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  • 北関東地域に見る羽田アクセスバスの新様態
  • 番外編
  • 群馬県北部との競合
  • ついに東北道方面も

羽田空港アクセスシリーズ

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北関東地域に見る羽田アクセスバスの新様態

この前のリポートで【羽田アクセス@夏の陣】と題して御紹介した通り、今夏羽田空港連絡バスは新路線ラッシュに沸いたが、その傾向として早朝・夜間便にシフトしたダイヤ構成が挙げられる。
この時間帯は道路交通も大きく影響されず、かつ鉄道移動で乗換を伴う地域では直行バスによってかなりの時間短縮になるという、リピーターを生み出す重要なアピールとなり得るからである。

羽田空港直行バスの主な早朝始発便(現地発~05:30)
04:00西武バス大宮営業所05:10西船橋駅
04:15大宮駅05:13新横浜プリンスホテル
04:40千葉中央駅05:15新宿駅・調布駅・横浜駅(YCAT)
04:50新百合ヶ丘駅・京王多摩センター駅・パレスホテル立川05:20新横浜駅・木更津駅・五井駅
04:55立川駅05:25たまプラーザ駅
05:00小岩駅・本厚木駅05:30川崎駅・新浦安地区・つくばセンター
05:05藤沢駅【2000/09/01現在 551planning調べ】
 

現在鉄道で2時間圏内というところが主な直行バス設定地である事から、早朝と言っても出発便に間に合う05:00前後に現地を立つバスが目立つ。
しかし、これをも上回る≪早起きバス≫が昨年登場した。日本中央バスと東京空港交通の共同運行による前橋・高崎線(1999/10~)と太田・大泉・館林線(1999/12~)、なんと前橋03:00・太田03:30発である。と言っても北関東では成田空港路線が早くから開設されており、前橋03:40発(関越交通)があるのでそうも驚かなかったが…今夏新たにひっそりと、驚きの≪早起き新路線≫が誕生していたのである!
さてその路線とは…?先輩2路線含め、北関東地域に見る羽田アクセスバスの現状を見てみよう。


  • Photo:館林・大泉・太田線
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    一般車で大混雑の国際線T
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    16:15 国際線T発
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    16:56 首都高葛西JCT通過
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    17:05 首都高小菅JCT通過
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    17:20 東北道浦和料金所
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    17:44 東北道館林IC

■館林・大泉・太田線(日本中央バス・東京空港交通)

09/15(金・祝)の午後。まもなく台北行き中華航空便の出発時刻、羽田空港国際線ターミナルはその狭さもあって大混雑の様相。成田と違って小ぢんまりとしたそこはかとない異国情緒が気に入っている当方ではあるが、このほどエバー航空新規受け入れという話題もあった中、もはや羽田国際化の潮流がはっきりとしてきた現状で、東ターミナル完成までの仮住まいとはいえそろそろこの狭さが問題視されてくるのかなという懸念を感じざるを得ない。
そんな中で当方が乗るべき太田駅南口行き日本中央バスもターミナルロータリーで立ち往生していた。国際線用駐車場が溢れかえってロータリーに平気で無断駐車し放題となっているためで、ついにバスは乗り場にたとりつくことができないままに無理やり発車する格好となった。もっとも乗客は勝手知ったる当方のみ、自ら近づいてドアを開けてもらったのでした…『なんとかならねえのかネェ』と運転手氏もぼやき節、あいづちを求められしばし会話が弾む。太田行きは4便中3便が国際線T発となっているが、「めったに乗らんネェ」との由。時間帯もあるだろうが、国際線Tでバスを待つのも手持ち無沙汰ではある。

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思わぬ“構内渋滞”に苦労したため、国内線乗り場には定刻16:35に入線した。7番乗り場は成田空港行きとして知られるが、最近は大宮行きなど北関東方面バスの発着で賑やかになっているところである。ここで13名が乗車、三々五々席を埋める間もなく発車した。同時発車の小岩行き京成バス便が先行する形で首都高入り。向こうは窓側が埋まる乗りのようだ。
この日は台風接近で天候があまり芳しくなさそうであったが、初秋というよりも夏の終わりを思わせる入道雲を見やりつつ、軟らかな夕日が眩しい道中となる。荒川上の葛西JCTから進路を北にとって鬼門と思われた首都高中央環状線に入るもがら空きの様子。しばし川上の走りを楽しむ事となったが、個人的ながら当方の家もこの沿線でして、いつも高速道路を見ているという光景が逆転しているのは地元をまた別視点から見られて新鮮だった…。

