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【検証:近未来交通地図】Special026
神戸電鉄の21世紀…バスに食われつつある通勤鉄道の現実
(2-2)
神鉄

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、エル・アルコン様より当BBSに御投稿頂きました文章を中心に、読みやすく構成させて頂いたものです(一部文面を編集しております)。

・ 〔神鉄vs神姫〕北摂特急通勤ルポ  (2003/10/03)
・ 〔神鉄vs神姫〕番外編・有馬温泉線の真相  (2003/10/20)
・ 〔神鉄/北神vs神戸市〕裏六甲短絡ルートを見る  (2003/10/25)
・ 〔神鉄vs神姫〕神姫、春の全面攻勢へ  (2004/03/26)

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。


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▽前ページより

〔神鉄vs神姫〕北摂特急通勤ルポ  投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/03 08:47:17)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 鉄道ジャーナル11月号で、「いま忍び寄る危機」と題して神姫バスなどの競合の前に神鉄が大苦戦している様子が書かれていましたが、これまでこの「検証」における拙稿で、神鉄公園都市線と北摂ニュータウン、恵比須快速、そして西脇急行と既に2年前からこの問題を取り上げてきました。
 そして今回、公園都市線方面と競合する北摂三田への特急バスに試乗してきました。

神鉄

北摂ニュータウン探訪   026.html
神鉄特快速から見た北摂三田通勤事情 026.html#2
神戸電鉄に挑む神姫バス「恵比須快速」ルポ 026.html#3
近いか遠いか三木への小旅行 026.html#6

 三ノ宮の神姫バスターミナルに着いたのは18時45分頃。ちょうど洲本行きと玉津経由の西脇急行が出ていきましたが、どちらも15人程度。待合室に入ると淡路島方面に向かう18時50分発の案内が続き、19時の北摂特急と恵比須快速はまだ発車番線が表示されておらず、ここで待つシステムです。
 50分発の発車案内が流れる頃、ようやく両便が案内されましたが、どちらも通勤系統とあって行列は伸びに伸び、待合室を突っ切り三ノ宮駅側の出口に達していました。

 ガード下のバス乗り場に向かいますが、恵比須快速に向かう人の多いこと。当方乗車の高速仕様の特急えるむプラザ経由三田カルチャータウン学園七丁目行きは出足ちょろちょろという感じでしたが、通勤客が三々五々集まり、結局45人の正座席のところ35人埋まりました。そして驚愕すべきは恵比須快速です。隣りに停まっていた前後扉の急行車に客が乗り込んでおり、19時15分の御坂経由西脇急行にもう案内かよ、と思っていたら、これがなんと恵比須快速の続行便です。本便も座席が34席と少ない同じ急行車というせいもありますが、なんと2台仕立てでの運行。本便満席、続行便も17人乗車と50人を超える盛況です。

 2台の恵比須快速と悌団を組んで新神戸トンネルへ。無停車の恵比須快速を見送って19時8分に停車の新神戸駅では2人乗車。結局37人乗車です。トンネルでは急行64系統を追い抜きましたがこれがなんとぎっしり。50人は軽く乗っている感じです。30分ヘッドの当方と違い、3〜4分程度の間隔でのこの乗車は神鉄の輸送力に匹敵し、輸送量は遥かに凌駕というところでしょう。
 19時15分の箕谷から阪高北神戸線。大池の住宅街を見下ろし、唐櫃や有野のトンネルを抜けて六甲北有料へ。遠くにこれから向かう北摂NTの灯が見え、振り返れば藤原台の灯も見えるはずですが、こちらは座席位置の関係で見えませんでした。

 19時35分に神戸三田ICを通過し、いよいよ北摂NTに入ります。
 最初の停留所となる弥生が丘5丁目でなんと10人降車。次の狭間が丘県住前で5人、そして19時42分のフラワータウンセンターで私も含めて11人と、これからウッディタウンやカルチャータウンに行くのにあらかた降りた格好です。NTの開発具合にも依るのですが、フラワータウンの駅勢での事態には驚きでした。

