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都市圏近距離直行バス

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名鉄BC

名古屋「都市圏高速バス」のりある記

先日名古屋を訪れる機会を得、ちょうど7月1週の交通新聞紙面で記事にもなっていたこともあり、中京圏の都市圏高速バス4路線に試乗した。
当サイトでも御紹介したアクアラインや「三吉松」線などの通勤対応型都市圏路線や、新横浜-溝の口線という新幹線連絡路線など、都市圏近距離高速バスの可能性については首都圏でもその動向が注目されているが、全国的には札樽高速線や新潟地区、小倉-福岡線などが先進地として知られている。中京圏では三重交通の四日市・桑名-名古屋高速線が名高いが、さて…。


【Route.1】名古屋→関・美濃 (岐阜乗合自動車)

07/06(土)、新名古屋駅上メルサビル3F・4F名鉄バスセンターの昼下がり。3Fは近郊路線階、4Fは長距離階という構造、各5~8バースほどの乗り場を抱えており、近郊階は発着数も多く人の流動も多いが、長距離階は大荷物を抱えた人が所在無げに待合室にいる程度で気だるささえ感じる。それでも15:00発便の京都、美濃、福井、飯田行各便が並ぶと壮観だ。それぞれ10人を超える乗客が吸い込まれてゆく中、当方は美濃行の赤地にゴールドラインの岐阜バス便に乗車、新関へ向かう。20人名弱の乗りの車内は圧倒的に女性。若い人が多く名古屋へのショッピング利用の定着が伺える。

これまで富士山へは新宿から中央道高速バス、京王か富士急というのが相場だったところへやってきたJRバス関東と富士急が組んだ東京駅~御殿場・河口湖線。横浜方面からは定番のアプローチであるルートだが、バス路線は確かに無かった。JRBKはこの河口湖線のほか、「昼特急&青春ドリーム」の拡充、吉松線のてこ入れ、変り種の「らくらくミッドナイト守谷」(金曜夜守谷行深夜バス)など積極的な展開を見せている。

岐阜バス

クルマは改良途上のR22名岐国道へ。名古屋市を出てしばらく、30分も経たないある交差点の歩道橋に掛かる横断幕には「歩行者・自転車・トラクター等の横断に注意」と…。首都圏との大きな違いを感じる。名神高速一宮ICから一宮JCTを経て東海北陸道へ。このあたりの標識では既に北陸道が表示されていて、北陸に達していない東海北陸道はややこしいような…と思っていると、一宮市街を雄大に右へ左へと流れ、木曽川や岐阜市域の山々を眺めるという地形を実感できる東海北陸道のルートに感動。当方にとってこれまでの高速道のベストビューといっても過言ではないかと。

国営木曽川公園のツインアーチ138を横目にすれば、東海北陸道には川島PA・ハイウェイオアシス河川環境楽園もあるという親水地域。航空自衛隊各務原飛行場を右手に大きく個を描きながら山肌に飛び込めば、各務原トンネルの先はもう関IC。県立百年公園の横をすり抜けてR248に入ると名鉄美濃町線と併走…と丁度部分低床車800系と抜き差しに。電柱には刃物屋の宣伝が並び、さすが名刀孫六の街。
800形に乗りたくなって新関で下りたが、ここで10人近くが下車、美濃町線ホームへ流れた乗客もいたからには、百年公園前(か美濃町線赤土坂駅)辺りに停留所があっても?丁度名古屋便と離合したが、あちらも10人以上の乗りでさらに5人ほどを加えて発車していった。

【Route.2】名古屋→小牧 (名古屋鉄道)

