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【検証:近未来交通地図】Special025
< 陰 陽 … >(2003夏旅・中国路2題)

作州播備のバス旅から
広浜ルート・夢と変遷を辿る旅
(2003/07/26 ・ 08/15)

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、エル・アルコン様より当BBSに御投稿頂きました文章を、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

神姫バス(KAZ様御提供)

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  作州播備のバス旅から (2003/09/08 11:34:47)

 7月26日、土曜日。予想以上の低乗車率に喘ぐ姫路−岡山の「播備ライナー」に、年初からNHK大河ドラマ「武蔵」協賛企画?で運行を開始した姫路−湯郷温泉の特急バス、そして「日本最低を目指すバス会社」を堂々と掲げる宇野バスを試乗しようと、姫路−湯郷−岡山−姫路の三角コースで乗ってきました。

●武蔵「討ち死に」!?美作路浪漫バス

 「伝説の特急バス、26年ぶりに復活」と銘打ち、1月9日から週末を中心に姫路−湯郷温泉間で1往復運行を開始した神姫バスの「美作路浪漫バス」ですが、ドラマが低迷しているのに影響されたのか、4月には津山まで延長するなどのてこ入れが図られました。
 ところが後述の試乗記からもうかがえるように相当ひどかったようで、8月4日に、8月17日の運行を最後に運行を取り止めるという発表が急遽あり、予定の12月29日の運行終了を待たずに運休しました。年末までのスタンプラリーを実施していたのですが、それにもかかわらず打ち切るのは異例ですが、影響がほとんど無かったということなんでしょう。

姫路駅〜湯郷温泉〜津山 特急バスの運行休止ついて http://www.shinkibus.co.jp/lc_news_030804_1.htm

 さて8時50分発のバスに合わせて8時39分に着く快速で姫路に着き、神姫バスのターミナルに行くと、発車案内にバスが出ていません。ポスターを見ると、「ゆっくり出発できる新時刻」とあり、なんと発車が9時10分発に繰り下がっています。どさくさ紛れに木曜日の運転が中止されたのと津山延長もこの時知った訳で、これなら58分着の新快速でよかったので、朝の時間を50分も刈り取られた感じです。
 案内所で1700円のきっぷを買うと、カーボン複写式の大型の軟券。定期観光とかに使う体裁を消し線で消して片道乗車券にしてました。

 姫路の神姫バスターミナルは独特の方式で客扱いをしており、バスプールに面したドアが3個所あり、発車別改札になっています。乗車できるようになるとドア上の案内器に乗車番線が掲出され、一緒に表示されている系統番号と照らし合わせて乗車するようになっています(伊丹リムジンなど高速系統は系統番号ではなく種別表示)。
 発車時刻になると放送が流れベルが鳴り、なんとドアが自動で閉まります。

姫路駅前神姫バスターミナル(KAZ様御提供)姫路駅前神姫バスターミナル(KAZ様御提供)

 「特急」と表示された湯郷温泉、津山行きの案内が出て、一番外れの乗り場に停車中のオーソドックスな近郊高速用のトイレ無し車両に乗車しましたが、結局私一人。結論から言うと、夏休みというのに湯郷まで誰も乗ってきませんでした。
 淋しく姫路を出発し、市街地では東行き一方通行になるR2の西行きに用いられる通りを進みます。3車線が確保されてスムーズに進行と思いきや、双方向に戻る今宿交差点では対面2車線になるため一気に1車線に絞られ、少し停滞しました。
 そのままR2を進み、山田峠を越えて太子竜野バイパスの太子東ICからようやくバイパスに入りましたが、この「特急」バス、中国道を通らずにR179を延々と行くのも特徴で、せっかく競争相手の姫新線が佐用以西が例の「放置プレイ」というのに、お付き合いをするようなやる気の無さが光ります。

 福田ICでバイパスを降りてR179へ。揖保川を渡って国道は川沿いに右折。このように本線が右左折するのもR179の特徴で、この先新宮、南光(播磨徳久)、上月とあり、以前走った時も悩まされました。そして右折してすぐの龍野営業所で停車兼トイレ休憩です。
 9時45分、発車。昔ながらの、という風情の新宮町内に入り、播磨新宮駅前に寄りますが乗車無し。さっき休憩したばかりなので運転手が道の駅しんぐうでの休憩を省略して良いか聞いてきました。どうもダイヤはそれなりにカツカツのようで、時間を稼ぎたいようです。
 一面のひまわり畑が名物の南光町を過ぎ、佐用で最後の停車兼休憩で6分停車。ウエスト神姫の佐用営業所ですが、撤退が相次いで消された後が目立つ路線図が哀れです。

 10時35分、発車。代わり映えの無い風景の中、唯一のアクセントとも言える県境の万能峠を越え、岡山県へ。そして淡々と走り美作町に入り、R179と分かれて11時10分の定時にやや遅れて神姫バスの湯郷温泉に着きました。折り返し場になってますが温泉街からこころもち離れており、かつ宇野バスの停留所ともずれているのはいかがなものでしょうか。
 折り返し場には接続の「武蔵直行バス」、下津井バスの大原行きが待機中ですがこれも乗客無し。湯上がりに歩いていると岡山行きの神姫バスも通りましたが人影が見えません。こちらは岡山−岡山空港−湯郷温泉−大原の「武蔵直行バス」ですが、こちらも厳しいようです。

おそいぞ武蔵、高いぞ武蔵 log099.html#3

●「日本最低」のサービスを見る

 宇野バスの時間まで湯郷温泉鷺の湯でひと浴びしましたが、明日は土用丑の日ということで、この週末は丑湯まつりとなっており、秋まで使えるタダ券が入湯者全員にプレゼントされていました。ただ、しっとりとした風情を期待して入った温泉はなんと南欧調のデザインで、おちつかないこと甚だしいのは残念でしたが。

