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    12:30 東京駅南口発
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    12:47 首都高小菅JCT通過
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    12:57 常磐道三郷料金所通過
    13:12 吉川団地通過
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    13:40 松伏ターミナル着
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都市圏近距離高速バス

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【検証:】過去ログ特撰-JRバス関東“三吉松線”盛衰録

吉川松伏線

高速バス「吉川・松伏線」開業の衝撃

今年4月の新宿~TDL線開業リポート時に、当方はこのようにまとめていた。

先の「お台場快速バス」もそうであったが、ある程度の定時運行を信頼し得る路線設定が可能ならば、今後このような中距離バス路線が脚光を浴びる日も近いと思われる。
現状では空港やプレイスポットと都心部を結ぶ路線が主体となっているが、パークアンドライドとの絡みや鉄道不便地帯への通勤ルート開拓次第によっては新たな市場創造も夢ではないと考えているだけに、この路線の今後を注意深く見守って行きたいと考えている。

あれから半年足らず、今後の首都圏近距離高速バス路線の試金石というべき路線が誕生した。JRバス関東1社単独による吉川・松伏線である-まず「吉川・松伏」ってドコ?という方は、地図で大体の位置関係をば。

東に江戸川が流れる吉川市・松伏町は共に埼玉県の南東端、越谷市と千葉県野田市に挟まれた地域。吉川市の南部をJR武蔵野線が掠めているが、松伏町内に鉄道は走っておらず、JR吉川駅や東武北越谷駅・野田市駅から東武・茨城急行のバス路線がある。主に田畑が広がる風景ながら、工業団地や都市公団他が開発する団地群が散見される状況である。

そんなロケーションに誕生したこの路線の意味するところは…開業当日の様子を速報する。


10/01(日)、昼下がりの東京駅。八重洲南口の高速バスのりばも一息ついた感じである。それでもつくばセンター行きや鹿島神宮行きなどがそこそこの乗客を乗せて出発してゆく。
きっぷ売場やのりばの柱には「吉川・松伏線 10/1開業」という文字が躍っている。その吉川・松伏線が発着しているのは3番のりば。すでに列が伸びているが同時発車のいわき行の列だった。
それにしてもここ数年で床に延びている整列乗車を促す行き先表示が多彩になってきた。元々東名ハイウエイバス用だったのが常磐道方面・東関道方面、果てはアクアライン方面までと関東各地域をネットする路線網が雑然と書かれた床からも見てとれる。ただしそれと引き換えにいかにも手狭になってきた感が強い。
日本橋口と乗降分離が図られて久しいが、時間調整をするクルマで双方溢れている状況に、どこかに新規に纏めたBT設置を、という声はないのだろうか。是非そのときには「非JR系」という事で割を食っているリムジンバスや銚子・鴨川線等も一緒になってもらいたいもの。そうえいばここの窓口には銚子線はここではない旨と同時に「波崎町役場行き終点から3キロほどです」との宣伝?も書かれていたのが印象的であった。

20分過ぎに4番のりばから鹿島神宮行きが20名以上の乗りで出発した後に、スーパーハイデッカー車がやって来た。正味1時間ちょいの路線にこんな車が…。いつのまにか列をなしていた「御同輩」の中から声が上がる。扉が開いて順次乗りこむ前に箱を持ったJRバス関東の事務方の方が現れて乗客に記念品ひとつずつを配り始めた。壁に引っ掛ける「チェーンクリップ」なるもので「松伏・吉川~東京 開業記念」と文字も刷られているシロモノであった。
事務方が4名出ていらっしゃって運転手と談笑。片耳で聞いているとこの車は貸切車を転用した様子、昨日まで改造工事をしていたとのこと。放送装置の調子が悪いとか、横に方向幕が無いのでサボを着けたほうが良いかななどという会話も聞かれた。それにしても奢った車である。トイレ完備、出るかは確認していないが給茶機もセットされており、テレビも前方と中程の2箇所にあるものだ。

そうこうしているうちに発車時間となった。総勢10名の乗客は(初乗り組が目立つものの)初日では多いか。遅れてついたいわき行き東武バスが外側を押さえたので自然と後追いのかたちとなる。後方にはつくばセンター行き関鉄バスが。図らずも常磐道方面へ3台が連なることとなった。
首都高は箱崎含め順調そのもの。前方に低速なトラックが1台入ったためにいわき行きは足早に前方へ消えて行く。こちらはトラックにしたがって「隅田川水辺ライン」というべき6号線を北へ向けしばし遊覧走行。前方2台に塞がれたかたちの関鉄つくばセンター行きはようやく小菅JCTで振り切るように脇を飛んでいった…。

