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進光丸船内にて

都市間バス、フェリー経由~「別府ゆけむり号」の旅路

大分ホーバーフェリー乗船と、LRT都市サミット広島2009参加が重なった10月末…いや「重なった」というのは語弊があるな、正確に言えば『ホーバーに乗るだけで大分往復はちと難しかったところ、10月末に広島に行く用事ができた際に両者の訪問を重ねた』大きな理由が「別府ゆけむり号」、でした。

別府ゆけむり号は2005年10月に広島~別府間で運行開始した都市間バス路線。広交観光と大分交通の共同運行で1日2往復でスタートしました。
なんといってもの特徴は、徳山~竹田津間をスオーナダフェリーにてバスごと航送するスタイル! かつては有明フェリーを挟んだ長崎~熊本間「ありあけ号」や淡路フェリーボートを挟んだ東京~徳島間「エディ号」等の例がありましたが、当時はセントレア~鳥羽間で伊勢湾フェリーを挟む三重交通リムジンバスだけ、それもフェリー区間が大半ということで、都市間バスという意味では稀有な存在でした。しかも2007年3月には鳥羽リムジンが廃止となり、現在では唯一の存在となっています。

呉~広島~別府間には戦後早くから広別汽船の航路があり、1989年には年間約14万人、車両約2万台が利用。末期には呉発の夜行便、別府発の昼行便というスタイルで運航していたそうですが、1999年5月限りで廃止に。
その後、広別汽船にも出資していた瀬戸内海汽船が関空~徳島間で運航されていた高速船を買い取り、ソレイユエクスプレスなる子会社を立ち上げて2000年12月から同航路をチャーター便にて復活。2001年7月には季節制ながらも最大2往復で定期化しました。
年間6万人の利用を目指したものの、なかなか需要がつかめなかったのか、2002年が約5.2万人、2003年が約5.5万人と目標値に達せず。この間、2002年には柳井寄航化、2003年には「西瀬戸内海トライアングル周遊観光ルート」を標榜した別府~松山間延長運航を実現する一方で通年1往復化されるなどの変遷があり、2004年にはパック旅行料金引き下げるなどで約7.2万人の利用を確保したものの、結局燃料費高騰等を理由に2005年1月で運休。復活を模索したものの低調で数か月後には航路廃止、船体売却の上会社解散となったようです。

その意味では広島~別府間の流動の命脈をつなぐ意義があった別府ゆけむり号ですが、当初10ヶ月間で利用者1万人突破ということで1便あたり8人ベースだったのが、その後利用低迷となったのか、2008年3月には別府~大分間乗継割引制度を導入。大分交通の路線バスに250円で乗れるというもので、大分方面ニーズの探りともなったようです。
そして2009年10月、大分延伸が実現。大分市内で3か所、大分県内で4か所、山口・広島側で3か所停留所が追加されるなど大きく変わりましたが、1往復に減便されています。なお、停留所増加にあわせ経路も変更。大分側では竹田津港から国東半島をぐるっと周回していたのをR10宇佐経由に変更、広島側も五日市ICから広島西風新都線に抜けていたのをわざわざ広島IC経由に変える形になっています。ちなみに、大分市内発着運賃は200円プラスと乗継時代より良心的に。

***
ちなみに、もうひとつの主役というべきスオーナダフェリーは、文字通り周防灘をショートカットする航路として1968年に運航開始。徳山~竹田津間48kmを現在は2隻で1日9往復、深夜帯も運航しています。なお4月と6月のドックダイヤとなる際には別府ゆけむり号も運休となります。
東九州と中国地方との最短ルートとして、業務用車を中心に利用されてきたようです。なお一時期、徳山と国東港(国東地区)を結ぶ航路もありましたが、現在は休止扱いとのこと。

航路2時間があるとはいえ乗り通しで所要6時間、事前にひと調べしたところでは、肝心のスオーナダフェリー内では飲料自販機だけで食糧補給に難あり。また大分交通車にあたるとトイレなしの可能性もということで、ある意味心構えが必要な感じ。何はともあれということで大分新川バスセンターへと向かったのでした。


名残のホーバー大分基地からタクシーで新川バスセンターまで移動。操車機能および案内所での発券機能を持っているが、スペースはかなりコンパクト。案内所に利用者用ベンチはあるも、待合には落ち着かないくらい狭かった。
時刻は10:00前、隣接する大分交通自慢の再開発商業エリア-D-Plaza内の施設のほとんどが営業時間前で、案内所に飲物とスナックの自販機があったものの至近にコンビニもなく、さてどうしようと見回していると、道路向かいに九州の地場スーパー・マルキョウを発見!いそいそと食糧補給…いや、09:30開店なのは助かった。

