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(過去ログ-料金制度・ETC論-No.)

阪神高速のロードプライシング「強化」

投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/23 13:53:36)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

以前議論したテーマですが、阪神高速神戸線の大型車削減を図って開始されたロードプライシングですが、転移が伸び悩んでいることから、「社会実験」の一環としてさらに強化される見通しになりました。

今までの20%引きが40%引きになることで、200円引きが400円になるわけですが、この効果についてはどうでしょうか。
ETCを普及すべしと考えている私にとっては忸怩たる感想になりますが、現状の制度がETC搭載車に限定されていることも伸び悩みの原因と思います。もっとも、これは別納制度の廃止が本決まりになったことで、特に道路公団区間での価格優位性が強化されるETCの導入に弾みがつくと見られることから、現状のままでも好転が見こまれます。

しかし、前の議論でも指摘しましたが、そもそも湾岸線迂回については構造的な問題が多すぎます。
まず、湾岸線住吉浜から神戸線摩耶、京橋への乗り継ぎにおいて、摩耶への乗り継ぎとなると一般道路の走行区間が長くなりますし、京橋へは港湾幹線(ハーバーハイウェイ)の有料区間がネックになります。港湾幹線の料金が大型車が小型車と同額の200円に値下げされてはいますが、現状の湾岸線の値下げ分をちょうど相殺する形ゆえインセンティブが働かないのは自明です。

対策がもともと尼崎や西淀川の公害訴訟であり、港湾幹線を管理する神戸市(みなと総局)とは関係無いとはいえ、神戸線の削減により摩耶、京橋以東の区間で恩恵を受けます。そういう意味では、乗り継ぎのクルマについては無料もしくは100円にするといった思い切った措置を神戸市が連携して取ることにより、実行性を飛躍的に高められます。
具体的には、港湾幹線の摩耶大橋本線TBにETCを設置して管理すればいいのです。市本体と市の公社で別法人という問題はありますが、神戸市公社が現在ETC設置を進めているうちの一部を港湾幹線に流用出来れば早いでしょう。

また、摩耶への乗り継ぎ(生田川で降りて北神戸線乗り継ぎを成立させるために無くせない)でも恩恵を受けることで港湾幹線経由がいま一つなんですが、いかに製鉄所や発電所しかない工場地帯であっても、高羽から摩耶にかけての一般道の負荷が高まることはやはり問題です。特に灘の酒蔵ゾーンとして神戸市のシティループがこのエリアを巡回するようになっていますし。
そういう意味で、割引が利く乗り継ぎは、港湾幹線を経由することを前提にすべきです。その場合、港湾幹線経由での住吉浜-箕谷のダイレクト乗り継ぎを新たに認めるといった工夫も必要です。

ただ、そもそも論として神戸線と湾岸線の両天秤をかけられる大型車がどれだけあるのでしょうか。
阿波座以東と、摩耶以西の通過流動、また、阪神間を起終点にして阿波座以東もしくは摩耶以西に向かう流動に限られるわけですし、阪神間起終点の場合は、神戸線エリアと湾岸線エリアの間の行き来がいま一つ不便であり(湾岸線は沖合いの埋立地なのでアクセスルートが限られる)、かつその区間の一般道の負荷が高まる弊害もあります。
それを考えると、もともと効果があまり望めない対策だったのかもしれません。

環境ロードプライシングが招く「環境破壊」

投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/15 00:31:21)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

2月14日の大阪朝日(夕刊)に、2月1日から月内限定で始まった阪神高速湾岸線の環境ロードプライシング社会実験の中間報告が出ており、開始前の割引利用車(ETC車のみ200円引き)と比べて、今回の割引利用車(ETC車及び西・東区間通し券購入車のみ400円引き)は、第1週の平日1日平均1668台となり、1月平日平均の1203台に比べると約4割増と一定の効果を出したようです。
ただ、当初1600~2400台の利用を見込んでいただけに、「もっと利用を呼びかける」というコメントがあり、4日に行われた湾岸線や神戸線での影響調査にも目立った変化が無いとありました。

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こう来ると湾岸線シフトが奏効しつつあるという印象ですが、一方で社会実験開始直前に聞こえてきた地元の懸念が現実のものになっているという問題も出てきました。

