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  • Photo:湘南・伊豆寒梅号
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    07:33 大宮発
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    07:59 池袋発
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    08:11 新宿発
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    渋谷通過 08:15
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    大崎通過 08:25
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    横浜着  08:47

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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

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埼玉-東京-神奈川…鉄道が拓く近未来流動を探る

07:00、JR大宮駅。若者スキーヤー、熟年登山客、奥様グループ…3連休の中日、02/11(日)早朝の大宮駅構内は多くの人出で溢れていた。7:00前発の「シーハイル上越号」をはじめ、大宮や上野始発の臨時・団体列車が発車する時間帯、新幹線を利用する人も多くみどりの窓口も長蛇の列である。
コンコースを見ると横断幕が…「お花見に便利な列車ができました 東海道梅回廊 湘南・伊豆寒梅号」JR小田原支社の企画で、kan_o4日間のみの限定運用である。使用列車は東海道線113系、G車も2階建て車含め2両ちゃんとついた11両編成である。停車駅は赤羽・池袋・新宿・横浜・大船…。

ホームに下りると発車20分前というのにすでに熟年層を中心に結構待っていた。適宜案内放送が入るが、ホームにはホリデー快速のステッカーはあるもののこの列車の乗降口の案内がないため、ホリデー快速のステッカーを目当てに三々五々あちこちに列を作って待っている。そのホリデー快速、鎌倉号・むさしの号(河口湖行き)の他に215系2F車使用の「甲州号」のものも…現在運行されていないが、春以降走るのだろうか。と、発車5分前にミカン色の電車が入線してきた…。

昨年末、JR東日本は中期構想「ニューフロンティア21」を発表した。
『首都圏における新しい輸送商品』の提供により新たなネットワーク形成を図る-とした具体的施策の中で下記の構想が挙げられている。

  • 2004年度の池袋駅構内立体交差化工事完成にともない、大宮~新宿~横浜直通ルートを整備
  • 宇都宮線などの東京乗入れに向けて必要な検討を実施

両構想の実現によって、これまでさまざまな提言がなされながらも、実現には程遠かった 東北~東海道両線の大動脈がスルー運転というかたちで結ばれることになる。

埼玉・神奈川両県と東京都心との鉄道交通体系の変化が、様々なかたちで見え始めている。
現状を具体的に紹介し、首都圏内近未来流動の変化を考えてみたい。

 

4日限りの臨時列車としては結構知られていたのだなと実感させる、各ボックスが埋まるほどの乗車率で大宮を出発。当方は奮発してG車に乗車、折角だからと2F車を選択した。2Fも半数以上の乗り。車内改札ではすでにグリーン券を購入している人も少なくない。「グリーン回数券は使えますか?」という人も…答えは○。この列車だけなのでOKと躊躇なく車掌氏。一番驚いたのは「池袋まで」という男性。「御同輩」然とも見受けられず、池袋でそそくさと降りて行かれたが…。
大宮を出てさいたま新都心の巨大ビル群が広がる。昨年の街開き以降徐々に人の息遣いが聞こえる街並みになってきた気がするが、新宿方面への貨物転用線にホームはなし。首都圏関係の官公庁の移転も進んでいる事から「新宿快速」運転時には更なる利便性向上を期待したいところであるが…。現在県都玄関口である浦和もホームがない。改修工事予定は前々からいわれているが、何時になったら実現するのだろうか。

15分弱で赤羽着。埼京線ホームからはG車に向けて不思議そうな視線が多く向けられてくる。
列車は淡々と走りつづけ、東中里駅を発車する209系幅広車を見遣りつつ、中里トンネルをくぐって山手貨物線へ。しばしの間、京浜東北線の青帯から山手線のうぐいす帯が車窓の友となる。ゆっくりの走りとなってしばし、最後は埼京線と併送して大宮から30分足らずで池袋駅に到着。埼京線電車先行のため1分ほどの停車、乗車もあったが降車も目立ったようだ。
池袋駅構内立体交差化は、現在山手貨物線と埼京線が線路別ホームとなっているのを方向別ホームにするべく路線をつけかえるもの。これにより上下線転線が無くなることで池袋以南の線路容量の増大と輸送バラエティの向上が図られる事になるわけだが、2004年度完成とされる工事の様子は具体的にはまだ見受けられなかった。

