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    06:05 虹が丘営業所発 EL2便
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    07:03 すすき野団地発 EL4便
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    07:26 虹が丘団地発 EL6便
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    07:55 虹が丘営業所発 EL8便
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    10:08 池尻大橋駅着 EL10便
都市圏近距離高速バス

トップページ企画一覧特別リポート一覧>551planningリポート2011/11

TOKYU E-Liner

創立20周年の新機軸「TOKYU E-Liner」からの通勤高速バス展望

2011年秋、首都圏近距離高速バス市場に東急バスが参入です。朝ラッシュ時の殺人的混雑が今なお続き根本的解決策の見えない田園都市線沿線から片道のみの「通勤高速バス」を新設-との報には少々驚いたとともに、いよいよかと感慨も覚えたり…その田園都市線とあわせたグリーンラインを纏った専用車両もいち早く実見、無論開業初日初便にと考えていたものの、ちょうどその日から北海道に行く予定が…乗車諸氏の報告によると、いきなり利用者が付いている様子も伺えなによりですが、その意味でもちょいと時間を置いてからじっくり見てやろうと…いや、単に悔しいからというわけではないですよ、はい。


TOKYU E-Liner

-時間を置くにしてはそう堪えられず、11/10(木)に初電を乗り継ぎまだ真っ暗なたまプラーザ駅で下車。2010/10のたまプラーザテラスグランドオープンから初の降車となったが、これは改めて見に来なければ…。
地下のバスターミナルから虹が丘営業所行路線バスた41系統初便に乗り込むと、前後して私服姿の男性ばかり10人ほどが乗車。途中からパラパラと降りていったが、通勤と帰宅が相半ばという感じなのだろうか。ちなみにこの系統は虹が丘営業所の基幹路線でもあり、たまプラーザ駅行は平日は営業所05:05始発として5時台に11本、6時台には時間最大の19本、7時台18本8時台12本とまさに分単位での運行。今夏の「東急サマータイム」時には4時台に2本臨時設定されていた。この日も離合するクルマは各便10人前後の乗りが確認でき、早朝から活発な動きがあることが伺える。
定刻通り終着、間もなく最初のEL2便が出発するが空はようやく白んできた頃、向かいのバス停にはE-Liner狙いと思しき方が1人。くるっと営業所を見廻るも、グリーンカラーのワンロマ車はおらず、塒の東山田営業所から間際に回送されてくる様子。バス停向かいに戻り、路線バスが続々と出庫してゆく様子を見ているうちに、定刻直前に今回導入された専用車が到着。結局2人が乗り込み出発していった。

次便までは1時間空くので、最寄りにあったコンビニに立ち寄りつつ2停留所先のすすき野団地バス停へ移動…イートインコーナーのあるミニストップで一息、助かった。ちなみにミニストップのチョイ横を流れる小川を谷底に虹ヶ丘団地とすすき野団地はほぼ一体となっているが、虹ヶ丘団地は川崎市麻生区、すすき野団地は横浜市青葉区となり、境界が入り組んでいる。
すすき野団地前には折返場があり、あざみ野駅と柿生駅までバスが出ている。たまプラーザ駅系統が頻発しているのもあるだろうが、始発ということもあるのか横浜中心方面への流動か、あざみ野駅行のほうが待ち人の行列が伸びやすい感じも。こちらも平日7時台21本・8時台19本と本数は引けを取らず…そういや横浜市営地下鉄ブルーライン延伸計画もあったっけ。
そんなことを考えているうちにやってきたEL4便は、3人を加え6人で出発…思ったよりも少ない印象。クルマは元新横溝口線用車をグリーンカラーに塗り替え転用してきたそうで、前面LED表示が小さい分雰囲気がまた変わって見える。
次便は25分後、こんどは虹が丘団地でバス停を待ち受ける。両方向ひっきりなしにバスがやってくるため、TOKYU E-Linerバス停には行列があまりできない…というか、E-Liner用には別途ポールがあるのだが、関心を示す人は少ないのが気になる。と、ここで20周年記念塗装車が登場。現行の観光車塗装-いわゆるマーキュリーカラー。路線車にも馴染んでいる、というかじょうてつとかで見られるので当然と云えばそれまでなのだが。
その後私立通学と思しき小学生がしげしげとE-Linerポールに見入っていたのでさては!と思ったのだが、たまプラーザ駅行に乗り込んでいった…その後にやってきたEL6便はゴールドを纏ったクルマ、ゴールドの部分にいささか経年感を覚えるような…添乗係員乗車も、営業所からは女性1人だけで団地はスカ。うーん、まだまだ定着していないのか。

