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【検証:近未来交通地図】<にっぽん高速バスターミナル探訪>
(現地リポート編 No.001)
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第1回 君津バスターミナル(千葉県) (2003/05/23 00:27:01)

 先日「さぬきびサミット」なるオフ会の途上、複数のバスターミナル(BT)を見学いたしまして、後日まとめて発表を…と思っていたのですが、本職多忙のためすっかり御無沙汰してしまいました。ある種戒めをもって?ちょぼちょぼと機会があれば書き綴っていくようにとの思いを込めたタイトルです。御笑覧の程。

 で、折角なので最新情報、というわけでもないのですが、行きたてな所から発車オーライ、というわけで、栄えある第1回目はこの4/1にオープンしました千葉・君津BTへ行って参りましたのでその後報告をば。

君津バスターミナル君津バスターミナル君津バスターミナル

 君津BTは、館山道君津IC延伸開通に合わせ建設が進められていたもので、IC開業に先立ち4/1にオープンしました。JR君津駅からは5kmほど東、R127から県道92号「房総スカイライン」をちょっと入ったところ、ICからは500mほど西に位置し、県道を挟んで南側には君津市民文化ホールがあります。隣接する自家用車無料駐車場の収容台数は400台でまさしく一大P&R拠点といえましょう。
 乗り入れる路線は高速2路線(東京線 日東交通・京成電鉄 12往復 羽田空港線 日東・京浜急行電鉄 16往復)、一般1路線(君津−小糸中島線(日東))。始発は羽田空港行の5:20(君津製鐵所5:00発)、終着は羽田空港(22:35発)からの23:15着となっています。

 昼下がり、東京駅八重洲口前バス停13:40発の日東便には17名が乗車。浜松町からは回送だったようですが、この曜日・時間帯でこの乗りはちょっとオドロキでした。と、こちらの出発前に脇をすり抜ける13:30八重洲南口高速BT発車便はつくば、いわき便の7割以上の乗りを筆頭に、かの「三吉松線」も20名近い乗り!三郷効果が出ているのかどうなのか…。
 いつものように「ザ・東京」といわんばかりのベイエリアのパノラマを楽しみつつ、大井では新幹線越しに東京貨タの「スーパーレールカーゴ」らしき青の車両を横目にして、20分でアクアラインへ。天気はさほどでしたが海ほたるも満車傾向のようです。
 高速金田で降車ゼロ。そのまま下道を進みR16に入って、桜井の交差点手前で警察の1車線規制に遭いしばし渋滞…この日は第54回全国植樹祭が天皇皇后両陛下臨席の下かずさアカデミアパークで挙行され、その後両陛下が木更津市役所へ行幸啓されたとあっての措置。知ってで行ったとはいえ、あまり大々的な規制に巻き込まれなかった分助かりました。
 警察官や「千葉県」の青い腕章を巻いた職員、見物人が集まり始めた潮見交差点を左折して、その先の畑沢で3名が下車、君津製鐵所で4名、君津駅で2名が降車し、結果若干の早着となった終点・君津BTでは残りの8名が降り、三々五々クルマで消えて行かれました。

 さてやってきました君津BTですが、以前の終点であった君津市民文化ホールの北隣、周囲は北と西が丘で、東側は開けているものの特段の建物はなく、緩やかなカーブを描いて君津ICに続いていくというところでしょうか。通り沿いに駐車スペースが占められ、のりばは多少奥まったところ、庇の下に3レーンが連なっています。1番のりばが東京行、以下羽田行き、路線バスと続きます。
 ちょいと離れてトイレ併設の待合所もあります。出来立てでピカピカしていますが、一応案内所らしき受付スペースには「回数券は市民ホール内喫茶店にて」と書かれており、どうやら日中は駐車場巡回員の立ち寄りスペース程度のよう。50客ほどある待合所ないも人っ子一人おらずさびしい限り。
 目の前といっても回数券売り場である市民ホール喫茶店へは回りこむ形となるため5分ほど歩く計算に。当方はその先、市道沿いのコンビニでしばしブレイク。

 再びバスターミナルへ戻り、3路線様態を見て過ごすも、数人の乗客を乗せた一般路線は空振り、始発の東京行は乗車ゼロ、羽田からの京急車は25人ほどの乗りで15人ほどが下車、すぐにクルマへと向かわれました…そしてまた静寂。
 そんなこんなの1時間がすぎてようやくやって来た?羽田行日東車に乗車。直前にクルマで送られてきた男性との2名乗車、既に車内には12名が乗車していて、ビジネスライクでもない雑多な構成ながらこの時間での乗りとしては多いといえましょう。
 ちなみにのりばの掲出には「5/20始発便より君津IC経由に」とありまして、この日はまだR127から木更津南IC経由でございました。
 なおこの乗ったクルマ、天井まで青の絨毯が施されており、海中かのようなデザイン。どこぞのトンネル内で発行する電車、という仕掛けに似た感覚です。座席にも魚の群れと Well come to Aqua Line との文字が書かれておりました。

君津バスターミナル君津バスターミナル君津バスターミナル

 2000年夏に東京線が開業、2002年夏には羽田線が開業し、対東京が2ルートで結ばれた君津地区。当方も東京線開業の際にレポートしていますが、当時からBT開設が予定されており、市民ホールは暫定のP&R拠点という存在だったのですが、まさかその北隣とは思いませんでした。全然違う場所かと思っていたのですが、なぜなら、市民ホール前にも無料駐車場スペースは大きかったためであり、わざわざ隣に新設するほどではないと思えたからです。

東京湾アクアラインバス値下げと東京―君津線開業 ../../gallery/report/011.html

 ただ400台の駐車スペース新設という意味では、3年間での浸透およびこの先の期待の現れの数字でもあり、事実ホールの既存スペースでのやりくりには荷が重くもあります。さらにはBT内に掲げられた「貴重品は車内に置かないで下さい」「車上荒らしに注意 必ず施錠確認を」という看板が、そのままホール内であった場合の責任関係との「差」を示しているように感じられました。
 ともあれ、基本無人であることに一抹の不安は感じるところ。であるならばコンビニと一体型の待合所なんてのでも良かったのかなぁと。

