tw
top

  • Photo:横浜横須賀西部線
  • 横浜横須賀西部線
    ステッカーが貼られた専用車
  • 横浜横須賀西部線
    地元の注目度は高そう
  • 横浜横須賀西部線
    横横は快調、保土ヶ谷BPは…
  • Photo:新横浜本厚木線
  • 新横浜本厚木線
    お手軽なクルマ…
  • 新横浜本厚木線
    なんとか東名まで辿り着くも
  • 新横浜本厚木線
    開通が待たれる圏央道
都市圏近距離直行バス

トップページ企画一覧特別リポート一覧>551planningリポート20

※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

神奈川県内中距離直行バス

神奈川県に見る都市圏近距離直行バスの可能性

【検証:】では以前より、首都圏を中心に都市圏近距離直行バスについてその可能性に期待し、先駆的事例を紹介してきました。羽田空港アクセスバス、東京湾アクアラインバスが好調ななかで、鉄道ではカバーできない、あるいは意外な拠点直結性によるニッチ市場がまだまだあるのでは?と思いつつ、規制緩和時代に突入した事業者の生き残り策に強く惹かれたためでした。が…

・TDL-新宿駅線(JRバス関東・京成)2000/04開業最大18往復→現在7往復
・東京駅-三郷・吉川・松伏線(JRバス関東)2000/10開業最大18往復→現在下り2便
・東京駅-江戸川台線(JRバス関東・東武)2001/07開業最大14往復→廃止
・横浜-台場線(京急)2001/08開業12~14往復
・新横浜-溝の口線(東急)2001/12開業 
・横浜-幕張線(京急・京成)2002/10定期化→廃止(臨時運行に戻る)
・千葉-銚子線(千葉交通・ちばシティバス)2002/11定期化最大8往復→現在平日2往復
・千葉-君津・東京湾フェリー(金谷港)線
 (千葉中央バス・日東交通・天羽日東バス)
2004/12開業9往復→廃止

…というように、現実はあまり芳しくない状況に。まぁ、三吉松線や江戸川台線はTX開業がインパクトともなっているのですが、大宮-つくば線(2005/12開業も3ヶ月で廃止、2006/10から会社が変わり大宮-つくば・土浦線が開業)などのような例も出ています。
そんな中、神奈川県内高速バス2路線が相次いで開業しました。設定の妙と今後の可能性を探るべく、早速試乗してきましたのでその報告を。


■ 「独り立ち」への試金石 ~ 横須賀西部地域-横浜(YCAT)線(京浜急行バス)

大手私鉄でも後策となった京急のバス事業完全分社化は2003/10。羽田空港を抱え、夜行バスでも先駆的とそれなりの恵まれた環境を保持するゆえともいえましょうが、とはいってもやはり経営は苦しく、地域分社化によるコストカットなどの再編を経て、今後は独立事業者としての施策が注目されるところです。
当初は夜行バスの動きが多かったように思いますが、2002/10からの横浜-羽田間直通電車運行に対し、需要を見極めつつダイヤをこまめに調整してドル箱のYCAT-羽田線を維持させている点も注目に値しましょう。川崎-TDL線開業など直行バスへの色気も感じられてはいましたが、ついに鉄道への挑戦を開始する路線が誕生することとなりました。それが11/16開業の横須賀西部地域-横浜(YCAT)線です。

三浦半島は言わずもがな同社系列の独占地ですが、相模湾を望む横須賀市西部地域は鉄道路線と距離がある上、アップダウンを伴う地形的制約もあって道路交通が未だ強固とは云いがたく、公共交通としてバス頼みとなる反面、定時性への信頼含め、どうしても乗車時間が長くなる嫌いがありました。今回の路線は横浜横須賀道路を経由し、横浜駅と直結することで速達性と利便性をウリとするもの。2ルートで平日6往復/土休日3往復とはいささか控えめなスタートとも思われますが、さて。