***
 さて、帰路は公園都市線で三田に出て、宝塚から阪急乗り継ぎにしましたが、フラワータウン駅で運賃表を見ると三宮は北神経由で1030円、新開地経由で790円です。バスはここまで700円ですから話になりません。時間も横山での乗り継ぎがやや冗長なので(フラワータウンまで3分程度なのに7分とか平気で待たされる)、北神経由急行利用でも2度の乗り換えで10分以上後れを取ります。

 時刻表を見ると毎時4本がずっとならび、ラッシュ時間帯に本数が増えるということはありません。神鉄では三木もそういう感じでしたし、横山で見ると三田線も同じです。そして両線が三田に乗り入れるので横山−三田間は毎時8本、ただ三田行きは3−12分、三田発は6−9分ヘッドと偏ってますが。
 まあ、三田でのJR宝塚線接続を重視しているせいか、0時台もそれまでと同じ本数を維持しているのは立派です。

 フラワータウン19時54分発は上下同時発車。3連の車内、こちらは30人程度の乗客で10人ほどが乗降ですが、三田発は70人くらいで到着し、50人は降りています。
 横山でわざと1段落として乗り継ぎの観察。20時3分の鈴蘭台行きに乗り継いだのは6人。逆に20時3分の急行から降車した約30人のうち、公園都市線に乗り継いだのは23人。これらの人がすべて三宮から来たとしても、神鉄は毎時4本なので時間当たり100人弱、バスは毎時2本なので時間当たり75〜85人程度であり、電車は鈴蘭台や岡場などからの利用も考えられるので、実際には拮抗していると見ていいでしょう。

 三田の駅前は狭いながらも立派に改装されており、神姫バスがJR宝塚線を受けて発車していきます。宝塚までは普通電車でしたが、神戸市内ながら市内駅でない道場では駐車場を埋めるクルマと駐輪場のスクーターが目を引きます。道路事情が悪い三田駅に出ずに、こっちを狙う通勤客が多いのでしょうね。

 退勤後の早回りでしたが、2年前よりも相当パワーアップした恵比須快速に、鉄道と完全に拮抗している北摂三田特急と、バスの攻勢はさらに強まっているようです

〔神鉄vs神姫〕番外編・有馬温泉線の真相
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/20 17:10:50)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─〔神鉄・北神vs神姫・阪急バス〕北区問題について
 └「北神処理」で終わらなくなる可能性も

 神姫バスと神戸電鉄の「ライバル決戦」というと北摂三田特急、西脇急行、恵比須快速の三本建てですが、実は番外編とも言うべき区間があります。
 三ノ宮−有馬温泉がその区間で、新神戸トンネル経由ながら各駅に停まる一般路線ゆえ目立ちません。しかも阪急バスとの共同運行で、乗り場も神姫三ノ宮バスターミナルではなくJRバス乗り場の並びと異色です。そうは言いながら、いつ見ても混み合っている印象がある路線で、気になっていましたのでちょっと乗ってみました。

***
 土曜日の12時45分頃、三ノ宮の乗り場をのぞいてみると何と長蛇の列。数えると30人にならなんとしており、取り敢えず次のバス(13時40分)にすることにして見送りました。
 結局やって来たのは西脇所属の急行車でしたが、かろうじて空席がある程度の乗りで出ていきました。

 時間を潰して早めに乗り場に来ると、もう何人か並んでいます。
 発車10分前には25人を超える行列です。客層は高齢者がほとんどで、あと観光客然とした中年層。若者はごくわずかです。
 約10分前に到着したのは阪急バス。立ち客が10人ほどいる盛況です。乗車が始まると瞬く間に席が埋まり、結局発車時には47人と立客が4人出ました。
 そう、阪急バスは前後扉の一般車ながら、最前列から2+2列で狭目のシートが並んでいるため、なんと座席定員が43人に上ります。神姫の急行車が34人、一般的なトイレ無しの高速車が45人であることを考えると、エンジンを置換して高速対応にすれば、一般路線として集客して、そのまま高速に乗って、という近距離高速路線車として重宝しそうなモデルです。

