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CTC〜千葉圏公共交通利用者協議会〜 (過去ログNo.139) 下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。 当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。 |
NTの失われた10年間〜値上げがもたらした物〜 投稿者---brother-t氏(2001/10/19 11:55:30) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htm |
─値上げが要因? └Re:値上げが要因? └Re:値上げが要因? └Re:値上げが要因? └Re:値上げが要因? └Re:値上げが要因? └Re:値上げが要因? └Re:値上げが要因? └Re:値上げが要因? └街開きなど └Re:街開きなど └Re:街開きなど └Re:街開きなど ─人口シミュレーションの信頼性 └Re:人口シミュレーションの信頼性(追) └Re:人口シミュレーションの信頼性(追) └Re:人口シミュレーションの信頼性(追) └研究論文に送るエール |
2005年のつくばエクスプレス等今後開業する新線は多く、又今年開業した埼玉高速鉄道も含め、
- 高い運賃、あるいは最初はそれ程でなくとも、一定期間毎の運賃値上げを計画の前提としている
- 住宅などの都市開発と並行で進められている
と言った路線は多いと思われる。
私は現在千葉NTのアクセス鉄道である北総開発鉄道について研究しているのですが、同鉄道が90年代後半に行った運賃値上げの影響をシミュレートしてみて、驚くべき結果が出てきました。
北総開発鉄道及び千葉NTに関しては運賃値上げを90年代で3度行って人口増加率やそれに伴う乗客の増加率が鈍化してきているとはいえ
- 千葉NTは95〜2000年までの5年間増加率を落として来たとは言え、それでも18.2%と言う人口急増地区であった(1つの都市と考えると3位/693都市中)。
- そのため北総線は99年度も含め開業から21年連続輸送人員増加が続く急成長路線である。
と言う事で必ずしも全ての新線がここまでの沿線地域の成長性を前提とも思われないと言う事でその辺は有る程度差し引いてと言う事にはなります。
シミュレートの前提としては同鉄道の行った95・98年の2回の値上げが行われなかったケースで結果としては99年度のものを取り上げます。
現状 | 値上げ無し | |
千葉NTの人口(人)(2000) | 77,556 | 104,477 |
同増加人口(人)(2000/95) | 11,927 | 38,848 |
北総線乗降人員(人)(1日当) | 164,954 | 221,446 |
同増加(人)(99/94) | 34,624 | 91,116 |
年間運賃収入(百万円) | 10,601 | 11,700 |
驚くべき事に人口や乗降人員はともかく増収のために運賃値上げを行ったのに、運賃収入ですら値上げを行わなかった時の方が現状を上回るのです。
北総・千葉NTの場合急成長を遂げていたがためにそこに運賃値上げが大きなブレーキとなってしまった面が否めないものの、やはり今後の新線では少なくとも「赤字だから安易に値上げ」して北総(それでも黒字になったが)や千葉NTの二の舞にならない事を祈るのみです。値上げが要因?
投稿者---とも氏(2001/10/19 19:28:58) http://town-m.vop.jp/ともです。こんばんは。
シュミレーションを見ました。なかなか鋭いですが、ちょっと異論を。まず、大前提ですが、値上げは物価上昇を考慮してのものです。
確かに当初は据え置きとして計算しますが、物価上昇を考慮して需要予測をします。で、これがポイントで、需要予測に物価上昇を考慮しないと、他の路線の値上げ実績を考えるとその路線が極度に安くなり、利用者集中を招くため、実際とより乖離してしまうのです。
- 千葉NTは95〜2000年までの5年間増加率を落として来たとは言え、それでも18.2%と言う人口急増地区であった(1つの都市と考えると3位/693都市中)。
- そのため北総線は99年度も含め開業から21年連続輸送人員増加が続く急成長路線である。
と言う事で必ずしも全ての新線がここまでの沿線地域の成長性を前提とも思われないと言う事でその辺は有る程度差し引いてと言う事にはなります。
現実的にはそうでしょうね。
シミュレートの前提としては同鉄道の行った95・98年の2回の値上げが行われなかったケースで結果としては99年度のものを取り上げます。
驚くべき事に人口や乗降人員はともかく増収のために運賃値上げを行ったのに、運賃収入ですら値上げを行わなかった時の方が現状を上回るのです。まず、千葉NTの場合、なにが入居の妨げになっているかを考えてみると、北総の高運賃は要因ではあるもののそれがどの程度の影響になるのでしょうか。
実際に住宅購入することを考えると、購入後実際の入居までのタイムラグは無視できません。
建売やマンションなら数ヶ月ですが、土地を購入して新築となるとさらにかかりますし、公団であれば完成前に入居募集を行いますのでさらに延びるかもしれません。
となると、まずは運賃差を時間換算し、東京圏の千葉方面で同等エリアの人口増加率と比較しなくては答えが出ないと思います。
すなわち、運賃値上げが直接購入断念の要因にならないとはいいませんが、さらになにかの要因があってのことでしょう。
もし、運賃の値上げによって人口増加率が下がるとすれば以後数年間、値上げ幅が物価上昇率以下になるまでは増加しないということになります。北総・千葉NTの場合急成長を遂げていたがためにそこに運賃値上げが大きなブレーキとなってしまった面が否めないものの、やはり今後の新線では少なくとも「赤字だから安易に値上げ」して北総(それでも黒字になったが)や千葉NTの2の舞いにならない事を祈るのみです。
値上げそのものが今のデフレ状態では難しいでしょうね。
経済情勢しだいとは思います。
ただ、常磐新線は特別立法、埼玉高速は東北線のバイパスですからね。
北総も成田につながれば間違いなく好転するとしか思えないんですが。北総の場合、現実の輸送状況やODを見ると、かなり逆需要喚起に失敗してます。完全なベッドタウン路線ですね。
この利用形態は欧米によくある、朝夕のみ鉄道運行、日中はバスでという都市に近いものがあります。常磐新線は「つくば」という大きな発生集中がありますし、埼玉高速は「さいたまスタジアム」や東北線・野田線旅客の取り組みだって不可能ではないですからね。
新線計画の際にはこういった逆需要をいかに取れるか、ニュータウン旅客に頼らない計画が必要でしょうね。ではでは。
Re:値上げが要因?
