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行くぜ、南会津。2012夏-公共交通で巡る只見・尾瀬口・甲子峠

今夏の2ヶ月弱はなんだか成田に行ったり来たりしたダケだったので、夏の終わりにお泊り遠出を-きっかけは08/03の「気晴らし信越ドライブ」、長岡花火があるとも知らず長野・新潟へ日帰りで出かけたのですがその帰路、関越道車両火災事故通行止を受けR290で三条から栃尾を経て小出に抜けた際に出会ったのがこの光景。

南会津大周遊

藪神駅に到着するJR-E只見線2426Dですが、まずあれっと思ったのは、只見線は基本的に仙台支社管轄「仙台色」車両を使うところ、「先代新潟色」との混血編成であったこと…小出口は大白川まで新潟支社管轄ではあるものの、そもそもは昨年の新潟福島豪雨災害で会津川口~大白川間が長期不通となっているための措置。同じ会社の車両ゆえメンテ等はさほど問題無いだろうけど、ここにも災害の一端が垣間見られたような。

折しもその日、新潟支社が08/06から大白川~只見間での代行輸送を開始する旨発表があり、R252六十里越を通るのかぁと。その直前にはR289甲子トンネルを通る新白河~会津若松線(福島交通・会津乗合自動車)の運行発表もあり、これが絡められたら最高!と思ったもののそうは問屋が卸さないわけで…いろいろ捻ってみた結果、2回に分けることとしました。

というわけで、題して「行くぜ、南会津。2012夏」-Round1は会津田島を起点に只見から只見線代行バスで六十里越、翌日は奥只見シルバーラインから尾瀬御池を経て会津高原尾瀬口へ。Round2は甲子峠越です。

南会津大周遊
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自然首都へは「ツアーバス」で!/会津田島→只見

まず狙うはのR252六十里越-只見線代行バスは現状、只見を挟んで会津川口と大白川から各3往復。基本的に既存ダイヤを踏襲しているものの双方の接続考慮はされておらず、2往復で全線踏破可能とはいえ朝便だと只見で数時間待ちとなり、日のあるうちの六十里越を考えるなら小出13:17発便が唯一の解かと…それでも1日掛かりの行程となかなかのハードル。
只見は2007/04の会津バス撤退から路線バスが走っていないため、他のアプローチでは…というところ、1つあるんです。

少なくとも2011/07から催行されており、会津田島ではAIZUマウントエクスプレス接続と対東京方面を意識した設定となっていますが、主題は只見に泊まってもらうための足というところにあるため、当初は金~月に1往復、ただし金・月は片方向のみの設定で3日前要予約・催行は2名以上…等々、正直ハードルが高かったのですが、その後1名でも催行されるようになり、今年4月からは金~月の毎日2往復となって使いやすくなっています。ま、料金は1200円から2000円となってはいるものの、足があるコトだけでもありがたいわけで。
只見から会津田島へ抜けるのは朝1便(小出07:20発列車利用可能者)しか利用できないもののインターバル30分は魅力かな? 会津田島からだと2便とも利用可能ですが、それぞれ3時間弱のインターバルが発生…実は15:00同着同発となっており当初コレを狙うことも考えたのですが、只見へは2011/03/04の“雪中行路”の際に辿りつけなかったという思いとその後2011/07/30の豪雨災害もあって、わずかながらでもおカネを落とすべく素直に会津田島11:20発便を予約したのでした。

  • Photo:田島→只見
  • 田島只見ツアーバス
  • 田島只見ツアーバス
  • 田島只見ツアーバス
  • 田島只見ツアーバス
  • 田島只見ツアーバス
  • 田島只見ツアーバス

08/25(土)、鬼怒川温泉10:01発のAIZUマウントエクスプレスで会津田島へ。2007/08乗車から実に5年ぶり、前回は勿論元名鉄北アルプス用キハ8500だったが、老朽化により2010/05から「あかべぇ」新車にスイッチ…と、乗車したのは先輩の「AIZU尾瀬エクスプレス」用車。2012/03改正から東武日光直通1往復が増えそちらに充当、新藤原でその真っ赤なボディと離合した。
8月最後の週末とあって浅草08:00発のきぬ103号からの乗継客で2両編成の座席が埋まる中、会津西街道をトンネルで貫く野岩鉄道線を北上。会津高原尾瀬口を中心にパラパラと降車がある中、深緑が迫る会津鉄道線を進み出発から1時間で会津田島に到着となった。

1週間前の予約時に『駅前に停まってますので』と伝えられていたのだが、それらしきクルマはいなかったのでとりあえずロータリー内を周回。向かいの奥に中型バスが1台停まっていたが、これは昭和村に向かう金子観光バス。会津バス撤退で観光バス事業も営んでいた地元建設業者が参入した経緯に加え道路事情から冬季積雪運休となる異色路線だ。ちなみに会津バスは駅舎寄りの発着だが路線は細りに細っている。
と、携帯電話に着信があり周囲を見渡すと男性と目が合った。男性の示す方向を見ると側面に朝日タクシーと入った真っ白いセダンが…チラシでは1~3名は小型タクシー、4~9名で大型タクシー、10~17名でマイクロバスとなっておりまぁ予想はしていたがもしや貸切?田島只見ツアーバス『もう1人いらっしゃいますがお手洗いなんでちょっとお待ちを』と伝えられ、ホッとしたとはいえ後部座席で見知らぬ2人になるのはともちとフクザツな心境に。しばらくして当方とほぼ同年代とお見受けする男性が現れ、出発となった。