かつしかハープ橋を抜け、改修なった京成押上線橋梁を渡る京急600形などを見ているうち、小菅JCT手前で一旦詰まるも首都高川口線はまた快調。左手に「東京」を遠望しつつ、葛西以来ずっと寄り添ってきた荒川に別れを告げるとそこは東武伊勢崎線とJR東北線に挟まれた鉄道空白地域。まもなく埼玉高速鉄道が、将来的には新交通システムの舎人新線ができるとはいえ、流れれば羽田空港まで40分という川口線のキャパを活かす手はあるはず。中央環状王子線ができれば新宿・池袋発足立入谷・新郷・鳩ヶ谷行きなんてバスが走らないとも限らない…?
防音壁に囲まれた高架橋が伸びる単調な道筋をバスは快調に進む。トイレ設置の安心感ある車内はすでに帰る人々の安堵感に包まれており、仮眠する人も。と、「今バスの中。え、館林の市役所に着くって。迎えに来てくれるんでしょ、え?聞こえにくい…」オバチャンが携帯片手に家人へ出迎えを頼む会話が車内に響く。デッキで…とつい言いたくなったりするが列車内とは各段に違う密閉空間なだけになんともはや…。
外環道と交差、しばし掘割の中を進んで行き、開けたところの進行右手に建設中のサッカースタジアムが見えてくると東北道の浦和料金所。近くには埼玉高速鉄道の浦和美園駅もできる予定だが、JR東北線や武蔵野線などの既存路線とはちょっと離れたところであり、周辺主要道路も万全とは言いがたい中で2002年ワールドカップ輸送はどうなるのかと気にかかる。

民家と畑が主体の短調な車窓風景に車内はすっかり落ちついたムードだが、手持ち無沙汰の感もある。直行便でトイレ設置だからSAなどに寄る必要もないのだが、何かしら変化があってもいい。その点東京空港交通では各座席に宣伝誌がラックされていることもあり、退屈しのぎになるのだが。せめて運転席情報にLEDの案内装置があるのだが、ここに宣伝でも流してみてはどうだろうか。
久喜・加須・羽生と埼玉県を北進するごとに空模様が怪しくなってきた。夕方という事以上に黒い雲に覆われ始め、ついには雨が降り出した。まだ高機能舗装でないらしく、路面はすぐに水溜りができて前の車の水飛沫がフロントガラスにあたってコントロールし難そうだが、ベテランらしき運転手の対応に抜かりはなさそう。横幅6車線の大きなトラス橋で利根川を渡れば館林ICだ。
いったんR354を西進し、細道を北に進む。つつじヶ岡公園の中を走って行くと館林市役所の建物が前面に見えてきた。

群馬県東南部の中心都市館林には、「文福茶釜」で知られる茂林寺がある。さすがというべきか、市役所の玄関ロビーすぐ横の「茶釜狢」前が空港バスの発着所。休日ということもあって周囲はひっそりとしているが、ここで8名が下車。件の「携帯オバチャン」の出迎えはいたろうか…。ところで駅まで入らなかったのはルート的な事もあろうが、今のところバス会社的にはアナウンスしていないものの、市役所の駐車場でパークアンドライドも…という考えがあるのかも知れない。
市街をしばし走って再びR354へ。沿道にはコンビニやファミレスなどが目立ち、片側1車線ながら拡幅予定も見られる幹線道路である。適度に信号に引っかかるものの、すでに30分以上の貯金があるせいか、そして次の大泉町役場で降車が無い事を出発前に確認しているせいかさほど気にならない。ota
東武西小泉駅横を右折して北進。この地域は各種大型工場が進出しているが、富士重工と三洋電機の大工場に挟まれた道路を進んで行くと太田市内へ。こんなところで…という高架橋が見えてきたが、太田駅周辺では東武各線の高架化工事が行なわれているのだった。

40分もの早着で太田駅南口着。車内で一休みした乗客は足取りも軽く駅前から早々消えて行ったが、高速道路分を見込んだダイヤづくりの結果だけに、順調なら都内から2時間で着いてしまう事に改めて驚いてしまった。特急になった「りょうもう」で浅草から約1時間20~30分、2000円を越えるとなれば、対都心高速バス路線設定もあり得ない話かな…とも考えるに至ったのだった…。

