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小松小探訪記

ショート・トリップ@乗りもののまち・こまつ

過日、シゴトで石川県へ-半日出張で済むところを前乗りして前日は福井泊、当日は昼前に東京から飛んでくる上司を小松空港に出迎えるまでがフリー、というわけでちょうど小耳にしていた話題を実見することに。正味1時間程だったのですが、コレがなかなか興味深くて…折角なのでざっくり御紹介-「乗りもののまち・こまつ」ショート・トリップです。

小松小探訪記

石川県南部に位置する小松市は、北陸の空の玄関口とともに日本海空域の要でもある小松空港/小松基地を擁するとともに、世界的建機メーカーであるコマツをはじめとした産業都市でもあり、当方自身ビジネス色の強い印象を持っていたのですが、勧進帳で知られる安宅関があったとされることなどから「歌舞伎のまち」として(ちなみに左は2010年の市制70周年記念で誕生したイメージキャラクター「カブッキー」)、また豊かな自然環境から全国11番目・北陸初認定の「環境王国」としてもアピール中! 隣町の根上町(現能美市)出身という印象が強いですが、松井秀喜ベースボールミュージアムも小松駅・空港から実はそう遠くない距離にあり、観光資源豊富という印象を改めて受けました。

そんな小松で最近気になった話題を【検証:】的交通関連NewsClipから2つほど。

1つ目は特急白山や雷鳥、急行能登で活躍したクハ489-501が駅近くに整備された土居原ボンネット広場(左地図赤ピン)にこのGWから常設展示されたというもの。そして2つ目は空港傍にある石川県立航空プラザ(同青ピン)に、市内在住だったコレクターが蒐集した民間航空ダイキャストモデル約3000機が寄贈され、先ずは特別展が開催中というもの-これまたアピール中である「乗りもののまち」小松の注目スポットというわけですが、そういえば駅と空港・航空プラザを結ぶ路線バス(黄ルート)には4月から全国でも3番目となる日野ポンチョEVバス「宇宙バスこまち☆」が投入されたんですっけ-このクルマもJR粟津駅至近のジェイ・バス本社小松工場製ですな。


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【こまつの杜】

2002/11の高架化から10年を経た小松駅、その東側にはコマツの小松工場が占めていたが、リーマン・ショックによる急激な環境変化に対応すべく2010/03で閉鎖し金沢工場に移管。東京ドーム約3個分、13.4万平米に及ぶ跡地活用として、まずその約半分ほどの敷地に、グループのグローバルな人材育成の拠点とするとともに地域社会と一緒になり子供たちを育む場所として再生するプロジェクト「こまつの杜」が整備されたのが会社創立90周年を迎えた2011/05。それからちょうど丸2年を迎えた訪問となったが、今秋の「サイエンスヒルズこまつ」完成を控えて小松市が地名も「こまつの杜」に変更するとの由。まさに地域に根ざしたといったところだろうか。

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駅から見渡した「こまつの杜」、右奥のビルが「コマツウェイ総合研修センター」、その手前の和風建築物は当地にあった旧本社社屋を復元した「わくわくコマツ館」だが、なんといっても目を惹くのは電気駆動式超大型ダンプトラック「930E」-子会社のコマツ・アメリカが1995年に開発、全世界の鉱山で稼働台数650台超というベストセラー機種は最大積載量290t。2008年からは後継の「960E」に移行、ほぼ同サイズで327t積載可能に-当方が宇部興産伊佐鉱山で見たことがあるのが60t、日本最大級は高知県須崎市の日鉄鉱業鳥形山鉱業所に「730E」186tがいるらしいが、ワールドクラスのどデカさが伝わるだろうか…更にはパンタグラフつきの「トロリー式ダンプ」というのもいるとか、奥もなかなか深そうだ。
鎮座しているのは南米・チリのロス・ペランブレス銅鉱山からはるばる海を渡ってきたもの、さすがにそのままというわけには行かず分解再組立とはいえパーツからデカい。この日は月曜日とあってわくわくコマツ館は休館日、930Eも外観こそ見学可能だったもののビル3Fに相当するという運転席試乗はできなかったが、その迫力たるや十分堪能させて戴いた次第。

