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【検証:近未来交通地図】  特別リポート2008-0602
ツアーバス
ツアーバス
安全マネジメント・シンポジウム
傍聴録

(2008/06/26)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

2008/06/26、東京で「ツアーバス安全マネジメント・シンポジウム」(毎日新聞社主催/国土交通省後援)が開催されました。昨今のいわゆる「都市間ツアーバス」の隆盛と、一般乗合路線高速バス事業者(以下路線バス事業者)を含めた競争激化に伴う環境変化が安全を脅かしているのでは、という社会的注目の高まりを受けた企画と感じ、参加を申し込みました。
それにあわせて…というわけでもないのですが、現状把握ということで、“激戦区”である東京〜仙台間ツアーバス実見を含めての感想を…。


そもそも当方が「都市間ツアーバス」たるカテゴリーの存在を知ったのは、2003年頃でしょうか。【検証:】でもオリオンツアーが「関西バス」に加え「名古屋バス」を本格運行…という話題で取り上げています。ただその際にも触れていますが、2001年のUSJオープンに伴い近畿日本ツーリストがバスのみ利用可を含めたツアー設定を行っており、このあたりが萌芽と考えられるでしょうか(なお、オリオンは2001年5月に、ウィラー・トラベル(旧西日本ツアーズ)は2001年7月に運行開始としている)。

「貸切夜行バス」で価格破壊成るか?(2001/03/15)http://ken-show.net/topics/traffic/log019.html#3
「狩人」は孤高を目指すのか…「ダンピング」バスは何処まで?(2003/12/16)http://ken-show.net/gallery/report/044.html

実際の利用経験としては、そもそも夜行バス利用をあまり好まなかったこともあり、2005年2月に名古屋→東京でビジネストラベル「東名ビジネスライナー」昼行便を利用したのが初めて。動機は無論価格で、なんと2900円でした…各種事前情報等から「安かろう悪かろう危なかろう」の先入観があったものの、さしたることはありませんで。
なお2006年にもホットドック「キラキラ号」で同じ名古屋→東京間昼行便を利用していますが、利用経験はそれだけに留まっていました。選択肢としては念頭にありながら、結果的に積極的に選ぶ理由もなかったかな、程度の印象です。

激安!便利?「東名ビジネスライナー」体験記(2005/02/20)http://ken-show.net/gallery/report/060.html

daylight
東名ビジネスライナー(2005/02)
Kirakira
キラキラ号(2006/04)

クチコミ的な広がりから、東京や大阪の駅周辺での「混雑」振りなどがマスコミなどでも注目されるようになり、価格的側面が時代の潮流として評価する論調が先行した後、許可制になったもののさまざまな制約がある路線バス事業者側の不満の一方、「旅行商品」としてはルール内として積極的な手が打てないでいる国交省という構図も。そして運転士の過酷労働や、メンテナンスも不十分な中古車両使用などといった、「コスト優先安全軽視」の実態にスポットがあてられるようになります。
この後の流れは皆様ご承知と思いますので、時系列でのまとめにとどめておきましょう。

交通全般wiki 都市間バスを巡る昨今の状況


前置きが長くなりましたが、ここからはシンポジウ傍聴記をば。

小雨振る06/26、東京・虎ノ門の発明会館ホールへ。開始30分前の受付開始直前に到着、資料を受け取りホールに腰を下ろしてしばらく資料に目を通しているうちに、260余の座席の多くがスーツ姿の男性で埋まることとなりました…当方も浮かないよう?にスーツで行きましたが、若い男性を中心に私服姿の方もちらほらと。
で、別に聞き耳を立てていたわけではないですが、関係者がかなり動員されているようで、しかも午前中に業界団体の設立が決まったとか。この話は初耳でした。なるほど、パネルディスカッションのパネリストで大体のイメージはあったのではありますが、一応公開シンポにはなっていますが、“こうした流れに乗ったシンポ”であるという前提をまず把握したのでした。

「高速ツアーバス連絡協議会(仮称)」の設立について〜9月設立を目指し、設立準備会を開催〜
(2008/06/26楽天) http://travel.rakuten.co.jp/news/3665.html

ツアーバス シンポは3部構成で、

・パネリスト(着席順)
 村瀬茂高(ウィラー・トラベル代表取締役)
 成定竜一(楽天バスサービス営業部部長)
 鈴木文彦(交通ジャーナリスト)
 塩村文夏(自動車ライター、エッセイスト)
 川勝敏弘(国土交通省自動車交通局安全政策課長)
・コーディネーター
 松田喬和(毎日新聞社論説室専門編集委員)

というもの。
なお、毎日新聞07/26付朝刊20面に概要が掲載されているので、全体の流れ、要点等はそちらを参照して頂くとして、以下は当方の注目ポイントをまとめたいと思います。

