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(過去ログNo.)

遠すぎた街~北総の苦闘

投稿者---エル・アルコン氏(2000/11/04 01:41)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

●定期客の逸走に見る構造問題

北総線の苦戦、これは期待を大きく下回る利用につきます。
高の花さんの示されたデータによりますと、確かに営業利益は17.4%という高い伸びですが、営業収益自体は5.5%の伸びに過ぎず、輸送人員に至ってはわずか0.1%の伸びです。しかも定期外の3.5%の増加に対し、定期はなんと0.7%の減少と、将来を考えると非常に厳しい傾向が見て取れます。

なお、輸送人員の伸び率から逆算した定期:定期外は8.5:1になりますが、これが事実だとすると定期外:定期を1:1になるように数字を補正すると、定期客の減少は7%近い減少に相当するように、定期外の増加の倍の定期客が逸走していることになります。
これが割引率の問題から来る回数券利用へのシフトであれば、同水準の収益を維持しているでしょうからまだ救いもありますが、印西市の人口が減少に転じていることを考えると、定期客の純減という最悪の事態を想定した方がよさそうです。

利用が増えない原因について、過去ログを参照して頂きたいのですが、私は高運賃と街の魅力のなさを挙げています。しかし、直接的な原因はその2点だとしても、それが修正されたら現在の問題が解決されるのかというと、必ずしもそうとはいえないの事実です。
中長期的な構造問題に踏み込まないと、北総の将来は明るくなりません。

●ローカル線問題との相似形

千葉NT地区の北総線は他に競合路線もなく、独占状態です。
そのため、高運賃などの障壁が原因で潜在的利用者の競合輸送機関への逸走を招いているということではありません。
この点が高運賃が災いして競合他社へ逸走した利用者を取り込めない東葉高速との違いですが、東葉は利便性向上によって利用を着実に増やしており、また最後の手段として値下げをすることにより、潜在的な利用者を取り込む可能性をもつなど、対応は会社側のオプションになっています。

東葉の可能性は、偏にその沿線人口集積に負っています。直接的な沿線だけでも船橋、八千代、佐倉の3市で、その合計は少なく見積もっても30万人はあるでしょう。さらに新京成、京成やバスなどで東葉高速へ乗り継ぐことを考えると、鎌ヶ谷、成田などに広がり、その人口は50万の大台に達します。

ところが北総はどうでしょうか。絶対的に人口集積が足りないという絶望的な状況が指摘されます。2期開業区間こそ既存市街地やその周縁部ですが、ここは競合他社の問題がありますし、独占区間の1期開業区間および公団線区間に絞って考えると、印西、船橋の2市に白井町、本埜、印旛の2村で10万人強というのが現在の北総線の基礎票です。
他線からの吸収という点では、木下、小林など印西市旧市街や本埜村域での成田線からの転移が見られますが、物の数ではありません。

つまり、10万人台の人口しかないエリアに伸びる20km程度の盲腸線(1期区間及び公団線)という現状は、大都市近郊路線の問題というより、ローカル線問題に近いのです。

●NT入居者は増やせるのか

この状態において北総線の収入を伸ばす道は、既存インフラに頼るのならば、千葉NTの入居者を増やすか、千葉NTに定期客が集まるような施設を誘致するしかありません。
後者はまさに千葉NT計画の原案そのものであり、NT中央こそある程度の企業立地が見られますが、逆ラッシュというほどの流動もないのが現実であり、さらに各駅前に広がる業務用地という名の荒野が、既にそのプランが事実上破綻したことを物語っています。

では前者ですが、都心から1時間圏で他地域の半分以下の値段というのに、年中入居者を募集している現状をどうやって打破できるでしょうか。
もちろん既入居の住民が逃げ出さないように、値下げなどの繋ぎ止め策を講じるのも重要ですし、買いたい、住みたいと思わせる街づくりも必要です。
過去ログでは駅前の業務用地を格安で払い下げて民間によるマンション建設を提案しましたが、とりあえず住民を増やし、北総線利用者を増やすことを求めるのであれば、売れない集合住宅を極めて格安な賃貸住宅にするとか、寮・社宅として企業に格安で賃貸するという策もあります。

