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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

ノクターン&スカイターン

真昼間は別の顔?… ~「スカイターン」に探る長距離昼行バスの成否~

08/25(日)07:45。弘前バスターミナルにある細長い待合室には50人ほどの人々がいた。タッチの差で仙台行「キャッスル」の出発風景を見られなかったが、とするとこの後出るクルマに乗る人々とすると…。
BTのあちこちに広告が出されているように、この07/01から弘前と東京を結ぶ「スカイターン」がデビュー、延長700キロ弱を10時間掛けて走る日本最長の昼行長距離高速バスであるが、1ヶ月前の発売と同時に頼んだ座席番号は8D。そんなに混むのかと「現況」を見て少々憂鬱になる。

-07/01(月)09:15。デビュー当日の品川バスターミナル、運行会社関係者と数人の「御同輩」が待ち構える中やってきたクルマは赤橙青の波線ラインを纏った夜行車カラーの京急車ながら、中を伺えば4列シート。平日とあって初日の乗車は品川で3名という状況であったが、7月中に通常片道運賃(9,900円)とほぼ同じ1万円特別往復割引が実施されたこともあって、平均10名を超える利用を得ていると伝え聞いていたのだ…。

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そんな初日と同じく京急車が弘前BTに入線、乗車が始まると、待ち構えたかのように老若男女が続々と乗り込んだ。最終的にはその数25名。「隣人」は姿を見せなかった、というか、前方はカップルや親子など2人連れがそれぞれ席を占めており、後方は1人利用がそれぞれ窓側に座っていることから、なるほど最初からそういう売り方の様子。ST
そうこうしているうちに出発。外を見やると待合室からそこそこのギャラリーが見送っている。親戚や恋人との別れ、そっと手を振る姿は長距離便の旅情を誘う…そんな状況からすると10分後の青森空港行リムジンはさほど、20分後に出る盛岡行「ヨーデル」の利用客はまだそれほど、という状況か。

●08:00 弘前BT発

「ビデオ放送が不調で」と申し訳なさそうに運転手から放送が入り、3箇所での休憩や車内設備の紹介などが簡単に行われた。この日は10列34席仕様、座席自体は普通の昼行便仕様ながら、さすがにピッチは広めかと感じる。弘前市街からR7に入り15分ほどで大鰐弘前ICからエンジン全開、ここらあたりはまだガラガラの東北道を一路南へ。
改めて車内を確認すると、まさに老若男女、帰省帰り然の若者、出張というか商談で上京という感じの中年男性、親子連れや老夫婦の姿も見られる。思えば初日の利用も中年男性を中心に年配者も…そうそう、やはり「御同輩」もいらっしゃるようで。
夜行便と違ってオーディオサービスがないのが大きい。確かに車窓はめまぐるしく変わるものの飽きないといえばうそになろう。ウォークマンが日用品となって久しいとはいえ、持っていなければまさに手持ち無沙汰。ラックに情報誌のひとつでもあれば違うカナとも思ったりするが、周囲を見渡せば半数以上が一眠りを決め込んでいるようだ。
曇天の中、併走鉄路が羽越線から花輪線に変わり、八幡平を駆け抜けて岩手縦断へ。安代JCTの大規模構造物を経て八戸道を受け入れ、対向車線の交通量が若干増した。岩手山を見据えつつ進んでいるうちにしばしまどろみ、気づけば盛岡市街を遠めにしばし、「まもなく紫波SA」の放送が入った。ST

●09:50-10:00 紫波SA休憩

最初の休憩は紫波SA。馴染みのない地名だが盛岡と花巻の中間地点、夜行の「ノクターン」も運転手交替休憩を取る。10分間の休憩ではほとんどの乗客が車外に出て、トイレや軽食購入に走った。当方もお約束のエリアガイド・ハイウェイニュース・Highway Express等を確保!
定刻にSA出発、「御協力ありがとうございます」と挨拶して、先ずハンドルを握っていた運転手がしばしの休憩へ控室に消えた。
雲の合間から青空が望めるようになる中を南へと向かう。北上JCTで秋田道を受け入れ、対向車線にも高速バスがちらほら。秋田道といえばハイウェイニュース7月号には【検証:】道路板でも触れた「時間営業制」の西仙北ICの紹介が載っている。詳細は別途…。