最初の山内教授による基調講演は、今までの大きな流れをおさらいするという感じのもので、正直目新しいものはなし。運輸政策審議会専門委員として規制緩和の流れに関わった立場から、もう少しウラ話的なものを期待したのではありますが…安全面で問題視されているところ事故件数ベースではほぼ横ばいでもあり、特に価格管理が適正に行われるなど業界全体で正しい評価を得る努力を進めれば、競争による新規需要確保を成したという意味で貸切バス業界が運輸業界の希望の星に、とのまとめは、さて如何なものかとも。
続く特別講演、「愛欲家ではなく愛浴家です」と出だしにかましてくれた山崎氏、和服姿は勢い映えたものの…女性は車内の臭いに敏感で、既存路線夜行バスよりも都市間ツアーバスのほうが女性率が高くて云々の話も出ましたが、既存路線夜行バスも男ばかりではないし、女性専用車両なども一部路線ながら古くからあるような…などとは野暮なツッコミ。何よりも、予定時間が余って?しまい、温泉の効能云々の話(しかも中途半端・・・)になってしまったのは、致し方ないとはいえうーん…ま、ご本人によると逆の感想があったとのことではありますが。そうそう、YOKOSO!JAPAN大使という立場から訪日外国人客の受け皿としてのツアーバスを、という提言もされていたことを付記しておきましょう。

山崎まゆみオフィシャルサイト 日記&エッセイ:「ツアーバス安全マネジメントシンポジウム」
http://www.ingsnet.com/blog/mayumi/archives/2008/06/28/post_144.html

休憩を挟み、ようやくお待ちかねのパネルディスカッションに。なかなかな面子ですが、コーディネーター氏はテレビでも見かけたことのあるバリバリの政治記者。『規制緩和という流れは、細川内閣誕生によって…』と始まったときにはどうしようかなとも思ったのですが、事前打合せがうまくいったのか、そもそもあまり興味がないのかどうか、その後は淡々とした進行で、鈴木氏の話に村瀬氏が応えて、さて行政はというところで答え辛い質問が川勝氏に飛ぶ…というのが基本的な流れとなったのでした。

1利用者としての実感から意見をとした塩村氏は元グラビアアイドルで自動車ライターから「恋から14期生」を経て放送作家に?という経歴の持ち主だそうですが、わざわざ試乗してみたのはご立派では?…ま、ウィラー便というところが提燈的な感じもしなくはないですが。ツアーバスと高速バスの違いがはっきりしないのが現状であり、価格面ばかりでなく、サービス・安全性が会社の個性として注目される航空業界のような評価ができるようになればとの指摘も。女史のブログにもある通り「ツアーバス=危険=悪」という昨今の報道論調ではというところがベースとなっている分、ちょいと一方的な目線に過ぎる嫌いがあるような気もしなくはないですが、結果的に“写真写り”も含めて、比較的ニュートラルな利用者意見だなぁと感じられましたね。

塩村文夏の「自動車見聞録」:ツアーバス
http://carnifty.cocolog-nifty.com/shiomura_ayaka/2008/06/post_32a1.html

ウィラーウィラーウィラーウィラー
ウィラーウィラーウィラーウィラー

村瀬氏&成定氏はパワポを使いながらこれまでの経緯と展望を説明。
まず村瀬氏が、ウィラーグループの現状を説明。「人の移動に、バリューイノベーションを起こす」とのグループミッションを掲げ、オリジナルシートやウィラーステーションなどの新機軸を挙げつつ、価格競争によって新規需要の創出・拡大を果たしたとする氏。その前提には『高速バスの根幹は「安全」であり、その上で初めて健全な発展があると』との考えから、2007年から運行事業者を含めた「安全運行協議会」を組織。運行事業者全社で安全基準書を作成し、24時間体制の運行管理センターの設置、運行事業者同士での情報共有化、マナー向上委員会の定期的開催などを通じて、「安全の協働」を図っているとまとめました。

成定氏は、ツアーバスの特徴かつ成功した最たる理由ともいうべき、インターネットを活用したビジネスモデルについて解説。既存路線バス事業者が窓口販売を中心とした自社構築の販売システム中心だったことで、主に地方を中心とする路線バス事業者自身のネームバリューに依拠するところが大きかったのに対し、楽天バスがツアーバスのマーケットプレイスを提供することによって、ツアーバス事業者のコスト軽減となると同時に、利用者にとっても比較等のメリットを提供。結果的には路線バス事業者のネームバリューが地方に比べ低い大都市圏の需要を創出したとしました。更には、このビジネスモデルを路線バス事業者を含めた業界全体で共有することで更なる発展につながるのではとしています。

楽天バス楽天バス楽天バス
楽天バス楽天バス楽天バス

利用者ないし路線バス事業者からの視点・立場から黎明期からツアーバス業界を眺めてきた鈴木氏は、少子化やバブル崩壊による旅行の小口化、貸切バス需要の減少の中で規制緩和となり、過当競争の中で価格をウリとしたツアーバスが隆盛となったものの、そこには従業員や車両などへの皺寄せが限界に来ているのではないか、その中で安全が脅かされているのではないかと指摘。会社名もろくに入っていない車両、かなり磨り減ったタイヤで高速を走る車両がツアーバスに使われていたとも触れています。

