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終夜バス

あの喧騒から8ヶ月…都営「終夜バス」に活路はあるか?

報道によるとこの日は4往復8便で283人が乗車、1便辺り35人となるが、うちどれほどが本来利用者だったろうか(無論当方も便乗なわけだが)。この日は年末の3連休前の金曜夜、渋谷駅西口のタクシー乗り場も4時過ぎまで列ができていた、六本木ではもはや掴まえられなかった(麻布十番まで下りれば楽勝だったが)という話もあるところ、都営終夜バス六本木04:00発便は渋谷到着後山手線始発とリンクすることもあってやはり混んだそうで、知名度向上に加えピンポイントなダイヤの工夫によっては今後の可能性も広がるやもしれない。
とはいえ、渋谷六本木間という眠らない街の大動脈ゆえという側面もあることからおいそれと拡大基調にはならないだろうし、そもそもアイデア先行で始まったがために、次の都知事如何で-というのは既に報道されている通りかなとも。ともかく、折を見て再見したいなと考えているが…

猪瀬前知事のキモイリで華々しくスタートした東京都交通局深夜01系統渋谷~六本木間終夜バス、年を越して一晩100人程度の状況となり、3月には舛添現知事が『23区で24時間運行する一方で、多摩地区では都営バスのサービスが削減されている。前知事の典型的な失敗例だ』と発言した後段がひとり歩きしはや存亡が問われる中、7月には『最近は一晩で計70~80人程度に落ち込み、都交通局も「厳しい状況」と認める』との讀賣記事が。個人的には4往復8便で1便10人弱なら思ったほど悪くないのでは?とも感じたのですが、8月はじめにも興味深い記事が出てきました。

ともにフジサンケイグループ、連動しているのかそうでないのか微妙ですが、FNNが現状をリポートし、産經が識者2人に現状分析と展望をという構成で、セットで読むと理解しやすいなという印象を受けました。加えて08/07付でネコ・パブリッシングが運行開始90周年記念として刊行したバスグラフィック別冊版「丸々一冊 都営バスの本」に「ファンによる 都営バス終夜運転乗車レポート」なる記事も!まさしく都営バス研究の大家が実乗レポートをまとめておられます。
それらから私見を繰ってやろうかと思っていたのですが、さすがに深夜(急行)バスフリークとして、冒頭引用中にも記してもいたように再見せねばと、空模様を気にしながら出動した次第-あの喧騒から8ヶ月、現状や如何に?


深夜01

日付が変わって08/30(土)未明、新橋駅頭。家路を急ぐ人が目につく中、夜はこれから!という集団があちこちに屯っていて混沌とした空気感が漂うSL広場を抜けて北口バスのりばへ。
都営バスが深夜バス「ミッドナイト25」4系統を運行開始したのが1988/12、その4年前に都市新バス1号路線となった都01系統に「深夜01」が付与された。紆余曲折を経てミッドナイト25は現在計6系統あるが、JR山手線内の拠点間輸送を唯一担い続けている点はまさしく路線特性といえよう。
新橋発3便のラストは00:45発、ちなみに新橋から渋谷へは00:28発山手線外回りが終電、メトロ銀座線なら00:24発、一部乗換検索ツールでは汐留00:40発の都営大江戸線外回りで代々木へ、6分乗換で山手線内回りで01:07着-なんてのも出てきたりするが、ともあれ深夜バスが新橋から渋谷に出られる最後の割安手段となっていて、新橋乗車16人の半数以上が乗り通したのであった。溜池で1人乗車、赤坂アークヒルズ前と六本木一丁目駅前で各1人降車と続き、六本木駅前で2人が降り12人が乗車、西麻布と南青山七丁目でも数人が乗降と比較的動きのある車内だったのは、さすが四半世紀の実績かと。
深夜01 六本木交差点では然程だったが、渋谷駅前交差点での工事渋滞に足を取られて5分ほど遅れてこの便(と終夜バス)のみの渋谷駅西口着、東急深夜急行バス接続考慮ともされているが、この日は目で追った限り、タクシー待ちの列に加わるか、スクランブル交差点方面へと向かっていく流れだった。