牛舎が見えると前沢、一関を越えると宮城県入り。東北新幹線が横に見え隠れする。ここでもしばし記憶喪失…遠くの丘陵に戸建住宅がひしめき合う姿が目に飛び込めばお昼前の泉本線バリア、仙台に来たことを実感するも、市街の裏手を回る東北道からは確たる実感は薄い…。「山形道村田JCTは20キロ先」という看板の先には東北道を跨ぐR48の結構立派な構造物。仙台宮城ICで降りる車も少なくないから?ST
仙台南からは高速バス街道。対向にはJRバス東北や福島線の宮城交通、いわきからの常磐交通、UTORIA山交バスや緑N字の新潟交通も!福島線は新規参入もという状況なだけに、近距離系統含め仙台発着路線の動向は今後注目かも。
控室から運転手が出てくると2回目の休憩、国見SAも近い。

●12:20-12:50 国見SA休憩

国見SAでは30分間の休憩。御昼時とあってSA内も大混雑、軽食コーナーも席が埋まっている。屋外の屋台もめぼしいものがなく、車内で食べることを考えてスナック菓子を購入した。後でクルマに戻ると同様の乗客を多く見かけた。駅弁的なランチボックスがあってもいいと思う。
レストランば別棟になっていたのでそちらも覗いたが、ここは宮城福島県境とあって牛タンから白桃からさすがに土産物が充実していた。当方もピーチ生どら焼きを購入…。
あっという間に休憩時間が終了、再び本線復帰し南下を続ける。福島市街を左手に弧を描きながら進み、丘陵地を越えてゆく。安達太良SAでは東北急行便が休憩中。まさか再び出会うとは…。郡山JCTで磐越道とクロス、ついに案内板に「東京」の文字が入った。

須賀川では左方遠くにある福島空港に想いを馳せ、阿武隈PAで「阿武隈地域」の広さをふと考えてみる。ついつい阿武隈急行の走る地域を浮かべてしまうが、首都機能移転立候補地域はまさに福島空港を中心とする地域のはずであるが。そう考えているうちに栃木県入り、ついに「関東」へ戻ってきた…ところで、東京にお住まいの皆様は何処で「東京に戻った!」と思われるだろうか。東海道の場合は小田原なり大井松田なり、中央なら高尾・八王子、上信越なら高崎あたり、さて東北は?那須というのも遠いし、やはり利根川越え、新幹線では大宮あたりまで戻ってこないと…と思うのだが、さて?ST
6車線になり、対向の車もすっかり増えて宇都宮。鹿沼ICからはリムジンバスも顔を出した。ここで盛岡以来の東北新幹線と分かれ、東北道は栃木から佐野へ進む。イメージ的にここで山筋を越えるために宇都宮との距離の中途半端さをつい感じてしまう。そんな中、対向の福島交通や会津乗合自動車の高速バス便を見るに、東北から戻ってきたという、ちょっぴり旅の終わりの感傷を覚え始める。

●15:20-15:35 羽生PA休憩

利根川を渡り埼玉県入り。と、羽生PAで最後の休憩となった。当初は蓮田SAと案内されていたので「何だPAかよ~」と思ったのだが、これが大当たり。3月にリニューアルオープンしたばかり、店舗面積も1.5倍となってモスバーガーまで進出しているではありませんか。駐車規模的にもSAといっても遜色ない規模。はて、SAとPAの差って?
15分のリフレッシュ休憩の後、ラストスパートへ。この時点で15時台ということは結構なペースで来たことになるが、特に飛ばしているわけでもない。そういえば羽生PAで東北急行便を見かけたが、仙台11時発の便とすればそんなところだろう。