  • Photo:宇都宮・黒磯線
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    03:40 東武宇都宮駅西口バス停発
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    04:00 東北道鹿沼IC入口
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    04:45 東北道蓮田SA停車
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    05:04 首都高川口料金所通過
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    中央環状線延伸までもうすぐ
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    払暁の荒川上を行く

■宇都宮・黒磯線(東野交通:会員制バス)

太田駅到着から7時間後…09/16(土)の深夜、当方は黒磯駅前にいた。関東平野の北端、那須高原の玄関口として栄えてきた黒磯駅も新幹線開通後は那須塩原にその地位を奪われた感があるものの、JR東北本線の交直切替拠点として、深夜帯も貨物列車が何本も短いひとときを過ごしているようだ。もっとも2時間以上前に終電が到着、駅から近いコンビニまで徒歩10分以上あることから、駅前の交番以外人影も無い。kuro
待つことしばし、突然東武系観光バスカラーをまとったスーパーハイデッカーが1台やってきた。待ち人は当方のみ。降りてきた運転手お2人と談笑してしばし時間を過ごす。

ここまで引っ張って来たが、やっと御紹介することにしようか。栃木県中北部地域で乗合・貸切バスを運行している東野交通が08/16から運行している黒磯駅発羽田空港行きの直行バス試乗が今回の主目的。これまでの直行バスとは一線を画すいろいろな特徴を持っているのが非常に興味を引く路線である。
まず運行便は黒磯発の片道1本のみ。というわけで羽田側共同運行会社を持たない1社独占である。その黒磯駅発は…「従来の前泊を解消し羽田1番機に連結」というチラシコピーも納得の、草木も眠る01:50!これはもはや半夜行というべきか…。他各地を経由して宇都宮には04:00前というルートである。
またこの路線は空港限定(及び一般)路線免許でなく貸切(ツアー)での運行となっており、原則予約のみ、電話で予約後8日前までに地元の旅行代理店などで乗車券を購入する必要があるなど決まり事も多くなっている。

所要時間的に運転手は2人体制。うちお一人がすでに乗車経験ありで、その日は6名が乗車したとの由。今日は当方他計8名が乗車予定。最低催行人員は1名で、それに満たないこともあるとか。知名度が…という話ながら、「飛び乗り」対策で鹿沼までは毎日走らせる。実際無予約で乗せた事もあると。運行1ヶ月の時点ではまだなんとも…というところらしいものの、長期的視野では路線化も考えている方針というが、ただし…詳しくは後述。
定刻に黒磯駅を発車。左手にJR線を見やりつつ南下をはじめ、途中でJR線をくぐった後R4に合流。ここまでくると陸羽街道も1車線対向、行き交う車も少ない。那須塩原駅を右手に見たあと、県道53号線へ。かつての奥州街道の宿場でもあった城下町で東野交通の拠点でもある大田原市へ向かう。
その太田原市街にある東野交通営業所では大荷物を持った少女2人が待っていた。最後尾に陣取り、叔母さんらしき人に見送られて出発、再びJR線方面へ。R461日光北街道をしばし西進、再び東北新幹線をくぐってR4に再合流する。しばし南下しておもむろに細道を右に曲がると矢板駅東口へ。ひっそりと静まり返った構内を貨物列車が北へ向かって行った。人影は全く無く、早着分しばし時間調整をして発車、R4とJR東北線が寄りそうなか、交通量も次第に増えてきた。夜空には月が輝いている。氏家駅前は定刻を少し遅れて到着、やはり人影は無くそのまま走り去る。

中少しばかり雨に降られたものの、黒磯ではさほど濡れていなかった路面がかなり濡れている。宇都宮地区では結構降っていたようだ。市内に入ってしばらく、R4を左折してしばし、東野交通本社前に到着も乗車無し。運転手が事務所に報告しに行く。
またまた東北新幹線が見えてくれば宇都宮市街。このバスはJR宇都宮駅へは入らずに1街区隣の宮の橋北バス停で停車。目の前のコンビニの明かりが眩しく映る中、御主人らしき男性に見送られて中年女性が乗車した。さらに東武宇都宮駅前で男性が乗車、これで総勢5名となった。
市街をしばし走り、一路東北道鹿沼ICへ向け西進。行き交う車も深夜帯で少ないながらも先ほどと比べて各段に増えた。JR日光線を跨いでしばし、鹿沼ICへの入口の手前、24時間営業のシェル石油の前には03:50着で、前に停まっていたミニバンから待ち構えていた用に壮年女性3名が乗りこんで総勢8名となった。