まずはR289を西進、しばらく盆地の中を進むが途中から高度を上げ、かつては難所だった駒止峠をバイパスのトンネルで潜り抜けると旧南郷村エリアへ。トンネルの手前で会津バスと離合したが、途中の山口(旧南郷村)を経てR401沼田街道を南下した内川(旧伊南村)まで路線バスが日に4往復走っている。
静かな車内の退屈がてらか、パシャパシャ写真を撮っている当方に興味を持ったのか、同乗の男性から「只見の方ですか?」と尋ねられ、そこからひとしきり話が盛り上がることに。男性は東京に単身赴任中で月に数度只見に戻るそうで、ツアーバスはかなり使い手が良いとのこと。路線バスが無いですからねと振ると「乗継ではあるんですが」…とは、町民のみ利用可能の只見雪ん子タクシーのことかと。基本的には町内中心部の通院・買物利用サポートだが、会津塩沢~山口間に平日1往復と只見駅→梁取間に1便設定されているのが旧バス路線代替となる様子。
ちなみに山口~梁取間には南会津町が南郷地域乗合タクシーを4.5往復設定しているが、当初は町営バスで代替も1年で途絶、雪ん子タクシーが途中無停車で延長運行するスタイルになるなどモザイク模様が伺えるような。

その山口からは沼田街道となったR289を伊南川沿いに北上。盆地の風景が続くが、途中で只見町となり直ぐのところが梁取地区。ちょうど梁取公民館前で出発待ち中と思しき乗合タクシーのワゴンをちらと見かけた。川を渡ってしばらく進むと深沢温泉「季の郷 湯ら里」入口前を通過…時間潰しに日帰り入浴もと考えたのだが、只見中心部からはちと離れており行き戻りは断念。実は会津田島からも無料送迎バスが出ているのだが、午後着の列車限定となっておりさすがに宿泊者のみかと。
田島只見ツアーバス その先、川向うとなる熊倉地区は昨年の豪雨災害で土砂流出による家屋被害が多く出たところだが様子はあまり伺えず。しばらく進むとR289上でも迂回路となっており、『その先の橋は落ちました』と運転手氏が示す方向を見ると、川上でスパっと切断された小川橋が。同乗の方も御自宅こそ被害はなかったものの、田んぼが完全に水に浸かったそうで。それでも時期が幸いして収穫に大きな影響はなく、今年も順調とのことで何より。
「この辺りも水に浸かったんですよ」と聞きながら只見川を渡るともう中心部。只見町役場を左に見ながら真っすぐ進みと只見駅に到着した。駅事務所はカーテンで閉ざされていたが、向かいのスペースが「只見町観光まちづくり協会」事務所となっておりここで料金を支払。出発が早かったものの、処々で復旧工事を担うダンプの低速走行に阻まれほぼ定刻での到着…というわけで、“15:00着発”はオススメしない。

六十里越独り旅/只見→大白川

只見でのインターバルについては別記を参照頂くとして、まず向かったのは先程渡った橋。只見川上流には只見・田子倉ダムが控えていますがこの日は穏やかな流量、護岸まで軽く5m以上はあり豪雨の激しさに慄然と…川沿いに下って伊南川との合流点左岸には只見温泉保養センターがありますが、こちらも豪雨災害で閉鎖中-割れたままの窓ガラスがもの哀しさを募らせます。
同乗の方に薦められた和食レストランは団体貸切で断られ、仕方なく入った別のお店は工事関係者などで大盛況!ながらメニュー的に惹かれるものがあまりなく、その後の街歩き中に見つけた食堂のほうが良さそうでした…喫茶店もないため、コンビニで飲み物を買った後は駅に戻るだけ。改札横のベンチで小1時間程潰しますが、溢れんばかりのパンプがありそう飽きることはありませんでした。観光協会で地元産品も販売しておりドライブ客が入れ替わりやってきますが、物販スペースが手狭なのが惜しまれるところ。

田子倉代行
  • Photo:只見→大白川
  • 田子倉代行
  • 田子倉代行
  • 田子倉代行
  • 田子倉代行
  • 田子倉代行
  • 田子倉代行

駅で時間を潰していたのは、14:25発会津川口行代行バス実見のためもあり。現れたのは女性ドライバーの日産シビリアン。社名表記がなかったがあかべぇのワンポイントがらしさを感じさせる…御同輩1人のみで出発。
しばらくして駅前に据えられたのは広場向かいに居を構える只見観光タクシーのハイエース…ジャンボタクシーであることは案内にも記載されていたが、それにしても年季が入っている。マグネット仕掛けかドアにペタっと貼られた黄地の列車代行案内が御愛嬌?そういえば駅裏手には田島⇔只見ツアーバスのそれも物置にペタリと貼られていたっけ。早速乗り込むと車内には小振りながらちゃんと運賃回収箱も鎮座していた。クルマで現れた男性がカメラで撮っていたが結局乗車は当方のみ、途中無停車なので貸切決定である…そういえば田島から来るツアーバスは時間までに現れなかったような。

当方が只見線のこの区間を乗ったのはちょうど5年ぶり(…そう、AIZUマウントエクスプレスから乗り継いだんだっけ)、その際には数十人単位の乗り通しがあったものだがある意味拍子抜け。「貸切ですね」と振ってみると、『一応ヒヤヒヤはしてますよ…イッパイになったことはないんですがね』と運転手氏は話好きらしく、道中盛り上がることとなった。R252をしばらく走ると先ずは只見ダム、ロックフィルだが堤高は低め。その先には重力式コンクリートの田子倉ダムが聳えている…と、その直前で大白川14:20発のマイクロバスと離合。向こうは数人が乗っていた様子、『JRさんも考えての配車らしいんですけどね』と運転手氏。田子倉代行
田子倉ダムを見上げて右カーブを切ると『いよいよ(六十里越が)始まりますよ~』と。高度を稼ぐために急坂の九十九折だが、豪雨災害ではここがまさしく土砂崩れ多発地点、今なお復旧工事が進められている。登り切ると雄大なダム湖が眼前に飛び込んでくるが、峠越の本領はこの先だった。地図で見る以上にウネウネとした道が続き、覆道の多さ、長さが環境の厳しさを物語る。『R252は初雪が降ったら閉鎖です。春の雪壁?除雪作業というよりは雪崩を避けるため溶けきるのを待ちますからね…』