その声に対し村瀬氏が、ツアーバスは価格競争のその第1フェーズから、いよいよ第2フェーズである品質競争に移行しつつあるとし、価値のある新しいサービスでリピーター獲得を図ってゆくと表明。その中でも安全は最優先されるべきとし、バス業界全体の発展に寄与すべく「高速ツアーバス連絡協議会」を立ち上げる…とまとめました。
川勝氏からは、規制緩和後の貸切バス事業者の状況として、事業者数の急増の中でも具体的な事故件数は走行キロ当たりでもほぼ横ばいの状況であるとしながらも、運転手の労働時間増加や営業収入・賃金の低下傾向を挙げつつ、あずみ野観光バス事故を契機に実施した緊急重点監査で、ツアーバス運行事業者の法令違反が多い傾向であったことを紹介。交代運転手配置を中心とした運行時安全確保への各種通達を出すほかに、安全への努力を利用者等にも判りやすくすべく運行事業者の評価制度を検討しているとし、その中での、ツアーバス企画旅行会社と運行事業者の横断的な業界内協議会設立は意義あるものとまとめています。

これを受け、鈴木氏は国交省の評価制度に大賛成としつつ、そもそも貸切バスには万博クラスの大規模イベントや災害時などの際に鉄道などに代わる交通インフラとしての社会的役割がある以上、今後も貸切バス業界の持続的発展が求められているとし、楽天バスとして2006年から安全検討委員会を設けて(ちなみに山崎氏は同会委員でありまして今回…ということですね)、ツアーバス事業者の適正管理を販売という側面から実施しているという成定氏も、安全への投資も収益あってである以上は「きちんとやっている会社」が儲かる役割を担っていくとしました。

国交省国交省国交省国交省
ウィラーウィラーウィラーウィラー

シンポジウムは1時間強とあって、質問時間もなく終了。全体の所感は最後にまとめるとして、シンポジウム全体を通して、
   ・ツアーバスが新規需要を掘り起こした社会的意義
   ・安全面への指摘があること
   ・その中でより幅広い信頼を得るには
という流れであったものの、個人的にはひとつ大きな視点というか、パネリストに「ツアーバス運行事業者代表者」がいなかったことが、現状把握で弱い部分になったかなぁと。確かに村瀬氏がツアーバス企画旅行会社かつ運行事業者としての顔を持っているとはいえ、客席の大多数がその事業者と思しき方が「集められていた」以上、あえて言うならばうわべだけの流れになっていまいかという気がしてならなかったのでした。
その違和感の表れが、ツアーバス運行事業者をメインにして描かれた、NHKスペシャル「高速ツアーバス 格安競争の裏で」(2007/04/30)であり、TXN系日経スペシャル ガイアの夜明け「町からバスが消える 〜規制緩和で揺らぐ地域の足〜 」(2007/06/19)が伝えた路線バス事業者の苦境にあったのかなかとも感じるのですが…ま、それぞれ2007年現在ということで、では現状はどうかというのが気になりました。

NHKスペシャル「高速ツアーバス 格安競争の裏で」
http://www.nhk.or.jp/special/onair/070430.html
日経スペシャル ガイアの夜明け「町からバスが消える 〜規制緩和で揺らぐ地域の足〜 」
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview070619.html



ということで、ツアーバスの実情を見たいとの思いから、丁度予定のあった仙台行にて乗ってみることとしました。東京〜仙台間は、「ガイアの夜明け」でもJRバス東北が過疎路線バス切捨ての遠因となったとしていたように、東名阪に次ぐ路線バス事業者を巻き込んだ激戦区となっています。
1962年を起源とする路線バス事業者の老舗、東北急行バスが東京駅〜仙台駅間で、その後JRバスグループが東北急行バスと共同運行という形で新宿駅〜仙台駅間に参入。それぞれ昼行・夜行便で増発されると、2005年以降他事業者も参入、現在では5路線が運行されています。加えてツアーバスが多数設定されているわけですが、詳細は別途にて。

交通全般wiki 東京−仙台間 都市間路線・ツアーバス展開状況

今回選択したのは、行きが旅の散策バス、帰りがウィラーエキスプレス。双方とも3列シートであることと、仙台滞在時間を考慮したものですが、そのほか気になる点をチェックしたいということもあっての選択でもあります。

旅の散策バス ■旅の散策バス(新宿→仙台)

旅の散策バスは富士興商が主催するツアーバス。2005年に東京〜名古屋便を開設し、現在は大阪・仙台と3ルート体制となっています。以前はタイセイ観光バスなどに運行させていたものが、東京タイセイ観光を買収し、「富士セービングバス」が運行事業者となっているのだとか。
ちなみにタイセイ観光ですが、静岡県清水町で1992年創業の貸切事業者。一時横浜や金沢にも営業所を設けていたほか、2000年頃には八王子に東京タイセイ観光を立ち上げてもいました。オリオンやウィラーなどのツアーバスの運行事業者としても名の知れた存在でしたが、一部で荒い運転や乗務員対応に難があるとも噂されてゆえのものでありました。実際、2006年7月に東京都新宿区で歩行者接触死亡事故を、2007年11月には静岡県牧之原市の東名高速で乗客20人負傷の追突事故を起こし、折からの原油高によるコスト上昇とツアーバス競争激化による業績悪化などを受け、2008年5月に民事再生法申請に至っています。