 「差」といえば、東京線と羽田線のルートの違いも気になります。先輩東京線は高速金田および木更津市南部需要の確保ゆえにBT起終着、羽田線は速達重視ゆえか高速からBTに直行して終点が君津製鐵所なんですが、やはり東京線は下道が長いせいか緩慢な気もしなくはなく、その結果が両線の便数差に出ているのかな、という気もしています。ただし現に見たとおり、流動の多くないであろう時間帯にあって木更津南部の停留所で降車がある以上は「必要性あり」ともしなければなりません…これを踏まえた展論はまた別項と致しましょうか。

 君津市にとっては君津駅に次ぐ「交通拠点」の誕生、ぜひとも上手に育てて欲しいものです。ただどうしても地元主体の「乗継BT」的性格が強くなりそうな気がします。ビジネスや観光的性格はどうでしょうか…。この先真価が問われます

(1-2)木更津駅東口の高速バス待合施設を見に行く(千葉県) (2004/02/23 22:29:22)

 先日、「木更津駅前に高速バス待合所が完成」とのニュースを見かけたことから、これ幸いと見学に行ってきました。実は昨年大増発された京成・日東系統の木更津・君津路線も未乗だったので、まずはそちらから…。

高速バス待合所、開業 木更津駅前にあす(東京02/18)http://www.tokyo-np.co.jp/…

 京葉線で潮見駅へ。昨年9月、銀座の小学校へ“越境通学”で電車通学をしていた女子児童が、帰宅途中に何らかの原因でホームから線路に降り、這い上がろうとしていたところを通過列車に轢かれて亡くなる痛ましい事故が発生、「新大久保事故」と比して喧伝するマスコミもあり御記憶の方も多いと思いますが、当方が訪れたのは土曜の10時過ぎという中途半端な時間ではあるものの、ホームは発着が済むとひっそりと静まり返っていました。久々訪れたこともあって、かつての倉庫・工場街の間の空き地に高層マンションが入り乱れて立ち並ぶ姿になった周辺の変わりように驚きましたが、居住都心回帰の傾向とその波を読み切れなかった江東区の都市政策の「失敗」を象徴しているかのようです。駅前にはスーパーもあるものの人通りは少なく、停車電車よりも通過列車の方が多いであろう状況でホーム監視体制を云々するのも悩ましいところ、事故も監視モニターから外れたところで起こったということで、まさに都心近くにぽっかりと口を開けた隙間で起こったかのような象徴的な事故とも云えそうです…合掌。

潮見車庫
潮見車庫

 さて高速バスは、駅前ロータリーとは反対側の東側出口から程近い、「潮見車庫」を発着点とします。4〜5台が停められるといったほどの場所に、奥にプレハブ2階建ての泊もできそうな乗務員用休憩施設と、別個に道路側手前に待合所?でもなさそうと思いますがプレハブの平屋建てが出来たてであり、京成バスが2台待機中でした…と、1台が「木更津・君津」行のLEDを表示して降りてきた運転手が手招き。乗車後に横目で見た行路表では1時間ほどの待機のようで、そのまま車内で控えていたようです。乗務員施設のほうもカーテンで閉じられていて日常的に使われている感じはあまりなかったですね。

 当然というかなんというか、10:20に当方貸切にて発車、枝川から越中島、中央大橋を経て八重洲通りを進んで東京駅八重洲口前へ。それにしても何故潮見車庫出入庫が営業扱いにされたのでしょうか?それなら深川車庫のJRバス便も東陽町辺りで…それはさておき、この間は渋滞見当でか昼間時30分で見られており余裕たっぷりの到着、後方の路駐車両のせいもありますが、切り回して乗り場に近づけるという運転手の腕が冴える小技も見られたのでした。
 さて、八重洲口ドコモショップ前からはアクアライン系統が集約されており、ここで列をなしていた10名が乗車。スーツケースを持った母娘連れなど女性が多いかなと感じましたが、年齢層は幅広かったです。別に列の後ろにいた御婦人2名が運転手に聞いた『たけゆらの里に行きますか?』とは後の発車となる安房小湊行ですね。運転手より『君津バスターミナルへは行きません』と注告も入り、躊躇った女性客もいましたが次の便まで30分以上あることからそのまま乗車、聞きようには行き先が同じ(君津製鐵所/君津駅南口、製鐵所行も「木更津・君津」と標記)とあって、確かに分かりづらいところはあります。それにしても停留所周りにはいつの間にか簡単ながら列を示すポールも立てられるなど、時間によって混雑ありを伺わせる対処が行われていましたね。

 ふと横を見るとホワイトベースの大きなクルマが通り過ぎました…を!先日デビューの関鉄メガライナーです。発車時間まで5分以上あったことから、運転手に断りダッシュで外堀通りを渡って数枚パチリ。パッと見にすぎないながらも、うーん、色合いからして外装のメンテが大変そう…ただそれからして、関鉄のメガライナーに対する意気込みが伺えるというものです。

 
東京駅

 バスに戻って時間となり10:50発車、京橋ランプから首都高に入り、すぐの浜崎橋JCT手前で1車線に絞られる羽田線方面が多少つかえるも、その後はスムーズ。レインボーブリッジで視界が開けますが、春のポカポカ陽気で視界は霞みがち…これではアクアラインもあまり期待できなさそう…急ピッチで建設が進む羽田空港東ターミナルを横目にすれば吸い込まれるようにトンネルの連続。通い慣れた?とはいえ久々のアクアライントンネルは交通量も落ち着きながらも確実に増えている感じを受けました。

 思ったとおりのどんより模様の海中散歩の後、木更津金田を下りて高速金田を通過。後程状況について纏めますが、アクア連絡道下の高速バス用駐車スペースも通常区画がほぼ満車の状況、ちょうど向かいの停留所で乗車扱い中の日東車にも列が出来ていました。
 ここから車はR409を進んで袖ヶ浦ICの交差点からR16とアクアライン高速バスルートの王道を突き進み?、長須賀で一旦横の県道に入って久留里線の踏切を越えてから右折、ここで丁度日東便と離合しましたが窓側は結構埋まっていました。ジャスコ横から木更津駅北側の陸橋でJR線を跨いでからなおも西進してどんと木更津港まで突き抜け、ぐるっと廻る形で商店街の寂れ具合が木更津凋落の象徴ともされる富士見通りを東に進んで木更津駅西口ロータリーへ。陸橋を越した後の道が左折禁止であったり細かったりすることもあるのですが、なんだか遠回り感が強いです。ここで7名が下車。

