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(過去ログNo.)

空港タクシー乗車の記

投稿者---和寒氏(2002/10/12 00:03:08)
http://www.geocities.jp/history_of_rail/

拙HPに下記の一文をアップいたしました。これが「中量輸送」にマッチする内容かどうかは若干疑問はありますが、かなり魅力的な交通機関であることは間違いので、御紹介いたします。どうか御笑覧あれ。

■続・空港タクシー乗車の記

長野から羽田・成田・小牧各空港までの空港タクシー、再び利用する機会を得たので改めて詳しく記してみたい。
とある週末、筆者は札幌に行く所用ができた。本来であれば、羽田発の金曜日最終便に搭乗したいところだが、仕事の都合でどうしても間に合わない。そうなると土曜日始発便を使わざるをえないが、これに接続する新幹線「あさま」など存在しない。
残る選択肢は、空港タクシーしかない。夜行便になるから辛いなと思いつつ、やむなく予約を設定した。

わが家にタクシーが横づけされたのは、土曜未明1時過ぎ。既に先客があり、須坂から乗ったという女性客が前列シートに陣取っている。こちらは後列シートに座って、一定の距離を保つことにする。狭い空間での乗り合いだから、それなりに気を遣わなければなるまい。この女性客はその点無頓着で、整髪料の匂いがかなりきつかった。
タクシーは長野市内を巡り、もう1人の女性客が乗車してくる。この客は中列シートに座って出発進行。運転士の説明は明るくきびきびしていて耳に心地よく、好感が持てる。
上信越道長野ICを1時35分に通過。未明の高速道に渋滞などなく、快調に進む。後列シートは3人掛けで、ここに横になればよく眠れるかと思いきや、タクシーは路面の凹凸をよく拾うようで、振動がシートからじかに伝わりほとんど眠れない。
横川到着2時30分、最初の休憩である。飲物を求めて渇いたのどを潤す。横になっては眠れないと運転士に申し出ると、それならばシートをリクライニングさせましょうと便宜を図ってくれた。
今度は実に快適である。出発した瞬間眠りにつき、目覚めた時は三芳であった。時計を見ると3時30分、横川では起き出して電話をかけるほど元気のあった相客2名も、ここではすっかり熟睡している。
再び目覚めた時には、もはや羽田空港目前であった。到着時刻は実に4時30分。復路のピックアップの説明があったため、解放されたのは5時になってからだが、それにしても速い。搭乗便のチェックインまで40分、朝食をとろうにも開いている店はなく、しばらく手持ち無沙汰なほどであった。

中央タクシー
長野と羽田・成田・小牧各空港を結ぶ空港タクシー
(羽田空港にて平成14(2002)年撮影)

昨年時点と比べ「空港便」というロゴが付加されており、かなり派手になった感じがある。なお、通常のメーターも設置されているようで、大型タクシーとしての運用に就く場合もあることがうかがえる。

■安い!速い!

空港タクシーの運賃は、長野-羽田空港間で6,900円。新幹線を圧倒する安さである。そして、実質的な所要時間はわずか3時間強。これは速い。自宅から空港ロビーまでの総所要時間を考えれば、新幹線に匹敵する超高速モードといえよう。未明の渋滞がない高速道を往くとはいえ、侮りがたい高速性である。
安いうえに速い、しかも重い荷物も楽に運べる、搭乗便にあわせ時間を有効に使える、等々利用者にとってのメリットは数多い。
自宅からそのまま出かけられる、という点も大きい。新幹線も速くて便利ではあるが、長野駅までが遠い。駅まで(から)タクシーということも往々にしてある。運転士によれば、長野近郊だけではなく、北は飯山まで回ってくれるそうだ。ここまでエリアが広いと、利用者としてはおおいに都合がいい。

■ニッチの需要でじょうずな商い

そうはいっても、タクシーはワゴン車、定員は7名にすぎない。需要としてはニッチ、とみなされるのが普通である。
しかし、ビジネスとして考えれば損益分界点は相当低い側にあり、需要波動次第ながらなかなか収益的な事業なのである。
現在の運賃設定では、1人目の客で物件費(高速料金とガソリン代)がほぼ相殺され、2人目の客で人件費と車両償却費の一部が賄われ、3人目の客がいれば利益が出るものと考えられる。往路は3人乗車だから、おそらく利益が出ているはずだ。
問題は帰路どれだけ乗るかである。早朝の羽田空港に到着便などない。運転士に尋ねてみると、これから成田空港に回送のうえ、長野までの客を7人乗せて帰るとの由。4人目以降の運賃は全て純益だから、かなり太い商いである。

