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(過去ログNo.)

身近なエコとその未来-白屋根バスとソーラーバス

投稿者---551planning (2010/09/08(Wed) 06:48)

国際興業から興味深いリリースが。

同社路線車は従前屋根上の塗装が黄緑色だったところ、直射日光を反射させ車内温度上昇を抑制し冷房効率改善・CO2排出量抑制を狙い、今年度導入の新車68台から一部を白色化したというもの。
今年8月の実証実験では、車庫周辺気温40度において車内温度が在来車では49度となったところ白屋根車だと47度と2度の抑制効果を確認。さらにこの状態から冷房を入れた際、外気温-5度の35度になる時間では在来車が30分を要したのに対し白屋根車では18分と大幅短縮となったそうで。アイドリング時間削減により、保有全895台換算で夏季3ヶ月間に40tのCO2排出削減効果が期待されるとの試算が示されています。

…ふと思い出したのが、今はなき旧国鉄301系がJR-E所属末期に屋根上を白くしたこと。冷房機器不調による対策だったかと記憶していますが、利用者としてはえらく不恰好だったことを覚えています。阪急の白屋根車は屋根上まで白いわけではないですよね…。
ただ、「白屋根化」はアメリカ政府でもその効果が実証化されているところ、また屋根だけではなく、舗装でも廃棄タイルを活用した「クールアイランド舗装」の実証実験がかの“日本一暑い”岐阜県多治見市で行われているなど、白色化が今後のキーワードになることは間違いなさそうで。

そうそう、バスに話を戻すと、発想の転換というかなんというか、こんな話もありました。

今年100周年を迎えた両備グループが放つ“21世紀の路線バス”は勿論水戸岡プロデュースによる「ソーラーバス」。三菱ふそうハイブリッドバスの屋根上に三洋電機開発のソーラーパネルとソーラーフイルムを貼り付け、LED室内灯に使用するそうで。車内もホワイト一色でLOHASをイメージ。三洋つながりで搭載したポータブル空気清浄器エネループエアフレッシャーは今後バス向け販売を開始するとのこと。まあいろいろな仕掛けがされる中、車両価格4900万円に改装費が3000万円の8000万弱でできたのも大きなポイントに挙げられています。
公共交通衰退のひとつに子供に夢を与える存在でなくなってきたことを見据え、電車やフェリーではいろいろな仕掛けを成功させてきた両備ですが、バスやタクシーはなかなか工夫が難しかったところ、100周年に合わせた果敢なチャレンジ! 企画者の小嶋代表をして実車対面時に思わず「ソラビて見ろ!」と叫んだのだとか…先に第1弾として同社の起源である西大寺鐵道車両の再現である「SAIBUS」も登場しており、是非見てみたいですねぇ。

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MiniRepo

温故知新-2台のコンセプトバスに篭められた両備グループの戦略とは

投稿者---551planning (2010/12/12(Sun) 11:30)

津エアポートラインの立ち上げ(2004~)や、和歌山電鐵(2005~)・中国バス(2006~)の“再生”を手掛け、今や地方公共交通の救世主とも称される両備グループ。その礎となった西大寺鐵道設立から今年で100周年を迎えさまざまな記念企画が展開される中、地元・岡山を走るコンセプトバス2台が登場しました。西大寺鐵道のキハ7型を模した「SAIBUS」と、3つの世界初を有する「SOLARVE」です-かの岡電MOMO登場から8年、両備グループデザイン顧問である水戸岡鋭治氏プロデュースであることは写真初見で直ぐ判るところ、それでいて実見してみたい!と思わせてくれるのはさすがというところでしょうか。

早く乗ってみたかったもののなかなか機会がなく、前回東京大会時に『来年は岡山でやりますッ!』とのRACDA・岡会長の鼻息の荒さに“何か”を感じ参加を決めていた「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会in岡山」(2010/11/27 at岡山大学)に合わせることに。
しかしながら、SAIBUSは犬島連絡の「瀬戸内国際芸術祭シャトルバス」として岡山~西宝伝間にて、SOLARVEは両備のルーツにも通じる岡山~西大寺間をベースに倉敷まで顔を出す定期運行に供されていたところ、SAIBUSは瀬戸内国際芸術祭閉幕とともに運行終了となった様子(シャトルバスは直通バスとして大減便ながらも運行継続、ただし「※通常タイプのバスで運行」と注記)、SOLARVEは11月ダイヤが公表されるも11/12頃までとあり「12日以降は現在調整中」との記載、訪問時にはともに稼動状況が不明という事態に。それでも、おそらくどうにかなるだろう-と内心思いつつ、念のためにSOLARVE公表ダイヤにあわせ早朝の岡山駅前へ向かったのでした。