池袋を発車、新大久保駅の橋梁部をじっと黙視しつつ、高層ビル群が見えてくるとまもなく新宿…手前で信号停車。ゆっくりとしたスピードで新宿駅4番線へ到着。5分停車となる。折しも08:25発のスーパービュー踊り子51号が隣に入線、一気に東海道線の装いに…ここでの乗車はさほどでもなかった様子。乗客は一様に写真撮影やお菓子などの買物を楽しんでいた。
ここから後半戦、新宿を出てまずは代々木の踏切に注目。2箇所ある踏切は双方一方通行ながら人車ともに通行量の比較的多い踏切である。至近の小田急線南新宿踏切が「開かずの踏切」認定でつとに有名だが、今後通過列車の更なる増大でこちらの動向も非常に気にかかるところ…そういえば貨物線旅客化の端緒ともいうべきJR西日本の梅田貨物線(関空特急「はるか」、「くろしお」等が通過)の踏切の状況は現在どうなのだろうか。

11両編成という事でか渋谷・恵比寿両駅は通過、五反田付近からのろのろのまま大崎から蛇窪信号場跡を経由、横須賀線に入る。大崎駅ではりんかい線ホームの建設中。15両分あると思われるホーム部はだいぶできあがり、一部で上屋工事も始まっていた。駅舎自体の工事も始まっており、山手線でも陰の薄かった同駅は10年前と比べて周辺部が様変わりしたが、この先21世紀にどう変貌するか見モノである。
蛇窪付近を止まるかというスピードで通りすぎ、横須賀線E217系やN'EX、湘南ライナー185系などと離合、新大阪始発ののぞみも見掛けるが、さすが3連休の中日でか相対的に空席も多く見受けられた(恥ずかしながら時刻表を見るまで、新大阪6時始発がひかりだとは思ってもみなかった…)。

多摩川を渡り、武蔵小杉駅に入る東急ステンレスカーの輝きを確認しつつ、列車は新川崎を通過。今だ広大な新川崎操車場跡は近い将来の再開発計画も始まったと聞くが…。武蔵小杉の急速な整備発展を見るに、川崎と小杉の間である新川崎の今後は気に掛かる所である。
鶴見川を渡ってついに東海道線と合流、京浜東北線の青帯も懐かしい…?横浜までは、あともうすぐである…。
当方は横浜を越えて大船まで乗車。てっきり戸塚で東海道線へ転線するかと思いきや、大船まで横須賀線を走る。遅れていた快速アクティーとしばし併走、大船はそのまま横須賀線ホームへ。ここで11分の停車となったが、そのまま降りる人も多く見受けられた。

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サザエ 「横浜から渋谷まで28分だって! ほんとに特急だわ!」
マスオ 「横浜~渋谷間だと東横線が一番速い電車になるって訳だ!」

東京急行電鉄では03/28に特急の新設を中心とした東横線のダイヤ全面改正を実施する。これは目黒線開業で対都心部方面旅客が分散化されたことで東横線にダイヤ余裕が生じる見通しとなり、渋谷~横浜間直通旅客の需要拡大を目指して速達列車の運転時間帯拡大・速度向上を実現するものである。
駅掲出ポスターでは「東横特急」とされているが、渋谷-自由が丘-武蔵小杉-菊名-横浜-桜木町と乗換駅に絞った停車駅はインパクトがある。急行と比較して全線で4分以上の所要時間短縮になる由。平日は09:30以降、休日はほぼ終日運行となり、急行もほぼ終日運行に拡大される。
また通勤時間帯のスピードアップも実施。これは運転本数を1時間最大27本→25本とすることで急行で最大3分半の時間短縮を実現するものである。

国土交通省が纏めた東京都市圏鉄道混雑緩和状況の中で、東急目黒線プロジェクトの「成功」が数値で現れている(01/17付交通新聞掲載報告より)。これによるとそれまでの営団日比谷線利用者が営団南北線・都営三田線へ順調に経路切替を行なっている事が見受けられる。

(調査は10月・11月分速報値 数値は対前年同月)
・東急東横線ラッシュ時混雑緩和最混雑区間である祐天寺―中目黒間で混雑率が187%→178%に
・営団日比谷線利用人員減少恵比寿~霞ヶ関各駅の利用人員が1日あたり33,500人(6.8%)減少
・営団南北線新駅利用人員麻布十番・六本木一丁目の利用人員は1日あたり36,200人
・都営三田線利用人員増加御成門・内幸町・日比谷各駅の利用人員が1日あたり5,100人(4.9%)増加
日比谷駅での日比谷線乗換客が1,200人(3.1%)減少