美濃町線から新岐阜経由で新名古屋へと戻り、再び名鉄BC、今度は中距離階3Fへ。8バースのうち2つを桑名・四日市方面三重交通が、2つを基幹バス含めの名鉄市内路線、1つは名古屋空港リムジンバスが発着、各方面夕方で用務客を中心に混雑している。ちなみにもうひとつは臨時用で、そこには丁度苫小牧へ行く太平洋フェリー乗り継ぎ便が停まっていた。
名鉄 2バース与えられた中距離路線のうち、ひとつは昨秋誕生の可児・多治見線で、名鉄と東濃鉄道が担当、丁度15:00発東濃便が先ほどの美濃行きと並んでいたのだが、かなりの乗りだった。東空交リムジンバスでお馴染みの日産ディ・フィリピン製ユーロツアー、行き先案内も紙製!とかなりの低コスト効率路線のように思われる。

今回狙うは04/01に出来たばかりの小牧線。栄を経由し名古屋高速を北上、ダイレクトで小牧へ向かうもので、18:55発便にはこれまた女性客を中心に20人以上が乗車。市内渋滞でもたつくも栄で10人程加えると、「御利用有難うございます」と運転士より挨拶。「このクルマは両替機を付けておりません。両替は御了承願います。小銭を御用意下さい。小牧駅までは650円です…」と。後で聞けば専用車はまだなく、貸切転用とのこと。そうこうしているうちに黒川ランプの螺旋ループを上って名古屋都市高速へ。
楠JCTからは名神・中央道への短絡路となった高速11号小牧線(R41名濃道路)をさらに直進。小牧空港の夕景を眺めつつ、小牧南ランプを降りて一般道を進み、小牧市役所前などで下車扱い50分足らずで小牧駅着、路面電車の運賃箱のような小さな容器に650円を入れて下車すると、20人ほどの乗り通し客も駅へ町へと足早に消えて行ったのだった。

【Route.3】名古屋→湯の山温泉 (三重交通)

小雨模様であけた07/07(日)、三度目となる名鉄BC4Fは関西・北陸方面主体に活況だったたが、3Fは到着ホームと出発ホームが正反対の状況。各地から集まる高速バスからは一様に20人近くの乗客が吐き出されてくる…そんな中やってきた三重交通便名古屋-四日市高速線で湯の山温泉へ。休日でも朝4本のみとマイナー便だが、メインルートは途中の桜台ニュータウンまで。三交この便は寄らないが、後述の桑名高速線や東濃バスの可児・多治見線など「終点が団地」という中距離路線の多さが目に付く。
07:52発の便には当方と初老の男性の2人乗車…観光客利用を期待したが日曜朝では動きもないのか。一旦栄方面へ向かい、途中の白川ランプから名古屋高速へ。新幹線からいつも気になる旧貨物ヤード跡かの広大な空き地を横目に、一路西へと向かう。まっすぐ進む名古屋西JCTから東名阪道へ。ここでは東名阪道が90度ターンして市街を避けるように外郭道路となっている様を眺めつつ、外環道に思いを馳せてみる。大山田PAまで16kmほどトイレがない旨の看板を見かけた名古屋西料金所、その先に「鳶も仕事がありません!」という趣旨の大きな櫓「広告」が…。

東名阪道では木曽・揖斐・長良川の大規模トラス橋が目を引くが、高速道路ではこの他東北道の利根川橋梁などのほかに何処があるだろうか。長良川河口堰や遠く海べりには伊勢湾岸道の長大橋も望めた。三岐鉄道の細道を確認した前後区間ではその伊勢湾岸道=第2名神とのJCT準備工事が着々と進行中。
四日市ICを降り、メインルートである桜台NTを横目にR477を湯の山温泉へ。途中離合した桜台発名古屋便には15人ほどの乗客を確認、こちらは近鉄湯の山駅でわずか2人の乗客を降ろすと、温泉街へとバスは大柄な身体を狭そうにして消えていった。

【Route.4】西桑名ネオポリス→名古屋 (三重交通)