『そうそう、先日乗ったお客さんは、「コレが見たかったんだよ」と仰ってましたよ』とは田子倉臨時駅。確かに下車覚悟でないと国道沿いの駅舎…というか階段の雪覆は見られないわけで。『別の日には、朝イチで(列車で)大白川に着いたお客さんに「会津若松まで抜けられる?」って聞かれて。只見でだいぶ待ちますよって言ったらそのまま引き返してましたねぇ』と、半月ちょいで早くもいろんなミニドラマ?がある様子。
実は乗車前から雲行きが怪しかったのだが、田子倉駅手前から遂に雨模様に。田子倉駅を向かいに眺めてからぐんぐん高度を上げるとともに雨脚も徐々に強くなり、1973年の竣工当時首相を務めていた『田中角栄が揮毫したんですよ』との六十里越峠開道記念碑も窓についた雨粒に遮られた。その後長い覆道から全長788.5mの六十里越トンネルを過ぎると新潟県入り、新潟県と福島県のカントリーサインが対峙していた。ちなみに只見線は田子倉駅の先からトンネルとなっており1971年の開通、全長6359mは今なおJR在来線第8位の長さを誇っている。

田子倉代行

『ココの路肩ポールはウチらでもびっくりします』とは覆道を越えんばかりの高さ。5mはゆうにあるだろうか。『去年はそれほどでもなかったですね、一昨年は凄かった。1晩に1mは積もりましたから』…ちなみに只見では2mが通常で3m以上だと多いと感じる由、数cmでアタフタする都会っ子には想像もできない。
田子倉代行 驟雨に見舞われたウネウネ道をぐんぐん下って只見線の線路が見えてくると、距離はあるが後は快走路。この日は対向車も少なかったが、紅葉シーズンにはやはり渋滞するとともに、地元民には慣れた道ゆえ飛ばすクルマも少なくないとか。『東京方面はやっぱりこの道ですよね。電車だと時間掛かって…この前知り合いが会津を廻って帰ってきたけど、8時間掛かったって嘆いてましたよ。お客さんは?-ツアーバスね、ウチもやってるんですがなかなか。最近はだいぶ増えてきましたけど』
なんとか雨が止んでくれた大白川駅には気持ち早着となった。『(雨は)大丈夫でしょ』と空を見上げた運転手氏は折り返しまでしばらくの待機となる。

爆走!シルバーライン特急/浦佐→奥只見ダム

只見と聞いて気になるのはやはり奥只見…映画もヒットした小説「ホワイトアウト」のモデルとされる奥只見ダムは福島県ではなく新潟県であること(一応魚沼市と檜枝岐村との県境だが、只見町からはアプローチ不能)は知られた話ですが、そのアクセスルートである奥只見シルバーラインは長大トンネルの連続、“1度は通ってみたい道”-ともよく耳にします。確かにドライブレポートは沢山あるのですが、意外にも路線バスのそれはあまりないような…浦佐駅から南越後観光バスが2往復しているところ、単純往復ではさすがにツマラナイということで、奥只見観光船を介して尾瀬口へと抜けるルートをチョイスすることに。
実は尾瀬へは群馬沼田、福島檜枝岐からのアプローチがメインのところ、魚沼市観光協会では「魚沼から行く尾瀬」をアピールしており、バスと遊覧船をセットし1割引とした「尾瀬・魚沼ルートフリーきっぷ」を発売。片道きっぷなので使わない手はないなと。尾瀬口から御池・沼山口までの会津バスは予約制となっており、その受付窓口も同観光協会が担当。ルートきっぷは7日前予約なので電話し、浦佐からのバスを含めたBチケットを所望するも、『こちらは郵送になるんですよ…バス運賃を引いても変わらないのでCチケットで』とのコト。なるほど、云われてみれば確かにそうで、Cチケットなら遊覧船のりばで購入可能とのことで予約だけしたのでした。

  • Photo:シルバーライン
  • シルバーライン
  • シルバーライン
  • シルバーライン
  • シルバーライン
  • シルバーライン
  • シルバーライン
  • シルバーライン

前日は大白川から鉄路浦佐ヘ向かい、日のあるうちに駅前のホテルに投宿。おぢやまつり花火大会当日で上越線内では浴衣姿の若い人も見かけたが単身では選択肢になく、駅前のレストランで夕食を取って早めの就寝。翌朝はホテルの展望風呂でこれからアタックする山並みを眺めてスッキリ、気持ち早めに駅前バスのりばへと向かった…そうそう、除幕から四半世紀以上が過ぎたコチラにも挨拶を。シルバーライン
8月最後の日曜日とあって混雑をも予想したものの、結局東京からの上越新幹線始発でやってきたのは4人とまたもや拍子抜け。ただ重装備はやはり尾瀬に向かうものと…と、現れたのは年季物のエアロスター。遠鉄からやってきたとのことだが、まさか4枚折戸車で長大トンネルに向かうとは思ってもみなかった。幕はなく「シルバーライン経由 特急奥只見」と書かれた紙が貼られているだけなのは残念。