しかし、問題はそのような対症療法的なものではなさそうです。
先日の新聞に、汐留の「億ション」が平均倍率15.7倍で即日完売したという記事が出ていましたが、安いだけでは買い手は付かない時代になっています。
では高くても良いものが売れるのかというと、外房線土気に作られたいわゆる「チバリーヒルズ」の失敗という例もあり、そう簡単な話でないのです。

●「遠すぎた街」

バブル崩壊以降、というかバブル崩壊の原因となったのが、いわゆる三業種規制など土地取引自体の締め付けであり、それに伴い始まった地価の下落は止まりません。
また企業のスリム化、リストラで都心部に所有していた広大な工業用地の放出により、安価で良質な住宅物件が都心部やそれに隣接する地域で大量に供給されています。
郊外の大規模開発から都心部土地利用の高度化へのシフトに潮流は変わり、供給不足を心配するような事態が当面なさそうな現状、都心から遠く離れたニュータウンの出番が無いというのが現実です。

そして業務用地に至っては、都心部ですら丸の内や新宿、品川など限られた拠点がバブル期のような人気を取り戻す反面、そこを少しでも離れると空室だらけという惨状です。
いかにITだなんだといっても、取引先と離れて孤高を保とうとしても、結局情報の途絶や業務効率の悪化が目立つのであり、ましてや千葉NTなど、というところです。
実際、進出企業を見ても、電算センターのように、バックアップ問題から都心部に置けない施設があるにすぎないのが散見されます。

「遠すぎた街」 千葉県の20世紀を振り返る日が来た時、千葉NTの総括はその一言になりそうな気がします。

●人口増が望めない場所での黒字化

現在の北総線は、営業収入で建設費の回収が出来ない利用者数、延長計画半ばで途切れた盲腸線というスタイルが、旧国鉄末期に廃止された、人口希薄地帯を貫く赤字ローカル線に似ています。
こうした国鉄が建設を断念したり、営業を譲渡した第三セクター鉄道で、現在黒字化を果たしている例を見て見ると、甘木鉄道や松浦鉄道、愛知環状鉄道のような大都市近郊の人口増加に支えられた例とともに、北越急行や智頭急行のように、幹線の通過流動を取り込むことで、沿線プロパーの利用者が少ないことをカバーして黒字化を果たした例があります。

北総線が成田空港輸送を取り込むことで利用の底上げを図ることは、沿線利用の増加をそう簡単には望めない現状では有力な選択肢として考えるべきものです。
もちろん新たな設備投資の問題はありますが、印旛日本医大から土屋まではわずか10kmしかなく、しかも印旛沼周辺の未開発地帯が主であることを考えると、建設への障害は少ないと見るべきです。
空港輸送を取り込むことで、沿線人口の増減に左右されない全区間通過流動という、北総線に最大限お金を落とす乗客が確保できるということは、北総線の安定経営に多大な貢献をすることであり、それは北総線線内利用者にとっても決して不幸なことではないのです。

●県にとっても利害が一致する

もともと昭和52年に時の田村運輸大臣が思い付きのように世に出したのが原案ですが、JRや京成ルートに比べて最短距離で都心と成田空港を結べるという最大且つ絶対のメリットを持っています。

成田空港を日本の玄関口とするならば、都心へ最短で結べる交通機関として、国策で整備すべきルートでありますし、千葉県としても、成田空港最大の泣き所であるアクセス問題が、首都圏第三空港や羽田国際化といった県に取って容認できない主張の現実性を高めていることに鑑みると、空港アクセス向上に資する北総線成田延長を進めることは、出資している北総開発鉄道の再建以上の意味があるのです。