 乗車専用の新神戸駅で6人乗車。立客がいる姿に北神経由にするのでしょうか、諦める旅行客も2人。三ノ宮でも3人ほど見送っており、これは驚きの盛況です。
 すぐに新神戸トンネルに入りますが、この阪急バス、立客がいるから慎重なのかもしれませんが、どうも馬力不足のようでスピードが出ません。神姫バスや市営バスに乗ったときの感じと比較しても遅く、どうも40km程度しか出しておらず(制限は60km)、どんどん抜かれます、というか、三ノ宮を45分に出た西脇急行にあっさり抜かれました。
 晴天のせいで気温がやや高く、窓が開いていたんですが、長大トンネルゆえ空気が悪くたちまち排ガス臭くなり、後部から窓を閉めるように声が上がりましたが、積極的に空調を使用して欲しいです。

 結局10分以上かかってトンネルを出ました。箕谷からは乗降制限も無く、下谷上、谷上駅前と停まります。谷上では10月1日で路線移管を実施したかつての神鉄バスが塗装もそのままに「 HANKYU 」のロゴに書きかえられた格好で停車中。この路線もかつては阪急、神鉄、神姫の3社運行だったのが、神姫が先に撤退しており、もし残っていたら色違いの阪急バス便が出現するところでした。

 その谷上ではなんと10人以上が降車。乗車も6人ほどいて立席は解消されませんでしたがこれは意外。三ノ宮から倍以上の25分近くが経過していますが、北神を嫌う流れのようです。と言うか種明かしをすると、ほとんどが敬老パス利用の老人連でして、交通局の地下鉄、バスのほか、民間バスに使えることで、北神〜神鉄を使わずに敢えて本数が少ないバスを使うようです。
 かつて神戸市バスの近郊区巡りをした時にも神鉄便(現在は阪急)の150系統で目につきましたが、この路線もそれが主体のようです。終点有馬温泉まで神戸市北区ですし。
 乗車はその150系統(谷上駅−日の峰2丁目−西鈴蘭台駅−しあわせの村)からの乗り継ぎか、それともここだけ北神で急いでいるのでしょうか、複雑な流れが見えます。

神戸市バスの近郊区巡り ../../topics/neotrans/log356.html#5

 谷上駅を出ると有馬街道から外れた旧道に入り、上谷上、花山駅前を経て有馬街道に戻ります。対向する神姫便は2/3程度の入りで、谷上でギッシリになるのでしょうか。
大池、六甲登山口、唐櫃団地口、有馬口と停まりますが、これが見事に大池、神鉄六甲、唐櫃台、有馬口の駅前です。箕谷から下谷上と上谷上以外は総て駅にぶつけているあたりは恵比須快速ばりの対応です。それでいて花山、大池、唐櫃団地口とまとまった降車があるのです。もちろんパス利用者が大半ですが。

 有馬口ランプの構造物にもつれるように山道に入り、有馬西口から坂を降りるともう太閤橋の交差点。温泉街への道に入り、バスターミナル手前の三井住友銀行前の「有馬町」バス停が終点です。有馬まで乗ったのは30人で、ここまで来ると観光客の比率も相当あるようでした。
 ちなみに帰りの便もターミナルではなく有馬町始発。梅田、芦屋、宝塚行きと、三ノ宮と三田行きの微妙な扱いの差は無用な不便さでもあります。

 さて有馬まで45分の小旅行でしたが、これまで不思議だった、「なぜ箕谷から有馬口まで阪高北神戸線を使わないのか」という理由の一端が見えてきました。
 つまり、有馬温泉直通バスという側面のほか、谷上、花山、大池といった神鉄沿線へのバス路線と言う性格があるのです。150系統と合わせて、敬老パスが使えるため、高齢者の移動に重宝している反面、神鉄にとっては日中の利用においては「御得意さん」になるはずの高齢者が逃げる結果になっているわけで、悩ましいです。

