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さくら

桜前線を追って瑞穂の国を燕は北へ~“熊本総合車両基地初公開”より

翌日は処暑というのに九州“火の国”ゆえ、というだけでは済まない全国的な猛暑が続く最中、行ってきましたよ…。

7月上旬、舞い込んだ1枚のハガキ…『親展 ご当選おめでとうございます』 差出人はJR-Q。そうだ、5月に募集していた熊本総合車両基地一般見学会に軽い気持ちで応募していたんだっけ-ま、遠方からだから優先的に当たったのかな?なんてなことを思いながら、折角のお誘いゆえ出掛けてきた次第。さすがにアプローチはエアーでひとっ飛びしたものの、翌日含め移動でおカネは落としたので御容赦を?

指定日は08/22 13:30スタート。公開は2日間、募集時点では6000人限定で、当日報道によれば初日に約2800人(うち地元住民別枠1000人)、2日目に4200人が参加。ちなみに応募者は36000人超とのことで約6倍の難関だったんですね。新幹線の車両基地内見学は当方にとって初めてながら、報道やブログ等にて公開内容はある程度事前に把握していたのと、車両基地や目玉というべき車両について事前に目撃“遭遇”していたこともあり、ヘンにニュートラルな気分で向かったのでした。


車両基地は熊本駅南方、鹿児島本線川尻~宇土駅間の東方に隣接しており、今年2月の南九州行の折に通過目視済。在来線沿いの車両基地というと田端や利府、広島といったところがぱっと浮かびます…長野や岡山などは微妙な距離感があったような。それらと比べるとまさに新幹線高架越しにぴったりと寄り添っており、在来線車中からもばっちりと見えます。
熊本総合車両基地 『SL人吉と新幹線が一緒に撮影できる名所になる』との地元関係者の声も記事になっていましたが、構図こそ厳しそうながら確かにそんな印象を受けます(蛇足ながらロケーションとしては熊本~川尻間の高架併走区間がイイ感じではありそうですが)。
2月時点では新幹線高架こそほぼ出来上がっていましたが、今回は架線が張られていることを確認。8月末からいよいよ新線区間での試運転が実施されるとのことで、着実に開業が近づいていることを実感します。そしてカラッポだった車両基地にN700系が停まっているのを確認! 周囲には見学者もちらほらと見られますが、完全事前予約制とあって余裕があるようなのはなにより。

基地へは新幹線整備にあわせて橋上駅舎された宇土駅からシャトルバス移動となっており、新設の東口ロータリーでまず当選ハガキのチェックを受けた後、九州産交のノンステバスで会場に向かいます。見学会用に路線車10台ほどが投入されており、過半がノンステ車とは産交なかなか奢ってきましたね。車中で係員から注意事項を受け、R3を北上すれば5分足らずで会場到着。整備作業はほぼ終わっている様子で、入口には洒落た構内案内図もありました。
再度当選ハガキチェックを受け、記念品(JRTTのパンフレット、絵ハガキ、おすすめの「ゆ」駅長ストラップ)とミネラルウォーターを受け取ります。参加者シールを服に貼り付け、いざ構内へ。ハガキに書かれていた接続列車に乗車も指定時刻から余裕を持っての到着となったものの、随時入場対応を行っている様子。なによりもかなり暑いのでこの対応は助かりました。

さて、臨修庫の奥に進むと、いましたN700系「さくら」。白藍色が強い日差しにえもいわれぬ雰囲気をかもし出しています。先頭車手前には撮影スペースが設けられ、無粋なロープ等の仕切りもなくまさに触れられるくらいの距離感…もちろん係員が目を光らせていることもありますが、参加者も車両に触れることなどなく、場所を譲り合いながらカメラに収めていました。

さくら

そこにいたのは、7月に熊本港から車両基地まで初めて陸揚げされたJR-Q所属の8000番台R1編成でしたが、-W所属の7000番台は2008/10に量産先行車S1編成が完成、山陽新幹線内で長期耐久試験に供されています。
今年5月、500系こだまで広島に移動すべく岡山駅新幹線ホームに向かうと、発車案内板に回送表示が…時刻を見ると岡山止の列車はなく、丁度ドクターイエロー走行日ではあったものの想定ダイヤには未だ早い時間-と思ったら、キター!

