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(過去ログNo.)

誰が為に道はある?(高速道の迷走)

投稿者---551planning(1998/12/23 23:36)

建設省はJH(日本道路公団)に対して総計で500キロもの高速道路着工前倒しの「施工命令」を出すことになった(12/21付朝日夕刊1面)。その多くが採算困難な「枝路線」であり、工費捻出の為に現行40年である償還期間の10年間延長も盛り込まれることとなるようだ。
開通1年を迎えた東京湾アクアラインは高通行料金が響いて見込みの半分の通行料という。アクアラインは高速道路ではない(有料道路扱い)ので、いわゆる全国一律プール料金制に含まれていないため、独自の償還プログラムに沿った料金設定がなされている(更には開通直前に「亀の一声?」で暫定的に値下げされている)のだが、もはや【償還・無料】という言葉自体が風前の灯だ。

そもそも高速道路の在り方を問うてゆくべきである。管理・維持費は今後もかかるし、名神や東名といった初期建設道路の疲弊も目立ってきている。第2東名なども建設が急がれている。そんな中での「枝路線」建設がどれだけ景気浮揚に貢献するというのか。
一般道路との兼ね合いも問題だ。先日姫川沿いのR148を糸魚川から南下する機会があったのだが、先年の集中豪雨被害の爪跡生々しく、「生活道路」としても今だ不安定な状況にあるという。しかも管理自体は建設省持ちながら、河川改修ともあいまって費用負担は地元の県・自治体にのしかかっているという。ここに矛盾はないのだろうか。

率直な意見として、主軸路線の強化(車線数増)・改修にこそ全力を挙げ、「枝路線」は既存一般国道の強化・改修を進めるべきだ。「高速ネットワーク」の名のもとの不採算路線建設は、最終的に利用者のみに負担を押し付ける愚行といえよう。
さらに「償還」という考えを捨ててしまうべきだ。実質として現行高速道利用者が「償還完了・無料化」を享受することはないのである。それならばいっそのこと「完全有料化」を図り、料金設定に幅を持たせてやるべきである。逆転の発想でモーダルシフトと絡んだ大型車料金設定も行うべきだろう。長い目で見て物流コスト削減につなげられるような広範囲な産業政策が求められているのである。その先には高速道運営会社の民活導入も考慮されてゆくべきである。
わが国は国土軸構築における鉄道機能の「見殺し」という「遺産」を抱えている。道路が我々にもたらしてくれる恩恵を原点に立ちかえって考えるならば、国家(および自治体)の責任で整備して行くべきものであるという必然が自ずと見えてくるはずである。

道路整備のあり方

投稿者---いのうえ まさし氏(1998/12/25 18:39)

高速道路の整備については、肋骨線の部分開業が相次いだ昭和末期からの一時期、無駄の極致といった近視眼的批判が相次いだ。
ところが平成に入ってからこれらの肋骨線が相次いで縦貫線に接続するなど完成を見ると、地域交通や広域交通に与えるインパクトの大きさは計り知れず、こうした批判が木を見て森を見ずの類であることがはっきりした。部分開業の是非はあるが、計画自体の是非は全線開業してから論じるべきであり、その意味で無駄のシンボルのように言われる北海道横断道の十勝清水-帯広の「評価」も大きく割り引く必要がある。
批判者は目の前の数値だけを恣意的に取り上げる癖があり、例えば磐越道がいわき-郡山-新潟中央の全線開通でどのような効果をもたらしたかの事後検証などは絶対にしない。それがかつて新潟中央-安田のみの飛び地開通時に口を極めて罵ったとしても、だ。逆に開業後の実績こそ批判対象とすべきであり、安代-八戸の八戸道は明らかに無駄だったと結論づけないといけないほど収支が悪い。具体的に述べれば、他の横断路線以下の収支になったのは、長大トンネルや橋梁で線形改良効果を最大限に享受する横断路線と違い、この区間では花輪線沿いに進む東北道が横断路線であり、十二分に整備されたR4と並行して八戸に進むだけなので距離短縮効果はほとんどなく、並行路線を必要とするほどの交通輻輳もないので、コストパフォーマンスに優れない八戸道は利用されないのである。