金田駐車場久留里線踏切日東車と離合

君津製鐵所

 富士見通りを戻って、市役所や県君津支庁合同庁舎などが立ち並ぶ行政ゾーンを南下、潮見交差点からは開業時ルートへ。結局途中の停留所では降車なしのままで君津製鐵所に到着、当方含め残る4名が降車し、母娘連れは車中で連絡をしていた父親の迎えに車で立ち去り、もうひとりの女性も携帯片手にどこかへ連絡していました。

 君津製鐵所は当然不休稼動とは思いますが、土曜の昼下がりということでひっそりとしていました。バス発着所横のサービスセンタービルに入る郵便局や銀行、売店もお休み。すぐ先が構内ということで立ち入るわけにも行かず、30分間隔で走る市内連絡バスも出たばかりで、京成車もすぐに回送で立ち去ってしまいました…。
 場所自体はオープンスペースでしたが雰囲気的に長居する場所でもなく(当方はそのまま正門から出て先ほど来た県道沿いに進み、日東交通の木更津−富津公園線で木更津へと戻りました)、環境的にも目の前に従業員用駐車場がたんまりあることからしてP&Rも容易そうながら、君津BTの存在を考えれば実現可能性は低そうですが、本数自体はこちらのほうが多いだけに、地の利からして商業等の施設と絡めた何らかの拠点性を持ってもいいかなとは思いました。まぁ出来るかどうかは新日鉄次第?

 先述の通り路線バスでふたたび木更津駅西口へ。あちこちにいまだうっすらと出自を残す、そごう跡の「アインス」ビルは、4月下旬に新都市型エンターテイメントビル「アクア木更津」として全館リニューアルオープンする由。現在は実質的に核店舗となっていた100円ショップ・ダイソーなどが営業継続中ながら、エレベーター直結の処置をとっていることが裏目に出て完全に営業休止の感すら伺わせる状況になっていたのはなんともはや…“新都市型エンターテイメントビル”なる呼称もちょいと気になる感じがしますし、ともあれ活況を祈りたいところです。
 アインスビルB館に入る木更津市観光協会のショップの前には「アクアライン料金を800円に!」の文字と猪瀬直樹氏の顔写真を載せたポスターが。団体は2002年から本格的に活動しており100万人署名活動を展開している由、去る11月の中間報告会に猪瀬氏が講師として招かれて氏も趣旨に賛同したようです。確かにアクアライン料金は高い。800円という価格も魅力的ですが、料金をあえて無視してアクアラインのこれまでの効果を考えた時に、値下げが木更津にとって唯一の回答なのか、値下げと併せ(内向きになれども)さまざまな提言することはあるのではないかということを、団体サイトから読みとることが出来なかったのはちと残念ではありました。

アクアライン800円実現化100万人署名活動推進協議会 http://www.aqua800.com/index.html

 おっと、そうこうしているうちにちょうど木更津12:50発の東京行京成便がちょっと遅れ目で到着、いつの間にか乗場には15人を越える乗客が列をなしていました。既に5〜6名程の乗車があるようで、既存の川崎・羽田空港・横浜・品川便とは反対になる乗場だけにその知名度やいかにと思っていたものの、さすが「東京ブランド」とでもいいましょうか…。ふと振り返るとE217系が鈍い光を見せて発車してゆきました…時間1本の総武快速線直通で、こちらだと東京駅に14:06着(1,280円)、高速バスだと所定13:52着(1,300円)…。

木更津駅西口木更津駅西口

 さて双方の東京方面行きを見送って東口へ。ようやく?今回の主目的である駅前高速バス待合所訪問ですが、北側に以前あった日東交通の案内所とその裏手の市営駐車輪場の一部を取り壊した200m2程のスペースに2階建ての施設を建設、純金の鈴が出土した地元旧跡の金鈴塚古墳にちなんで「たちより館・金のすず」と名付けられています(無論東京駅「銀の鈴」にあやかってのものと)。

金のすず

 実際に見てみると小ぢんまりとしたスペースで、1Fに発券所と洗面所、あと高齢者向けの待合室とされてはいますが実質は発券所前に置かれたベンチがそれを指すようです。各乗り場にカメラを備えてモニターで映しているのはなかなかと思いましたが、2Fにはなかったことからどうやら発券所職員主対応(それをもとにアナウンスするらしい)のようで。階段を上って2Fは広々とした待合所で、10分100円のインターネット機器(PC)も2台置かれていました。2Fはガラスが多用されていてなるほどモニター要らずというのか駅前の様子がほぼ丸見え、陽も降り注ぐ気持ちのいい空間です…が、時間的にということもあるのかひっそりとしていました。

 個人的評価としては、いい意味でも悪い意味でも公共施設だなぁという感じを受けましたね。最大の減点ポイントが2Fへは階段しかないということでしょうか。ゆえにバリアフリーを意識しての「1F待合所」の説明なのでしょうが、苦しいものを感じます。表現を変えれば、階段が建物の道路側ど真ん中にあって、1Fではその南側に発券所と洗面所があり、北側には独立して(建物内からは行けない?)売店があるという構造になっており、そのためにコンビニ的な気軽さが醸し出せていない、いかにも公共的な香りのする売店が外目からだとちょいと立ち寄りづらい雰囲気になってしまっていました(すいません、完全に私感ですので)。ところで待合室は6時半−22時とこれも少々中途半端なのですが、トイレは24時間開放との由、構造的に一体とも思われたのですが、どう処理するのかな?

