【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.312)
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〔LRT〕金沢市・LRT導入有望か?
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年1月25日 00時18分
〔LRT〕金沢市・LRT導入有望か
 └Re:金沢市・LRT導入有望か
 └Re:金沢市・LRT導入有望か
  └Re:金沢市・LRT導入有望か
   └Re:金沢市・LRT導入有望か
    └幾つかの補論です
     └Re:幾つかの補論です
      └Re:幾つかの補論です
     └北陸鉄道は?
      └Re:北陸鉄道は?
       └Re:北陸鉄道は?
        └Re:北陸鉄道は?
         └Re:北陸鉄道は?

 皆様、お久しぶりです。打越健太郎です。暫く東京に行っておりました。色々と仕事してきて思ったのですが、地下鉄大江戸線は意外と便利ですね。もっとも、乗換が少々不便なのは事実ですし、何より驚いたというか駄目だと思ったのは「上野御徒町」駅、あれのどこが上野なんでしょう。御徒町駅のまん前じゃないですか…

 さて、今回の上京のついでに、浦和のほうにも行って参りました。もうすぐ浦和・大宮・与野の3市が合併して「さいたま市」になるのですが、浦和市の広報誌で、浦和市長が「新市にはLRT導入が望ましい」と主張していらっしゃいました。ということは、さいたま市へのLRT導入、期待して良いのでしょうか。楽しみですね。

 で、今日(24日)になって帰って参ったのですが、注目すべきニュースを見つけました。北國新聞の「今日のニュース」1月10日付です。先日、金沢市で終日バスレーン等を試行したのは皆様のご記憶に新しいと思われます(この実験では、金沢市内を走る国道157号(通常は片側2車線ずつの4車線)のうち、2車線をバス専用に確保、自家用車は残りの2車線を走りました)が、これについてフォロー記事です。この実験、都市内への自家用車での立入を事実上制限するもので、果たして日本でもこれが可能かどうか、また受け入れられるかどうか注目していたのですが、どうやらかなりの成功のようです。というのは、この実験中、金沢市の中心部へのクルマの流入は8%減少し、またアンケートによると市民の74%が「満足」と回答したとのことです。ストラスブールなどのLRT先進地域ですら、LRTの建設前にはこれほどの高支持率にはなりませんでしたから、市民の評判も上々と考えて良いでしょう。

 そもそもLRTの導入時には、自家用車での都市中央部への立入を禁止、乃至は制限することが殆どです。トランジットモールなどはその最たるものですね。また、自家用車の使用は認めていても、車線が減るのだから自家用車の利用は不便になると考えられています(実際には、片側に1車線確保されていれば、それほど不便ではないかもしれません。同時に2車線使って走るわけではないし、また都市内では追抜禁止が多いですから、LRTが出来た所で、多くの場合、今までと余り変わらないはずです)。この「自家用車の制限」(事実上使いにくくなる、ということも含め)というのが、果たしてクルマの利用者に受け入れられるかどうか、意見の分かれる所でしょう。僕は「受け入れられる」と考えていました。クルマの利用者の全てが自家用車を利用したくてしているとは限らず、公共交通が不便だから利用している人も少なくないはずだと思っているからです。また、環境や渋滞などの問題を考えるに、車線を拡張するというのは必ずしもベストの対応ではない(工事も騒音が出ますし…)ということもあり、ある程度きちんと広報すれば、市民はきっと分かってくれるという信頼を持っていたわけです。また、新聞社などによるアンケートも、僕の考え方の傍証になっていると感じていました。実際「ロードプライシング」や「中心市街地への自家用車利用の規制」の賛否を問うてみると、「賛成」、つまり自家用車の使用を規制しても良い、という意見が過半数を占めていることが多かったのです。
 もっとも、これに反対する意見もあり、例えば交通評論家の角本良平氏などは「市民の反発」という意見を主張しています。「市民」と言っている割には、新聞の世論調査を踏まえるではなし、何ら検証していない観念論か、または角本氏自身が反対なのを「市民は反対している」と強弁しているのではないか(余談ながら、自分が反対しているに過ぎないのに、「みんな反対」などと強弁することは、ついやりがちですが、よく考えてみれば、単なる自分の意見を「多数意見」と僭称しているわけで、卑怯と批判されても仕方ありませんね。自戒の念を込めて指摘しておきます)と疑っていたわけです。
 ただ、僕の意見もまた実際に交通規制を行った上での結果ではないので、やはり観念論と言われればその通りだったわけです。ですから、今回の金沢市の実験でどんな結論が出るか、興味深々でした。その結果として賛成意見がこれほど多かったのですから、案外、市民は自家用車の得失を知っていて、使うべき所と避けるべき所の区別を知っている、と考えて良いでしょうか。

 金沢市ではLRTか、或いは地下ガイドウェイバスのいずれかを導入する予定だということです。恐らく、実験で市民の意見やクルマの利用状況を確かめ、可能ならばLRTを、不可能なら地下ガイドウェイバスを導入するつもりだったのでしょう(LRTの総工費が680億円なのに対し、地下ガイドウェイバスは1380億円も掛かります)。今回の実験の結果を重視すれば、どうやらLRTの導入も可能なようです。多分、近々LRT導入が決定するでしょう。是非ともそうなって欲しいものですね。今後も目が離せません。

Re:金沢市・LRT導入有望か
 投稿者--- KAZ氏 投稿日時: 2001年1月26日 11時59分

 ご無沙汰しております。
 今日は時間がないので軽くレスを。

 車線制限を伴うLRTなりバスレーンの導入の際には一般車の流動に目が行きがちですが、都心にある事業所や商店への物流車への配慮も必要です。金沢の場合は現在でも物流車の荷捌が問題になっているのに、車線減少を伴う規制が行われるのであれば混乱は必至です。その辺りの配慮も必要になりますね。福岡市天神地区での共同配送システムや金沢市が試行していた荷捌駐車場の設置など、少なくなる車線を停滞させないようにする工夫も必要ですね。

 詳細はまた後ほど。

Re:金沢市・LRT導入有望か
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年1月25日 19時23分

 ともです。

 さて、金沢のLRT、やっと実現化の可能性が出てきましたね。都市規模からも都市構成からも可能性が高い都市ではあったので、驚きと言うよりも、やっとというのが実感です。
 慎重に検討を進めているので良しとしましょう。

 ところで、北国新聞の記事ですが、ちょっと疑問があります。
 まず、74%の賛成意見ですが、市民の意見なのか、P&R実験の参加者なのかが不明な点が気になります。
 それと、市内への流入交通が8%減少したとの点ですが、確かにそれは大きな効果ですが、果たしてどのような交通が減少したのか、そしてそれによる他への迂回などは見られたのかといった考察がほしいところです。
 ま、これが、委員長の言うところの課題の一つなんでしょうが。