小菅から先はしばらく高い塀に阻まれ、さしものスーパーハイデッカーでも周辺見物はできない。ようやく壁が取れたそこはすでに埼玉入りした八潮市の先。畑と建築機材置場がひしめく雑多な風景をしばし、外環道の雄大ともいうべき構造物が見えてくればもうすぐ常磐道である。
三郷料金所を抜けてしばし、江戸川を渡った先が流山IC。ここで降りると流山有料道路が直結していて余分料金を取られる旨随所に書かれているのだが、果たしてその有料道路、料金所を抜けた先に[起点]の文字があって、野田方面と流山方面を分ける分岐を超えると[終点]…。しかもその先松戸野田有料道路に自動的に入ってしばし、また別の料金所が…。周辺は完全に田んぼで「有料道路」は側道とつながって信号もある。このための有料道路かと思う運河大橋を抜けるとほど無くして左折、今度は再び玉葉橋で江戸川を渡る。渡りきった先で東京行きと離合。窓側が埋まった感じに見えた。
 それにしてもなんだか遠回りの感じもしなくはないが、この先吉川市内でも8の字型を描くような中途半端な経路となる。吉川市民交流センターおあしす前の高速バス専用駐車場を確認するも駐車はゼロ。吉川団地は名店街前の東武バスロータリーには入らずに離れたところにぽつんとポールが立っていた。吉川市役所入口で1名が下車。8の字の頂点である川藤交差点を十字に切ったあと北進してしばらく、吉川・松伏工業団地入口で1名、ふれあいセンターで2名、松伏役場前で1名が下車した。
松伏町内もぐるっとまわるかたち、戸建てが立ち並んだゆめみ野の中を走ってJA松伏で1名下車も、この停留所は乗車のみ扱いでこれは運転手の手違い。そしてJAの裏手に回る感じで松伏ターミナル終点となった。

単に乗務員控え室があるという感じで非常に中途半端な松伏ターミナル。それでも開業記念式典を行ったようで跡が残っていた。同時に松伏町内循環バスも誕生した由、独自塗装の小型車が走りまわっていたがこれとの連携も不明で、既存路線の東武・茨急との接点も稀薄そう…気になる。
なお、JA松伏までは北越谷駅の東武バスが入ってくるほか、松伏役場前では野田・岩井方面のバスとも乗換可能である。

ともあれ、東京駅から1時間圏内・1,000円を切る運賃設定の高速バスが誕生したのは事実である。今後どのような展開を見せてくるのであろうか…。


何が「衝撃」か…と思われた方もいらっしゃるかもしれない。常磐道~首都高6号線の半ば恒常的な渋滞を考えれば、一般道もそこそこ長いこの路線の成功を疑う向きもあろう。しかしながら、JRバス関東1社単独にもかかわらず、「吉川・松伏」というマイナーな地区に独自のターミナルを造り18往復を設定したという「事実」をどのように捉えるかで見方はガラッと変わってくるのではないだろうか。

両地域からの対都心日中需要として、約1時間ヘッドで路線を開設するほどあるかを見極めるのは難しい。ましてその逆は現状では考えにくいと言わざるを得ない。であるなら、この路線の存在意義としてはまずもって「通勤需要型」と捉えるのが妥当なところであろう。
通勤需要型高速バス路線は日本各地で見られるようになってきているが、極端な一極集中にある首都圏では首都高や都心部一般道の恒常的混雑から、まだ実例はさほど見られていない。しかしその潮流は確実に萌芽しつつあるのも事実で、自前の鉄道路線と競合する関東鉄道の茨城県南部路線やアクアライン経由の内房線地域が特筆できようか。しかしながらいずれも最短乗車時間が1時間を超える路線であり、100%通勤需要特化路線と云いきれるものではなかった。その意味で吉川・松伏線の路線設定は通勤特化型により近づいたものという事ができるのではないだろうか。

「競争相手」を見ると、東武伊勢崎線はさすがの複々線、主力の準急が頻発しているものの対都心で乗換が必要となり、いまなお混雑激しい北千住というボトルネックがある。
武蔵野線は京葉線経由で直通列車が設定されているが、確実な着席は保証されず、朝時は9本(吉川基準05:17~07:56発→東京06:09~08:53着)と意外と少ない気もする。また京葉線東京駅や武蔵野線乗換駅の不便さ(南浦和・新松戸・西船橋とも快速線停車なし)はすでに知られたところ、よって対都心直通性が弱い地域と言う事ができよう。