首都高の渋滞情報表示を見かけると昨日Jリーグオールスター戦が行われた埼玉スタジアムの横、東北道浦和料金所に。まずはここで渋滞。ETCレーンチェックも5分ほどの滞りの中で数台というからまだまだ。ST
外環道との川口JCT中心部で東北道0キロポストを拝んで首都高へ。前席の帰省帰りという姉妹からも「帰ってきたね」と思わず声が上がる。荒川沿いに大東京を眺めつつ、尾久橋通りに舎人新線の高架橋が立ち上がっているのに驚き、中央環状王子線開通を待ちわびつつ、つくばエクスプレスの架橋工事の無事を祈る。今日も社会資本整備はひたむきに続けられているのだということを実感しつつ、小菅-堀切JCTを難なくパス、をを、16時台到着が現実味を帯びてきたのだが…。

『やっぱりね、そう甘くない、箱崎は…。』 6号駒形付近で渋滞最後尾に取り付き、後はのろのろ。丁度横につくばからの関鉄便が満席で併走、乗客は当てなくお互いを見やりつつ。と、蔵前付近を走る東北急行便が!駒形で降りたようで、そちらは東京駅を目指すとはいえ…。こちらは両国合流までに10分、その先は都心環状外回り方面は少ないため9号合流からリスタートしたものの、都合20分以上ははやりロスしたか。
新富町ランプから一般道へ。歌舞伎座前を通り銀座4丁目を横目に昭和通りを進み、新橋から第1京浜に入れば「またの御利用をお待ちしております」運転手より挨拶。こうして17:00丁度に浜松町BTに到着、半数ほどが下車し、足早にBTを後にしていった。こちらもBTを出発を…と、件の東北急行便が到着、ふむふむ、あちらは定刻少々遅れですか。

浜松町からのラストスパートに付き合った乗客は10名弱。後ろの乗客が下車したのをいいことに最後は椅子を倒してみると結構これがリクライニングする。一眠りする時間はなかったものの、しばし東京の夕空を眺めて9時間の旅程を振り返ったのでありました。
そして予定より45分早着の17:15、品川BT。9時間あまりの到着の地は駅から5分以上離れた少々殺風景な場所とも言えた。夜行バスの時間には少々早いもののBT内にはちらほら人影。「スカイターン」を出迎える人がいたのだった。「早かったのねぇ」「楽だったわよ~」と声が上がる。そんな光景を遠めに、相棒が浜松町で降りた運転手には羽田の車庫までの回送任務があるとはいえ、ホッとした表情が見て取れたのだった…旅の終わりもこうして旅情を感じられたのは素直に嬉しかったですねぇ。

●17:15 品川BT着

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08/23(金)21:50の品川BTは、それぞれの乗る夜行バスを待ちわびた乗客でごった返していた…20時台から10~30分間隔で全国各地へ向かう夜行高速バスだが、その嚆矢はまさに1986年年末に登場した「ノクターン」であった。3列シートフルリクライニングに代表される居住性の格段の向上が支持を集め、西の先輩「ムーンライト」(大阪梅田-福岡天神/西鉄・阪急バス 83年登場)とともに現在の形態での高速バスブームの先駈けと位置づけられているが、京急ではさらに鳥取・米子行「キャメル」(88年登場)を成功させ、現在も東北・中四国方面を基盤としている。
「ノクターン」もその旺盛な需要を背景に、90年に横浜便、94年に五所川原便を設定、95年にスーパーシート(弘南車のみ)、00年に往復割引設定と女性専用車両の投入と、常にニーズに即した対応がなされているのも見過せない。

という当方、「ノクターン」は初乗。3号車3C席を引き当て、丁度後ろが洗面スペースとなることから思いっきり倒せてラッキーと思いつつ指定の弘南車に乗り込むと、なんと「スーパーシート」装備車!『シート幅は普通車の二倍になり、ファーストクラス並みの乗り心地を実現。液晶テレビや足のせ兼用のサイドテーブル、仕切りカーテンを装備し快適な空間を確保しました』と弘南サイトで宣伝される通り、飾らない豪華さを醸し出していた。まあ+¥3,870の「寝心地」はどのようなものか、当方は味わえなかったのではあるが。
浜松町BTでしっかり満席となり、ビデオで案内がなされたあとカーテンが閉められ消灯。そのあと佐野・国見・紫波の各SAで乗務員交替休憩が取られたものの、弘前大鰐IC過ぎまでの「暗室」はまさに寝るだけの空間。とはいえ定刻より早く07:00到着は予定的結果とはいえ気分のいいもの。この日は総勢7台運行、総体的には女性の姿が目立っていた。