湯の山温泉から四日市、三岐鉄道と廃止間近となった近鉄北勢線に試乗した後、桑名駅前からは路線バスで「ネオポリス」へ。丁度北勢線の北方には桑名寄りから新西方、大山田、城山、西桑名ネオポリスと団地・NT街が形成されており、ここと名駅・栄が東名阪道経由の高速バスで4路線で直結されている。平日朝ラッシュ時だけで40本以上もの設定と、1000人を超えるキャパシティには驚かされるばかり。土曜夕方も乗車風景を見たが、来るバスそれぞれ必ず15人以上が乗り込むのは驚きだった。首都圏で云えばつくばセンター線、鹿島神宮線といった半ビジネス需要内包路線規模が純通勤所用路線で成立しているといえばイメージしやすいだろうか。

その中でも主要系統が大山田団地とネオポリス、はてさてどんな未来都市なのか気になる…まずはマイカル桑名。R258沿いでマイカルお得意の巨大SCは日曜午後でかなりの混雑。丘陵地にある分駐車場の設定が思わしくなく入庫待ちの長い列が出来、バスも混雑を縫うように走る。三交
4車線道路を西へ。東名阪道を跨ぐと低層団地が中心の大山田団地。さらに丘陵地を進むと戸建中心の城山団地・ネオポリスと続く。ネオポリスでは域内をのの字に走って終点に着けば、小公園とバスの折返所があるだけ…桑名からの路線バス2系統と名古屋・栄からの高速バス2系統が集まるにしては折返所には詰所もなく、運転手は各自自車待機という状況。小洒落たコミュニティセンターや商店街を想像していた当方にはあまりにも突飛過ぎる「普通さ」に驚いた。

そんなネオポリス15:00過ぎ発の名古屋便は当方1人乗車でスタート。ネオポリス内で5人、大山田団地で9人が乗車と結構乗る乗る…もっとも区間利用可能なため、マイカル桑名口でネオポリスからの3人が下車したが、それでもこの時間帯にして12人乗車はなかなかの流動だ。
桑名ICを使うかと思いきやR258を北上、桑名東ICから高速に乗れば30分も掛からずに名駅前へ…今度はひとつ手前の黄金ランプで降りたが、名鉄BCに入るのに駐車場渋滞に巻き込まれ5分以上のロス…BC手前で三交の別便が白川経由で先に突っ込んでいったが、当便からの無線情報によるものとはいえ、釈然としない思いも…なにはともあれ、座ったまま乗換なしで1時間というのはやはり大きいことを実感させられたのだった。

名鉄BCで一番目を引くのが、それぞれの路線が例えば「桑名方面」「可児・多治見方面」でなく、「大山田団地・ネオポリス」であり「皐ヶ丘9丁目」と呼称されていることだ。まさしく団地直結路線、いちげんさんには分かりづらいが、実際問題四日市高速線に乗っても四日市駅へは行けないので正しい表記とも云える。
1985年に登場、もはや「老舗」と呼べるほどの貫禄を持つ三重交通の桑名・四日市高速線だが、団地毎の路線設定、域内を細かく廻るゆえ域内利用も可能、パークアンドライドも取り入れられており、まさに痒いところを地で行く細やかさが魅力に繋がっているといえそうだ。
一方で長距離路線主体に推移してきた名鉄、ここ最近空港路線や都市圏路線の充実には目を見張る。東濃主導の可児・多治見線はデビュー2ヶ月で増便対応がなされたほか、小牧線に至っては「平安通延伸」間近の鉄道やバス路線と完全にバッティングするが、アプローチの多様化によるクルマからの転移の模索と積極的に理解したい。

裏を返せば名古屋高速の整備如何ということになるが、さすがサイトでも紹介されていることを御紹介して終わりとしよう。

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名古屋の実力派高速バス乗車記

投稿者---エル・アルコン氏(2002/10/09 00:14:12)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