さて、今後の高速道の整備だが、収支を償うという観点を敢えて無視した純粋な社会資本整備の観点からすると、大都市のバイパスとなる環状道路や費用対効果に優れて利用者の転移が望める峠越えなど山岳区間を含む肋骨線の整備の方が効果的である。都市間路線については、並行道路の輸送力が逼迫しているようなケースに限られるが、現下の状況で広域流動として高速道での整備を求められるような区間は実はごくわずかで、それよりは既存高速道の拡幅に資源を集中投入したほうがよい。

もちろん通過流動、特に広域流動が望めないケースで高速道にするのは過剰設備そのものであり、また都市間道路の整備も待たれる箇所も多い。こうしたケースにおいては、広域流動よりも域内流動中心ということに鑑み、建設省直轄事業としての無料バイパス整備/線形改良を行うべきである。
現下の計画でいちばん馬鹿らしいのがいわゆる「高規格道」計画である。2~4車線の自動車専用道路であるが、高速ほどしっかりしてなく、バイパスのように利用しやすくもない中途半端な存在だが、全国高速道路網の一環として距離を伸ばしている。広域流動の担い手となるのなら法に基づく高速道として建設すべきであり、そうでないのなら直轄事業によるバイパスとして地域レベルでも利用しやすくすべきであり、中途半端は将来に禍根を残す。

例えばR13に並行する「米沢南陽道路」と「湯沢横手道路」だが、福島-米沢間の栗子峠が技術的問題で迂回した中途半端な2本の長大トンネルで構成されていることや、その先に主寝坂・雄勝峠を抱えること。置賜、村山、最上地区を縦貫するR13は改修が進んでいるとはいえ、都市部での交通輻輳があることを考えると、東北道福島飯坂IC-米沢-山形道と連絡-新庄-秋田道横手ICの高速道とするか、直轄事業としてのバイパス及び、栗子峠、主寝坂・雄勝峠の改修で対応するかのいずれかであり、東北道-山形道区間で村田JCT経由の山形道と広域流動が競合することを考えると、少なくともこの区間だけは直轄事業で対応すべきであった。現在の両道路は、確かに遠い将来は「東北中央道」として高速道に準ずる存在になるかもしれないが、高速道の部分開業の比ではない一体感の無さと規格の低さがあり、一言で言うと「志の低さ」が見て取れる。

今回の施行命令の、多車線化による輸送力向上(=高速道の商品価値向上)は評価できる。そして、景気対策でバラマキ型になるであろうが、願わくば焦眉の急の東京の環状道路整備(首都高中環、外環道、圏央道や首都高川崎縦貫道)に各種資源を集中投入すべきである。
経済効果という観点では、同じ土木事業だからどこでやっても投下した金額に比例するし、完成後の効果は大都市圏ほど高いのである。

高速道路がステータスシンボルなら必要ない

投稿者---てら氏(1999/02/06 04:19)
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/3342/

いのうえさん、「内房線~」などでお世話になっております。

批判者は目の前の数値だけを恣意的に取り上げる癖があり、例えば磐越道がいわき-郡山-新潟中央の全線開通でどのような効果をもたらしたかの事後検証などは絶対にしない。それがかつて新潟中央-安田のみの飛び地開通時に口を極めて罵ったとしても、だ。

磐越道がいわき~郡山間開業、そして全線開業した後の効果についてはローカルニュースで取り上げられた程度でした。細かい数値は忘れましたが、福島-新潟県境を通過する車の数は開業前に比べて2~30%程度増加したようで、それ以外にも若松-新潟線の高速バス運転開始や磐越道沿道の各自治体相互の交流も盛んになりました。
 #デメリットとすれば会津若松や磐梯熱海の宿泊者が不況とあいまって減少したことが挙げられる…。

今回の施行命令の、多車線化による輸送力向上(=高速道の商品価値向上)は評価できる。

対面通行の高速道路は確かに建設コストは抑制できますが、ドライバーの側からすると危険極まりない構造で、正面衝突事故など反対車線を巻き込んだ重大事故が発生しており、しかも高速道路だけにその被害も大きくなるようです。特に対面通行になっている高速道路ほど地形上見通しが悪かったり積雪や濃霧など気象条件的に厳しい区間が多いので「高速道の商品価値向上」という観点に加えて「通行車両の安全確保」という観点からも対面通行の回避は絶対に必要だと思われます。
 #個人的にはのんびり走る前車をなかなか抜けないストレスがたまって…。

私としては、高速道路を街のステータスシンボル的にしか考えていないのなら必要ないと思いますし、政争の具にするというのはもってのほかです。もっとも、このことは高速道路のみならず新幹線や空港にも言えることですが。


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