岡山駅東口

土曜朝イチとあって道行く人は少ないですが、駅前ロータリーにはバスが途切れずに発着します。高速バスや空港連絡バスは西口に新設されたターミナルへ移ったのでやってくるのは路線者ばかり-その中には両備カラーの岡電バスの姿が多く見受けられますが、10/01付で桑野営業所が移管されたことによるもの。両備グループが示した「エコ公共交通大国おかやま構想」のキックオフとして、郊外路線を両備バス・市内路線を岡電バスに再編する施策ですが、ホワイトベースながら似て非なる両社路線バスデザインだけに、今後どのように整理されてゆくのかが注目ですな。

と、所定時刻に現れたのは一般車両…うーん乗れなかったのは残念ですが致し方なし。ただし乗場に10月分ダイヤが貼りっ放しになっているのは拙いような。さて時間調整のため岡山空港を往復したのですが、2003/12の空港連絡バス岡電参入以後、もともと連絡バスを運行していた中鉄バスとの競争は一般路線バスにも拡大するなど熾烈を極めたものの、2007年以降運行移管や共同運行化など協調関係に転換。これも両備構想の端緒になっています。

岡山駅東口

で、岡山大学で開催された大会ですが午前中は環境理工学部棟で研究発表、午後は創立50周年記念館で特別セッション&市民フォーラムという3部構成。研究発表は5教室×10本とたっぷりあり一部教室では立見も出る盛況、内容によってあちらこちらへと棟内を移動したのでした。
で、事前に地図でも確認していたのではありますが、空港連絡バス岡大入口バス停から歩いてみると2会場間は約800mと微妙な距離感…と、研究発表次第に「両備バスのご協力により、犀バスとソラビの最新のバスを運行していただきます」との案内が! 果たして、研究発表終盤で頃合を見て外に出ると、SAIBUSとSOLARVEが揃って待っていました。前方のSAIBUSに乗り込んでパチリとやっていたらそのまま出発!思いがけない試乗となったのです。

レトロモダンを標榜したSAIBUSですが、中型のエアロノーステップミディ既存車を改造したもので後部はよじ登る感じすらしますが、横向きの座席はシートというより家具かという感じでまとめられており段差も巧く活用。前輪のタイヤハウスはあえて座席を設けず、ぬいぐるみやおもちゃを入れるようなカゴがオシャレ感を出しています。前面運転席背面と中央上部に液晶モニタも設置され、SAIBUSのイメージ画像が流れていました。
5分も経たないショートトリップを終え創立50周年記念館横に到着、改めて外観を見ると、前面LED表示が左右一部塞がれていることがまず目に付きます。シャトルバ運用時には中央部に巧く表示されていたようですが、このあたりはどうなんでしょうかね。さてなんといっても大きな特徴は前後のデッキ部。前部に1台、後部に2台自転車が積めるとのことだが、そこはやっぱり神奈中自転車ラックバスの機構のほうがスマートでもあり、実用的かという意味でも…。

SAIBUSSAIBUSSAIBUS
SAIBUSSAIBUSSAIBUS

SAIBUSは再び環境理工学部棟へと戻り、結果数度のピストン輸送に。歩いて戻って今度はSOLARVEにも乗ってみようかと思ったものの、その時点で何往復するか不明だったのでそのまま待機、こんどはSOLARVEを見ます。こちらはエアロスターエコハイブリッド新車を改造、屋根上を中心に白黒はっきりとしたインパクトある外観ですがぱっと見アタマが重たい印象、日野×トヨタFCHV-BUSのような全体的形状の一体感にはちと欠ける印象もありつつ、それが個性なのかと。
SOLARVEは2回目の到着後、本部棟の前庭に移動。そこで展示となりました。早速車内に乗り込むと、なんといってもその真っ白さに目を奪われます。よく見るとSAIBUSと似た造作の部分もありますが、色の印象が強いですね。車内5箇所に配されたエネループエアフレッシャーもいい感じで存在感を主張。SAIBUSにも取り付けられているんですが、あちらではあまり目立たなかったような。というか、カタチも小さいですし今後バス事業者への展開を図ってゆく予定ともされており、利用者への“見せ方”も巧く工夫してもらいたいですね。