投稿者---brother-t氏(2001/10/22 02:21:32) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htmともさん、こんばんは。
まず、大前提ですが、値上げは物価上昇を考慮してのものです。確かに当初は据え置きとして計算しますが、物価上昇を考慮して需要予測をします。で、これがポイントで、需要予測に物価上昇を考慮しないと、他の路線の値上げ実績を考えるとその路線が極度に安くなり、利用者集中を招くため、実際とより乖離してしまうのです。
これに関して1つ言えるのは、こう言った第一種型の第3セクター鉄道が現実的に他の路線に比べて割安感や乗客の集中を生み出せているかと言うと、実際は結局他の路線との初乗り効果による割高感や都心部の路線の不便さ等で極度な安さをや利用者集中とは対極になっているような気がします。確かにこう言った路線が公的資金で極端に運賃が安かったりして既存の純民間路線から乗客を奪いすぎるのはそれで問題はあるのですが…。
まず、千葉NTの場合、なにが入居の妨げになっているかを考えてみると、北総の高運賃は要因ではあるもののそれがどの程度の影響になるのでしょうか。実際に住宅購入することを考えると、購入後実際の入居までのタイムラグは無視できません。建売やマンションなら数ヶ月ですが、土地を購入して新築となるとさらにかかりますし、公団であれば完成前に入居募集を行いますのでさらに延びるかもしれません。
これは確かに95年の値上げの効果が95年度・96年度と徐々に出てるとも取れるので決して間違ってはいないと思います。とは言えここまで続くとやはり原因は運賃値上げに特定できるのではないでしょうか?
となると、まずは運賃差を時間換算し、東京圏の千葉方面で同等エリアの人口増加率と比較しなくては答えが出ないと思います。すなわち、運賃値上げが直接購入断念の要因にならないとはいいませんが、さらになにかの要因があってのことでしょう。
う〜ん、運賃差を時間換算と言うのは逆はあり得ると思うのですが、実際に考えて見ると終電や本数など所要時間以外の部分での差が大きくなってしまうの事、県庁所在地や政令市など都心と言えないまでも大きな集積の影響が出ることを考えると難しい面があると思います。そのためこの試算を出す前に行った試算(これも後日何らかの形でアップする予定なのですが)では関西・関東の
- 母都市(東京・大阪)に直通する鉄道路線があり、都心、あるいはターミナルまで40km以内
- ただし自県の県庁所在都市(大阪市・東京23区を除く)への直通鉄道アクセス(JR地方交通線は除く)のある市町村は除く
- 阪神大震災の影響のある兵庫県及び千葉NT内の都市は除く(都市圏全体の統計は除く)
の条件に当てはまる都市の90年代の人口動向を距離別・人口密度で分類して分析しました。その結果の中から実際の人口動向を見てみると千葉NTのある関東圏の都心30〜40km圏では
95/90 3.5%増加 00/95 3.6%増加 となっています。そして千葉NTのある自治体の人口密度2500人/km2以下の自治体が上で挙げた条件下では関東圏に無いため関西圏で見てみると
95/90 6.6%増加 00/95 6.8%増加 となります。これは関東でも関西でも都心部(23区・大阪市)の人口増加率は改善しているのはその通りなのですが、これは関東圏・関西圏そのものの人口増加率が改善し、更に人口密度2500人/km2〜4000人/km2クラスの人口密集地とも自然豊かな郊外とも言いづらい地域を中心に人口増加率が鈍った為と言う傾向による物と考えられます。
北総の場合、現実の輸送状況やODを見ると、かなり逆需要喚起に失敗してます。完全なベッドタウン路線ですね。この利用形態は欧米によくある、朝夕のみ鉄道運行、日中はバスでという都市に近いものがあります。
そんなに失敗しているのでしょうか?実際休日の昼間下り列車に乗ってみると以外に新鎌ヶ谷以東を中心に乗っているイメージがあるのですが、とは言えやはり一つの原因としては沿線の拠点が実質NT中央だけであり、しかもその拠点も周辺の成田・松戸・柏・船橋等に比べて大きく見劣りすると言うのが挙げられると思います。そしてバスや道路などのフィーダーとなる部分もNT内はまだしも対外部に関しては弱いのでその為にNT中央の成長性が限定されてしまうと言うスパイラルに陥ってしまったと言う…。
常磐新線は「つくば」という大きな発生集中がありますし、埼玉高速は「さいたまスタジアム」や東北線・野田線旅客の取り組みだって不可能ではないですからね。新線計画の際にはこういった逆需要をいかに取れるか、ニュータウン旅客に頼らない計画が必要でしょうね。
そうですね、結局中心になるのはこれらの乗客とは言え、バイパス効果を出す為にもこう言った旅客へのアピールは必要だと思います。
おやすみなさい。
Re:値上げが要因?