 

2002年、高速バスを取り巻く情勢は大きく変化しつつある。需給調整規定廃止に伴う新規参入の可能性の中、「青春ドリーム」に始まる低価格化、「東海道昼特急」に代表されるニッチ市場開拓。「スカイターン」もその流れにあるが、その中で3列シート夜行便との共通運用でなく昼行専用車の新規投入を図ったのは運行コストと昼行便単独収益性との兼ね合いもあってのことだろうが、たまたま混んでいるときに当たった…と居住性でリピーター流出の懸念も否定できない。ただ、「隣人」のない場合であれば独立3列よりも4列で2人掛シートを独り占めできるのは非常に楽、ということも申し添えておこう。
個人的には6~8時間も「暗室」に置かれ、寝返りもそう打てないシートに拘束されるのはそう気分のいいものではない。いまさらかよ、とも思ったが、「あけぼの」のゴロンとシートの拡充(女性専用ボックスの設定)はそうしたニーズの存在の証左でもあろう。一方で08:10発のリムジンに乗ればお昼前に、08:20発の「ヨーデル」なら14時前に東京に着く。日中の有効時間帯が犠牲になろうとも、直行で行けるという売りは潜在需要にヒットしようか?そこで強気とも云うべき「価格据置」が効いてくるといえよう。低価格を打ち出さなかったのは「ノクターン」という確固たる夜行需要の下支えあってこそ、むしろ往復割引が「スカイターン」にも適用されることでの選択肢の拡大によるニッチ開拓への期待がもてる。

ST 新幹線ですら2時間半500キロ、東京~大阪間の時間距離が「心理的限界」とされ始めている中で、「長距離昼行バス」の成否は一見難しそうに映る。しかし「スカイターン」こそ最長記録を更新したものの、500キロオーバーの路線は北陸方面路線などで存在したし、今年2月に館林・桐生・前橋-京都・大阪OCAT661.6キロを結ぶ「シルクライナー」(日本中央バス)も登場している。
こう考えると、直行直通ルートがなく、航空運賃の低減効果を受けにくい都市圏を結ぶ長距離昼行バスの可能性が見えてくる。東京圏で言えば山陰・四国方面、関西でも四国・北部九州方面は「ナシ}とは言い切れないのではないか。ふと品川BTで案内板を見れば、「鳥取」「徳島」…。
「スカイターン」の成否が、日本での長距離昼行バスの扉を開けることになるのであろうか…。

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可能性はありそう

投稿者---和寒氏(2002/09/05 08:40:14)
http://www.geocities.jp/history_of_rail/

長旅お疲れさまです。やや遅ればせながら。

「スカイターン」の成否が、日本での長距離昼行バスの扉を開けることになるのであろうか…。

→可能性はありますね。所要時間がかかりすぎ、しかも一日を丸々潰すという不都合さはあるにせよ、「直通」「低廉」に魅力を感じる利用者はおられるでしょう。
ただし、そうそう太い需要があるとも考えにくいので、バスが相応だと思います。採算が確保されるという前提が満たされれば、マイクロバスの投入という展開もありえるのでは? 拙HPで紹介した、空港タクシーのような例もありますし。
これをニッチと評価するか、それとも潜在需要の顕在化と見るか。興味深いところです。

長距離中量交通サービスの可能性?

投稿者---551planning(2002/09/08 00:22:29)

これをニッチと評価するか、それとも潜在需要の顕在化と見るか。興味深いところです。

御紹介ページの最後にある御言葉がまさしく「本質」であろうかと。
対青森という移動の中で、プライベートにおける自家用車利用という選択肢はそこそこ、いや意外と「かなり」と思われるほどにあるかもしれません。それは東北新幹線八戸延伸でもさほど揺らぎはないでしょう。
「公共交通」こそ地域間流動の太宗であるという時代はとうに過ぎ、日常のどのような場面で公共交通が選択され、いかように機関手段がなされるのかを分析するに、こと昨今では価格面訴求力がかなりのウエイトを占めつつある事を痛感します。その中で例えばアメリカの「グレイハウンド」に代表されるような長距離バスの成立可能性については、個人的にはいまだ懐疑的な面はあります。

