました。
 ホームには大きなピンク色の乗車口シールが貼られており、目立つのは確かですがちょっと悪趣味です。

 私がホームに出たときは既に退避の急行が着いた後であり、行列の具合を見ますと女性専用車はこころもち少ない(専用車=各扉10人くらい、その他=12人くらい)程度で有意な差は認められない感じです。ただ、区特が到着した時、つまり三宮発車の状態を見ますと、学校休みに入り客数が少ないはずなのに、先週までは空席があった先頭車や2両目も無く、入れ替わりの空席も無く、青木での着席チャンスが消滅した格好です。女性専用車は空席が無く、立客がこころもち少ない程度。問題は後部2両で、三宮で発車間際に乗車して車内移動が出来なかったのか、明らかに混んでおり、直特に近い状態です。

 青木発車時の状態は全体的に混雑度合いが増したようで、どうも今まで急行などに逃げていた女性客が区特に流れたのでしょうか。そのせいか逆に急行の空席が目立ちましたが、これは準急同様通学客が多いこともあり、学校の新年度がはじまってから評価すべきかもしれません。
 区特の設定意義が芦屋や甲子園といった阪神が強い地区に置ける輸送力専用列車だけに、バランスが崩れたとしたらちょっと厄介です。

 見た感じでは大きな混乱も無いようですが、先に指摘した通り、女性専用車が編成後ろ寄りにあり、三宮の階段が最後部という要因から、女性専用車の後方2両の混雑が明らかに目立つのは問題です。青木、芦屋、甲子園での誘導次第では乗車率の平準化に寄与するかもしれませんが...

 なお、車両側の案内は、窓ガラスに3箇所引っ掛け式の札を下げるようになっています。また前後の車両の貫通扉にも注意があるようです。

導入第1週目の様子
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/28 10:56:04) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 青木駅で見た第1週の様子をまとめてみました(通勤途上ですので、6本のうち5日間とも同一の1本しか見ていません)。

 改札での周知活動と、ホームでの放送及びプラカードは5日間ともありました。
 女性専用車の列に男性が並ぶケースがありましたが、係員からの注意はなし。ただ、到着して表示を見てその男性は他の車両に移っており、単純な見落としのようです。
 車内での横紙破りはいなかったようです。

 混雑ですが、2日目以降は前3両の混み具合は導入前と同程度に。ただ、学校休みに入っているので即断は出来ません。女性専用車の混み具合はやはり心持ち空いていますが、空席があるというほどではなく、青木発車時には立客が出てます。ホームの行列は、他が各扉12〜14人なのに、専用車は8〜10人と少ないですが、導入前から見ての青木における女性客比率からすると止む無し、というか自発的に集中している印象すらあります。なお後部2両の混雑は明らかに増加しており、芦屋、甲子園の乗り具合とも合わせて、改善すべき点なのか分散が計られたのかを判断すべき事項です。

 全体的に導入前よりも心持ちトータルの乗客数が増えた印象で、逆に青木で抜かれる急行の混雑度が若干減った印象もあり、混雑を避けて武庫川−野田を除けば比較的空いている急行を利用していた女性客が区特に流れたのでしょうか。武庫川以西では平準化に逆行しますが、武庫川以東の混雑を考えると、急行にも思わぬ余得発生となっているのかもしれません。
 余得といえば着席可能性ですが、青木まで利用の女性客が、今までの階段最寄りから女性専用車に移った部分も若干見うけられるようで、芦屋を考えると女性専用車の着席可能性はやはり高いといえます。

 特異な例としては、女子中学生(女子高生?)の集団が乗ってきた日がありました。専用車の隣の車両に並んで、そのまま隣の車両に乗ったわけですが、明らかに通常以上の乗客がその車両に集中するケースでもあり、せっかく案内係員を配しているのであれば、そういう「女性客」は専用車に誘導する配慮が必要でしょう。