平日朝の通勤有効時間帯には4便が設定されている(松伏BT05:40~07:10発→上野駅07:00~08:50着)。平日のみ経由の上野駅まで最大100分・東京駅まで115分と見込んでいるようだが、ダイヤで他時間帯でもこのくらいで見ている事と実走からいっても若干甘めのような気も…。
しかし「乗り換えなしで必ず座れて予約なし」というコピーのように気軽である点は特に女性客にはウリになろうか…その意味では今後、乗車1時間足らずで気軽に都心まで出られるという「ウリ」で日中利用者新規開拓の可能性も十分あると考えられよう。

当然JRバス関東側としてもそのあたりのマーケティングは十分にしている、ということであろう。意外なのは最近の潮流であった「共同運行会社」を持たなかったことか。東武はバス部門で大幅リストラ中、帰りに利用した茨急も車内で路線図を見たものの結構な部分が修正インキで白く塗り潰されており、ともに体力がなかったということが挙げられようが、一方で高速バス路線開設で息を吹き返した会社も首都圏で目立ってきていることから、吉川・松伏線の動向次第では、高速道至近で鉄道空白地帯である首都圏近距離地域の路線展開が俄然熱くなるやも知れないと考えるのだが…。

その意味では、今回の路線設定に対して改善の余地も大きいと見る。ラウンドダイヤ化やこまめに見える様で遠回りの感の強いルート取り、パーク&ライドの状況もいまだ不透明なところがある気がする。逆に言えば流山IC経由で今後流山・野田市方面の路線展開も…と考えているかも知れず、JRバス関東の攻勢に今後目が離せないといったところだろうか。

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「高速バス吉川・松伏線開業の衝撃」を拝見して

投稿者---打越健太郎氏(2000/10/12 03:19)

先ほど、551planning様のレポート「高速バス吉川・松伏線開業の衝撃」を拝見致しました(註・551planning様はこのホームページに、優れたレポートをたくさん掲載していらっしゃいます。まだ御読みになっていない方には、是非、一読をお勧め致します)。

さて、これまで高速バスというと、特に関東では特急列車の守備範囲(ex.常磐高速バス水戸線)、または東京との直通列車が無い(ex.常磐高速バス常陸太田線)、若しくは鉄道自体が無い(ex.常磐高速バスつくば学園線)といった部分を守備範囲にしてきたということが指摘できるかと思います。しかし、この「吉川・松伏線」や、或いは「守谷・水海道線」など、それとは異質な路線が増えて参りました。これらの路線は比較的短距離、かつ早朝から運行する、という点が指摘できます。後者は明らかに通勤客を狙っているのでしょう。短距離とはいえ結構な時間、混雑する列車に揺られる苦痛を考えると、全員着席できるバスはかなりの人に好まれることでしょう。では、昼間の便は一体、誰を乗せているのか?
これはただの推量ですが、昼間家にいるのは主に主婦、とするとこれまでは鉄道利用、ないしはそもそも東京になど行っていなかった人をターゲットにしているのではないでしょうか。もしも「バスが走るようになったから東京に行こう」というお客さんがいるとすれば、バスによる新規需要の発掘ということになり、今後のバスの生き残りのヒントがここにあるように思われます。まあ、走り始めたばかりで、まだ成否を論ずるには早すぎますので、今後に注目したい所です。

ただ、懸念というか心配なのは、通勤利用が多いとすれば「定時性に欠ける」というバスの欠点が、この快適通勤のための試みを台無しにしないか、ということです。もしも高速道路や一般道で渋滞に巻き込まれるのであれば、通勤の足という公共性の見地から、是非ともバスの定時輸送を確保したい所です。具体的にはバスレーンですが、幾ら何でも何分かに1本しか走らないバスのために1車線を確保するのは無駄ですし、ドライバーの理解も得られないでしょう。この場合、前述の守谷・水海道線なども増強し、高速バスを通勤・通学に利用する、という方向に人々を誘導していく必要があるでしょうね。もしもバス会社が責任を持って全員着席、というサービスを確保できるのであれば、是非とも高速・一般道路に朝夕ラッシュは専用レーンを確保したい所ですね。