なお、千葉県にとって想定できる最悪のシナリオは、人口の伸びない沿線を抱えた盲腸線の北総線の赤字負担と、羽田国際化などで成田空港が衰退し、県全体が完全な袋小路になって衰退に苦しむ未来でしょう。

※田村プラン:
 東京(成田新幹線)越中島(有楽町線支線)押上(京成)高砂(北総)小室(県営鉄道)印旛松虫(成田新幹線)成田空港
 この時点では押上-高砂のみ既設。北初富-小室間が建設中。

●必ずしも過剰インフラでない

北総線の設備は空港輸送用の過剰インフラではありません。
NT区間の設備は、幹線道路と鉄道をセットにして中央部を貫通させる典型的なNT建設の手法(ex:ちはら台、泉北NT)に過ぎません。
なお、北総線の両脇、R464との間に広がる空き地ですが、これは成田新幹線というより、北千葉道路(外環道から成田空港への高規格道)用地で、小室など一部にはR16とのジャンクション設備が眠っています。

これらはNT用地造成の一環として整備されていますし、土を掘っただけの掘割構造がメインですから、用地買収をして高架橋を立ち上げるより、実際にはかなり安く出来ているのではないでしょうか。
掘割の擁壁も無い部分(自然斜面になっている)も多く、コンクリート擁壁はR464の設備ですし...

空港から土屋までは複線用地が確保されているので3線化にすれば、全区間で最低複線です。追越設備は印西牧の原、新鎌ヶ谷、矢切、高砂、押上にあり、八広が工事中で、これも若干間隔が広い気もする位ですが、本格的に空港輸送に供するとなると、過剰というよりギリギリといったところです。

なお、印西牧の原の車両基地ですが、確かにR464を乗り越す設備は過剰気味ですが、従来あった西白井の基地は、実は前述の北千葉道路用地を賃貸しているため「自前」の基地が必要なのです。
 #西白井車庫が賃貸物件であることは京成の有価証券報告書に明記。

他社の設備を利用しようにも、京成の高砂は手狭ですし、都交西馬込や京急神奈川新町は遠いですね。
あと、路線延伸に伴う編成増加や、検修を京成宗吾や新京成くぬぎ山に委託していたことも考えれば、自前の施設を西白井より大掛かりに作ることはやむを得ないと思います。

●そして京成は

北総の問題は、千葉県など沿線自治体の問題であると同時に、親会社である京成の問題でもあります。
198億円の債務超過に陥っている北総を連結子会社にしていますが、連結の資本勘定が720億円しかないことや、連結当期純利益が37億円しかなく、北総の連結入りで剰余金を81億円も減らしたこと(残高381億円)を考えると、北総の再建は焦眉の急です。

しかしながら空港アクセスに北総線を振り向けることは、北総線の改善にはつながりますが、京成本体の収益は確実に減るというジレンマがあります。
路線別収支が出ていないので四季報などの情報を見ると、京成の収益の柱は実は空港線であり、ここに直接的なダメージを与える北総線の空港延長はまさに「究極の選択」です。

北総の増収増益、京成の減収減益を京成にとって最小限の影響に留めるのであれば、増減資による自治体側の債権放棄と京成の100%子会社(もしくは合併)という処理になるのかもしれません。