新橋ではなんとか保っていた曇天も、渋谷到着時には強い雨に。既に鉄道は全て終了しており、JR南口改札も01:20過ぎにはシャッターが降ろされていて、傘を持たない人が行き場所を失って溜まっていた。一角に陣取りCDを手売りするアイルランド民謡のバイオリン弾きが雨音に負けないボリュームでがなりたてる音色をBGMに、しばし「その手があった!」東急深夜急行バス群の出発風景を眺めていたが、各便応援職員が出てズブ濡れになりながらの車外で鋭意精算対応には頭が下がる思いも…とはいえ、池袋駅西口での国際興業も同様であったが、PASMO/Suica非対応で現金払いのみなための対応でもあったり。額もそれなりになりチャージ等で二度手間になるきらいもあるとはいえ、IC対応でのスマートさをつい期待してしまうのだが。ラスト01:30発は新横浜、青葉台、溝の口までの3便、新横浜便は残席多数で定刻発、始祖の青葉台便はほぼ着席定員で少し遅れて、一般道経由で立乗OKの溝の口駅行が6分延で満載にて出発していった。

  • Photo:深夜01乗車動向
  • 終夜バス
    六本木01:40発 渋谷着11人
  • 終夜バス
    渋谷02:20発 渋谷発3人
  • 終夜バス
    六本木02:50発 渋谷着19人
  • 終夜バス
    渋谷03:30発 実乗3人
  • 終夜バス
    六本木04:00発 実乗6人
  • 終夜バス
    渋谷04:40発 実乗2人
  • 終夜バス
    六本木05:10発 六本木発5人

その手のない人々も三々五々南口改札から移動する中、当方も心折れそうになりながらもなお待機…それにしてもタクシーのりばの長蛇の列は昨年末同様長く伸びたまま、乗車までに軽く30分以上は待たされる状況かと。方面はどこが多いのだろうか。乗り場は一部庇があるものの、野天にもずっと伸びきっていて、中には横断歩道を渡った東急プラザ前でやってくる空車を掴まえようという向きも…本来なら反則技だがそこはタクシー運転手氏も人の子、女性なら高確率、といった感じであった。
さて、待ちわびていた六本木01:40発便は遅れて02:05過ぎにようやく到着。この日も開業日と同じB-W450車が充てられており専用車なのだろう、11人が降車し、東急プラザ前でタクシーを拾おうとする人、スクランブル交差点方面へと向かう人に大きく別れたか…と、乗客の1人が運転手氏と次便出発間際まで話し込むという想定外の展開もあったり。警備員氏とも会話を交わしており、常連?なのだろうか。

当方も初日に乗車した渋谷02:20発は-結局女性2人と男性1人の3人で出発していった。あの日は立錐の余地もなかったけれど…時間的にも実流動はさすがに厳しいといえそうな。ちなみにこの日の1便・渋谷01:10発は渋谷三丁目の先で離合、辛うじて車内を横目にした感じだが、立客はなく総勢10人前後と見えたかと。
さて、所在無げに時間を潰している人々があちらこちらに漂っているスクランブル交差点を渡ってマクドナルドで小休止を…と思いきや、チェックしていた2店舗とも客室清掃クローズ。この稼業?マックあってこそ成立してきた一方で近い数だけ泣かされてもきたが、最近とみに泣きの機会が増えている。最近の動向からなんとも先行きが思いやられてならない。で、夕食を抜いてきたのでスタバというのもアレだったことから、何年ぶりかのペッパーランチと相成った。

終夜バス

雨脚こそマシになってきたとはいえ止むことはなく再び西口バス乗り場へ、タクシー待ちの列はようやく庇の中で完結するくらいに短くなってきた。六本木02:50発便は03:05過ぎに渋谷着、総勢19人が降車した。男女比半々といったところで中には外国人の姿も…やはりタクシー乗り場の列に加わるよりは東急プラザ前で引っ掛けようという向きが多いが、この辺りは六本木常連故の知見?
30分弱のインターバルを経て渋谷03:30発便に乗車、もともと貸切想定での狙い乗車だったのだが、会社の先輩後輩然としたワイシャツ姿の2人連れと軽装な1人の男性3人にて出発。先輩後輩は渋谷近くで働いている様子、家は港区方面なのか『西麻布でタクシー掴まえるか…それにしてもコレがあったな、前知事の奴だっけ?』とテンション高め、結局話し続けてそのまま六本木まで乗り通したのだった。