先日、名古屋へ行ってきました。名阪間移動にも使えて便利な「ワイド3.3.SUNフリーきっぷ」を使いましたが、名鉄・近鉄・南海の3社鉄道線のみのノーマル版(3日間有効・5000円)とちがい、ワイド版は1000円高いだけでバス線のほか、系列会社の鉄道、バス、船舶が利用できるため、思わぬ交通機関の利用も可能です。
今回は、名鉄、岐阜バス、三重交通の近郊高速バスを試しましたので、そのレポートをしましょう。

その1・高速小牧線

「ワイド3.3.SUNフリーきっぷ」の記載は「高速バスは除く」とありますが、名古屋近郊の高速バスに乗車できるということを聞いており、名鉄新名古屋駅脇のメルサ3階、4階にある名鉄バスセンターで利用可否を聞いてみました。結果はきっぷ記載の通り名鉄と東濃鉄道共同運行の名古屋-多治見線や南紀特急バスを除き、自由席制の高速バスはひとあたり乗れるようです。

まずトップバッターは名鉄の小牧行き。小牧といえば離れ小島の上飯田を起点とする名鉄小牧線ですが、来春地下鉄名城線平安通までの地下鉄新線、いわゆる上飯田連絡線が開業し、地下鉄ネットワークに接続することで、面目を一新する路線の中核ですが、そこへ当の名鉄が名鉄BCから栄経由で小牧駅まで、名古屋都市高速経由の高速バスを運行を開始したのですからいささか乱戦気味です。
もちろん中心街への直通交通機関がなかったこともあり、都市高速の下を走るR41名犬バイパス経由のバスや、別ルートでのバスでサポートしており、今回の高速線もそれのグレードアップということもできます。
なお、バイパス経由の一般路線は、高速線の開業に伴い中途半端になったのか、この9月末限りで廃止になっています。

毎時55分発がデフォルトですが、12時55分発に試乗しました。前扉の高速タイプで、運賃箱と整理券発行機が付いていますが、整理券は名古屋行きの間々乳観音から元町東までの間だけで発行といささか過剰装備のきらいが...
BCの表示は大胆に色分けされており、その色彩が薄暗い乗り場を明るくしています。乗り場には柵があり、乗務員が降りてきて開けるまで乗車できません。
小牧行きなどが出る3階は近郊路線中心ですが、中には津島行きのような一般路線もありますが、これも乗務員によるゲート開閉となっておりやや大仰です。

BCからの乗車は6人。乗り場にはもう少し待っていましたが、高速を通らない一般便を待つ客のようでした。
BCから地上に降り、そのまま若宮大路を進みます。マグリット展が開かれている名古屋市美術館がある白川公園脇の白川公園の乗車は無しですが、ここからの乗車専用停留所を行く際、降車できないので往々にしてアナウンスは省略されるところ、「白川公園でお客様にご乗車頂きます」と丁寧な案内が入ります。
矢場町で2人乗り、大津通へ。繁華街を進み栄で1人乗車。かつて瀬戸線が通っていた名古屋城の外堀を通ると瓦屋根のビルというコテコテチックな県庁が見えてきます。県庁前で1人乗車し、結局私を入れて10人の乗客。雨上がりの土曜の昼過ぎですからこんなものでしょうか。

左手奥に金のしゃちほこが輝く名古屋城を見て、名城公園の先で右折。そして黒川ランプから高速に入ります。螺旋状のランプから料金所を過ぎて本線に合流する直前、「高速バス合流あり」という表示があり、右手からの合流路が見えます。その奥には謎のスペースがあり、バス折り返し場か本線BSでもあるのでしょうか。
高速に入ってしまえば1号楠線から11号小牧線までひたすら真っ直ぐです。
東名阪道と交差する楠JCT手前ではこの先名古屋ICで接続するのが「東名」で、ここ楠で交差するのが「東名阪」とややこしく、混乱を避けるために表示の「東」名阪の東の字のフォントが小さくなってました。