投稿者---brotherーt氏(2001/10/31 16:40:02) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htmそのためこの試算を出す前に行った試算(これも後日何らかの形でアップする予定なのですが)では関西・関東の
・母都市(東京・大阪)に直通する鉄道路線があり、都心、あるいはターミナルまで40km以内
・ただし自県の県庁所在都市(大阪市・東京23区を除く)への直通鉄道アクセス(JR地方交通線は除く)
のある市町村は除く
・阪神大震災の影響のある兵庫県及び千葉NT内の都市は除く(都市圏全体の統計は除く)
の条件に当てはまる都市の90年代の人口動向を距離別・人口密度で分類して分析しました。この辺のことをアップしました。
http://members.jcom.home.ne.jp/brother/st2.htm
Re:値上げが要因?
投稿者---矢切氏(2001/11/03 11:29:00)値上げが利用者の増減にどれだけ寄与しているかを判断するのが難しいのは何度も指摘されたことですが、次のようなことを調べてみては?
「常磐線沿線で、都心からの時間距離および運賃と人口増加率の相関@各駅毎%ここ10年間(取手・藤代・佐貫・牛久・ひたちの・荒川沖・土浦・その先)。」
常磐線は東京との間に千葉や浦和(さいたま)といった県都がないので北総線に近い状況が観察されるはずです。路線イメージが田舎なのも似ています。ほかに、東上線・伊勢崎線・野田線沿線も調べましょう。そして、近年の都心回帰現象は単純に都心からの所用時間だけで説明できるのか、運賃が影響しているのかを見比べてみては。もちろん矢切の提示したこの例でも個々の路線の特徴が出てしまうので一般化は難しいと思いますが。
Re:値上げが要因?
投稿者---brother-t氏(2001/11/04 00:15:42) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htm矢切さんこんばんは。
値上げが利用者の増減にどれだけ寄与しているかを判断するのが難しいのは何度も指摘されたことですが、次のようなことを調べてみては?
「常磐線沿線で、都心からの時間距離および運賃と人口増加率の相関@各駅毎%ここ10年間(取手・藤代・佐貫・牛久・ひたちの・荒川沖・土浦・その先)。これは浮かびませんでしたね、とは言えデータも無い訳ですよ、国勢調査の資料をとりあえず調べて見ると(とは言え2000年のは完全な結果は出てないし見落としもあるかもしれませんが)自治体(市区町村)毎の統計である事から考えると厳しいかなと、そして路線毎にしてしまうと結局サンプル数が減ってしまうと言うのももう1つの理由です。そして最終的には常磐線取手以遠というのが結局所要時間以前に列車の本数等で同列に語れないかなと思い、都心から40km以遠はサンプルからはずしました。
サンプルには当然東上・伊勢崎各線は含めています。野田線はさすがに都心から直通といかず終電の面でやはり状況が違う為、はずしました。結局各線での比較にしなかったのは一般化と言う意味ではたまたまサンプルに選んだ路線が特殊な要因を持っていたり(と言うより特殊要因の無い平均的な路線は無いでしょうね)して、結局平均を出してやるしかないかなと思います。1つ思うのですが時間距離はあくまで時間距離でいくら京急線が速くても横須賀は都心から50kmはなれた都市な訳で、数字にするにしてももっと細かくやってくしかないかなと思うのですがどうでしょうか?
Re:値上げが要因?
投稿者---矢切氏(2001/11/04 11:25:22)私もどうやってデータを集めたらいいか分かりません。市役所で事情を話せば地区毎の住民数は知ることができるかもしれませんが。やるとなるとたいへんですね。
路線毎にしてしまうと結局サンプル数が減ってしまうと言うのももう1つの理由です。
数を増やすかわりにデータの質を上げることも重要かと思いますが。
あれ、北総線は常磐線取手以遠こそ北総線に近い列車本数であり最適な比較対象であるはずです。取手は外さないといけないでしょうが、藤代町・龍ヶ崎市・牛久市はぜひ調べてみたいところです。
結局各線での比較にしなかったのは一般化と言う意味ではたまたまサンプルに選んだ路線が特殊な要因を持っていたり(と言うより特殊要因の無い平均的な路線は無いでしょうね)して、結局平均を出してやるしかないかなと思います。
頭数を増やしても総武線や京急線のような路線と比較するのでは条件が違いすぎてほとんど参考にならないと思います(県都千葉・横浜の影響が出る、こんなデータを混ぜれば質がかえって落ちる)。比較で意味をなす路線のうち放射状路線のみをあげれば、常磐線(藤代以遠)・伊勢崎線(越谷以遠)・東上線(川越市以遠)・田園都市線・小田急線(登戸以遠)、これだけだと思います。
キロ単位の刻みを細かくすることにほとんど意味が無いと感じます。各路線の特性による誤差の方がはるかに大きいので。
あとは、やはり指摘されていますが、ニュータウンの街開きの状況をかなり入念に検討する必要があります。毎年どういったタイプの家が何戸供給されたか、そういう条件で他のニュータウンでは何人くらいの入居実績があるのか。よほど精密な調査をしない限り入居者数の推定誤差が大きくなりすぎて有意義な結論はなにも引き出せないでしょう。
景気後退の影響も見積りがかなり難しいです。これもきちんとしなければなりません。他路線を調べるのことで調査することになるでしょうか。
Re:値上げが要因?