 さてさて、打越様の投稿にいくつか反論させていただきます。

1 市民は交通需要管理を受け入れるか
 
金沢の場合、明確な代替交通機関を提示し、さらにすでに道路整備などの基盤整備が概成していますので、市民にとって市街地に自動車が入れなくてもそれほどの不便さを感じないことが、賛成が過半数を超えた要因なのでしょう。そもそも金沢市内に通過交通が入り込むことが少なく、またバイパスもあるので通過交通処理が比較的容易ですから、金沢市街への交通規制としてもやりやすいのでしょう。
 ところが、その他の日本の都市では悲観的になります。市街への流入規制を行うにしても、その受け皿がなくては市民自体が不便を感じますから受け入れられないでしょう。東京のロードプライシングに対する反対意見の多くはこれです。
よって、交通需要管理への賛成かどうかという点は、金沢だからこうなったということを念頭に置く必要がありますし、金沢で成功したことが日本全国でうまくいくとは限らないということです。
 また、LRT導入時に道路を広げるべきか否かは、一概には言えません。
 LRTがあっても4車線はないと困るところもあるでしょうし、逆にまったく車線を考慮しなくてもよい、すなわち沿道交通だけを相手にするような道路(地先道路なんていいますね)になる場合もあるでしょう。
 ただ、それは、その都市の道路網や形態によって違うはずで、金沢の場合にはどうかわかりませんが、専用レーンによる一般車への影響が小さいのはたまたまそうなったと思ったほうが間違い有りません。
 あとは、LRT軌道へのバスの乗り入れを認めるかがポイントかもしれません(LRTを優遇するがあまり、バスを軽視してはなんの意味もありません)。

2 市民は自動車の使うべきところと使わないところを区分しているか
 
当たり前の話ですが、自分の行動に置き換えればその通りといったところでしょう。
 東京の都心へはやはり電車で行きますし、逆に郊外のショッピングセンターや大きな買い物のときは車で行きます。
 それは地方でも同じであって、それなりの都市規模になればそのような交通選択は十分考えられます。
 ただ、前にも書いていますが、自動車から鉄道へのいわゆる「モーダルシフト」はあくまで理想論であって、現実的には極めて難しいものです。
 ということで、金沢のような公共交通と自動車を優遇させる政策は正解だと思います。

3 市民の反発
 
これは、注意しなくてはならない点です。
 なぜなら、金沢の場合、賛成意見は74%。言い換えれば残りの26%は反対の可能性があるのです。
 しかも、こういったアンケートへの回答者というのはそれなりに問題意識を持っていますから、そういった方は賛成に振れることが多くなるものです。
 ですから、潜在的な反対はもう少し多い可能性もあります。
 市民の意見を聞くのであれば、反対意見について分析し、必要で有れば対処策を考えるべきです(別にやるなということじゃないですよ。フォローが大事ということです)。
 ですから、角本さんの意見も判らないわけではありません。このへんのことが言いたいんじゃないですか?

4 LRTか地下ガイドウェイバスか
 
個人的にはLRTですが、地下ガイドウェイバスも魅力です。なぜなら、金沢の場合、はっきりした需要動線の距離が短く、LRTの採算性を考慮すると、ひょっとしたらガイドウェイバスのほうがうまく行くかもしれません。
 いっそ、トロリーにでもしてハイブリッドにすれば、LRTと同等程度の環境負荷となり、さらに、地下ガイドウェイであれば、将来的なLRT整備に向けた暫定整備としての形もありえますね(シアトル方式です) 。
 ルートが判らないのでなんとも言えませんが、百万石通りあたりに整備を考えているのであれば、景観上地下のほうが好ましいでしょう。
 なにも路面を走るものだけがLRTじゃないんですから。将来的に成熟した段階で切り替えを考えても良さそうです。

 ちょっと雑感的な感じで書いてみました。
 反論というかただのイチャモンですね(笑 すみません)

 ではでは。

Re:金沢市・LRT導入有望か
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年1月26日 00時38分

 とも様、早速のご意見有り難うございます。金沢市に関しては、僕も実際に旅行して見て参りましたので、やはり動向には大変に興味があります。

 さて、

ところで、北国新聞の記事ですが、ちょっと疑問があります。
まず、74%の賛成意見ですが、市民の意見なのか、P&R実験の参加者なのかが不明な点が気になります。

 これなんですが、当時のホームページは削除されてしまっていますが、幸いにも僕がダウンロードして保存しておいた(必要な方、メールでご請求下さい。ワードのファイルをお送り致します)ので、それを見てみました。どうやら実験期間中、バス停などでアンケート調査を行った模様です(ハッキリとは書かれていませんが、いつものP&Rと違って強制的に全市民を実験に巻き込んだので、当然、市民全てが対象でしょう)。

それと、市内への流入交通が8%減少したとの点ですが、確かにそれは大きな効果ですが、果たしてどのような交通が減少したのか、そしてそれによる他への迂回などは見られたのかといった考察がほしいところです。
ま、これが、委員長の言うところの課題の一つなんでしょうが。

 確かにそうですね。まあ、恐らくは「市内への単純流入」が多いとは思います。というのは、この実験期間中でも「完全な立入禁止」は行われなかったので、どうしても市街地にクルマで入らざるを得なかった方(ex.荷物運送)は、多分通常通りだったでしょうから。

さてさて、打越様の投稿にいくつか反論させていただきます。

 お待ちしていました。このように、先達諸賢に「稽古」をつけて頂いてこそ、より妥当かつ有益な意見を持つことも可能になるでしょうから。

1 市民は交通需要管理を受け入れるか
金沢の場合、明確な代替交通機関を提示し、さらにすでに道路整備などの基盤整備が概成していますので、市民にとって市街地に自動車が入れなくてもそれほどの不便さを感じないことが、賛成が過半数を超えた要因なのでしょう。そもそも金沢市内に通過交通が入り込むことが少なく、またバイパスもあるので通過交通処理が比較的容易ですから、金沢市街への交通規制としてもやりやすいのでしょう。
ところが、その他の日本の都市では悲観的になります。市街への流入規制を行うにしても、その受け皿がなくては市民自体が不便を感じますから受け入れられないでしょう。東京のロードプライシングに対する反対意見の多くはこれです。
よって、交通需要管理への賛成かどうかという点は、金沢だからこうなったということを念頭に置く必要がありますし、金沢で成功したことが日本全国でうまくいくとは限らないということです。