 あとは各乗場まで多少なりとも離れているということ。どうせ造るなら駅舎への陸橋下がベストポイントと思いつつ、ここにはJR系コンビニがずいぶん前にリニューアルオープンしており、北側階段横のコーヒーショップもテナントを入れ替えつつしぶとく営業しています。ただこれは東口ロータリー自体がもはや手狭であるところから抜本的な修正があってもしかるべきかなとも考えましたが、それは後程。

金のすず金のすず
金のすず金のすず

 ともあれ19日オープンということで、まだまだ新しい建物の香りが充満しており、発券所も何の注記もなされていないことが逆に躊躇わせますが、中の職員(…というよりもいかにもパートのおばちゃん、という言葉が相応しい感じで)の方も、『まだ昨日一昨日出来たばかりで…』と初々しく?対処してくれました。

 さてここからどうしようかと思っていたのですが、半ば衝動的に停車中の川崎行川崎鶴見臨港便をチョイス、発券所で浮島BTまでの券を買って乗車しました。というのも先日川崎市交通局が経営健全化計画として3月いっぱいでのアクアライン路線撤退との報がなされ、『利用者が少なく赤字が常態化していた』という記述もあるなど、その利用状況が気にかかったということもあります。

アクアライン線から撤退へ ◆川崎市交通局がダイヤ改正(神奈川02/18)http://www.kanagawa-np.co.jp/news/…

 車は待機場がないということもあるのか(ロータリー付近で待機する姿も常態化)かなり早めに乗車扱いをしていましたが、13:05の発車直前にバタバタと乗車があり、運転手と挨拶を交わす人も。総勢8名での発車です。R16を北上すると、京急・小湊・日東、そして安房鴨川行「アクシー号」京成便と、次々と高速バスと離合するのは、たまたま時間的に重なったせいもあるのでしょうが(アクアライン上での離合は2台だけ)まさに圧巻というべきでしょう。

浮島バスターミナル

 相変わらずほぼ満車状態の袖ヶ浦BTでさらに6名を加えてアクア連絡道へ。空を見上げると着陸態勢に入った飛行機が追い抜いてゆきます。木更津駅前でも感じましたが騒音レベルが機種ごとに楽しめる?ほどの頻度というのも…さらに滑走路新設で被らされるとあっては、千葉県(民)感情はなるほど理解できるところです。あ、そうでしたの海ほたる停車でおばちゃん1名が乗車、勤務者でしょうか?構内は比較的落ち着いた駐車量でした。春霞では逆に楽しみようがありません。

 再びアクアライントンネルを駆け抜けて浮島ランプを降りれば浮島BT。平屋建ての待合施設がぽつんとあるだけの寂しい場所ですが当方含め4名が降車、建物横にずらりと並んだ原付バイクで御出勤のようです。なるほど袖ヶ浦ナンバーの多いこと。それにしても浮島BTの場所こそ知っていましたが、フェリーターミナルと分けたのは市の土地であるなしがあったものとはいえちょいと勿体無い気も。まぁ当方はフェリーターミナルは1度しか使ってはいませんが、羽田空港が望めるスポットでもあり、拠点性はあったのかなと思っています。無論木更津航路が消えたことで宮崎日向行長距離夜行便しか発着しなくなったということ、基本的にトラック主体による道路通行の危険性などを加味すれば低い選択肢であったとは思いますが、「バスターミナル」を名乗るにはあまりにさびしい場所でありました…まぁ望んで降りたとはいえ、目の前の羽田空港対応民間駐車場を恨めしげに眺めつつ、そこそこ本数のある路線バスで結局川崎駅へと向かったのでした…。

***
 先の君津BTレポートとあわせ、当該地域の高速バス拠点状況をおさらいしてみます。

【P&R拠点】

・ 袖ヶ浦市 袖ヶ浦BT (1997年12月19日開設)
 発着
 収容台数
 管理
 営業時間
 料金
川崎線・羽田線・横浜線・品川線
普通車193台
(財)袖ケ浦市施設利用振興公社
24時間無休
袖ヶ浦市民1日500円 市民以外1日550円

http://www.park-sodegaura.or.jp/parking/bustarminal.html

 発券所を持つ待合施設と3つの乗り場を持つ。構内に喫茶店と立ち食い蕎麦屋があるのも珍しい?
 説明不要なほど「P&R拠点」として著名。周辺に民間駐車場が増加、定期利用をそちらへシフトさせて1日貸し対応に特化している。

・ 木更津市 金田駐車場 (1999年04月01日開設?)
 発着
 収容台数
 管理
 営業時間
 料金
鴨川線・東京−木更津君津線・東京−君津青堀線
普通車 ?台
木更津市
24時間無休
1日400円 1月4,000円

http://www.city.kisarazu.chiba.jp/map/access.html

 待合施設がないどころか、乗り場自体はどこにでもあるバス停と変わらず寂しい限り。
 ところで当方、京成系と手を組んだかの路線展開から一時は京成自ら?と勘違いしていました…ちなみに管理者として条例では「アインスビル」の管理者でもあった木更津都市開発(株)への委託とされていたが、同社は01年12月倒産、現在は市が直営で管理している。

・ 君津市 君津BT (2003年04月01日開設) 
 発着
 収容台数
 管理
 営業時間
 料金
君津青堀線・羽田線
普通車400台
(財)君津市都市公社
24時間無休
無料 (なお条例では1日200円、1月3.000円と定められている)

 待合施設と2つの乗り場を持つ。発券は昨年の実見の際には「隣の市民ホール内喫茶店にて」とされていたがどうか。
 400台という規模は圧巻。ただ「バスターミナル」と名乗るには周辺はちと寂しい状況。

