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南快ライナー

新潟「高速バス通勤」体験ふたたび ~南快ライナーの可能性~

首都圏でも『ひそかに注目を集めている』通勤高速バスですが、先進地の1つとして新潟圏が挙げられます。1978/09の北陸道開通による高速バス新潟長岡線(新潟交通・越後交通)開業を端緒に、途中に設置された高速BSからの通勤通学需要がみるみるうちに増え、駐車場整備等が後追いで進められてきた経緯については、【検証:】でも2007/12の実見とともにまとめている次第ですが、そんな新潟から見逃せない新路線が!。

『南区(白根地区中心部)から新潟駅南口へ、混雑が著しい国道8号を迂回し、広域農道や高速道路を活用したルートを運行する社会実験バス』が09/03~02/28の平日朝に2本設定、なによりのポイントは黒埼スマートインターチェンジ(以下SIC)から北陸道を経由するというもの-各地で整備が進められているSICですが大型車非対応であることから運行車両が『小型観光バス(定員24名)』と明記されているところ、どんなクルマが現れるかも楽しみにしつつ、11/05(月)に実乗してみました。


白根地区中心部は旧白根市、2005/03の広域合併で新潟市となり、2007/04の政令市移行で南区役所が置かれた。R8が南北に貫く旧白根市域には鉄道が通っておらず公共交通はバス中心、新潟駅から路線バス白根線が通じているほか、JR-E越後線越後曽根・巻、信越本線新津・矢代田・加茂駅とも結ばれている交通の要衝となっている。なお1999/04に廃止された新潟交通電車線(左下地図黒線)は、地域の西側を南北に流れる中ノ口川左岸に沿って走っていたものでこちらは旧味方村。毎年6月には川を挟んで行われる白根大凧合戦が有名だそうで。
南快ライナーは白根地区から3km弱西方にある新潟交通観光バス潟東営業所を起点に07:00・07:30発となっているが、新潟市中心部から同所へ向かう早朝便はJR-E越後線巻駅を06:37に出る路線バス漆山線で07:03着が唯一の解。蛇足ながら越後線始発は新潟05:00発→巻05:42着、2本目が同05:56発→06:38発…そんなこともあり、前夜は「ファミリーロッジ旅籠屋・新潟南店」に投宿。1995/08の1号店オープンから今では37店舗を数えるチェーン、壇ノ浦PA・佐野SA・宮島SAと高速道路SAPAへの進出で知名度もぐっと上がってきているが当方は初利用。アメリカのモーテルスタイルでツインのみ15室前後(新潟南店は14室)とこぢんまりした印象だが、シングルユースでも5250円はリーズナブル、クイーンサイズのベッドで寛がせてもらった。
ちなみに宿入りは矢代田駅19:35発の終バスで白根能登まで移動したが10人足らずの乗客は三々五々降車し当方が最後。やはり大きな流れは新潟中心からとなるだろうか。白根線は新潟駅22:40発が最終のところ、今年9月から来年3月末までの金・土のみ23:10発を増便運行する社会実験中。深夜便運行自体は昨年末ほか過去にも行われているようだが今回が最も長期間かと。

南快ライナー
より大きな地図で 南快ライナー経路図 を表示

翌朝06:30過ぎに宿を出発…おっと裏手は見渡す限りの田園風景、さすが米処。眼前の鯵潟陽向台バス停に06:34発の新潟駅前行がやってきたが10人ほどの乗りに3人を加えて出発していったがこれが始発から3本目。R8を徒歩で南下している途中で次便の急行が通過、高速車仕様でこちらも10人弱の乗り。昨日降りた能登バス停を出たところで出会ったのはモーニングライナー、こちらは路線車だが5人程だったか。その前には新潟清心女子中高のスクールバスも見掛けたが、路線バス各便ともやはり通学客が多い。
白根中心部ではR8とその西方のr66白根西川巻線を縦軸に各方面の路線が周回するように設定されているが、中心バス停の1つである横町を実見した直後に出くわしたのは快速、乗り具合はわからなかったがこちらも路線車だ。