再び営業所前へ。バス停には小田急バスがやってきた。虹が丘団地・あざみ野団地バス停には入らないが、新百合ヶ丘とあざみ野を結ぶ系統が東急・小田急の共管路線となっており、桐蔭学園などへの通学生で混雑していた。
と、EL2便のクルマが戻ってきた。一応東急バスナビで状況は追っていたのだが、やはり朝イチはスムーズな様子。営業所内でひといきついて、これがEL8便となった。当方の他男性2人が乗車、うち1人は学生かつ御同輩の様子。虹が丘団地ではやはり乗車なし、すすき野団地も行列があるも『通勤高速バス渋谷駅行です』との運転手アナウンスに後退り。戸建住宅エリアとなるすすき野入口でようやく女性1人が加わったが、予想外の印象を受ける。
ちょうど08:00を過ぎ登校間帯とあって小学生の大群を横目に、バスはしばらくたまプラーザ路線と同じルートを戻るが、信号待ちにひっかかってこの時点で若干遅れペース。保木公園前交差点を直進し直ぐ先の、戸建住宅が並ぶ信号のないT字路で右折して若干狭い道を進行し東急開発の美しが丘西エリアへ。美しが丘西2丁目でスーツ姿の男性2人、美しが丘西でも男性1人を加え、これでなんとか体裁が取れたかな?
美しが丘西のバス折返場を過ぎると再び川崎市、こんどは宮前区となり潮見台交差点から尻手黒川道路を東進。川崎市交通局エリアでもありバイパスのためでもあるのか途中停留所間隔が開くが、まず稗原で男性1人が乗車。そういえば虹ヶ丘・すすき野エリアではE-Liner用のポールが新設されていたが、保木あたりから既存のポールに併記されるかたちになり、稗原からは川崎市交のそれに付記されている。TOKYU E-Liner
ここで清水台交差点を先頭に渋滞発生中。2車線道路だが交差点付近で3方向各固定進路となり、真ん中の直進車線がうまく捌ききれていない様子。その間無線が入りEL4便が渋谷到着とのことで約10分遅れ、再び虹が丘へと戻りEL10便となる由。ということは基本5本を3台で廻すということか。なお無線は車両所属の東山田営業所で集約しているようで、当然ながら突発時の別車両手配等もスムーズに行うためだろう。信号3回分でかで交差点を通過、清水台では乗車なく待ち人多数の菅生車庫では女性1人だけ乗車。最後の犬蔵も乗車なく定刻5分遅れで通過、結果8人乗車は予想よりも少ないか。ここでようやく東名の道路情報掲示板が登場…「東京方面 渋滞7km 30分」と出ていた。