以上、長々お付き合い頂きありがとうございました。

Re:遠すぎた街~北総の苦闘

投稿者---brother-t氏(2000/11/09 01:00)
http://blog.livedoor.jp/brothert/

●NT入居者は増やせるのか
●「遠すぎた街」

人口増加に関しては、2000/1999年(9月)の人口増加率を調べると八街(2.2%増加)東金(1.3%増加)と印西より遠い地区でも増加してる都市があることを考えると、必ずしも都心でなくてはというわけでもないのですが、千葉NT地区は白井町(0.2%増)、印西市(0.7%減)、本埜村(8.3%増)、印旛村(7.4%増)、合計で0.8%増加(県全体では0.5%増)とこれだけ見ると印西は既に開発が終わった状態、白井も完了直前、本埜村、印旛村は鉄道も来てさぁこれからといった感じではあるのですが、それはともかく千葉NTは新線開業効果が長続きしない、東金や八街の様に人口増加都市に戻る為にはこの2市との差は考えなくてはならないでしょう。
定期客の集まる施設と言うとまず大学で見た場合、既に東京電機大学、社会保健大学校(だったっけ)、東京基督教大学と3校あり、港北NTには武蔵工業大学(おいらの母校ちなみに工学部)環境情報学部1校しかない(しかも1学年100人行かない)ことを考えると健闘してるし、かつ青山学院が交通の利便の悪さを理由に厚木市の森の里からの撤退を考えてる事からももう期待は出来ないでしょう。郊外型のビジネス地区と考えるとYRP(近所、母の職場の側)が浮かびます。ここはNTTの研究所が中心となってる研究所の団地のような場所なのですが、もともとNTT通信研究所と言う1大拠点が合った為成功したと言われてます(SEの父曰く)。となると横須賀武山のNTT通信研究所並の施設があるかどうかが鍵となります。

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Re:遠すぎた街~北総の苦闘

投稿者---高ノ花氏(2000/11/06 15:37)

エル・アルコンさん、北総・公団線が抱える問題、さらにそれと千葉ニュータウンのまちづくりとの関係について、実に懇切でわかりやすい論文をありがとうございました。できれば、千葉ニュータウンに住んでいるすべての人たちに読ませたい、そんな気さえする力作です。
北総・公団線の経営およびそこから苦しまぎれに出てくる高運賃問題と、千葉ニュータウンの街としての魅力のなさとの関係が実に的確に分析されていると思います。なるほど、そういうことだったのですね。

私が題材としてあげた北総開発鉄道会社の11年度決算、その中で同社の経営の問題は基本的にストック(過剰設備)にあり、フロー(運賃収支)には問題ないと分析したのは間違いでした。ストックの苦境およびその他の問題を招いている根本的な要因は、ご指摘のように乗客の伸び悩み、さらにその背景にはニュータウン定住人口の伸び悩みという問題があることがよく理解できました。

ということで、「北総開発鉄道が成田まで伸びて空港に乗り入れることが、果たして千葉ニュータウンに住むわれわれにとって、本当によいことなのか」という私の最初の疑問は、エル・アルコンさんをはじめ、これまでの皆さんからのご教示により、基本的に晴れました。すなわち成田延伸は千葉ニュータウン(の生き残り)にとって必要だということが理解できたと思います。
その上で、これまでの議論の流れからすると、ずれた話になるかもしれませんが、鉄道の利用客が増えない原因としては、私も高運賃と街の魅力のなさということにあると思いますので、今回は街の魅力という点でこの間感じてきたことを述べさせていただきます。この点でも、いろいろと偏った情報に基づく誤った理解があるかと思いますが、ぜひご教示いただければと思います。

千葉ニュータウンの街づくりに関して、私が素人ながらぼんやりと感じてきた点のひとつは、エル・アルコンさんの「遠すぎた街」にならって名づければ「造りすぎた街」とでもいう点です。千葉ニュータウン地域の至るところで、公団など開発・整備する側の「意志」のようなものが感じられます。この地域では一坪の土地といえども、計画から建設工事に至るまで、公団・企業庁が関与しない土地、開発というのはありえないことになっています。
その結果、たとえばニュータウンの駅前というのは、よく言えばすっきりした景観、悪く言えば賑わいが感じられない、寒々とした空間が、駅を下りるたびにわれわれの目の前に広がります。最近オープンした県立花の丘公園も、大変意欲的な公園計画であるのはわかるのですが、何か「造りすぎ」の公園という感じがしてしまいます。もう少し、もとの自然を残したり、人間の手が入らない空間のような工夫が考えられなかったのか。その方が、利用する住民からすれば利用しやすかったり、あるいは自分たちの工夫や参加意識が満足させられるようなやり方だってあったのではないか。