【発着拠点】

  • 木更津駅東口 (待合所完備)
     7番のりば(ロータリー北側) 川崎線・品川線
     8番のりば(駅舎陸橋下)   羽田線・横浜線

  • 木更津駅西口
     高速バスのりば(ロータリー中央、庇あり) 東京線

  • 君津駅南口
     3番のりば(ロータリー向かい) 東京−君津青堀線・羽田線

  • 君津製鐵所
     高速バスのりば(サービスセンター前) 東京−木更津君津線・東京−青堀線・羽田線

***
 このように並べると、木更津市東部の高速バス拠点があってもとも思います。その最たる理由として木更津駅東口ロータリーの飽和状態が挙げられます。西口線の設定も東口の飽和が要因とも云われていますが、発着量の急激な増加の一方で2つの乗り場で対処していることの無理がかなりきているように思われます。それは接客面も去ることながら、報告でも記したように高速バスの折返場、待機スペースがないことが混雑に拍車をかけていることが問題と考えられます。その点、駅前から2ブロックほど離れたところに周辺で高校や大学などを運営する君津学園が自前の「バスターミナル」を確保していることに目を惹かれました。とりあえずは日中寝ていると思われる同施設を賃貸するなどして駅前での待機を中止するとともに、中長期的には近隣での拠点整備(南側の民間駐車場辺り、あるいはいっそR16沿いに別途P&Rを絡めて)による実質的な接客面向上に期待したいです。いや、出来立ての待合施設を端から否定するというわけではないのですが、利用実態とあった施設とはちょっと云えないのではないかというのが率直な実感です。
 一方P&R拠点としては袖ヶ浦BTと金田駐車場との位置関係性に微妙なモノを感じるような気もしますし、その点君津BTはわが道を行きながらも規模・(暫定)無料と運営面でなかなか考えられていると思われます。なお金田駐車場は混雑傾向にあることから、隣接のアクアわくわく市場に150台の暫定駐車場を設けるとともに、BT拠点整備を行うとされています。東京直結という本命路線を確保したことで今後の成長に対する投資がどうなるのか注目されますが、この点民間駐車場に「包囲」された袖ヶ浦BTと異なり、周辺が事業用地中心であったことが奏効した感があるのは皮肉と云いましょうか、それを見越した木更津市の深謀遠慮だったのでしょうか…。

02/20付木更津市長記者会見 http://www.city.kisarazu.chiba.jp/profile/kishakaiken.html

 ところでたまたまネットでひっかかったのですが、2000年にか、君津商工会議所がなかなか興味深い提案をしていますのでここに御紹介して、終わりとさせて頂きましょう。

君津商工会議所 ロードステーション提案 http://www.kimitsucci.or.jp/roadstasion.htm

(1-3)木更津金田BTを見に行く(千葉県) (2004/12/28 12:42:56)

 高速バス千葉−東京港フェリー線試乗の帰り道、クリスマスイブにオープンした木更津金田バスターミナルに立ち寄りました。
 浜金谷駅から巌根駅まで普通列車で移動、やはり君津・木更津でどんと乗客が増えますね。巌根駅の数百m北側でアクア連絡道と交差しており、移設だなんだしてアクアラインバスと連携できないかな…なんて漠然と思ったこともありますが、降りるのは初めて。静かなローカル駅ですね…地名は岩根なんですか。駅前交番横の看板で再度ルートを確認して一路西へと歩き始めます。事前に確認していたところ3キロ弱の行程、まずは「駅前商店街」と書かれた街灯のある住宅街…を進みます。どんどん道が細くなって住宅街が終わり、ぽつぽつと小規模工場のある、ススキ生い茂る荒涼とした風景に…川を渡ると整地された姿に変わり、奥にはアクアラインに延びる高架橋と木更津金田ICのが望まれました。まだまだ遠い目的地に向かってとぼとぼ歩くと、ところどころで道路がフェンスで閉鎖されています…アクアラインが開業して丸7年、万全の土地区画整理で見果てぬ需要を目論んだ結果を見た気がしました。

 30分ほど歩いて目的地の木更津金田BTに到着。先程君津BTを見ましたが、そこよりは小振りながらもなかなかよくできた感じがします。「先輩」袖ヶ浦BTを一回り小さくしたような感じでもありましょうか。まずはしっかりした外観の待合室を拝見、ナンだ、トイレはお隣のアクアわくわく市場のものを使うということでベンチが並ぶだけのもので、観光パンフこそあれチケット等の発売もなし。ちょっと残念でしたね。ところで時刻表が張られていますが3路線が経由するということで改めてデータイムでも時間3〜4本あるのに驚かされます。総本数でも巖根駅発着数より多くしかもこちらは東京直通…。乗場は2箇所、乗車と降車に分かれてポールが立っています。待合所から雨避けが続いているのがいいですね。
 お隣にあるアクアわくわく市場に移動。アクア開業からちょい遅れて開業、地元の山海産品の即売と食事のできるスペースです。アクアラインバスから何度も見かけておりどんなところかと思っていましたが、意外と粗末な…もとい、純朴なつくりで、地元の朝市という感じが好ましく感じられました…ついついいろいろと買ってしまったり。

金田BT金田BT
金田BT金田BT

 最後にもとのバス停のほうまで歩いてみました。雨避け1つの停留所には移転したことが大書きされガムテープでバッテンもされていましたが、奥の第2駐車場にはまだ駐車車両が…恐らく旅行等で置きっ放しの車でしょうか。
 ところで、金田BTの市営駐車場は出入口チェックの1日500円169台(後述する第2駐車場は400円110台)、わくわく市場の駐車場は無料150台、これとは別に民間の「アクアパーキング」が隣接してあり、3つの区画で1日250〜350円、月極も2,000〜3,000円と、市営の4,000円より安く設定、早くも「袖ヶ浦状態」ですか。

金田BT金田BT
金田BT金田BT

 駆け足での見学でしたが、簡素というかコンパクトながら商業施設に隣接する形でよくできたターミナルだと思いました。ただ、従前道路上発着であったことからすると、脇道による形となり数分の時間増となってしまうことはまぁ致し方なしかなと。あとはわくわく市場が原則日没で営業終了ということで夜間の安全性も若干気に懸かるところではありますが、待合室は夜間閉鎖ということで適宜巡回等はあるものと思われます。
 先に触れたとおり、まさしくライバルは袖ヶ浦BTになります。あちらは対東京では羽田空港か品川、こちらは東京駅直行となりますが、通勤時で見ると首都高の渋滞の捉え方が分かれ目になろうかと。以前も触れましたがアクアラインバス当初からの経緯を考えると、木更津市はBT設置の予定は全くなかったらそしく、急遽袖ヶ浦市がBTを設置したところ大当たり。その後金田に駐車場を作って対東京駅方面で売り出したところこれも当たったというわけですが、さて今後の展開やいかに…

金田BT

第2回 名古屋市内のバスターミナル(愛知県) (2003/08/31 18:25:58)