SOLARVESOLARVESOLARVE
SOLARVESOLARVESOLARVE

その後3回転したSAIBUSがやってきて2台が並びました。日陰になったことこそ惜しまれるものの、2台の存在感たるやさすがです。ギャラリーが集まってしばしプチ撮影会に-一段落した頃、『このバス、粋でしょ』と関係者に語りかけながら現れたのは小嶋光信両備グループ代表。氏は午後の特別セッションと市民フォーラムに参加することとなっており、であれば…というのが“どうにかなるだろう”と思っていた根拠だったのです。SOLARVE

その後のシンポジウム基調講演やパネルディスカッションでも氏の軽妙洒脱な弁説が冴える中、強調したのはネットワークとしての地域公共交通の状況は10年すら先も見通せないまさに危機的状況だということ。和歌山電鉄や中国バスの事例は、何よりも地元というか利用者の理解と公的支援制度改革の賜物であるとし、それらを踏まえた抜本的改革策としての交通基本法成立を願うとともに、自らも形で示すことで理解を深めたいとの思いが2台のバスにも現れているとします。
というのも、公共交通衰退の一因には「子供が夢を持つような電車、バスが少なかったこと」こともあるだろう-電車はMOMOやたま電車等で具現化したもののバスやタクシーでは子供心を掴むのがなかなか難しい、今回の2台はそこにチャレンジしたものである…という御説にはなるほどなと。


ただ改めて2台を見るに、SOLARVEもSAIBUSもそれぞれ改装費が3000万円とコンセプトバスとしては許されるもののやはり高額、車内造作も凝ったとはいえ、座席配置等「乗る」という行為そのものについてのインパクトは数度で薄まる可能性もあるような。確かにMOMOにもそれは通じるのかもしれませんが(和歌山電鉄の車両は未見なのでなんとも)そこは鉄道車両の安定感というか、街を見る目線がやはりバスとは異なるのだなと改めて感じた次第で。端的に云えばボックスシートで背面座りでの違和感の有無にもなろうかと思いますが、実際に連節バス等で体感するところ微妙というか街への目線という意識に至らないフィット感といいましょうか。そこがデザインのし難さにも通じるのかもしれません。
外観でのインパクトでいえば幼稚園バスや観光系ルートバスや一部コミュニティバスでも先例はありますし、トータルでという意味ではスカイバス(日の丸自動車興業)や東京→夢の下町(都営バス)、視点を変えればリラックマバス(立川バス)なんてのも。その意味でディズニーリゾートクルーザーは衝撃的でしたが、2代目以降はコスト感が先に出た感じになったのが残念というか…。

つらつらと挙げてみましたが、やはりいずれも“非日常”のギャップ感を狙ったものだなと。その意味で「ネクスト100年」の路線バス車両の具現化を狙ったSOLARVEの更なる展開に鍵があるのではと感じました。非日常が日常になるという意味では“いつでも乗れる”というのが大切ですし、“どこででも乗れる”という視点も是非期待したいかなと-すなわち、オンリーワンからスタンダードを見据えた提案にチャレンジしてもらいたい。エネループだけでは勿体無いのでは、と思うのです。
ちなみに「エコ公共交通大国おかやま構想」では数年内の目標年数でバリアフリー・環境対応の新世代バス(電気・LNG)に入れ替えるともされており、そこに期待しましょう…おっと来年度にはついにMOMO2号導入が決定、岡電環状化時にはSWIMO車両導入もとされているところ、来年度の車両がSWIMOになるのかは不明ですが、その折になるかできればその前にでも、SOLARVEの乗り味を試してみたいと思います。


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