楠からは別料金。ただすぐの豊山南でも同じ料金は重いです。小牧南ランプで降りてR41に入りますが、ここまでBCからわずか30分です。
元町3丁目の降車はなく、R155の1本南の地方道へ右折します。山城のある小牧山の麓の間々乳観音で2人降車を皮切りに、市役所、市民病院と降車が入るうちに中心街へ。かつての鉄道線ルートである岩倉行きとすれ違い、ヨーカドーをキーにするショッピングセンター「ラピオ」で曲がるともう小牧駅です。到着は13時41分でBCから46分。栄からだと30分程度で、650円は高いですが鉄道との競争力も充分でしょう。小牧駅まで乗り通したのは5人。目の前にピーチライナーの駅舎がありますが、ピーチから降りてきて目の前のバスに背を向けて、地下の小牧線に乗ってもらわないと、上飯田連絡線の意義が無くなるんですが、そのあと小牧線コンコースやホームの寂しさを見るにつけ状況は厳しいです。

その2・名古屋多治見線

次への移動のため小牧線に乗車します。かつては多種雑多な車両で賑わった小牧線も、地下鉄である上飯田連絡線乗り入れ用の300系に統一されましたが、20m4扉車ながら前後の扉間に転換クロスという異色のデザイン、乗車した列車は見事にクロス指向で、ロングに座っている人は僅かでした。
犬山で広見線に乗り継ぎ新可児へ。そこから15時55分の多治見行きの東濃鉄道バスに乗り継ぎます。可児市の代表駅というのにひなびた太多線可児駅・名鉄広見線新可児駅前ですが、バスに乗って程なく入った中心街は一転して「市街地」でした。
まあ駅はひなびてますが、可児駅のほうもよくよく見ると有人駅で、しかも窓口が5時40分から23時20分まで開いているので、利用はけっこうあるのでしょう。

土岐へ抜ける県道から外れて一戸建てが立ち並ぶ緑が丘へ入りますが、結構広い住宅街なのにバス停は1個だけと実に商売っ気がありません。
緑が丘を出ると素掘りのトンネルもある隘路を抜けて大通りへ。帝京高校を中心にした桂ヶ丘を左に見て、右手にも造成中のニュータウンを見て皐ヶ丘へ。通りから左折すると別荘地のような趣の坂道を行き、程なく目的地の皐ヶ丘9丁目に着きました。

さてなぜ可児市の住宅街へ、というと、東濃鉄道と名鉄による名古屋-多治見高速の試乗です。多治見高速とは言いながら、多治見駅には寄らず、事実上可児市南東端の桜ヶ丘ハイツと名古屋を直結する高速バスです。
住宅路線の終点である皐ヶ丘9丁目での待ち合わせは43分。時間をどう潰そうかと思ってたんですが、バスを降りて街区を見てびっくり。幅広の街路の車道はわざと蛇行しています。歩道も石畳と芝生で、よく「人に優しい街づくり」という事例に出てくる街並みそのものです。
これはいかに?と時間があるのを幸い探検すると、人だけ通りぬけられる石畳の街路や、交差点のバンプ、小公園やロータリーと出るわ出るわ。1戸建ての住宅も広々としており、これは相当な高級住宅街です。
帰宅後調べてみると、旧建設省のホープ計画第1号、ボンエルフ手法の導入、街並みの美観を保護するために敷地面積70坪以上とか、建物の境界線からの位置とか、仕切りは石垣、生け垣に限るといった細かい開発規定を結ぶなど、相当考え抜かれた街づくりです。

この皐ヶ丘を含む桜ヶ丘ハイツは溯れば昭和43年になるプロジェクトですが、ここまで街を育てるというのはたいしたものです。逆にここまでハイクラスだからこそ、名古屋直通の高速バスという異色の足づけが成立するのでしょう。
なお皐ヶ丘からのバスは名古屋行きが1時間おきですが、平日朝は10分ヘッド、土休朝は40分ヘッドと完全に通勤対応です。多治見行きも平日朝は10分ヘッドでその他ランダムに毎時2本と、クルマ中心のエリアにしてはバスの便がしっかりしています。

