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  • photo:新潟空港アクセスバス
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    万代BCのりば
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    路線車使用の注意書き
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    注意書きの通りの「貸切」表示
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    佐渡行は駐車場向かいだった
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    整備中のアイランダー
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    駐車場は1100台規模
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    ターミナルビルは1996年生まれ
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    各所に張られていた実験案内

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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

新潟空港

新潟空港アクセスバス実験を見て

旭伸航空

先日、新潟空港を初見学してきました。シベリアへの玄関口としてロシアのエアラインでも見られれば、なんて期待をしていたもののその日は休航日。ただ、メインのB滑走路から佐渡行き旭伸航空便が飛び立つラッキーも。対首都圏便こそ持たないものの、日本海側随一の主要空港として独特の存在感を持っているなと感じました。

新潟空港は市中心部と直線距離で5km強、市街地外れというべき位置にあることから利便性が高いものの、周辺道路が貧弱かつ朝晩を中心に渋滞しがちなため、バスのみである公共交通アクセスには定時性等に問題ありとされていました。臨港貨物線活用や上越新幹線延伸等の軌道系導入構想もある中で、2009年の新潟国体開催を控えていることもあり、アクセスバス強化施策が社会実験として試みられています。
2004年には新潟県IT&ITS推進協議会を中心としたPTPS活用による定時性確保実験を実施(システムは継続活用)、2006年には県を中心に「空港アクセス緊急プロジェクト会議」および「新潟空港アクセス改善検討委員会」が設置され、空港アクセスの問題点を分析し、短期・中期・長期の改善策を提示するに至っています。

そして2007年には検討委の改善策を踏まえたファーストステップというべき、到着便の新潟駅万代口乗入れ(3月実験、以後本格導入)および空港バス運行頻度アップ社会実験(7月~1月実験中)が超短期的施策として展開されています。

実は当方、社会実験実施について知らなかったのですが、利用したところからの感想をば。乗車はバスセンタ→空港→新潟駅前です。


市中心部の公共交通拠点としては新潟駅と万代シテイバスセンターとに分かれていますが、空港行便はバスセンター始発。当方試乗時は平日10時台とあってまだ周辺施設ともども人通りは少ない感じ、バスセンター内も薄暗い分閑散さが強まっているような。

空港行乗り場はロータリーの最奥である6番、佐渡汽船行便と共用です。頻度アップ実験の告知が貼られているほか、空港行バス一部車両には行先表示が「貸切」となるものがある旨の断り書きも貼られていて、車両やりくりで苦労している様子が覗われます…と、なんとその「貸切」幕表示の路線車が到着しました。
ここでの乗車は計4人。新潟交通路線車の特徴でもある座席横のスペースに荷物を置きます。裏手の細道を5分ほど走ると新潟駅前。おなじみ巧みなバック入線で15人が乗車し、車内が賑やかとなりました。

駅前先の交差点からR7東大通りを北東に進み、栗ノ木橋交差点を左折、万国橋からR113を進みます。港湾地区を左手に見ながら、末広橋で右折すると休止中の臨港貨物線と交差しますが、踏切上の線路も舗装されており貨物線施設も朽ちている様子が覗えました。その後住宅街を進んでしばし、交差点を左折すればもう新潟空港の敷地内。右手に小型機用のA滑走路を眺めると眼前に空港ターミナルが広がります。
R7・R113とも交通量が多く、信号にもしばしばひっかかるものの、新潟駅前から25分の定刻から数分遅れで到着となりました。

***
ターミナルを巡回後、空港発便で市内に戻ります。丁度ハルビンからの中国南方航空便と伊丹からのJAL便の到着が重なり、1本前のバス(路線車)は立ち席多数で出発、後続便を待つ列もできていたので並ぶこととします。このあたり、「次を待とう」という意識がぎりぎり働くかどうか、20分間隔であることの意味が大きく問われるところと感じますが、端的な表現として寒風の中立って待つのはちと辛いですし、バス券売機等があれば別の動作一つ入る分安心感を含めポイントになるかなとも。極端な言い方をすれば、空港ターミナルで時間調整しようか、と思わせるような付加価値をつけることも考慮に入れるのは如何かと。

