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スルッとKANSAIに見る「企画きっぷ」の意義

先日【検証:】でもJR-Eホリデーパスについて話題となりましたが、先日訪阪した際にスルッとKANSAI(以下スルKAN)の企画きっぷを利用し、いろいろと考えさせられました…。
関西圏以外でスルKAN関連の企画きっぷで知られているのは3日連続乗り放題の「3dayチケット」でしょう。このきっぷ、関西圏では発売していませんが、その代わり季節モノで期間内の3日間(不連続でも可)乗り放題の「3dayチケット」も発売されています。

奈良・斑鳩1dayチケット

■奈良・斑鳩1dayチケット

当方、先日関西空港から京都に向かう行程があり、移動時間はたっぷりとあったので何かないかなと事前に関連サイトを見て見つけました。「奈良斑鳩1dayチケット」、近鉄線内と奈良交通の指定区間が1日乗り降り自由というもので、社寺見学や飲食土産物屋で各種特典が得られる共通優待券6枚付です。近鉄線内での発売はなく、難波・長田・京都・竹田・丹波橋を接点とする5社局分(阪急・阪神・大阪市交・南海泉北・京都市交・京阪)がそれぞれ全線1日乗り放題というスタイルで設定されています。なお阪急・阪神版では経由する大阪市交も全線1日乗り放題になります。

当方は南海泉北版を利用、難波・大和西大寺乗換で通常片道でも1,810円かかるところを2,000円、しかも南海泉北線内も1日乗り放題というから驚きであります。なおこの南海泉北版の場合、関西空港駅・高野山駅・貴志川線内は対象外となりますので御注意の程…この3箇所以外の南海全駅で発売していることから、関空到着後にタイミング良くJR-W関空快速でりんくうタウンまで移動し、急いで改札で無事購入。切符そのものは磁気カードになっていて、別に案内チラシと優待券付アンケートはがきがついていました。自動改札に通せば通常のスルKANカードのように日付と時刻、乗車駅が刻印されます。
この後当方、直ぐに関空快速を追ってきた空港急行で泉佐野へ移動、そのあと一旦和歌山市へ出て、以後未乗だった加太・多奈川・高師浜支線をチェックした後に難波・西大寺経由でまっすぐ京都へと向かったのでした…ま、こんな使い方をする人はいないでしょうが、泉北高速線も乗れるとあれば、南海線内の乗り降り旅だけでも十分使えるという(南海全線の1日パスはない)不思議な切符ではあります。

大阪周遊パス

大阪周遊パス■

当初の予定が変更となった翌日、今度は最終の関空便での帰京となったので、それではと今度は「大阪周遊パス」のこれまた南海版を購入。これは大阪市交および市内各私鉄指定区間の乗り放題パスで、これまた23施設の入場フリー・各種優待券など特典満載!前記区間内乗り放題の基本版に加え、他私鉄指定区間からの「拡大版」がそれぞれ設定されています。

この周遊パスは各所でポスターなどで盛んに宣伝されており、南海版は関西空港駅でも発売されている(なお、この南海版では泉北高速は乗車不可<別に泉北版あり>どころか南海線内でも利用区間および発売箇所が限定されている)ところからも、圏外からの観光客を主要ターゲットにしているものと思われます。切符は同じく磁気カードで優待券付ガイドブックが添付…さすが大阪、飲食店の紹介が多いですねぇ。南海版なのに「調製:京阪電気鉄道株式会社」と書かれているのも不思議な気がしますが、こうした企画きっぷがスルKAN加盟全社的な取り組みであるということが伺えます。
結果的に優待券こそそのままになりましたが、まぁ使わな損とあちこち乗ってきました…ただちょい気になったのが、近鉄南大阪線と阪急神戸線で使った際に、指定区間内ながら自動改札機エラーで止められたこと。関西でも増えつつある2枚対応の改札機では通ったところもあったので、ROM設定などでの不備もあったのかな…?