話を戻して、旅の散策バスはホワイトベース専用デザインの経年?三菱エアロクイーン車という印象があったのですが、出発地の新宿西口スバルビル前で待っていたのはスカイブルーの日野セレガ、まだ新車の様子…と、側面には「旅の散策 新宿→名古屋方面」のLED表示…ツアーは紙表札が一般的ですが、これだとまさに路線チック? 私鉄総連などが「乗合類似行為」と指摘する点かとも思われますが、利用者側としては休憩時などに発見しやすいというメリットがあるのもまた事実。
さて仙台行はと探すと、同じ日野セレガが100mほど後方で待機中。一応向かいますが、運転手氏から「もうすぐ移動しますのであちらで」とのこと。それにしても新宿西口のこの通りはバスでびっしり。反対車線は黄色いはとバスが埋めており、こちら側の車線は色とりどり。名古屋行のJJライナー、夜行便の到着と思しきキラキラ号が走ってゆけば、新宿センタービル横からは桜交通車が2台走ってゆくなど、バラエティに富んだバスは見飽きないほど。

jjライナーキラキラ号はとバス桜交通

さて、仙台行車が動いたので本来の乗り場に移動。丁度名古屋行が出発で、一瞬並ぶ光景も。乗車名簿片手に運転手氏が降りてきて乗車確認。これまでの少ないツアーバス経験ではドア横に座席表が張り出されていたのですが、今回はなし…というのも、旅の散策ツアーサイトで申し込むと、座席の事前選択が可能となっており、実際直接申し込みの利用者が多そうでした。「見知らぬ男女を隣り合わせにしない」などの配慮がツアーバスのひとつのウリともなっていますが、座席が予約時に目視で選択できるのは個人的には大きなポイントです。
指定の3列目に向かうと、なかなか広めの座席…シート操作案内を兼ねた「旅の散策バスご乗車のしおり」が置かれています。“ツアー”ですよというアピールとも思えますが、『お客様を責任をもって、安全・快適に目的地に到着すべく全力を尽くします』との宣言とともに担当運転手の実名も記載されるなど、好感が持てます。「お客様感謝セール」として1万円分のギフト旅行券の抽選券ともなっており、とにかくリピーター確保に積極的という感じですね。

出発時間15分前が受付開始集合時間となっており、大半の乗客が揃ったものの、最後に女性が駆け込んできたのは出発時間直前。これまた少ない経験で言うと、このあたりけっこうルーズな利用者が目立つのもツアーバスならではというか、集合時間と出発時間の2つの時間があるためでしょうか。なお男女比はほぼ半々というところ。
2分ほど遅れて出発。運転手氏は2人乗車、下道では添乗者が左方確認を行っていました。運転手氏の行程等のアナウンスを聞きつつ、都庁舎前を仰ぎ見て進むは首都高中央環状新宿線中野長者橋ランプ…なかなか機会がなくて当方今回が初めての山手トンネル走行と相成りました。ちなみに、フロントガラスには夜行便で主に使われる射光ネットが張られており、前方視界は残念ながら宜しからず、残念。 そのまま中央環状線から川口線に進み、出発から30分で東北道浦和料金所を通過です。

旅の散策バス旅の散策バス旅の散策バス
旅の散策バス旅の散策バス旅の散策バス

さて東北道、早速進むは追越車線。とはいえ、やみくもに追越車線を進むわけではなく、適宜中央レーンにも移る…というか、このあたりはかなり飛ばす乗用車が多いためでもありましょうが。そんな中、羽生PA付近の追越車線を走行中、中央レーンから追い抜いてきた外車が追い越し車線前方に入ってくると急減速! こちらの運転手氏もクラクションを鳴らしますが、その後も不安定に左右動をするなど妨害? 中央レーンに移ってやり過ごしましたが、ちとハラハラさせられました。
その後は順調に走行、利根川を越え、出発から1時間少々で佐野SAで最初の休憩となりました。路線バスだと10分程度の休憩が多いが、20分近くと余裕があります。土曜朝とあって佐野SAは女性用トイレには長い行列ができるほどの混雑。駐車スペースでは大型バスが目立ち、中でもこまどり交通の温泉送迎バスが目を惹きました。