というわけで種別が出揃ったところで改めて系統を整理しておくと、各停(810系統:左図緑線)と同ルートの快速(813系統)は、中ノ口川を越えて信濃川との交点手前にある大野仲町から先の8バス停で通過扱を実施。急行(811系統:左図赤線)は各停便の経路が一時逸れる南区の大通ニュータウン付近をR8を直進するのに加え、黒埼ICから新潟BPを女池ICまで進んで県庁前から昭和大橋を経て市役所前に至る経路を辿る。モーニングライナー(812系統)は2006/12運行開始の新潟交通特有のサービスで白根線では1本のみ設定、各停便だが関屋の先からR116を通って文字通りの学校町を経由する通学対応便。系統番号から判るように快速は2009/03の新設。急行は1985年?の登場だが長らく万代シテイBC止だったのを2006/10以降駅まで延伸している由。

南快ライナー
  • 白根健生病院前時刻(画像2)
  • 05:35 各停 新潟06:34着
  • 06:05 各停 新潟07:04着
  • 06:30 各停 新潟07:42着
  • 06:40 急行 新潟07:48着
  • 06:45 ML 新潟08:13着 画1
  • 06:50 急行 新潟07:58着
  • 06:55 快速 新潟08:02着
  • 07:00 急行 新潟08:08着 画3
  • 07:05 快速 新潟08:12着 画4
  • 07:07 南快 南口07:52着 画5
  • 07:10 急行 新潟08:18着 画6
  • 07:20 快速 新潟08:27着
  • 07:37 南快 南口08:22着
  • 07:40 快速 新潟08:47着
  • ※新潟定刻時刻は定時
  • Photo:南快ライナー
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通学生が列をなしていた、R8上の白根健生病院前でしばし定点観測。白根線は日中毎時1本ペースながらさすがに朝は多く、06:30~07:20の間は5~10分毎と頻発。その多くが急行・快速便となっている。
07:00発急行便には6人が乗車し15人程の乗り。次いで07:05発快速便には8人が乗車し20人以上で出発していった。そしていよいよ南快ライナー1便の登場となるが…やってきたのは先代となる三菱ローザ、1993年に貸切用として3台だけ導入されたシロモノの様子、前面下部の社名表記も2002年改称前の新交貸切バスとなっていた(側面は新潟交通観光バス表記)。気になる乗客は…男性1人のみ。バス停で待っていた3人も微動だにせず、運転手氏から特段のマイクアピールもなしにしばし停車後出発していった。その後にやってきた07:10発急行便には5人が乗車、10人程にての出発に。
南快ライナー 当方は07:19発の漆山線巻駅行に乗車、やってきたクルマには「JR越後線駅接続バス増便社会実験実施中」なる前掛けがされていたがこちらは主に昼間時間帯をターゲットとしており、今年3月改正時に越後線で3往復増発し10~16時の新潟~吉田間を約40分間隔化、それに併せ4月から西蒲区内の越後曽根・巻・岩室駅を発着する4路線11便で増便、更に10から越後赤塚駅接続の西区住民バスも増便している。

始発で当方のほか5人が乗ると、横町からr66を南下して乗客を拾いつつR460へ。中ノ口川を渡った先の緑が丘病院では小学生を含めた大群がバスを待ち構えていたが、小学生はスクールバス待ちの様子、それでも車内は通勤通学客で一気に賑やかとなる中、当方は潟東営業所にて降車した。到着したのは南快ライナー2便の出発時間直前、田園風景に上越新幹線の高架が伸びるロケーションにだだっぴろいスペースが広がっているが、南快ライナー利用者用のP&R施設もあるはずもぱっと見つけることはできなかった。
さて営業所前にはエアロミディMJが停車中、こちらもやはり貸切用として1994年導入の古参組だが、バス停前に現れた際にはなんと女性バスガイド添乗の2マン運行!直前に積み込まれたダンボールは最前列左側席にどんと置かれており、チラ見する限りどうやらこの後に貸切運行がある様子。南快ライナー