翻って東京圏を見れば、例えば小田急や西武、東武などのように行楽地先での、あるいは京急や北総のように沿線内や対東京・横浜などの周遊パスを積極的に発売する例はありますが、行き帰りは途中乗降不可や乗車地別の料金設定になっているのが一般的、複数社局の相互利用も西武の箱根フリーパス発売という稀有な例や、都内でも営団・都営・JR-Eの1日乗り放題「東京フリーきっぷ」はあるものの優待券というような付加的な仕掛けはありません。

では東京圏でも…というのが当方の趣旨ではありません。むしろ、ネットワーク性での対JR、さらには根本としての対クルマという意味での関西圏、スルKAN各社の危機感を強く意識するものです。こうした動きは、観光地での会津・八戸、都市圏での仙台での導入(予定)にも見て取ることができると思われます。一方で東京圏ではその危機感が薄いというよりも、鉄道会社側にとって総量と比しての「周遊パスという商品ラインナップの必要性」が現時点では低いという推論が可能かと考えます。まさにJR-Eの方向性がその証左になりつつあるのかもしれませんね。

別視点からですが、何も東京圏の鉄道各社も利用促進策に手をこまねいているわけではありませんで、例えば各種ウォーキング企画などではJR-Eをも含めて連携していますし、JR-Eとはフリー切符発売でも連携していた実績もあります(三浦半島フリーきっぷ、秩父・奥武蔵フリー乗車券等)。営団を介した広域的な相互直通イベント列車企画の顕著化は関西圏には真似しにくいところでもありましょう。丁度別のスレッドでチケットショップ利用の東西温度差が語られていましたが、列車での目的地への送客ニーズは把握しているものの、それが必ずしも企画きっぷへのニーズには繋がらないのではなかろうか、それこそ「値切り文化」が関西圏よりは然程ないと思われる東京圏ならでは…という風に個人的には感じています。その意味で「ホリデーパス」は企画として判りやすい存在ながら、「値頃感」という意識付けが深度化していないのではなかろうかとも思われますが…。
無論ゆえに東京圏での企画きっぷの必要性はない、というつもりもありません。ただ、ホリデーパスでは役不足なところもあり、他方各種優待企画等の総合的な企画立案セクションの不在という事もあるのかもしれません。それこそ東北の例も東北運輸局が仕掛けているものでありますし、その意味でもスルKANという取り組みの特異性・先進性、さらには先述の通りの危機感を思い知る気がします。

最後に「先進地」関西圏の新機軸を紹介して…阪急では現在、「いべんと」ラガールカードを発売しています。カード自体はスルKANのプリペイドカードですが、対象施設でそのカードを提示することで各所特典を受けられるというもの。企画としてはなかったわけではありませんが、企画券としての範疇をはみ出したところにさすがスルKANのリーダーとの意気を感じました(といってもあくどい事もあるようですが…)。

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多彩な商品をどう生かすか

投稿者---エル・アルコン氏(2001/11/05 00:30:41)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

スルKAN関係の企画商品の特徴としては、各社連携型のフリーきっぷのほか、沿線施設タイアップ型の商品があります。例示の「大阪周遊パス」はどちらかというと後者で、ただ乗るだけなら850円の大市交一日乗車券に域外となる各社を個別に買ってもそうそう変わらないのですが、このパスの真価はまさに23施設の入場フリーにあり、鉄道部分を大胆に掛け捨てにしてでも施設巡りをしたほうが得でして、まあ施設巡りフリーに各施設間の移動がタダになっているというイメージです。

タイアップ型の特徴は「激安」でして、例えば冬季を中心に発売される有馬温泉の「別館・日帰り温泉」入浴券つき往復割引の「有馬湯けむりクーポン」はその典型でして、入浴料が1900円なのに神鉄各駅から1000円、阪急、阪神各駅から1700円というように激しく原価割れの商品です。神鉄関係ですと「モザイク回遊きっぷ」も凄く、阪急が出した例の「神戸おさんぽきっぷ」同様600円の観覧車乗車券と500円のお買い物券をつけて鈴蘭台地区から高速神戸~阪神元町間の往復で1000円、三田や三木方面は1300円です。「神戸おさんぽきっぷ」もそうでしたが神鉄の運賃を考えるとこれでは「乗ってけドロボー」の世界です...