湾岸線シフトは、神戸線京橋もしくは摩耶以東で湾岸線を経由して大阪方面に向かうことによる割引なんですが、ご存知の通り湾岸線は住吉浜で終わっているため、神戸線摩耶もしくは京橋までは一般道経由になります。京橋乗り継ぎはハーバーハイウェイ(港湾幹線)経由を想定していますが、別料金(大型・普通車とも200円)のため、1月までの割引だと完全に相殺される格好であり嫌われる傾向にあり、かつ箕谷乗り継ぎの北神戸線方面や摩耶埠頭、兵庫埠頭方面など港湾幹線が使いづらい流動もあります。

このため湾岸線の住吉浜から港湾幹線の無料区間を通り高羽で降りて右折し東明交差点からR43に入ったり、そのまま製鉄所沿いに臨港道路を通り摩耶に至る大型車が目立って増えています。そのため臨港道路やR43の麻痺のみならず、大石や新在家地区の生活道路や、臨港道路の延長になるHAT神戸(東部新都心)の住宅地にまで入り込むケースも増えており、灘区西郷地区(大石・新在家の南部。灘五郷の一)の懸念が新聞に載りましたが、不幸にも的中したわけです。

そもそもR43、阪高神戸線の公害問題の原因とも言える大型車は、実は阪神工業地帯である地元発着が占める割合が大きく、R43は公害道路であると同時に企業の生活道路であるという指摘がありました。R43をはじめとする臨港部の一般道は重量規制で高速道路を走れない大型トレーラーなどの通行も多いわけで、そこに本来「上」を走っていたはずの通過流動の大型車まで入ってきてはたまりません。さらにこれらのエリアは元々は工業地帯でしたが、震災後にかなりのエリアが住宅街に転じているわけで、尼崎や西淀川の公害訴訟対策で神戸の環境が悪化するのは問題です。

今回の社会実験は、迂回ルートが完備しないままにロードプライシングを行った場合の問題点を図らずも抽出した格好になりましたが、せめて港湾幹線の無料化や、中国道~北神戸線といった広域迂回の推進など、一般道への負荷を極小化する対策を併用しなかった時点で「失敗」と言えましょう。

国道43号線の問題の本質は何か

投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/16 19:25:13)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

今回の発端となった国道43号線および阪神高速神戸線の環境問題ですが、尼崎、西淀川の両公害訴訟における和解において、道路交通に関しては専ら大型車の交通量削減により環境改善を図るとしています。実際には中身に多少の差があり、尼崎は通行量削減をメインにしており、西淀川は環境汚染物質の削減をメインにしています。西淀川では和解を受けてあおぞら財団を軸とした再生案が進んでおり、単純な通行量削減だけではなくTDMなど多岐にわたるメニューによる解決を探っていますが、結果として尼崎の単純明快な対策がメインに考えられているようです。

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さて、こういう公害問題において、「交通量の削減」が本当に効果があるのでしょうか。もちろん強制的に数値目標を設定して通行を規制すれば達成可能ですが、通行する側にも理由はありますし、いわんや地域を起終点にする流動の規制では地域そのものが崩壊します。
そう考えると、単純な通行量削減というのは効果はあるが、実現可能性のある範囲に限定されるわけで、結局は実行性に乏しい策ということも可能です。

公害の原因は大型車の通行であることは間違い無いのですが、大型車の通行により「発生する事象」が直接の原因なのです。その意味で西淀川の取り組みは原因と結果の因果関係という意味では間違いの無いところであり、本当に取り組むべき対策は、形はどうであれ「環境汚染物質の削減」が得られる対策ということになります。

 そう考えた時、こうした環境汚染物質の排出は通行量に単純比例するのではなく、旅行速度に逆比例するという事実を重視しなければなりません。 例えば国道357号線、市川市高浜交差点前後の車線拡幅による効果や、東京地域の沿道環境改善を目的とした道路整備方針に関する資料にあるように、渋滞解消対策をとることで旅行速度の向上が達成されたことで、交通量が横這いもしくは増加であっても環境汚染物質の排出を二桁パーセントレベルで削減することが可能であることはもっと注目すべき事象です。