もちろん、全国の大方の「駅前」というのは、乱開発・細切れ的な土地利用・私権の錯綜等々で、老若男女、マイカー、タクシー・バス、自転車、車椅子等々が押し合い、へし合いするストレスの多い空間となっており、そうした乱雑な駅前広場に比べれば、ニュータウンの駅が非常に計画的ですっきりした景観であることを喜び、感謝すべきなのだろうとは思います。
しかし、街というのはある程度の乱雑さ、猥雑さ、無計画性(意外性)のようなものが付きものであり、そうしたものをすべて削り落として、「計画」だけでコントロールしようとしても、そもそも無理なのではないでしょうか。

昨日(5日)の夕方ジャスコに買い物に行き、夕日をバックに立ち並ぶマンションをしばし眺めていました。この一帯はジャスコができたことで本当によくなったと思いますが、一方で南側のダイエーを含めたこの一帯の景色があまりにも「大きい」ため、たとえば車に乗らない人などにとっては、この辺りはほとんど縁のない街となるのではないか。
連休の別の日にドライブがてら行った土浦駅前の風景は、これとは対称的にロータリーの周辺に所狭しとスーパー、コンビニ、銀行、古くからの地元の商店、交番等々がひしめき合っている、典型的な地方都市の駅前風景でした。自分が歳をとって、車に乗れなくなったら、果たしてどちらの都市が住みやすいのだろうかと考えてしまいました。

もうひとつは、計画的な整備が真に住民に利便性や快適性を提供するためには、本当に計画どおりに整備されることが最大の必要条件だと思います。計画の一部が宙に浮いたり、実現の見通しが立たない場合には、非常に中途半端で西部劇に出てくる砂漠の街のようになってしまうケースが多い。従来の「乱開発」型の街であれば、「砂漠」に進出して一山当てようという安売りショップなどが出てきたかもしれないのに、ニュータウンのような所ではそれも望めません。
中央駅南側の一帯も、ダイエーに続いて百貨店の誘致が考えられていたと聞きますが、バブルの崩壊で百貨店の進出が沙汰やみになってからというもの、あの「一等地」が、夜間だけ近所の茶髪の兄ちゃんたちがスケボーの練習をする程度で、ただ広大な用地が使われるあてもなく広がっているだけです。

いずれは用途が決まり、素晴らしいショッピングゾーンになるのかもしれないが、ニュータウンのような開発でややもすると忘れられがちなのは「時間」の概念です。いつかは素晴らしい街になるのかもしれないが、それが「いつ」なのかということも非常に大事だと思います。十分な集客力をもち、人々にここに住んでみたいと思わせるだけの景観が現出したとしても、その前にたとえば北総開発鉄道が息切れしてしまったら、すべては水泡に帰すからです。
ニュータウンの整備というのは、ある一帯をニュータウン地区と指定したら、土地収用法で整備目的にそぐわない施設等はあらかじめすべて移転させることから開発・整備が始まると聞きます。このようにして、ニュータウン地域は全体として人工的な、単機能の、ある意味では非常に偏った性格の地域として整備されることになるのではないかと思います。

今回の議論との関連でいえば、そのことは経済・社会環境が大きく変化した場合に、それへの対応力の欠如として現れる面がないでしょうか。たとえば、今都内のマンションの価格が下落して、値ごろ感が出てきていると聞きます。そうなると、もしニュータウン地区がこれまで都内と比べて安さ(だけ)を売り物にしてきたとすれば、途端に魅力がなくなってしまうことになります。北総線の運賃の高さだけが、この地域に人々が移住してくるのを妨げている要因ではないというのは、この意味でよくわかります。
安さで勝負するなら、もっと徹底的に安く、あるいは他の要素も含めて競争力をもとうとするなら、もっと多様な要素を入れて、都内や他の似たような地域にない魅力をつくっていかないと、むずかしいと思います。