さすがにフリータイプは出尽くした感もありますが、この夏スルKAN加盟社局ではありませんが変り種が出ました。「六甲・まや周遊1日乗車券」がそれで、三宮、六甲道、阪神御影からの市バス往復券に、六甲ケーブル、摩耶ケーブル、摩耶ロープウェイと山上バス、さらに六甲有馬ロープウェイの六甲山上-カンツリー間が乗り放題で2200円です(11月30日まで、阪神各駅長室、阪急三宮、六甲で発売)。
六甲、摩耶の両ケーブルがフリー区間に含まれているところがミソで、箱根フリーパスほどのダイナミックさはないですが、普段あまり乗り放題にならないケーブルカーとロープウェイを堪能出来ます。

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このように多彩かつお得な商品で利用者をくすぐりますが、やはり飽きは来るもので、最初はときめいた3daysも最近は手を出す意欲がありません。激安路線も無理が昂じると問題ですし、どうやって利用者の興味をつなぐのか、企画者の知恵が問われますね。

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ときめかない「ときめきチケット」

投稿者---エル・アルコン氏(2004/03/30 15:30:02)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

4月から、神戸観光用の「スルッとKANSAI神戸ときめきチケット」が発売されます。
これまで「神戸1day」や「神戸街遊チケット」など限定販売はありましたが、今回は一応通年販売です。もっとも、平成16年度の通年発売のように見えて、上期と下期で有効期限を区切っているなど意味不明な制約が気になりますが、まあ神戸の観光をサポートするチケットの整備は喜ばしいことです。

チケットの有効区間は六甲山の表側の神戸市内全域のスルッとKANSAI加盟各社局の電車、バス全線(含む阪急芦屋川、阪神バス芦屋川、阪神芦屋と山陽明石)、北側は木津、谷上までの神鉄、北神と市バス全線、花山~有馬口の下車をしない前提での神鉄有馬温泉、三宮-有馬温泉、有馬温泉-三田の阪急バス、六甲山上の阪急バスとなっています。

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このチケットの最大の特徴は、乗り放題チケットだけでの発売でないことです。
神戸市内の観光施設に使える「神戸街遊券」1500円分がセットになっており、合計で2400円の発売と言うことです。「街遊券」は神戸国際観光コンベンション協会が発売しているもので、2500円で3000円分、1200円で1500円分の利用が出来るシステムで、「ときめき」の販価が2400円と言うことは、電車・バスの価格が1200円と言うことになります。

実は以前限定販売された「1day」の価格が1200円であり、なぜにセット販売、と思いますが、フリー区間、特に六甲山上や六甲山の北側との行き来を考えると、定期券代わりに使われるなど算盤が合わないからと言うことが容易に想像がつきます。そしてこれが「神戸市北区」なのに有馬温泉発着を除く花山以遠の神鉄を除外した理由でしょう。

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しかし、「街遊券」が付くとはいえ、このチケットの意味ってあるんでしょうか。
「街遊券」自体は単独で購入出来ますから、結局1200円分電車やバスを利用しないと元が取れません。
阪急拡大版で2700円(神宝線)~3000円(全線)など神鉄、山陽、阪神などの各線拡大板でもなかなか難しい価格設定です。

「街遊券」をきっちり使うのであれば、元が取りやすい六甲山や北区方面に行くと対象施設が狭まるため、勢い交通機関の単価は下がります。基本的に市街地の交通機関は、市バスが200円、ポートライナーが240円などあまり値が張りませんから1200円は遠いです。
おまけに肝心な市内観光の足になるシティループは別払い(街遊券で定価購入)ですし、ケーブルやロープウェイも別払い(街遊券で定価購入)です。さらに六甲山関係は阪神のクーポンのほうがトクです。
附属の「街遊券」も結局は1500円以上使えないので、使い倒そうにも「おトク度」はたった300円が上限なのです。

こうして見ると、同じスルKANの大阪周遊パスは良く出来ており、2000円で市内の各社局が使えて、23施設で入場フリーですから、乗り回しても良し、施設に入り倒しても良しで、使ってみようかというインセンティブが働きます。

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観光キャンペーン「Feel KOBE」のイラストをあしらったチケットですが、内容はちょっとお寒いと言うより、ネーミングだけでうっかり買うと損をしかねないとも言えます。
せめて街遊券利用時に、「ときめき」提示でさらに割り引きとか、阪急が売っていた「神戸おさんぽきっぷ」のように商店や飲食店で完全な金券として使えるようにするとか、これしかないメリットを出さないと、「買っては見たけど、あまりトクした気にならない」とか「何か券が余っちゃってもったいない」という利用者が続出しそうな気がします。


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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