雨をもろともしない六本木交差点のパワーは何時まで続くのか、下手に何処ぞに加わるわけにも行かず、渋谷行バスのりばで大人しくしていたが、こちらも渋谷の比ではないもののタクシー待ちの列が途切れない中、バスのりばで女性2人がサッと手を挙げて空車のタクシーを掴まえるのも御作法のうち? 出発10分前程から男性が数人集まってきて、六本木04:00発便には総勢6人が乗車した。オールというよりは仕事帰りの素面な方中心だったなと。ただ、間際に駆け込んできた女性2人も「コレがあったね」と言っていたが、なかなか周知徹底が難しいとはいえ“たまたま感”もあるような…この便は渋谷駅で山手線始発接続ともなるため途中からの乗車にも注目していたが、結局南青山七丁目で1人降車しただけ、というのも予想外というか。

さて、JR南口改札のシャッターがちょうど開けられたところで、疲れた顔をした人々がパラパラと改札に吸い込まれていく。山手線始発は外回りが04:37発、内回りが04:49発だ。当方も迷ったのだが…残る1往復まで見届けることに。
今度こそ貸切だろうと思った渋谷04:40発、さすがに当方の3連続乗車には運転手氏・警備員氏も不思議というか好きものと思ったことだろうが、男性2人が乗車したので一安心?終夜バス出発前には運転手氏が警備員氏に「合間(の時間)はどうされているんですか?」と尋ねる場面も。『マークシティの下で休んでたりしますね、雨が降ってなければ他にも行きますけど』と基本的にはフリーというよりも待機場所がない運用なのか? とはいえ警備員氏は2人が交代しているが、運転手氏は6時間足らずとはいえ独りきりの様子、単調ゆえに気が抜けない分キツそうな。
ヘンな体制で眠りこけていた中年男性がハッとした感じで西麻布で降車、もう1人は六本木まで乗り通して路地裏に消えていった。

六本木駅始発は、メトロ日比谷線北越谷行が05:08発、中目黒行が八丁堀始発で05:15発、都営大江戸線外回りが05:08発、内回りが05:11発、日比谷線駅のシャッターがちょうど開いたタイミングで、改札口は賑やか、欧米系外国人の姿も目立った。
渋谷行バスのりば前の歩道も帰路だろうか、ヒルズ方面から六本木交差点に向かう流れが目立つ中、バス停で待つ人はこちらも素面で質素な服装の女性1人のみ。バス停には客待ちの個人タクシーが陣取っていたのだが、入線間際に傍で待機していたオレンジのジャケットを着た男性が空けるよう促していた。人が違ったが先程の往復の際にも同じオレンジのジャケットを着た男性がバス停で待機していたが、地元関係者が防犯とバス停空け要員で出張っている感じか? バスがやってきて渋谷行の文字が見えると、女性グループ2組が乗り込んで、5人での出発をともに見送ったのだった。


渋谷→六本木六本木→渋谷
07/0507/2608/3007/0507/2608/30
01:10約1022約1001:40約15811
02:20約35302:50約1019
03:30約3304:00約106
04:401205:10約25

冒頭紹介の「丸々一冊 都営バスの本」(07/05?)、FNN(07/26)と当方実見(08/30)を並べてみましたが、傾向が見える気もします。FNNは5便は不明ながら8便で70人とあるので残り35人、渋谷発は数便で六本木発に10人前後と見ればそうズレはなさそうかと。なお讀賣記事は6月後半か、六本木01:40発便で『車内を見れば、乗客は15人だけだ』とありました。FNNでは『利用者の多くは、渋谷か六本木近隣に住居や会社がある人だという』としていますが、当方乗車実感では、少ないながらの地元流動と“たまたま”乗り合わせた遊び帰り客が半々ないし4:6程度かな?とも。“たまたま”客にどうアピールするか、その意味で潜在需要はなくはなさそうと感じましたが。
FNNで『街では、バスの間隔が1時間以上あり、それに合わせるのがわずらわしいと言う声もあった』とも触れられていますが、六本木側の折り返し地点が溜池までないということでこれ以上ダイヤを詰めるのはリスクもあるかとは思いますが、少なくとも覚えやすい1時間ヘッドにすることは難しくはないのではと。運用面で問題が出るのであれば、新橋発渋谷行最終便も活用した1時台の増便、2・3時台を思い切ってカットし、4時台に六本木からの片輸送に注力する(渋谷発は回送)といった策もあるのでは、なんて。