再び東北道を北上。宇都宮から2車線になっても順調に流れて、白河ICでは「これよりみちのく」看板をちらと見かけます。それにしても対向車線でちらちらするのが桜交通のバス。東京〜仙台間だけで1日8往復も運行してますから…出発から3時間を経過し、福島到着前に安達太良SAで2度目の休憩。この日もかなり暑く、多くの乗客がトイレとともに飲み物などを買い求めに降車しました。20分弱の休憩終了前に全員が戻り、スムーズな出発となります。結局運転手は1人が通しでハンドルを握っており、折り返し便で添乗員が握るということでしょうか。
安達太良SAには桜交通便が先着しており、その後この車と雁行状態でさっと雨に降られた福島盆地を抜け、宮城県へと入ってゆくことに。村田JCTを過ぎると目だってバスが増えます。さてここで時刻は12:30過ぎ、予定の仙台駅東口13:00着は微妙になってきました。仙台宮城ICを出て、仙台西道路へ…と、トンネル内で大渋滞。どうも仙台市内出口の信号待ちが延びてきているようです。なんとか抜けると仙台市内、桜交通便が広瀬通で降車扱いをしていました。こちらは仙台駅西口を横目にJR線を潜って東口代々木ゼミナール前へ。結局15分遅れでの到着となりました。

旅の散策バス旅の散策バス旅の散策バス旅の散策バス

旅の散策バスを選択した一番の理由が、朝便の中で新宿発が遅く、仙台着が早いということからでした。他社が所要5時間15分設定のところ、旅の散策バスは4時間40分。同社については荒い運転云々という噂も耳にしていたこともあり、実のところどうなのかというところもポイントであったのですが、クルマも新車、運転手氏の応対も特に問題なく、快適に過ごせました。なお、前述の朝便の遅れは常態化しているようで、8月のダイヤから13:30仙台着(所要5時間10分)と改められています。
なお、同社もネットでの噂を知ってか知らずか、「旅の散策バスのメリット」というカラー刷りの簡素な小冊子内で、『旅の散策は、利便性、安全性そして適正価格でバス業界の改革に取り組んでおります。みなあん、応援をお願いします』と。その小冊子でも紹介されているように、予約時から独自性を出しているほか、キャンペーンなどつなぎとめ策も個人的にはその姿勢には好感が持てるものでした。

ウィラーエキスプレス ウィラーエキスプレス(仙台→新宿)■

ツアーバス業界のトップを自認し、メディア戦略も積極的な同社。折からのガソリン高騰を受け、格安で都市間移動できるとこの夏の旅行需要にとのメディアの注目も集まる中、白とピンクのバス、そしてカラフルで多彩なシートを最近テレビで見かけたという人も少ないのでは?
西日本ツアーズ主催旅行としてツアーバスに参入したのが2001年、その後2006年に企業組織を改変し、ウィラーアライアンスグループを構成。運行事業者としてのウィラーバスも設立し、2005年に業務提携した韓国・大宇バスからバスを輸入するなど積極投資を展開しています。2008年2月からは高速バス乗継予約を開始するなど、最大20路線30都市を結ぶネットワークを構築するに至っています。

仙台駅東口代々木ゼミナール横で待ち受けていたのはその大宇バス。「コンビネーションバス」と呼ぶ、4列+3列のクラス構成となっています。ちなみに前方が4列「リラックス」、後方が3列「プレミアム」で、最後列はプレミアムシートを4列並べた「プレミアム4」と、最後列をもクラス構成に活用するところはさすがです。ちなみにこの日は「リラックス」が3800円、「プレミアム4」が4300円、「プレミアム」が5000円でした。
ウィラーのシートの代名詞的存在が2007年に投入した「リラックス」。レッグレストが一体化したピンクの座席と、なんといっても顔を適度に覆ってくれるカノピーがついているのが印象的ですが、当方が選んだのは2006年登場の「プレミアム」。カノピーこそないですが、やはり横幅がゆったりしています。ちなみに旅の散策バスと比較すると、肘掛がどっしりとしているのが旅の散策バス、ウィラーはデフォルトで傾斜角がかなりあり、調整のため後席を意識することなくゆったりとした間隔が得られます…ちなみに個人的には、可動枕など利用者個々でホールド感を調整できる、旅の散策バス座席に軍配を上げますかな。

さて、出発時間20分前が受付開始集合時間でしたが、5分ほど遅れて到着。運転手氏にチェックを受け、「座席は入口横に張ってあります」とのことでチェックし座ります。若干気になったのが運転席から客席に上がるところ、夜行利用時を意識して仕切り扉が設置されているのですが、その造り的に通路がかなり狭く感じられるのがなんとも。小柄な女性でも身体を横向きにしてすり抜けるという感じになっていました。
で、指定の座席は丁度「リラックス」と「プレミアム」の境目で、通路側席だとレッグレストが中途半端になってしまうのは御愛嬌。それにしても座席デザインが効いているといっては失礼ながら、韓国製バスといっても安っぽさはありません。ふと思い出すのは日産ディーゼルフィリピンの「ユーロツアー」。あちらは短命でしたが、大宇バスはどうなるでしょうか。
当方が乗り込んだ時点で半数以下だった乗客も次第に集まり、最後には10人ほどの見送り客が手を振る中、5分ほど遅れて出発。男女比でいうと7・3で女性中心でしょうか。運転手氏の放送がある中、仙台市街をスムーズに走れば仙台西道路を抜け、15分ほどで仙台宮城ICから東北道入り。ちなみに運転手は1人乗務でした。