定刻出発、先ずはR17を北上。車内では奥只見シルバーラインの案内放送が流れた。内容はおぼろげだがWikipedia等から後付けしてみると、奥只見ダム建設工事のための専用道路として掘削され1957年完成なのでゆうに50年経っているのか。奥只見ダムは1962年に完成、専用道路は施設維持管理用に電源開発が所有していたものの1969年に県に譲渡され1971年に有料道路として観光道路化されているが、放送では電源開発時代に1度開放も事故が絶えずに県が整備工事を行なって再オープンしたと流れていたような…1977年の無料化一般開放のことを指しているのかな?
バスは小出ICを掠め、道の駅ゆのたにを左に見ていよいよR352へ。「尾瀬72km」の看板もあったが直ぐ先の文字情報板で「災害工事のため通抜け不可」と出ていた。しばらくは小出からの市街地が続いていたが、徐々に高度を上げてゆくといよいよ分岐点間近。2車線になり「尾瀬奏でロード」を通るもよく判らず…お馴染み?「急カーブ転落死亡事故多発」看板が出ると分岐点…だがバスは入口駐車スペースに一旦入った後、R352をそのまま直進。これは大湯温泉を経由するためで、女性2人が乗ってきた。

田子倉代行

仕切り直していよいよシルバーラインへ。「!」マークが並ぶ看板を仰ぎ見てゲートを通過。右にカーブを切ると1号折立トンネル、その後も短いトンネルが連続する中でぐんぐん高度を上げてゆく。9号トトが沢トンネルから長くなってゆくがトンネル内カーブもキツくなり、LEDの点滅灯が先へと誘う…10号高平トンネルを抜けるとかなりの高度に。入口前に「異常通報施設案内」の看板がある11号栃の木トンネルからはトンネルと覆道の連続。路面状態もボコボコな上にウエットながら、バスはまさに爆走!早朝とあって対向車も少ないものの、時折ヘッドランプが見えると慎重に離合する。
シルバーライン 久しぶりの外区間を走ると再びの「異常通報施設案内」の先に全長3920mの17号明神トンネルへ。ぐぐっと左に折れ曲がるとその先にこれまた知られたトンネル内交差点が。右折すると銀山平へ、急行バスは経由するがこの1便のみの特急バスは通過直進…更に先へと進むと突如トンネル内が霧に包まれた。それでもなかなかの爆走っぷり、仕舞いには前方の乗用車に追いついてスピードダウン、最後の明かり区間を過ぎればラスト19号仕入沢トンネルへ。ようやく霧が晴れたが今度は車内の側面ガラスが曇ってくる。
ゲートを潜ってからはや30分、ようやく前方に出口が見えてきた!光の先に飛び出すと左直角カーブ、高度を下げつつぐるりと廻りこんでダム脇に到着となった。

日本有数の人造湖を辷る/奥只見ダム展望台→尾瀬口船着場

奥只見ダムによって生まれた銀山湖(奥只見湖)は湛水面積で雨竜第一ダム=朱鞠内湖(北海道)、徳山ダム=徳山湖(岐阜県)に次ぐ日本3位、総貯水容量6億トン超は徳山湖の6.6億トンに次ぐ日本2位というスケール。1973年には越後三山只見国定公園に指定され、開高健が愛した釣りのメッカとしても知られています。
奥只見湖遊覧船はダム展望台からの周遊と、銀山平・尾瀬口への3コースが設定されているところ、新潟福島豪雨禍はここにも影響しており、尾瀬口船着場が土砂流入等で使用不能となったため400mほど手前に移設し2012/07にようやく再開、ダム湖畔を通るR352は銀山平~尾瀬口両船着場間で今なお災害通行止となっており、南越後観光の路線バスや尾瀬観光用乗合タクシーが運休となっています。

奥只見遊覧船
  • Photo:奥只見遊覧船
  • 奥只見遊覧船
  • 奥只見遊覧船
  • 奥只見遊覧船
  • 奥只見遊覧船

バスはダム堤体手前の駐車場に到着、ここから船着場までは先ずスロープカーでダム上まで上がり銀山湖を見ながらしばし歩く。乗継時間は15分と少なかったが、移動時間としては10分掛からなかった。スロープカーは1997年完成でやはり嘉穂製作所製、料金100円は安いかな。観光施設の奥只見電力館はさらに丘上で連絡バスが待機、数人が乗り込んでいった。
船着場は2階建の展望台となっており、2Fは電源開発の無料展示室、ずらりと並ぶパネルの内容を見るに、震災・原発事故後とあってはなんともいえない心境。1Fの窓口で予約の旨伝え「尾瀬・魚沼ルートフリーきっぷ」Cチケットを購入。ちょうど09:20発の遊覧コース便が観光船ファンタジア号で出発するところだったが、さすがに乗客は数えるほどだった。

乗船したのは至って小振りな「新はっさき丸」、10人足らずの乗客も、オープンスペースに場所がなく客室内に場所取り。出港すると湖のどまんなかを突き進んでゆくが季節的にもエメラルドグリーンの湖面は濁っており、奥只見遊覧船ダムサイトを除けば人の近づける場所もなく、案内放送を聞きながらただただ雄大な山並みを見つめることとなる。途中、左舷に見える岩肌は雪崩などで侵食されての光景なのだとか。
奥只見湖は大きく5つに分かれているが、ずんずん南側へと分け入ってゆくと頭上を高圧線が横切っている。奥只見発電所で発電された電気は東北・東京両電力会社に供給されており、2003年の増設工事完成で日本最大の発電能力を誇りピーク時の安定供給に資している由-改めて電気の大切さを思う。
右舷上部に遠くR352と思しきルートが見え隠れするようになり、だいぶ両岸が近づいてくると尾瀬口船着場が見えてきた。40分の船旅の終了である。