土休日は3往復と限られるため、消去法で横須賀市民病院10:30発便をチョイスすることに。まず横浜→(京急特急)→横須賀中央→(路線バス)→横須賀市民病院で向かいましたが、乗換を除いた移動時間は電車30分+バス30分の1時間程。渋滞の名所である衣笠十字路などスムーズであったこともありますが、反対方向の道路はまさに衣笠十字路を頭に1kmほどの渋滞。ノロノロと行き交う横須賀駅方面行路線バスの多くが立ち客満載でありました。
さて、市民病院駐車場の一角にあるバス操車場には、側面窓上に「横浜駅(YCAT)-高速経由-横須賀(西地区)」との文字入りの、お馴染みシーガルカラーの三菱エアロバスが待機中。京急はこの類の文字入れが好きですが、わざわざ専用車を充当しているのでしょうか? と、更に1台やってきました。

時間前にバス停へ。横須賀・逗子・三崎口方面の路線結節点ながら庇すらないポール停留所ですが、既に待ち客10人以上。神奈川県内中距離直行バス数台路線バスを見送るところを見ると、どうやら横浜行き目当ての様子…と、腕章を巻いた社員が登場、『横浜行きは間もなく参りますので』と声掛けすると、直ぐに質問する人がパラパラと。事前告知の程は不明ですが、路線バス前面に幕が掲出されているところなどから地元の注目はそこそこあるようです。
バスが到着し早速乗車開始。実は12月末までの限定で開業記念割引運賃となっており、片道1200円のところ現金払いで700円、更に往復乗車券も1000円ということで、件の社員から往復券を購入する人も多く見られました…なお、往復乗車券は期間限定ですが、3000円・5000円の回数券が設定されるほか、来年以降は京急グループ系バス定期券やふれあいパス所持者は200円引きとなる由。
結局20人が乗り込んで出発。運転手と運行指令の無線のやり取りを聞くと、一応続行車を用意していた様子。林・一騎塚・武山といった途中停留所でも数人ずつが乗り込み、総勢32人で続行車は不要でしたが、個人的には予想以上の乗りと見ました。圧倒的に女性が多く、親子連れも目立ちます。

最後の北武バス停で添乗してきた社員が『じゃ安全運転で!』と運転手に声掛けして降車。トンネルを潜り、衣笠ICから横浜横須賀道路に入ります。順調な流れの中、ゆったりとした安全運行で三浦半島中央部の稜線部を進みますが、そういや横横を走る路線高速バスは恐らく初めてでしょうか。
釜利谷ICで進路を右に取り、首都高湾岸線へ。この路線が開業に至った最大の要因は同線開通と迂回ルートとなるであろう狩場線の渋滞緩和でしょう。広々とした3車線をゆるゆると進めば、港南台行空港連絡バスと離合するなどもう慣れた道。ヨコハマベイの一大パノラマを楽しめば、中心街を潜り抜けてみなとみらいから横浜駅前へ。お見事ほぼ定刻に、まず横浜駅改札口前で乗客の2/3が降車、そしてYCATでは成田空港行きに乗り継ぐ利用者もいたのでした…。

改めて、近々の成長を感じさせる路線でした。たった1便乗っただけではあるとはいえ、現時点で衣笠IC経由と、逗子IC経由の2ルート3系統が設定されていますが、YRP方面や三浦縦貫道経由の油壺・三崎方面も検討課題になって然るべきとすら思われます。ま、休日ニーズであることを差し引く必要もありましょうが、横浜が身近になることには平日も変わりないものと思われます。個人的には逆の発想で横浜側からの対三浦半島(南部)への観光需要喚起につなげられるのではとも思うのですが、さて。
1点気になるのは価格面。鉄道+路線バスルートでは350+370=720円ということで、まさに割引運賃は狙った設定であることを伺わせるのですが、せめて片道1000円にならないでしょうか。先に「鉄道への挑戦」とはしましたが、利用層を見る限り、クルマ利用からの転移可能性が高く、相乗効果で公共交通利用を育ててもらえればと実感させられた次第です。
 

■ フクザツな新幹線アクセス ~ 本厚木-新横浜線(神奈川中央交通)