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その前提で国道43号線の問題を考えてみましょう。
弁天町から阪高17号西淀川線の延長のような立体道路が西淀川区中島大橋まで伸びていますが、ここからは片側3車線と恵まれたスペックながら、その大半が平面交差というのが実情であり、主要道路との交差点で見れば、甲子園駅前と、国道2号線に合流する摩耶交差点の2箇所しかないわけで、こと立体化という意味では大都市圏の幹線道路としては最低水準ともいえます。
さらに騒音対策という意味で最高速度が40kmに抑えられているばかりか、22時-6時の間は特殊な信号制御となっており、青信号の時間が極端に短くなっているため、通行量によっては信号交差点ごとに赤信号に引っ掛かります。

これでは環境汚染物質の排出が増加する低速度による運行を促進してしまうばかりか、通過台数が減ることで国道2号線、山手幹線その他の並行道路の負荷が高くなるわけで、国道43号線のみならず阪神間の帯状の地域に環境汚染をかえって増加させている疑いすら持たれます。

尼崎や西淀川エリアでは湾岸線が2~3km沖合いを通っているため、このエリアを起終点とする流動は湾岸線へシフトしづらい問題があります。そのため迂回策はあってもある程度の流動は国道43号線で負担しないと行けない構造なだけに、処理能力が高められない構造は問題です。
さらに、阪高神戸線との関係でいうと、中島大橋で合流するまでは阪高は阿波座、国道43号線は弁天町と全く違うエリアを対象にしているわけですが、阪高神戸方面と弁天町方面の行き来は、西行きランプが尼崎エリアを通り越した尼崎西までないため、尼崎市域の国道43号線の負荷が高くなっています。
もちろん湾岸線を使えばいいのでしょうが、淀川河口の「島」へのアクセスで考えると、湾岸線や大阪港線でアプローチ出来る「島」としづらい「島」があるわけで、簡単には行きません。

こうした環境汚染物質の排出に密接に関係する旅行速度の問題や、流動が輻輳せざるを得ないネットワークの問題など、一見「クルマの改善」に見える施策が結果としては環境改善につながる面もあることを、もっと知るべきであり、それによって通行量削減と言うストレートな対策も活きるのです。

「効果無し」の判定だが

投稿者---エル・アルコン氏(2004/03/30 15:57:36)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

ロードプライシングの効果は「無し」という判定だそうです。

2月の1ヶ月間試行された阪高湾岸線のETC車および通し割引券購入限定で大型車4割引という社会実験ですが、効果が無かったという判定を兵庫県などがまとめました。
シフトしたのは1日平均で300台、率にしてわずか1.8%ということですが、月中の速報値ではもともと1200台ほどのシフトがあったところへの上乗せであり、シフト数で見れば25%ほど増えたという見方も出来ますし、実際、乗り継ぎ区間の一般道の渋滞劇化と言う「結果」を考えると、相当増えたという印象でした。

そもそもシフト数の判定についても、阪高神戸線やR43の車両のうち、本来分母に座るのは、湾岸線にシフトし得る車両であり、神戸線やR43で行くしかないクルマをいれても意味がありません。
そうした状態での比較は無意味であり、逆に現状での乗り継ぎ区間の負荷劇化を考えると、来年度の「より効果のある実験」がもたらす負の効果に懸念を覚えます。

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阪高湾岸線、「全通」へ一歩

投稿者---エル・アルコン氏(2003/11/14 10:08:26)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

空港板にするか迷ったんですが...(苦笑)

阪神高速湾岸線のうち、都市計画未決定のまま放置されて来た六甲アイランド北-長田区駒が林付近ですが、神戸空港の開港が具体化してきたことや、環境ロードプライシングの実効性を上げる目的から、現在六甲アイランド北で止まっている湾岸線を延伸して、都市計画の決定が済んでいる区間を通じて既開業の名谷JCT-垂水JCT間に接続させ全通させることを検討することになったものです。

都市計画決定済みの区間も、須磨浦公園付近をトンネルで抜いて、須磨の海岸の沖合い海上を通過し、駒が林付近へは途中トンネルとなかなか奇抜な案ですが、今回の区間は六甲アイランド-ポートアイランド、ポートアイランド-和田岬間で海上を通過するわけで、こちらも難工事というか困難な設計が予想されます(両区間とも既存の防波堤を利用する手はある)。