別府ゆけむり号

定刻5分前に「別府ゆけむり号」が入線、トイレつきの広交観光車だった。西鉄や日田バスなどとの顔合わせはなんだか不思議な感じ。運転手のチェックを受け乗車、当方のみが乗車して出発したが、チェックの予約表をちらと見れば結構乗っていそう。大分市内ではこのほか2箇所に停車、ちなみに大分駅前ロータリーを周回も、停車はせず。トキハ・フォーラス前で女性1人が乗車した。
拡幅工事が進む別大国道を進むが、午前中から交通量が多い。定刻から若干遅れて到着した別府北浜で12人の大量乗車。熟年夫婦が多く、パック旅行で別府観光といったクチか。その後別府観光港交通センターで男性1人が乗車した。

日出では乗車なし、この後新規ルートであるR10をJR日豊本線と絡み合いながら進む。なだらかな山間を30分ほど進むと周囲がひらけてきて宇佐駅入口、女性1人が乗車した。
ここから海沿いに東進、豊後高田市街地を乗車なく抜けると、峠越と入江を巡るアップダウンを数度繰り返す。別府出発後しばらくは賑やかだった車内も、温泉疲れのせいかすっかり静かに…と、若干の遅れのまま12:10に竹田津港に到着。結局総勢16人で海を渡ることとなった。
既に船は入港していたが、手続の為か一旦駐車場に停められ、運転手がここで降車地確認をしながらバスチケットを回収、バスを降りて窓口へと向かった…窓口のある建物もかなりの年代物、のぼりが出ていることから弁当や軽食堂はあるようだが、活気はない。港の周りも土産物屋兼食堂がぽつんと1軒あるくらいのようだった。実はこの間、バス車内で待機と伝えられており、窓口や港の風景を仔細に見ることは出来なかった。

ニューくにさき

しばらくして運転手氏がもどってきたが、手には弁当らしき紙袋が…結局バスでそのまま船内へ。車はトラックを中心に6割ほどが埋まる乗り。乗客は車両甲板から客室に上がった。
乗船したのは進光丸、1972年就航とかなりの古参。船室は2等制、右舷前方に1等客室が個室であり、2等は桟敷席を中心に後方の一部が椅子席という構成…かなり陳腐化しているが、40年近くの船とも思えないのでそれなりに手が入っているとは思われる。
乗客は総勢30人足らず、桟敷を中心にパラパラと分かれていた。中央部にトイレとゲームコーナー、後部甲板に飲料自販機があった。甲板は船室上部にもあったが、曇天で風も強く、後部甲板でタバコをくゆらす人も急いで客室に戻る感じだ。

岸壁で釣り糸を垂れる人々に見送られ12:30定刻出港。しばらく桟敷席で寝転がった後、甲板でしばし待機。僚船のニューくにさきとの離合をパチリ。あちらは1994年就航と未だ若い(といっても15年選手)が、ひとまわり小振りで、1等もない。
時折トイレやタバコで人の動きはあるものの、船内は静寂そのもの。備え付けのテレビをつける人もなく、バスの“別府組”も桟敷席を中心にごろりと寝転がっている人が多い。なおこの日の海上は穏やかで、揺れを感じることは全くなかった。
当方はその後椅子席でしばしまどろんでいたが、それにも飽きて甲板をウロウロ。周防灘のど真ん中を進むため、瀬戸内海とはいえ一時的に島影が見えない状態ともなったが、両舷に島影が見え、右舷の真横に山際に並ぶ出光大浦油槽所のタンクが見えてくればもう徳山湾。突き出した埋立地の横まで来ると下船案内の放送が入りバスに戻る。ここで運転手氏が再度の降車地確認、全員が広島BCまでということで「直行します」となった。

広島BC

しばらくして接岸、定刻から若干遅れてタラップが降りれば再びクルマたびのスタートとなる。進光丸やフェリー乗場を見る余裕もなく港を離れ、徳山駅には寄らずに市街地からR2へ。信号に都度引っ掛かりながら進み、徳山東ICから山陽道を進む。
山陽道に入れば速いもの…と、直行とはいいながら、精算処理上の都合でもあるのか玖珂ICで一旦降り、IC前のバス停に立ち寄り。女性が1人待っていたが、当然ながらこのバスには乗れない。その後広島岩国道路から宮島を望み、こちらも直行とはいいながら、五日市ICで降りることはなく、ルート通り広島ICからR54へ。さすがに中筋駅前に入ることはなかったものの、広島BC到着はほぼ定刻。ちなみに広島駅にはもともと入らない。
行きも同じだったのか、“別府組”が降車の際、互いに別れの挨拶をしていたのが印象的であった。