とはいえ讀賣記事では『都庁内からは「これ以上やっても、乗客は増えない」との冷ややかな声が漏れる』、FNNでは『1日の乗客数が70~80人というのは運行可能な数字なのかを東京都交通局自動車部計画課長に聞くと「その辺の判断は難しいところなので控えさせて欲しい」と、歯切れが悪い』と、最早腫れ物のような扱われようは気になります。
産經記事でも中村文彦氏が『より問題なのは、この終夜運行について、政策としてきちんと評価する視点が欠けているのではないかという点だ』『まず利用者の実態をよく調べ、それによって存廃を評価すべきだ』と指摘していますが、実乗で感じたのは、警備員氏にアンケート調査を担当させることもできるのでは、なんて。少なくとも乗車人数だけでない利用動向調査は必要でしょうし、それが行われていなかったのは意外でした。少なくとも、利用現状からして当初懸念された防犯面での心配や警備員的負荷増大は少ないものと素人なりに愚考するものですが。
なお、産經記事で野村修也氏が『毎日運行しないとバス沿線の事業者もついていけない。運行路線も広げた上で継続していくことが大事だ。バスを運行することによって新たなサービスが生まれてくることが期待できる』としている点については、この御時世での厳しさを思いつつも、それこそ当該路線に限らず、都が政策的判断によって「事業協力者」を公募する-といった施策もあるのではと、渋谷駅頭のタクシー行列を横目にして考えるのでした。まぁ、過去のジャンボタクシー動向を思えば、ハードルは高いと云わざるを得ないのですが。大型運転手確保の厳しい状況と、タクシー運転手のそれをも加味すると、その中間点に何かを見いだせないか、なんて。

これは要するに収益のことも考えないといけません。金曜日の24時間バスだって完全な赤字ですから、だからそういうことも含めて、現場を見て、市民の意見も聞き、区民の意見も聞き、そして最終的に判断するというのが今の状況です。ご承知のように、3月いっぱい議会対応に追われてますので、4月から動きたいと思ってます。

コストパフォーマンスを含めて、利用客がそこまで少なくなれば、それは当然やめるというような結論になり得ると思いますけど、とにかく1年間やってみてということなので、その結果を待ちたいと思います。

「とにかく1年間やってみる」のは全く手を施さない、ということではないと。前知事のキモイリだからこそ、現知事が政策的に判断できるような多面的な材料整理が都交通局には今こそ求められていると改めて感じさせられたのでした。

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ディマンドとニーズ…儲け度外視で何でも良いという話ではないけれど

投稿者---551planning (2014/10/03(Fri) 09:19)

都民の税金ですから、赤字を垂れ流しする訳にはいきません。だから、赤字が続けば運行終了もあり得るということで、もう各社さんが報道なさっているように、利用者がほとんどいなくて、赤字が続いて8月末で270万円だと。そして、通年運行したら340万円も掛かるというので、これはとても説明できる話ではありませんね。
そして、今、全体の交通体系のご質問がありましたけれども、なぜ伸びなかったかと言ったら、六本木と渋谷で、私が例えば六本木で真夜中にバスに乗って、渋谷で降りて、そこから自分の世田谷の家まで行くのに電車が止まっている訳ですから、そこからタクシーに乗るとなると、タクシー代をちょっと浮かせるぐらいの話になってきてしまうので。だから、他の機関がストップしている時、そこだけやっても駄目だと、まさにこれは総合的に交通体系を見直さないと駄目ですよということの、ある意味で裏からの証明をしたような話になるわけです。
だから、例えば、大晦日から元旦にかけては、皆さん、お参りに行ったりしますから、深夜運転していますね。ああいう形は十分、あれは全ての交通機関がやっている。だから、我々が明治神宮にちょっと行きたいとか、あるいは他の三社参りをしたいという時も十分それで活用できている。そして、あの時に都バスしか動いていないというのでは話にならないので、同じことが言えると思いますから、2020年に向けて、他社さんとしっかりと協力しながら、みんなでやりましょうと。やれば、それは一つの成果は得られると思いますので。他の公共交通機関との連携プレーがなければ、都バスだけ、地下鉄だけやって、そういうことでは駄目だなと。それで、これ以上垂れ流すということ、赤字を放置してるというのは、それは許されないことなので、今回終了と決めたということです。