ウィラーエキスプレスウィラーエキスプレスウィラーエキスプレスウィラーエキスプレス

まだ陽の残る東北道を一路南へ。高速走行に入ると、後列乗車ゆえということもあるものの、がむしゃらに追越車線を走っているというわけではないのですが、エンジン音がかなり耳に入ってくる印象を受けます。ただしパワーの弱さを感じるということはありませんでした。
さて出発時の放送で、たしか「2ヶ所ほど休憩で停まります」とは聞いたものの、どこかは言わなかったか聞けなかったか、さてどこで休憩なのかと考えながら50分ほど、福島盆地を見下ろす国見SAで15分の休憩に。地場ものの土産品が多く売られており人気を集めていました。乗車時に入口に紙製おしぼりが置かれているのに気づき、早速活用。こういった小物は女性はうれしいものと思います。出発直前、隣に仙台を10分後発の桜交通の3列シート車が到着、こちらもほぼ満席の乗り。

郡山を手前にして日が暮れ、夜間走行となります。減光こそされないものの、リラックスシートの利用者の多くがカノピーを有効に利用している様子。車内はいたって静かです。那須高原SAを通過すると関東に戻ってきた感を受けますが、こうなってくると次の休憩はどこでかと。また佐野SAかなと思っているとあっさり通過。蓮田SAまで行くのかと思いきや、出発から3時間半、なるほどの羽生PAで2度目の休憩となりました。
さすがに2時間以上乗り続けたためか、多くの乗客が一旦降りますが、新宿到着まであと1時間少し、20:30を過ぎて売店の一部も閉める準備というところで、トイレを済ませてバスに戻る人がほとんどという感じでした。少し離れた駐車スペースには福島から郡山を経由してきた「あぶくま号」JRバス東北便が停車中、半数ほどの乗りといったところ。
浦和料金所を21:14に通過、首都高もスムーズに進み、中野長者橋ランプを出たのが21:36。さほど飛ばしてきたという印象はなかったものの、結局新宿西口スバルビル前には21:42着。予定より30分の早着というのには評価が分かれるところでしょうが、個人的には遅れるよりは全然OKと思うので…。

ウィラーエキスプレスウィラーエキスプレスウィラーエキスプレス
ウィラーエキスプレスウィラーエキスプレスウィラーエキスプレス

業界トップの乗り心地はと、かなり意地悪な目線で乗ってはみたものの、そこは都市間路線バスと何ら変わらないもの。その上で3クラス提供の座席など、「高速バスは新たな次元へ」と提唱する通り、都市間バスの進化の可能性を体現しているところに価格だけでない支持が集まっているものと実感させられました。
ウィラーは通常座席(スタンダード)についてもシート幅拡大、リクライニング角度拡大、フットレスト設置などを行った新型シート「ネオ」として売り出し中、新宿仙台便にも7月下旬から投入されています。ところで、JRバス関東や系列のJRバステックでは「楽座」シートを順次導入しているのですが、利用者まで浸透しているかどうか…このあたり、やはり座席で選ばせるという発想は路線バス事業者側にもなくはないとはいえ、その謡い方もひとつ参考になるのではないかと思ったりするのですが…。

今回、個人的には「もはや桜交通が東北道を席捲しているな」ということを実感させられたというのが一番印象に残ったところです。同社は2003年に、前年から富士交通が参入し既存事業者と価格競争が激化していた郡山・福島〜仙台線に乗合事業者として参入、富士交通と共同運行を実施するとともに、単独で白河〜仙台線・郡山〜会津若松線を立ち上げるなどしたものの、2005年までにギブアップ。しかし盟友?富士交通の破綻を横目に、同年仙台事業所を開設すると、富士交通も手がけていたツアーバスを、子会社のさくら観光主催により積極展開するに至っています。現在は新宿〜仙台間をメインに、新宿〜会津若松・東京〜福島間などを展開。今回の往復でも道中で何台もの桜交通車を見かけることとなったのでした。
2004年以降参入のウィラーやキラキラ号、オリオンツアーなどがそれぞれ1日2〜3往復なのに対し、後発であるさくら観光は地場を活かして昼夜あわせて7〜8往復を運行。ツアーバスだけで1日十数便が走っている計算になりますが、首都圏〜関西圏の需要と比してかなり過剰ともとれるところ、少なくとも実見時には多くのツアーバス車でかなり席が埋まっていたところからして、新規需要を掘り起こしていることを実感させられます。東京〜仙台間ではJR東日本も2007年から期間限定で東北新幹線の指定列車指定席が最大3割引となる割引商品「やまびこトクだ値」が発売され、2008年夏季からは同社エリアの他路線にも拡大が図られるなど、新たな価格競争の可能性も生まれています。