投稿者---brother-t氏(2001/11/04 14:53:16) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htm市役所で事情を話せば地区毎の住民数は知ることができるかもしれませんが。やるとなるとたいへんですね。
う〜ん、これは浮かびませんでしたね、本当はそこまでやるべきかもしれませんが…
あれ、北総線は常磐線取手以遠こそ北総線に近い列車本数であり最適な比較対象であるはずです。取手は外さないといけないでしょうが、藤代町・龍ヶ崎市・牛久市はぜひ調べてみたいところです。
なるほど、ただ本数はそうだとは言えても都心からの終電に関しては常磐線土浦行きには大手町23:26発、北総線印旛日本医大行きだと日本橋23:46発と20分の差がついているのが大きく多分こう言った部分は大きいのではないだろうかと思います。
頭数を増やしても総武線や京急線のような路線と比較するのでは条件が違いすぎてほとんど参考にならないと思います(県都千葉・横浜の影響が出る、こんなデータを混ぜれば質がかえって落ちる)。
確かにそうなんですけどね、ただあの人口増加に関する考察はもともと人口の都心回帰に対するアンチテーゼと言おうか、都心に人口が回帰してこれから郊外の人口は減って行くのではないかと言う説(人口増加の統計を見ていると上位はほとんど郊外地区なんですけどね)に対する反論と言うのがあります。そのためには結局ああいったやり方(当然県都へ直行の路線は含めてませんが)で距離や人口密度で区分けして都心も含めて出していくしかないかなと思います。
やるとしたら終電の時間を1つの基準にするのが良いかなと思います。そして北総のようなケースでの運賃や本数・朝ラッシュの所要時間などそう言った様々な基準を含めてでしょうね、個人的には川島氏がやりそうな気もしますが。
あとは、やはり指摘されていますが、ニュータウンの街開きの状況をかなり入念に検討する必要があります。毎年どういったタイプの家が何戸供給されたか、そういう条件で他のニュータウンでは何人くらいの入居実績があるのか。よほど精密な調査をしない限り入居者数の推定誤差が大きくなりすぎて有意義な結論はなにも引き出せないでしょう。
これはどうなんでしょうね、ただ個人的には正直に言えばほぼ計画人口が一緒だった泉北当りと比較して見たかったのは正直な気持ちとしてあります。それでも1つ言えるのは計画人口から考えるとあの増加率でも少なく供給云々を言うレベルではないかなと言うのが正直な感想です。
結局個々の要因を調べて行っても仕方無いのかなと思います。結局景気後退と言う要因とそれに対する数々の住宅取得助成策、少子化とそれに対する第2団塊世代が住宅取得年齢に達した(達しつつある)と言う要因これらの要因を考えると要因が多すぎて結局異常気象時の気象予測のようなものに個々の要因を正しく観測しても、組合せを上手くやれなくて結局正しい答えを出せないような気がします。それよりも実際に起きたことを大雑把かつ正確にといおうか結果をベースにして考えれば要因は少なくても正確に(仮にどんなに正しい人口統計でも95年までしかなかったら使えない)トレースするしかないかなと思います。
Re:値上げが要因?
投稿者---エル・アルコン氏(2001/10/20 01:36:49) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs論文(卒論なんですね)に目を通してちょっと気になったのは、北総の利用者及びNT地区の人口増加の変化を見る際に、NT各地区の供給(既入居&空き)戸数の総数と、新規提供戸数それぞれの推移を考慮していないように見受けられる点です。
例えば同じ千葉NTという括りでも、初期は大山口などの白井町(現白井市)、次いで木刈、高花、西の原などの印西町(現印西市)、そして最近は滝野の本埜村、いには野の印旛村と人口増加エリアは街開きの順に従って移動しています。
指摘される年度がもしまとまった新規提供がたまたま無かった年度だったりすると、鉄道よりも街自身の開発が原因となります。運賃が新規入居への抵抗感につながる可能性については、北総の運賃の「絶対的な」高さがメインであり、値上げといった「相対的な」比較ではないと思います。
しかし値上げが悪影響を与えているであろうと推測できる点は、買い物など定期外の利用が手控えられることですが、定期利用者が割引率等の関係で定期外に回るのとで合成の誤謬が発生している可能性もあるので、データから素直に読めない可能性があります。
もうひとつ千葉NTの問題として、拠点都市とのアクセスがあります。域内交通は北総アウトバーン(笑)ことR464もあり、県内では例外的なハイレベルですが、東京や千葉市といった拠点との交通が貧弱で、特に道路は高速道路網から見捨てられている状態だけに、「孤島」の様相です。(北千葉道が待たれますね)
千里ニュータウンの新御堂筋(R423)、多摩ニュータウンはニュータウン通りがR20、中央道に結ばれ、港北ニュータウンには第三京浜がありますが、千葉NTは孤立しています。今日の朝日夕刊(大阪本社版)に、都市公団の西宮名塩、藤原台、ウッディタウンの定期借地と分譲土地の広告が出ていました。
で、ウッディタウンと藤原台のウリは、大阪や神戸への所要時間とともに、充実の道路交通網と称して、過剰なまでの阪神高速北神戸線、六甲北道路、中国道、山陽道の存在をアピールしていましたが、千葉NTはやりようが無いのです。Re:値上げが要因?