 湯郷温泉上12時1分の宇野バスで岡山に向かいます。毎時1本見当で朝は少し増えます。私を入れて7人の車内は2人掛けのシートがずらりと並び、36人が座れます。後部の2+2の部分に補助席を付ければ40人が座れる訳で、エンジンを高速用にしたら近距離高速路線車として成立しそうなデザインです。
 吉井川支流の吉野川を右手にR374を淡々と進み、吉井町周匝(すさい)へ。かつて同和鉱業片上鉄道と交差していた要衝で、乗客も入れ替わります。どう考えても間に合わない位置を走ってきた学生に気付いた乗客が運転手に知らせて待ってあげましたが、汗だくになって恐縮して乗った学生は常連というか顔なじみのようでした。

 この宇野バスですが、岡山を起点に宇野ではなく反対の東、東北方面に路線網を持つのはこれいかに?というのは有名な話で、地名の宇野ではなく宇野さんが社長だからという社名で、「@」を先取り?したような「う」の払いを「の」の字状に丸くした社章もユニークです。まあ「家業」だからという訳ではないですが、経営方針もユニークで、)HPに「日本最低を目指す」と書くのもそうです。その日本最低とは賃率のことなんですが、本社を兼ねる表町バスセンターには、「宇野バスが定期券の割引率を引き上げない理由は」とか、既に充分安いから無用な割引はしません、と割引を謳う他社との実質の差を示して説明するなど、本音の経営は好感が持てます。

宇野バス http://www.unobus.co.jp/

 ちなみに車両も独特の茶系のカラーリングもさることながら、前後の屋根上に輝く5つのオレンジ色のランプが独特で、日が落ちてランプが輝くと「宇野バスこれにあり」と独壇場になります。車内中扉後ろにはバスカード発売器とチラシサイズの時刻表が置いてあるのも便利です。上述の通り36人掛けの車内ですが、乗りやすくても座れなくては仕方が無いと座席数を確保するのを重視しており、ワンステ、ノンステの導入を敢えてしていないのも独特ですが、バリアフリー対応も非常にユニークな形でそれなりにしており、なんとタイヤのサイズを小さくして車高全体を下げているのです。高価な新車投入をだらだら続けるよりも安価な一斉対応ということで、乗車口には「低くて乗りやすいバス」と書いており、確かにステップが2段ありますが、乗れば座れる確率は高いですし、ノンステのように車内段差はないわけで、バリアフリーの一つの回答であることは確かです。

 バスは吉井川と分かれてR484から県道経由で山陽町に至ります。山陽町の中心になる下市では大阪行きの高速バスのバス停があり、山陽ICからいったん出て客扱いをしているようです。15人ほどを数えた乗客もここで降車が多く、地域の拠点となっているようです。ここは山陽団地、ネオポリスといった近郊団地路線の要衝でもありますが、下市付近の経路は路線によって違うようで複雑です。
 山陽道をくぐると4車線になりますが、すぐ旧道に入り、鉄トラス1連とコンクリトラス9連という堂々とした大原橋で旭川を渡ります。新道に戻ると2車線で拡幅工事中。水量豊かで中州の木々が松島のような旭川と別れると岡山市街。法界院駅前から4車線になります。

 山陽線をいったんくぐりますが柳川方面には行かず、線路南の通りを通り、東から岡山駅へ。桃太郎大通り(ドレミの街)にある「岡山駅前」バス停の前に、ロータリー南東角に位置する「岡山駅前町」バス停があり、ここでJR乗り換えの案内があり、大半が降車。下市の入れ替わりの後乗車があり、結局また15人を数えていました。
 岡山駅には12,500円(片道あたり)の「のぞみ朝割切符」と15,640円(同)の「新幹線回数券」の大看板が出ていましたが、真向かいの電停前には「空路利用を促進する会」の「岡山空港からひと〜とび」「1,700台無料駐車場」の看板が対峙。柳川には「東京へのご出張は岡山空港から!!」「東京線1日10便」「3,100台の無料駐車場完備」(駅前との齟齬は??)の看板も在り、熾烈な競争の最前線らしい光景です。
 その柳川ではMOMOと並走し、13時10分、表町バスセンター着です。

●てこ入れ奏効?播備ライナー

 せっかくなのでMOMOにちょっと試乗して、天満屋バスセンターへ。案内に従って天満屋に入った後の道が分かりづらいのはネックですが、さすがに要衝岡山一の繁華街だけに賑やかです。
 14時50分の播備ライナーは神姫バスのトイレ無し高速車。JR系高速バスの乗り場で待っていると、播備ライナーを待つ中年の女性2人連れが、「18きっぷは安いけど」と意味深な会話。岡山−姫路往復といった中距離移動での18きっぷの普及と、そうした層へのアピールを狙った路線設定なのかな、というのをうかがわせます。

 この播備ライナー、開業以来かなり苦戦が続いていたようですが、7月に途中停留所を増設して、かつ個札片道1500円が、往復2000円、回数券は10枚9000円と思い切って下げました。まあこれでJRの片道80分、1450円を相手にようやく互角という感じ(バスは駅から95分)なのですが。

 中途半端な時間帯ですが天満屋からの乗車は何と8人。ワシントンホテル前の路上バス停という岡山駅前でも5人のって13人は失礼ながら予想外です。ちなみにホテル横のローソンの脇にスワロートラベルが入り、みどりの窓口でバス券を扱っています。
 裏道を抜けるように駅西に回るとR53津島の渋滞でしばらく難渋。商大前の乗車はなく、R53バイパスに戻って岡山ICは15時22分、結構時間を食います。
 山陽道に入って、今回の停留所増設は神姫バスと中鉄バスの神戸線と同様に、赤穂、相生、龍野で、双方向及び相互間の乗降が可能ですが、停めるなら山陽町であり、この3停留所は流動的にも意義が見えません。今回も乗降ゼロであり、赤穂と龍野はいったんICを出るだけに、所要時間をいたずらに伸ばしているだけのような感じです。