さくらさくらさくら

連日の走りこみのせいか、前頭部を中心にかなり汚れていましたが、その際の曇天模様ではベースカラーに微妙な感じを受けましたね…ただ、かなり天候(陽射し)に左右されることを今回改めて感じたのでした。

 

さらに先に進むと検車庫の中へ。N700系R2編成と新800系U009編成が並んで停まっています。U009は7月末に、R2は8月中旬に搬入されたばかり。まずN700系を全車、戻りで800系のうち中間4両が車内開放されていました。
「さくら」用車両は2009/10/18の博多総合車両所「新幹線ふれあいデー」と2010/03/13のダイヤ改正時に広島駅でS1編成が展示されていますが内部公開はなく、当方が岡山駅で遭遇した際にも側面窓には全てブラインドが降ろされており車内を見ることはできませんでした。06/15にS2編成が報道公開され、その際に車内の映像も見ることができましたが、一般公開、かつJR-Q所属車両という意味でもはじめてとなります…とはいえ一歩踏み入れた瞬間、思わず声に出たのは『涼し~ぃ!』だったのではありますが。

改めて新車の香りが強く漂う車内を進みます。鹿児島中央寄り3両は自由席車両、縹色と茜色に市松模様柄の座席が並びます。N700系オリジナル車両では窓が小さくなったいっぽうでホワイトグレーの壁面とブルーの座席でかなり明るい印象を受けたのですが、こちらの壁面はホワイトベージュとなっており、シックな感じが強いです。座席脇上のつかみ手や荷物棚下面など木目調が適度に配置されている影響もあるのか、落ち着きある印象でしょうか。ちなみにオリジナル車両の先頭車はシートピッチが若干狭めだったのですが、こちらでは全車統一化。いっぽうオリジナル車両では全て揃えられた座席幅は、3列席中央でさらに20cm拡大され460mmとなっています。
4両と1両半車の指定席車両は、ひかりレールスターで好評の2-2列配置サルーンシートを受け継ぎ、ゴージャスさを感じる濃菜種色のどっしりとした座席はまさしくグリーン車座席と遜色ない感じに。肘掛にも木目調が使われており、自由席のものとは形状が異なるつかみ手は座席番号が点字で示されているため。こちらはグリーン車でも同対応となっています。

さくらさくらさくら

オリジナル車両では“シンクロナイズド・コンフォートシート”で名を上げたグリーン車座席ですが、こちらではレッグウォーマーこそ省略されたものの、可動枕やレッグレストが追加されており更なる進化を遂げています。濃紫紺色の座席や絨毯には花唐草模様が配されるなどかなりの重厚感、指定席車両とうまく差別化されている印象を受けました。
オリジナル車両ではグリーン車部のみだったデッキ部の木目調は全車となり、特にグリーン車ではかなり濃いものとなっているのは「離れ」に向かうような演出-なのだとか。喫煙スペースやトイレもオリジナル車両同様、さらに5号車には新幹線で初めてとなる女性専用トイレと等身大3面鏡パウダールームが設置されています。

折り返し新800系車内を通って戻ることとなりますが、U009編成は全線開業を前に九州新幹線内専用車両として2009年から3本が増備されたうちの最新編成で、既存区間には投入されずにここ熊本に運ばれてきました。
「九州にしかないオンリーワンのデザイン」を標榜し、オリジナル車両から進化した新800系は2009/08から営業運転を開始。鉄道車両では世界初となる3次曲面ライトカバーやつばめの飛行軌跡を模して曲線や輪を描いた帯といったエクステリアに金箔や博多織をあしらった車内妻壁や久留米絣を用いた暖簾などのインテリア-その発表時には贅を尽くした印象を受けましたが、さて日常空間としてはどうなんだろうか、とも思っていました。

つばめ

今年2月の南九州行の折、鹿児島と熊本を往復したものの時間の都合で新800系にて移動はできませんでしたが、鹿児島中央で待ち受けました。やってきたのはU007編成、なるほど外見は帯が目立ちますね。側面に書かれたTSUBAMEの文字が金縁になるとともに車体中央部にも追加されています。3次曲面ライトカバーはさほど印象は受けなかったのですが。