投稿者---brother-t氏(2001/10/23 02:25:58) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htmエル・アルコンさんこんばんは。
論文(卒論なんですね)に目を通してちょっと気になったのは、北総の利用者及びNT地区の人口増加の変化を見る際に、NT各地区の供給(既入居&空き)戸数の総数と、新規提供戸数それぞれの推移を考慮していないように見受けられる点です。
これは調べていないので何とも言え無いのですが、95年に印西牧の原延伸、98年に武蔵野線東松戸開業、2000年に印旛日本医大延伸と来てるので新規供給が無かったとは考えづらいと思います。
運賃が新規入居への抵抗感につながる可能性については、北総の運賃の「絶対的な」高さがメインであり、値上げといった「相対的な」比較ではないと思います。
これはイメージとしては正しいのですが実際ここまで運賃が上がってきたことによる交通費の自己負担の問題や例えば派遣社員の場合交通費が日割りで1000円までと言った制限が出て来たり(これは実際僕のバイト先の某大手派遣会社であったことです)と言った時に実際の負担として大きくなると言う意味で「絶対的な」運賃の高さは値上げで少なからず出てくるのと、実際の雇用情勢から鑑みるダブルパンチであると思います。
もうひとつ千葉NTの問題として、拠点都市とのアクセスがあります。域内交通は北総アウトバーン(笑)ことR464もあり、県内では例外的なハイレベルですが、東京や千葉市といった拠点との交通が貧弱で、特に道路は高速道路網から見捨てられている状態だけに、「孤島」の様相です。(北千葉道が待たれますね)千里ニュータウンの新御堂筋(R423)、多摩ニュータウンはニュータウン通りがR20、中央道に結ばれ、港北ニュータウンには第三京浜がありますが、千葉NTは孤立しています。
千葉NTの場合R16がある程度そう言った役目を果してはいる訳ですが、とは言えアンケートでもある様にNT住民にとって道路整備は重要と言う認識があります。個人的には千葉NTが港北と比較したら厳しいですが極端に道路事情が悪いとは思えないのですが、実際もう少し改善すると街づくりにも良い影響を与えそうですね。
アンケート http://members.jcom.home.ne.jp/brother/sot1.htm
街開きなど
投稿者---エル・アルコン氏(2001/10/23 13:32:15) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs各エリアの入居年度を縦覧できる資料が手元やネットに無いので、ピンポイント的に検索した結果ですが、主なエリアの入居を見ますと下記の通りになっています。
79年3月 :小室・ハイランド 87年8月〜90年 :高花 79年8月 :西白井・清水口 89年4月〜93年 :原山第二 80年8月 :白井・堀辺 94年3月 :桜台 81年8月 :南山 96年3月 :印西牧の原・原 84年4月〜86年 :NT中央・内野 97年3月 :滝野 86年12月〜91年 :原山 00年3月 :日医大・いには野 (この中には数次に亘って販売・分譲されたものの初年を示すが、一部は期間全体を示す) これを見ると、北総の利用者数、NTの入居者数にギャップが発生している96年と99年、つまりご指摘の95年度と98年度は新規案件がない谷間と見ることも可能です。(95年は桜台の竣工があるが販売されたかは疑問。プロムナード桜台は既完成のものを現在も販売している)
既存地区の入居が一段落ついたところで延伸先の販売が始まるというステップでは?
***
道路交通ですが、R16はあくまで環状道路であり、出れるのは柏と千葉ですから都心への幹線ではありませんね。
都内方面でのNTの案内を見ると、アプローチは東関道千葉北ICからR16、八千代の米本から県道千葉龍ヶ崎線となっており、遠く、かつ幹線が無いイメージです。
これが外環道から千葉北道路でNT内各IC下車となればだいぶイメージは変わります。ちなみに道路事情ですが、NT内の道路事情は良いのですが、周囲との連続性がないのです。一番マシなR16も、R6や常磐道に至る前の柏市呼塚、東関道に至る前の千葉北警察署や八千代市下市場が著名な渋滞ポイントで、信頼性に欠けますし。
あと、これは致し方がない理由ではありますが、「横浜市港北区」「東京都多摩市」に対し、「千葉県印旛郡白井町、印西町(いずれも当初)、本埜村、印旛村」では、転入意欲をかきたてさせることは不可能だったのでしょうね。イメージ戦略の他、各種行政サービスなどの点についても、「千葉県北総市」というような受け皿を行政側が用意できていればまだ違っていた可能性は否定できません。
Re:街開きなど
投稿者---brother-t氏(2001/10/23 14:39:16) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htmこれを見ると、北総の利用者数、NTの入居者数にギャップが発生している96年と99年、つまりご指摘の95年度と98年度は新規案件がない谷間と見ることも可能です。(95年は桜台の竣工があるが販売されたかは疑問。プロムナード桜台は既完成のものを現在も販売している)既存地区の入居が一段落ついたところで延伸先の販売が始まるというステップでは?