 山陽道を降りたのは山陽姫路西IC。R29姫路西バイパスからR2太子竜野バイパス、姫路バイパスと自動車専用道を走り継ぎ中地ICへ。手柄山の西側を通り、東行き一通のR2にまで上がってから、姫路城の大手前から駅へ向かいました。中地ICが16時26分、駅は5分遅れの16時40分着でした。
 「美作路浪漫バス」もこのルートにすればいいのに、と思う反面、「播備ライナー」の姫路市内のルートも冗漫です。姫路南ICで降りて市役所経由で南口とか、そこから神姫バスターミナルも大手前まで行かずに行けます。その意味で、運賃は今回の往復券などの値下げで施策がはっきりしましたが、所要時間や途中停留所、また姫路市内で停まらないのに大回りするコースなどコンセプトが未だ曖昧な面が多すぎます。

 その2週間後に山陽道で見かけた播備ライナーは閑古鳥が鳴いており、もう一段の改善が必要なようです。


補遺・中鉄バス神戸線も休止
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/16 00:45:40) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 「美作路浪漫バス」があえなく討ち死にし、鉄道は計画運休&「雨15」の放置プレイ対象の姫新線という姫路−津山間ですが、とうとう公共交通が瓦解という事態になったようです。

 中鉄バスが土休日に運行している三ノ宮−姫路−津山−上斎原線ですが、この10月26日の運行を最後に休止するという掲示が神戸側のターミナルである神姫三ノ宮ターミナルに9月26日付けで掲出されました。
 ただ、神姫バス、中鉄バスのHPとも未告知であり、神姫バスの姫路ターミナル、中鉄バスの津山バスターミナルも告知は見当たりません。13日夕方に見た中鉄津山なんか、神戸行きの宣伝がそこかしこにあるわけで、あと4日の運行とは到底思えません。この路線は発車オーライネットで扱ってますが、11月1日以降の照会も出来るのですが、神姫三ノ宮が嘘をついているわけでもないでしょうし...

神姫バス http://www.shinkibus.co.jp/
中鉄バス http://www.chutetsu-bus.co.jp/
発車オーライネット 
http://www.j-bus.co.jp/index.htm

***
 さて、その津山・上斎原行きに乗ってみました。
 かつては神姫バスも運行していたようで、その名残で神姫三ノ宮から出ます。「高速/津山・上斎原」と掲示にありますが、実はバスは津山止めで、奥津温泉、上斎原(石越)へは津山乗り換えになります。ローカル区間を半額で購入できる「通し運賃」制度があるので、上斎原行きとなってますが、奥津温泉を前面に出したほうが良いのに。

 変哲も無い中鉄のハイデッカーの乗客は私と、飛び込みで乗った夫婦の3人。「6番から後ろは来ないからお好きなところへ」と運転手に案内されてましたが、7番からの4列(10番ABは荷物置き?で席なし)はサロン崩れのようで一段高く、ピッチも広そうでした。
 13時25分発車。真っ直ぐ津山に向かわず、姫路を経由するというユニークな行程に、渋滞で名高い第二神明・加古川バイパスを敢えて通るのか、それとも山陽道など裏をかくのかという興味がありましたが、ルートは新神戸トンネル、箕谷から阪高北神戸線、第二神明、加古川バイパス、姫路バイパス経由で姫路南ランプ下車。市役所前を左折し、山陽電車の踏切を渡り、将軍橋の通りへ出て、廃止久しい姫路モノレールの大将軍駅(ビジネスホテルと一体になった駅!)を見て、線路沿いから姫路ターミナルに入りましたが、中地で降りて手柄山の西を回り、大手まで上がる播備ライナーもこのルートにすれば良いのに。

 14時33分着で14時50分発。渋滞織り込みダイヤのおかげで17分停車です。とはいえ姫路まで68分はまずまずですが、姫路打ち切りで新快速乗り換えを全面に押し出したほうがよさそう。三ノ宮からだと姫路バイパスから播但道に行くなり、神戸三田から中国道に行くのが速いわけで、時間ロスが大きいです。
 その姫路の乗客は11人。都合14人ですから、もともと土休運転とリスクを限定しており、ひどくはないし、やりようもある気がするんですが...
 姫路城を正面に見てR2へ。さらにR312に入り、砥堀から播但道、福崎から中国道へ。播但道は姫路から見て東側であり、相当な手戻り感がありますが、さもなければ佐用まで下道(もしくは新宮まで播磨道)となるわけで、「美作路浪漫バス」の全区間下道は論外としても、コースどりが難しい区間でもあります。

 播但道は姫路バイパス、山陽道と中国道を結ぶ流動が多かった時の名残で、福崎南から福崎、福崎北の間は、和田山への本線が対面2車線なのに、福崎からみの出入り線は片側2車線と風変わりです。そして福崎ICは播但道だけとの出入りであり、実際には播但道福崎北か福崎南で外部に出ます(この区間料金は掛からない)。

 中国道に入った安富PAで休憩し、山崎を過ぎると山にかかります。美作国に入ると盆地の落ち着いた風景。そして津山ICを出て、津山IC、東津山駅前、伏見町と停まり終点中鉄津山バスターミナル(津山駅前)に7分早着の16時22分に着きました。伏見町で降りた1人を除くと全員津山BTまでで、奥津方面への乗り継ぎも無かったようです。
 津山は言うまでもなく大阪への中国高速線の拠点で、かつ途中からでは積み残すほどの人気路線ですが、それにあやかって?中鉄も奥津、蒜山から大阪への高速バスに津山北BSから乗れると宣伝しています。
 大阪の人気を考えると、姫路、神戸線が一人蚊帳の外になって休止というのが妙でもありますが、姫路は行先として中途半端で、神戸は時間ロスが多くて嫌われたのかもしれません。

 とはいえ、繰り返しになりますが極端にひどい乗車率でもないようで、しかも姫路からの乗客が多かったことは意外でもあり、姫路ターゲットのほか、神戸への乗り継ぎ利用(直通はやはり時間が掛かり過ぎ)をどこまで訴えてきていたかということでしょう。

  広浜ルート・夢と変遷を辿る旅 (2003/09/22 00:53:34)

