【検証:】過去ログSpecial

【検証:近未来交通地図】Special020
真夜中は別の顔(静岡県内BP夜間開放ルポ)
(2003/07/27)

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2004.11.14 Update

 7月の3連休にクルマで上京しましたが、その際、伊勢湾岸道豊明ICから東名裾野ICまでの間をR1で走り、深夜の愛知〜静岡県内のR1を見てきました。

【道路】R1・静岡県内有料4BPの夜間無料化の是非 ../log025.html

●愛知県〜潮見バイパス

 連休前夜の金曜22時半、伊勢湾岸道を当面の起点である豊明ICで降りました。四日市で東名阪道と直結し、R1とR23のジャンクションである豊明まで伸びたものの、豊田で東名に直結しない限りは岡崎までR1利用になるためバイパス利用は少ないようです。
昨年末に名古屋南ICまでだった時にも試しましたが、まだ宵の口だったため岡崎まで難渋しました。しかし今回は快調、豊橋市内の2度に渡る右左折も難なく進みました。
 このあたりR1は完全4車線ではありますが岡崎など市街地を貫通するため滞りがちですが、将来的には豊橋東方から市街南側を迂回してR23のバイパス計画に従って豊明に至る別ルートが予定されています。

 豊橋を過ぎても意外と大型車の悌団に混ざって普通車が目立ちますが、帰り車で交差点ごとにまた1台と消えていきます。4車線ですが遅い大型車がブロックすると大変で、具体的には二川付近から対面2車線の潮見BPまで先行を許したところ、4車線の浜名BPに入って抜いた後、すぐ前にいたはずのこれも遅いトレーラーに追い付いたのは浜名BPを相当進んだ後で、抜けないことによる時間ロス(=単位時間あたりの通行量の減少)は予想外に大きいです。
 県境からはかつてのつづら折りの潮見坂経由ではなく潮見BP。ただここから対面2車線は厳しく、先行車に従って右手に太平洋を望む長い坂を下りました。

●浜名バイパス、浜松バイパス、磐田バイパス

 この先いよいよ例の静岡県内有料4バイパスになります。有料の表示の下に「22-6無料」の掲示があるとおり、この時間帯は無料です。そのため日中なら潮見BPの最終出口で結構流出するクルマが今はなく真っ直ぐ浜名BPへ。4車線の高速規格、80km制限ですからバイパス効果は高く、普通車200円の通常料金でもお値打ちです。
 料金所は1レーンだけ開放してますが、速度を制御するためか左端を開けて、細かいカーブを入れることで減速させています。
 浜名湖が太平洋に接する今切の渡しを雄大な橋で越え、4車線のまま浜松BPへ。市街東南を半周する格好で迂回しています。
 ここは上下線の間に不思議な空間があり、時折土盛区間もあることから浜名BPに直結する専用部の整備予定があるのでしょうか。夜間はスムーズですが、いかんせん浜松から竜洋町など各方面への放射路線とすべて平面交差になっており、信号が意外とネックになります。

 JRをまたぐと東名の浜松IC方面へ直進する本線と分かれて右折してR1の天竜川橋へ。もちろん交差点の右折ではなく交差点をオーバーパスして合流しますが、降りたところにR1側、BP側両方に信号があるのはせっかくのオーバーパスも威力半減です。
 天竜川橋は4車線ですが、東詰で外側が旧R1、内側が磐田BPと分かれます。日中と違い大半がBPに吸い込まれていきますが対面2車線の悲しさで、巡航速度が落ちました。
 日付も変わっており、磐田料金所併設のPAで休憩。料金所の取り回し方は浜名BPと一緒。時間調整の必要も無いのか狭いPAは意外とスペースが残ってました。

●袋井バイパス、掛川バイパス、日坂バイパス、金谷バイパス、藤枝バイパス

 休憩がてら見ているとトラックが連綿と続きます。前後の信号や速度差の関係で悌団を組んでの通過です。磐田BPの出口はそのまま袋井BPに直結で、こちらも対面2車線ですが、全線高架という磐田BPより立派な構造ですが無料。終点から掛川BPまでは4車線と料金の要る要らないの基準が曖昧です。
 実はこの晩、掛川BPで事故があり通行止になっており、旧R1との分岐を越えて渋滞が伸びたため、地元らしいクルマに付いて裏道経由でR1へ入り、掛川BPは通りませんでした。掛川BPも対面2車線でそのまま日坂BPへ。日坂BPは今は半分だけの開通。小夜の中山から牧の原トンネルを抜けると金谷BPで大井川を越えます。有料4バイパスの最後は藤枝BP。ここは距離が長いこともあり他と違い400円(4つで占めて1000円)ですが、ご多聞に漏れず対面2車線。日中であれば低速車がブロックしていても追い越し可能区間が多いので抜けますが、深夜は交通量が多く対向車線に出ての追い越しなど出来ません。