確かにその仮説も一理あると思うのですが、実は95・98の値上げ以降落ちた人口増加率が戻ってないと言うのはどう見ても供給不足が原因でない様な気がします。もう一つそうすると不思議なのは千葉NT中央駅勢圏地区で実際計画人口の半分もいないのに現状の人口増加の中心が牧の原・日本医大地区に移っている事は謎です。
道路交通ですが、R16はあくまで環状道路であり、出れるのは柏と千葉ですから都心への幹線ではありませんね。都内方面でのNTの案内を見ると、アプローチは東関道千葉北ICからR16、八千代の米本から県道千葉龍ヶ崎線となっており、遠く、かつ幹線が無いイメージです。
公団の案内などを見ますと千葉北IC〜R16〜R464と言った感じになっています。とは言えやはり都心や周辺主要都市への幹線ルートが無いのは確かに痛いですね。
これが外環道から千葉北道路でNT内各IC下車となればだいぶイメージは変わります。
確かにこれは言えますね、少なくとも464が全線しっかりとした4車線道路だったらかなり変わりますね、個人的には外環市川市内が停滞しているのならR297〜R464ルートで旧市川松戸有料道路にでもつないでとも思います。
あと、これは致し方がない理由ではありますが、「横浜市港北区」「東京都多摩市」に対し、「千葉県印旛郡白井町、印西町(いずれも当初)、本埜村、印旛村」では、転入意欲をかきたてさせることは不可能だったのでしょうね。イメージ戦略の他、各種行政サービスなどの点についても、「千葉県北総市」というような受け皿を行政側が用意できていればまだ違っていた可能性は否定できません。
やはりここは横浜市が港北NT地区を都筑区として分離独立した様に、合併+中心地のNTセンターへの移動を行っておいた方が実際の行政の住民サービス状も良かったと思います。
Re:街開きなど
投稿者---エル・アルコン氏(2001/10/23 18:21:26) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbsこれは以前に見た新聞記事(おそらく朝日の千葉版)の情報ですが、NT内には開発したけどなぜか販売しない未入居棟が数多く存在します。NT中央地区の場合、最終となった桜台なんかはその傾向が強く(実際には今年になって販売されるなど思い出したように進んでいるようだが)、治安問題もありかなり問題になっています。
ちなみに未入居棟は各エリアに存在するようで、最初に開発された西白井地区でも未だにあるとの事で、そのまま耐用年数が経過しそうで怖いです。その状態で次に進む理由としては、開発のバランスやエリア内の自治体との絡みではないでしょうか。売れ尽くすまで待ってしまうと、印西や本埜、印旛の各市(町)村は永遠に「開発予定地」という名の荒地を抱えることになりますから。
自治体の関係では、印旛村が官民あげて開発に協力的だったことが、他とは一味違ういには野の妙味を生んでいる気がします。もともと六合、宗像の2村合併の村ですが、鉄道も幹線道路もないない尽くしですから、NT計画に総てを賭けた感があります。行政・教育・医療を印旛日本医大駅の徒歩圏に集中しているレイアウトや、日医大病院を呼び込んだ先見性、そして他エリアにない独特のバス網(タクシー会社運営&300円乗り切り)と、後発の強みもあるでしょうが、最初から各町村がこれくらい地に足がついた計画にしていれば今日の惨状はなかったのかもしれません。
Re:街開きなど
投稿者---brother-t氏(2001/10/24 01:33:23) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htmNT内には開発したけどなぜか販売しない未入居棟が数多く存在します。NT中央地区の場合、最終となった桜台なんかはその傾向が強く(実際には今年になって販売されるなど思い出したように進んでいるようだが)、治安問題もありかなり問題になっています。
これは良く言われる話ですね、しかし販売をどんどんやるならともかく、変な調整を行ってしまうのは新鎌ヶ谷の区画整理や営農調整区域(これは直接関係無いですが)なども含めどうも…
自治体の関係では、印旛村が官民あげて開発に協力的だったことが、他とは一味違ういには野の妙味を生んでいる気がします。
確かに印旛村は頑張っているイメージがありますね、駅の比較的近くに日医大病院や役場・商業施設が集まっているのは小さい集積を最大限生かしている感があります。特に日本医大がある事で広域から人が集まるようになってるのは大きいと思います。これは先日日本医大の循環バスに乗ったときにバスの運転手さんから聞いた話ですが、循環線はともかく、対臼井線に関しては日本医大があるためにそこそこ乗客が乗っていて、黒字とは言えないまでもそれなりにやって行けてるそうです。
とは言え循環線では乗客が少ない上に路線が複雑になったり、八千代方面への路線へ少なからず影響を与えていたりとやはり一自治体では限界があるのかなとも思います。白井や印西にもこの問題はあり個人的には最低でもNT内の自治体だけでも合併して一体の都市・交通政策が必要かなと思います。
合併に関する参照 http://www.chiba-nt.com/monty6-0.htm#kiji-01
人口シミュレーションの信頼性
投稿者---和寒氏(2001/11/04 17:25:55) http://www.geocities.jp/history_of_rail/和寒と申します。こちらには初参加です。エル・アルコン様はよく御承知かと思いますが、お見知り置きください。
私はこの種の研究に相応の知識がありますが、人口定着シミュレーションとは極めて難度が高いものだと認識しております。NTの人口が、値上げなしでなぜこの水準に到達できるのか、この点について充分な説明力がなければならないからです。(人口さえ説明できれば、以後の乗降人員等の計算は、人口計算と比べはるかに簡易で説得力ある関数で説明できる)
予測モデルの精度は? そもそもモデルの関数系や説明変数、パラメーターは説得力を持つものなのか? それらの点が吟味されなければなりません。研究論文であれば(どうもその様子ですが)、なおのことです。
エル・アルコン様は元ネタに辿り着いた様子ですが、私はできませんでした。願わくば、人口の計算根拠を呈示できないものでしょうか。そうでないと、論評のしようがありませんので。現状で一点申し上げたいのは、「赤字だから値上げ」する鉄道会社はない、ということです。いずれの鉄道会社も、平成5年あたりを境として、値上げすれば利用者が逃げるという危機感を強く持つようになっています(例外的に強気を維持している会社もないではありませんが・・・・・・)。それでも値上げしなければならないところに、各社の置かれた状況の厳しさがあるわけです。
Re:人口シミュレーションの信頼性(追)