県広域を占める神奈川中央交通、こちらも地域分社化による路線網再編を行う一方、ツインライナー導入や横浜市営バス路線委譲などの注目すべき施策が続いていますが、高速バス系統はさほどという印象が強いかと。横浜・町田・厚木などこまめに乗客を拾う形での夜行バスを数便手がける程度だったのが、一気に花開いたのが羽田・成田空港アクセスバス。田村車庫でのP&Rも好調のようです。そして今回、自ら『さあ、新しいアクセスバスの、スタートです。』とするのが11/17開業の田村車庫・本厚木駅-新横浜駅線です。

「のぞみ」アクセスを考えると、厚木市と新横浜駅は町田での乗換が必要となり、必ずしも便利とはいえない状況にあります。新横浜アクセスバスの先輩・溝の口線も目から鱗的路線でしたが、あちらは第三京浜を上手に使ったところ、こちらは東名&保土ヶ谷BPという、“何かあったら地獄を見る”ルートであるところが気になります。
厚木進出企業を意識した路線設定ということでしょうが、ただそれだけでは心許ないというか、『新横浜からは七沢・飯山・宮ヶ瀬・大山をはじめとする自然豊かな丹沢大山国定公園へのお出かけに大変便利なバスとなっております』を謳っているところは、いささか苦しいような…どうでしょうか。

神奈川県内中距離直行バス

威容を見せ始めた駅ビル建設工事が佳境を迎えた新横浜駅。駅構内はあちこちに工事区画が設けられており、昼時とあって利用者でごった返しています。バスターミナルも狭められており、周辺への企業アクセスバス乗り場指定場所も移設されて、港北NTにあるIKEA行の青いバスが走り去っていったあとに、それより明るいライトブルーのバスが到着。本厚木駅を11:00に出た便がほぼ定刻着でしょうか、数人が足早に駅へと消えて行きました。
4番のりばでしばし待つと、待ち客が次第に増えてきて、いささか期待…も、先発となる横浜市営バス便が遅れたためと判明、ごっそりと乗り込んだ後入線しましたが、結局当方含め恐らく全員が試乗組の3人が乗車しただけでの発車となりました。まぁ、昼時というところで予測通りというか、貸切にならなくて良かった…。というのも添乗員つきの2人体制となっていたためで、その添乗員氏が開口一番『本日東名渋滞のため、迂回ルートを取りますので御了承下さい』と。早速来ましたよ。ちなみに運賃(本厚木まで1000円、田村車庫まで1200円)は前払い、羽田-本厚木線では田村車庫利用者に本厚木到着後別途差額の200円を徴収するスタイルでしたが、今回は人数の少なさもあってか自己申告制?となっていました。ちなみにこちらは2枚綴りの回数券で1800円也。
クルマは日産ディーゼル-富士重工ボディで、元祖廉価版観光バス。というか、企業送迎用をそのまま転用してきたようで、各席に灰皿がついたまま(もちろん使用不可)。車内にくたびれた感こそないですが、ほぼまっさらな運賃箱だけが異様といったところでしょうか。

定刻出発となり、環状2号線を南進。交通量は多いですがあまり閊えずに流れています。結局、新桜ヶ丘ICで保土ヶ谷BP入り。どうやら普段は横浜青葉ICから港北NTを抜けてくるようですね。さて、保土ヶ谷BPは早速の渋滞…も、南元宿での自損事故車処理中の見物渋滞で、その後は比較的流れて一安心。出発から35分で横浜町田ICから東名入りとなります。やはり東名も渋滞中、海老名SAもかなりごった返しているようです。終始外側車線を走行、途中で横浜12:20発の相鉄自動車河口湖行きが追い抜いていきましたが、時間的に確かに若干遅れている感じでしょうか。ざっと15人ほどの乗りと見ました。
厚木のシンボルの高層ビルが見えてくる…と、当方東名この区間久しぶりということもありましたが、圏央道とのJCT工事が結構進んでいるのには驚かされました。相模川上でも1車線増やす工事が行われており、厚木ICを頭とする渋滞緩和が期待されます。