08:27、東名川崎ICからいよいよ高速走行。早速前面の文字情報案内にバスの位置表示が表示されたがちと物足りない気もする。東名向ヶ丘バス停には人影なく、あっさり東京料金所を通過もしばらくの所で渋滞末尾に取り付いた。完全停止こそしないもののかなりのノロノロ状態、途中の所要時間情報では東京ICまで20分、霞が関まで45分とのことで、首都高3号線自体はそう酷くはなさそう。08:35、対向車線をグリーンカラーのEL4便車が走り去っていくのが見えた。
ここまで左側車線を走行していたが、外環道計画地点の看板を過ぎた辺りから突如このレーンだけ流れ始めた。東京IC降りのクルマが流れたためとみえ、右2車線の車列を横目にしばし進行、御殿場駅07:15発と思しき小田急箱根高速バス特急新宿駅行(09:10着予定)をスルー。IC手前の規制区間直前で大型車の前のスペースを確認すると中央車線に移り、その後追越車線へとスルリ…この辺は巧みだ。と、ここでEL6号からの無線連絡で渋谷着を確認。乗車9人との由。
この間車内はというと、過半がさすがに目を閉じていたが、本などに目を落とす人、ノートPCとにらめっこする人など様々。首都高の2車線区間に入るとわずかながらスピードが上がり始め、08:53に用賀料金所を通過するとムラがあるもののさらに流れるようになった。08:58、駒沢付近でEL6便車と離合、あちらは東山田営業所まで直帰する。JRバス関東や京王など離合する高速バスを目で追いつつ、大橋JCTの案内表示が出始めると再びスピードが低下、なんとか池尻のランプウェイに入れば09:06に高速降り。行く手を社会問題化で話題のツーキニストに遮られつつ09:08池尻大橋駅着、ここで男性1人が降車。その後はすんなり、渋谷駅西口ロータリーをぐるっと廻り込んで09:14着。こちらも所定より約10分延で済んだのは上出来か。バスは到着時点で既に回送表示に変えられており直ぐに走り去っていったが、待ち受けて写真を撮る人も。

TOKYU E-Liner

当方は池尻大橋まで徒歩移動、カフェで一息入れつつバスナビをにらめっこ…頃合いを見て池尻大橋駅バス停で待機していると、虹が丘営業所09:10発のEL10便が10:08に到着、男女2人が降り8人が渋谷まで。さすがにこの時間だと通勤というわけではなく、遅めの通学と渋谷へ買物という利用が垣間見えたのだった。

一応同日の運行全便を見たことになりますが、5便を基本3台で廻しているのは効率的だと実感。渋谷到着時刻も「営業所からの約50~70分」と明示していないものの、ある程度読めなくはないなとも感じられました。その辺りは当然ながら考慮して組み上げられているのでしょうが、だからこそ気になる点も。TOKYU E-Liner

京成マイタウン・ダイレクトバスや平和交通マイタウンライナーなどでは、大型液晶画面で各種情報案内をしたり、始発時やIC入りの際、また道路混雑時等に適宜マイクを入れて乗客への案内に務めていますが、少なくとも当方乗車便ではシートベルト着装や遅延可能性の言及等、必要最低限の放送案内しかなかったかなと。前面文字情報も位置情報だけでは通常運行なのかどれくらい遅れているのか判り難い部分もあり、この辺りはもう少し工夫を期待したいところでしょうか。
さらに云えば、下道区間が長いだけに、いざ東名入りする際に通行止等によりにっちもさっちも行かないことが判明した場合のフォローがどうなるかも気になります。例えば宮前平駅辺りで降ろしてもらえるのか、それこそR246を突き進むのか…何らかの明示が欲しいですね。あと東名に上がった後にはどうしょうもないのか…ま、用賀PAで降ろされても、という話ではあるのですが。
むしろその意味では、停留所レベルでは田園都市線の運行情報も気になったり。この辺りは東急電鉄自らメールサービスを行うなどしていることから比較的沿線利用者のアンテナは高いかもしれませんが、それこそ当方の乗車翌日には駒沢大学駅で人身事故が発生、1時間半にわたって運転を見合わせ昼過ぎにようやく平常運転となった中で、E-Linerの状況はどうだったんだろうと。そんな場合にはチャンスでもある一方、もしかしたら途中で満席になる可能性もあるわけでこれまた悩ましいというか…。