投稿者---和寒氏(2001/11/05 11:32:06) http://www.geocities.jp/history_of_rail/自己レスで恐縮ながら、元ネタにたどり着けました。率直なところ、モデルがあまりにもアバウトすぎると感じました。その理由は、下記のとおりです。
- NTの人口を実際の人口増加率のトレンドのみで評価している。
値上げと人口増加率の相関が決して明確ではない段階で、これは極めて危険なモデル化といえます。「決め打ちではないか」という批判には、耐えられないと思います。- 他路線・他地区との比較がない。そのため、モデルの精度を統計的に評価できない。
前項とも関連しますが、人口増加率に寄与する説明変数を統計的に有意であると説明しなければ、モデルの構築もできないわけです。(同様のことは矢切様からも指摘がありましたね)- 転入需要が無限大という暗黙の仮定が置かれている。これは研究論文として最も大きな問題点です。
このようなモデル化の常識として、NT人口増加数=転居総需要×北総沿線の効用/Σ(北総を含む転居先候補地の総効用)となるべきです。現状のモデルは、北総が運賃を据え置きさえすれば需要が無限に発生すると暗黙に仮定されているため、アウトプットは必ず過大評価になります。需要を有限として、北総の運賃据置による効用の増分を評価する関数系にしないと、評価に耐えられないと思います。厳しいことを申し上げることになり恐縮ですが、以上の理由により、人口定着モデルとしては欠陥が多すぎると思います。ただし、北総の運賃政策を批判するモデルとしては、相応に意味を有するとは思います。論文の構成を練り直した(つまり「なんのための論文か」を明確にした)うえで、モデルの位置づけを決めれば、より良い論文になると思います。頑張ってください。
Re:人口シミュレーションの信頼性(追)
投稿者---とも氏(2001/11/06 01:32:22) http://town-m.vop.jp/ともです。和寒さんはじめまして。
かなりお詳しいですね。
僕がとても批判できるわけではないのですが、いくつかbrother-tさんのフォローおよび私なりの案を。NTの人口を実際の人口増加率のトレンドのみで評価している。
NT地区であれば、人口増加率をトレンドで伸ばす以外、難しいと思います。
それ以外にはモデル化するとすると、計画人口の設定された伸びを使うか、あるいは周辺地区もしくは類似地区の人口増加率で評価するしかありません。
私なら、開発面積での比例配分をトレンドの補正にするかなと思いますが。他路線・他地区との比較がない。そのため、モデルの精度を統計的に評価できない。
これは同感です。
転入需要が無限大という暗黙の仮定が置かれている。これは研究論文として最も大きな問題点です。
これはいえますが、あくまで需要はその時点の可住者数に達するまでは無限にあるとせざるを得ないでしょう。(ただし、その人口は可住開発済み面積の人口フレームを上回らない)
居住地選択は多分に恣意的な部分が強くモデル化は難しいです。ご存知かと思いますが、一般に交通計画時の人口フレームは開発面積に対する人口でしかありませんよね。であれば、このような考え方になるのは仕方がありません。千葉ニュータウン、すなわち北総の計画人口の考え方がこの地域に設定されたトレンドと可住面積から求められる人口になっていることは間違いないでしょうから、ある意味でそれに近い今のbrother-tさんのやり方自体は間違いとはいえないと思います。(確かに過大に出ますが)
ただ、北総の値上げが人口増加を伸び悩ませているということであれば、時間評価換算するなどして、矢切さんが書かれているような比較をすることは必要と思います。転居意向の有無のチェックが必要ということですが。
とはいえ、それは難しいですが。どうでしょうか。ではでは
Re:人口シミュレーションの信頼性(追)
投稿者---brother-t氏(2001/11/06 01:50:38) http://members.jcom.home.ne.jp/brother/index.htm和寒さん御無沙汰しております。
率直なところ、モデルがあまりにもアバウトすぎると感じました。その理由は、下記のとおりです。
厳しいことを申し上げることになり恐縮ですが、以上の理由により、人口定着モデルとしては欠陥が多すぎると思います。ただし、北総の運賃政策を批判するモデルとしては、相応に意味を有するとは思います。確かに根本的にその道に何らかの形で触れた方から見ると強引なモデルだと思います。その上であのコンテンツを敢えて作ったのは、結局の所北総開発鉄道・千葉NT(NTに関しては首都圏の3大NT(多摩・港北・千葉)全てに関して当てはまる様な気がします)と言う失敗事例に関してしっかりとした反省・分析の(公開の?)無い中、新たな新線・開発が行われると言うのはどうかなと思ったのが1番に理由で、その上で考えたのは「強引でも良いとにかく書こう」という事でした。
と言うのは結局何故こう言った失敗事例の反省・分析が無いのかを考えたら、結局「完璧な答え」と言うのは出せないからかなと思い、それだったらどんな不完全でもとにかく1つの答え(出来る限り完全なものを目指して改良は行って行く予定ですが)を出そうと考えました。NTの人口を実際の人口増加率のトレンドのみで評価している。
う〜ん、確かにそうなのですがこれに関しては2つの問題がありますね。1つは値上げをきっかけに人口増加が鈍るかどうか、もう1つはどの程度の相関関係があるかです。
前者の問題に関しては実際の運賃値上げが行われた前後の人口増加率の変化は以下の様になっています。
値上げ年 | 値上げ率 | NTの人口増加率変化 | 備考 |
1985 | 9.4% | 84年度12.0%→85年度 5.6% | |
1987 | 4.2% | 86年度 5.6%→87年度14.0% | |
1989 | 7.4% | 88年度13.4%→89年度11.8% | |
1991 | 6.8% | 90年度10.0%→91年度12.9% | 2期線開業 |
1995 | 11.0% | 94年度 9.5%→95年度 5.8% | 印西牧の原延伸 |
1998 | 10.1% | 97年度 3.5%→98年度 2.0% | 武蔵野線東松戸開業 |
これを見ると人口増加率が
激減しているケース(5%あるいは1/3以上の増加率減):85・95・98年
微減しているケース(5%以内の増加率減):89年
微増しているケース(5%以内の増加率増):91年
激増しているケース(5%以上の増加率増):87年また街開きから人口増加率が一旦極小に陥る82年度以降で人口増加率が
激減しているケース:85・92・95・98年
となっている。バブル崩壊の影響のある92年以外で千葉NTの人口増加率を大きく落とした年には運賃値上げが必ず絡んでいる。87〜91年度に関しては運賃に値上げの影響が小さい・あるいは皆無に近いもののこれは値上げ率が小さい事、それよりなによりバブルの影響が大きいといえる。逆にこの影響を除けば人口増加率激減の理由は運賃値上げにあると言えるのではないでしょうか?