紹介事例のような国際空港を持たない信州からの空港アクセスはまだ特異例かもしれません。今度甲府からの成田空港連絡バスもできますが、それだけの需要を集められるかは…?結局、採算性がまずのところの焦点にはなるでしょう。
その意味において、バスという形態からマイクロ、ワゴンへという視点は盲点でもありますが、「タクシー」という不定期性も何気にポイントなところになるかもしれません。まさしく、事業者にとっても「軽快な挙動を採ることができる」かが可能性への重要な橋頭堡でしょうから。

ただ快適性はどうなんでしょうか。ワゴンに押し込まれて数時間というのもなかなか…。夜行バスは「寝ろ」という環境下にあるゆえに成立していますが、「スカイターン」では3回の休憩こそまさにオアシスでした。いけ行けどんどんではかなり辛かったかなと思います。

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「スカイターン」に続くか?「青森上野号」

投稿者---551planning(2005/03/06 23:36:48)

『日本最長距離を走る高速バスは?』と問われたときに、知識のある方だと「はかた号」(福岡天神-東京新宿:西日本鉄道 1990~)と答えられるだろうと思います。“キング オブ 深夜バス”と書けばピンとくる方も多いかも知れませんね。当方も以前乗りましたが14時間超1,150Kmの旅、身構えて乗ってみてまぁまぁ快適…かなぁ?と思えただけに、罰ゲーム的にぱっと乗せられたらそりゃ、の世界です。一時期航空自由化の波に揉まれて共同事業者だった京王の運行撤退など先細りの状況に追い込まれたものの、03-04年末年始に女性専用車「博多の女号」(地元銘菓とのタイアップ)も運行されるなど、根強い人気を保っていると云えましょう。

で、先の質問に戻ると、夜行バスとしては正解ですが昼行バスでは?とすると、まずは「スカイターン号」(弘前-東京浜松町・品川:弘南バス・京浜急行バス 2002~)が思い浮かびます。10時間695kmの旅、景色は楽しめるとはいえさすがの当方もいささか退屈した覚えが…。
登場は2002年7月、バス事業の規制緩和を目前とした前年12月に登場した「東海道昼特急大阪号」(東京駅-大阪駅:JRバス関東・西日本JRバス)が結果的に大ヒットとなり、長距離昼行バスの可能性が注目された頃でもありました。年末には東北新幹線八戸延伸開業もあり、新規ニーズ発掘による総需要の維持ということもあったかと思います。
しかしそのためか、通常運賃が夜行の「ノクターン」と同額であったり、ある程度の輸送量確保ということで新車が投入されながらも4列シートであったりと、「昼特急」の割安感やゆったり感とは若干の差があり、事実上昼間が移動に費やされることからもイメージ的に利用層が更に限られることで、当初はかなり苦戦したと聞いています。

結果として04年4月に実質値下げとも云うべき運賃体系変更を実施、その後需要が安定したということで、弘南バスがなんと2匹目のドジョウを狙うことに…12月に発表されていましたがついに3/1開業しました。スカイターン同様公募された愛称名はその名もズバリ「青森上野線」。青森駅-上野駅間をスカイターンと同じ10時間で結びますが、距離はスカイターンを抜いて約710kmとなります。

「先輩」スカイターン号との違いがいろいろありますが、なんといっても今回は単独運行となったこと。京急が降りたということはまず置いておいて、不思議なのは上野駅発着となったことでしょうか。対の存在というべき夜行の「ラ・フォーレ号」(弘南・京急・JRバス関東・JRバス東北 1989~)は東京駅八重洲南口の発車ですが、ご承知の通り1便とはいえこちらには日中でも空き入る余地はほとんどありません。調べてみると弘南バスの東京事務所が上野にあるということからのようですが…。このことが象徴するように、今回東京からの利用はあまり考慮されていないといっても過言ではなかろうかと(ちなみに弘南バスサイトでは上野駅の発車地紹介がつい最近まで出ていなかった)。
乗場が判然としない上野の様子でも見に行ってこようかなと思っていた矢先、「Club NCB」で御贔屓にさせて頂いているHIRO様のサイトで速報されていました! なるほど、東北急行と同じ乗場でしたか。それにしてもやはり東京発初日は3名、スカイターンもそうでしたが、よりマイナーな乗場は名を売る術もなさそうで…。