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【土居原ボンネット広場】

駅西口から高架沿いに真っ直ぐ北へ3分程歩くと、「土居原ボンネット広場」に到着。おめかししてから日も浅いクハ489-501が迎えてくれた。同車は1971年東急車輛製、言わずと知れた横軽協調運転対応車で、特急「白山」「あさま」を中心に活躍。総勢14編成もボンネット型5編成、貫通型5編成、非貫通型4編成と3タイプあるのも特色、しかも急行「能登」で最後まで走りきったのがボンネット型というのも“らしい”というか。
車内公開は土休日のみということで入れなかったが、当方訪問時には関係者の方が清掃作業中-というわけなのか、前面愛称板には文字の雷鳥、左側面前位サボ「白鳥」後位方向幕「はくたか 金沢」右側面後位方向幕「みどり 大阪大分」…思わず『節操ないなぁ』なんてツイートしてしまったが、半月で約100点もの寄贈があったとは凄いなと…それにしても、489系ボンネット型は白山就役前に九州特急にも充当されていたことがあるとは知りませなんだ。

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それにしてもこの公園、文字通りというか車両がポンと置かれて、植栽が少しばかりあるだけの広場。各種イベントを意識した構成なのだろうが、今後どのような歴史を刻んでゆくことになるのか…形態は違うが、お隣・白山市では1986年から松任青少年宿泊研修センターで列車ホテル「なかよし号」として活用されてきた旧型客車2両とEF70-57が老朽化で3月末を以って営業終了に。EF70は国鉄特急色に変えられているが北陸本線電化の貴重な生き証人だが、さて…。
その意味でも屋根なしの静態保存というと老朽化をつい気にしてしまうが、熱意ある誘致団体の存在とともに、尾小屋鉄道の静態保存施設「ポッポ汽車展示館」もある小松のこと、末永い“第2の車歴”に期待したい。

  • Photo:宇宙バスこまち☆
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【宇宙バスこまち☆】

小松駅東口にはコンパクトで小洒落たバスロータリーに4バース、別に改札口寄りに小松空港行乗り場がある。朝ラッシュ過ぎの10時前とはいえ、南手の小松大和跡(2010/06閉店)が象徴するかのようにまばらな人通りが気になった。

ところで小松市では2010/10から市内循環コミュニティバス「こまち」を運行。ブルーとオレンジのポンチョがちょこまか走っているところ、今年3月末からイエローが仲間入り…これが冒頭紹介の「宇宙バスこまち☆」、2012/03運行開始の東京・羽村市(でんきバスはむらん/西東京バス)と墨田区(すみだ百景 すみりんちゃん/京成バス)に次ぐ日野純正のEVポンチョ営業車両だ。こちらは小松駅~小松空港・航空プラザ間「空港EVライナー」として4.5往復、合間に航空プラザ発着で空港周辺を周遊する「スペースEVツアー」3往復にも充当されている。
当方は2012/12の中日新聞記事で概要を知ったのだが、サイエンスヒルズこまつも意識しての「空」「科学技術」「宇宙」をテーマとしたオリジナリティ溢れるそのイメージ画像に思わず絶句…「宇宙船をイメージした」という内装が、かのWILLER TRAVELが2012/08に投入した「体験型アトラクションバス STAR FIGHTER」を意識したかのようなモノだった故-そういえばSTAR FIGHTERもクルマは日野セレガだったなと。流用、なんて云ったら怒られそうだが、これは気になっていた。

小松駅10:10発便に乗るべく乗り場に向かうと、ロータリーにはちょうどブルーこまちと並んで待機中。合間を小松バスのリエッセが走り抜けていったが、フロント上部のデザインに思わず“血筋”を感じたり…その上で宇宙バスこまち☆のエクステリア細部に拘りが感じられたが、なんといっても驚かされたのはインテリア。座席自体は既成品ながら、シール等々でこうも雰囲気が出るものかと-当方はSTAR FIGHTER未乗だが「外が見えないクルマ」というのはなかなか…ただ、当然ながら前面と背面もフィルム貼りされておらず思ったほど暗くはなかった。ただポンチョゆえ特に中央ノンステ部だと前面展望はイマイチ、その意味ではむしろコンセプトに奏功した造作ともいえようか。

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座席横にはイマイチよく判らないボタンのギミック、窓の上下には青色LEDが時折流れるなどの“雰囲気”を楽しんでいるうちに発車時刻、もしや貸切…と思ったものの間際にスーツケースを手にした男性2人が乗り込んで出発。ハンドルを握るは女性ドライバー、いきなり『本日は祭礼のため迂回運行となります』宣言が…実は曳山子供歌舞伎で知られる「お旅まつり」のちょうど最終日、EVバス乗車後のシゴト移動時に子供囃を見掛けたが中心部の学校は休校となっている様子、それもあって駅前の人通りが少なかったのかもしれない。

