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都市圏近距離直行バス

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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

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新宿-TDL線に見る“都市圏近距離高速バス路線”の可能性

最近首都圏における昼行高速バスの路線新設が相次いでいる。
当リポートで御紹介している羽田空港アクセス路線はもちろん、好調を維持するアクアラインルートや東関東・常磐道ルートの目的地のバラエティ化、日本中央バス主体の高崎・前橋・太田線、新宿を核としたJRバス関東の対南東北路線や会員制バスによる高遠・那須方面への探りなど、需給調整規程撤廃による新規参入の可能性が刻々と近づいている中で、既存業者としては収益確保が容易な高速バス路線において、「ある程度の利用価値路線の確保」に躍起となっているとも言えそうな状況にある。

そんな中、京成とJRバス関東による新宿駅新南口-TDL線が04/20に開業した。
都心からの対TDL路線はかつて東京駅・上野駅線(JRバス関東・京成電鉄共同路線)があり、一時は都心からのメインルートとしてドル箱路線でもあったが、1990/03のJR京葉線東京開業後利用者が激減、ダブルデッカー投入など梃入れを行なったものの消滅してから久しく、JRバス関東にとって感慨も…?
ともあれ、やりようによっては、今後の都心部対近郊地域直行路線というニッチ市場開拓の鍵となると考えられるこの路線の開業3日目の状況をお送りしよう。


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取材日は04/22、土曜日。GW、給料日前の週末ながらさすが新宿は何時来ても混み続けている。
かくいう当方、タカシマヤタイムズスクエアへは何度も行ったことがあるが、その通り道である新宿駅新南口1階のバスターミナルを訪れたのは初めてである。新宿駅=高速バスといえばなんと言っても西口のヨドバシカメラ本店前、中央高速BTということになろうが、「ニュードリーム」の出発地、最近は常磐・南東北方面路線の拠点としても、この新南口BTの比重は高まりつつある。蛇足ではあるが新宿には高速バス発着場がこの他2箇所、京王百貨店脇のリムジンバス乗場と、小田急ハルク前の箱根行乗場があるので、御利用の際は御注意の程…。

この時間から夕方の出発ラッシュにさしかかり、16:00ちょうどの福島・会津若松行(同時発車)、:40のTDL行、:45の常陸太田行、17:00ちょうどの高遠・長谷行(会員制)、:10のTDL行、:25の那珂東海行、:30の仙台行と続いていく。乗客もそこそこ集まっており、果たしてTDL行きはどのくらいの利用率になるものかと思っていた。
ところで、この新宿駅新南口BTだが、「待合室」というものが無い!きっぷ売場と事務所の建物の裏の発着場に申し訳程度に椅子が置いてある程度で、初夏を思わせる陽気には良いが冬だと待つにはつらそう。事務所の建物は狭い上にコインロッカーや飲み物の自動販売機が置かれていて、乗場へはほとんど通路然としたところを歩かされる。もう少しスマートにならないものだろうか。

この時間を選んだのは、TDLで折り返し便の利用状況も見られることもあったが、この路線設定において考えられるであろう、ちょうど土曜の午後ならば夜のTDLを楽しむカップルなどの利用があるのではないか…ということもあった。
果たして、出発10分前に扉が開いた京成バスに乗り込んだのは、なんと当方1人!待ち人には数組のカップルも見受けられたのだが、横付けされた常陸太田行茨城交通便に一応に乗りこんで行った…総勢20名以上はいたろうか。まだ待合コーナーには10名以上の人が残っており、高遠行きか那珂東海行きか…。
結局、発車直前に男性が1人乗り込んだもののそこまで、見送りのJRバス関東社員も『2名か…』と首を傾げていたが、運転手がメモ書きしているのを見たところ、それまでの便も2~5名の利用にとどまっている由…開業3日目、告知もまだほとんどというところを差し引いても、寂しい出発となってしまった。

さあ新宿からのルート取りはどのように…と思っていたのだが、何の事は無い新宿ランプ~都心環状線内回り~レインボーブリッジ~湾岸線というコース。有明JCTまでは先の多摩センター―羽田空港線と同ルートである。
しかし、新宿ランプまでが曲者。当然甲州街道を進むことになるのだが、思いっきり渋滞にはまり、結局新宿脱出に15分を要することに。しかも情報板には「霞ヶ関5ロ渋滞」の文字が…すかさず運転手も放送を入れてくれたが、乗車2名はすぐ後ろ、何もマイクを使わなくても聞こえますよ…。
断続的にのろのろの中、赤坂付近でJRバス関東車と対向。向うの乗りも…目測10名を切る状況。チラッとミッキー型の風船が見受けられたが…。なお、こうした子供の利用を見越してか、中距離路線ながらトイレつき車両での運行となっているのが目を引く(したがって電話もついている)。また片道600円ながら往復割引(1000円)も設定されている。