 「にっぽん高速バスターミナル探訪」、第2回を何処にしようかと迷っていたのですが、中量板のエル・アルコン様の御投稿「名古屋の通好みな異色バス巡り」高速黒川バス停の紹介に触発されまして、昨冬、かの「さぬきびサミット」帰路に訪れた名古屋都心の3つのBTを採り上げたいと思います。

名古屋の通好みな異色バス巡り ../../gallery/special/022.html

●名鉄バスセンター(1967〜) http://www.meitetsu.co.jp/t_b/bus/center/main.html

 名古屋の高速バスターミナルとしてまず思い浮かべるのが名鉄バスセンターではないでしょうか。名鉄百貨店の隣、名鉄メルサの3・4階を占め、3階は路線バスと近郊高速・空港連絡バス(8レーン)、4階は近畿・北陸・信越などへ向かう長距離高速バス(5レーン)と名古屋競馬などの各種レジャー関連無料輸送バスが発着します。最近では、多治見や小牧・高針線といった名鉄絡みの近距離高速バス路線が増えてきているのが注目でしょう。
 構内ですが、ビル内ながら乗降場との間にしきりのないオープンスタイルなだけに排ガスがこもる印象も若干ありますが、規模と本数から広島のそれとは違う印象を持ちます。ちなみに乗車ホームには乗客の道路部への進入防止のため腰ほどの鉄柵がめぐらされており、乗車部も常時鎖などで閉じられ、乗車時にだけ担当運転手がついて高速便なら改札も兼ねられるようになっているのは目を引きます。たださすがに築35年を経て、所々に手は入っているものの、メルサ店内を含めた構内にはかなりくたびれた印象を持ってしまいましたが、今はどうなのでしょうか。喫茶店や洗面所を手入れすればインパクトがあるし、照明ひとつで印象はがらりと変わると思いましたが…。

 個人的に思ったのは、名鉄百貨店など建物内を経由してゆくといちげんさんには辿り着くまでにちょいと戸惑う点。地図で見てなるほどと思う近鉄駅・百貨店の存在ゆえなのでしょうか?それと名店街のごみごみ感は嫌いではないのですが、それも方向感覚の減退の一助になっているかも…。地下からもいまいち判りづらく、よってJRや地下鉄駅からは結構遠い印象を受けます。ちなみに一番判りやすいアクセス方法は、地上の名駅通の歩道からエスカレーターで一気に上る方法だと思いました。アクセスについてはクルマも然りで、東海道新幹線からも目立つ独特の取り付け道路も、名駅通等と交わる下広井町交差点が多少複雑な形(五叉路というわけではないが…)をしている上に、BC入口が名鉄百貨店駐車場の入口をも兼ねているため駐車場渋滞にまま巻き込まれる事もあるなど、少々難ありという感じを受けました。
 そこに着目したかはどうか判りませんが、新たなライバル関係をも生んでいるような気がします。2000年5月に新たな名古屋空港アクセスバスとして登場したのがJR東海バス(JRTB)・名鉄の共同運行である広小路口線。実はJR名古屋駅と名鉄新名古屋駅のちょうど間のところに乗場を設けての新設路線で、対名古屋駅路線としては名鉄BC線、新幹線口線に次いで3本目。名鉄BC線が10分間隔、新幹線口線が20分間隔ある中で広小路口線も30分間隔で設定されています。何を隠そう、新名古屋駅からもこの広小路口乗場が近い!尤も名鉄は西春乗換でというのがホンネでしょうが。ともあれ、JRTBとしては悲願の名古屋空港乗入実績を作った路線、ひいては「セントレア」をも睨んでいるとも思われますが、端的に見ればJR駅と名鉄BCの利便性からの「エアポケット」である事は現地を見れば一目瞭然になろうかと…。

名鉄バスセンター
名鉄BC4F
手前は伊那市・箕輪行(伊那バス)
後方は金沢行(北鉄)
名鉄バスセンター
名鉄BC3F
西桑名ネオポリス行(三交)の改札風景
運転手が「改札口」で乗車確認中
名古屋駅バスターミナル
名古屋駅BT
中央ライナー新宿行(JRTB)
こちらも柵があることが分かる
●名古屋駅バスターミナル(1975〜) http://www.jrtbinm.co.jp/highway/busstop07.html

 さて、名鉄BC(名鉄百貨店)からJRセントラルタワーズ(JR高島屋)を介して北側にあるのが名古屋駅バスターミナル。名古屋ターミナルビルの1FにJRTBの高速BTが、2Fには市交通局のターミナルが入っています。ちなみにキーテナントは松坂屋です。なお、名神ハイウェイバスは1964年、東名ハイウェイバスも69年に開業していますが、ターミナルビルの完成は74年で、その翌年に市交通局BTがオープンしていることから同時期の移転と考えていいでしょう。現在は東名・名神両ハイウェイバス・ドリーム号のほかに、JRTB絡みの路線(高山・福井・金沢・甲府/岡山・広島・松山・高知・横浜)が乗入れます。特に昼行便の高山・福井・金沢線は名鉄BC始発で名古屋駅BTを経由してゆくというもの、名神ハイウェイバスの京都便も同じですが、大阪・USJ便は名鉄BCには入らず、なんば・USJ便は名鉄BCのみの発着となるなど複雑になっており、両ターミナルも歩いて優に15分ほど掛かるため、利用時には注意が必要です。
 軽く2Fの市交通局BTを紹介しておくと、ビル中央の車路を取り囲むように13レーンが設置され、転回部を境にグリーンホームとレモンホームとして案内区分されているのが印象的です。特段暗い云々という印象は受けなかったのですが、名鉄BC以上に辿り付くのがややこしい、めんどくさい感じがした気がします…今はタワーズテラスでセントラルタワーズと直結したのでまだ違ってきているかもしれませんが。なお市バス降車場は1Fの高速BT手前付近となっています。