「私も久々見たわァ」とガイド氏もつい漏らしたステンレス製の小型運賃箱に硬貨を入れて07:30定刻出発、緑が丘病院前では2人待っておりうち若い男性から声が掛かるも乗車はなし。運賃は630円と路線バスと同額、定期券は利用可能も男性はICのりゅーとカードが利用可能かとの問いかけだったのでそれはNG。日の出町から健生病院前と進むも乗車なく、横町でようやく男性1人が乗車したため貸切は逃れたものの、中ノ口川を再び渡って味方エリアに入り、大庄屋の屋敷跡で国の重要文化財に指定されている笹川邸入口でも乗車なく、結局当方含め2人と拍子抜けな結果となった。
程なくすると広大な田園風景の只中、西蒲原広域農道5号線を北上。左手には上越新幹線の高架橋が伸びており、ちょうど新潟07:44発のとき308号が走り去っていった。いつしか広域農道は4号線に変わる中、上越新幹線に次いで北陸道も潜るとその先の一律黒埼南小学校を左折して市街とは逆方向へ…左手には黒埼PAが見えたがそのまましばし進めばようやく黒埼SICの看板が。通り越した先でようやく側道に取り付くと対向車に注意しつつ進んで黒埼SICを08:01通過。その開設は2004/12の社会実験最初期からとあって利用も多い。スタバもあるPA内はガラガラだったがゆっくり進行も、北陸道本線合流後ぐんぐんと加速する。

南快ライナー

右手の上越新幹線を新潟07:59発Maxとき310号が走り去ったが、ガイド氏から「あれ、新幹線がくっついて走ってる!」と思わず声が上がったが、なるほど越後湯沢以北のE4系16連運転は今年3月改正からで、9月末のE1系退役により4往復から8往復と倍増。まさに当該列車号も9月改正から16連化されたものでまだ物珍しいのかもしれない。
いっぽう当方の注目は左手前方の鳥原BS、新潟交通便が乗車扱い中だったがやはり行列が確認できた。当然コチラはスルーし、県内高速便が降りる新潟中央JCTも通り越して日本海東北道を1区間、東北電力ビッグスワンスタジアムとハードオフエコスタジアム新潟を左手に見て新潟亀田IC降り。駅南口へと真っ直ぐ北上する最終コースが若干渋滞したが定刻から2分遅れの08:24に終着、『行ってらっしゃい!』とガイド氏に見送られての降車となった。


先ず個人的感想をまとめると、使用車種そのものは特段どうこうはないものの、もう少し「南快ライナー」アピールが欲しいですね。基本的に前面プレートのみでは判別し難いですし、バス停に案内が貼られているからといって緑が丘病院での男性がそうであったように「来たバスに乗る」人にとっての情報(運賃同額、定期券使用可能ほか)はバス側でも判りやすくしてもらえればと、せめて前掛けでしょうか。
経路としては黒埼SICまでがちょっと遠いというか、取付道路の都合上遠回り感を覚えるような。土地勘無しに云うのもアレでしょうが、素直にr66からr44に進んで、途中の集落でも乗車扱いすればとも。まぁ広域農道というのがミソなのは理解するものの、極論すれば白根市街から潟東営業所を経て巻潟東ICから高速に乗る路線を作れば大型車も利用でき鳥原BS乗降扱等で収益性も担保されるのかなとすら思ったり…ま、こちらは完全に遠回りになるのですが。なお黒埼SIC(下り線)までの短絡道路が現在整備中なので現行ルートでも更なる時間短縮(素人目にも1~2分は十分変わる)ないし大型車運行化も夢でないかも?
あと駅南口志向がどれだけという点も気になったのですが、急行が駅万代口入りして利用が増えたという話もある様子、経路的にも南口完結で十分なのかも知れませんが、機動力的にはせめて万代口経由万代シテイBC終点でもと思うのですが。確かに着席性は既存路線便でも確保されるのではありますが、圧倒的と思われるその速達性を多面的に活かしてもらいたいもの。