つばめつばめつばめ

注目の金箔妻壁ですが、意外と落ち着いた感じ。それよりも各車で変えられた座席デザインのほうが印象に残りました。座り心地も改良されているとのことですが、たまたま既存車座席で木の部分に傷などの経年劣化が感じられた分、メンテの大変さなども思ってしまったのですが、このあたりはどうなんでしょうね。

 

U009編成の内装も大きく変わった点はないかと思いますが、外装は帯の曲線が各編成で変えられている様子、こんなところにも“あそび”が感じられるのは楽しいですね…ただし相互直通の段となるとさすがに、という話にもなりそう。ゆえに九州新幹線内専用となると共に個性を際立たせた-ということなのですが、注目される全線開業時ダイヤにおいてどのように反映されるかも焦点のひとつかと。
ところで、側面の行先表示ではともに「熊本」の文字。新800系は既存車両に合わせて3色LEDのままなんですね…「熊本行つばめ」は実現するでしょうか。そしてN700系はこちらも同じ大型フルカラーLED、桜色の「さくら」が映えます。

さて公開内容はこれにて終了、あとはもと来たルートを戻るだけ…って、正直物足りない気持ちもあったのですが、まずもって暑い!ために、これくらいで十分という気もしなくはなく。受付の裏手で熊本県観光物産展も開かれていましたが、この暑さではカキ氷や飲み物にこそ手が伸びるものの、ほかのものは…ちなみに宇土駅ロータリーでも地元特産品即売会が行われていたものの、あまりの暑さに売り子さんがバテている印象すら。
熊本総合車両基地 「夏のビッグイベント!」と題された今回の一般公開、事前応募&時間差入場制によりゆったり見られたことと、参加者も家族連れなどが多くのんびりムードであったことが奏効した感も受けましたが、結果的には真夏開催の難しさを痛感させられました。

その意味では、なによりも炎天下の中、安全確保のため検車庫内だけでなく屋外にも多数出張っておられた係員の皆様には頭が下がる思いです。08/21、車両基地公開に先立ち唐池JR-Q社長が『全線開業に向けたキックオフの日だ』と挨拶したそうですが、過酷な状況の中で適度に見学者をコントロールしつつ「こんにちは~」と気さくな声掛けや必要に応じて記念撮影を振るといったフレンドリーな対応をしていた係員の方々からも、全社一丸となって全線開業を心待ちにしている意識が強く感じられたのでした。
一方、全国でも数少ない新幹線車両基地がやってきたことを受け、地元では産業観光としての活用を要望しており、JR-Qも事前予約制等による見学コース設定を検討する方針とのこと。ちなみに現時点ではJR-Eが利府の新幹線総合車両センターを平日に事前予約制見学ツアーを設定、年間7万人が見学しているそうで。熊本としても新たな観光名所への期待は自ずと高まるものと思います。

熊本総合車両基地

ところで、08/21時点の社長発言等によると、8月末から試験走行を開始、来年2月を目処に試乗会を開催。運賃等については遅くとも来年1月までには確定させる方針で、注目のダイヤは「基本的には鹿児島中央」発着としつつ、熊本発着列車も一部設定される模様です-と思っていたら、08/24の「みずほ」報道には正直驚きました。

公募得票数トップにて選出された「さくら」は往年の長崎ブルトレの印象もあり、発表時点では若干の違和感も…更には東北新幹線「はやぶさ」誕生の際には鹿児島行新幹線こそでは、なんてな話もあったところ(九州新幹線公募時にも「はやぶさ」は「はやと」「さつま」を抑えて得票数第2位)、やはりブルトレからの復活ですか。確かに速達性と停車駅配分はなかなか難しそうで、別種別として大々的に売り出すのは戦略としては間違っていないと思うのですが、それにしても熊本ブルトレからとは思わず唸ってしまいますね…ただしその後の報道を見る限りJR-W側からの観測気球の様相、JR-Q側の困惑や地元からの早速の食いつきなど、はや前途多難?