また、少々興味を引かれるのは、東京行きだから利用が見こめるのか、という点です。もしも観光バス並の快適な全員着席サービス、或いパーク&ライドなどが乗客を惹き付けるのであれば、これは衰退著しい中距離路線バスの復活も夢ではなくなってきます。例えば日立~水戸間などに中距離急行バス(リクライニングシート、トイレ付、主要停留所のみの停車だが、パーク&ライド用の駐車場を確保)を走らせたとして採算が取れるか、実に興味深いですね。

感無量

投稿者---さいたま市民@西浦和氏(2000/10/12 22:26)

こんどはこちらへ書かせていただきます。

吉川に僅かながら縁のあった者として、「おお、こんな世の中になったか。」と感無量です。
吉川市は、東京から20km圏(意外と近いでしょう?)の東武線と常磐線の中間に位置する地域です。現在でも、埼玉県の重要な農業地域です。武蔵野線が開通して本格的に住宅地化が進んだ地域ですね。公団住宅団地がいくつかあり、現在も拡大しているわけですね。
武蔵野線が出来る前には、越谷~吉川~戸ヶ崎(三郷市南部)~亀有~浅草などの中距離バス路線があったそうです。自家用車の数が少なかった時代には、中川の舟運を受け継いだこの路線は、地域の唯一の東京への交通路となっていたのです。現在では、ぶつ切りの路線になっていますが、需要も輸送量もそうは多くなかった時代、20km圏で数少ない純農村地帯と東京を結ぶ路線だったはずです。
現在、武蔵野線が充実して、京葉線まで乗り入れるようになり、この地域の通勤客を担当するようになったにもかかわらず、中距離バスを復活させた形になったのですね。
ただ、松伏町は埼玉県の江戸川沿いの地域で唯一鉄道が無い町ですが、「東京直結」の交通機関の要望・需要は無かったとはいえないでしょう。松伏町にも公団の住宅団地が建設され、確かに、北越谷・北千住乗り換えでの都心到達は、東京から見て「遠い」という印象を与えるかもしれません。どういう形であれ、「東京から**分」という広告が出来れば、都市計画の進展には役立つのでしょう。
吉川もそういう意味では同じかも知れません。南越谷(新松戸)・北千住乗り換えというネックを克服するためには、直通のイメージをつくることが開業の目的なのかなとも思えます。

東京東部や西部でも、高速を使った10km~20km圏をターゲットとした、このような都心直通バスを試す企業が登場するのでしょう。固定客をつかめれば近郊のバス会社には、バスの可能性を拡大する出来事の一つになるのでしょう。20km圏というのは、深夜バスを除いて中距離バスが撤退し続けていたわけですから、高速道路を使った「逆襲の姿勢」はおもしろいと思います。
私の埼玉でも、県南各市から東京のターミナルへのバス路線があった時代もあるのですから、長距離では当たり前のポイントトゥポイントの輸送を中距離路線が試すのも、時代の流れかも知れません。

ただ、バスは時間がかかるしわからない・・・、という意味では、成功へのリスクも高い。いっそ都心からの下りの旅客に絞って、ホームライナー的な利用を掘り起こすのもいいかも。出発地の地域での宣伝のしようだと思います。ただ、輸送力は期待できないですよね。

港北ニュータウンや関越道沿線などでもうまくいきそう。

乱筆ご容赦。。

「隙間産業的」と「基幹交通」としての可能性

投稿者---KAZ氏(2000/10/13 18:36)

ども。

高速バスの可能性については、大都市圏では「隙間産業的」な位置付けで、地方中枢・中核都市では「基幹交通」としての整備も可能だと思います。
実際に福岡では都心の天神から膨大な数のバスが出ていますからね・・・例えば小倉線では朝7時台には小倉駅発で15本も運転されており、各1台で運行したとしても600人運べます。各便3台の続行だとしたら1.800人、バイパスや都市高速道路も整備された現在では定時性も概ね確保されており通勤定期まで発行される程の恒常的利用があるようです。他でも大分線や熊本線・佐賀線などが日中15分毎、長距離の宮崎線でも30分毎に運行され、鉄道では難しい頻発運転で多くの利用者を捕まえています。宮崎線などは続行7台で運行なんてこともよく見かけ、1台30人乗車として1便当たりで210人も運んでいることになります。JR特急型で1両定員60人として見たら約4両分の輸送を行っているということになります。しかもバスの強みで都市内では割ときめ細かく停車し、高速道路上では高速走行することで速達性と利便性の両面の強みを発揮しています。