厚木ICを降りて、R129を一旦南進、脇道からIC脇を北に進んで、そのシンボルタワー・厚木アクストへ。空港アクセス系統が寄らないのにこちらが寄るというのも企業狙い感を強めますが、当然空振り。もと来た道を再び戻って今度は県道酒井金田線を北上、ソニー厚木テクノロジーセンター横の旭町四丁目バス停を通過した後、左折すると正面に小田急ミロードが見えて、手狭な駅南口になんとか停めての到着。なお、空港アクセス系統などは北口ですのでご注意を。当方含め2人が降り、足早に田村車庫へと向かっていったのでしたが、時計を見るとあらお見事のほぼ定刻着でありました。

控えめ京急と異なり、こちらは9往復でのスタート。ほぼ2時間毎の運行ということで、探りを入れる意味もあろうかと思われますが、どうでしょうか。所要約70分と弾いていますが、安全策でこれ以上載せても直行便のメリットが薄まってしまう気もしますし、なんともなところ。ちなみに小田急~横浜線経由では乗換時間を含め60分前後、530円となります。その意味で、本厚木駅利用としては、厚木アクスト経由であることが取り付き道路の関係上いささかタイムロスにも思われてしまうのがちと悩ましいかと。
まぁ厚木来訪者に対して新幹線からのアプローチの「近さ」をどうプロモートしてゆけるかがポイントと考えつつ、実のところは空港アクセスバスニーズ同様、早朝・夜間需要への特化に収斂されてゆくのではないかと見ますがどうでしょうか。直行ニーズとしては相鉄~東急連絡線の潜在需要見極めにもつながるところであり、今後を注目してゆきたいと思います。
 

上に戻る▲

横浜-横須賀西部線

投稿者---荻窪塚氏(2007/01/25 01:24:59)
http://www.geocities.jp/aqiine/line.html

お久しぶりです
私は以前からこのような路線や三浦縦貫道開通後横浜-三浦市街直通のバスがあったらよいなと思っていました。

この勢いだと終日30分ヘッドでも採算ベースに乗りそうですね。
ただ、京急としては鉄道本体の運輸収入減少及び横須賀西部から中央へのローカルバスの乗客減少につながりかねないので難しいところだと思います。

しかし昨日は対岸の房総半島の岩井パーキングバスストップから行きは千葉駅まで乗ったのですが日中は乗客皆無ですが朝7:45発だったので25人は乗ってました。但し乗客の半数は県庁、中央で降車。蘇我下車客はいつもどおり0人。

はっきりいって横浜駅-館山の路線ができたら千葉線よりは確実に乗客は多いと思われますがやはり京急としては利用してもらいたい鉄道本体と京急久里浜駅-久里浜港のバスと資本関係にある東京湾フェリーの乗客が減るのではとの懸念から及び腰ではとかんぐりたくなります。

帰りは八重洲から21:20最終館山行きに乗りましたが自分以外の乗客は5人。富津市内の下車は0人。4人が岩井で下車し館山まで乗りとおしたのは何と1人でした。
それにしても最終の日東バスは飛ばしすぎで八重洲から京橋ランプまで10分かかったにも関わらず上総湊63分。高速岩井81分とかなりの早着でした。
最終便は21:20は不要なのでさざなみが終了した22:30に設定し運賃2倍の深夜バスにしてもらいたいものです。

Re:横浜-横須賀西部線

投稿者---551planning(2007/05/05 03:01:00)

荻窪塚さん、ご無沙汰しております。
遅レス御容赦の程。

この勢いだと終日30分ヘッドでも採算ベースに乗りそうですね。
ただ、京急としては鉄道本体の運輸収入減少及び横須賀西部から中央へのローカルバスの乗客減少につながりかねないので難しいところだと思います。

そうですね、そのあたりもあって控えめな本数設定になっているのかと思いますが、個人的には1回きりの試乗ではあるものの、マイカー層からの転移も期待できると思われる分、価格面かなぁ…としていたのですが、開業半年を目前に来ましたね。