それ(交通24時間化の方向性)はディマンドとニーズで、要するに、サプライというか、それだけのニーズがあれば十分やれることであってですね、しかし、こういうのはやはり、資本主義経済の中でやっている訳ですから、たとえ都がやってる交通機関であっても、完全に儲けを度外視して何でも良いという話ではありません。都バスも他の私鉄のバスや、他の民営のバスと競争してる訳ですから、そうすると、ニーズがないところに何か持ってくるという訳にはいかない。だから、24時間ニーズがあるなら、それはやるということなので、基本はそういうニーズがあれば対応するということであります。
しかし、政治的、行政的な判断、例えば、当たり前のことですけども、島しょ部ありますね。これは別にペイするからとか云々という配慮よりも、むしろそういう配慮がきかない所ですから、そこはやはり行政がやるいうことで良いのですけれど、例えば23区というのは、経済的な要因の方が優先するのではないかなと思っていますので、そういう状況を見て考えたいと思っています。

07/31付会見では『とにかく1年間やってみてということなので、その結果を待ちたい』とされていた東京都営終夜バスが、2ヶ月残して前倒し終了に…03/20時点では『現場を見て、市民の意見も聞き、区民の意見も聞き、そして最終的に判断する』ともされていましたが。

讀賣と東京が月別の乗車のグラフを掲載も細かい数字までは取れず。プレス用資料がありそう…と、都議がヒアリングしたとブログに一部載ってました。画像のグラフには渋谷発と六本木発の内訳もあり、数値こそ載ってないものの、6:4~7:3くらいで六本木発の乗車が多い感じかと。

12月(2)290人05月(5)60人
01月(4)77人06月(4)69人
02月(4)96人07月(4)67人
03月(5)103人08月(5)73人
04月(4)70人09月(2)67人
※()は運行日数/551planning調べ
  • 乗客数が採算ラインに乗らなかった(平均240人乗らないと赤字)
  • 他の民間交通機関の連動を期待したが、そうした動きがなかった
  • 近隣の企業へのアンケートでも、ポジティブな回答が少なかった
  • 利用者が結局、運行路線付近の近隣住民ばかりだった
  • 経済波及効果も観測できなかった

という趣旨の都交通局分析も記されているようですが、「ほかのバス事業者にも終夜運転を働き掛けたが波及せず」との報道もあり、具体的にアクションを起こしていたのか否かもちと気になるところ。

採算ラインが1日240人=収入10万円ちょい、上記39日間運行で見込390万円のところ実入りはざっと70万弱?にしては8月末時点で270万円の赤字ということですが、車両・ドライバーは1人で廻しているところ、トラブル対応要員としての警備員2人が実質不要かな、なんて。まぁ乗ってないからでもあるのですが。むしろ、実際に乗ってみればこんな感想にはならないかと。

「渋谷まで乗っても、結局は電車が動いていないから、家に帰れない。車内はガラガラで薄気味悪く、変な酔っぱらいが襲ってくるのではないかと思うと不安でたまりませんでした。二度と利用しないと思いましたね」(ある利用者)

ま、ゲンダイらしいとすればそれまでですが、上記記事では交通ジャーナリストの『終夜バスの失敗は最初から予想されたこと。都も分かっていたはず』とのコメントの後に「一体何のための政策だったのか。つくづくバカらしくなる」と結ばれています。
一方、先掲の都議が『独自予算と正確な採算ラインを設定していなかったことから、この試運転はそもそも赤字覚悟で予定されていたと思われます』『経済波及効果というのについても、定量的なデータを持っていないようですし、毎週金曜日のみ×9ヶ月間で経済波及効果を測定するというのは、ちょっと難しいのではないでしょうか』ともしているように、切り口次第では評価が大きく変わるものと。まさしくディマンド(主観的要望)とニーズ(客観的必要性)の見極めのためとして活かすことが求められましょう。

個人的には、少なくとも1時台前半の、あとは宣伝如何で4時台の六本木→渋谷間は“ニーズ”はあるものと感じますし、都交でやるのは…というなら、それこそ東急深夜急行バス一部便の出発を六本木にしてみるというのも一策なのでは、なんて。まぁ東急的には運賃収受が煩雑となるだけに嫌がりそうですが、比較的空いている印象のある宮前平線とか港北NT線辺りのクルマで渋谷一旦全員降車扱、なんてのでどうでしょうねぇ。短期的には都営バス停の“開放”による深夜急行バス・空港連絡バス等の発着地多様化、という展開を期待したいです。


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