三宅坂から流れたものの浜崎橋手前で再びのろのろ。日時が違うので一概には言えないものの、この前の多摩センター便と30分ほどの差でこうも変わってしまうことに気をつけたい。ここ昨今の新規路線ブームの裏には首都高整備進展と不況による利用率の低下=渋滞の緩和があろうが、十分余裕時分を持って運行設定に心がけて欲しいものである。
レインボーブリッジを越えて湾岸線に入るといたってスムーズ。葛西ランプからR357に入るが、渋滞のネックになっていた環七との交差点も先ごろできた舞浜大橋直結のオーバーパスに乗って、最初とは見違える走りでTDLへ。なお、建設が決定している首都高ランプの工事はまだのよう。

蓋を開けてみると予告通り1時間での到着、様子見の京成社員の出迎えを受けつつ、夕暮れのTDLに到着した。舞浜駅からのアプローチは帰りの親子連れとこれから行くカップルやグループでごった返しており、中には新宿方面から来た人もいるだろうに…。驚くべきはひっきりなしに着くホテル群循環バスの利用状況がかなりのもので、さすが不況を感じさせない夢の国である。
sdb そんなバスターミナルの一角で18:10発の新宿行きを待つ人は…10分前で1名!京成社員がアンケートを実施しており、停車中の車にも「新宿行」という張り紙をするなど宣伝に努めていたが、少なくともTDLから帰る途中では新宿行きがあるという事は分からなさそうであった。

なお、舞浜リゾートラインの建設は順調のようで,軌道はほぼ完成、現在各駅の建設が進展しているようである。舞浜駅前には商業施設イクスピアリの建設も佳境で、モノレール駅もそこに取りこまれているカタチだ。という事は、舞浜駅からはチョッと離れているということになる。ペデストリアンデッキができているとはいえ庇は設置されなさそうで、TDLの正門やバスターミナルと至近の駅も離れており、利便性を考えると…。気になったのでおまけで書いておこう。


冒頭で「今後の都心部対近郊地域直行路線というニッチ市場開拓の鍵となると考えられる」とし、実際そこそこの利用を見込んでいただけに、率直に言って拍子抜けの感が否めなかった。
GWへ向けて関係者にはともかく宣伝に努めて欲しいところであるが、中長期的に見ても改善の余地はあろうかと見うけられた。以下に書き出してみる。

■運賃箱をバスカード対応とすること

これは空港バス路線でも何度も指摘していることだが、現状が新宿発は窓口発売、TDL発が現金支払いとしているが、バスカードが普及している東京西部の利用者をターゲットとしている路線だけにその思いは強くなるのだが…。

■新宿乗降ポイントの再検討

幹事会社がどちらか分からないが、JRバス関東が絡んでいるので新宿駅新南口発着は致し方ないかもしれないが、新宿ランプに至るまでにそこそこの時間を取られてしまいがちである。これが西口発であれば…。
また、小田急や京王利用者はともかく中央線利用者も新南口へ行くのは一苦労であることは周知のとおりで、それこそ東京西部の利用者がターゲットであるならより柔軟な対応が望ましいのではないか。簡単に言えば新南口発着はそのままとしても、新宿駅西口の経由を検討すべきと考える。中央高速BTをも利用するJRバス関東が絡んでいるので難しくはないと思うのだが…。

■新浦安延長は…?

この路線に期待するのは、単なる観光アクセス路線としてだけでなく、一般利用の可能性である。
新宿から京葉線沿線に至るのは結構不便だ。「1回乗換」としても、「遠京駅」と揶揄される京葉線ホームから中央線高架ホームに至るのに小走りでもゆうに5分以上はかかる。よって感覚的には舞浜から新宿まで1時間はかかると思われる。
そのような点を見越しての設定ならば、一般需要を掴むことも可能ではないのだろうか。新浦安-新宿間はJR利用で450円(舞浜からは380円)。あれだけの住宅後背地を抱えていることを考えれば潜在需要はいかほどであるか…。湾岸浦安ランプも使えることになるので、検討の余地ありと考える。