安さ(これとても疑わしい限りですが)以外にどんな魅力をつくっていけるのか、今のところあまりアイデアはありませんが、この間感じた疑問の一つをあげれば、たとえば印西市は「コスモス祭り」(ラーバン・フェスタ?)に非常に中途半端な姿勢しか示さないようにみえるのですが、こういう点はどう考えたらいいのでしょうか。数年前から市の直営でなくなっていること自体は、むしろ歓迎すべき傾向なのかもしれませんが、それにしても民間に任せたとたんに「我関せず」の態度はちょっと理解に苦しみます。
あの祭りは、(サントリー・オープンと並んで?)外から人を呼べる数少ないイベントなのです。設営や運営そのものは民間でやるにしても、行政として何かできることはあるのではないでしょうか。コスモスを見に来た人が、ついでにニュータウンの街並みを記憶の片隅にとどめていったり、ニュータウンの印象を改めて帰ったりという効果に対して、もう少し敏感に反応してもいいのではないかと思います。

 

などと、いろいろこねくり回してみたのですが、やはりこのページに書き込む意見としては場違いだったでしょうか?

大小の使い分け

投稿者---エル・アルコン氏(2000/11/08 18:50)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

「造りすぎた街」とは言い得て妙です。
それでもまだ「造っていない」エリアが存在するのだから困りものですが...

●商店街
大型店が悪いとは一概にいえないものもあります。
例えば破綻した「そごう」ですが、有楽町と心斎橋という東西両都の店舗が不振だったのはその小ささが災いしており、横浜や千葉といった巨艦店が再建の柱となっていることを見れば、実は「地域一番店戦略」は正解だったという結論にすらなります。

ただ、それも商圏や集客力との相談であり、NTのような地域密着型の場合、居住区内に小規模な商店街を分散配置したほうが利用しやすいですし、集約型にしても巨大な駐車場を持つ平屋程度のコンパクトなスーパー(ヨークマートなど)の方が小回りが効いていいと思います。
NTでも西の原など小規模な商店を集めたスペースがありますが、もう一声大き目のもの(例えばBig-Aとか)を核にしたものが欲しいところです。

居住区と離れている場合、地域では大型店であっても、もっと商圏の広い隣町の超大型店との競合になりますが、地域の大型店が対抗しようにも商圏の問題もあり、採算の取れない拡大に終わるのです。

●公園
私は逆に「花の丘」を中途半端と見ます。
この手の公園で集客力があるのは柏の「あけぼの山公園」ですが、「花の丘」の規模はどのくらいでしょうか。葛西臨海公園もそうですが、流行る公園は実はでかいです。

気掛かりなのは駐車場をどれだけ確保しているかです。
同時にR464など幹線道路との動線がどうなっているのかもそうです。
箱は作ったが行きづらいのでは論外で、あけぼの山もアクセスに難がありますが、最悪の例が京成の臼井-佐倉間に見えるオランダ風車です。駅は遠いしバスはない、おまけに駐車場もないという、理解に苦しむ公園で、京成電車の借景かいなと言いたくなるような代物です。

小ぶりな公園を志すのなら、印西牧の原駅前のコスモス畑を常設化してしまう手があります。駅に近いというロケーションは何物にも代えがたいですし。

Re:大小の使い分け

投稿者---高ノ花氏(2000/11/10 15:48)

たしかに、店も公園も中途半端というのは言えると思います。最近ジャスコが中央駅前にオープンしてにぎわっていますが、私はオープンの1、2週間くらい前に、偶然成田のジャスコに行き、ここは「イオン」が併設されているため、非常に大きく、「見る・食べる・遊ぶ」のスケールに感心した直後のCNT店のオープンだったため、なんだか少し色あせてみえました。それでも、ダイエーなどに比べるとはるかにマシで、ニュータウンにもようやく商業施設らしい施設ができたと思いますが。