しばしの時間調整の後、04:00に東北道入り。改めて運転手から挨拶が入り、蓮田SAで休憩の由が伝えられる。実は通常トイレ付車両で運行されているが、今日は折返しで貸切運行にて湯西川温泉までの団体客を乗せる事となっていて、乗車人数の都合からトイレ無車を使う事となってしまったため。
まだまだ真っ暗闇の中をバスは走って行くが、車内も完全に寝静まっている。途中で盛岡からの岩手県交通夜行バス便2台を追い越し、快調な走り。館林ICからは昨日来た道で、埼玉県に入っても流れは順調である。
まだ夜が明け切らぬ中蓮田SAに到着、10分弱のトイレ休憩となる。隣にはJRバス東北の夜行バスが1台ぽつんと停まっていた。青森からの「ラ・フォーレ」のようだが、「4号車」表示も他車が見当たらない。カーテンが完全に閉まっており、中の乗客も夢見心地の様だ。
蓮田を出るとようやく長かった夜が明け始めてきた。首都高に入っても走りは衰えず。ただ単純に考えても昨日の走りくらいならこれが定時、長期的視野で見れば時期的にはこの時間でも渋滞で苦しむ事もあるかもしれない。kuro荒川沿いを走り出してしばらく、優雅な弧を描く橋が見えてくれば東北道方面からの対都心部経路として期待される開通待望の中央環状王子線だ。常磐道からの道と合流分流して高通量もめっきり増える。朝焼けの中更に南へ。葛西JCTからはラストコース、成田行きのバスとも行き交う中、羽田空港はもうすぐである。

結局到着は予定時刻より若干早着の05:40過ぎ。他のバス路線であれば出発ロビー南北2ヵ所での乗降となるが、さすがに勝手が分からないのか比較的中央部にて停車、おのおの足早にロビー内へと消えて行った。バスはこの後午後の団体送迎までしばしの休憩、さすがに空港内路線バスプールには入れないので京浜島でのんびりするとの由。お疲れ様でした…。

  • Photo:高崎・前橋線
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    03:10 ∩パーキング日高発
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    03:29 日本中央BCー発
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    03:36 高崎駅東口発
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    03:54 藤岡インター発
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    04:47 関越道新座料金所
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    04:57 外環道美女木JCT

■高崎・前橋線(日本中央バス・東京空港交通)

09/23(土)深夜。本屋側とは反対の前橋駅南口はひっそりとしていた。地図に出ているコンビニは潰れたらしく、駅前に煌煌と灯るのはレンタカー会社の看板と、いざ乗ろうという羽田空港行きバスの宣伝ボードくらいだろうか。離れて青い看板が灯る成田空港行きバス待合室があるものの、施錠されており入れない。こちらは始発までまだ1時間近くある。
ところで宣伝ボードは各地の日本中央バス関連の場所で見受けられるが、羽田や池袋の宣伝に混じって「京都行き」の文字も…09/22から毎金~月運行で桐生03:20(折返し京都15:30)発の貸切形態で運行を開始している。新たな長距離バスチャネルを開くのか注目である。mae
と、タクシーやクルマが広々としたロータリーにぽつぽつ集まり始めた。三々五々人が増えて行く中、現れた日本中央バスは2台運行だ…。