遥かなる尾瀬の入口素通り/尾瀬口船着場→御池→会津高原尾瀬口

  • Photo:尾瀬口船着場→御池
  • 会津バス
  • 会津バス
  • 会津バス
  • 会津バス

先に少し記した尾瀬へのアプローチは3つあるところ、尾瀬ヶ原へは沼田口戸倉経由鳩待峠から、尾瀬沼へは会津口御池経由沼山峠からが最寄ルート。奥只見からのルートも初級者は御池・沼山峠経由となります。中世以降、銀山平の盛衰とともに形成されてきた小出から檜枝岐への峠道は奥只見ダム開発に伴い1972年までに車道整備されその後R352となりましたが、戦後一躍観光地として知られるようになった尾瀬へは御池~沼山峠間が1970年代に車道が通じたものの、自然保護機運が高まった1974年からマイカー規制が実施され、1999年からは路線・シャトルバスのみの運行となっています。
蛇足ながら、個人的に尾瀬へのアプローチを最も判りやすく表したサイトだなと感じたのは長年環境保全活動を展開してきた東京電力のサイト…原発事故によりコンテンツ更新が中止されているのはなんとも複雑な心境を覚えます。

会津バス

新装なった尾瀬口船着場、『旧船着場よりも道幅は広くなっており、階段は水位にもよりますが140段ほど、バス乗り場までの所要時間は5分ほどです。(中略)バス乗り場までの階段はやや急となっております。ハイキング前の足慣らしに丁度良いかも?』と遊覧船サイトにもあったが、トレッキング姿の人もふうふう息を切らすほどだった。
1番乗りで登り切ると会津路線車が停車中。運転手氏から予約のチェックを受ける。御池で同発の田島行路線バスに乗り換えられるかと尋ねると大丈夫とのこと…今回は尾瀬を目指しているわけではなく、沼山峠までの往復時間カットで帰京も早めることができる。他の乗客がチェックを受ける中周囲を見渡すと、魚沼方直ぐのところで通行止となっていた。1年で最大の書き入れ時となる紅葉期目前の10/01復旧を目指すとされているが…。
定刻となって出発、いきなりの隘路というかそれ以前に各所で崩落等が発生しており仮復旧の様相。旧船着場は川床がかなり上がっていることが感じられた。御池まで途中4つの停留所があるがいずれも山小屋ポイント、新潟県から尾瀬ヶ原へ抜けられる平ケ岳登山口で1人降車。その後も花が咲き誇る蕎麦畑と路肩崩落箇所が続くが、ちょうど県境となる金泉橋が落橋しており仮橋での復旧。いかに新潟県がこのルートに重きを置いているのかを象徴しているような気がした。

福島県側に入ると「樹海ライン」の名前通りウネウネ道となり高度を上げてゆく。対向車もほとんどなく、車内には時折業務用無線が流れるだけ。仕舞いには周りすぎて位置が把握しにくくなるような…到着予定時刻が迫るも景色は変わらず、どこまでこの状況が続くのだろうといささか不安にもなってきたところで急に下り坂となり、駐車場に車がズラリと並ぶ御池ロッジを眼下に見下ろした。
『向こうから来たあのクルマね』と運転手氏に教えてもらったバスは沼山峠から降りてきたエルガトップドア車、さすが尾瀬ということで水芭蕉があしらわれていた。沼山峠からの乗客が大半降りて加わったのは当方含め数人、さすがに時間が早いかな。ロッジで一息入れる間もなく出発である。

御池
  • Photo:御池→会津高原
  • 会津バス
  • 会津バス
  • 会津バス
  • 会津バス

ここから更に下ってゆくこととなるのだが、無線が威力を発揮することに-丁度この日、「第3回尾瀬檜枝岐ぶなの森ウォーク」が実施されており、九十九折の車道脇をゾロゾロと人が上がってきていたのだ。さすがハンドル捌きは手慣れたものだが、『い~っぱい上がってきてるよ~』と無線で下の対向車に注意を促すやりとりが可笑しくって…あと、カーブに突っ込んでくる県外乗用車の存在も観光地らしいなと。
坂を下り切るとここも登山口の1つかつR401登山国道の始まりでもある七入、ぶなの森ウォークのゴールとなっていた。風情のある食堂前のキリンテから店の人に見送られて重装備の男性2人が乗車。檜枝岐川沿いの1本道をずんずん下ってゆくと檜枝岐村の中心部に。 森の温泉館アルザ前で大量乗車があり、車内が一気に賑やかに。
中心部を抜けると再び深緑に囲まれた道、雪覆も長く冬の厳しさが伺える。南会津町旧伊南村エリアに入ってしばらくするとようやく1本道の分岐点が内川。只見ツアーバスの項で触れた、会津田島からR289経由でやってくる路線バスの終点でもある。地元の方と見受ける2人が乗ると右折、下ってきた桧枝岐川とここで合流し伊南川となる片割れの舘岩川を上ってゆく。
旧舘岩村エリアではところどころで旧道に入り込むが乗降はなし、車内も眠り込む人がほとんどで静かなもの。会津バス雄大な山並みを遠くに眺める盆地らしい車窓がしばし続いていたが道の駅番屋を過ぎて急な山道に。抜けたなと思ったところが会津高原尾瀬口駅だった。バスはこの先田島まで向かうが、見事に全員降車。運転手氏も時間調整の合間に車外で一息入れていた。

あまり下った印象はなかったのだが標高は722.5m、先程の内川が608mなので文字通り高原地なのだなと改めて実感した次第。ちなみに檜枝岐村役場が939m、御池で1520m、奥只見ダムが750mとのことで、高低差もそうだが、御池との距離感はなかなかだったなと。尾瀬夜行23:55だと専用バスで沼山峠まで直通できるとはいえ早朝に約2時間の行程は結構なものだなと感じた次第-やはりそこは“遥かなる尾瀬”であった。

日を改めて甲子峠越/下郷→新白河

R289の甲子峠区間は「登山国道」としてその名が知られていましたが、甲子道路の整備事業は1990年代から進展、国の直轄事業により県内最長となる4345mの甲子トンネル貫通後の2008/09に全通しています。東北道はのみならず新幹線新白河駅ともぐんと近付いたことで南会津アクセスの路線バス開設が期待されていたところ、会津エリアで「あいづロンドンタクシー」をはじめ特徴あるタクシー・バス事業を展開する広田タクシーが事前予約制の「黄色いボンネットバス猿游号」を大内宿~湯野上温泉駅~新白河駅前に土休日限定季節運行で手掛けた程度。それも東日本大震災を受け新白河区間は運休となっていました。