ようやくお目当ての17時発の名古屋行きが到着。9丁目乗車は私だけですが、6丁目で3人、4丁目で2人と逆方向にしては乗ってきます。散策中とバス乗車中に名古屋発の便とすれ違いましたが、こちらも終点間近にしては乗っており、完全に定着しているようです。
皐ヶ丘を出て桜ヶ丘に入るとこちらの街区は皐ヶ丘のように凝ってない普通の街割りです。ただ敷地は広く街全体が円形に広がっているなど、個性は充分です。
結局桜ヶ丘ハイツでの乗車は私を入れて8人。名鉄BCまで900円、栄まで850円ですから手軽な足といえます。
9月1日から桜ヶ丘ハイツだけでなく、愛岐CCをこえて多治見市に入った旭ヶ丘や名鉄緑台の乗車も出来るようになりましたが乗車は明和団地だけ。結局9人で多治見ICから17時15分に中央道に入りましたが、本来駅方面へ直進するはずの交差点で、ICの取り付け道路が割り込むため、ちょっと不思議な取り回し方をしていました。

小牧JCTの手前、桃花台で最後の乗車ですが、ここで3人乗車。名鉄BCまで680円で、飯田などの路線と合わせて停車便も多いのですが、圧倒的に名古屋に近いのに名古屋方面への乗車停留所というのは異例で、桃花台の隠れた玄関口のようです。
小牧JCTで東名に合流し、17時31分には小牧ICへ。そのまま都市高速に入り、一路都心へ。小牧山を望み、遠くタワーズが霞む中バスは疾駆しました。
栄に近い東新町ランプで高速を降りたのは17時43分。10月11日開業の各方面への高速バスターミナルを併設するオアシス21を見て栄は17時49分着で5人降車。錦通から大津通が激しく混み合い、名鉄BC着は若干遅い18時8分。
遅れたといえ都心へは45分程度ですから直通効果を遺憾無く発揮していますが、正直言ってバスよりも桜ヶ丘ハイツに圧倒されました。

その3・関・美濃線

一夜を名古屋で過ごし、明けて翌朝またもや名鉄BCへ。この名鉄BCですが、今や名古屋の新名所というより押しも押されもせぬランドマークに成長したJR名古屋駅のタワーズを起点にして考えると中途半端に遠いのです。
空港バスが出る広小路口を使うと目の前に名鉄百貨店とメルサの建物があり、バスセンターの案内がありますが、所詮は裏口で、3階まで狭い階段しかありません。
あろうことか名鉄電車からもつなぎが今一つのようで、JR駅のコンコースと同じ1階に配置しているJRのバス乗り場のほうが便利です。まあ、そのあおりで市内線の市バスが2階に発着というのはこれは不便ですが。

今日のトップバッターは岐阜バスの美濃行きです。東海北陸道を通り、関経由で美濃までの中距離便で、高山線などと同じように4階の長距離バスのフロアから出ます。
「改札」前には既に中高年の集団がおり、古い街並みと和紙の街という観光も売り物の美濃市へのバスだけあって、ちょっと色彩が違います。
9時10分発の便が入線し、運転手の改札を経て車内に。結局15人で出発しましたが、ターミナルを観察すると団体受付とツアーバスの乗り場もあり、ツアー客も多くいるあたりが独特でしょうか。