お次は車両面。確かに交通バリアフリー法で乗合バスはノンステないしワンステ原則、高速バスや空港連絡バスは除外対象とされているわけですが、E-Linerを高速バスとして捉えるかどうかの解釈論ではなくて、そもそも公共交通移動等円滑化基準の適用除外は「地方運輸局長が、その構造により又はその運行の態様によりこの省令の規定により難い特別の事由があると認定したバス車両については、(中略)当該地方運輸局長が当該バス車両ごとに指定したものは、適用しない」(省令第43条)と規定されているので、TOKYU E-Linerこの辺りで事業者としてきっちり“通勤高速バスは適用除外”と明確化して欲しいのです。
いや当方、車椅子利用を阻害する思考ではないんですが、少なくとも車椅子サポートはSTSがベストでしょうし、例えば乗合バスでは病院等公共施設系統に超低床車を重点配置する一方で、比較的距離感があって利用者の多い路線などでは着席重視思考の車両投入-という柔軟性があってこそのユニバーサルデザイン、車両の画一化は確かに経済合理性の部分からも利点はあるとはいえ、高齢者を含め利用者が座席によじのぼるような現状こそ本末転倒ではないかなと。

拡散するのでこのくらいとして、まぁ現実論でいえば渋谷発空港連絡バスの出庫兼務に充てればいいのかなとも思うのですが、その意味でも5便3台運用という現状は“お試し”なのだろうなと。

 

都市圏近距離高速バスの成立可能性として、当方は双方向需要の必要性-朝晩の通勤ライナー的需要だけでなく、逆方向の通学やビジネス等の用務需要が掴めれば大きいのではないかという点を念頭にしてきました。そうでなければ片道回送分のコストがかなり重くなるわけで、それを理由に消えていった路線や、別の大口送迎と組み合わせて片方向輸送を担うものの認知度という面で苦労している路線もあろうかと。
その意味ではTOKYU E-Linerもまた然り。深夜急行用車両の有効活用という側面もあるでしょうが、潜在需要はかなりあると思われるからこそ、次のステップへどう進むかが注目です。その意味で、9時台設定のEL10便の状況-“通勤”だけでない日中需要の確保可能性が実は試金石になるやもしれません。加えて東名の信頼性が見えてくれば、当然ながら近隣エリアへの展開も視野に入ってくるでしょうし、「快適な通勤ライフ」だけでない新たなバスサービスへの確立がこのエリアでなされれば、業界への影響も大きかろうと。

「通勤高速バス」の事業モデル自体そのものはそう珍しいものではないのですが、こと首都圏での流れを加速させるかどうか、TOKYU E-Linerの展開をしばし凝視してゆきたいと思っています。

TOKYU E-Liner

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ひそかな注目!「通勤高速バス」

投稿者---551planning (2012/02/05(Sun) 17:44)

昨晩何気なく【検証:】リポートアクセスランキングを見ると、TOKYU E-Linerと京急&臨港「横浜浮島線」ネタが急上昇! 調べてみると朝日に記事が載り、「通勤高速バス」での検索数が増えたためでした。

蛇足ながらasahi.comは去る01/23に朝日新聞デジタルに統一化され、上記記事もWebでは途中までしか確認できず…ということで近所の図書館にて確認したら、02/04夕刊一面トップだったんですな。
記事のメインはTOKYU E-Liner、実際に数度利用した女性会社員や、田園都市線沿線に住み通勤地獄の経験から論文を書いたという田口中大教授の話を交えつつ、『平均乗車人数はまだ出ていないが、空席も目立つ』『知名度向上が課題』『今後乗客数が増えれば、増発や台数増も検討課題にしたい』とは東急バスで、『沿線住民の利便性が上がると好意的』とは東急電鉄-という辺りは興味深いです。
末尾では京成MDBと平和交通MLにも言及…それぞれの愛称名が出ていないのはちと残念、ちなみにWebでは京成MDBのルート図が掲載されているものの紙面ではカットされていました(代わりに鉄道路線混雑率ワースト10を掲載)。『朝晩の通勤・帰宅時は満員に近い』『乗客は徐々に増えている。割引サービスなどで更に知名度を上げたい』とは京成バス、平和交通も『通勤時間帯の便は、やはりほぼ満員』とのこと。

ちなみにTOKYU E-Linerは去る02/01にダイヤ改正、本数は変わらないものの前半の間隔を調整し6時台2本・7時台2本としています。京成MDBの便限定割引もズルズルと…と云っては語弊があるものの3月末まで延長されていたり、3ヶ月有効だった平和BE-Ticketも有効期限撤廃されたりといった話題もありますが、記事冒頭にあるようにまだまだ『ひそかに注目を集めている』存在ゆえ、ということでしょうか…今回の記事が、そしてささやかながらも【検証:】リポートなどから、「通勤高速バス」の存在が広まってくれることをつい期待してしまいますね。