横須賀市制100周年記念キャンペーンと銘打つ形でGWから9月末までの長期間に渡って割引運賃を実施。開業記念時にはあった片道割引(通常1200円→700円)の設定は無く、出欠大サービスであった往復割引も今回は現実的な価格(前回1000円→1800円)に。また、バス車内・営業所等で配付の割引券を準備し、乗車時提示で200円引きも実施、また1万円回数券も新設。このほか、市民病院ルートで通過していた南武入口・金子両停留所に追加停車となります。
「せめて片道1000円に」としていた意味では、だいぶ近づいてきたかなという気がします。ま、割引券等を作るよりは、素直にスパっと判断しても良かったのではとも思ってしまいますが…個人的にはまずGWで様子見の後、夏前に増便等を行うかどうかの判断がなされるものと思っていますが、渋滞等を勘案すると三崎方面ルートはまだ期待できませんかね。

上に戻る▲

本厚木-新横浜線廃止へ

投稿者---551planning(2008/02/26 06:16:32)

やはりというよりも、約1年ちょい頑張ったなぁ…というところでしょうかね。

神奈川中央交通が運行してきた本厚木-新横浜線が2008/02いっぱいで廃止されることに。新幹線アクセスおよび横浜からの厚木方面直結ということで注目だったのですが、やはり定時性と価格面に難があったかというところでしょうかね。昨年10月には日産スタジアム前・新開橋(港北イケア前)と新横浜側で2停留所を設けるなど梃入れもされてはいたのですが、肝心?のダイヤには手をつけずだったので、新横浜駅ビルオープン等で流動が増えるのかなぁとも思ってはいたのですが。
で、最期の一撃となったのが03/15東海道新幹線ダイヤ改正でしょうかね。新横浜始発ひかりの誕生、しかも小田原停車とくれば、ひとつのポイントであった始発のぞみ接続という強みも崩れ去るというもの…もうひとつのポイントと思われたアクスト等ビジネスユースも、羽田・成田空港線が相変わらず非経由という点でさほどというところだったのでしょう。

個人的には、先日のツインライナーデビュー実見と絡めてアクストあたりから乗ってみようかとも思っていたのですが、時間的に合わず断念したのが今となってはちと惜しまれます。

で、こうなると横須賀西部地域線の行方も気になるところです。微妙な割引運賃が地味に続いてたりしますが…。

個人的にいける!と思った横須賀西部地域線ですが、運賃こそ割引運賃がそのまま正規運賃になったほか、往復割引も1800円から1600円に更に現実的になったものの、ダイヤは同じまま。現状維持がベストということなのでしょうが、専用車を持つのだったらもう少しという気もしなくはないのですが。ひとつには横須賀西部の一般道区間の定時性に難がある(運用面での効率性という観点で)のかもしれません。
 

上に戻る▲


葉山線

葉山線開業でようやく新展開を見せた“ヨコヨコ高速バス”の行方

「鉄道への挑戦」と評した京浜急行バス横浜(YCAT)~横須賀西部地区線運行開始からはや5年半…成長可能性を信じていたものの、結果としては現状維持が精一杯。ようやく2010/04に一部便を京急ニューシティ湘南佐島なぎさの丘へ延伸する増便改正となりましたが、それでも平日9往復・土休日6往復に留まっていました。
その意味では、葉山線開業の一報は意表を突かれたというのが率直な感想だったのですが、ようやくの新展開が意味するところの重さを量ってみようと、横須賀西部地区線の現状とともに急ぎ現地へと向かいました。


■期待はクチコミ! 葉山線

「葉山」と聞いて思い浮かぶのは湘南エリアの東端、御用邸に代表される別荘地といったイメージでしょうか…念のため位置を確認しておくと三浦半島の付け根の西側で、町内に鉄道はなく最寄駅はJR-E横須賀線の逗子または京急逗子線の新逗子。三浦半島西海岸の幹線であるR134沿いに市街地化しており、逗子から横須賀市長井方面へのバス路線は途中段落ちがあるも高頻度運行されています。イマイチ土地勘がなかった当方、改めて地図を見て、逗子から意外と近いことに驚いたり…路線バスで逗子駅から高速バスの起点である御用邸前までもダイヤ上は15分足らず。なお高速道路へは横浜横須賀道路逗子ICに直結する逗葉新道を経由すればこちらもすぐという印象、後述していますが逗葉新道から三浦半島中央道路経由で横須賀西部地区線湘南国際村系統が既に運行されていました。