●岡部バイパス、静清バイパス、富士由比バイパス、沼津バイパス

 有料区間が終わるとほどなく4車線になり、宇津の谷峠を越える岡部BPへ。そして静清BPなんですが、こんどは夜間工事で手前丸子側が通行止です。まあ清水まで対面2車線なので、安倍川から清水まで4車線の旧R1も捨てたもんではなく、静岡駅前の工事でちょっと滞ったほかは順調です。逆に静岡市街をバイパスする静清BPのほうが対面2車線のせいもあり渋滞が目立ち、あと、どうしたことか車線数が倍増する清水口で東行きが渋滞するのは頂けません。信号制御のあやでしょうが、追突事故の原因でもあり改善が必要です。

 ここから富士由比BP。富士まで全く信号の無い完全立体の4車線は立派で、山が海に迫る地形上の制約から構造が厳しい東名を上手くサポートしています。
 92年3月まで有料だった新富士川橋を越えると富士市内。そして田子の浦高架橋の区間ですが、これまで4車線分の設備がほぼ完成しながら10年以上対面2車線運用だったボトルネックもようやく今春4車線化されました。それにしても前後が4車線でここだけ2車線というのをここまで放置した神経が分かりません。

 再び地平に降りると沼津BP。平面交差ですが沼津市街では6車線になっていることで輸送力を確保しています。このまま進めば三島のR136との分岐で対面2車線になり、箱根に挑みますが、今日はここまで、沼津ICへの「グルメ街道」に向かい、さらにR246へ。こちらも山北までは一部を除いて4車線と高規格であり、箱根や御殿場の地形的制約はともかく、神奈川〜東京の状態がちょっと淋しくなります。
裾野ICは東京方面、静岡方面が道の左右に分かれた首都高並みの簡素な構造、そして東名から一般道を走り継ぎ、明け方には無事着きました。


●無料開放の光と影

 普通車で200円ぽっち(藤枝BPは400円)といえ、大型車の負担は大きいこともありバイパス誘導が進まず、藤枝、浜名BPの値下げ(値上げ前藤枝510円、浜名250円)、夜間割引(藤枝260円、浜名150円)時代を経てついに22時から全バイパスの無料開放になりました。これでも22時前に入場を渋るトラックが続出して社会問題化していますが、それでも頑なに終日開放しないのは、やはり事業費回収という大義のためでしょうか。

 ところが実際に有料、無料の両時間帯を走行して感じたのは、「小額で時間が読めるバイパスの価値」です。もちろん混もうが混むまいが市街地への通過流動は許さないという観点から考えれば無料化と市街地通過の禁止をセットで実施すべきですが。
 ここで問題なのは、前後区間が4車線化されているのにバイパスだけ対面2車線と規格が落ちることです。有料による障壁で交通量が小さい日中は目立ちませんが、無料になり前後との連続性からほぼ全量がバイパスに入って来ると、逆にこの区間がネックになるのです。

 確かに想定される交通量は少ないかもしれませんが、既存道路の通過流動を総て移行させるくらいの思想であれば、無理なく誘導できる4車線での完成が必須でしょう。
 実際、同じ無料開放でも4車線とスペックが高い浜名BPではそうしたストレスは感じませんでしたし、もとから無料でも潮見BPや袋井BPのような対面2車線だと賄いきれていないという感が強いです。

●東名、第二東名との住み分け

 とはいえ東名高速の存在、さらに進む第二東名の建設に伴い、長距離利用に適した高速道路を利用しない利用者にそこまで配慮する必要はあるのか、という疑問もあるでしょう。
 確かに今回の私のように、神戸から東京への移動で豊明−裾野を一般道というのはただのケチでもあり論外ですが(一つ大義名分を立てれば、深夜帯は一般道走行のほうが単調な高速道路を高速で走るよりも、眠くならないうえに比較的低い速度で走るため安全ということがある)、一方で冷静に考えると、R1経由にならざるを得ない流動もまた多いのです。

 例えば豊橋、浜松地区では東名、第二東名とも浜名湖の北岸を迂回するいわゆる姫街道のルートをとるため、東名にアプローチするにもR1を長々走らざるを得ないケースが出ます。また静岡でも、掛川から静岡の間ではR1と離れており(第二東名は近い)、必ずしも東名とR1は重なりません。顕著なのは愛知県内で、岡崎を出ると名古屋都市圏を春日井、小牧、一宮と遠巻きにする東名では名古屋港などのエリアにアクセスできません。ですから日頃から岡崎以西のR1は混むのです。

 あと、今回の移動で目に付きましたが、重機や鋼材といった重量物輸送において、軸重の関係から国道は通れても高速道路は通れないというケースが多々あります。
 名神、東名が通れないため、名阪国道経由でR1、R23を通り、箱根を越えるかR246を通り関東に入ります。
 名阪の天理にある有名なΩカーブではハザードを付けて止まりそうな速度でノロノロのぼってるトレーラーが目立ちますし、裾野へのR246もそうでした。今回は通りませんでしたがR1の箱根越え(箱根新道)もこうした重量物輸送が目立ちます。

 これを考えると、第二東名、第二名神は、「規格が立派すぎて贅沢」という採算重視の視点ではなく、「もっと金をかけて構造を強化して、重量物輸送を危険な一般道から排除させる」という選択も有り得た訳です。
 第二東名、第二名神の整備すら不透明な現在、今後もこうした輸送が一般道を行き来する訳です。

 今回、真夜中の国道1号線は我が国の道路が抱えるいろいろな姿を見せてくれました。



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