 これは納得です。バイパスを設けることで、都心に流入する自動車を迂回させてしまえばこそ、市街地で「クルマ排除」が可能になるわけですからね。最近、石原慎太郎東京都知事と扇千景国土交通大臣とが東京の外環道路整備に積極的ですが、これはきっと、とも様のご指摘と同様の考えに基いているのでしよう。
 ただ、こういった「バイパス整備」は、なるほど交通計画の教科書に出ている、もっともオーソドックスな定石だけれども、こういった方策は、結果として自動車そのものの総量を増やしてしまわないかどうか、心配でもあります。環境問題やエネルギー問題を考えるに、現在の自動車の総量は多すぎるのではないか、というのが僕の懸念です。燃料電池自動車は、なるほど環境負荷はかなり小さい、優れた発明でありますけれど、それでも二酸化炭素などは発生するんですよね。それでも日本国内だけならば、燃料電池車への切り替えで地球のサスティナビリティ(持続可能性)を損なないかも知れませんけれど、今世紀は恐らく、中国やインドなどの発展途上国も、大いに豊かになるでしょう。そして中国人やインド人(ともに10億人を超えている)が自動車をガンガン使うようになったら…燃料電池自動車であっても、間違い無く環境はメチャメチャに、資源は枯渇します。「日本の都市交通とは関係無いだろう?」とのご意見もありましょうが、中国人やインド人に「自動車を使うな」と言っておいて、我々日本人が自動車を自由に使っていれば「ふざけるな」ということになるでしょう。そういった意味で、バイパス整備に関しては、僕は躊躇いながらの「消極的賛成」といった所です。

また、LRT導入時に道路を広げるべきか否かは、一概には言えません。
LRTがあっても4車線はないと困るところもあるでしょうし、逆にまったく車線を考慮しなくてもよい、すなわち沿道交通だけを相手にするような道路(地先道路なんていいますね)になる場合もあるでしょう。
ただ、それは、その都市の道路網や形態によって違うはずで、金沢の場合にはどうかわかりませんが、専用レーンによる一般車への影響が小さいのはたまたまそうなったと思ったほうが間違い有りません。

 まあ、そうでしょう。ただ、LRT導入によって車線が減っても、電車という形で道路全体の輸送力はむしろ増加している場合もある、ということも指摘出来そうな気が致します。少なくとも、北九州市のモノレールのように、電車は作るわ車線は増やすわ、というのは(それほど交通量があるのなら別ですが)二重投資っぽくて「無駄だなあ」と、常々感じております(ところが、千葉でも多摩でも同じ事をやっているんですよね…)。

あとは、LRT軌道へのバスの乗り入れを認めるかがポイントかもしれません(LRTを優遇するがあまり、バスを軽視してはなんの意味もありません )。

 これも当然ですね。ドイツ・オーバーハウゼンの「トラッセ」が、まさにそういった形をしていますね。広島などでも同じ事が出来そうな気が致します。

2 市民は自動車の使うべきところと使わないところを区分しているか
当たり前の話ですが、自分の行動に置き換えればその通りといったところでしょう。
東京の都心へはやはり電車で行きますし、逆に郊外のショッピングセンターや大きな買い物のときは車で行きます。
それは地方でも同じであって、それなりの都市規模になればそのような交通選択は十分考えられます。
ただ、前にも書いていますが、自動車から鉄道へのいわゆる「モーダルシフト」はあくまで理想論であって、現実的には極めて難しいものです。
ということで、金沢のような公共交通と自動車を優遇させる政策は正解だと思います。

 現実を踏まえれば、公共交通一辺倒というのは有り得ない話ですよね。ですから、金沢市のP&Rなどは、現実と理想を上手に調和させていると感心しております。ただ、これに関しても、環境・資源問題に関する先述の懸念がそのまま該当致します。ですから、僕としては「消極的賛成」といった所でしょうか。

3 市民の反発
これは、注意しなくてはならない点です。
なぜなら、金沢の場合、賛成意見は74%。言い換えれば残りの26%は反対の可能性があるのです。
しかも、こういったアンケートへの回答者というのはそれなりに問題意識を持っていますから、そういった方は賛成に振れることが多くなるものです。
ですから、潜在的な反対はもう少し多い可能性もあります。
市民の意見を聞くのであれば、反対意見について分析し、必要で有れば対処策を考えるべきです。
(別にやるなということじゃないですよ。フォローが大事ということです。)

 仰る通りと心得ます。今回の結果だけを踏まえ「さあLRTだ」といきなり工事を始めるのは、拙速というものでしょう。26%の反対意見の中には、我々が見落としている重要な問題が潜んでいる可能性がありますから、まずは反対派の意見に耳を傾け、妥協したり、プランを修正したりすることで、より良いものにしていくことが可能でしょう。ただ(当然のことなのですが、何故か我が国でよく見られるように)プランを練り上げた上で議論を尽くし、なおかつ賛否が分かれる場合には多数決しか無い、はずですよね。ところが、どういうわけか反対が残っていると「時期尚早」「市民の理解が未だ充分でない」などといって結局実行しない、という訳の分からない対応は、それこそ拙いでしょう。結果として少数意見のみに従い、多数の意見を黙殺するというのでは、これは民主主義でも何でもありませんよね(「当然だろう!」とお思いですか? いやいや、昔、東京都知事でもこの理屈のわからない御仁がいたんですよ…)。

ですから、角本さんの意見も判らないわけではありません。このへんのことが言いたいんじゃないですか?

 いや、角本氏の意見はそうではないと思いますね…。氏は「金沢にLRTの導入など有り得ない」と決め付けているのですが(氏の著書「鉄道経営の21世紀戦略」参照)その理由が「金沢では道路が拡張できない」(だから軌道系で道路の輸送力を高める、とは気付かないらしい)、「並行道路が無い」(バイパスがあれば良いということが理解できないらしい)などという意味不明の理由を並べ、挙句の果てに、これを「市民の意見」であるかのように主張する(角本良平という一市民の意見だ、と言えばそれまでですが…)という、理解困難な主張をしています。余談ながらこの本、「フリーゲージトレインは転覆する。ドイツ新幹線がその証拠だ」(ドイツ新幹線は一体車輪でなくタイヤだったから脱線したのです。フリーゲージ台車ってタイヤを使ってましたっけ?)、「ロードプライシングは金持ちだけが得をするという反感が消えない」(誰の反感? 新聞の世論調査では過半数が賛成しているんですけど、日本国民の過半数が金持ちなのかな?)などという、不思議な主張に満ち満ちた本で、鉄道の新技術は悉く否定する一方で自動車の新技術には何の疑問も抱かず、クルマ社会の弊害を論いつつ、人々は今後全てクルマに移行するかのような主張を繰り広げるなど、一言で言うと「超絶した」本ですよ…
 まあ、ジョークとしてはなかなか「読ませる」本であることは確かです(^^;