 お盆休みの1日、広島県下の実家に帰ったのを機会に、廃止が決まった可部北線(可部線・可部−三段峡間)と新広浜線バス、浜田道高速バス「いさりび号」で浜田まで往復してきました。
 可部北線のお名残乗車ではありますが、明治以来の広島−浜田間の計画線ルートでもあり、島根県内では今福線として戦前、戦後にルートを変えて2度も着工されたという異色の経歴を秘めており、そういう意味では広浜ルートの変遷を追う小旅行でした。

●可部北線

 神戸から在来線乗り継ぎで向かいましたが、単に可部線に乗り継ぐのも面白くなく、横川から高速4号線経由のバスで大塚に向かい、アストラムラインで大町に出ました。
 その大町から北上ですが、余裕を見て三段峡行きに接続する1本前、大町12時24分の可部行きにしましたが、もう「鉄」っぽい人でサラッといっぱいです。12月以降も存続する南線区間ですが、ワンマン化が近いようで、105系電車の車内にはワンマン用の装備がついています。並行する旧54号の歩道橋に残る「松江」の表示に昔を感じました。

 可部ではすでに三段峡行きが停車中。キハ40系2連で、N40っぽく改造された車です。車内はすでにいくつかのボックスに客がいて、この電車からでほぼボックスが埋まる格好。ほとんどが「鉄」という様子はなんともはやです。
 「正規」の接続便が来てさらに乗客を受け入れます。私のボックスには珍しく普通の旅行者らしい親娘連れ。しかし、座席定員6割程度というのは「お名残」でお盆の時期にしては少なく、8割がたが「鉄」では、存続を云々するレベルではないようです。

 13時5分、可部発車。加計までワンマンで以北ツーマンという不思議な運用です。
 テープは「加計行きワンマンカーです」と流れ、「ドアは手前に開きます、ステップに立たないで下さい」とはキハ120系用の流用です。肉声放送で「テープは加計行きですが、列車は三段峡行きです」と注意が入りましたが、廃止対象とは言えコストをケチるにもほどがあるという感じです。
 安佐北区役所が近くここまでの電化、存続運動もあった河戸も利用は少なく閑散。住宅や役所までは距離があるようで、これでは残しても利用があるかどうか。
 安芸飯室の手前ではついに出ました15km制限。他の「雨15」と違い本設の15km制限です。手入れも無いようで木々の枝が車体を擦るというより当たっており、あと3ヶ月あまりとはいえ安全面でも問題があります。

 加計で交換の小休止。数少ない一般客(帰省客)はここまでが大半。座席定員の半分くらいです。木坂、殿賀で残る一般客が降り、終点の一つ手前、町の中心である戸河内での一般降車はなく、結局三段峡までの最終コースは「鉄」10割というコメントのしようも無い状態でした。

●広島電鉄バス〜戸河内ICバスセンター

 14時38分、三段峡着。こういう時の行動は皆同じで、委託窓口には乗車券を求める長蛇の列です。駅舎を出て振り返ると「JR可部線の存続を願う!!」の横断幕。地元は廃止後の「復活」を旗印にして徹底抗戦の構えでしょうか。
 三段峡の入口を眺めて、三段峡温泉を謳う温泉旅館で渓谷を眺める内風呂に入浴。列車利用だと300円に割り引いてくれます。
 15時5分発の加計行きの発車を見送ると駅前は実に閑散。三段峡はここから徒歩2〜3時間のハイキングですが、R191を行くエスケープルートがあり、バスやタクシーの便が実はあります。

 15時30分の広島センター行きの広島電鉄バスは前中扉ワンステの一般車。「佐東バイパス経由」とありますが、いわゆる可部地区の新道経由で、広島まで一般道を一つ一つ停まっていきます。戸河内役場からは高速経由もありますが、三段峡は一般道経由のみ。16年前に来た時も帰りはバスでしたが、佐東バイパス経由の一般道経由一般車というスタイルは同じでしたが、列車も遅いがバスも相当掛かった記憶があります。12月からは戸河内役場への高速系統が延伸されるようですが、島根県瑞穂町出羽への路線が消え、広島県大朝町への路線も廃止が決まっている広島電鉄がいつまで維持するのか。高速経由の益田系統に戸河内で地元の三段峡交通と接続というスタイルになるのかもしれません。
 戸河内ICバスセンターで降りましたが、「とごうち”アイシー”バスセンター」という案内には苦笑です。

 戸河内役場からは高速系統も出ていますが、ここで益田系統の高速バスとの乗り継ぎを行っており、160円を割り引きます。ただ惜しむらくは対象が広島方向の広電に限られ、石見交通便は対象外。一般系統は三段峡交通も含まれるのに中途半端です。同じサービスは加計BSでも実施され、芸北町方面もカバーされますが、戸河内がバスタッチ方式なのに、加計は津浪、イロハの両停留所との徒歩連絡です。

 戸河内ICバスセンターはICそば、道の駅「来夢とごうち」の向かいの駐車場にあり、ロータリーの真ん中にログハウス調の小さな待合室があるだけの施設です。
 「来夢とごうち」が案外しっかりしているだけに、併設にすれば案内も出来るのに、バスセンターの待合室が汚れ気味ということもあり減点です。まあ、以前ならこれでもP&Rに高速系統と一般系統の乗り継ぎと先端事例なんですが、後発組の充実を前にすると相当色褪せて見えます。
 IC前ということで通り側にはコンビニや屋台形式の物販店もあり、賑わいとしてはまずまずです。

●新広浜線(広島−戸河内−芸北−浜田−周布)

 浜田周布行きの発車は16時32分。広島駅新幹線口を15時18分に出た便です。
 やってきた石見交通の高速車は「急行」「戸河内 芸北経由」の表示です。車内は16人が乗車しており、ここで2人降車。私ともう一人「同業」っぽい人が乗車しました。

 中国道を加計BSに停まってきたのに、ここから道路の関係で加計の街中まで戻ります。昔の名残か上殿のバイパスではなく旧道を行き、R191とR186を分ける滝山口では4人降車と、加計町域での降車が目立ちました。
 R186に入り、加計ダムからぐいぐい登り温井ダムへ。最近の付け替えのようで、ダム湖に旧道の廃トンネルが見えます。ダム湖を見下ろすところには温井スプリングスという小洒落たホテルがありますが、マイナーな観光地です。
 温井ダム関係の改修区間が過ぎるとロックシェード区間が続く隘路に。王泊ダムのダム湖を1車線ギリギリの吊り橋で越え、高原然とした芸北町のスキー場エリアへ入ります。中国地方でも有数のスキー場エリアですが、見た感じではささやかなゲレンデでした。