 さて、その市バス降車場のどん詰まりが高速BT。こちらも天井は然程低くないながらちょっと暗く、天井に各種配管がむき出しという感じから少々圧迫感も抱きます。JR駅から歩いてくると、セントラルタワーズと同じ明るい内装の通路の奥左手に切符売り場があって、真っ直ぐガラスのドアを越えるとBTに直結ながら前述の通りの感じでいささかギャップを感じるかも…。手前に10名ほどが座れる待合所もあるものの、なんだか定宿者がいるかいないかという感じで、至って個人的感想ながらあまり留まっておこうという気にはなれませんでした。ただし、市バス降車場に沿ってそば屋やラーメン屋などのある意味一杯横丁チックになっていて、また切符売り場手前にも売店や喫茶店などが入っており、出発前に軽く…という事ができますので、夜行便含め、比較的出発直前まで時間を潰す事は可能と思われます。まあ、名鉄BCと比して発着本数もそう多いほうではないことから、比較的落ち着いた空間と云えるかもしれません。

●栄バスターミナル(オアシス21)(2002〜) http://www.sakaepark.co.jp/index.html

 2002年10月に名古屋の中心地・栄に誕生した、日本でも最新のバスターミナル施設です。「栄バスターミナル」は市交通局BTとして1967年に三越と中日ビルの間に開設されていましたが、その北方となる旧愛知県文化会館、旧NHK名古屋放送会館の立替を期に東隣の栄公園を含めた再開発計画が始動、紆余曲折を経て、それまで久屋大通・大津通・錦通・広小路通に分散されていた高速バスと一部の路線バスの乗場を集約する新しいBTとして開設されました。高速バス関連では東名ハイウェイバス・中央ライナーと中央道飯田・伊那線、都市間高速の多治見・小牧・高針・三交桑名線、名古屋空港行と夜行便のJRTB全路線(ドリームとよた号を除く)と名鉄の福岡・仙台線が入ります。なお、もとの市交通局BTは「噴水南のりば」として市バス専用のまま現在も機能しています。

 なんといっても注目はその外見!地下から地上に大胆に刳り抜かれた空間が4層に連なって再編され、下層部がショップ、半地下構造のバスターミナルと自然に連なるゆったりと隆起した地上の芝生の空間の上にはぽっかりと浮かぶ宇宙船を模したという大屋根、しかもそれは常に水で覆われていて時間や光加減で様相を変えるというもの。まさしく栄の新しいランドスケープと呼べるものです。
 BT自体は機能的に10レーンが配置され、高速バス用には主に3レーンが使用されていますが、この3レーンはBTの手前端部に櫛型に並べられていてバックで入線する形が採られます。車路とはガラス張りで区分されており、空調完備の待合スペースには排ガス等はこもりません。場内にはコンパクトな案内所・切符売り場と、別にコンビニもあり事前購入に最適です。効果的な案内ピクトグラムの配置や、LED案内装置・音声放送案内も設けられている点はさすがバリアフリー対応、一番のポイントは半地下方式という事で地上とはスロープで結ばれていることでしょうか。ただ個人的には座って待てるスペースが少々少ないかなという事と、降車場所は地上の通り沿いになるのですが、そちらには屋根がついていなかったのが少々玉に瑕かなとも思いました。

オアシス21
オアシス21のシンボル・大屋根には
上に登ることもできる
オアシス21
バスターミナル待合スペース
ガラス張りで仕切られている
写真背後に案内所、左手奥にコンビニがある
オアシス21
車路
手前が高速路線用の櫛型ホーム
三交便が待機中

***
 追々採り上げるつもりですが、東京・大阪でも発着場所の分散が問題視される中で、名古屋も会社入り乱れ、かつ経由するしないというややこしい状況にあると指摘する事ができます。
 配車という観点からすれば、名鉄BCの近くには名鉄関連の車庫(待機場)もあり、また三交は名鉄BC内を待機場としています。それほどに余裕があるのが名鉄BC、一方で名古屋BTは完全にJRTB関連専用という赴き、共同路線なので名鉄BC始発便が寄るよ、といえば通りが早そうですが、名鉄BCの車路状況だと駅を出るのに結構な時間が掛かりそうな気すらしてきます。ゆえに名神関係は栄に寄らないのかなとも思ったり。
 施設的にはさすがに最新の栄、ただ場所的には中心とはちょいずれているという指摘もできなくは無く、大規模地下街でのぶらり歩きの是非含め、拠点性と利便性で評価は難しいとも思えます。
 ともあれ、1箇所で総てが賄える訳でもなく、相互バランスに寄っての利便性を考える事が寛容と思いますが、なかなかに難しいですね…

第3回 鹿島地域のバス拠点を見る(茨城県) (2003/11/28 16:12:22)

 「にっぽん高速バスターミナル探訪」、第3回は臨海工業地区アクセスに高速バスが見事なまでに合致した茨城・鹿島地区にスポットをあてたいと思います。石油コンビナートと製鉄所を主体とする鹿島臨海工業地帯は1960年代より整備が進展、70年には国鉄鹿島線が開通し特急「あやめ」号が最大5往復設定されるとともに成田空港ジェット燃料輸送に貢献、85年には鹿島臨海鉄道鹿島大洗線が開通して県都・水戸と結ばれるとともに、87年には東関東自動車道が潮来インターまで延伸し水運衰退後の陸の孤島が東京と直結されました。そして87年に運行を開始した東京駅−つくばセンター線「つくば号」をヒットさせた関東鉄道・JRバス関東コンビに京成電鉄を加え89年4月に運行開始したのが「かしま号」。当初6往復がその利便性から倍々ゲームの如く増便を重ね、現在では69往復までに成長するとともに神栖町役場・波崎町役場への「はさき号」や佐原駅・潮来駅・麻生町役場への「さわら・いたこ・あそう号」といった派生系統も誕生、2002年には羽田空港との直通便(関鉄・京浜急行)も設定されています(蛇足ながら同年羽田便に先立って設定された成田空港便(NIKK's 関鉄・成田空港交通)はW杯狙いという事もあったのか、1年持たずに廃止されてしまいましたが…)。
 そんな「かしま号」は東京駅を出ると水郷潮来バスターミナル・鹿島セントラルホテルから臨海工業地区を経由し鹿島バスターミナル・鹿島神宮駅に至るのですが、ここに挙げた4ポイントについてその特徴をチェックしてゆくことと致しましょう。