まあ、福岡の事例は極端だとしても、広島では県内各地への高速バスが急成長し、今までは大きな流動のなかった福山(どちらかと言うと岡山の文化圏)との結びつきが強くなるなど、思わぬ波及効果や潜在需要の掘り起こしに結びついたりしているようです。

大都市圏の場合は恒常化した鉄道の混雑回避策としての隙間産業的な発展が見込めそうですね。特に高齢者にとって乗換えなしで必ず座れる安心感は何者にも変え難いメリットでしょうから、通勤者ではなくそういった層が利用者の中心になってくるのではないでしょうか。やはり通勤時での道路は不確定要素が大きすぎて使えないでしょうしね。帰りにはライナー代わりの利用もありそうですがね。

パーク&高速バスライドは新潟や長野で事例がありますね。長野では松本市の松本インター付近に無料駐車場を作り、そこから長野行のバスに乗せるような方策を採っています。これは長野~松本線を設定した当初から行っており、通勤時の急行便(高速道路上の一部バス停を通過)設定など松本~長野間の通勤利用掘り起こしを行いました。これだけが原因ではないですが、松本から長野への通勤者は増えたようですし、松本インターの駐車場も満車の場合が多いようです。
長野の場合は高速道路がさほど混まないという事情がプラスに作用している(一般道区間はかなり混みますが・・・)ので、他の都市にそのまま持ち込むことはできないとは思いますが、高速道路の整備状態やそこから都心部までのアクセスに問題がなければ地方都市での通勤高速バスは設定可能だと思います。

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〔近距離高速バス〕「吉川・松伏線」その後…

投稿者---551planning(2000/11/11 03:51)

「開業の衝撃」と題して通勤需要型近距離高速バスの動向を見据えた動きと評したリポートをお送りしたJRバス関東・東京駅~吉川市・松伏町線。前々から試したかった「平日朝の吉松線」試乗にチャレンジしましたのでこちらで御報告をば。

11/10(金)、肌寒い朝06:00過ぎの吉川駅はそろそろ目覚めという感じ。丁度吉川団地からの東武バスが2台続行でやってきて、それぞれかなりの乗りでピストン輸送の感あり。当然ながら駅からの便はまだなく、乗客を吐き出したバスは回送幕を出してすぐに走り去っていった。

吉川団地までは徒歩15分強、歩けない距離ではない。自転車距離圏としては十分で、バス運行も団地内でこまめに利用者を拾う感じ。東武バス回転場のある吉川名店街はひっそり。三々五々通勤客が集まってくる状況で、団地はまだまだ夜明けを迎えたばかりだ。そこからちょっと離れた路上に目指す東京行きのポールが…ひっそりと立っていた。

待つことしばし、若干の早着でJRバス到着。乗り込んでしばし時間調整ののち06:39発車。団地内をぐるっと廻る途中、市民交流センターのバス利用者専用駐車場を見るも駐車はなし。バスは淡々と進んで行く。
渋滞もなく20分弱で流山IC、気になる案内板には小菅JCT~三郷JCTで渋滞の模様、首都高6号線も若干詰まっている由…案の定、三郷料金所までは流れていたものの、外環を分けて2車線になってからがのろのろ。FMの交通情報を聞くも、はや毎朝なじみの地名が…。

早起きのためうつらうつらしているうち、実際には渋滞に30分ほど揉まれたのちに堀切JCTを07:40頃に通過。流れている6号線を程なく、渋滞末尾を見据える向島ランプで高速を降り、ここから一般道へ。駒形橋から上野駅前へはスムーズに、定時2分延の07:52は立派?
ここで2名が降り、昭和通をしばし南下、終点東京駅日本橋口到着はほぼ定時の8時ちょい過ぎ。ここでの下車も2名…そう、「通勤最有効時間帯」便での実乗は4名でありました…。

 

当方期待とはかけ離れた結果はやはり寂しいもの。確かに定時で東京08:05は通勤時間帯としては早いものの、次発は30分後、やはり常磐道の信頼性が余計気になります。なお、当方以外3名は松伏方面から乗った模様で、通勤然というより出張、旅行風でした。
この時間吉川駅からは武蔵野線直通快速で東京駅まで1時間前後、「30分の早起き」で着席通勤&車中「爆睡」が可能なんですが、パッと起きて、時計を見て、周りを見たらまだ渋滞の中…としたらそっちの方が精神衛生上悪いでしょうかねぇ。高速ネックの首都高小菅JCT~堀切JCTで4線化工事もまもなく完成し若干の流量改善が見こまれる他、遠回りの感ある一般道ルート見直し、戦略的な定期券発売等やり方次第でどうなるか…と思うのですが、果たしてJRバス関東に次善の策はあるのでしょうや?