上記は速報値であり、今後もさらに転移が進むものと予想されている。
目黒線絡みでは3月末に埼玉高速鉄道開業で4社局相互直通運転が開始されることとなる。都営三田線各駅に設置される行先案内板には種別表示部も用意されており、大井町線全線改良工事と共に今後の動向も注目といえそう。
東横線絡みでは当面MM21線直通化と日吉までの複々線事業が引き続き行なわれるが、昨年の運政審答申で盛り込まれた営団13号線との直通化が今後大きな課題となりそう。遠くない将来に「元町発練馬行き特急」が走っているかもしれない。

東横線を主軸とした横浜-東京副都心-埼玉県西部地域、横浜-東京都心部-埼玉県東部地域の流動への萌芽も確実に進みつつあるといえよう。その中では車両面での制約がある営団日比谷線との相直が今後見直し課題となるやも知れない。

 

今回の試乗では、新宿駅での時間調整停車や大崎駅付近のホーム建設工事に関わる、また全線に通じて臨時列車のスジであった事での度重なる減速要因があったため、大宮~新宿~横浜直通ルートとしての評価を一概に下す事はできないだろう。しかしながら、経由各線の線路容量やホーム限界などを考えるに、現状ではこのルートでの頻発運転は考えにくいものがある。

上野~東京間路盤復旧整備による直通化が時間の掛かる施策であるだけでなく、副都心と埼玉・神奈川の県勢中心地をダイレクトで結ぶという施策は、さいたま新都心やMM21地区への官公庁諸組織の移転が始まっている中、遷都・展都議論にも関わってくる今後の重要課題といえそうだ。それだけにこのルートではフリークェンシー性の高い運行が求められよう。逆に中途半端な運行となれば、新規需要の開拓はおろか既存運行系統への影響も問題となるだけに、現に他社の動きも活発化しつつある中で今後も慎重な実現可能性への分析が必要であると考える。


ニューフロンティア21の中でJR東日本は、このように表明している。

安全性、利便性、技術先進性、快適性、効率性において「世界一の鉄道」としての地位を確立することをめざします

このアピールを、投資家に向けたものとしてだけでなく、利用者に対する積極的な施策として実現するように大いに期待するものである。

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2011/04

結果的にはこの年の9月、宇都宮・高崎線~横須賀・東海道線間の新ルート「湘南新宿ライン」開業が発表され、12/01改正から25往復の運行を開始。JR-Eが“本気”であることを強烈に印象付けられたものだ。当初は本編でも記したように池袋駅構内立体交差化工事があったため暫定的なダイヤ構成だったが、工事完了後の2004/10/16改正から64往復・終日運行に拡大。使用車両もE231系に統一された。埼京線やN'EXの絡みなどもありその後運行本数は微増といったところだが、その存在感たるや日々重くなっている…その一方で、ひとたび人身事故等のトラブルが発生するや広域運用の影響が大きく出ることもあり、特に台風等の気象影響時には早々と運転中止となる(先般の計画停電時にも長期間全線での運転を見合わせた)など、存在感と比べて実際の運行体制はいまだ綱渡り感が強い。

その意味で、更に運行複雑化を伴うもののどちらかといえば“本命”感のある「東北縦貫線計画」は、通過の上高々架となる神田付近での反対運動などもありなかなか動かなかったものの、2008年に着工し2013年度の完成予定。現在神田付近を中心に、新幹線上でのアクロバティックな難工事が展開されているところだ。

JR-Eの“本気”を受け、先んじて「東横特急」を運行開始した東急。2003/03改正では終日中目黒停車化となったほか、やはり賛否両論のあった日吉にも停まる「通勤特急」が平日に新設。その後通勤特急の運転時間を拡大する形でほぼ終日運転化となっている。10周年を迎えた2010/03にはJR武蔵小杉駅が開業。湘南新宿ラインとで新たな競合関係が生まれてることから、10周年記念と題した「定期券ご購入キャンペーン」を打つなど緊張関係は続いている。

東急の“本命”となるのが、2012年度予定の渋谷駅地下化・東京メトロ副都心線との相互直通運転開始。遠く東武東上線、そして西武新宿線との広域直通化も見込まれており、大きな流れの変化も予想される。東横線では優等列車10連化対応ホーム延伸工事も実施中。更には2019/04を目途とした「相鉄・東急直通線」も控えているが、こちらはその前2015/04に「相鉄・JR直通線」開業が予定されている。
あれから10年、そしてこの先10年…埼玉-東京-神奈川間の流動は更に複雑な競合関係の中で変化し続けることとなる。

 

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