新潟交通 と、目の前に高速車が到着、乗客を降ろしてゆきました。新潟空港発着の県内高速便は長岡が2往復のみという、意外な程少ないもの。で、高速車はロータリーをひとまわりし駐車場で一息入れた後、新潟駅行きとして入線。先の貸切表示云々という注意書きからして、なるほど基本的には高速車が運用されているのだと判ります。
高速車ゆえにトランクを使う利用者が多く、伸びた列が乗り切ると車内は7割方の着席となりました。前方には大声で中国語を交わす一団が陣取り、国際空港であることを改めて実感させてくれますが、案内テープは確か日本語のみでしたね。

R113を戻りますが、路上駐車や右折車に阻まれる感じでそれほどスムーズな走りとはいきません。万国橋交差点を今度は直進し柳都大橋入口を右手に見ると、万代地区中心部へ。バスセンター前で10人ほどが降りましたが、中国語の一団も降りかけて止めるなど、大勢は新潟駅前まで乗りました。
ほぼ定刻で到着の駅前ロータリーまで突っ込んでくれるようになったのが2007年3月からな訳ですが、空港訪問前に県内高速便で駅前交差点手前で降ろされた身としてはやはり随分便利に感じます。降車客の半数以上が駅ビルへ、半数は駅ビルに入らず各方面へと向かっていきましたが、他のバスに乗り継ぐという感じはあまり見受けられなかったかと。


アクセスバスは従前約30分間隔だったところ、7月から午前中のみ、9月から終日20分間隔に増便しています。一応01/14までの予定のところ、新潟交通サイトによると以降も実験延長という形で継続されるようです。

ちなみにアクセスバスは直行である急行便、浜谷町・河渡新町などに停まる快速便(1~2時間間隔で設定)と各停便(行1本)の3種類に分かれているのですが(当方は共に急行便に乗車)、付近路線を見るとバスセンター~松浜方面を中心に日中でも最大20分間隔で確保されているところを見ると、区分する必要はあまりないのかな、むしろ直行を前面に出したほうがいいのかなとも思ってしまいます。
ただ沿線地域から新潟駅直通バスがないことから、逆に沿線利用者にも即した快速バス的な方向性もありなのかなとも思ってしまったり…このあたりは1回乗車だけなのでなんともではありますが。

そのあたりの方向性として、運行車両の工夫が挙げられましょうか。国際線需要からするとトランクつきの高速車が適任とも思われるところ、実際社会実験中のアンケート調査でも高速車タイプが人気のようですが、20分間隔でも間延びした時間帯をたまたま経験した身としては、着席性よりも収容力に期待したいような。
ただしノンステバスになると座席がかなり減りますから、低床車あたりがいいのかなとも…今後の方向性として新潟駅南口発着路線設定を見据えると、いっそ運行路線を2分化し、新潟駅南口直行便を国際線発着時間帯を中心に高速車で、現行路線を近隣路線との整理統合を兼ねつつ20分間隔での低床車快速バス化で、なんてのはどうでしょうかと思った次第です。

新潟空港
大きな地図で見る

また、中長期的には軌道系導入もとなっているものの、臨港貨物線活用にしても新潟駅接続で苦労しそう、上越新幹線延伸だと費用対効果に乏しい結果になりそう。

赤線は空港アクセスバス現ルート。緑線はかつてのルート(万代BS→新潟空港行)。

新日本石油横に伸びる線は沼垂駅への貨物線(実質休止中)。青線は臨港貨物線。北越製紙工場横の焼島駅を経由、新潟臨港病院の手前の東新潟港駅(現在休止)までレールが延びている(写真に切り替えアップするとトレース可能)。
焼島駅までは北越製紙関連の定期列車が現存も、東新潟港駅は2002年に休止となり、本文でも触れたようにR113の踏切も撤去されている。