狙いは初日だったものの仕事が外せず、翌06/12(火)の葉山発初便を狙うべく横須賀線の2番列車で逗子へ。さすが大幹線とあって出庫送り込みとはいえ路線バスが平日5時台で7本あるゆえ可能となった行程でもある。ついでながら葉山始発は05:32(逗子駅05:54着)、横須賀線上り始発も久里浜04:31(逗子04:53)発なので目を惹く程でもないが、葉山行最終は横須賀線終電2本前と接続する24:11発の深夜バス。23:30以降4便が設定されており、湘南佐島なぎさの丘、大楠芦名口行も-その大楠芦名口行は到着後入庫戻りを深夜バスとして営業運行、よって葉山からの逗子駅行最終は24:35発となっているのが面白い。
話を戻して、06:00発の横須賀市民病院行には6人が乗車、新逗子駅前で3人を加えた。その新逗子駅バス停脇の駐車スペースには高速車が停車中…あれかな? 2010年に2本化された桜山トンネルを過ぎるともう葉山町内。すれ違うバスはどれも立客の状態で、各バス停でもすぐに列ができる感じとなっていた。葉山バス停は御用邸前の交差点を挟んで南行1つ、北行がいまやってきた山手廻りと森戸海岸・葉山マリーナを経由する海岸廻りとが分かれているのだが、南行バス停の裏にもうひとつ、葉山段落ち便の転回場がありそこに高速バスのポールが-ん?出発15分前ながら既に5人程並んでいるではないか。当方も列に加わるがあれよと伸びて20人近くに!すわ大漁かと思いきや何のことはない、路線車が現れて見事に吸い込んでいった。

葉山線

改めて転回場を見ると、米兵対応か英文での構内乗入禁止告知があった…これは関係無いだろうが、隣の敷地にはアメリカンバスがでーんと。雑貨屋だそうで。
ところで営業所の助役らしき制服を着た方など職員が控えていたのだが、逗子行路線車が出た後も残る当方に助役氏が近づいてきて『有難うございますYCAT行ですか?』と確認。『羽田とか行かれます?乗継きっぷがありますが』との事だったが今回はお断り。ちなみにIC割引が設定されているのだが乗継きっぷは現金払いかと尋ねてみると『そうなんですよね…よく聞かれます』と。そして、羽田行はまだしも東京ビッグサイトへは本数が限られて接続も良くないのでなんともでして…といった旨のウラ話まで。確認してみると特に台場発からの乗継に難があるなとも。この辺りはなかなか難しい。
やはり先程新逗子駅横に控えていたらしき高速車が登場したが、この転回場ではちと足りない様子。そのための職員だったのか、ギリギリのところでなんとか廻ると乗車扱い。この時点で当方のほか男性2人が並んでおり、助役氏が声掛けするも乗継きっぷ購入者はなかった。というわけで出発、しばらくは先程来た道を戻るが停車バス停は点々と設定されており、停まっても乗らない人も。結局、葉山大道と葉山小学校で各2人が加わり総勢6人とは2日目らしいのかもしれないが、うち女性半数とは口コミ効果が期待できるのではとも。
長柄交差点を右折し東進、渋滞もあり5分程遅れて川久保バス停を通過し6人確定。逗葉新道を通り逗子ICから横浜横須賀道路へ。ETCではなく一般レーンを使用したが、他便含めて首都高ではETCを利用しており何でだろう…釜利谷JCT手前の案内板では狩場経由でも同じ所要40分表示だったが金沢支線を進んで首都高湾岸線へ。さすがにこちらのクルマは少なくなり、体感でも海岸線をぐるりと廻るなぁと感じるものの雄大な3車線を滑るように進む。ベイブリッジを見据えつつ本牧JCTからは横浜市街に突っ込んでゆくかたちで進みみなとみらい出路へ。07:10発木更津行京急便と離合したがほぼ満席近い乗り、改めてダイヤを見ると10分間隔で頻発しているのか。城西国際大カラーのエアロエースを遠目に見つつ最終コース、横浜駅東口改札前で4人が降車、07:25発浮島行川崎鶴見臨港便と入れ替わるように到着したYCATでも2人が降りたのだった。