Re: ひそかな注目!「通勤高速バス」

投稿者---551planning (2012/03/06(Tue) 12:00)

「通勤高速バス」で検索しているとこんなのがヒットしました。

02/23に放送されたものかと思いますが当方は未聴。「TBS954リポーターが、気になる街の話題を体当たり取材。生の声を交えながらレポートします」というコーナーで、自身も田園都市線沿線居住者というリポーターが、東急バスと京成バスへの取材のほかTOKYU E-Linerに実乗して乗客などへのインタビューも行なっています。先般の朝日記事の後追いかと思われますがまさしく「現場の声」により厚みのあるレポートに-ただし、やはり京成の扱いが小っちゃいし平和は触れられず。

気になったのはやはりE-Linerの乗り具合。『ただ、乗ってみてびっくりしたことがあったんです。すごくガラガラ。40人以上乗れるバスに10人くらいしか乗っていなかったんです』との由。地元の非利用者からの「バスは交通手段として認めてない」「乗らない。時間がわからない。道路は混むと着かない。混んでても電車」という声はかなり響きますが、「帰りなら疲れてるから利用するかもしれない」「帰りのバスがなぜないのかなと」という声に期待感が-『当然そういう声もあるとは思っておりますけども(中略)もうちょっとご乗車いただけないと厳しいとこかなと思う』とは東急バス担当者の弁。
レポート中、鉄道運賃より割高という点がフォーカスされているのですが、路線バスが絡むと150円差となり許容範囲ではと当方は思う一方、現状はあくまで朝の着席保証的部分への訴求なだけに鉄道定期券はそのままとしなければならない分、負担感がまるまま乗っかってくるわけで。だからこそ戻り便は必要かなと考えますし、一歩進めて電鉄と組んだ“ハイブリッドな定期券設定”なんてのを期待するのですが、「帰りの便を増やすと採算が合わない可能性があるから厳しい」とされると…。

で、“帰りの便もやっていて、しかも満席”として京成が出てくるものの、『本来はもう少し高い運賃をもらいたいが、電車が安いので安く設定している』『今4路線やってますけど、どの路線も赤字。正直採算は厳しい。長い目で見てる』そうですが、どれくらい長い目で見られるのか…マイタウン・ダイレクトバスは新路線の話題も出てきているだけに絶好調まではともトントン近くまでは?-と思っていたのですが、定期・回数券が未だ設定されていない辺りもそういうことなのでしょう。『本来はもう少し高い運賃をもらいたい』ものの知名度向上のために割引戦略を引っ張っている現状、次なる策は…。
『定着するまでにはまだまだ時間がかかりそう』とリポーターは結んでいますが、終日の定時性という意味ではここ数年でかなり変わってきたかなと思う一方、やはり日中需要発掘と朝の定時性、なんといっても知名度=訴求力アップが焦点となりましょうか。まだまだ首都圏近距離高速バスモデルは厳しいのかもしれません。

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    定刻06:25 犬蔵発 EL2便
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    定刻06:56 稗原発 EL4便
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    定刻07:21 保木発 EL6便
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    07:55 虹が丘営業所発 EL8便
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    美しが丘西2丁目で5人 08:03
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    犬蔵通過後東名へ 08:18
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    池尻出路で首都高降り 08:59
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    渋谷駅西口着 09:05
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TOKYU E-Liner~1周年の朝

投稿者---551planning (2012/11/03(Sat) 20:04)

「新たなバスサービスへの取り組み」として創立20周年を迎えた東急バスが昨年11/01から運行開始した“TOKYU E-Liner”-その成否によっては首都圏における通勤高速バスの流れを加速させるのではとしばし動向を凝視するとしたものの、渋谷行5本のみという運行スタイルは今年02/01のダイヤ改正後も変わらず。京成マイタウン・ダイレクトバスや平和交通マイタウンライナー、西東京バス楽々エクスプレスが短期間で軌道修正を図ったのと比べて大人しいというかなんというか…そこで1周年となった11/01(木)に改めて実見してみることとしました。