4 LRTか地下ガイドウェイバスか
個人的にはLRTですが、地下ガイドウェイバスも魅力です。なぜなら、金沢の場合、はっきりした需要動線の距離が短く、LRTの採算性を考慮すると、ひょっとしたらガイドウェイバスのほうがうまく行くかもしれません。
いっそ、トロリーにでもしてハイブリッドにすれば、LRTと同等程度の環境負荷となり、さらに、地下ガイドウェイであれば、将来的なLRT整備に向けた暫定整備としての形もありえますね。(シアトル方式です)

 これは僕などには分かりません。確かにトロリーバスなら環境負荷も小さく出来ますが、人口の割に輸送需要が大きい(金沢は北陸の中心として多くの人を集める「小さな大都市」と言えましょう)金沢でバスを採用すると、連節バスが必要になるかもしれません。道路の狭い金沢で、連節バスが自由に走れるか、ちょっと気になりますね。

ルートが判らないのでなんとも言えませんが、百万石通りあたりに整備を考えているのであれば、景観上地下のほうが好ましいでしょう。
なにも路面を走るものだけがLRTじゃないんですから。将来的に成熟した段階で切り替えを考えても良さそうです。

 景観ですか… LRT導入論者の方と話をしますと「LRTは、AGTやモノレールに比べて、観光的には優れている」と仰ることが多いですね。「単に珍しいからだよ」というツッコミが入りそうですが、この方々の言うのはそういうことではないのですね。金沢もそうですが、京都などの古都においては、町の雰囲気全体が「レトロな」ものですよね。LRTは路面電車とそっくりですが、路面電車なら明治時代に既に走っていたので、時代考証的にも雰囲気が合うけれど、AGTやモノレールは戦後の乗り物ですから、全く古都の雰囲気をぶち壊しにしてしまう、ということのようです。まあ、確かにこの考えは外国にも見られ、例えばアメリカ合衆国でも、観光地のLRTには古いチンチン電車を走らせてみたり、或いは昔のチンチン電車のようなLRVばかりを導入して「ヴィンテージ・ライトレール」などと称している例がありますから、あながち出鱈目な物言いでもありません。日本でも、函館には「ハイカラ号」が走っていますし、京福嵐山線でも「モボ21」というレトロ電車がありますね。まあ、理想をいえば地下に埋めてしまうのが1番、レトロな雰囲気には良いのかもしれませんが…

 金沢のことはもっと詳しく知りたいですね。そう言えば、金沢に大変お詳しいのはKAZ様ですが、是非ともご意見を賜りたい所です。無論、他の方々からもご意見ご批判などを頂ければ、大変幸いに存じます。

Re:金沢市・LRT導入有望か
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年1月26日 23時35分

 ともです。こんばんは。
 さて、打越様からいただいたものへの反論を。

 まず、基本的な考え方のところです。
 今の日本において自動車総量が多すぎるとのことですが、これは仕方がないです。
 なにも、現状を肯定するつもりはさらさらありませんが、今の日本の土地利用形態ではそうならざるを得ないといえます。
 なぜなら、前から何度も書いていますが、日本の都市の成り立ちに問題があります。詳しく書くと長いので書きませんが、日本の嫌になるぐらいの甘い都市計画規制と強烈な「戸建て」指向が巻き起こしているものです。
 このような都市構造の場合には、どうしたって都市が大きくなりますから、ヨーロッパのような徒歩圏での行動につながらず、自動車利用が増えるという現実があるんですね。
 これを考えずに、自動車が多いとか言っても仕方が有りません。
 で、これを中国やインドの話を持ち出して、だから日本は我慢すべきだと言い出したらキリがなくなりませんか。
逆に、中国やインドで、都市計画をきっちりやって、自動車依存じゃない都市を作り上げる手伝いをするほうがよっぽど有益です(中国やインドの自動車利用増加に文句は言いませんけどね )。

 道路整備をすると車が増えると言うのは一種のトリックがあるんです。
 そこそこは増えるのは事実でしょう。しかし、それまでいわゆる「抜け道」に行っていた交通が本来通るべき道路に戻ることによる増加というものもあります。
 このへんを踏まえないといけません。やみくもに環状道路やバイパスではなく軌道系をと言い出すと、反対運動家と同じになってしまいます。
 環状道路やバイパスは諸外国(ヨーロッパでもアジアでもアメリカでも)当たり前に整備されているもので、基本的な都市基盤なんです。
 だからこそトランジットモールもTDMもできるんです。

> また、LRT導入時に道路を広げるべきか否かは、一概には言えません。

まあ、そうでしょう。ただ、LRT導入によって車線が減っても、電車という形で道路全体の輸送力はむしろ増加している場合もある、ということも指摘出来そうな気が致します。少なくとも、北九州市のモノレールのように、電車は作るわ車線は増やすわ、というのは(それほど交通量があるのなら別ですが)二重投資っぽくて「無駄だなあ」と、常々感じております(ところが、千葉でも多摩でも同じ事をやっているんですよね…)。

 これは、僕も書きましたが、場所によって、条件によって違います。
 千葉にしても北九州にしても道路網が極めてぜい弱な都市ですから、整備が無駄とはとても思えません。たしかに、ドイツでは8車線のアウトバーンのうち4車線を潰してLRT軌道を整備した例なんかがありますが、これは環状道路が完成し、市内への流入交通量抑制が可能な都市であったからできたことで、金沢のように減っても8%程度で車線を削っての軌道整備は物流(個別配送など)業者などへの影響が大きすぎます。
 8%減ったとして、仮に4車線道路で基準交通量(道路構造令という政令に定められている設計の基準となる交通量)どおり48000台とすると減った交通量は3840台。残った交通量を2車線で捌くことは不可能です。単純に言えば、半分に車線数を減らしたら交通量も半分にしなくてはなりません。
 さらに、20000台も減らすとしたら、1台に1.5人として30000人は鉄道に乗りますから、そのままではパンクしてしまいますね(これは需要予測との関係もあるので、超テキトーな計算ですよ。金沢の交通量はちょっと調べてみます )。

現実を踏まえれば、公共交通一辺倒というのは有り得ない話ですよね。ですから、金沢市のP&Rなどは、現実と理想を上手に調和させていると感心しております。ただ、これに関しても、環境・資源問題に関する先述の懸念がそのまま該当致します。ですから、僕としては「消極的賛成」といった所でしょうか。

 これも、前に環境の話の時に書きましたが、自動車にしてもバスにしてもLRTにしても環境負荷はあるので、「環境負荷分界点」というものを考えなくてはならないですね。その都市の人口密度などを考慮しなくては交通政策として失敗です。資源や環境という面でみて自動車有利ってこともあるんです。

> ですから、角本さんの意見も判らないわけではありません。このへんのことが言いたいんじゃないですか?