苦戦の理由を探る

投稿者---エル・アルコン氏(2000/11/16 19:13)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

松伏・吉川線は苦戦してるようですね。

通勤輸送を取り込むことは、キャパシティ面から言っても現実的ではないので、用務、買物客と、ライナー的利用というピンポイントを狙うしかないのですが、常総線守谷地区が大ヒット御礼になったのと比較すると、吉川、松伏の不振は変です。

時間、運賃のどれをとっても競合路線と遜色が無いのに利用されない理由を見出そうとすると、

  1. 宣伝が行き届いていない
    東武バスや茨急バスで駅に出て、東武やJRに乗り換える住民にとって、この路線の宣伝自体を目にする機会が無いのでは。
    守谷などでは共通運行の関鉄が路線バスの車内外で宣伝してますから、否が応でも目にしますし、京成のリムジンもそうですね。
    住民の目に触れさせるためには、沿線で新聞折り込み広告を打つとか、武蔵野線、常磐線や東武線、東武バス(これは受けてくれないかな)の車内で広告するといった施策を講じたかどうかです。
  2. 地域の流動とあっていない
    東京都心に出るニーズが無いという大胆な仮定も出来ますね。
    都心散策やデパートめぐりを前面に押し出す宣伝が必要です。

ベッドタウンゆえ、平日のお買い物は近場で終わってしまい、土休の利用に期待するしかないのかもしれません。

観光で売りこもうとしているの…?

投稿者---551planning(2000/11/16 23:36)

通勤輸送を取り込むことは、キャパシティ面から言っても現実的ではない

確かにそっくりそのまま転移されるとすぐに一杯いっぱいになってしまいますが、通勤対応がなされていないわけでもありません(有効時間帯に3便運行)ので、定期発行等の積極策をそろそろ…とも思うのですが、時期を見て、という事なんでしょうか。
よくルート切替までに定期券が切れる最大で6ヶ月を見ないと真の効果は分析できないともいわれますが…。

宣伝が行き届いていない・地域の流動とあっていない

先日JRバス関東の「お客様感謝デー」に参加しましたが、沿線各地の宣伝パンフが置かれていまして、松伏町のものもありました。その内容は…観光で売りこもうとしているの…?なお、広報11月号では「都心へのアクセスが容易になりました」と触れられていましたよ。
地元での浸透度はどうなんでしょうかねェ。感覚的に「東京駅に出てどうする」というのはあるかもしれません。現在常磐道高速バス路線が新宿駅発着(東京駅経由)に振替えられつつありますが、この流れがさらに波及するかどうか。

Re:観光で売りこもうとしているの…?

投稿者---エル・アルコン氏(2000/11/18 00:41)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

ちなみに、JTB時刻表では、高速バスのコーナーではなく関東ローカルのページに押し込められています...
 「吉川 筑波山 つくば 土浦付近…」って。

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吉川・松伏線の夜

投稿者---エル・アルコン氏(2000/11/30 01:08)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

どうも不振が伝えられる吉川・松伏線を再訪しました。

東京駅19時半の便に乗ったのですが、鹿島神宮や那珂経由サイクル機構、東水戸ひたちなかといった路線も10人台で、ただひとりつくばセンター線のみ長蛇の列。満席で時間前発車を続けても行列は短くなってません。
さて松伏行きの実乗は私を入れて14人、どうも試乗っぽい人があと1人いましたが、それ以外の12人中10人までがサラリーマンで、半数程度が回数券利用と、使っている人はリピーターという感じです。
駅係員が、「乗ってるね」と軽口を叩いており、運転手との会話から察するに、上りは1人だった由。あと、朝便も乗客は少ないようです。

***
宝町から入り、箱崎から両国、駒形から小菅までが渋滞。表示は「宝町→堀切 断続7km」でした。箱崎-両国で京成の高速バスとすれ違いましたが、どうも羽田行きのようで、西船か津田沼線の迂回でしょうか。
両国通過が19時44分、小菅が20時2分、三郷は20時10分と進み、流山ICを20時17分に降りました。玉葉橋を渡ったところですれ違った上りは乗客ゼロ。吉川のP&R駐車場はたったの1台とお寒い様子です。