 

先の「お台場快速バス」もそうであったが、ある程度の定時運行を信頼し得る路線設定が可能ならば、今後このような中距離バス路線が脚光を浴びる日も近いと思われる。
現状では空港やプレイスポットと都心部を結ぶ路線が主体となっているが、パークアンドライドとの絡みや鉄道不便地帯への通勤ルート開拓次第によっては新たな市場創造も夢ではないと考えているだけに、この路線の今後を注意深く見守って行きたいと考えている。

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TDLリポートを読んで

投稿者---てら氏(2000/04/25 00:03)

お久しぶりです。某MLから飛んできました。JRバスもいつのまにか新宿からTDLへの路線を作っていたとは…。

私は福島行きのバスに乗るために新南口のバスターミナルを使いますが、はじめて行ったときはちょっと迷いましたし、待合室(ベンチ?)の狭さも驚きました。スペース自体は広いので夜行バスの発車ラッシュ時でもあぶれることはありませんでしたが…。

ところでこの記事を読んだとき、現在走っている東北道や常磐道バスなど長距離バスのTDL乗り入れのための布石か?とも思いましたが、どう考えてもそれは時間がかかりすぎますね…。
 #ルートは違うがTDL~いわき線の失敗例もあり…。

ありがとうございます

投稿者---551planning(2000/05/02 23:29)

返信が遅くなり恐縮デス。

新宿駅から東陽町地先のJRバス関東車庫までの回送便を生かした運用ともいわれておりますが、だったら組んだ京成は…。という感じでしょうか。支店は違えどもJRバス関東は新宿西口中央高速バスターミナルにも乗り入れているのであれば、京王などと組んだカタチで更なる速達化に務めて欲しいものです。

TDL~いわき線、ありましたね。相棒?の日立~成田空港~海浜幕張線は増強されていますし、やりようによっては流動も確保できようとは思うのですが、なかなか難しいのいでしょう。
2路線の1本化というのもなかなか現行の許認可成果においては難しいらしく、アクア線の富津公園線直通も地元自治体等からの強い要請のもとで可能になっている、という話を運行会社の方から聞いたこともあります。

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●ニッチ市場の難しさ…(2005/06)

今後の発展を期待していた新宿-TDL間中距離高速バスでしたが、その後も低迷が続き、ほぼ1年後の2001/05/07から7往復に大減便され、新宿朝発・TDL夕方以降発のスタイルに。2001/09のTDRオープン後も本数を維持していることは需要を掴んだとも云えましょうが、当方想定の浦安市民の新宿ショッピングアクセス…という形態が出来なかったことは残念です。

一方で、タイトルの中距離高速バスの可能性ですが、この半年後の2000/10/01にJRバス関東が東京-吉川・松伏線、2001/07/11には東京-江戸川台線を開業、東急バスが2001/12/16に新横浜-溝の口線を、更に2002/08/01には京急(当時)が横浜-お台場線、また2002/10/29には京急と京成(当時)が横浜-幕張新都心線を開業(従前幕張メッセイベント時に臨時運行していたものを定期化)と続いたことから、【検証:】でも折に触れ取り上げてきたわけですが、2005/04に吉川・松伏線が事実上廃止、2005/06に横浜-幕張線を廃止(イベント時臨時運行に戻す)するなど縮小傾向にあることはこのニッチ市場の難しさを伺わせます。その一方で2004/10/16には川崎-TDR線(京浜急行バス)、04/12/01にはたまプラーザ-TDR線(京成バス・東急バス)が相次いで開業するなど、得意な行楽地輸送のニーズの強さも感じられるところです。


■その後の後の記(2011/04)

その後、新宿TDR線は7往復のまま。免許維持路線というわけでもないのでしょうし、数度の実見ではそこそこ乗っていることもあり、らくらく帰宅の“穴路線”としてニッチ的な認知度を得ているのかもしれません。
ところで、2005年時点でも触れていたTDR発着の対首都圏高速バス路線昼行便ですが、着実に増えているというよりは増減を繰り返している印象。その中で2009/03のマイタウン・ダイレクトバス新浦安系統の誕生は、当方にとって「ついにキタか!」という路線展開でしたが、結果論として“相乗効果”が出ているとは言い難い状況の様子…東京駅ゆえとも思ったりもしますが、都市圏近距離高速バスの難しさを感じさせます。

 

最新情報は【検証:】Wiki-TDRアクセス高速バス路線の展開状況にて
ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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