いや、角本氏の意見はそうではないと思いますね…。

 あの人は、ちょっと激しい物言いの人ですから・・・
 ただ、ある意味で、的を得ていることもあるにはあるんで、読む価値はあるんじゃないですか(一連のモーダルシフトに対する考えは結構鋭いです)。
 LRTにしても皆が皆、賛成だったらそれこそ恐いですよ。
 批判する人は必要です。
 実際、ヨーロッパではLRTの再評価すらされてます。都市規模が小さいのにむりに軌道を入れた都市なんかは槍玉に上がっているそうですし。

確かにトロリーバスなら環境負荷も小さく出来ますが、人口の割に輸送需要が大きい(金沢は北陸の中心として多くの人を集める「小さな大都市」と言えましょう)金沢でバスを採用すると、連節バスが必要になるかもしれません。道路の狭い金沢で、連節バスが自由に走れるか、ちょっと気になりますね。

 そんなのはなんとでも。バスの輸送力は結構大きいですから、金沢クラスなら可能性はあります。
 連節バスもよく日本では道路が狭くてと言われますが、金沢は比較的道路が広いのでいけるでしょう。
 別に、LRTが不要というのではなく、将来の都市構造としてなにがベターなのかという意味で、当面は地下バス方式のほうが魅力的と思ったまでです。

景観ですか… LRT導入論者の方と話をしますと「LRTは、AGTやモノレールに比べて、観光的には優れている」と仰ることが多いですね。「単に珍しいからだよ」というツッコミが入りそうですが、この方々の言うのはそういうことではないのですね。金沢もそうですが、京都などの古都においては、町の雰囲気全体が「レトロな」ものですよね。LRTは路面電車とそっくりですが、路面電車なら明治時代に既に走っていたので、時代考証的にも雰囲気が合うけれど、AGTやモノレールは戦後の乗り物ですから、全く古都の雰囲気をぶち壊しにしてしまう、ということのようです。

 これは趣味の問題なんで余り議論をしたくないのですが、LRTが観光資源になるとは思えません。なぜ、今、日本で路面電車がうけているかと言えば、希少性というファクターのおかげであって、路面電車そのものに観光資源としての魅力があるわけではありません。
 アメリカだって状況は同じです。

 景観上の問題というのは、金沢の兼六園などの日本的な情景に果たしてLRTを入れることが得策なのか、自動車交通も含め考えるべき時期なのではないかという疑問からあえて書いたものです。
 金沢は欧米からの観光客も多く、日本情緒をウリにできる数少ない国際観光都市ですからこのぐらい思いきったことをしても良いのではないかなという気がします。

 まずはこんなところで。ではでは

幾つかの補論です
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年1月27日 17時23分

 打越健太郎です。とも様、KAZ様には丁寧なご意見を頂き、本当に有り難うございます。こういった先達のご意見を拝聴しておりますと、何だか頭が良くなるような気が致します。

 さて、

まず、基本的な考え方のところです。
今の日本において自動車総量が多すぎるとのことですが、これは仕方がないです。
なにも、現状を肯定するつもりはさらさらありませんが、今の日本の土地利用形態ではそうならざるを得ないといえます。
なぜなら、前から何度も書いていますが、日本の都市の成り立ちに問題があります。詳しく書くと長いので書きませんが、日本の嫌になるぐらいの甘い都市計画規制と強烈な「戸建て」指向が巻き起こしているものです。
このような都市構造の場合には、どうしたって都市が大きくなりますから、ヨーロッパのような徒歩圏での行動につながらず、自動車利用が増えるという現実があるんですね。
これを考えずに、自動車が多いとか言っても仕方が有りません。

 なるほど。日本の都市がスプロール気味なのは、制度の不備ともども日本人の一戸建て志向がもたらしている…納得です。ただ、東京や大阪などでは地下下落に伴って、人々が都心に回帰しつつあります。無論、東京と大阪だけでは何とも言えないのですが、最近、地方の都市を見て参りますと、やはり地価下落のせいでしょうか、都心部にマンションの建設が行われている例が多いですね。こういったマンション、案外売れているようです。都市のスプロール化を「非」とするならば、行政もこれらの傾向を手助けできないでしょうか。

で、これを中国やインドの話を持ち出して、だから日本は我慢すべきだと言い出したらキリがなくなりませんか。
逆に、中国やインドで、都市計画をきっちりやって、自動車依存じゃない都市を作り上げる手伝いをするほうがよっぽど有益です(中国やインドの自動車利用増加に文句は言いませんけどね )。

 このご指摘、目から鱗です。今後、中国やインドなどの発展途上国における経済発展はますます進んでいくでしょう。中国人やインド人が、現在よりも豊かで文化的な生活を送るようになることは、同じ人間として慶ばしいのですが、今までは「環境や資源はどうなるんだろう…?」という一抹の不安を持ってもおりました。まさにとも様のご指摘通りです。ただ、中国やインドの人々がクルマを使わずに、より健康で文化的な生活を送るようになったほうが良いとは思いますが。

道路整備をすると車が増えると言うのは一種のトリックがあるんです。
そこそこは増えるのは事実でしょう。しかし、それまでいわゆる「抜け道」に行っていた交通が本来通るべき道路に戻ることによる増加というものもあります。
このへんを踏まえないといけません。やみくもに環状道路やバイパスではなく軌道系をと言い出すと、反対運動家と同じになってしまいます。
環状道路やバイパスは諸外国(ヨーロッパでもアジアでもアメリカでも)当たり前に整備されているもので、基本的な都市基盤なんです。