上越新幹線は白新線東新潟駅付近の新潟新幹線車両センターが終点。
その先の白新線大形駅には一時「新潟空港前駅」への改称構想が持ち上がったこともあるが、直線距離で5km以上離れている上、そもそも道路アプローチにも難があり、立ち消え状態に。

その意味で個人的な理想は、佐渡汽船・朱鷺メッセ方面を絡めたモノレール導入(LRTでは港湾地域オーバーに難かなと)なんてのを描いてしまいますが、その意味ではアクセスバスをいかに活用するかがやはり本道かつ近道なような気がしたのでした。

***
正直最初はアクセス状況を簡単に書こうと思っていたのですが、改善検討委員会による各種資料を読むと、いろいろと深く検討されていることが判る上に、「社会実験等の進捗状況」の流れになるほどと(決してネガティヴではなく)理解でき興味深く感じ、結局正月を費やしてしまいました…それにしてもやはり軌道系に持って行きたいんだなぁというのが率直な感想。個人的には3つのシナリオのうち、周辺ニーズを含めたバス中心の再編でと思うのですが、中長期的勉強会の動向等注目してゆきたいと思います。

その後の状況… ■

空港バス運行頻度アップ社会実験は1ヶ月延長も2008年2月で終了。結果を踏まえ、新潟県・新潟市は2008年5月に新潟駅南口発着空港バス新設方針を発表、12月を運行開始目処としていました。
その後、新潟駅南口整備が遅れた影響もあり、目処であった12月に2009年4月運行開始が正式発表。運行開始目前には従来の新潟交通高速車“Nデザイン”の緑と茶線を赤に変え黄線で締めた専用車両の発表もありましたが、なかなかインパクトあります。ちなみにこの赤と黄線は日本海の夕日、新潟県花かつ新潟市花であるチューリップ、新潟県木である雪椿の花の色をイメージしているとか(蛇足ながらもとの緑と茶線は新潟名産笹団子の草と餡からなんだそうで)。なお、夕日に輝く日本海を飛び立つ姿飛行機も描かれています。
また、11列正座席45席とゆったり設定、テレビモニターと音声による乗換情報・所要時間・ルート案内等の5カ国語対応案内放送、PTPSによる定時性・速達性の確保、駅と空港への自動券売機設置などの施策も始まることに。

新潟空港

そして運行開始…と、従来路線は休止扱いとなり、空港~万代方面間直結路線はなくなることに!ちなみに2往復の長岡線も廃止となっています。 しかし地元利用者の要望からか5月には各停便のみで復活。なお、従前は380円だったのが、新路線に併せて400円となってはいますが。また、新潟駅万代口発着ですが、空港行も駅始発とルートが小変化しています。
その意味で当方思案の2系統分離となりましたが、あくまでメインは新潟駅南口発の急行(直行)便で、こちらは20~30分間隔、各停便は1時間間隔となっています。

***
一方で新潟空港発着便は撤退・減便が相次いでおり、2008年には特長のひとつであった旭伸航空佐渡線が廃止。ANAが廃止も打ち出していた福岡線は1往復に半減の上、新潟・福岡両県による利用促進策でなんとか延命が図られている状況。大韓航空もソウル仁川線(日1往復)の減便を示唆しているとの報道が。
2009年4月から新顔としてADOが登場も、ANA移管という意味ではある意味予断を許さない状況ともとれます。JAL系も4月の段階では一時1往復減便していた伊丹線で6往復化復帰も、中部線で機材小型化となっており、今後の経営問題の進展によっては大きな変化も予想されます。その意味でも、今後のアクセスバスの状況も気がかりなところです。

 

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