新潟市ではオムニバスタウン指定を受けた2007年に「南区方面バス利便性向上施策検討協議会」を設置、白根線を中心とする各種サービス改善を展開しています。ちょうど冒頭に始発3便を見送った鯵潟陽向台バス停も快速便と同じ2009/03の新設、駐輪場がセットされていますが既存バス停についても順次整備が進められています。
特に南快ライナーは2010/10の「安心政令市にいがたマニフェスト」分野別施策編-日本海拠点都市「それぞれのまちなかの活性化」に『軌道系のない南区に新潟都心に向け小型バス専用ルートを整備』として明示され、昨年度に整備計画策定、本年度に一部地域で整備開始、そして翌年度で拡充-とされており目玉施策となるのですが、少なくとも実見だけではなんとも言えないところ。協議会では細かなデータも公開されているので、次年度の結果公表に注目しておこうかと。

そして新潟市といえばBRTがまさにホットな話題。2010年から新たな交通システム導入に向けた検討を続けてきた結果、今年に入ってBRT第1期導入区間の2014年度整備を軸とした「新たな交通システム導入基本方針」をとりまとめ、既存交通事業者として第一提案権が付与された新潟交通が去る10月に提案書を提出。当初案の新潟駅~万代~古町~市役所~白山駅から関屋分水路を越えた青山まで伸ばされる方向で調整が進むようですが、市が提唱する連節バス導入是非等々、まだまだ紆余曲折があるやもしれません。
ところで基本方針において郊外線についてはBRT区間専用走行路への一部乗り入れも考慮しつつ交通結節点での乗継前提が示されていますが、新潟交通の提案書では「線から網への路線再編」として長大郊外路線の幹線・支線・フィーダー線への区分化を計画。R8方面の路線については青山を交通結節点としてラッシュ時間帯の一部便を除き原則乗換となる一方、運行効率化により白根線としては現行1時間ヘッドの日中が最大でも20分間隔運行を実施する案を示しています。ラッシュ時運行についてはBRTシステムだけでは捌き切れない懸念も匂わせているところ、戦略的な直行バス設定等も考慮されることになるものと思われますが、その意味でも「南快ライナー」の展開が注目されるというわけです。

南快ライナー

そういえば…コヤツにも会ってきましたよ。鳥屋野交通公園にて保存されている「なまず」ですね。
詳解は他所に譲るとして、現地案内板の言葉を借りれば『新潟のバスのスタンダード』『まさに「新潟生まれ・新潟育ち」のバス』です。『大きな車体を生かして、当時活発であった新潟における多くのバス需要にこの輸送力を発揮し、多くのお客さんを乗せて走った働き者でありました』とは泣かせます。晩年は新発田に転じていたのが最期に潟東営業所に戻されて白根線等で終止符を打ったんでしたっけ。2011/12に車検満了で引退、今年7月からこちらで展示公開されています。

鳥屋野交通公園へは新潟駅から路線バス女池線で野球場・科学館前または江南高校前下車ですが、南口からの510~512系統利用が便利。当方はその後県内高速バス長岡線に乗りましたが、中央インターバス停も15分程と徒歩圏内といっていいでしょう。公園内にはなまずと並んでC5719蒸気機関車と、後方にはふそうファイターの消防車も展示保存されており、それぞれ土休日を中心に車内開放も行われている由。部品破損盗難等のハナシもあるようですが、歴史の証人として大切にされることを願わんばかりです。

 

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