そんな折、福島交通と会津乗合自動車が組んで新白河~会津若松線を開設することに! 土休日限定ながら2往復設定、ダイヤ上3便が大内宿で1時間の休憩タイムが取られる観光路線ですが、なにより予約不要で「地域住民の方の生活交通路線としてもご利用できます」とも売り込んでいます。
できれば全区間乗りたかったものの、まずは甲子道路区間のチェックということで、開業初日の09/01に向かうこととしました。前後の行程もあって会津下郷側からのアプローチです。

09/01(土)、1週間前とルートは同じながら、1本前の電車に乗ってトンネル駅の湯西川温泉で一旦下車。2006年にテスト、翌年以降本格的に運航を行なっている日本で2番目の水陸両用バスが走っているが、実は御多分にもれず渇水の影響で川治ダム水位低下により、08/14から地上走行のみで催行中…当方は乗車する時間は取れなかったものの、第1便の到着を見ることができたが、朝イチにしては10人程が乗っており定着具合が伺えた。 AIZUマウントエクスプレスではこの日「語り部列車」を実施中! 乗車時点でははや宣伝がヒートアップしている大河ドラマ「八重の桜」の新島八重の物語が丁度話されていた。

白河会津線
  • Photo:下郷→新白河
  • 白河会津線
  • 白河会津線
  • 白河会津線
  • 白河会津線
  • 白河会津線
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語り部が降車した会津田島を過ぎてこの日は会津下郷で降車、お座トロ展望列車との離合となったが両列車が出発すると急にひっそりと。駅の女性駅長?にバス停を尋ねるも『今日は…動いてませんよ』とは確かに既存路線バスは土休日全便運休、新路線の話をするとご存じなかった様子。事前確認通り駅からR121へ降りて交差点を右折しR289へしばし、福島県内では阿賀川と呼ばれる阿賀野川に架かる旭橋を渡ると左手の丘上に洒落た建物が見えてくるがこれが下郷町役場。新路線のバス停は「下郷役場入口」ということでそのままR289を上ったものの、しばらく行けどバス停はなし。橋の袂には路線バスの旭橋バス停を確認しており間違っていないと思ったのだが、時間も迫ってくることからちと焦りながらR289からは少し離れる役場前に向かうと、真新しい「下郷町役場」バス停が建っていてホッと一息…それにしても役場内に既存路線が入ってきていないのもアレだが、白河会津線せめて新路線のバス停名案内は統一してもらわないと。役場は翌日の防災訓練の準備こそなされていたが、バス停前の図書館に勉強中と思しき学生が数人いるだけだった。

定刻より気持ち遅れてやってきた会津バスには運転手と添乗員の2人が乗車…というわけで当方の貸切に。『いやー、乗って頂いて有難いです』と云われてしまった。ともあれ、眼前の雄大な山並みを見据えつついざ東進。徐々に高度を上げながらもしばらくは周囲が広く見渡せる道を進む。路線バスがここまで入ってくる南倉沢の集落を迂回する形で進むと道の駅しもごうEmatto(エマット)、甲子道路開通後の2009/04オープンとまだ新しいが眺望はなかなか。
この先11.6kmは雨量150mm以上、風速20m風雪12mとの通行規制案内が出ており、直ぐに道幅も狭くなったが甲子道路では唯一整備途上の区間、さほどの距離ではなくその先で直線となりいよいよ眼前には甲子トンネルの入口が…ちょうど突入直前で新白河11:20発の福島交通便と離合!乗り具合は確認できず。

甲子トンネルはほぼ一直線。長いトンネルを抜けると続いて甲子大橋を渡る。左手眼下には甲子温泉が望めるはずだが大きな雨粒が落ちてきて、次のトンネルを抜けた時には土砂降りに。トンネル内で右に大きくカーブを切るきびたきトンネルは、2002年台風6号の豪雨で、既に左手に掘られていた石楠花トンネル付近での地滑りによって坑内変位が発生、破棄され大きくルート変更となったもの。きびたきトンネルの直ぐ左に口を開いていた石楠花トンネルの下郷側入口は塞がれたようだった。

白河会津線

その先が新甲子温泉となり甲子道路整備区間も終了、新白河からここまでは路線バスがある。新路線ではアウトドア遊園施設のキョロロン村にバス停が設置されているも乗降はなし。その後は白河に向けて下る道、豪雨の中所々狭まる道もなんのその快調な走りを見せ、西郷村中心部まで来れば雨も小止みとなった。
東北道を潜り新幹線高架が見えてくればもう白河市内。信号待ちの都合上新白河駅正面口には5分程遅れての到着、松尾芭蕉の銅像が出迎えてくれた。急ぎ駅構内を通り越して反対側の高原口へ。ちょうど新甲子温泉行の路線バスが出てゆくところだったがこの路線は1日4往復のみとなっている。


如何でしたか? 夏の終わり、といっても訪問時はまだジリジリ暑い天候でしたが、これから会津の山々が錦繍の季節を迎える頃、只見へ、尾瀬へ、大内宿へと公共交通で向かってみるのも一興かと思います。雪深い厳冬を目前に、JR-E只見線只見~大白川間再開(10/01予定)も地元にとっては大きな話題でしょう。
他方、首都圏からも近いエリアながら、その距離感が如何ともし難い現実を痛感しました。その意味で甲子道路であったり、向きは異なるとはいえ八十里越であったり、費用対効果では捉え切れないインフラ整備の意義というものを感じるとともに、それを外部から楽しみ手立てがマイカーに限られてしまうことがなんとも勿体無いような。