TOKYU E-Liner

田園都市線始発3本目の下り電車は東京メトロ8000系第1編成が現れた。溝の口段階で席の半分以上が埋まる乗り具合、宮前平駅でも100人は下らない降車客があった。駅南口のバス停を何気なしに見ると、本日運行開始となる深夜急行バス宮前平線の案内が。
鷲ヶ峰営業所からやってきた川崎市営バス宮04系統始発便から折り返す溝15系統溝口駅南口行始発便に乗車、当方の他やはり下り電車から降りたと思しき男性2人を乗せて尻手黒川道路を西進、東名川崎IC入口を左に見て東名高架橋を潜った先の犬蔵バス停で全員が降りた。
宮前平駅、そして渋谷駅行バス停にて暫し待機、パラパラと通勤客が集まる中、始発EL2号がほぼ定刻到着も乗車はなし、すぐさま走り去ってゆく、車内はざっと10人強といった乗りだったかと。

こんどは生01系統生田駅行を掴まえるが車内は早くも通勤通学客でさらりと席が埋まっていた。途中で尻手黒川道路から北側に大きく回りこむルートにて稗原まで。ちょうど小田急バス高速車が通り掛かったが新百合ヶ丘06:30発の成田空港行、車内はさて何人乗っていたか…たまプラーザ駅を経由するものの、実はこれが本日5便目となるので侮れない。その後新百合ヶ丘06:45発京急車を遠目で見送ったがこちらは直行便もほぼ席が埋まろうかという乗り具合だった。
その京急車との並びを期待したEL4号は定刻から5分延にて稗原通過、直前に市バスが通ったこともありバス停には人影がなかったが、車内には20人以上が乗っていたものと。

ここからは徒歩移動で横浜市入り、路線バスも東急主体に一部小田急が入り込むエリアに。保木公園前交差点はたまプラーザ駅行のバス停が経路違いで分散、交差点でしばし待っていた女子高生がやってきたバスに向かって駆け寄ってゆく光景も。TOKYU E-Linerそんな中やってきたEL6号は3分延での到着、やはり乗車はなかったが15人以上の乗りだった。
東急バスた41系統にて虹が丘営業所へ、すすきの団地入口バス停で横をするりと追い抜いていったのは小1時間程前に犬蔵で見送ったEL2便の戻り回送車、一仕事終えるのが早いなぁと。色付く並木道をすすき野・虹ケ丘団地内と抜けて終点の営業所へ…おっと飲料を補充するのを忘れていたが、バス停周辺には自販機が見当たらなかったなと。

何台もの路線バスを見送ってようやく現れた07:55虹が丘営業所始発のEL8号に乗車。今年6月に新造投入されたクルマはH1283、先輩H1181と基本的に同仕様も窓サッシ黒塗装や前面セーフティウィンドウなし等で区別が容易となっている。
当方貸切にて出発、虹が丘団地では乗車なしもすすき野団地で1人、すすき野入口で2人が乗車。待ち客多数の蓬谷戸では3人、保木でも1人を加える。坂を登って美しが丘西二丁目では5人が加わったがその先は乗車なく定刻進行にて尻手黒川道路へ。稗原も人影なく通過すると、そういや昨年3方向各固定進路で滞った清水台交差点が近付くが流れはスムーズ…なるほど右折車線が直進兼用となっていた。調べると今年8月にレーン見直しが行われたそうで、思わぬ形で効果の程を実感!