 これも得心が行きました。そうなると、基本的に都市郊外のバイパスの整備というのは、不可欠なインフラとして整備を進めていくのが望ましいわけですね。ただ、それでもバイパスの沿線の人達にとっては、排気ガス、騒音、事故といった新たなリスクになり得る訳ですから彼らが反対するのも一理、これらの対策を講じつつ(ex.ガス浄化装置、防音壁、歩道との立体交差)バイパス整備に取り掛かるべきなのでしょうね。付け加えれば、バイパス整備論者の言う「自動車がこれ以上便利になれば、ますますクルマ社会になってしまう」という指摘もそれなりの妥当性を有していると思われるので、こういったバイパス整備の際には、「中心市街地の脱クルマ社会化」、つまりP&R用駐車場や、バス路線の再編強化、さらにはバスかLRTによるトランジットモールなども含んだ、一連の計画として立案し、市民に広報するというのは如何でしょう。今よりもずっと反撥の声は小さくなると思いますよ。

これは、僕も書きましたが、場所によって、条件によって違います。
千葉にしても北九州にしても道路網が極めてぜい弱な都市ですから、整備が無駄とはとても思えません。

 これは…無論、千葉市や北九州市で道路を整備強化すること自体に反対なのではありません。ただ、どちらも「モノレールに並行して」バイパスを建設しましたよね? そのせいで北九州市ではバスが定時性を取り戻し、モノレールを押しているというではありませんか(まあ、「軌道系キラー」の西鉄バスですから、仕方無いかもしれませんが…)。道路財源は豊かとは聞きますが無限ではあり得ない以上、効率的に道路を整備したほうが良くはないでしょうか。軌道系のある区間の輸送は(特に旅客は)軌道系に任せ、軌道系交通機関の無い場所にこそ、道路を整備すべきではないかな、と思うわけです(これは都市交通に限りません。高速化工事を行った鉄道に並行する高速道路の整備は、止めないまでも後回しにして、むしろ鉄道の無い地域の高速道路をこそ優先的に整備すべきだと思います)。

自動車にしてもバスにしてもLRTにしても環境負荷はあるので、「環境負荷分界点」というものを考えなくてはならないですね。その都市の人口密度などを考慮しなくては交通政策として失敗です。資源や環境という面でみて自動車有利ってこともあるんです。

 これも得心が行きます。

40人が移動するのであれば、自家用車40台で移動するより、バス1台に纏めたほうが環境負荷が小さい。一方、そもそも1人しか移動しない際には、図体の大きいバスではなく、自家用車で移動したほうが環境負荷が小さい

と、こういうことですよね? この「環境負荷分岐点」、具体的に自家用車、バス、LRT、鉄道などではどのくらいの数字になるのか、是非知りたい所です。ご教示頂ければ、幸いに存じます。

バスの輸送力は結構大きいですから、金沢クラスなら可能性はあります。連節バスもよく日本では道路が狭くてと言われますが、金沢は比較的道路が広いのでいけるでしょう。別に、LRTが不要というのではなく、将来の都市構造としてなにがベターなのかという意味で、当面は地下バス方式のほうが魅力的と思ったまでです。

 これについては、実はあまりピンと来ません(素人の悲しさ…)ガイドウェイバスのほうが短距離輸送に向いている、ということですか? 確かに一般論から言えば、LRTは路線全部を建設しなければ走れませんが、ガイドウェイバスなら渋滞個所のみ、それも完成した所から使っていける、ということ、なのでしょうか…?金沢の場合、ガイドウェイを地下に埋める計画ですから、一般道とあちこちから直通するためには、モードインターチェンジを多数建設しなければなりませんよね? うーん…
(^^;; 申し訳ありませんが、金沢には地下ガイドウェイバスも一案ということ、もう少しご教示願いたく存じます。済みません…

景観上の問題というのは、金沢の兼六園などの日本的な情景に果たしてLRTを入れることが得策なのか、自動車交通も含め考えるべき時期なのではないかという疑問からあえて書いたものです。
金沢は欧米からの観光客も多く、日本情緒をウリにできる数少ない国際観光都市ですからこのぐらい思いきったことをしても良いのではないかなという気がします。

 これは僕には分かりません。僕は小学校1年生の時から鉄道が大好きでしたから、軌道系に対して向ける目は、他の方とは全然違っている(興味津々)でしょうし。確かに、金沢は日本情緒、それも江戸情緒の溢れた都市ですし、これを磨き上げていくべきだというのは全く同感です。ですから、ガイドウェイバスとLRTとを問わず、地下化も一考に値するとは思います。僕はランドスケープについては素人の域にすら達していない(そういう言葉を知っているだけ)のですが、観光客の皆さんは、金沢などの日本の古都に、何を求めていらっしゃるのでしょうか。「日光江戸村」的なムードか、それとも…

おまけ:水戸にも偕楽園という素晴らしい庭園がありますが、金沢のような都市景観の議論は、それほど盛んではありません。戦災で焼けてしまったからです。戦火を受けなかった金沢が羨ましいなあ…

Re:幾つかの補論です
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年2月2日 13時50分

 ともです。こん○○は。
 返事が遅くなりすみません。今週はちょっと仕事がバタバタしてまして、返事ができませんでした。

今後、中国やインドなどの発展途上国における経済発展はますます進んでいくでしょう。中国人やインド人が、現在よりも豊かで文化的な生活を送るようになることは、同じ人間として慶ばしいのですが、今までは「環境や資源はどうなるんだろう…?」という一抹の不安を持ってもおりました。まさにとも様のご指摘通りです。ただ、中国やインドの人々がクルマを使わずに、より健康で文化的な生活を送るようになったほうが良いとは思いますが。

 ここは難しいとこなんですね。車を使わない生活は理想かもしれませんが、そうはいきませんし。バランスをとれるような都市計画をつくるんでしょうね。
 都市の機能の中で、車は重要なものであることは事実としてあるんですから、必要悪と思っても良いですから認めなければならないですね。

基本的に都市郊外のバイパスの整備というのは、不可欠なインフラとして整備を進めていくのが望ましいわけですね。ただ、それでもバイパスの沿線の人達にとっては、排気ガス、騒音、事故といった新たなリスクになり得る訳ですから彼らが反対するのも一理、これらの対策を講じつつ(ex.ガス浄化装置、防音壁、歩道との立体交差)バイパス整備に取り掛かるべきなのでしょうね。付け加えれば、バイパス整備論者の言う「自動車がこれ以上便利になれば、ますますクルマ社会になってしまう」という指摘もそれなりの妥当性を有していると思われるので、こういったバイパス整備の際には、「中心市街地の脱クルマ社会化」、つまりP&R用駐車場や、バス路線の再編強化、さらにはバスかLRTによるトランジットモールなども含んだ、一連の計画として立案し、市民に広報するというのは如何でしょう。今よりもずっと反撥の声は小さくなると思いますよ。

 んー。反対する人たちは、なんでも反対に近いですからね。
 とにかく「車は悪」との前提で物事を考えますから。とはいえ、沿道の居住者への環境配慮は当然ですね。これをやらずに道路建設は無理でしょう。
 ただ、これってLRTをつくる時にも問題になりますから、別に議論したいところです。