その意味では、ツアーバスだけでなく多彩な日帰りバスツアーを企画運営している只見町観光まちづくり協会の展開というのは注目に値しますし、会津へのアプローチルートを増やす新白河~会津若松線のチャレンジも見守ってゆきたいなと。なにより来年は「八重の桜」イヤーですしね。

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大内宿での対応

投稿者---川崎京急バス氏 (2012/10/14(Sun) 10:31)

初めまして。

9/29(土)に若松9:10発に乗車してきました。
自分以外は大内宿までおば様3人組、下郷役場からキョロロン村まで地元の方と思われる男性1名だけでした。

大内宿での1時間休憩ですが、降りる場合は一旦運賃を精算して証明書を貰い、再び下車時に差額を支払うという形でした。
運転手さんは「こうしないと割高になってしまうので」とかなり気にしているようでした。
バスは自分を降ろした後、駐車場の隅に移動して待機していましたが、自分が降りないと言ったら1時間車内に2人っきりだったんでしょうか??

この大内宿のバス停ですがメインの所からかなり離れた位置にあり、既存路線バスの大内上バス停と同一箇所です。
大内宿の中にはバス停や、この路線の案内なども無いようでかなり分かりずらいです。

全体的にもうちょっと上手く、積極的にPRしていく必要が有るように感じました。

Re: 大内宿での対応

投稿者---551planning (2012/10/14(Sun) 11:25)

川崎京急バス様、有難うございます。紅葉はどうでしたか…まだ早いですかね。

大内宿が悩ましいというかなんというか。せめてもう1往復設定されればゆっくり滞在or白河会津直行が選択できるのですが。あと会津鉄道とも競合ではなくてリンクできるような関係性が望ましいと思います。
おそらくは来年に向けた試行的な位置付けなのでしょうが、折角大河ムードが盛り上がりつつあるところでもあり、新たな周遊ルートとしてのPRに期待というところでしょうね。

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行くぜ、南会津。2012秋-紅葉を求め甲子峠から若松へ

投稿者---551planning (2012/11/08(Thu) 15:40)

前回甲子峠区間のみの乗車となった「新白河~大内宿~若松線」(福島交通・会津乗合自動車)、秋晴れとなった11/04(日)に紅葉を求め再訪してきました。いや、予想通りの光景でしたねぇ。

あだたら号

今回乗車は新白河11:20発福島交通便-時間的余裕もあることから、以前から気になっていた西郷BSを実見してみようということでアプローチには「あだたら号」(東武バスセントラル・福島交通)をチョイス。2006/07運行開始の新越谷~郡山間という意外感ある路線だが6往復スタートも翌年には4往復に削減。2010/08から経由化した浦和美園駅から乗ってみた。
大きな駅舎も日曜の朝とあって静かな駅前に07:40過ぎに現れた東武車、先達諸氏の乗車録(@勝手に『乗りバス』リンク集)を見るに専用車となっているセレガだがグリーンのシートが爽やか。新越谷から6人、浦和美園で当方の前に2人が乗車して出発-当方と新越谷からの1人以外は全て女性。当方の他全員がきっちり前日までに事前予約していた様子、最前列は女性コンビ2組が占めたが容姿からもやはり紅葉狩りか?
『渋滞で遅れるかもしれませんので…』と運転手氏が恐縮しきりだったものの、駅から1kmと離れていない浦和ICから東北道を進むもまぁ順調そのもの。ただし行程的にタイトなのかどうか、なかなかアグレッシブな走りを魅せてくれる…途中の上河内SAで10分強休憩も大混雑で直ぐに車内へと退散。ぐんぐんと高度を上げれば福島県入り。「これよりみちのく」のこけし看板が出迎えてくれれば西郷BSには5分弱の早着となった。

西郷BSは2001/08の開設、あだたら号のほか新宿~郡山・福島線「あぶくま号」が開設当初から停車し一時は新白河駅からの接続シャトルバスも運行されていたそうだが程なく中止に…といっても駅からは20分あれば歩ける距離であるほか、やはりクルマ乗継需要がメインとなっており、今年3月に駐車場増設工事が実施されている。この11/01からは福島・郡山~京都・大阪線「ギャラクシー号」も停車するようになり『甲子トンネルを通れば会津地区のお客様にも、ますますご利用頂きやすくなります』とは我が意を得たりな部分も(蛇足ながら同便は以前、磐越道から北陸道経由だったので経路変更になったのかな?)。

下りBSは降車専用もベンチつきの待合スペースも整備、上りBSのそれは乗車専用とあって下り線の3倍以上はあるだろう。案内表示も一新されたばかりではあるものの、アプローチの階段部含めかなりな投資がなされている様子は好印象だ。下り線側側部には利用者専用駐車場が14台分、上り線側にはちと離れたところの16台に加え3月に整備された21台分があるがこちらは隣接する公園利用者との共用ということで更に多くの台数が駐車可能なようだがかなり埋まっていた。ちなみに5分も掛からない距離にはイオン白河西郷店があり広大な駐車場を完備…上手く連携できないものか。

甲子峠

新白河駅まで歩くもまだ時間に余裕があり、2ヶ月ぶりの芭蕉像に挨拶の後、更に歩いて白河高校前バス停へと向かい昔日の白棚線遺構らしさを堪能してから戻ると、既に福島交通車が乗車扱中。経年車ながら前面はしっかり幕入りとなっていた。運転手氏に若松までと伝えると、既に情報を頂いていた通り、大内宿で一旦運賃精算の上で降車地で残額払いとして「乗継証明書」を手渡される。最前列は家族4人が占めていたので2列目を確保したが、その後の眺望が素晴らしかっただけにちょっぴり惜しまれるかな。結局12人乗車にて定刻出発、年齢層は比較的高めである。
R289を淡々と進むが前回訪問時より格段に交通量が多い。前回は深緑だった山並みも遠くからでも色の変化が感じられ、高度が上がるごとに所々の赤や黄の強い発色に彩られた姿が判るようになってくる…も、強い日差しゆえ最前席側面カーテン2席目分まで乗車段階からぴっちりと閉じられたまま。さすがに甲子温泉直前になってわぁとの歓声とともに開けられたのではあったがちと遅かったなと。災害により途中で付替となったきびたきトンネルでは廃道先の橋梁部分で何やら工事が行われている様子が見受けられたが、落橋工事が行われているそうで。