『おはようございます。お待たせ致しました』という乗務員の挨拶に若干違和感を感じなからも予約確認が始まって車内へ。各人に降車位置を確認すべき利用航空会社を聞いていたが、このクルマは国際線Tにも入るため、利用が無ければカットという意味合いもあるのだろう。ところで日本中央バスでは導入している高速仕様のバスには全車トイレを設置しているが、駅前にトイレが見当たらないので早速使われていた。順調に改札が進み、飛び乗り客も数名いた様だ。乗車はざっと20名程度。『本日途中から乗られる方も大勢いらっしゃいますので、お詰めになってお座り頂ける様お願い申し上げます』との放送も入る。
発車ぎりぎりに男性が掛け込んできて無事定刻出発。人気の少ない街をバス2台がしずしずと進んで行く。10分足らずで∩パーキング日高に到着。場所的には関越道前橋ICに近いちょっとした集落という感じだが、日本中央バスが有料駐車場を設けていて案内所や待合室も設けられている。前夜は池袋発の最終便(前橋01:00着)で前橋入りしたのだが、そのときよりも駐車スペースが埋まっている。ここで待っていたのが…またもや20名を越える人々。さすがに1台目は満杯、2台目にも乗客が乗ることになることとなった。
高崎市街に入り、駅のほど近く、深夜に羽田池袋行きバス乗り場の看板が光る日本中央バスセンターで10名弱が2台目に乗車。ガソリンスタンド然とした建物が面白いが、元々タクシー会社だったところを活かして連携しているのかタクシーが数台停まっていた。更に走って高崎駅東口ではこれまた20名以上の乗客が乗り込んできた。旺盛な需要に正直驚いてしまう。

客層は老若男女バラエティーに富み女性の比率が若干多いか、グループ利用が目立つ感じだ。大荷物を抱えた人も見受けられ各停留所でトランクに次々と入れられていった。土日の連休をめいいっぱい活かせることもあってか何となく活気のある車内、でもまわりに気遣って静かにしないと…という雰囲気にある。
定刻10分延の高崎からはR17をしばし順調に走り、脇道に入って上信越道藤岡インターへ。傍に道の駅「ららん藤岡」があり、高速バス用有料駐車場も整備されている。ここでも10名を超える乗車。「本日は80名の御利用にて運行致します」と乗務員の放送も誇らしげだ。ここで「空港到着までお休み下さい」と照明が減光された。クルマは高速へと入り闇夜を切り裂いて行く。
関越道に入って対向車の光も目立ってきた。所々路肩に「管理用道路」として高速バスストップ的な用地もあるが、高崎線等での使用の可能性はあるだろうか…。そんな事を考えている中順調に埼玉県を南下、川越・所沢と過ぎて行くうちに同方向の車も増えてきた。中にはタクシーの姿も。東京でよく見る姿もあれば地元のクルマもあり、片や金曜深夜長距離客送りの後の回送か、こなたは空港や東京駅へむかうビジネスマンか…。夜と朝がいまだ混在している姿である。
新座料金所を抜け1時間足らずで外環道から首都高へ。美女木JCTは高速に信号機付交差点がある事で有名だ。大きな信号にしたがっていったん停止、ゆっくりと右折して都心へ向かう。次第に空が白み始めてきた。

前橋を出て2時間、首都高特有のカーブに身を委ねつつ前方に立ちはだかっていたサンシャインシティがあっというまに後方に過ぎて行くとまだ明け切らぬ都心入り。出庫回送か何台ものリムジンバスと行き交う。この時間池袋発はまだ出ていない。都心環状線を外回り、レインボーブリッジを渡って湾岸線へ。さすがに湾岸線は交通量が多い。東京港トンネルで若干つかえるものの、左手に出庫間近の新幹線が見えてきたら空港はもうすぐである。mae
所定より15分ほどの早着となったものの、すでに空港は早朝便搭乗客でごった返していた。2台のクルマからの乗客も足早に出発ロビーに吸いこまれて行く。この時間は早朝便の到着ラッシュともなっており、京急や京成の車が順次到着して行き、そこそこの乗客を吐き出して行った。そんな中待っているところに東野交通便も到着。本日は10名超の乗客だった。


日本中央バスの勢いは止まらない。本文中にも触れているが9月より桐生・前橋・高崎~京都線を会員バス形式で運行開始している。初日の09/22(金)深夜発便は20名を超える乗客を乗せたとの由。これまた桐生を03:20に出るという、かつて鉄道補完で見受けられたバスの「半夜行便」である。
東野交通のチラシでは「前泊を解消」という文字も踊っているが、その意味で車内居住性が気にかかる。昼行便と共通運用のため夜行バスのようなものは望むべくもないが、トイレ設置はもちろんおしぼりサービスなどがあればよりうれしいところである。