●鹿島神宮駅

 神宮の森・市街からからちょい下ったところにある小ぢんまりとした玄関口…鉄道駅もJR鹿島線・鹿島大洗線の結節点ながら1面2線とシンプルで、昨年のW杯の喧騒が幻に思えるほどです。北側にR51バイパスが横切り車の通りはそこそこあるものの、周囲もパチンコ店が目立つ程度でコンビにもなく、あるのは駅のキオスクと駅前食堂くらいが目立つ程度と、観光・ビジネス拠点性はかなり薄いといえます。なお名誉のために補足すると、神宮門前には旅館や飲食土産関係が集まっていますのでそちらで、ということになりましょう。
 駅前広場には観光案内所があり、高速バスと銚子・佐原・鉾田などを結ぶ中距離路線バスも立ち寄るそこそこなロータリーもありますがタクシーが手持ち無沙汰に待ちぼうけ感で、訪ねた日が雨模様だった事からもその感を強くしてしまったのでした…。ちなみに市街への道路を挟んだ東側の高架下にはJRBKの待機場がありますが、関鉄・京成車はバスターミナル待機のようで、結果バスは出発時刻直前までやってこないという感じでした。

鹿島神宮駅鹿島神宮駅

●鹿島バスターミナル

 神宮の森の南側に取り付くようにあるのが関鉄鹿島営業所、「鹿島バスターミナル」として出札窓口つきの待合所完備・出発ホームも4線あり、高速バス含め構内まで入り、タクシーも控えています。といっても、箱型の事務所兼の建物のまわりを廻る昔ながらな感じです。
 タクシーとの乗継利用や、鹿島神宮や中心市街地にはこちらが近いこともあって、待合室内にも活気とまでは行かないものの生活観が見受けられたのは一安心?ただ神宮への参拝ルートが示されているわけでもなく、厳密に言えば鹿嶋市役所バス停のほうが周囲に活気がある気がしましたので、利用度合いとしては限定的と思われます…まぁサッカー絡みでここでの乗継が多いようなのは御愛敬とでも云いましょうか。車庫用地もたっぷりあることからP&R対応もできなくはないとも思いつつ、それにしては中途半端な台数になってしまうかも知れず悩ましいところと見受けました。

鹿島バスターミナル鹿島バスターミナル

●鹿島セントラルホテル  http://www.kashima-central-hotel.gr.jp/

 神栖町の中央部に鹿島臨海工業地帯の業務・商業集積拠点として1972年に誕生したのが鹿島セントラルビル。水郷地域の平面的な空間に突如としてすくっと建つ白いビルは地域のランドマークとなっています。2000年にはW杯対応をも含めた新館がオープンし、ホテルも新館ができたほか、パスポートセンターやインフォメーションサロン、バス待合室を持つモール街や天然温泉施設「ゆの華」が入るなど新たな姿を見せるようになりました。
 2001年3月改正でこの鹿島セントラルホテル折り返し便が新設されるなど、その拠点せいの高さが伺えますが、券売機1台がぽんと置かれた程度の待合室ながら、乗車待ちの列仕切りがあるところを見ると「ラッシュ時の存在」を強く伺わせます。当然タクシー待ちも多いほか、路線バスこそ構内に入らないものの(外のR124上にバス停あり)、臨港地区企業循環バスが接続するようです。実際昼下がりの落ち着いた時間ながらスーツ姿の人が結構見かけられますし、直結する住友金属前や宇宙通信センターが普通のバスポールであることを考えると、まさにビジネスの玄関口としての機能性の高さが伺え、折り返し便の存在が納得行くところです。

鹿島セントラルホテル鹿島セントラルホテル鹿島セントラルホテル

●水郷潮来バスターミナル  http://www.ibarakiken.net/trend/news/index.php?toretate_id=1786&a=disp

 水郷潮来バス停は開設以来同市徳島地区にあったのを、潮来市がW杯に併せて東関道潮来ICの真ん前にP&R拠点として整備、2002年5月に仮オープン(バス停は移設、駐車場は暫定無料提供)、その後待合所等を整備して03年2月に本オープン、併せて駐車場が有料化(1日500円、送迎等60分まで無料)されています。
 実際に行って見ると、ロケーションは最高!まさにインターの目の前、かつ潮来市街と神栖町を結ぶ水郷有料道路とR51・鹿嶋市街方面の短絡路となるルートの交点でもあり、道路アクセスには絶好の場所でした…ただし周囲にはそばに小規模の物流センターと、南方に戸建て開発地がある程度、あとは水田に囲まれる静かな場所ともいえます。駐車場は200台弱、それが日中でほぼ満車状態、急遽という感じでインターの一角を使って臨時駐車場も設けられていました。それでいてトイレ併設の待合所は至って機能的というか、券売所と飲み物や新聞などの自販機が置いてある程度、売店もありません。ただ券売所があるということで常時人が居る事、タクシーベイにも複数台が控えている事から、それなりな人の気配はありました。丁度13時過ぎの東京行きJRBK便の発車光景を見ていましたが、若い女性客を中心に10名ほどが乗り込み、合わせて30名を越す乗客で走り去っていきました。
 惜しむらくは北側1キロないところに道の駅いたこがあること、かつほぼ同時整備となったことを考えると、併せた形での整備も…とも思いました。あとは潮来市街との結節性ですが、結局タクシーで足りるという事になるのでしょうが…地元利用者本位の造りは十二分に評価するものの、少なくとも観光地としての地域性を考えれば、対外受け入れ拠点としては使えないと云わざるを得ないかなと。無論もはやそうすべき需要が、というところの帰結ではあるのでしょうが…。

道の駅いたこ http://www.michinoeki-itako.jp/

水郷潮来水郷潮来水郷潮来

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 「つくば号」はTX開業でさて、という状況となる中、関鉄とJRBKにとっては最重要なドル箱路線となって行くものと思われます。それは京成が絡む銚子線(犬吠号)然り、既存の鉄道路線の衰退による結果でもあるのですが、一方でもはや主力交通機関として成長している以上は、クルマという足を持たない利用層をどのように維持拡大してゆくのかが鍵になろうと思われます。当該地域については観光資源もあることから(例えば潮来ののホテルや旅館では水郷潮来BTとの送迎が多く触れられている)、今後その辺りとのリンクをどのようにしてゆくのかが課題になるのではと考えました。

Since 2004.01.17 Last Update 2005.01.10

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