所要6時間ですが、バス-フェリー-バスとほぼ2時間交代になっていること、フェリー船内で横になれることから、思ったほどしんどくはないです。ただ、天候もあったとはいえいささか単調。あえていえば船旅が予想以上に地味でした。
食糧補給は事前に備えていたこともありさほど感じなかったものの、竹田津到着前には“別府組”の多くの方が弁当を開いていましたね。広島発の場合、トイレのない大分交通車に限ってとは思いますが、下松SAにも寄ったとの話もあるだけに、このあたり大分発ならば、例えば竹田津なり豊後高田なりでの「トイレ&買物休憩」を織り込んで欲しい気はしました。

それにしても広島~別府・大分間の流動ですが、なかなか厳しいものがあるのかなと。そもそも都市間(ビジネス)需要としては、穴路線としての認知度もかなり低いと言わざるを得ないのかなという気がします。
ソレイユ時代の「西瀬戸内海トライアングル周遊観光ルート」も、かつてコミューター航空で実現しようとした「西瀬戸エアリンク」の失敗と重なるところがありますし。

そうなると観光需要がとなるのですが、確かに別府の金看板はあるものの、片道輸送に偏ってしまいます。
ソレイユについては、当時の別府市長が「これまでのような広島から別府への集客だけの一方通行にはしない」とのトップ外交を展開して別府側からの広島ツアーを仕掛けた、との話もあるのですが、少なくとも現状の大分交通と広交観光のサイトを見比べる限りにおいて、大分・別府側からのツアーが常態的に設定されているようには見えないところが“解答”でしょうか。

また、ソレイユは3時間で結んでいたとのことですが、さすがに所要時間が倍となると潜在需要掘り起こしも難しいかなと。別府ゆけむり号の名誉のために付け加えれば、ソレイユでは呉~別府間が片道9000円、別府ゆけむり号は広島~別府間で片道5500円、往復10000円となってはいるのですが。
つまるところ、フェリー航送という着眼点がというところでしたが、竹田津の位置からして宇佐別府道路などを使ってもこれ以上の時短効果も望めず、いっそ遠回りに過ぎても高速道路経由のほうがという気すらしたり…さりとて東九州道全通まで残るかというと、個人的にはないといわざるを得ないかなとすら。

ニューくにさき

そもそも「1000円高速」によってフェリー業界が軒並み苦境に立たされている中、スオーナダフェリーも例外ではなく、1990年代はじめには年間20万人超だった輸送人員が、2004年には13万人にまで減少、近年は更なる落ち込みとなり、今年7月には運賃実質値上げに。
こうした状況を受け、今年6月末に周辺自治体などが「国東半島~周南航路活性化協議会」を設置、利用者アンケートや、航路や「別府ゆけむり号」を使ったモニターツアーなどを先行展開するとともに、11月には地域公共交通総合連携計画の素案を取りまとめ、パブリックコメントを募集中です。

素案では、
 (1)船舶及び待合所の機能・利便設備の改良 (船内トイレ改修や内装改良、ドライバースペースの確保や大型テレビ導入などを実施)
 (2)ソフト面でのサービス向上 (ツアー商品開発や、利用者ポイント制度などの段階的整備)
 (3)情報発信力の強化 (マスメディア・ウェブ・パンフレット等の充実)
の3点を2012年までの3カ年計画で実施するとしていますが、はたして…。

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「錦江湾横断バス」出発へ

投稿者---551planning(2009/11/29(Sun) 10:00)

2011年の九州新幹線全通を前に、鹿児島県鹿屋市が12/01から鹿児島中央駅~鹿屋間直行バスを実証運行することとなりました。
垂水フェリー航送による「錦江湾横断バス」が出発することになります。

報道によると、鹿屋市が車両を購入するなどかなり「本気」の様子…その車両製造が遅れたたため当初10/01の運行開始がずれ込んだとの話もあったり。
ともあれ1日5往復設定、鹿児島空港方面には現在12往復設定されており、状況次第ではとも思います。が、一方で2006年に大隈半島全体で路線バスが廃止・自治体移管となっており、報道でも運賃に差を持たせて競合を避けるとしていますが、路線バスとの棲み分けも考慮に置いておく必要があろうとも…ちなみに今回の実証運行事業者も無論、“因縁の相手”である大隈交通ネットワークが担当です。


ご意見は【検証:】常設板までどうぞ!

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