バス業界の規制緩和による新規参入要件が大幅に緩和される中で、「限定輸送」であった空港アクセスバスもその大波にさらされている。
今夏の路線新設は東京側事業者、すなわち東京空港交通であり京急とセットになっていたが、ピンポイントで早朝深夜のみといった路線が思わぬ事業者でぽっと運行され得ることを東野交通の今回の路線が如実に示したのである。まさに今後の羽田アクセスのワンポイントとなろう。
また一般道を絡めた多彩な途中経由地設定による丹念な集客やパークアンドライドなど、需要掘り起こしの方策はまだまだあるのだということも考えさせられる。対羽田需要がこれだけあれば、対都心需要もこれと同等に近いものが期待できる。
始発の「のぞみ」への鉄道接続を、よく言われるが、不特定少数に低コストで対処できるのはバスで解決しやすいものではないだろうか。

さて、東野交通は宇都宮地区線に関して「長期的視野で路線化を」と検討しているという。運転手氏との会話の中では、東京の某社との共同路線でとの話もあったようだが、難航したため試行措置として会員バスによるゲリラ的路線誕生と相成ったとか。
一方で関東自動車と東京空港交通が話を進めているらしいということで、「今後の運行継続は状況では難しいかも」とも仰られていた。その話は事実となる様子である。12月中旬をメドに運行開始予定という(09/28付日経産業新聞報道)。経由地は不明だが終点は宇都宮で運賃は3,500円を予定。東野交通より500円高いが…。

東野交通の英断に拍手を送りつつ、今後の動向にも注目したい。

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北関東地域に見る羽田アクセスバスの新様態・番外編

投稿者---551planning(2000/10/09 16:19)

サイトの方で北関東地域に見る羽田アクセスバスの新様態と題したルポをアップ致しましたが、もう御覧頂けましたでしょうか。
ところで、これら路線の取材は結構大変でした…。番外編としてこちらではそのこぼれ話をお届け致しましょうか。

●東野交通便試乗まで

9月はじめにお知り合いの御紹介頂きましてその存在を知りました。で、たまたま18きっぷ消化旅行を仙石線「あおば通」試乗と決めていたので途上黒磯に立ち寄りまして、そこでパンフを入手。会員制バスという事で制約が多そうと思っていた通り、事前に栃木県内の沿線旅行代理店等で乗車券を入手しておく必要がある事を知り、ちょうど3連休がいいと早速黒磯の東野交通案内所にて申込をしました。住所まで聞かれるんですが、東京である事の説明にいささか難儀…。「黒磯からはあんまり乗らないねぇ」とは窓口氏の弁。
当日はJRバス関東の那須塩原線「もみじ号」でも試そうかと思っておりました(私事ながら、途中停留所のホウライ牧場前も気になるし…)。まあ実際はリムジン太田線を絡めれば面白かろうということでそちらに落ちついた次第。太田線試乗を終え、両毛線を使うのも時間的に余裕がありすぎるので東武V字乗換…太田-東武動物公園-新栃木-東武宇都宮ルートを選択。新栃木からはまだまだがんばる?吊掛5000系に暫しお供致しました…。
なんだかんだで東武宇都宮駅には21:30着。すでにひっそりとした市街を徒歩で移動もJR宇都宮駅まではそこそこ離れていて、「途中で餃子!」という目論見は破綻。宮の橋北のセブンイレブンで黒磯駅周辺の地図を確認、どうも直近のコンビニまで結構ある事に気付き、さて2時間半どうしようかという思いが強まりまして。「いまなら在来線で東京に戻れる」という時間に宇都宮を出て黒磯に着いたのは23:30ちょい前でした。

●「黒磯の夜」

100名足らずの乗客も三々五々足早に駅頭から消えて行き、さて当方はコンビニ探しだと地図で押さえておいたセブンイレブンまで歩きます。県道189号線伝いに西へ歩く事15分ほど、ブリヂストンの工場横の目的地に到着。しばし時間を潰すもまだ00:00前で、2時間近くもコンビニで潰せないと再び地図チェック!するとJR線沿いの黒磯市役所近くにガストの文字発見!なんだ早くからファミレス狙いでいたらなぁと反省しきりで再移動を開始しました。
丁度市役所方面へ向かう道があるのでそこを15分ほど東南方向に戻ると、地図にはなかった黄色い看板のファミレス「ココス」を発見!折しも雨がぱらついてきたのでまだちょっと距離があるガストのフリードリンクをば諦めてココスに入りました。実は前日の昼からの移動で食事を取っていなかったことから結構おなかが空いていたりで…。
店内には夜業途中の工場の従業員らしき一団と「やんちゃ系」グループがそこそこいる感じで、1人で食事しているのはなんだか場違いな感じ。それでも雨を凌げて時間が潰せたのはラッキーでした。
ココスで小1時間時間を潰した後、また近くにあったセブンイレブンに立ち寄って飲料を確保、結局三角形を左回りで市街を散歩したという結果に相成りました。そうそう、ココスからほどなく藍屋も発見、こっちでも良かったかなと思ったり…店内には数組見受けられました。ちなみに両店とも02:00閉店です。
黒磯駅前に戻ってきたのは01:30ちょい過ぎ。ロータリーはひっそりとし期待した利用者は誰もおらず。扉だけ閉まったJR駅コンコースと駅前交番から漏れてくる明かりだけが目立っていました…。それから10分して「主役登場」と相成ったわけです。