■快適と安心

ワゴン車とはいえ、タクシーのシートは深い角度までリクライニングする。そのため、眠るのにも快適だ。筆者は寝台車以外の夜行列車では熟睡できたことがない。ところが、このタクシーにおいてはあっさりと眠りに就けた。それだけ快適だった証である。
また、相客2名はいずれも若い女性であった。仮に今日でも長野-上野間の夜行列車が運行されていたとして、彼女たちは鉄道を利用するだろうか。その答は、残念ながら「否」である。いささか語弊のある喩えながら彼女たちには「鉄道を使う雰囲気」がない。いや、この喩えは逆であろうか。「鉄道には若い女性に好まれる雰囲気」がない、と認定した方が現実に合致していそうだ。
夜行列車とタクシーではどこが違うのか。それは安心感である。タクシーが扉を閉めて出発すれば、痴漢や置き引きにあう危険など顧慮せずにすむ。夜行列車(特に座席車)はあまりにも開放的で、利用者にとっては無防備なのだ。停車駅が多いというのも、不安を惹起する一要素といえる。

■柔軟性こそ空港タクシーの魅力

空港タクシーは利用者に快適と安心を提供し、しかも廉価で高速性も備えている。集客エリアは幅広く、善光寺平をほぼ網羅している。これだけの要素が揃っていて、なぜ未だニッチなのか。不可解ですらある。
長野から首都圏への需要の大部分は新幹線が担っている。長野-東京間は遅い列車でも2時間以内、新幹線の優位が動くことは当面考えられない。しかし、運行頻度は毎時1本+αと固定されているし、夜行列車の運行もない。重い荷物を持って駅まで行くのは億劫な時もある。
大量高速輸送が鉄道の本義であれば、柔軟に利用者のニーズに応えるのが空港タクシーの魅力なのであろう。これは相互に競合しているというよりも、むしろ補完関係といえるかもしれない。 空港タクシーが今後どれほど伸びるのか。今後の展開は要注目である。

 

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限界事例から新しい潮流になるか

投稿者---エル・アルコン氏(2002/10/15 15:34:56)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

ここまで来るとバスとタクシーの区別が難しいですね。先日利用した広島空港から竹原駅・竹原フェリーへの「リムジン」はまさにワゴン車のタクシーであり、乗客は私1人だったのでジャンボタクシーを値切り倒したような格好でしたし。

***
少し事例は違いますが、微妙な共存例として津田沼駅北口での事例があります。
まだ習志野台に住んでいた2000年当時の話でして、変化があるかもしれませんが、当時は習志野台方面へ終バス発車後に「乗合タクシー」なるものがありました。

23時過ぎの各方面への一般バス終了が近づくと、終バスが早いちばレインボーバスの乗り場付近にポールが4つ立ち、最終が出ると習志野台方面、高根台方面、高津方面と前原公団方面の乗合タクシーのはじまりです。
運賃は習志野台の場合1200円程度だったように記憶しており、自衛隊から習志野台3丁目、北習志野駅入口を通り第1小学校までと、駅には入らないものの習04系統のバスをトレースしています。

乗降のルールとして、まず「3人揃うまで発車しない」という大前提があります。これは簡単なようで難しく、目の前にクルマがあっても客が来なくてえんえんと待った経験もあり、係員と運転手相談のうえ2人で出したという経験もあります。
次に、降車はルート上の任意の地点で行うというのがあり、家の前まで寄ってというのは反則です。
料金収受は乗り場で係員に払う体裁で、タクシー側は乗合表示のゲンコツ営業です。

実はこの時間帯、新京成の電車はまだありますし、高津と前原公団(千葉病院)は深夜バスもあります。ですから、電車・バスと乗合タクシー、そしてタクシーの3種が並存するという非常に珍しい形態になっています。
各者の得失は、電車・バスは料金が安い(深夜バスは2倍だが)、発車時刻が決まっている(任意に出せないデメリットだが、数が揃うまで出ないということは無い)、停車場所が限定ということ。タクシーは乗ったらすぐ発車で家の前まで行くが、料金が高い。乗合タクシーは料金が低めだが停車場所がルート上に限定、そして人数が揃わないと出ないという塩梅です。

ちなみに習志野台3丁目までだと、バスだと200円程度の区間が、深夜タクシーで1200円程度、タクシーだと2000円前後になります。
私の場合はこの選択が悩ましく、新津田沼駅まで行って電車に乗って北習志野駅から歩きを考えるとバスになびきがちでしたが、乗合タクシーだとバス停の30mほど手前で降りられる程度のメリットになり、タクシーだとそこから50mほど入って家まで来てくれるという微々たる違いです。
駅の乗合タクシー乗り場が20mほど改札に近いこともあり(爆)、酔った頭で考えることもしばしばでした(苦笑)