TOKYU E-Liner

交差点の先の清水台で2人、菅生車庫でも1人が加わり総勢15人。犬蔵では乗車なくほぼ定時の08:19に東名川崎ICを通過した。IC手前の案内表示は2時間ちょい前では東京ICを先頭とする渋滞1km5分であったところ渋滞7km30分に伸びていたが、この数値は去年乗車時と全く同じである。
東京TBを出ていよいよ渋滞突入となる08:23にEL4号戻り回送と離合、そういえば今回は業務無線のやり取りは耳にしなかったが、まあ4号もほぼ定時運行だったものと思われる。

前回は左車線を進んだが今回は中央車線を進行、なんとか止まらないかなというノロノロ感も前回と同じだが、まさしく暇潰しとなるのが今年7月から搭載されるようになった週刊ダイヤモンド。客席ポケットにしっかり常備されておりつい手にしたのだった。
さて車内はというと右手カーテンはぴっちり閉められており半数以上がやはり夢うつつ、残る人も新聞や文庫本を手にしてそれぞれの時間を過ごしている様子。男女比は6:4といったところで、年齢層は比較的高め、パリっとスーツを着こなすというよりはカジュアライズというか、フレックス出勤然という感じの人が過半と見た。
さて、多摩川を越えようかというところで運転手氏、さっと左車線に進路変更。東京IC手前の車線変更規制区間手前で流れに乗って、TOKYU E-Liner東京TB通過時点ではかなり遠くに見えていた東名ハイウェイバスJRTB車をスルーしたが始発の302号(静岡駅05:20発→東名向ヶ丘08:02・東京駅日本橋口08:53着)だろうか、20人弱は乗っていたかと。そして規制区間直前に大型トラックの背後にするりと車線変更、この辺りはさすがのテクニックかな?

用賀TBを過ぎ首都高3号線を進むにつれ流れも改善、再び詰まりかけたところで池尻出路を駆け降りれば池尻大橋駅には09:00着、3人が降りていった。そして渋谷駅には09:05着。虹が丘営業所から所要80分所定のところ都合10分の早着見当となるだろうが、実は2月のダイヤ改正時点で所要時分が10分積み増されているのでまあ定刻見合といった感じになるだろうか。朝イチ2運用を終えたクルマは颯爽と渋谷駅前を後にしたのだった。

 

正直に云えば、1周年ということでセレモニーとまで云わずとも何らかのノベルティ的なものでも…との下心もあったのですが、至って日常的な朝の光景を見られたかな-とはチョビっと負け惜しみも。ただ率直に感じられたのは「それなりな定着感」でしょうかね、運行開始当初よりは着実に利用を増やしているなと。
とはいえ定員50人(正座席42+補助席8)で高速道路料金が片道1550円(ドラぷら大型車検索結果ゆえ参考値)ですから5人乗って往復高速代がなんとか出る程度、その意味では少なくとも30人以上/便は確保したいのではと推察しますが、もう1つ2つ上乗せが欲しいというのが現状でしょうか。

その点、「長い目で見ている」という京成マイタウン・ダイレクトバスではここ1年以上に渡ってピンポイントな割引キャンペーンを展開してきたところ、この10月にIC割引額アップと引換という形で終了-“論より証拠”、まずは乗ってもらって利便性を感じてもらう策が奏効しているのかどうかまでは判りかねるものの、1ステップ上がったかなという印象を受けます。ではTOKYU E-Linerはといえば、運行開始当初からIC割引を導入しており、運賃設定からしてこれ以上割引額を上げるのも厳しいのではとも。
ならば付加価値によるアプローチはどうでしょうか-東急電鉄では2009/11以後「早起き応援キャンペーン」を展開していますが、当初はまさに田園都市線混雑対策の一環だったのが東日本大震災における節電対策等の意味合いも加えて対象をほぼ全線に拡大。当初は協賛企業の割引クーポン提供だったのが現在はTOKYUポイントプレゼントメインと、沿線住民にとってはかなり実用的となっています(1回乗車で5p、通常200円で1~2p相当なので実は侮れない)。田園都市線混雑対策の一環と捉えて、E-Liner利用に応じてポイント付与なんてのは如何かと。ICデータで路線バスや田園都市線定期券利用者の判別もできるでしょうから、戦略的な付与考慮も期待したりして…ポイントの原資を何処が負担するか等グループ内調整が発生するものとは思われますが、先に「沿線住民の利便性が上がると好意的」との声もあった電鉄の度量が見たいですねぇ。