 50人を超える利用があると言うのに40〜60分ヘッドという一見欲の無い設定(これは150系統も同じ)も、市からの補填金があるとはいえ収益に繋がりにくい客層ということが根底にあると見られます。
 さらに問題なのは、このバスが混み合うのが谷上までと言うところです。三ノ宮と北区の間の高齢者の移動と、有馬温泉への観光客輸送という二面性を持つ系統ですが、いわば常連として早々に並ぶ高齢者に対して、時刻表を調べて直前に来たり、新神戸駅から乗ろうとする観光客が混雑を前に断念するケースが多々あります。680円の全線運賃を払ってくれるはずの乗客が、無料パスの乗客のせいで乗ってこないというのは何とも勿体無い話で、やはり60分ヘッドで高速経由の路線があるとグッと違うと思います。

 ちなみに、同じ時間帯で神鉄の有馬温泉駅で降車客を見たところ、まあ30人程度とバスと同じ。電車が毎時4本、バスが40〜60分ヘッドですから、それでもバスのシェアは20%台を確保している計算です。
 電車の運賃は北神経由で30分、900円。新開地経由で50〜55分、690円で、バスの45分、680円が実に微妙です。
 あと、阪神間へは芦屋(阪急芦屋川、JR芦屋、阪神芦屋)への阪急バスが毎時1本あり使われており、40分程度で760円です。

 バスについては阪急バスは座席も多くいいんですが、新神戸トンネルでの「難渋」のように、どうも馬力不足が否めません。神戸市バスが山岳区間を恐ろしい勢いで上がっていくのと比べると物足りないです。

●付・敬老優待乗車証をめぐる問題

 今回の様子を見て、避けては通れないのが敬老優待乗車証の問題です。
 神戸市の場合、適用範囲がちょっと変わっており、市営地下鉄、市バス全区間までは当然として、あと神戸新交通と交通振興バスもわかります。しかし、市内の民営バス(神姫、神姫ゾーン、阪急、阪神、神鉄、山陽)「だけ」が適用で、鉄道各社が除外という中途半端さが問題です。

 そもそも論として、所得制限があるとはいえ、申請者に一律交付というのは「バラマキ」の問題があります。特に震災復旧による起債で財政が危機的な中、市の一般会計から交通局を含めた各事業者に「負担金」という形で支払われています。もっとも、交通局の会計に占める一般会計からの「負担金」補填の割合が相当あるようで、輸送対価の形に見做している事実上の補助金が無くなると却って問題であるというコメントのしようも無い背景があるのですが...

 それにも増して、今回の有馬線や150系統のように敬老パスの利用者の動向が無視できない路線が問題です。駅からのフィーダー路線にするか、直通型の高速バスにしたほうが便利なエリアですが、本来神鉄に乗るべき流動がパスの存在によりバス利用に偏倚することで、並行鉄道の本来あるべき利用が損なわれ、かつ、本来は役目を終えている、もしくは需要に応じた路線に再編すべき路線を維持しなくてはならないという二重の不合理が発生しているわけです。

 もちろん、坂道の多い神戸市の地形的制約を考えると、健常者でも相当な移動制約がかかっている現状、福祉対策としての敬老パスを無碍に廃止できませんが、負担金を払う神戸市が最小のコストで最大の効果を得るべく、鉄道利用を認める代りに並行バスの再編を図ると言ったスクラップアンドビルドが必要でしょう。

〔神鉄・北神vs神姫・阪急バス〕北区問題について
 投稿者---西尾氏(2003/11/21 20:02:29)

 もちろん、坂道の多い神戸市の地形的制約を考えると、健常者でも相当な移動制約がかかっている現状、福祉対策としての敬老パスを無碍に廃止できませんが、負担金を払う神戸市が最小のコストで最大の効果を得るべく、鉄道利用を認める代りに並行バスの再編を図ると言ったスクラップアンドビルドが必要でしょう。