***葉山線
週末の姿も見るべく06/17(土)午後にYCATへ。16:20過ぎに到着すると6番のりばには既に列が-先に16:30に横須賀市民病院行があって総勢24人が乗車。横浜でお買い物、というスタイルが多そうだ。なお当方の前には5人が並び、後ろにも人がついたが、やってきたバスに乗り込んだのは総勢8人。うち1人が乗継きっぷを提示していた。家族連れなどがなお残っているが、16:50発の浜松行かな?
ちなみに乗車は先日と全く同じ車両。今回は湾岸線を小気味良く進行、横横本線合流後に離合したのは佐島マリーナ入口16:25発便か、ぱらりと乗っていたかと。なお葉山16:30発便は見かけず。逗葉新道を抜け、まず川久保で1人降車。混み合うR134に入り、風早橋と葉山大道で各1人、旧役場前で買い物帰りの夫婦が降り、終点の葉山では男性3人が降車した。やはり職員が出張っており誘導で転回場に入り、身を竦めるようにしてなんとか回り込んでいた。

  • Photo:横須賀西部地区線
  • 横須賀西部地区線
  • 横須賀西部地区線
  • 横須賀西部地区線
  • 横須賀西部地区線
  • 横須賀西部地区線

ピンポイント感は否めず? 横須賀西部地区線(逗子ICルート)■

長らく開業当初ダイヤのままだった横須賀西部地区線ですが、もともと衣笠IC経由と逗子IC経由の2ルート、平日の電力中央研究所と休日の佐島マリーナ入口と計3系統が設定されているところ、先述の通り2010/04に増便改正。そして今回の葉山線開業にあわせ逗子ICルートの平日1往復が増便されています。
なおやはり当初運賃は割高だったのか、2007/10に片道1000円・往復1600円となりましたが、PASMO/Suica対応ながらこちらのIC割引設定はなくバス特もつかないとは葉山線と大きな差が…同じくYCAT発着の東扇島線と浮島線との関係性に似ているかもしれませんが、実質後付け割引は難しいのかもしれませんが頑張って貰いたいところです。

06/12の葉山発初便で着いたYCAT、ローソンに駆け込み買い物を済ませてのりばに戻ると、予想通り先程葉山から乗ってきたバスが「電力中央研究所」と表示を出して停まっていた。今改正で増便されたのは葉山線と一体運用というわけか。当方が乗り込むと出発、同乗は通勤・用務姿の男性3人。YCAT発なので横浜駅東口入路から首都高入り。先導した東扇島行臨港便がぐんぐん離れてゆくが、こちらは先程以上に定速運行。本牧の先あたりでか京急車と離合したが湘南佐島なぎさの丘06:25発便だろうか、かなり乗っていた印象。横浜京急バス杉田営業所など港湾地帯を見下ろしつつ進行、並木トンネルを潜り抜けると団地群の切通を進んで釜利谷JCTへ向かう辺りは相変わらずダイナミック…ところでスペースがあるうちに能見台辺りに高速バス停を設けてみるのはどうかなと。戸塚・港南台からの羽田線もあるしって余計なお世話か。
アラーム音が鳴り続けたので何かと思えばETC機器からカードを抜いていたため、現金払いで釜利谷TBを通過すると止んでくれた。横横本線に入った先で離合した京急車は葉山07:30発便か、10人弱かな…朝比奈ICでもう1台、これは横須賀市民病院07:30発便、窓側はほぼ埋まっていた。こちらは逗子ICで降り逗葉新道を越えると、トンネル連続で貫く三浦半島中央道路を南下。トンネルを抜けぐんぐん坂を上るとその頂点が湘南国際村、1994年開村した神奈川県と三井不動産による「21世紀の緑陰滞在型の国際交流拠点」だか、曇天ながらどえらい眺望の一方で全体計画には程遠い状況が車窓からも伺える…ここで2人が降車。坂を駆け下りトンネルを抜けると眼前には相模湾!天気が良ければなお良かったかなと。R134を進んで長坂バス停を過ぎると、電力中央研究所構内に入り本館前が終点。車内では特段放送等はなかったが、降りた途端に警備員に「入構証はお持ちですか?」と尋ねられた。同乗の方がぱっと示す一方で当然持ち合わせていない当方、斯々然々説明したが、直ぐ後の路線バスで戻る予定もまずは構内からそそくさと退散したのだった-ちなみに本館前に特段ポール等はなかったかと。ご注意のほど。