道路財源は豊かとは聞きますが無限ではあり得ない以上、効率的に道路を整備したほうが良くはないでしょうか。軌道系のある区間の輸送は(特に旅客は)軌道系に任せ、軌道系交通機関の無い場所にこそ、道路を整備すべきではないかな、と思うわけです(これは都市交通に限りません。高速化工事を行った鉄道に並行する高速道路の整備は、止めないまでも後回しにして、むしろ鉄道の無い地域の高速道路をこそ優先的に整備すべきだと思います)。

 水掛け論になってしまうかもしれませんが・・・
 軌道系のあるところに道路が不要かと言えば、そんなことはないですよね。
 物流はトラックに頼らざるを得ない部分はありますし、バスだって、軌道と並行するものがあったっていいはずです。
 確かに、打越様の書かれるような考え方自体、おかしいとは決して思いませんし、一つの考え方だとは思います。
 でも、軌道系があるから道路整備は後回しというのは、適切な交通手段の分担行動を狂わせ、予想外の人の動きが生じることがあります。もちろん逆も言えますが。
 また、災害時や事故発生時の代替性(リダンダンシー)という観点からも双方がそこそこのレベルになっているのが理想です。

「環境負荷分岐点」、具体的に自家用車、バス、LRT、鉄道などではどのくらいの数字になるのか、是非知りたい所です。ご教示頂ければ、幸いに存じます。

 たしか過去ログにあるような・・・
 それはそれとして。
 おおむね、同じ地点間をすべて移動するとして、バス1台に3〜4人ならば自動車に軍配が上がると考えられます。
しかし、実際には、需要の発生・集中はバラバラですから、感覚的には10人以上乗車しなければ自動車のほうが環境負荷は小さいでしょう。
 ここは今後の研究課題ですね。これだけで卒論何本かけるんでしょうか・・・

ガイドウェイバスのほうが短距離輸送に向いている、ということですか? 確かに一般論から言えば、LRTは路線全部を建設しなければ走れませんが、ガイドウェイバスなら渋滞個所のみ、それも完成した所から使っていける、ということ、なのでしょうか…?金沢の場合、ガイドウェイを地下に埋める計画ですから、一般道とあちこちから直通するためには、モードインターチェンジを多数建設しなければなりませんよね? うーん…
(^^;; 申し訳ありませんが、金沢には地下ガイドウェイバスも一案ということ、もう少しご教示願いたく存じます。済みません…

 金沢の都市構造を見ると、都心から同心円状に都市化されているため、放射系道路沿いが高密度ということもなく、比較的低密度で市街化されています。
 こういった構造の都市の場合、需要動線がはっきりしない(どこからでも都心にアクセスしてしまう)、すなわち都心への入口が多くなるという傾向があります。
 そうすると、軌道系の場合、線的な広がりしかできません(ネットを組むには金沢は小さいですね。)から、今までよりも都心へ時間がかかる人たちが出てくるおそれがあります。
 これでは軌道系をいくら使ってくれといっても効果がないですから、バスのようなバイモーダルなもので結ぶべきではないかなということです。
 バスが一人立ちし、基幹バス軸の高密度化が進んでくれば、軌道系の可能性もあるのかなということです。
 このような都市構造の考え方が「都市軸」というやつです。

 ということなんで、当面、都心部だけの整備であれば、バス系のほうが有利かなと思ったまでです。
 LRTは否定しませんけどね。

僕は小学校1年生の時から鉄道が大好きでしたから、軌道系に対して向ける目は、他の方とは全然違っている(興味津々)でしょうし。確かに、金沢は日本情緒、それも江戸情緒の溢れた都市ですし、これを磨き上げていくべきだというのは全く同感です。ですから、ガイドウェイバスとLRTとを問わず、地下化も一考に値するとは思います。僕はランドスケープについては素人の域にすら達していない(そういう言葉を知っているだけ)のですが、観光客の皆さんは、金沢などの日本の古都に、何を求めていらっしゃるのでしょうか。「日光江戸村」的なムードか、それとも…

 ここは、こういってはなんですが、鉄道好きの方の落とし穴なんですね。
 「鉄道」という交通機関に景観上の問題があるという方は世の中にはいらっしゃいます。
 実際、路面電車に対する反対意見にもこれがあるんですね。

 金沢のようないわゆる古都であれば、古都なりの景観を保つべき場所と、そこは多少犠牲にできる場所を考えなくてはなりません。
 景観を保つべき場所はやはり地下にするなどして、メリハリをつけるべきだと思うんです。
 金沢はひょっとしたら本格的なLRT新規導入都市第1号の可能性があります。そういうところでは、他の見本になるようなことをしてもらいたいものです。
 ヨーロッパのような都市景観にとけこんだLRTも魅力は魅力なんですけどね。

おまけ:水戸にも偕楽園という素晴らしい庭園がありますが、金沢のような都市景観の議論は、それほど盛んではありません。戦災で焼けてしまったからです。戦火を受けなかった金沢が羨ましいなあ…

 そうかな・・・
 戦災で焼けた都市にもそれなりの良さがありますよ。
 戦災をうけたからこそすばらしい都市景観を作れた広島、仙台、名古屋なんて典型ですよね。
 水戸は戦災復興がうまくいかなかった都市ですからね。
 とはいえ、水戸のような街なら、LRTは全区間平面でも景観にとけこむような気がします。

 金沢って高山なんかと似ていて古くからの町並みが至る所に表に出てしまっているんですね。
 だからLRTのような近代的なものと不釣り合いなとこがあるんですよね。
 逆に同じ古都(?)でも京都なんかは近代的なものと古くからのものがうまく融合されているところにはLRTは合うと思うんですね。
 これはセンスとか間隔の面がかなり強いので、あまり議論してもというところです。

 ぼくなんかはストラスブールは反則だと思いますけどね。
(物珍しさで利用者が増えたからいいんでしょうが)