●日本中央バス前橋線「往」記

まずは乗車券購入を…JTB時刻表に記載されている通り、JTBなど大手旅行代理店で購入可能です。ただし事前に日本中央バスか東京空港交通に電話で予約する必要があるのと、代理店で手数料(¥315)が掛かってしまうことに注意が必要でしょうか。当方は電話予約後JTBの支店で購入しましたが、結構待たされました。そりゃ東京で買う人は少ないでしょうし、結局相手方(電話予約したNCB)に電話で確認していたようです。
行きは同じくNCBの池袋-前橋線をチョイス。こちらも電話予約しましたが「当日現金で支払いを」との由。
当日は会社の歓送迎会で横浜に居り、解散もそこそこに22:20過ぎに池袋着。単純にこの時間で前橋駅01:00着の列車は上野発の新前橋行き(01:06着)と「ムーンライトえちご」だけなので、金曜の夜を思いっきり過ごすとなるとこのバスが結構選ばれるのかな…という思いはあったものの、いざ雑踏の中を掻き分けて行くと高速バス乗り場は大混雑!あとの発着は前橋線と夜行バスだけのはずで、もしや前橋線大混雑なの!とかなりびっくりしました。
と、金沢行きが4台で登場!かなりの数が吸いこまれて行きます。発車時刻を過ぎても乗りきらない状況ながら、まだまだ乗り場には多数の乗客。こりゃ完全前橋行きだわと思っていると、金沢行きバスの後ろにNCBのクルマが登場。急いで飛び乗りました。
…「予約してあるんですが」『良いよ、どうぞ!』なんのチェックもないことをいぶかしんでいると、結局乗ったのは計8名。あれ、気付いていないのかなと思っているうちにお時間となり、静かに発車致しました。

そのまま池袋駅東口前に突っ込むようなかたちで180度方向転換。渋滞に時間を取られ、結局サンシャインシティの東池袋ランプから首都高に入るまでに10分以上掛かる感じでした。始発がサンシャインだけに何となく勿体無いというか…。
首都高~外環~関越と順調に走行。上信越道に入ってすぐの藤岡ICで降り、併設されている道の駅ららん藤岡でサンシャインから乗っていた2名が下車。ふと後方を見やると羽田発の前橋行きがかなりの乗りで到着、そこそこ下車した模様。
交通量も少なくなったR17で高崎市街入り。高崎駅前で1名が下車。細道をしばし走ってnパーキング日高で残り6名全員が下車。ららん藤岡同様パークアンドライド対応で会社自前の案内所などが整備されています。関越道にも近いことから利用が目立つのでしょうか。駐車場には20台ほど停まっていました。
たった1人の乗客に運転手氏も気を紛らわせるかのように雑談しきり。何でも行きの池袋便では前橋~高崎間で渋滞に遭遇、40分延をなんとか池袋到着で20分まで縮めた由。『この時間のやつはこんな乗りですよ』といいつつも、昼行便に利用者かかなりつき始めているという事で頼もしいかぎり。先夜運行開始した京都線も初日は22名乗車の大盛況とか、『でも向こう(京都)からは乗らんでしょうなぁ』。これまで貸切中心だったのが高速便を中心とした路線回帰で、運転手への負担も強まっているそうで、『私も今日は前橋で(路線バス)やって、これで往復して、明日は昼からだけど貸切なんですわ』とハードスケジュールのようで。