吉川団地は14分遅れの20時33分着で3人が降車。私は市役所入口で下車しましたが、都合3人下車しました。 吉川団地からの路線があわさる法務局入口バス停から、北越谷駅始発の茨急バスで吉川に出ましたが、吉川団地・きよみ野と吉川駅・亀有駅との東武バスに加え、吉川団地と越谷駅の朝日バスまで入りにぎやかです。
ちなみに松伏でコミュニティーバスを営業するジャパンタローズの真っ赤なバスが営業状態で通り過ぎましたが、何か系統があるのでしょうか。

吉川駅で様子を見ると、吉川団地・きよみ野方面は立客のいる状態です。これを見ると高速バスにもう少し来ても不思議はないのにと思いながら改札に至ると、ちょうど新松戸方面からの電車が到着して、改札をくぐったのは30人程度でした。
南船橋行きに乗ったのですが、こっちの降車はうってかわって70人程度と多く、車内はそれでも立つ人が多いです。ひょっとして、東京との行き来は南浦和か武蔵浦和経由がメジャーで、新宿方面が多いのでしょうか。
また、浦和、大宮(さいたま新都心)への通勤比率も多いと仮定すると、東京駅直通はあまりアピールしないのかもしれません。

ちなみに、見た感じでは新三郷までは南浦和方面、三郷は新松戸方面からの流動が多いようで、三郷市内に「分水界」があるように見えました。また、新松戸で大半が入れ替わり、放射路線間の移動の多さがうかがえます。

 

この路線は観光や用務ではなく完全に沿線利用をターゲットにしてます。
ですから地元に知られないといけないのですが、東武が宣伝している様子もなく、JR時刻表の掲載も無くなり、目立たないことでは群を抜いています。

吉川ではきよみ野など住宅街を通りながら停留所が無く、もっとこまめに停まらないと駄目です。条件的には所要時間では互角、運賃では電車620円に駅からのバスが170円~と、高速バスの800円(回数券で666円)の方にやや分があるのにこの体たらくは解せません。

ただ、この街の流動が東京ではなく浦和や大宮を向いている可能性は否定できず、難しいところです。

なお、地元利用に特化せざるを得ない路線ですから、午前は東京行き、午後は松伏行きの片輸送に等しい利用実態にならざるを得ないのも辛いところでしょうね。

吉松の特性つくばの特性

投稿者---矢切氏(2000/11/30 10:08)
http://www3.ocn.ne.jp/~skylark7/

使ってもらえない理由のひとつは、東京駅発着だからでしょう。東京でなく新宿や上野にしても同じことですが、バスの終点以外の目的地に行くには、また電車に乗らなければいけません。一方、武蔵野線利用なら南浦和などから目的地に直行する電車に乗りかえられます。

一方のつくばセンター線(片道1250円?)は、いつもよく乗っていますね。なぜでしょう。ある程度の人口がありながら鉄道駅から遠いつくばの特性か(しかも最寄りの鉄道が便利とは言い難い常磐線)、つくばのバスセンター側の駐車場利用P&Rが可能なためか、それとも毎時5本程度走る高頻度が客を呼んでいるのか、都心との結びつきの強い都市としての性格(各研究所~東京方面各施設間の移動)なのか。

Re:吉松の特性つくばの特性

投稿者---エル・アルコン氏(2000/12/01 18:43)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

つくばセンター線はともかく、水海道・岩井・守谷線とのコントラストが不思議です。近郊住宅地である守谷の需要に下支えされて伸びている線ですから、吉川も同じ条件なのですが。
もちろん、鉄道利用でも常磐線もしくは千代田線にならざるを得ないという点では、山手線内のたいていの駅へ乗り換えを要するため、東京駅もしくは上野駅発着の高速バスと条件が一緒という点が、武蔵浦和経由で山手線西部へ直通できる鉄道を持つ吉川との違いでしょうか。

とはいえ、1個列車あたりの降車客を考えると、バス1便の利用者が誤差のようなものに留まっているのは理解に苦しみますし、吉川からの都心通勤者がよほど西部に変位していない限り、丸の内や大手町からの利用が1便あたり数人レベルに留まることは本来ありえないはずです。

ただ、吉川における武蔵野線からの降車のコントラストから察するに、東京のベッドタウンというより、埼玉のベッドタウンという側面が強い可能性は捨てきれません。
もちろん、新松戸乗り換えは近いが乗り換えが多く、京葉東京は直通が少ない点を考えれば、いきおい南浦和乗り換えにならざるを得ない点があるため、ああいった流動となって現れるのかもしれませんが。