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最前面のモニターでは電力回生状況を表示。市街地では放電モードだったが、空港近くの前川越えでは充電モードが確認できた。運転席背面のモニターでは運行案内と 宇宙空間を軽やかに?走る宇宙こまち☆が目を楽しませてくれるが、ただただ映像が流れるのみ…EVバスゆえその静寂性を強調したいのもあるだろうが、宇宙服を着たカブッキーになにか喋らせるなり、STAR FIGHTER程でなくてももう少しストーリー性に期待したいような。空港発だとまた違うのだろうか。
モニターやらを見ているうちに気づけば小松空港に到着し2人降車、当方は終点の航空プラザまで。待ち合わせまでの時間が然程無かったことから航空プラザ見学を優先したが、プラザから出るとちょうど急速充電中。1回の充電で約30km走行可能、片道約4.5kmということで余裕はあるのだろうが、大きくはないもののブーンと唸りを上げる急速充電設備の表示を見ると充電率68%、残り54分となっていた。ポンチョEVは「短距離走行/高頻度充電」をコンセプトにしているとはいえ、EVバスの実用性という意味ではまだまだ課題があるのだろう、まさしく“Marketing Design Custom EV”とも書かれていたが、寒冷地での経験を軸に更なる技術開発の進展に注目しておこう。

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【石川県立航空プラザ】

小松空港ターミナル北側にある1995/11開設の石川県立航空プラザは「日本海側唯一の航空機の博物館」だとか。当方の目的は「民間航空ダイキャストモデル展」だったのだが、なかなかの規模にびっくり!成田の航空科学博物館が延床面積3750平米のところこちらは6018平米、格納庫然とした構造物は解説エリアと展示機スペースに分かれており、航空機の歴史、飛行原理、役割などをパネルや模型等で詳しく説明、故障中だったがYS-11のフライトシミュレーターや管制シミュレーターも。展示機は実に16種…T-2ブルーインパルス(2代)やF-104J“スターファイター”もいるそうで。時間の都合で展示機スペースまではじっくり見られなかったが、ヒコーキの世界は初心者レベルの当方でも是非再訪したいなと思わせるに十分だった。

さてダイキャストモデル展、市内在住の夫妻が実に40年に渡り収集してきたものの、神奈川県に転居するにあたり保管場所に困った末に航空プラザに寄贈されたもの。手のひらサイズのミニチュア機とはいえ「圧巻の3000機」というコピーに違わずその量に圧倒!加えて細部や機番が異なり同じものは1機もないというのが凄すぎる-こればかりはコトバでは語り尽くせないなと。百聞は一見に如かず、08/31まで公開されているので是非に!ちなみに小松空港ターミナル1Fにもその一部が展示されていたが、是非とも継続した公開、更には説明やエピソードなどが加われば更に価値ある資料となるものと大いに期待したい。

小松小探訪記

本編でも触れたジェイ・バス工場やポッポ汽車展示館のほか、小松市には日本有数の収蔵台数を誇る日本自動車博物館もあるなどまさに「乗りもののまち」。次々と新しい展示物が増えることでその魅力はどんどん膨らんできますね…個人的には今回駆け足で巡ったエリアならレンタサイクルでもあればと思ったところ、そこは抜かりなく2年以上の社会実験を経て4月から駅前のこまつ芸術劇場うららで対応している由…粟津駅前でも社会実験が行われているようですが、空港他でも乗り捨てできればとも。
そして「サイエンスヒルズこまつ」との連携が注目されるEVバスですが、市内に点在する名所を有機的につなげる役割としても期待されているのか、その車体には芦城公園や木場潟、那谷寺、粟津温泉、片山津温泉、ハニベ巌窟院などがローマ字で書き込まれていたり。コンセプトがコンセプトだけに横展開はなかなか難しいでしょうが、空港連絡バスとしての役割とを考えると「乗りもののまち」周遊運行というのもひとつのウリになりそうな気がしますが…ともあれ、皆様にも是非オススメ致したく!

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全国産業観光フォーラムinこまつ

投稿者---551planning (2013/09/03(Tue) 14:57)

別件で小松市サイトを見たら、おっと!

11/21(木)・/22(金)の2日間開催で、初日に分科会と記念講演・交流会が、翌日はエクスカーションとしてバリエーション豊かな7コースが設定されていますね。分科会は正直食指が動かないのですが、同日には930E乗車体験やEVバス無料運行、ボンネット型電車運転席無料見学も出来る様子。航空プラザの民間航空ダイキャスト展は8月末で終わってしまったようですが、航空プラザはもう1度見たいなぁ。エクスカーションは航空プラザ・航空自衛隊小松基地&日本自動車博物館か、尾小屋鉱山資料館(マインロード)&コマツ粟津工場・こまつの杜も捨てがたいなぁ。もう寒ブリの時期だろうし、ちょいと考えてみるかぁ。


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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