甲子峠

そして甲子トンネル突入…前回はこちらのクルマがちょうどトンネルを出るかという辺りで若松発便と離合したので身構えていると、トンネル内で観光車と離合…さてアレだったのかなと思いながらトンネルを抜けるとこれまた雄大なパノラマが!道理で道の駅しもごうEmatto(エマット)は駐車場混雑渋滞が発生中…と、ココで若松発便との離合とは不意打ち、乗客有りだなとだけしか確認できなかった。
渋滞が気掛かりだったR121もさほどのことはなく、小型車に乗客を満載した広田タクシー猿遊号と離合して5分延で到着となった塔のへつりでは最前列の家族4人と男性1人が降車、男性1人が乗り込んできた。更に北上、第四大川橋梁を見下ろすポイントではちょうどお座トロ展望列車が行くところを見ることができた。
湯野上温泉駅前では2人が乗車。大内宿へは右手の山道を進むことになるが、交差点では大内宿からやってくるクルマが渋滞中で交差点自体も手狭とあってこちらは暫し待機状態。なんとか左折して山登りとなるが、あと3km足らずというところでこちらも渋滞に…かなりのノロノロとなり、どんどんと時間だけが過ぎてゆく。渋滞末尾は携帯電話の電波も入らない場所で、まさしく途絶感を少しばかり感じたり。どうにかこうにか進んでようやく駐車場エリアに辿り着いたが、人数は足りているはずの警備員の捌きが見ていてどうも拙い印象が。バスは大内宿横の道を更に進んで丘上の大内宿食の館前に到着…ものの見事に1時間の途中停車タイムが消滅したのだった。

甲子峠

全員降車したが当方は降りる気もなくなり運賃だけ支払い。尋ねてみると『ここまで混んでるとは…』と運転手氏もすっかりお疲れ気味、トイレ休憩として10分停車となり、定刻から5分延の13:35発となった。当方の他3人が続けて乗車、壮年女性3人グループが新たに加わった。甲子峠
先ほど来た道を戻るが渋滞はまだまだ延びている様子、そういえば新白河駅で3台口が停まっていた郡山観光交通のバスも嵌まっており、ツアコンのと思しき女性が携帯電話を掛けながらダッシュしていたが、こちらは郡山・新白河発会津若松行の日着片道ツアー「大内宿と塔のへつり号」が設定されており、びゅうでもパッケージで販売されている様子。単体なら塔のへつり(約20分)・大内宿(約90分)・鶴ヶ城(約45分)観光付で4500円也かぁ。

こちらは暫く順調も、先程のR121交点でやはり滞った。R121に入れば快調な走り、芦ノ牧温泉では乗降なく会津若松市街へ…実は当方、この後は新潟へ向かうのだが、定刻なら鶴ヶ城入口に14:20着で、14:35発の新潟行高速バスに乗り継げるな…とも思ってはいたところ、やはり市街でも渋滞があり、目前で走り去るのを見送る結果に。というわけで終点までのお付き合い、会津武家屋敷(東山温泉)で新白河からの3人が降車。終点間際で『電車に乗れるかしら…』と壮年女性グループがそわそわしたものの14:58に無事到着、15:06発郡山行普通列車には十分間に合ったものと。それにしても結局20分近い遅れとなったが、折返便は15:40発、しかもこの便のみ大内宿での余裕時間は設定されておらず、運転手氏にはお疲れ様である。

 

座席ポケットには『本年度から運行を開始し、今後もご利用になるお客様の利便性の向上、ニーズにあった運行とするため』のアンケートが差し込まれていましたが、利用目的として「観光/レジャー ビジネス その他」、運賃や運行時刻に加え、4便中3便で各1時間設定されている大内宿での休憩時間についての設問も…まさにアタマの痛い問題だなと痛感させられたわけですが、なるほど休憩時間は渋滞を見越した設定だったのかも?
甲子峠 そういえばR289からR121に入ると、道端に「大内宿まで○km」との看板が各所に出ており大内宿周辺地域渋滞対策協議会との文字も…2009/02に設立され、混雑予想の発表から現在ではライブカメラによる情報提供等も行なっているようですが、いざ現地に近付いた段階で知る由がなかったような気も…R121に入る手前の電光案内板も大内宿への経路を示すだけでした。
あとは駐車場の管理でしょう。どうしても南側からのアプローチに集中する分、通過交通を含めて遮られてしまっており、スペースが無いわけではなさそうなので警備員配置運用に手を加えれば改善されるのではと。若松方面からのr131大内宿こぶしラインに誘導する案内もされていますが、その北側では路肩駐車が数多く散見されるのもちぐはぐな気がしてなりませんでしたね。

塔のへつり、湯野上温泉と拠点が点在しているだけに、広田タクシー猿遊号がほぼ唯一の公共交通アクセスを担ってきたところに登場した新路線。それにしても初日乗車時にはどうなることかとも思われましたが、まだまだという知名度の中でも着実なニーズが感じられるので継続運行に期待したいですね。個人的にはもう1往復増えてくれれば、大内宿だけでなく甲子高原や塔のへつり等でも動きやすくなったり、猿遊号や会津鉄道等との連携にもつながるのかなとも…今季は11/25までの運行となっておりますが、雪の時期に大内宿リベンジをしてみたいです!


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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