 この新広浜線、戦後、R186が開通したことで戦前からの国鉄バス広浜線ルート(千代田、大朝経由)よりも道路事情が良く短いルートとして広電、石見交通の民間ルートとして開発され、最盛期は11往復を数えていました。
 戸河内ICまで高速利用というスタイルでしたが、浜田道の開通により大朝経由の中国JRバスと共同化をはかり、「いさりび号」として再出発。新広浜線は広電、石見の各1往復が残りましたが、もともと幹線ルートのお相伴とはいえ芸北町にとっては大削減になっています。
 2002年春に広電が撤退し、伝統のルートもついに浜田朝発、夕方着の1往復のみ。芸北町もその前後に芸北−広島の広電バスのみとなり、基本的には加計への総企バスがメインになっています。

 芸北町役場前にはその総企バスが2台待機。医療・ケア関係の施設と聞く芸北ホリスティックセンターで2名降車。道の駅のような感じでもあり、ちょっとした要衝です。
 大佐山で県境を越え、島根県金城町へ。県境を越えたのは5人に過ぎませんでした。
 峠を下り、17時37分の波佐で3分停車して休憩。雪深いのか屋根付きの車庫があり、窓口もありました。ここからは浜田・周布行きが7本出ています。
 乗客はさらに降りて3人。うち2人は私と「ご同業」です。
 上記の7本に対してこちらは「急行」なので停車駅案内が入ります。金城町役場付近は旧道に入り役場に直付け。市内に入り、国立病院を過ぎ、市街地を行くと程なく浜田駅。18時14分の到着は広島から約3時間、3人全員が降り、バスは周布へ去りました。

●いさりび号・広浜線夜行バスの思い出

 浜田は山陰西部の要衝で、街としての体裁は整っています。ただ、「どんちっち交番」「どんちっちタウン」「いわみーる」という意味不明?の表記が目につきましたがなんでしょうか。地域の愛称なのかな?

 浜田道経由の高速広浜線「いさりび号」は駅の窓口で乗車券を買います。
 16往復を数え、ノンストップ便も4往復。なお、一般便は広島ICから中筋駅経由ですが、ノンストップ便と朝上りの2便は大塚駅経由高速4号線経由になります。
ノンストップ便は順番券が配付されるようですが、お盆時期はこれから乗る最終便を除く全便に拡大されているようです。

 「最終便」の案内放送が入った18時55分発は広電便。駅では18人の乗車です。国立浜田病院に停まって、R9浜田BPから浜田ICに向かいますが、国立病院まで170円の運賃設定があったのには驚きです。
 ICを入ってすぐ江津道路の分岐。今秋供用で表示を隠してある状態ですが、浜田道とスルーということは通行券方式でしょうか。
 闇が支配する浜田道を進み、金城PA併設の金城は乗降がありませんでしたが、旭ICではIC外のBSへ。ここで1名降車、3名乗車です。このあと瑞穂ICで4人(2名降車)、大朝ICで3人、千代田西BSで1人と延べ29人乗車ですが、途中乗降が多いのが目につきました。県道5号線経由の広浜線時代からの定着ぶりともいえますが、その広浜線(一般道)はこの春に中国JRバスが撤退、石見交通が瑞穂ICまでの区間を代替しています。

 浜田道開業前の広浜線は千代田ICから大朝を経て県境の三坂峠を越えて浜田に向かっていました。85年から90年にかけては全区間一般道経由ですが浜田1時51分着、浜田発3時40分の半夜行便が設定され、対東京、大阪のビジネス便として売り込んでいた時代もありました。このバスに88年夏乗車していますが、広島駅新幹線口を22時10分に出発、表口、八丁堀経由でセンターに至ると満席になりましたが、祇園や古市、可部で大概降りてしまい、0時16分発の大朝ではわずか5人と、結局は近郊線最終バスという感じでした。
 深夜ゆえ運転手が5人一人一人に行く先を聞き、そのあと、右に左に振り回されるような闇の三坂峠越えを経て、センターラインの無い道を突っ走って4人の乗客とともに浜田に着いたのは1時51分定時到着。運賃表の50区間の表示を交互表示で100個表示していたのが印象に残っています。

 お盆というのに両方向ともクルマが少ない浜田道から千代田JCTで中国道、広島北JCTで広島道、広島JCTで山陽道と抜けて広島ICへ。紛らわしいからか広島道の表記は一切無く「山陽道」一辺倒だったのは新鮮ですが、だったら「広島岩国道路」「広岩道」も止めて欲しいです...
 車内は若い女性の比率が高い高速バス特有の客層。見送りの様子から帰省帰りという感じの客も多かったです。

 広島ICを出て、R54祇園新道を行き、中筋駅に20時半前着で4名降車。路上停留所かと思ったら祇園新道からロータリーに入り、空港行き、それ以外、広島行き降車の3ブースと待合室を持つしっかりしたバスターミナルでした。
 アストラムライン乗り継ぎポイントではありますが、エスケープルートというより広島市北部の純粋なバスターミナルという色彩が強そうです。

 祇園新道を突っ走り、広島バスセンターには2分早着の20時41分で8名降車。意外と駅まで行く人は多いです。ちなみにセンター到着寸前に流れた到着案内のチャイムがJRバス関東のそれと同じというのには驚きました。
 バスセンターから広島駅新幹線口へは合同庁舎、女学院経由のコースですが、右左折、特に右折が多く、新幹線接続の最終コースでもあり定時性に若干懸念が残ります。
 結局4分早着の20時51分着。ダイヤ自体に余裕があるようですが。

***
 広浜ルートの変遷を辿るような行程に、思い出話もちりばめましたが、古典的な一般道長距離バスから都市間高速バスへの変遷のなか、メインルートではバスが定着しているさまと、都市間需要を外れると厳しいいずこも同じ状況の二面性を垣間見た旅でした。


バンビは跳ねず…
 投稿者---551planning(2003/12/01 13:43:16)

−高速バス不毛の地で育つ大手バス会社という妙
 └Re:高速バス不毛の地で育つ大手バス会社という妙
  └「何でも屋」への挑戦
   └稼ぐためには「運輸業」であり続ける必要は実は無いのだが...
    └Re:稼ぐためには「運輸業」であり続ける必要は実は無いのだが...