横須賀西部地区線

***
06/17は葉山から路線バスで大楠芦名口まで移動し土休日のYCAT行最終便に乗車。できれば佐島マリーナにも行ってみたいものだが、そこからは男女各1人乗車で大楠芦名口からは当方のみ。途中バス停ではパラパラ人がいるも皆敬遠模様。逗子ICルートは平日4往復・土休日2往復ゆえやはり知名度もあるのかな…と思っていると、湘南国際村バス停では待ち人多数! 逗子駅・汐入駅と毎時約1本ベースで結ばれているが、結局9人が乗車。研修等に使ったか学生然の人もいれば、そこそこ着込んだハイカーの壮年婦人組も。その後は淡々と進行、湾岸線ではスピード違反検挙中を連続2件目撃…確かに飛ばしたくなるわな。定刻着の横浜駅東口改札前で今回は降車したが、YCATへ向かった人も3人いたのだった。

 

乗った限りにおいては改めて有望ではと思っているのですが、横須賀西部地区線の経緯然り、葉山線については土休日の渋滞状況然り、見ていないところもあるのでなんともと。

ただ、確かに云えることは、葉山との距離が近づいたなと。自身葉山の位置、距離感があやふやだったことに気付かされたわけですが、海辺だけでなく湘南国際村等の山辺を含めた魅力がまだまだ広く伝わっていないところがないだろうかと感じ入った次第で。そうそう、葉山で転回するのが面倒なら、長者ヶ崎まで延ばすのは如何? 混雑時には厳しいんでしょうが。
その意味では横須賀西部地区線を含めた日帰りや2日間程度のゾーン券設定なんてのはどうでしょうかね…ま、三浦半島1DAY/2DAYきっぷがあるじゃないと云わてしまうとそれまでなんですが、やっぱり横浜からダイレクトというのが魅力なもので。少なくともIC割引やバス特付与といった辺り、更に云えば共通回数券等々、いろいろ揃えてもらえればより使いやすくなるのではとも考えます。
いっそ羽田直行便なんて…と思われた方? 併せるかのようにこんなのが。

インバウンド需要をも意識したものですし、バスとは異なる層狙いと思われる分こっちのほうが現実的でしょうね。ただ、乗継きっぷ企画も興味深いものの、本牧JCTからの行き戻り感が強くて…その辺りもあっての“能見台BS妄想”なのですが。

横須賀西部地区線については、衣笠ICルートは定着しつつあるものの所詮はライナー的な利用なのかなと。佐島延伸は観光面の訴求もあるかもしれませんが本数が弱いのがどうも…ならば葉山線と湘南佐島なぎさの丘シャトルバスを川久保辺りで接着させるのはどうでしょうか。京急グループとしての戦略性もあるところ、あちら立てればの世界ではあるのですが。


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

上に戻る▲

ブログパーツ

Valid XHTML 1.0 Transitional

正当なCSSです!



copyright © 1998- Unlimited Liability Company 551planning All rights reserved.

テンプレートのpondt