しかし、私の住んでいる高花地区を例にその他の店を見ると、イイダ、ランドローム、西の原商店街、内野商店街等みな中途半端です。しかも、年寄りなどが歩いて行ける距離でもなく、結局は車で行かざるをえない立地条件にあるわけで、ならばもう少し同程度の規模の店ばかりでなく、割と中の大くらいから中の小くらいまで、適当なバランスで立地してもらった方が利用しやすいし、魅力も感じられると思うのですが。

花の丘公園も、たしかに中途半端というかバランスの悪さという問題はあるのでしょうね。10年がかりで、予定地のまわりに有刺鉄線を張りめぐらし、その間住民を閉め出し続けて、元々の自然にすべて手を加えて、ブルドーザーがうなりをあげて造ったのだから、さぞかし高機能で、たとえば犬の散歩などはとんでもないという公園ができたのでしょうが、一方ではおっしゃるようにアクセスが十分だとは思えません。そういえば、オープンの時には駅前の空き地を臨時駐車場にして、そこから歩かせていましたね。この公園を設計した人は、オープン時の数日間を除いて、花の丘にそれだけの人が集まることは金輪際ないと考えたのかもしれませんね(!)。

「造りすぎ」という点で私が漠とした不満を感じているのは、店にしろ公園にしろ、今風の比較的規模の大きいものばかり出店させることで、たとえば高齢者などには非常に住みにくい街になっているのではないかという点です。私の住んでいる高花地区はとくにひどいのかもしれませんが、車に乗れない、少し体力の弱ってきたお年寄りなどは、日常の買い物さえ不自由な街なのではないかと思います。

一方で、この間自治会活動などを通して感じたのは、「地域」というのは意外に高齢者、専業主婦、学童などが主人公なのではないかということです。おとうさんたちは、昼間はほとんどいない状況で、この「弱者」たちの本音が意外に地域というものを形作っていて、そうした本音に気づかないおとうさんたちの建前だけではうまく回らないのが「地域」というものではないかと思います。

たとえば、平日の昼間もっとお年寄りたちが外に出て、活発に活動するようになれば、昼間は空気を乗せて走っているといわれるバスの稼働率の問題、そうしたお年寄りたちが利用するいろんな施設の問題、さらには地域の賑わいといったことにも、少なからぬ影響が出てくるのではないでしょうか。

マーケティング理論などからするとしかたがないのかもしれませんが、私はこれまでのニュータウン整備というのが、「働き盛り(で都心に通勤する)おとうさん中心の核家族」に的をあてて考えられてきたと思います。整備の遅れから住みにくい街になっているという面がある一方で、このような開発コンセプトが高齢化社会といった時代の趨勢に合わなくなってきている面はないでしょうか。

もう一つは、印西市の人口がすでに減り始めているということから思い出したのですが、「いには野」を見に行ったら、あそこは駅から自宅まで歩いて帰れるというコンパクトな街づくりになっています。これは一つの魅力であり、毎日中央駅から帰宅時にバスの便で苦労している女房などはさかんに羨ましがっていました。高花とか原山あたりに住んでいる人であのあたりに移住していく人がいても、すごくわかります。

これに対して、中央駅周辺はとにかく景色が「大きく」、近くに見えている建物でも、歩いてそこまで行こうとしたらなかなかたどり着けません。非常に意欲的で周到な街づくりを構想しているのでしょうが、それも計画どおりに進めばの話であって、現状はこの「周到さ」ゆえに何かと不便で億劫な街のつくりとなっているような気がします。

人を生かした街作り?

投稿者---brother-t氏(2000/11/12 01:35)
http://blog.livedoor.jp/brothert/

こういったクルマ中心の街作りというのは最近のニュータウンの特徴だと思うのですが、千葉NTの場合既存の市街地集積が小さく、それが既存の小回りの聞く中小店舗中心の商店街があまり出来ず、かつ時代の潮流とも言える大規模店舗も人口集積の大きさから中途半端な規模でしか出来ないという、そしてその店舗が出来ることで中小店舗の集積は進まないという循環が起きる。結局車社会前提の効率の良い商業環境を作った為、小回りが利かない。街作りの難しい面です。
あと日常品以外の買回り品という部分でも北総線が主要なターミナルや郊外ターミナルといえる松戸・船橋・柏といった地区に乗りいれてない為不便感は増加するとも言えます。