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     └運輸業=本業という考えが古くなりつつあるかも
      └Re:運輸業=本業という考えが古くなりつつあるかも
      └Re:運輸業=本業という考えが古くなりつつあるかも
       └むしろこんな事業だから
       └
完全自由競争はありえない
        └好ましい形は「完全自由競争」でなく「有効な民間活力の活用」
       └何故の「“公共”交通」か?
        └Re:何故の「“公共”交通」か?

 別項で千葉−銚子間高速バスの事実上の「敗北宣言」を取り上げたところですが、【検証:】でも注目されていた路線がもうひとつ消える事となりました。今年3月に新設された姫路−岡山線「播備ライナー」(神姫バス・中鉄バス・中国JRバス)です。

神姫バス 12月のダイヤ改正について http://www.shinkibus.co.jp/lc_news_031128_2.htm

千葉−銚子間高速バスの多難な船出 ../log089.html#2

 今年3/20に直行スタイル(姫路駅神姫BT−岡山商大前・岡山駅前・天満屋BC)で9往復が設定されたものの当初より不振が伝えられ、7/18には一部便時刻修正と山陽道BS(龍野IC・相生・赤穂IC)への追加停車、往復割引・回数券の大幅値下げというテコ入れ策が採られましたが、結局12/24を以って運行を終了する事になった由。
 現在も見られますが、中国JRバスサイトでは『生まれ変わった播備ライナー』『通勤に便利になりました』『格安の料金でご利用頂けます』といった文字が躍っているものの、前掲のエル・アルコン様のレポートにもあるように、途中停留所含めルート選択の粗さや価格設定も結果的に中途半端になったことでテコ入れも訴求効果を持たなかったと断じる事ができましょう。というよりも、開設当初から云われていた様に両都市間の関連性の薄さが如実に出た結果なのかもしれません。
 また、別掲の銚子線では一般道経由が長いことでの不確実性に加え、競争相手である鉄道(在来線普通)との差別化が徹し切れなかったことも挙げられようと思いますが、こちらの場合新幹線もあるとはいえ、環境的には近似しているとも見られるだけに、互いの結果は今後の中距離都市間バス路線戦略にも一石を投じるものがあるのかも…と思うのでした。

中国JRバス http://www.chugoku-jrbus.co.jp/banbi-liner/banbi-liner.htm

高速バス不毛の地で育つ大手バス会社という妙
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/12/02 16:05:08) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 播備ライナーの撤退には驚きました。
 7月にてこ入れをしたばかりであり、その効果も少なからず出ていたように感じていただけに、繁忙期を前にした手仕舞いは意外です。
 もっとも、てこ入れ策のうち奏効したのは値下げであり、播備の場合、昼行中距離バスで通常言われる採算ラインよりハードルが高かったことは想像に難くありません。

***
 姫路関係では、10月26日限りで中鉄バス運行の三ノ宮−姫路−津山−上斎原線も休止となっており、8月の「美作路浪漫バス」の早過ぎる休止もあり、伊丹空港へのリムジンを除けば昼行高速バスは全滅状態です。
 一方で夜行高速バスについては播備の撤退を告げる同じリリースの中で、姫路−三ノ宮−新宿線の新規開業が報じられており、移動需要が無いとは言えないようですが、播州の中心地として拠点性がそれなりにあると思われる姫路市が、意外にも高速(幹線)バス不毛の地になっています。

 ところがその姫路市は、独立系の大手バス会社である神姫バスが本拠地にしているわけで、神姫バスの収益源が神戸や三田、明石方面、また明石海峡大橋関係の高速バスに偏りつつあるとはいえ、そうした高速(幹線)バス不毛の地で大手バス専業会社が成立しているという面白さがあります。

***
 結局姫路発着で成立している高速(幹線)バスは、渋谷線、新宿線、長崎線と伊丹リムジンだけであり、長崎線は神戸のお相伴、他は東京や伊丹といった拠点からの枝としての目的地であり、姫路を中心に路線網を設定しているわけではありません。

 姫路からの路線を見てみますと、かつては若桜もしくは大原経由で鳥取と結ぶ都市間バスがありましたが、智頭急行の開業の影響などで消えています。
 結局路線網を見てみますと、姫路市周辺と、龍野、山崎、福崎、加西(北条)といった姫路の衛星都市?との間にとどまっている感じであり、姫路の経済圏というものがある程度うかがえます。
 もちろんいちばん拓けているのが山陽線沿線であり、新快速に代表される鉄道に歯が立たないと言う事情はあるでしょうが、例えば鉄道に比べて道路事情が良いはずの播但道経由但馬方面への幹線バスが昔から無いことを考えると、広域的な拠点としての機能が実はあまりないのでは、という仮定も可能かと思います。

Re:高速バス不毛の地で育つ大手バス会社という妙
 投稿者---KAZ氏(2003/12/02 18:24:06) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/mono/

 どうもです。

 私も姫路岡山線の早々の撤退には驚きました。尤も設定当初から疑問視する人もいた路線ですし、地域的に結びつきの薄い播磨と備前を結んでも仕方がないのは容易に想像が付いたんですが・・・。