 拝読しました.
 僕もその必要性を感じてはいるのですが,「どうせ面倒がってやらないんだろうな」と諦めの境地になっています.
 というのもスクラップ&ビルドはいいきっかけが去年あったではないですか.
 そう,「北神急行経営危機」です.
 結局は北神が第2種になり,施設を神戸高速に売却,という形で決着したのですが,僕はこの時「単純に交通局が買いとってここも西神山手線にすりゃいいじゃないか!」と思ってたのです.谷上ー新神戸・三宮はこれでは260円になってしまいますが,この区間は上乗せ運賃を設定すればいいだけです(川島先輩か)
 上乗せ運賃を160円としても対三宮では100円もの値下げとなり,大分インパクトがある,と思うのです.税金投入って事になりますが,「北区の交通を円滑化する為」で大義名分になっていると思います.
 そして,バスは谷上へ集約すれば(勿論均一区にする)よいのではないか,と独自のスクラップ&ビルド案を考えていたのですが(叩き台なんで,ご自由に叩いて下さい),でも下手に弄くって車に逃げられても困るし・・・

 今回の様子を見て、避けては通れないのが敬老優待乗車証の問題です。
 神戸市の場合、適用範囲がちょっと変わっており、市営地下鉄、市バス全区間までは当然として、あと神戸新交通と交通振興バスもわかります。しかし、市内の民営バス(神姫、神姫ゾーン、阪急、阪神、神鉄、山陽)「だけ」が適用で、鉄道各社が除外という中途半端さが問題です。

 しかしここで例えば神鉄をパスに加えると当然,神鉄に負担金を払わなくてはいけません.神鉄の運賃は高いので,勿論負担金も高くなります.
話題がずれますが,「神戸1DAYチケット」でも,神鉄花山以遠は有馬温泉を除いて乗降出来ませんでした.あの区間をOKにすると採算が取れない,という事でしょう.バスより負担金が高いのなら尻込みするのも仕方ないのかもしれません.
 先述した僕の案では市バス⇒谷上で地下鉄乗り換えとすれば神鉄は関係無い,ということになるのですが・・・市営モンロー主義みたいですし.

「北神処理」で終わらなくなる可能性も
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/11/22 15:08:03) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 確かに北神急行の事実上の「処理」時は再編のチャンスでした。
 しかし、「北神処理」の内容を見るとそうとも言えません。

派生する議論はこちらも参照
北神急行、資産分離で再建へ../../topics/traffic/log042.html#2
「都市型第三セクター鉄道」の再建について../../topics/traffic/log067.html

 つまり、北神急行は「第三セクター」ではなく、神鉄が都心部乗り入れを果たすために設立、開業したプロジェクト会社なのです。処理の本質は親会社の神鉄、その親会社の阪急のみならず兵庫県、神戸市が神戸高速を通じて北神急行を購入し、その対価で公団債務を期限前返済。さらに国が公団に対して期限前償還による利子損失分を補填するという債務整理にほかなりません。
 そう、神鉄(阪急グループ)のままだと立ち行かなかった事業に対し、公費を投入して路線を守ったという感じです。
 いちおう神鉄の親会社の阪急による将来の買い戻し特約がついているので、支出はあくまで債権という見返り勘定を持っていますが、実質はそういうことです。

 北神急行の経営という足枷を外し、北神谷上経由の流動を増やすことで神鉄の経営を支えることが結果として見えており、その前提において神鉄を北神のフィーダーとして使えなくする政策は取りづらいと思います。
 もう一つ、北神を神戸市にして花山以遠は北神経由の流動をデフォルトにしようとした場合、北神建設前の目論見では新神戸までの収入が神鉄(グループ)のものになったわけですが、北神をもし完全に神戸市のものにした場合、谷上までの収入に後退します。
 こうなると、北神を避けて新開地経由で迂回していた北神にとっては恨めしい乗客も神鉄にとっては重要な収入源であり、北神経由に回って谷上以西(以南)の運賃収入が無くなるということはやはりダメージです。