***
 新学期が始まるまではこんな感じでしょうが、三宮の構造に起因する後部2両の問題を解決できれば(青木までは専用車の通り抜けを認める)、比較的スムーズな導入となっています。直特や急行の女性客を専用車に適切に誘導できれば、各種別の乗車率を平準化出来る可能性もある無難なスタートです。
 もちろん、こう言う性差による区分は、あくまで犯罪行為への緊急避難的な対応として、時間や列車を限定したうえでの特例という原則を忘れてはならず、サービスとしての性差による区分という、公共性に著しく欠ける振る舞いになってはいけないことは言うまでもありません。

盲導鈴が多彩・・・でいいのか?
 投稿者---KAZ氏(2003/02/12 19:24:08)
 
http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/mono/

盲導鈴が多彩・・・でいいのか?
└Re:盲導鈴が多彩・・・でいいのか?

 どうもです。

 最近は鉄道施設だけでなく各種公共スペースでも当たり前になりつつある「盲導鈴」ですが、各事業者などによって各種様々な音源を用いていますよね。京阪電鉄や南海電鉄では鳥の鳴き声だったり、阪急ではとても不思議な音階のチャイムだったり(笑)。

 これらの音は健常者として聞くぶんにはある意味「楽しい」ものだったりする場合もありますが、視覚障害者の人々にとって「音が統一されていない」ということはどう捉えられているのか、ちょっと気になっています。事業者によってはその誘導先の施設に合わせて音を変えていたりする場合などもありますが、それらの統一された規格がないのであれば、視覚障害者の人たちはどうやってその情報を聞き分けているのでしょうか。

(事例)神戸市交通局 http://www.city.kobe.jp/cityoffice/54/040/oto_sign.htm

 神戸市交通局を事例に挙げましたが、この音の使い分けについては恐らく神戸市や近畿圏内の視覚障害者団体などへの案内は行われていると思いますが、果たして圏域外や国外からの来訪者が、これらの音の違いを聞き分けられるのかどうか。また事業者によって様々な盲導鈴を、それぞれ聞き分けられることができるのか、とても気になるところです。

 視覚的案内サインなどでは出口は黄色系統を使用、といったことが一般化していますが、盲導鈴にもこういう形の統一した仕様が必要なのではないかと思っているのですが、さてどうなんでしょうか。

Re:盲導鈴が多彩・・・でいいのか?
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/02/14 14:13:46) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 どこの路線だったか忘れましたが、駅の発車メロディの上下線での使い分けがずれている駅があり、統一するために入れ替えた、という話を聞いた事があります。駅ごとにメロディを変えることは事実上不可能ですから、方向で統一するというのはいいアイディアでしょう。

 こうしたメロディについて、到着予告、通過列車予告、発車予告など統一している会社がありますが、その路線を使っている間は音を聞いただけである程度の判断がつくから便利です。しかし、乗り換え先の鉄道との整合性があるケースはまず無く、視覚障害者の方にとっては「この音はこの鉄道のXXのサイン」というトレーニングが必要と思われるゆえ、ある程度の統一性がほしいところです。

***
 ご指摘の盲導鈴ですが、類似のケースとして最近増えてきた電車の戸閉めチャイムがあります。まあチャイムが鳴ってから乗降するのがケシカランといわれればそれまででしょうが、電車によって1打鐘から3打鐘までばらついているのはなぜでしょうか。なかにはブザーというのもありますね。乗りなれない電車で鳴るのは3回だと思ったらもう閉まった、なんて経験はないでしょうか。こちらはメロディでもない回数の話ですから統一は容易なはずです。

 上記の案内音も含めて、同じ音でも土地によっては意味が違うケースがあるようです。
 こうした不統一が視覚障害者にとってどれだけ問題か。健常者にとっても判り易い例えをだせば、エレベーターのブザーがありまして、通常は「乗り過ぎ警報」として用いられていますが、機種によっては「閉まる」ボタンを用いずに時間の経過により閉まるときの警報音として用いられています。
 よくこの音を「乗り過ぎ」と勘違いしてドアを閉めずに1人下ろしてしまうケースを見ますが、このような積み残されるくらいの話なら笑い話で済みますが、視覚障害者に限らず、意味の取り違えが危険回避において重要な問題になるようなケースもありますから、ある程度の統一基準を作るべきでしょう。

2004.11.02 Update


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