その一方で苦戦を強いられている様子なのが老舗路線事業者の東北急行バス。関東〜南東北の路線事業者共同出資で設立されたのも遠い昔、2002年に東武完全子会社、2003年には関西路線にも進出する一方で、ホームの東京〜仙台線では長らく4列シートだったのが増発&車両更新を機に3列化(2004年)→格安便として4列車再投入(2006年)→昼行便削減(2008年)と迷走しているようにも見受けられます。政宗号共同運行で盟友とも思われたJRバス東北が期間限定としながら格安戦略でガチンコ勝負に挑んでいるのと比べても見劣りがしてなりませんが、「ガイアの夜明け」でもあったような一般路線維持の死活問題というところから、もはや高速バスだけで飯を食うかの瀬戸際にあるのだとも感じられてなりません。



シンポジウムのテーマにもあったとおり、利用者が「安全」を一番のキーワードとしつつあることは、ツアーバス企画旅行会社自らが最も危機感を持っているところと感じます。ゆえに、各グループが自社傘下で運行事業者を持つというように、事業継続にある程度の投資が必要になる流れが生まれています。一方で、「ラストミニッツ割引」と称して破格値以上というべき料金500円等を打ち出していたビジネストラベルの名を聞かなくなったように、その流れに乗れなかったツアーバス事業者から淘汰されつつあります。
一方で、その流れとなることによって路線バス事業者との「差」がより縮まってきたとも感じられます。路線バス事業者にとっても価格弾力性や、なによりも規制が緩和されたとはいえ路線開設・廃止までの各種手続きや、事前予約がゼロであっても運行しなければならないなどの「差」は埋められるべきところですし、そこから考えるに、ツアーバス企画旅行会社傘下運行事業者が一般乗合旅客自動車運送事業者資格を得て運行すべき段階にきているのではないかと考えるのだ妥当と思われます。こうなると、ツアーバス問題の根底にある、企画旅行会社優位・運行事業者が安全を脅かされるほどに皺寄せを食っているという状況からの脱却にもつながるのではないかと考えるのです。

路線バス事業者の苦境に理解しつつも、やはり都市間バスはまだまだ進化の可能性があることを突きつけられると、安定需要に胡坐をかいていたとされても仕方ない面もあろうかと思います。安全性という面でも路線バス事業者が担保できているかという意味では、近鉄バス磐越道横転事故(2005年)の重大死傷事故や、先日もメガライナー全焼事故なども起きており、また社会問題化ともなった飲酒運転についても路線バス事業者が端緒になっていたところ、路線バスゆえ安全面が厳正管理されていると声高に言い難い状況があります。
ただし、路線バス事業者には地元一般路線維持という命題があり、高速バスが内部留保の源泉であったことからして、やはりツアーバス事業者はいくら価格破壊で転嫁してきたとはいえ、クリームスキミングであるとせざるを得ないのです。
であるが故の競争条件統一化ですが、路線バス事業者としても、発着地の共同利用化などの新たな課題が生じることにもなります。現状としてツアーバスには乗合類似行為のほか、道路占拠の問題も事実上野放しにされている面があるわけですが、路線バス事業者としての方向性を明確にする必要もまたあるのではと考えます。

それらを踏まえると、国交省の対応が大いに注目されるところ、これまで運行事業者の監査的立場としての役割に終始し、しかも後手にまわっている印象が強いのですが、業界の自主性尊重とすれば聞こえが良いものの、今回のツアーバス事業者の安全協議会設立に乗っかっている印象も否めません。
実は同様の事例は1980年代に北海道で問題となっていました。1981年に北都観光企画、銀嶺バス・道北観光バス(現在は銀嶺バスに統合)運行による札幌〜稚内間ツアーバス「はまなす号」を運行開始、低運賃や直結性から好評を得たことで、宗谷バスが「わっかない号」を対抗的に運行し始めたほか、道内数路線でツアーバスが運行されるようになります。北都観光&道北観光バスは1984年に札幌〜留萌間に「特急るもい号」を投入するに至り、同区間で既に特急札留線を運行していた北海道中央バスが脱法行為ではないかと問題視、同社も対抗的に高速るもい号を立ち上げるなど競争状態となる中、最終的には運輸省が道内ツアーバス路線に対し道路運送法上の「乗合事業者によることが困難な場合における特別許可」申請を出させることとした、という経緯があります(なお、北都観光「特急るもい号」は申請するも許可が得られず、裁判沙汰にまでして運行続行したものの、1985年に廃止)。
であるならば、今回も国交省が何らかの判断を下す必要があるものと考えます。北海道での事例とは規制緩和を経て状況がまったく異なるとはいえ、乗合類似行為や乗降場所での道路占拠、運行事業者の区域外営業といった違法・脱法的行為はクリームスキミング以上に問題ともいえます。「高速バスとツアーバスの違いがわからない」という利用者の声を、行政としてどのように汲むのか。難しそうで、簡単そうな話だと考えるのですが。