 北神を神鉄グループの収益から切り離すと、たとえ神鉄がフィーダーになっても、「北神経由の谷上以遠の乗客の伸び」<「新開地経由の乗客減少」+「北神からの収益」であれば経営的にはマイナスであり、そのマイナスと北神移管により切り離された金融収支の比較次第ではまだ負債で首が回らないほうがマシというウソのような事態になります。
 さらに、神戸の拠点性が薄れたうえ、震災復興事業により都心部や阪神間でのマンションなど住宅供給が増加したことで、岡場以北のような三田経由JR宝塚線という流動を除けばわざわざ北区に住居を求める必然性も薄く、北神、神鉄の伸びもあまり期待できないのが現実です。

 本来鉄道のフィーダーのはずのバス事業の大半を阪急バスに譲渡するなど、神鉄の経営は相当厳しいと見るしかないです。事実、山陽、神戸高速とともに地元との協議会を開催するところまで「追い込まれて」います。
 神鉄を侵食する神姫バスや神戸市交通局にとっても数少ない収益源であるエリアだけに難しいですが、このエリアの「再編」をするとしたら、それこそ「神鉄処理」を視野に入れたものにならざるを得ないと思います。鉄道への負担金ですが、北区でのバス路線は区間制を取っており、鉄道とそう変わらないか高いので、移動総数が鉄道利用がOKになることで目立って増えない限り(バスの減少=鉄道の増加)、負担金の総額は増えないのでは。

  ○福祉パスなど

 本線は市内の交通機関を総て開放するかわりに、年間の負担金を高齢者から頂くという形でしょう。もちろんここで所得に応じた減免をすれば良いわけで、京成バスが京成グループのバス会社を網羅した「ダイヤモンドパス」を発行しているように、民間会社、それこそスルッとKANSAI協議会が音頭取りをして、神姫バスのような不参加事業者にも声を掛けて民間主導で導入するという手もあります(民間が設定して、自治体が補助、補填することで実務からも解放される)。これなんか、どちらかというとビジネスチャンスに近いのですが。

 余談ですが「神戸1day」は、メインとなる神戸中心街での利用を前提にした場合、あまり高い設定は出来ず、かといって1000円程度まで下げると急行64系統や北神急行利用者にとっては自動的に原価割れになってしまうからでは。
 本音は有馬温泉もいかがなものかというところでしょうが、神戸市北区にある市内有数の観光地であり、「有馬湯けむりクーポン」のような激安商品で集客している側面もあるので、六甲登山バス同様の出血サービスというところでしょう。

 もっとも、通勤定期代わりの利用を懸念したとしても、阪神、神戸高速、山陽乗り放題の「播磨の武蔵1dayチケット」(2000円)が、春先からの発売で発売枚数限定と謳いながらも結局発売終了10日前の11月20日でようやく売り切れたくらいですから(阪神各駅の掲示)、杞憂に終わるかもしれませんが

〔神鉄/北神vs神戸市〕裏六甲短絡ルートを見る  投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/25 15:29:50)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 金曜日の夕刻、通勤ラッシュで混み合う三宮、JRの高架の北側にある「三宮駅前ターミナル」のバス乗り場には始発バスを待つ通勤客の長い列が出来ています。
 新神戸トンネルを抜けて箕谷、神戸北町へ向かう急行64系統の始発バス停であり、夕ラッシュ時間帯は6分間隔で運行、単に三宮の市街地から乗車、またJR線などから乗り換えるのであれば、フラワーロードに面した「地下鉄三宮駅前」から乗れば良いので、ここからの乗客はほぼ始発着席狙い。ゆえに座席が埋まると6分後のバスを狙う列が伸びはじめます。