 おっと長くなってしまいました。
 ではでは。

Re:幾つかの補論です
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年2月4日 13時13分

 打越健太郎です。こんにちは。

 とも様のこのご指摘に対して、僕なりの意見を申し上げようと思います。もはや都市交通とは無縁の領分なので、常設掲示板のほうに投稿させて頂きます。

軌道系と道路の並行整備 ../traffic/log017.html

北陸鉄道は?
 投稿者--- brother-t氏(ホームページ) 投稿日時: 2001年2月2日 13時22分

 この議論を聞いてて思ったのですが、金沢の鉄道会社である北陸鉄道はどうなってるのでしょうか?鉄道とバスを抱えてこの議論を考える上での最大の鍵を握る存在だと思うのですが。
 個人的には鉄道、特に内灘線と石川線(だったっけ)を上手く活用すれば多少変わってくるのかなと思います。更に北陸新幹線開業時の金沢地区のJR電化路線も同様でしょう。この活用で上手くやれば駐車場を分散させ、バスでやった8%の減少という数字をより大きくする事も可能だと思いますし、ともさんの懸念するバイパス及び26%の賛成でない人のフォローも変わると思います。
 ただガイドウェイバスにせよLRTにせよ既存路線との直通は絶対やっておくべきでその効果は現在東急目黒線と直通している地下鉄南北線と三田線の盛況を見れば分かると思います。ただ金沢ではどっちが良いかは何分行った事の無い人間なので分かりかねますが。

Re: 北陸鉄道は?
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年2月2日 14時00分

この議論を聞いてて思ったのですが、金沢の鉄道会社である北陸鉄道はどうなってるのでしょうか?鉄道とバスを抱えてこの議論を考える上での最大の鍵を握る存在だと思うのですが。
個人的には鉄道、特に内灘線と石川線(だったっけ)を上手く活用すれば多少変わってくるのかなと思います。

 同感です。LRT計画では、北陸鉄道石川線との直通が考えられています。浅野川線は? というと、これは金沢駅にLRTとは別のターミナルを設け、直通するつもりは無いようです。何故かは良く分からないのですが、考えられるのは

・浅野川線には並行道路が無く(したがって、内灘町の人が金沢に来る際には絶対に浅野川線を利用せざるを得ない)、今後も活発な利用が期待できるのに対し、石川線は並行道路がある上、JRとの連絡駅が西金沢なので(優等列車が止まらない)利用がやや少なく、武蔵が辻〜香林坊といった中心部へと直通することが望ましい

ということのようです。

ただガイドウェイバスにせよLRTにせよ既存路線との直通は絶対やっておくべきでその効果は現在東急目黒線と直通している地下鉄南北線と三田線の盛況を見れば分かると思います。ただ金沢ではどっちが良いかは何分行った事の無い人間なので分かりかねますが。

 個人的には全く同感です。浅野川線をLRT網に入れないのは疑問ですね。ただ、こうなってしまったのには理由がありまして… 金沢市役所は「北陸鉄道はやる気が無い」と言っておりますが、市民に言わせれば「地下鉄、AGT、ガイドウェイバス、LRT…と、次から次へとアイデアが出てきて、北陸鉄道は身動きが出来なくなってしまったのだ。浅野川線は車両も軌道も古くなっていたので、こういったプランに付き合いきれず、独自の近代化をやってしまったのだ」ということのようです。まあ、浅野川線とは金沢駅乗換であっても、新金沢駅(地下になります)では、乗換が便利になるように考えられているということですから、特に不便は無いかも知れません。

Re:北陸鉄道は?
 投稿者--- とも 投稿日時: 2001年2月2日 18時04分

 ともです。

 北陸鉄道、気にはなっていたんですが、やはり中途半端な関係になりますか。
 ただ、やみくもに直通させるのが良いとも限りませんから、きっちりした理由があるのであれば、直通なしも良しと考えても良いかもしれません。

 浅野川線の並行道路の話は、もし金沢市役所や石川県庁の人間が本気でそう思っているのであれば、ちょっと信じられません。
 並行道路がないから何もしなくてもOKというのは、交通計画や政策をやる技術者として考えられません。
 やはり、浅野川線は都心へダイレクトに入っており、あえてLRTと直通するよりも単独高速運転としてほうが、都市圏交通の姿として良いと考えたのでしょう。
 一方石川線は、野町というなんとも中途半端なターミナルでは軌道系のサービスとしては低く、都心まで入るべきとの発想から、LRT網への組み込みを考えたのでしょう。
 もう一つとして、浅野川線の輸送力の問題もあります。
 よくは判らないのですが、浅野川線はもしかしたら需要がおおいんじゃないんですか?
 とすると、浅野川線にLRTを入れた場合対応できない可能性があります。
 いくら地方電鉄で中型車2連でも、都市内LRTの車両では輸送力不足になってしまいます。

 この辺がいまいちよく判らないところです。
 とはいえ、委員の顔ぶれを見ると、交通系や都市系の権威ばかりですから、かなり詳細な調査をやっているはずです。
 報告書に期待しましょう。

 ではでは。

Re:北陸鉄道は?
 投稿者--- KAZ氏 投稿日時: 2001年2月2日 19時45分

 ちょっと簡単に。

 浅野川線が直通しない(できない)構造になったのは北鉄の判断みたいです。市に聞けば「残念な構造だ」とコメントされましたし、市側は浅野川線との直通も考えています。
 浅野川線の需要ですが、確かに完全並行道路はなく需要もそれなりにありますが、いかんせん交換設備が少なく1時間2本程度の運行しかできません。そういった意味ではLRT化予算での改良が必要だった路線でもあります。あと都心には乗り入れていません。金沢駅は完全な町外れです。どちらかと言えば場末に近いイメージの場所ですね、今までは。駅西の再開発が進めば変わってくるのかも知れませんが、今の駅前は日本でも有数の「吸引力のない駅前」です。

 詳細はまた深夜にでも。

Re:北陸鉄道は?
 投稿者--- brother-t http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htm" target="_blank 投稿日時: 2001年2月3日 01時02分

 どうやら金沢駅の地下に潜った浅野川線が乗り入れない事だけは確かそうですね。
 ただ一つ疑問に思うのは浅野川線は延長そのものが不可能なのでしょうか?もし「地下鉄としてなら可能だけど…」と言う状態だったら延長をして何らかの手で市街線と直通を行うべきだと思います。というのは三大都市の地下鉄のメインルートといえる営団丸の内線、名古屋市東山線、大阪市御堂筋線というのは基本的にターミナルと中心市街地(東京新宿・池袋、名古屋栄、大阪梅田・難波・天王寺)を結ぶルートで浅野川線を市街線と直通させればまさにその形になるわけです。更にこの中心市街線は営団東西線のように郊外線との乗り入れを行うわけですから、更なる付加価値がつくわけです。もしLRTやガイドウェイバスという規格にこだわって中途半端な物を作ったら後悔しか残らない気がするのですがどうでしょうか?
 さて新潟のように私鉄その物がつぶれるか、それとも活性化して両隣の富山福井にとって良いモデルケースになるか楽しみな所です。

2004.11.14 Update


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