***
今後の都市間バスの展望を少し。シンポジウムで「会社で選択できるように」との指摘もされた点ですが、現状からして「寡占ツアーバス事業者」vs.「JRバスグループ」が今後の長距離都市間バスにおける主戦場となり、その他の路線バス事業者は近・中距離都市間バスである程度の収入を確保する方向性が浮かんできているのではと感じます。
事実、最大市場である首都圏〜関西圏間便では、JRバスグループがもともとの資産を活かす形で価格競争を加速させたことで、路線バス規制緩和後に参入した民鉄大手子会社バス事業者路線が昨今軒並み縮小されています。その一方で、空港連絡バス等の中長距離都市間バスは、ある程度の便数確保の手前ツアーバスではなかなか手を出し難く、地場で力を持つ路線バス事業者にまだまだ利があるところと感じられます。
というところから考えると、適度な競争関係を保ちつつも、遠くない将来にはアメリカのグレイハウンド的な全国ネットワークを有する事業者への寡占化という方向性もありうるのかなという気がしています。

最後に利用者として感じたこと。自分自身ツアーバスに「安かろう、悪かろう」というイメージを持ってきたこともあり、こと単眼的になってはならないと思うのですが、これまでの当方自身の実見からして、どうもツアーバス利用者の同乗者、また運転手等へのマナーというか、人との接し方にちと違和感を感じることが少なからずありました。あえて書くと、利用層がやはり全体的に若いということもあるのかと。
先日見掛けた大阪駅桜橋口JRバスターミナルでのひとこま。「大阪中央郵便局付近から出る」という認識のもとに、若い男性が執拗にJRバスターミナルの整理員に乗るバスはどれだと詰め寄り、『ココからは出ないよ。(旅行)会社に聞いてみて』と答えているにもかかわらず、不親切だといきりたっている光景が。しかもそのような問い合わせがかなりされていたのです。確かにツアーバスの発着地は往々にして判り辛いところもありますし、黎明期だとバスのボディカラー等での判別がまずできないというところも指摘点としてはあるのですが、利用者としても予め出発地くらい確かめておけよという話ではなかろうかと。集合時間と出発時間の話もまた然りと感じるところです。


「高速ツアーバス連絡協議会」設立
 投稿者---551planning(2008/10/08 17:18:21)

10/02、「高速ツアーバス連絡協議会」が設立されたそうで。「安全協働体制ガイドライン」を制定したほか、4つのワーキンググループ(以下、WG)を設置、「教育・研修」「緊急時対策等の標準マニュアル作成」「業界のプレゼンス向上のための情報発信」「国土交通省などとの協議や調整」を行ってゆくとのこと。

「高速ツアーバス連絡協議会」を設立〜高速ツアーバス業界の安全性とサービス向上を目指す〜(08/10/02楽天トラベル)http://travel.rakuten.co.jp/news/3785.html
高速ツアーバス、安全対策強化へ 業界団体を設立(08/10/02日経)http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081002AT1D0206D02102008.html

会長にオリオンツアー橋本取締役、副会長にウィラートラベルの村瀬社長とロータリーエアーサービスの上村常務が就任。日経によると企画会社29社、運行会社21社、販売会社5社の55社が参加とのことですが、理事8人のうち一部会社名は聞きなれないところも…この「ギョーカイ」の奥深さ?の一端を覗く気がします。

安全協議体制ガイドラインは、企画・運行・販売の3会社が相互理解を深め協働体制を強化してゆくとの意図に、「着地において長時間停留する場合、企画実施会社とバス運行会社は互いに協力し乗務員の休憩仮眠施設及びバス駐車場を確保すること」「受託販売会社は、法令違反や安全性に問題があることが明確な商品については販売をしない、または販売停止等の処置を講じること」等個別具体的な部分まで踏み込んだ規定化がなされているようですが、やはりこのあたりは乗合事業者に当然課せられている…“あたりまえ”の部分なわけで、「高速ツアーバス業界」という名称そのもの含め、新カテゴリーたるものではないのでは、という違和感を感じざるを得ないところです。その意味でも、設立総会に国交省自動車交通局安全政策課長および旅客課新輸送サービス対策室長が臨席していること、独立行政法人自動車事故対策機構による研修が併催されているところなどは抜け目ないという穿った見方をしてしまったり…。

報道対応は楽天バスが事務局として対応するようですが、一方でオリオンツアー、ウィラートラベル等の企画会社サイトでは現時点で特段の記載がないのも…ちなみにウィラーは09/10付リリースで“おもてなし宣言”を実施するとして、安全、安心、快適をベースに、サービスの一層の向上と安全運行の徹底を目標にした5つの柱を打ち出すなど積極性が目を惹きます。それゆえに、今後の協議会としての情報発信にも注目してゆきたいところです。

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なお、バスラマ最新号(No.109 08/25発行)では「都市間輸送バスサービスの新時代」と題した特集が組まれ、ウィラー村瀬社長インタビューや実際の乗車リポート、先般のシンポジウム報告など多角的な視点からの分析および具体的提言がなされており、当方も再度じっくり読み込んでいるところです。引き続き読者アンケートも募集中で、継続的な検証がなされるものと期待しています。

ぽると出版 バスラマ http://www.portepub.co.jp/busrama.htm

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