開通すれば通過流動対応はもちろん、神戸空港への大阪、東播・淡路両方面からのアクセスが飛躍的に改善されることは必至で、期待が持てる構想です。
特に現在中途半端な効果に終わっている環境ロードプライシングも、名神との関係はともかく、事業中の大和川線を介した名阪・伊勢湾岸道ルートなどとのコラボレーションにより、京阪神圏通過流動の受け皿としての機能が強化(現状はまさに「片肺」状態)されることになります。

ちなみに、市街地図を見ると分かるんですが、六アイ、ポーアイとも湾岸線用地は既に確保されており、六甲アイランド北ランプもポーアイ方面への本線構造物がわずかですが完成しています。

乗り継ぎルートの多様化による負荷軽減を

投稿者---エル・アルコン氏(2004/03/30 15:57:36)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

阪神高速湾岸線の計画区間のうち、都市計画決定がなされていない六甲アイランド北-駒が林間についてのPIが進んでいます。沿線住民からの意見聴取なども始まっており、長くストップしていた計画が動きだしています。

神戸線、R43の負荷軽減を狙った湾岸線シフトの社会実験が思ったほどの効果を上げなかったこともあり、結局は現在未完成の六甲アイランド北-駒が林-名谷間の開業による湾岸線全通という正攻法をとるということでしょうが、六甲アイランド-ポートアイランド-和田岬間に、大型外航船の通過が可能な長大橋を架けるしか手は無い区間であり、建設コストもさることながら、摩耶埠頭、六甲アイランド西側、ポートアイランド東側、兵庫埠頭という神戸港の心臓部ともいうべき港湾施設との干渉も心配されるため、実現へは相当な困難が予想されます。

***
さて、湾岸線と神戸線の間には乗り継ぎ制度がありますが、湾岸線→神戸線に関してのそれは、ある事情により神戸地区の乗り継ぎ方法と違うやり方になっています。
つまり、他の神戸地区の乗り継ぎでは料金支払時に乗継券を請求するのに対し、ここでは南芦屋浜(本線、入口)、深江浜での支払時ではなく、住吉浜の出口ブースで請求します。そう言いながら魚崎浜から入り、六甲アイランド北から乗り継ぐ場合は魚崎浜での支払時になっています。

逆パターンは入口もしくは本線TBでの支払時に統一されており、住吉浜出口利用の時だけの例外と言うのは混乱のもとなんですが、実はこの問題、関係者に聞いた事があるんですが、南芦屋浜で乗継券を発券した場合、深江浜で降りて、深江からR43で摩耶に向かうケースが出るのを防ぐ理由があるそうです。

考えて見れば妙な話で、それならば深江浜-深江の乗り継ぎを認めれば済む話です。
実際、この区間、深江浜で降りたあとは深江と深江浜(東部第四工区)を結ぶ片側三車線の臨港道路を通り、深江交差点でR43に入れば深江ランプまではすぐで、広く分かりやすい道を2km程度の道のりです。強いて言えば、東行きを深江出口で降りた場合、R43に左から合流し、深江神大前(旧神戸商船大前)交差点を経て深江交差点までの500m強の間で、3車線をまたいでその右側に2車線ある右折車線まで車線変更することがやや難しいということでしょうか。
可能ならば、深江のオフランプをそのまま潜らせて、深江浜への道路へダイレクトに入れる短絡路を作れば解決します。

神戸線への負荷が高まる懸念がありますが、もともとハーバーハイウェイを通らない乗り継ぎであれば、摩耶以西で合流するので、負荷の高い摩耶-生田川には関係無い、いや、摩耶での合分流と車線変更が減ることでかえって好転する可能性もあります。
また、埋立地の奥で行きづらい魚崎浜や、ハーバーハイウェイ(無料区間)高羽ランプから入らないと入れない住吉浜を考えると、魚崎ランプ、また摩耶ランプから入り、深江から湾岸線という選択肢を提供することは、湾岸線シフトに好影響かと思います。

湾岸線シフトが今後強化される事を考えた時、乗り継ぎ流動の分散を考えなければ、既存ルートの負荷が高まるだけです。東行きの場合、摩耶および京橋からの乗り継ぎだけでなくポートアイランドなどから初めて阪高に入るクルマの総てが集中する住吉浜ランプが、手前が1車線に絞られることも含めてパンク気味であることを考えると、深江ルートの活用などで負荷を軽減することで、乗り継ぎ時のイライラを解消することは意義があることと考えます。


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