この系統は都市高速に入ったり栄に寄ることなく一宮ICに向かいます。JRの名神ハイウェイバスではお馴染みのルートのR22ですが、市内の何個所かのクランクを経て、庄内川を渡ると都市高速の工事中です。一宮ICとを結ぶ名岐道路で、片側3車線の国道の容量を極力殺がないように、側道を本線扱いにして車線を確保しての作業が続いています。流れてはいますが、14km程度の距離を一般道ですから如何ともしがたく、一宮ICを通過したのは30分後の9時40分でした。
名古屋市街とのメインルートになるICゆえ出入りが多く、ゆえに渋滞も多いのですが、少しでも解消するために大阪方面に合流車線と流出車線の拡幅が500mほど進んでいます。ICを入って程なく一宮JCTとなり、名神から別れて東海北陸道に入ります。
下を行く西尾張中央道沿いに進むと見られる本線が準備されていますが、何になるのでしょうか。
下り方へのハーフICである尾西を出ると右へ、そして左へと大きくカーブを切って一宮木曽川ICへ。名神の一宮IC、一宮JCTに東海北陸道は一宮西ICに一宮木曽川ICと紛らわしいです。木曽三川公園の138タワーを見やり、木曽川と旧流路の中州に当たる川島町を通りすぎざまにハイウェイオアシス併設の川島PAを見ますが、SEGAのアミューズメント施設が目立ちます。

左手に岐阜城のある金華山を望みながら丘陵にかかります。トンネルを抜けると高速各務原ですが降車ゼロ。本線の表示は「路線バス 蘇原」とあり、下に「高速各務原」と添えてありますが、何で二つ名を持たせているんでしょうか。
各務原トンネルを出ると関IC。ここで東海北陸道から降りますが、真っ直ぐ関市内に向かわずにR248バイパスを折れていきます。
岐阜県百年公園の縁を行っているようで、R156、R248旧道とのアプローチ道路に合流し、美濃町線と並行するR248で右折です。
赤土坂、新田と美濃町線の駅に近い同名のバス停に停まりますが降車ゼロ。関の市街地に入り、いったん美濃町線の新関駅に入り転回。1人降車して発車は10時18分でした。

元の通りに戻り、本町の商店街を行きますが、山手出張所前を除き停留所が無いのも不思議です。美濃は90度折れた北方面ですが、バスは東へどんどん走ります。商店街も終わったころ岐阜バスの関東山車庫に至りますが、ここを出て戻ったあたり、運用の都合での大回りのようで、美濃市へ急ぎたいお客にとってはいい迷惑でしょう。
来た道の北側を並行しているようで、やがて市役所で1人降車。駐車場は湧水池兼用で冠水注意という看板には驚かされました。
長良川鉄道の関市役所前を見やりつつ線路を渡り主要道へ。左側に妙に中途半端なスペースがあり、ところどころ諸車進入禁止とばかりにポールが立っています。
しばらく行くと軌道跡は去り、こちらはR156に合流です。
中有知で1人下車して美濃市街へ。道も狭くなり滞りがちです。

公園前で名古屋で待っていた集団が下車。美濃市の「うだつの上がった」旧家を見るのでしょうか。よく見ると旧家を維持した通りがあり、観光客で賑わってました。
こちらは美濃市街を時計周りに迂回して美濃市駅へ。10時51分着の終点まで乗ったのは2人でしたが、市街から微妙な距離を残しており、バスはともかく長良川鉄道も観光客集客の大きなネックになりそうです。
またこのバスも関市内の迷走が大きく、新関と美濃市間が30分以上というのは頂けません。もう少し経路に工夫が欲しいところです。

その4・西桑名ネオポリス線

美濃からは長良川鉄道と美濃町線を乗り継いで岐阜市内へ。新関-関間の本数が端折られているため、関まで来ていればドンピシャリの列車に乗るためには新関まで走ってようやく間に合います。