 姫路の拠点性ですが、何故か広域拠点としての影響力に「指向性」があるようで、姫路の勢力圏に入っていたのは鳥取(因幡)と津山(美作)であり、豊岡(但馬)への影響力は少し薄かったようです。但馬地方は大阪や京都といった歴史的大消費地と直接のつながりがあったのかも知れません。播州内でも姫路の勢力圏には偏向があり、明石が以前は拠点性を持っていたことから東播磨は明石の勢力圏といった状態だったようです。姫路の街も以前は城下の「姫路」と、港町「飾磨」が分立して市街を形成しており、「全てが集まる大都市」という状況にはなかったようです。内海航路の物流に乗せるのに、岡山の港を使うか飾磨の港を使うか、もしくは直接畿内へ持ち込むかという選択で影響圏が変わったんでしょうか(推測ですが・・・)。

***
 さて神姫バスですが、バス専業としては大手ではあるものの姫路での地位はさほど高くなさそう、というのがエリア住民の実感ですね。他地方の交通事業者のように「地域の生活産業を牛耳る」というような形態にはなっていませんし、ほぼ交通専業で手堅い経営を行っているようです。高速バス・地域内速達路線とも、前述のような事情からか姫路周辺では数少なく、姫路〜鳥取間の特急バスや同路線の区間運転での急行・準急が以前あった程度で、他は長大ローカル路線も比較的少ないですね(明石起点では三木・小野・社・西脇を結ぶ急行バスがあったりしました)。あと但馬を仕切る事業者が「全但バス」というのも問題があったのかも知れませんね。真偽の程は定かではありませんが犬猿の仲だそうで、生野以北の路線で揉めていたとかいないとか。神姫は阪神の資本が入っており、全但には阪急の資本が入っているので「場外戦」だったのかも知れません(笑)。

 姫路の街は江戸期なら兎も角、明治以降は瀬戸内経済圏と近畿経済圏に挟まれた「中途半端」な位置付けで、特に交通機関が発達してからは近畿に飲み込まれる形となり独自の「色」は薄いのでしょう。他の地方都市のように「支店」が置かれるような位置になく(大阪からは日帰り圏で、中国地方の拠点としては東に寄りすぎていて不利)、近代都市としての成長の過程でも軍需産業〜重工業に偏っていた面もあり、経済都市としては非力といったところでしょうか。

「何でも屋」への挑戦
 投稿者---551planning(2004/02/27 00:04:40)

 いささか旧聞ではありますがとある記事を御紹介を。
 個人的には全然アリ、なことだとは思うのですが…。

神姫バスがパチンコ、貸しビデオも 「路線存続のため」(神戸01/29)http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/…

 ジリ貧というべき本業の路線バス事業維持のため、以前に手掛けていてノウハウを持つパチンコ事業に参入、西播磨で2店舗を展開しこの3月期決算予想では売上高が全体の約2割に達するというからオドロキです。レンタルビデオ事業の再攻勢や賃貸不動産の高付加価値化を進めるなど積極的な異業種展開を図っているとのこと。
 ここでつい京都交通が脳裏に浮かびましたが、【検証:】でも皆様より神鉄にガチンコ勝負を挑む姿などを御紹介頂いていましたし、そういえば地元姫路の方が『ほぼ交通専業で手堅い経営を行っているよう』との認識を示されていたことからすると、神姫バスも結構厳しい状況にあるということを思わずにはいられません。

 ともあれ、特にギャンブル業との絡みを忌避する傾向もある中、個人的には至って現実的判断に基づく経営手法とは思います。パチンコ産業自体も換金の事実上容認という転換点を迎えて「確変」しつつあり、現実的にも「廻ってナンボ」の商売である事が記事からも伺えるところを見ると、むしろある程度のネームバリューやバックボーンの存在が存立理由となる可能性も無きにしも非ずと考えます。

稼ぐためには「運輸業」であり続ける必要は実は無いのだが...
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/27 10:37:00) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 四季報では高速バスが牽引役とありますし、15年3月期の連結の営業損益レベルでは販売費および一般管理費(74億)の割当の問題がありますが、バス事業の収益が170億で経費128億というわけで、付帯事業の収益159億、経費105億には見劣りしますが、バス事業全体で見たら微妙に大都市圏と距離を置くバス専業としてはまずまずと言えるのではないでしょうか。

神姫バス 第120期(平成14年度)事業報告書http://www.shinkibus.co.jp/120jigyo-hokoku.pdf

 それよりも驚くのが「遊技場事業」でして、本体直営というのも驚きですが、16年3月期の売上が2店で45億円と言うのはすごいです。
 年中無休で日商1200万円、12時間営業で時間あたり100万円の収入ですから、2店舗の台数がいくらかによりますが、1000台なら総ての台に1時間あたり1000円は突っ込んでもらっている計算です。
 ちょっと信じられなくてパチンコ業界のデータを当ってみたら、13年度の数字として売上が27.8兆円、来場者数1930万人というデータがあり、年間1人当り144万円、月に12万円使っている(勝ち負けは別として)ことになるわけで、6ヶ月の通勤定期が163,000円の上限打ち切り制を採っているバス事業と比較すると、年間1人当り32万円の収益しか期待できないバス事業と、平均で144万円の収益が期待出来るパチンコ事業のどちらに経営資源を投入したほうが良いのか、事業の是非は別として、純粋な経済合理性で判断したとき、非常に複雑な心境です。

 「運輸業」としての事業基盤や地域への交通手段提供を維持するための収益の下支えとして、という範疇にとどまるのか、「運輸業」は「遊技場事業」のネームバリュー確保のための最小限の路線維持として収益性の高い高速バス事業などに限定し、「遊技場事業」に傾注するのか。上場企業として株主から資本を集め、配当するという「宿命」と「公共性」が向きあうこのケースもまた、「公共交通」の担い手やあり方に対する問いかけになるでしょう。

Re:稼ぐためには「運輸業」であり続ける必要は実は無いのだが...
 投稿者---TAKA氏(2004/02/27 23:45:56)

 管理人様・エル・アルコン様今晩はTAKAです。神姫バスのパチンコ屋の話でこんなに注目を集めるとは思いませんでした。神姫バスがパチンコ屋をやっている事は知りませんでしたが、本文にも書いてありますが私の廻りで有る話なので私は珍しい話ではないと思っていました。

 四季報では高速バスが牽引役とありますし、15年3月期の連結の営業損益レベルでは販売費および一般管理費(74億)の割当の問題がありますが、バス事業の収益が170億で経費128億というわけで、付帯事業の収益159億、経費105億には見劣りしますが、バス事業全体で見たら微妙に大都市圏と距離を置くバス専業としてはまずまずと言えるのではないでしょうか。

☆確かに御提示の資料を見る限り神姫バスのバス事業は2割近く粗で利益が出ているのですから、普通のバス事業者に比べたらかなり収益性がある事は間違い有りません。大都市圏のバス会社でもなかなか此処まで収益を上げている会社はないでしょう。
 危機感的にはバス事業がジリ貧になると言う危機感はあるでしょうが、未だ本業のバス事業自体は恵まれた状況にあるのではないでしょうか?