TOKYU E-Liner

個人的には基リポートで指摘した情報提供面や車両面、運行スタイルの展開をしばし凝視していたのですが、その点での変化の兆しが見られなかったのはちと残念なところ。先にも触れましたが、他社と比べて大人しいというか“低位安定”の状況は、まさしく潜在需要発掘によるvs.鉄道(≒JR-E)サービスというよりも同グループ内でのパイの奪い合いにしかならない分遠慮というか知らずブレーキが掛かってしまっているのかなともつい邪推してしまいます。
その意味での話題としては、通勤高速バスモデルとしては都心発便もと考えてしまいがちですが、その答えの1つが9年ぶり5路線目となる深夜急行バス宮前平線登場となるのかという点。TOKYU E-Linerとは直接の関係性を持たないにせよ、まさしくMIDNIGHT ARROWの始祖がここにきて自陣の穴を埋めてきたのには風雲急を告げる新高速バス制度移行といった業界動向を見据えてのものなのかとすら妄想を広げているのですが。

ま、登場してようやく1周年という見方もできるとともに、7月8月と「通勤高速バス」がメディアで取り上げられた背景には必ずTOKYU E-Linerの存在があるだけに、更なる知名度の向上によっては何らかの進展があるのかな-とも期待含みでしばし凝視を続けることとしましょうか。

Re: TOKYU E-Liner~1周年の朝

投稿者---h916_osakaumeda氏 (2012/11/03(Sat) 22:29)

こちらへの投稿は初めてになります。よろしくお願いします。

早速、レポートを拝見させていただきました。着実に利用が増えているようですが、確かに定員や採算の面を考えると、若干の物足りなさは否めない気もしました。

グループ内でのパイの奪い合いということで思ったことが、電鉄側のラックにパンフレットなどが置かれているのを全く見たことがないですね。一般路線の路線図などが置かれていることも見かけますし、広報誌にリムジンバスの案内が出ていることはあるのですが、E-Linerに関するものは見かけない気が…まぁ、頻繁に行くわけではないので、見逃しているだけというのもあるかもしれませんが、バスの領域内だけでは宣伝にも限界がありますから、電鉄側にも協力してもらって少し宣伝できないものかなと。それこそ、ポイント付与のキャンペーンなどとあわせて宣伝していけるとさらに良いですね。

後は、現行の運行形態ですと、田園都市線の定期券を所持した状態で利用している方も多いように思うので、(定期の)片道分を損してしまうという考えを持っている方も少なからずいらっしゃるような気もしますね。ホームライナーに乗ったくらいの気持ちでいればいいのかもしれませんが、全く違う路線ですから、なかなかそういう風にとらえるのも難しい気がします。とはいえ、この乗車率で復路や定期券を設定するのは…というのもありますし、このあたりは課題になってくるのかもしれません。

単なる値下げではなく発想力に期待

投稿者---551planning (2012/11/06(Tue) 15:27)

いらっしゃいませ、Twitterからお呼び立てして恐縮ですが、是非やり取りを記録しておきたいと思いましてつい…今後とも宜しくお願いします。

パンフ類は記憶に無いですね、当方も田園都市線沿線でないのでアレですが、深夜急行バス宮前平線のパンフも渋谷駅西口案内所にて確保しましたが、駅頭にあったかな…HOTほっとTOKYUはさすが共同広報誌とあって随時掲載されていましたが、SALUS辺りでも取り上げられたんですかね。

価格感ですが、少なくとも当該沿線でシビアに捉えられることもないかな-とは色眼鏡過ぎかな? “低値安定”の理由は何よりも知名度と、生活パターンを崩すリスクもあろうかと。なんといっても東名次第ですので乗車すること自体が賭けにもなるので、個人的には情報面強化としましたが、過去の実データを公開してみればと思いますし、何なら「30分以上遅れたら無料乗車券1枚進呈」なんてなことをやったら話題になるかなとも。値下げキャンペーンを張るのもしんどいのでしょうが、色々とテはあるのではと期待しています。


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