***
乗合タクシーとなると扱いが難しいようで、国交省のリストでも、津田沼駅からの乗合タクシーがあったり、印旛村内のバスとして認識されている路線があったりとはっきりしません。
長野の空港タクシーも、飯田ICにあった小牧線の下車ポールなんかをみるとリムジン然としており、限界事例のようですが、こうした既存の枠にとらわれない需要本位の枠組み再編が進むのでしょうね。

乗合タクシーから連想して

投稿者---和寒氏(2002/11/11 11:41:58)
http://www.geocities.jp/history_of_rail/

遅レスですが。

船橋の乗合タクシーといえば、朝のグリーンハイツから船橋駅に向かうものが強く印象に残っています。4人満載のタクシーが陸続とやってくる姿は、なかなか壮観でした。ただ、所要時間節約を図っているのか、小学校生徒の登校時間帯に進入禁止となっている道路にまで平気で進入してくるのは如何なものかと感じてましたが。

このような事例を眺め回して思うに、運賃の根拠がどこにあるのか、ちょっと考えてしまいます。単純にコストを転嫁しているのか、それとも一般的と認められる「相場」が存在しているのか。
やや飛躍した例示になりますが、都バスが大渋滞にはまってある区間2時間を要しても、お客さんに請求できるのは200円でしかない。その一方、高速バスが2時間も走れば、数千円単位で運賃を求めることができる。
先の空港タクシーにしても、いくら乗合とはいえ新幹線より安いというのは凄い価格設定です。ところが、一般のタクシーで同区間を乗れば、いったいいくらかかるのか想像がつきません(5~10万円の間くらいかな?)。3人乗車で頭割りしても、片道の運賃だけで新幹線の往復乗車より高くつくことは確実です。同じような自動車に、同じ区間を乗っても、です。
以上は極端な例であるとしても、運賃の根拠を単純明快に説明できないものでしょうか。

Re:乗合タクシーから連想して

投稿者---中川氏(2003/01/01 13:32:02)

拝啓
私の住んでいる京都では、かのエムケイタクシー及び弥栄タクシーの2社が、空港乗り合いタクシーを展開していますが、前者の方は、京都~関空、京都~伊丹の2空港までを走らせていますが、後者の方は、京都~関空のみだけを走らせているそうです。
私は家族と祖母の葬儀のためと、1周忌のために新潟へ飛行機で行くときに、伊丹空港行きの乗り合いタクシーを2回とも行きの時だけに使いましたが、2回とも既に先客が乗っておられました。
最初は、タクシーは個人だけで乗るものという先入観があり、先客が乗っていた時点で普段から自家用車にあまり乗ったことが無かったのでどうやって乗るかについてもものすごく戸惑いましたが、時間がたつにつれて、他の乗り物では味わえない快適さが勝るようになって来ました。
小さな子どもさんを抱えている方、身内に高齢者、障害者のいる方、高齢者、障害者の方、普段から自家用車を使って飛行場へ行き来する方、大きな荷物のある方にはお勧めかもしれません。 なお、JRの特急停車駅までの乗り合いタクシー券とJRの特急のチケットが同時に手配されるというサービスがあるといいかもしれません。

敬具

空港タクシー繁盛記

投稿者---和寒氏(2003/01/06 22:49:31)
http://www.geocities.jp/history_of_rail/

中川様、御返事ありがとうございます。

小さな子どもさんを抱えている方、身内に高齢者、障害者のいる方、高齢者、障害者の方、普段から自家用車を使って飛行場へ行き来する方、大きな荷物のある方にはお勧めかもしれません。

空港タクシーの魅力は、まさにこの部分だと思います。大きな荷物を持って、しかも疲労困憊している海外旅行の帰途にあっては、自宅玄関まで送ってもらえるタクシーの効用は大きいと思います。
昨日も上信越道を移動の最中に空港タクシーを見かけました。横川で休憩中の同車には現認しただけで5人乗車、ひょっとするとまだ数人乗っておられるのかもしれません。所用と食事後に帰宅したところ、二件隣のアパートに到着したタクシー(時間帯からして先とは別便)も見かけました。
おそらくは、いずれも海外旅行の帰途、成田からのお客さんなのでしょう。最繁忙期の姿を見たような気がしました。これだけの利用があれば、相当な利益が出ていることは間違いありません。勿論、季節曜日波動はあるのでしょうが、需要がない日は走らせなくていいというのもタクシーの利点です。

この空港タクシーを見るにつけ、需要としてはニッチなのだろうと思いつつも、たった数人/日の需要で商売が成立してしまう、というあたりに交通機関の特性としての面白さを見出せます。
また、これと対比して、まとまった需要がないと成立しえないマストラの難しさをも感じてしまうのです。


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