一方で目を惹くのが思い切った価格設定でしょうか。スカイターンと異なり2期制、かつ実質的に通常期間が大幅割引対象という形態に。なお運行形態が違うゆえかラ・フォーレとの往復割引設定はありません。それにしてもスカイターンより距離が遠いにも拘らず片道ベースでも安いという逆転現象とは驚きです。記事で「人口が多い青森市ならより需要が期待できる」ともされていますが、確かに目的地が違うとはいえ、多からず需要がバッティングしないものでしょうか…記事では定員34人で20名が収支ラインとか。スカイターンも利用率が6割確保されているともされており、まずはそれだけ潜在需要が確保できるかが焦点でしょう。
ただ、やはりそのときに東京側での集客もなんらか考慮するべきかと思うのですが。確かにニッチ狙いであり、青森ベースでの往復利用主体で構わないのでしょうが、東京側の販売拠点を持たないコトなど含め、格安会員バス形態に近いものを感じます。
弘前と違い、青森は東北新幹線延伸が目に見える時期に迫っており、そのときにどうなるのかを含めてまずは短・中期的な動向が注目されます。そして継続可能となったときには、格安バスの動向含め今後大きく動く可能性も見えてくるのかもしれません。

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2010/05

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その後をまとめ切れていませんでしたが、結局「スカイターン号」は2006/08末で廃止、ただし「青森上野号」が弘前BT経由となり、弘南バス単独運行というスタイルで現存しています。
つまるところ、ニーズエリアと価格面での訴求力で、弘前単独での成立が厳しかった-となりましょうか。JRバス系「昼特急」シリーズが夜行車両の有効活用からスタートしたのと比べ、4列シート専用車を導入したことも、ノクターンとセットで捉えきれないところにもなったのかと。その意味で、弘南単独運行スタイルが都市間ツアーバスを強く意識したもの(トイレ無4列シートHD観光車両の活用等)となっている点に反映されているのでしょう。

***
さて、夜行便についてはかなりの変動を見せています。青森・弘前方面への都市間夜行ツアーバスは2005/07にオリオンツアーが手がけてから、一時休止を挟みつつ、現在ではウィラー・キラキラ号も参入。当初は盛岡や八戸を経由するなどして運行を仕立てていましたが、現在では青森・弘前-新宿・東京・TDR・横浜間を運行しています。そして、弘南バスも2007年から「弘南バスツアーズ」を展開。現在は五所川原・青森・弘前-新宿・東京・TDR間に、1名からの運行保証・最安価格5000円からと、ノクターン号のほぼ半額での運行となっています。
この影響を受けてか、長らく4社2往復共同運行体制が続いてきた東京-青森線「ラ・フォーレ号」からJRバス関東・京急が撤退。2010/03からはJRバス東北が「ラ・フォーレ号」を、弘南バスが「津輕号」をそれぞれ運行するように変化しています。「ノクターン号」も2008/09で女性専用車両の運行を終了、数台体制での運行こそ変化ないものの、増車台数も減りつつあるようです。ST
そもそも弘南バスは2005/12から「青森上野号」の夜行版となる「パンダ号」を運行開始、2007/12からは2往復化しており、現在では結果的に対青森で津輕号、パンダ号と弘南バスツアーズの3系統体制となっており、まさしく「肉を切らせて骨を断つ」状態とでも申しましょうか。

2010/12、青森県民悲願の東北新幹線新青森開業が実現。北海道新幹線新函館延伸を睨みつつ、「白鳥」「つがる」そして「あけぼの」にも何らかの変化がもたらされるものとも思われます。高速バスにとっても、昼行はもとより夜行についても安泰という状況ではなくなるものと。都市間ツアーバスの参入によりかなりの価格競争ともなっていますが、今後の動き、とりわけ弘南バスの動向が注目されます。

 

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