前橋駅南口には20分の早着で24:40に到着。本口と反対側、すぐに住宅街という感じでひっそりとしています。今来た道を戻る感じで歩く事暫し、遠くにampmの看板を見つけて暫し休憩。「さすがに県庁所在地、楽勝じゃんか」と高を括っていたもののやはり寂しくなって地図で確認。また10分ほど歩いたところにガストがあるのを見つけてそちらに決定、早速移動しました。
ダイハツ車体の工場の南側、目指すガストは駐車場も混んでいて7割ほどの入り。さすがに歓送迎会で飲食していたのでデザートにフリードリンクをつけて、1時間半ほどの時間調整タイムと洒落こみました(こちらは24時間営業)。
02:30過ぎにガストを出て、前橋駅南口前に戻ったのが02:45。誰もいないな…と思っているうちに車が終結してきました…。

群馬県北部との競合

投稿者---矢切氏(2000/10/11 22:13)

群馬までいらっしゃったんですね!お会いできず残念。それにしても、前橋発羽田空港行きは結構な乗りのようで。私の周りの人も、羽田や成田へはバスという人が結構います。

池袋~前橋線のこれからにも注目したいです。群馬からのバスとしては、伊香保温泉~「渋川」~池袋ってのも高崎線と競合してますね。また、中之条町に買物に行くとときどき草津~東京(新宿?)の路線バス(JR)を見掛けます。中之条町にもバス停が有ります。吾妻線と競合しており、なんだか変な気分です(なお、自宅は僻地のためバス停まで車で行かなければならず、群馬での路線バス利用の経験はありません。東京へ出るときは大抵上毛高原から新幹線です)。

Re:群馬県北部との競合

投稿者---551planning(2000/10/12 01:06)

矢切先生どうもです。
実は今夏、いのうえ師匠と前橋折返しで矢切先生にも出てきて頂いて…なんて冗談半分で言っていたんですよ。なかなか機会がなくて実現しなかったんですが、昨今の群馬県内高速バスアクセスの伸張は注目を集めております。最初は上信越道高速バス(上田方面行き)が富岡・下仁田・松井田の高速BSに停車するくらいでしたが、あれよという間に渋川・伊香保・草津、高崎・前橋、太田・館林と…。ルポでも記していますが、是非とも今度は桐生・高崎~京都線チャレンジだ!などと息巻いております。
ところで御指摘の草津~新宿線(JRバス関東単独)は知っていたのですが、伊香保~池袋線は恥ずかしながら初耳です。また西武&NCBでしょうか。是非とも上京される際はおためし記を…ということで。

Re:群馬県北部との競合

投稿者---矢切氏(2000/10/17 22:03)

伊香保池袋線は、池袋でなく新宿発着でした。
さらに良く調べたら、草津発着が伊香保・渋川経由であると判明。1日3往復です。

失礼しました。

ついに東北道方面も

投稿者---三連刻氏(2000/10/12 22:23)

ついに東北道方面からも高速バスができたのですね(新宿-鬼怒川間はどうなったでしょうか?)。
葛和田ねっとさんの掲示板「ダイヤ研究室」で提案されていたハイウェイバスのようなものも出てくることを期待しています。

ダイヤ研究室で提案されていた案ですが、ディスカッションルームVer4.0のときなので現在は閲覧ができません(早く過去ログが読めることを期待します)。
大変失礼しました。

宇都宮交通計画研究室でバスはどうあるべきであるかということが論じられてますので参考にいかがですか?

私自身もHPを持ちたいと考えており、ハイウェイバスについての掲示板を作りたいと思います。

Re:ついに東北道方面も

投稿者---佃大橋氏(2000/10/26 16:00)

ひさしぶりにのぞいてみたら、ずいぶんコンテンツが増えているので驚きました。
北関東は東武鉄道の牙城であり、新宿のような山手線西側への鉄道アクセスはあまりよくありません。北関東から羽田まで空いていれば2時間でつくことや将来、首都高中央環状線が整備され、東北道から山手線西側への道路アクセスが向上することを考えると、北関東から山手線西側地域への高速バス路線ができてもおかしくないのではと思います。
特に新宿の発展は目覚しく、東京最大の都市といっても過言ではありません。新宿直行の路線なら、多少時間が鉄道よりかかったとしても、乗換えなしのメリットを十分に発揮できるのではと思います。


最新情報は【検証:】Wiki-羽田空港アクセスバスデータにて
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