 乗車したバスは「直通」の表示。これは箕谷駅に入らないということであり、日の峰2丁目でのSC、コアキタマチを取り巻く大回りはそのまま。18時6分の発車時には27の座席が埋まり、立客4人でスタートです。ちなみに同じ並びから出る摩耶埠頭行き29系統はそごうの前にある「三宮駅前」に停まりますが、右折車線に入る急行64系統は通過(三宮行きは停車)です。
 信号待ちなどで5分程度費やして地下鉄三宮駅前。ここで12人乗車。このあと新神戸駅でも8人乗車し、50人を超えました。三宮側の停留所はこの3個所だけで(かつては加納町3丁目にも停車していた)、新神戸トンネルに入ります。
乗客が多いのか加速が鈍いですが、それでもまあまあのスピードで走ります。と、有馬温泉行きの阪急バスに抜かれましたが、先日乗車した時の鈍足ぶりがウソのようです。先日はわざと遅く走ったのか、乗客が多いと苦しいのか...

 トンネルを抜け、料金所を過ぎるとすぐ箕谷停留所。「箕谷駐車場前」とサブタイトルが流れるようにP&Rの拠点で、11人が降車。大半が駐車場に消えていきましたが、周囲の開発も進んでいます。箕谷駅に入らず県道を進んで松が枝町、日の峰1丁目と7、8人ずつ降ろし、通りから外れてコアキタマチの裏にある日の峰2丁目へ。ここでは12人下車。このあと桂木、大原(神戸北町)に行くのですが、大半がここまでというのは予想外で、「直通」といいながら日の峰2丁目の大回りは維持する理由も分かります。

 日の峰1丁目近くまで戻り、阪高北神戸線を潜ると桂木3丁目ですが、さっき通った日の峰1丁目に近すぎるので降車無し。桂木2丁目を経て桂木1丁目で降りましたが、このあと大原1丁目、3丁目(神戸北町)に向かうのはわずか5人でした。
ここまで三宮(始発)から35分。運賃格差を度外視して北神急行経由であっても及ばぬ速さであり、神鉄、そして北神の厳しさを実感します。

 さて、帰りは丘の上の住宅街を抜けて神鉄山の街駅まで歩きました。山の街駅西側に緑町の住宅街が広がりますが、桂木1丁目、2丁目方面に降りる階段がきれいに整備されているあたりが普段の流動をうかがわせます。実際、桂木1丁目で降車したうち何人かは緑町に向かいましたし。
 山の街駅方面から歩く姿が無い代わりに、箕谷、日の峰方面からのクルマが目立つのも気掛かりです。

 上り坂を歩くこと15分ほどで山の街駅に到着。帰りは200円高い(750円vs550円、急行64系統は日の峰、桂木エリアから470円)のを承知で谷上経由にしました。
 やってきた有馬温泉行きの普通は90人程度の入りで、山の街で30人ほど降車。箕谷では10人ほど降車で、ここがボトムです。車内で目立つのが通勤客よりも学生であり、新開地経由の通勤はマイナーと言うのが判ります。

神鉄

 さて、谷上ですが、各乗車口に長い列が出来ており目を見張ります。
 100人あまりの乗車があり、やはり通勤利用は北神経由です。30人ほど次の急行三田行きを待つ人もおり、岡場、田尾寺など藤原台をはじめとする北神エリアのベッドタウンでしょうか。そう考えるとここで有馬温泉行きに乗り込んできた100人あまりは、花山、大池、唐櫃台といったエリアということです。
 ついでに急行三田行きを見ると、こちらは80〜90人は乗ってました。乗り込みは北神の到着を受けたので結局80〜90人程度でしょうか。急行が去った後、ホームにいる人がわずかということは花山、神鉄六甲への客は少ないということか、そこへ行く人は地下鉄に乗る時点で狙い乗車をしてるのか。

 谷上からは北神車。谷上発車時点では全6両で乗客は5人...
 すれ違う電車の感じでは、座席定員の半分弱という感じで、絶対数が少ないです。ただ、それでも神鉄乗り換えはさらに段落ちがあるので、急行64系統の箕谷同様、谷上をフリンジとしてクルマに乗り換える(含むキスアンドライド)数があるようです。
 トンネル半ばにあるリスとカモメの電光掲示、残像効果を生かしたアリスをモチーフにした掲示も毎度となると特に目で追う気にもなりません。
 新神戸で座席定員の半分くらいが埋まりますが、出張、旅行帰りと思しき層が多いあたり、新幹線アクセスとしての定着が見て取れます。
 谷上から三宮まで10分は急行64系統なども顔負けのスピードですが、活かしきれていないというのが実情でした。