 それよりも驚くのが「遊技場事業」でして、本体直営というのも驚きですが、16年3月期の売上が2店で45億円と言うのはすごいです。
 年中無休で日商1200万円、12時間営業で時間あたり100万円の収入ですから、2店舗の台数がいくらかによりますが、1000台なら総ての台に1時間あたり1000円は突っ込んでもらっている計算です。

☆確かに神姫バスの様に上場会社が本体直営でパチンコ屋というのは珍しいかもしれません。只知る限りですが、バス会社がパチンコ屋というのは意外に珍しくないと言うのが私の印象です。私の知る限り子会社での運営ですが、立川バスや神奈川中央交通も子会社でパチンコ屋を持っています(立川バスは1店ですが、神奈川中央交通は複数店持っています)。
 今日偶々仕事でパチンコ屋を副業でやっているバス会社の内の一つの会社の人と話していましたが、結局は何故パチンコ屋を始めたかというと、バスの車庫等で土地を持っていても最初は駅の近くだったが車庫への苦情が増えて来たので郊外に車庫を移した跡地利用等で不動産やパチンコ等の副業に手を出したというのが実情みたいです。パチンコ屋も苦情は多いらしいですが、バスの車庫より騒音の出る時間が少ないので未だ良いと言われる様です(本題はちょっと離れた話(土地の有効利用の提案)だったのですが、だんだん雑談でそんな話になってきて・・・)。
 又バス車庫の跡地や予定地として確保した場所は幹線道路に近く車も入りやすく用地も広いので郊外型パチンコ屋の立地には最適のようです。そう言う事もありバス会社の副業のパチンコ屋というのは最初に始まったみたいです。其処から儲かるので拡大していったみたいです。でも何処のパチンコ屋も儲かって居るみたいで・・・。建物等をバシバシ新しくしてくれるので、仕事的には助かります(個人的ですが)。
 私は時々しかパチンコはやりませんが、パチンコで1,000円注ぎ込むのはあっという間です。そう考えると強ち1時間1,000円と言うのは的はずれな数字ではないと思います。そうでなければ1,000億単位の売上のマルハンや日拓の様なパチンコホールは出てこないでしょう。この様に考えれば有望な副業なのかもしれません。

 年間1人当り32万円の収益しか期待できないバス事業と、平均で144万円の収益が期待出来るパチンコ事業のどちらに経営資源を投入したほうが良いのか、事業の是非は別として、純粋な経済合理性で判断したとき、非常に複雑な心境です。

 「運輸業」としての事業基盤や地域への交通手段提供を維持するための収益の下支えとして、という範疇にとどまるのか、「運輸業」は「遊技場事業」のネームバリュー確保のための最小限の路線維持として収益性の高い高速バス事業などに限定し、「遊技場事業」に傾注するのか。上場企業として株主から資本を集め、配当するという「宿命」と「公共性」が向きあうこのケースもまた、「公共交通」の担い手やあり方に対する問いかけになるでしょう。

☆その様な「副業のネームバリューの為の運輸業」というのには「紀州鉄道」が当てはまりますよね?(紀州鉄道は不動産ですが)。まあ実際としてはパチンコ屋を副業で営んでいるバス会社でも「パチンコ屋はあくまでも関連事業の一つ」というスタンスには間違いはないでしょう。パチンコ業界も競争が激しいみたいですから、そう簡単には拡大しても成功すると言う様には行かないと思います。
 只経済合理性から考えれば、収益が極大化出来る事業に最大限の投資をする事が経済合理性にも適っていますし、収益を上げて配当をするという上場企業の「宿命」から考えても正しい行為です(それこそ利益至上主義の私の考えの最たる物ですが・・・)。只私自身は経営を考えた時に、パチンコ屋というのはあまりに変動や浮沈の激しい業界で、其処に全力投球というのは経営的には危険な選択の様な気がします。特に都市圏のバス会社等成長性はなくとも多少の利益が稼げている様な事例では、安定性のある分野と成長性のある分野をバランスを持って経営し資源を配分していくのが好ましいのではないかと思います。
 又日本の民営交通機関は規模の大小が有れども交通事業以外の副業を行っていますし、経営的には足を引っぱっているところもありますが孝行息子に成長している副業を抱えている会社も多数有ります(神姫バスのパチンコ屋はその良い例です)。只日本の民間交通は交通事業を主にしてその廻りに関連事業を集め複合的に運営する事で収益性と成長性を確保してきたと言う現実があり、その流れに乗って日本の公共交通の一部分は非常に低い公的コストで維持出来たという現実もあります。それ自体は社会全体の効率性を考えると好ましい事です。
 この今までの民間交通企業経営の流れが上手く行かなくなったり道を外れたりした時には、「民間交通企業の経営と公共交通の担い手」について深刻に検討する必要があると思いますが、今の状況では少なくとも大企業や都市圏では其処まで深刻でしょうか?確かにこれから交通関係企業の経営環境はきわめて厳しくなる事は十分予想出来ますが(別レスでの議論の様に)その時にも「公共交通の担い手」として公的な貢献もしているのですから、それを支える関連事業に便宜を図り「その便宜の分公共交通に貢献しなさい」というようなスキームも作れるのではないでしょうか?その様な考え方も発想の転換としては良いのではないでしょうか?(でも其処までは話がそれすぎますかね?)
 何か全然纏まりませんでしたが・・・

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2004.11.14 Update


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