市内線を少し見て、名鉄特急の最前列で新名古屋へ。再び名鉄BCに舞い戻り、最後の試乗は三重交通の西桑名ネオポリス線です。
桑名の大山田団地と合わせて、近距離通勤高速バスの草分けのような路線で、大山田ともども日中毎時2本が確保されているのは立派です。
13時45分発のネオポリス行きの乗客は7人。買い物帰りといった感じの普段着の乗客ばかりでした。会社(系列)が変われば作法も変わるとばかり、運転手が名乗ったのは新鮮です。
BCを出て若宮大路へ進み、白川公園のところでUターンして白川ランプへ。名古屋行きも白川ランプを使うので、この交差点では上下便がUターンするという重複区間です。
2号東山線から5号万場線に入りますが、別に曲がるわけでもなく名義だけの変化のようです。名古屋西JCTは14時ちょうど、すぐ本線料金所ですが、驚いたことにこのバスはETCを装備しており、居並ぶクルマを尻目に専用レーンを走り抜けました。

昨日の雨のせいでしょうか、満々と水を湛える木曽三川をトラス橋で越えるとはや桑名東ICです。14時12分の通過ですが、ETCレーンを通過の際、車載器が料金を読み上げました。
4車線のR258に入りしばし進むとマイカル桑名が見えてきます。標識に従い国道から外れてアンダーパスの主要道に入りマイカル桑名口。ここで2人下車しましたが、何と2人とも定期券です。このあとも定期券所持者や回数券利用ばかりで、個札で乗ったのは私くらいでした。

大山田、ネオポリス方面からは右折になるのでマイカルへのクルマで対向車線は混み合ってました。ちらっと見えたマイカルの駐車場状況も「満」が目立ち、相当な集客力です。名古屋方面のバス停には何人か待ち人がいますが、青い一般路線のポールと並んで「Express」表示のオレンジのポールが立っています。
現れた桑名市のコミュバスが「マイカル桑名」の行く先を出しており、ただのSCではなく、交通結節点の役割も持っているようです。

この主要道も混んではいますが大山田まで4車線です。その大山田は1戸建てではなくまさに団地でした。降りるだけかと思ったら大山田の交番前で1人乗車。大山田を後にして谷を越える時、左手にジャスコ星川店が見えましたが、マイカルとの競合はどうでしょうか。
新大中新田の先で右折しますが、運転手が「信号よし、横断歩道よし」と声出しをするのは良いことです。

曲がると曲がった山道に入り東員病院。そして城山に至ります。
城山の入口を左折すると、「西桑名ネオポリス」のモニュメントがありました。東南の城山、西北の笹尾東、笹尾西の住宅街からなる街で、街区自体は桜ヶ丘ハイツには劣りますが、1戸建ての住宅街の区画は広く、ゆったりとした街が丘の上に広がっています。
エリア内に入るとまめに停留所があります。名鉄BC行きと栄行きでポールが別れ、さらにスクールバスや八風バスも専用のポールを立てているので5本林立している様は壮観です。
真っ直ぐ行けばたいしたことはないのですが、笹尾の町内では逆「の」の字型にコースを取り、2巻き目の途中が終点のネオポリスです。14時38分の到着は名古屋から1時間以内。公園が向かいにあり、公園の脇にバス待機場があるだけで、停留所自体は露天の椅子も無い代物でした。

なお、帰路は一般路線で穴太に出て、少し歩く近鉄北勢線穴太から電車に乗り継いだのですが、電車は日中毎時2本です。ネオポリスからのバスをみると、名鉄BC行きが毎時2本、栄行きが40分ヘッド。一般も桑名行きが高速バスのルートでマイカル経由が毎時2本、穴太から桑名ICを経由する便が毎時2本と本数が確保されています。特に名古屋と桑名の両方の本数を維持しているのは立派で、質の高い交通を提供している様子が見えます。

 

以上、名古屋エリアの実力派高速バスの駆け足ルポでした。
乗車して感じたのは、老舗のネオポリス・大山田に新鋭の皐ヶ丘・桜ヶ丘といった、郊外住宅地と都心を直結するタイプの高速バスの設定とそのヒットが印象的です。これがそのまま他エリアで当てはまるとは限らないのですが、家の前から定員制の速達手段での通勤を可能にした面に付いては、他エリアでも検討に値するのではないでしょうか。


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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