 ちなみに例の女性専用車、新神戸の時点では有意に空いている感じでしたが、三宮駅の行列はなかなかどうして、他に負けない長さで、かえって女性だけ並んでいる様は異様でした。まあ板宿−妙法寺の最混雑区間がどうかですが、三宮発車時点で編成全体の中で明らかに空いているという感じでもなく、ラッシュ時の導入に関しては上手く回っているようです。もちろん、日中などにおいては不均衡が目立つのも現実で、終日実施の必要性は疑わしいのですが

〔神鉄vs神姫〕神姫、春の全面攻勢へ
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/03/26 18:33:08)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─神戸の鉄道vsバスはこの夏、新展開へ

 熾烈な競争を繰り広げる神鉄と神姫バス、神鉄がワンマン化と言うような淋しい話題のなか、女性専用車や携帯オフ車といった小技を仕掛けたところ、神姫バスは4月からまたまた真っ向勝負を挑んできました。

神姫バス 16.4.1 ダイヤ改正ダイジェスト http://www.shinkibus.co.jp/0404dia-digest.htm

 「三ノ宮へのダイレクトバス3路線」と銘打った北摂・三田特急、西脇急行、恵比須快速揃い踏みの改正で、三田特急は2往復、恵比須快速は3往復増便。西脇急行は増便こそ無いですが、R175や第二神明〜阪神高速の渋滞がネックの玉津IC経由便(三ノ宮行き4本、西脇行き6本)を全便御坂経由に振り替え、所要時間短縮を謳っています。

 新ダイヤを見て気付いたのは、増発もしくは時間帯の建て替えで、平日朝の場合三田特急(フラワータウンセンター)、恵比須快速がピーク時間帯の10分ヘッドを実現し(これまでは約15分ヘッド)、西脇急行もこれまでの約20分ヘッドから約15分ヘッドになっています。
 特に三田特急がフラワータウンセンターで6時55分から7時55分まできれいに10分ヘッド(三ノ宮着は7時40分から8時40分)となっており、利便性が飛躍的に向上しています。

***
 神姫バスの告知を見ると、粟生線沿線(三木、緑が丘、押部谷)から西神中央への路線も動きがあるようで、攻勢守勢がくっきり出た感のある春の両社といえます。

神戸の鉄道vsバスはこの夏、新展開へ
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/06/29 19:12:55)

 いわゆる神戸の西三社(山陽、神鉄、高速)のうち、神鉄と神姫をはじめとするバス会社の競合は熾烈かつ有名ですが、とうとうそれが山陽に飛び火しました。

山陽HOT NEWS http://www.sanyo-railway.co.jp/hot/2004/July/06_l.html

 垂水から山手に入った垂水団地などのエリアから、三宮直通バスの運行開始です。
 地図を見る限り、前者は名谷IC、後者は高丸ICを使い第二神明〜阪高神戸線経由のようですが、阪高神戸長田線開通で第二神明須磨の負荷が下がったことも、かつては信頼度が極めて低かったこのルートでの設定を可能にしたと見られます。

 まだ開始時期は決まってませんし、本数も垂水団地で5往復、清水が丘で2往復とささやかですが、とうとう山陽もバスとの競争にさらされることになります。
 もっとも、運行会社が同じ山陽バス(神戸山陽バス?)であり、その意味では他社の侵食を防ぐ防戦的設定であると同時に、垂水や舞子まで山陽バスで送り込んでも十中八九JRに乗るという現実を踏まえ、だったら三宮までバスで送ってしまえということでしょうか。

 とはいえ、いよいよもって明石〜板宿の存在意義を問われかねない、「根元からの逸走」は、山陽の行く末にどう蔭を差すのでしょうか。

2004.11.14 Update


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