都心直行の夢

投稿者---さいたま市民@西浦和氏(2000/12/01 23:12)

こんばんわ。

吉川に僅かながら縁のあった者として・・・。
松伏にとっては、都心直行は夢だったのでしょうね。
吉川から東京へ行くのには、いくつかの方法がありますが、電車ですと、武蔵野線舞浜経由で直行、新松戸から千代田線、南越谷から東武線・北千住から地下鉄各線、南浦和から京浜東北線、武蔵浦和から埼京線で池袋・新宿・渋谷といったコースがあります。
どこへ向かうにも武蔵野線は必須なのですが、吉川から武蔵浦和までは19分、武蔵浦和から通勤快速で新宿までは25分。どうでしょう?新越谷から北千住までは準急で18分。北千住から日比谷線で秋葉原までは15分。千代田線で大手町までは17分。どの時間帯でも電車はこの所要時間ですね。
確実に速い電車からどうすれば、バスに乗る人が出てくるのでしょう?

時刻表を調べてみたら、ラッシュ時のバスは、吉川~東京駅まで2時間1分!!!比較的道路が空いていそうな夜の上りでも71分のダイヤですね。下りはダイヤより早いのでしょうが。
う~ん。

どうせ、お客がいないのなら、関宿か境、宝珠花・南桜井・川間あたりからお客を集めながら運行すればいいのではないでしょうかね。茨城急行バスや朝日自動車と提携しなければならないですね。

吉川については、ちょっとよくわからないですが、松伏から直通できるのは価値があると思います。きっと喜んでいることでしょうね。

乱筆ご容赦。

着席性はさらにアピールするはず

投稿者---エル・アルコン氏(2000/12/02 13:43)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

●所要2時間1分

おそらくJTB時刻表をご覧になっていると思いますが、手元のJRバス関東のパンフによりますと、その吉川(市民交流センターオアシス前)7時4分発のバスは、所定で上野駅に8時20分、東京駅に8時35分に着きます。
東京駅9時5分着というのはパンフでは次の行の吉川7時34分発の便であり、単純な転記ミスと思われます。

ちなみに、先日気付いたのですが、JTB時刻表は小湊鉄道の時刻も間違っており、休日、五井から上総中野に入る最初の列車は9時20分発になってますが、7時25分にあるのです(休日運休の7時11分発養老渓谷行きだけ掲載されてますが、これが休日は延長・時刻変更されるかたち)。
また、土浦-江戸崎-佐原のJRバス霞ケ浦線の常陸幸田-佐原間が10月に廃止、東町営バスに代行になっているのもそのままです。

●時間的な比較

確かに朝は時間が読めません。実は向島でしたら案外と速く着くのですが、いったん事故やなにかでドツボにはまると逃げられない上に時間も掛かります。

ただ、夜のライナー的な利用(回数券で666円で済む)は、団地まで49分という所要で、試乗時のように向島線がほぼ全線渋滞でも1時間ちょっとで済みますし、乗り換え無しですからもう少し伸びても良いはずです。

駅からのバス利用を考えれば、バス乗車時間にバス待ちの時間もありますから、15分程度のアドバンテージはすぐに逆転します。ですから、目の前を通りながら停まらないきよみ野など、もったいないオバケが出そうな運行にも不振の原因があると思うのです。

***
乗り換え無しというのは大きく、着席というのはさらにアピールするはずです。
前に住んでいた習志野台の場合、新京成で新津田沼から北習志野まで6分、140円というのに、歩いて10~15分のエリアだと津田沼から来るバスに乗る人も多かったです。
新津田沼の4分の徒歩連絡が嫌われている証左ですが、電車の定期を持ってても所要20~30分で220~270円を別払いして電車より本数が少ないバスに乗る人が結構いるだけに、吉川の不振は解せないのです。

帰宅ライナーとしてしか…

投稿者---矢切氏(2000/12/14 00:33)
http://www3.ocn.ne.jp/~skylark7/

(本日また(!)東京駅を通る機会があり、たまたま見たのですが、)東京駅13:30発吉川松伏線の乗客はゼロでした。
(551planningさんやエル・アルコンさんとした話ではありますが)この路線は夜のみ帰宅ライナーとして運行するのが適当なのかもしれません。

そういえば、数年(?)前にたくさんできた、終電後の都心発深夜ホームライナー的バスの現状はどうなのでしょうか。


詳細情報は【検証:】Wiki-JRバス関東“三吉松線”盛衰録にて
ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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