とは言え統計的に考えると結局バブルの影響(87・89・91・92年度)と言うサンプルをどう料理するかと言う問題にぶち当たります。
参照:http://www.mars.dti.ne.jp/~higurasi/jinkou.htm
他路線・他地区との比較がない。そのため、モデルの精度を統計的に評価できない。
これも路線の比較で無く、全体的な距離と人口密度での比較(とは言え県庁所在地直結路線沿線等は除いてですが)としたのは結局の所路線毎に例外要件(新線開業等)が多くまたサンプルそのものも実際比較に耐え得る(首都圏の路線に関しては千葉NT地区自治体の人口の人口密度の3倍以上の自治体しか残らなかった)物が無かったと言うのが実情で結局ああ言った形になってしまったのです。
転入需要が無限大という暗黙の仮定が置かれている。これは研究論文として最も大きな問題点です。
一見無限に見えますがあの想定で出た5年間人口増加数38,848人は首都圏1都3県の836,924人に比べて充分小さい数と言えると思います。この人口に見合う供給の問題に関しても実際千葉NTとほぼ計画人口の同じ泉北NT(千葉NT19.4万人、泉北18万人)と比較すると泉北NTの人口が5万人→10万人になるのは時代が違うとは言え僅か2年(73→75年)、僕の出した想定上での千葉NTでは9年(91年→2000年)と考えると逆にこの想定の倍以上の人口増加でも対応できる供給力は最低限でもあると考えられます。
参照:http://www.cam.hi-ho.ne.jp/izuryo/history.htm
論文の構成を練り直した(つまり「なんのための論文か」を明確にした)うえで、モデルの位置づけを決めれば、より良い論文になると思います。頑張ってください。
ありがとうございます。次の世代に誇れるものを作るために頑張ります。
研究論文に送るエール
投稿者---和寒氏(2001/11/06 11:36:57) http://www.geocities.jp/history_of_rail/brother-t様、遅くまで御努力されてる様子、健康を損なわないよう頑張ってください。
さて、先の私の投稿ですが、貴兄の意見・主張を否定する意図はまったくありません。とはいえ、貴兄は卒業論文の一環として論を展開されている御様子。であるならば、論文審査会や学会発表などで必ず厳しい評価の目にさらされるはずです。というわけで、「学会的な」評価を試みてみたわけです。
公の場では明確に書けませんが、私は端くれながらその道のプロであり、かついくつかの学会からコメンテーターを依頼された実績も持っております。つまり、私の記したようなことは、論文審査会や学会発表においては必ず出てくる意見だと思ってください。この点を理解できれば、貴兄は必ず立派な卒業論文を著すことができるはずです。■NTの人口を実際の人口増加率のトレンドのみで評価している。
■他路線・他地区との比較がない。そのため、モデルの精度を統計的に評価できない。→この2点に関していえば、現実の世界では既に、極めて精緻かつ高度なデータやモデルが構築されていることを知っておくべきです。地区別人口データの入手は一般には難しいですし、人口の定着・再配分モデルは確かに難しいものですが、それらの難しさを克服しようとする研究・調査は既に存在します。
例えば市町村内地区別の人口データは、国勢調査の町丁データとして現実に存在しています(ただし単価はかなり高い)。これに地域属性をからめた人口定着モデルを構築することは当然可能ですし、町丁データが存在する以上、マクロモデルはこれをベースに構築しないとまるで説得力がないわけです。■転入需要が無限大という暗黙の仮定が置かれている。これは研究論文として最も大きな問題点です。
→ここで重要なのは、分母のΣ(北総を含む転居先候補地の総効用)です。これが極めて大きいがゆえに、北総沿線効用の増分は運賃を据え置いた程度では無視できるほど小さいものになるはずです。その無視できるほど小さな効用増に、沿線人口増加率がセンシティブに反応するためには、転入需要は無限大でなければならない。しかし、現実はそうではないわけです。
このような点は、特に学会では厳しく突かれますよ。以上を鑑みれば、貴兄のモデルがどの程度の水準にあるか、容易に理解できると思います。はっきりいって、現実の世界の方がはるかに先進的で高度かつ精緻です。しかしそれは、貴兄の研究じたいの水準を意味しません。だからこそ、「なんのための研究か」を明確にする必要があるわけです。
交通に関する研究は、目次を書ければ8割方終わるといわれています。本文では「研究の目的」さえ書ければ、ほとんど終わったようなものです。
貴兄の場合、人口定着モデルで勝負することは明らかに危険です。御本人が満足されたとしても、世の中からは評価されないでしょう。
しかし、北総の運賃政策を評価するツールにとどめておくならば、重要な意味を持ってきます。研究のメインを北総の運賃政策に置き、運賃を据え置いておけば人口がこれだけ増え、ひいては運賃収入もこの程度増加した可能性があったとするならば、相応の説得力を持つでしょう。
貴兄の知識はかなりの水準にありますし、また持っている知識や考えの全てをぶつけたくなる気持ちはよく理解できます。それでも、研究論文においては、目的を絞りこんで幹とし、それによく適合するツールを揃えて枝葉とすることが重要です。捨てる勇気が必要なのです。私は貴兄の博識と考えの正しさを認めております。それを世の中に正当に評価してもらうためには、相応の工夫が必要ですので、お節介ながら些か厳しく書き連ねてまいりました。以上の次第ですので、卒業論文をより良いものにしてください。期待しております。
2006.01.23 Update | ||
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