新規開業区間のうち、長崎ルートとの分岐とされる新鳥栖駅はさておいて、福岡県内で3駅が連続するのはさすがに違和感を覚えたり…いろいろと喧伝されがちな筑後船小屋駅ですが、車両基地見学の翌日に通過しました。
2007/01以来の同区間通過ですが、前回の印象はあまりなく…今回は熊本方からのアプローチ、瀬高駅の先で東方から新幹線高架が寄り添ってきて、矢部川を渡るとまず新幹線駅舎が、その先に現船小屋駅がありますが、簡易駅舎よりも西方に広がる長閑な田園風景に唖然というかなんというか…東方の船小屋温泉のほか、その西方には柳川があり広域観光に資するともされてはいるのですが。

筑後船小屋駅筑後船小屋駅筑後船小屋駅

線路はその先久留米までほぼ寄り添っており、在来線でも20分足らずの距離。新大牟田駅が在来線および西鉄と連絡しないので、大牟田市街中心部へのアプローチとしても筑後船小屋駅の役割が期待される部分はあろうかとは思うのですが、このあたりはなかなか難しいところでしょうね。
その意味では新鳥栖駅も、長崎ルートがまだまだ不確定要素が強い段階では微妙な存在という気が…ただこちらは佐賀県であり、より政治的な度合いが強いのかもしれませんね。その新鳥栖駅が2面4線、久留米・新大牟田・新玉名駅が2面2線ということで、筑後船小屋駅はJR-Qの要望により下り退避可能な2面3線となっており、追抜設定等も注目でしょうか。
羽犬塚駅横には、地元小学生が描いた“街の将来”の絵がどんと掲出されており、「ちく後ふなごやえき」とつばめも登場していました。なにはともあれ、“おらが駅”を育ててゆくのはこれからです。

 

愛称名に話を戻すと、語感的に「みずほ」はわが国を象徴する言葉でもあり、新幹線の愛称名としても十分通用するものとは思うのですが…やはり過去を思い起こすならば、つばめ>さくら>みずほ という感覚であり、全く逆というのもなかなかイメージし難いというか。
個人的には折角公募選定されたのであれば、逆に無粋になったとしても「さくらレールスター」的な感じでベース温存としてもらいたいかな、という気も…JR-Qと-Wそれぞれの思惑もあるでしょうが、改めて車両を見てみると早く乗ってみたい印象が深まるとともに、特に山陽新幹線内におけるのぞみとの棲み分けがまた微妙になりそうとも思ったり。ま、それだけイイ車両であることなのですが、今秋にも発表されるであろうダイヤを楽しみに待ちたいと思います。

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瑞穂をひらりと隼は北へ…姑息とみるか商機とみるか

投稿者---551planning (2010/11/11(Thu) 14:59)

工事が順調に進んだことや地元要望を受けというのもあるとはいえ、九州新幹線全通と被ると話題性が拡散するので2010/12/04開業とした…とも噂される“MY FIRST AOMORI”。それを象徴するのが「はやぶさ」デビュー時期は2011/03とされていたこと。車両開発等のスケジューリングによるものとはいえ、“2段式ロケット”で話題性を維持しようとの思惑も見え隠れしていたのですが…こりゃないんじゃないですか?

紆余曲折の末になんとかなりそうな「みずほ&さくら」がデビューする九州新幹線全通は03/12。その1週間前にするとは、時刻表関係者泣かせというかなんというか…時刻表は今や紙媒体ではなく、経路時間算出のための巨大データベースと化しているわけで、1週間のタイミングのずれが膨大な作業量をもたらすことは想像に難くありません。
ま、逆に話題性の拡散が回避されるという見方もできましょうし、趣味的にはそれぞれの“初日”を楽しむことも可能ということで、経済効果的にもいろいろと出てきそうな。

***
「はやぶさ」は全線2往復に加え、俊足の活かせる東京~仙台間の東京行始発・仙台行最終にも抜擢されています。注目の「グランクラス」ですがグリーン料金のほぼ倍額に設定されました。また「はやぶさ」の特急料金が独立し、最大500円の上乗せとなります(全車指定席区間となる盛岡以北間のみ利用ははやてと同額、また特定特急料金も同額設定)。またこの辺りの運賃料金計算が複雑になりそうですな。


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