あと中小店舗が少ないというのは地域で何らかのイベントなどをやるときそのしきり役が出てきづらくなるという面でも厳しいです。例えば僕の地元横須賀では毎年ゴールデンウィークと夏休みの最終日曜日に横須賀ジャズクラブという団体が中心となって、地域のバンドが集まってライブイベントをやるのですが(1回花火大会の時に米軍基地内でスペシャルバンドで演奏会をやったこともあります。)これはなぜ出来るかといえばジャズ倶楽部の顧問の人がジャズ喫茶のマスターでこの人が自治体やバンド、様々な裏方とのつなぎの部分をしっかりしきってくれるからといえます。また友人でコミュニティーFMの手伝いをしてたやつがいるのですが、ここでも似たような感じだったとも聞いてます。このような形で地域にいる人達のエネルギーを生かすことを考えていった時、こう言った人達の役割は大きいと思います。
話がものすごくずれてしまいましたが今日はこの辺で。

Re:人を生かした街作り?

投稿者---高ノ花氏(2000/11/14 12:10)

brother-tさん、こんにちわ。

千葉NTの場合既存の市街地集積が小さく、それが既存の小回りの聞く中小店舗中心の商店街があまり出来ず、かつ時代の潮流とも言える大規模店舗も人口集積の大きさから中途半端な規模でしか出来ないという、そしてその店舗が出来ることで中小店舗の集積は進まないという循環が起きる。

たしかに千葉NTのまちづくりをみていると、何もない野ッ原に家を建て、道路を造り、商店・医院・学校などの社会生活を支える各種の施設を造っているという点では、西部劇で何もない砂漠の一角に街をつくっていく光景と似ていないこともないと思います。普通の街であれば、従来から細々と営業している八百屋さん、魚屋さんなどがあり、そうした商店と大規模店の共存(突っ張り合い?)状態の中で、互いに補完関係が生まれるということも、千葉NTに限っては望めません。

その結果、商業施設一つとっても何か薄っぺらな感じの街になっていると思います。
既存のものが何もないということは、ある意味では厄介なものとの調整の必要がなく、都市計画そのものは立てやすいのでしょうが、しかしハードの施設ができた後で、それを運営するさまざまなソフトが決定的に不足している状況に甘んじなければなりません。

これはなぜ出来るかといえばジャズ倶楽部の顧問の人がジャズ喫茶のマスターでこの人が自治体やバンド、様々な裏方とのつなぎの部分をしっかりしきってくれるからといえます。

われわれの街に決定的に欠けているのは、例にあげられた「ジャズ喫茶のマスター」のような人材と、こういう人が何かをやれる環境(協力者、周りの理解など)なのだろうと思います。通常だと、そのような人材は街の成熟とともに、自然に育っていくのかもしれませんが、それをひたすら待つというのでなく、やはりNTでの老若男女、さまざまな交流がそれを早める作用があるのだと思います。

ハードの整備を議論しつつ、いちばん欠けているのはこの街を「使いこなす」われわれの「ソフト力」なのかもしれません。
そういえば、「荒野の決闘」という西部劇では、街中に教会ができて、日曜日には人々が本当に久しぶりに喜々として礼拝に向かう場面が出てきましたが、西部劇に登場する荒くれ男どもだって、教会のような「装置」が社会をコントロール(使いこなす)する上で必要だという認識があったことになります。われわれの街づくりは、こうしたソフトな資源をかなりスポイルされたところからスタートさせられているような気がします。

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NT鉄道の視点で見ると

投稿者---brother-t氏(2000/11/12 01:35)
http://blog.livedoor.jp/brothert/

●定期客の逸走に見る構造問題
ここで僕は98/09の運賃値上げに注目しました。というのは96.97年度で年間2500人以上の増加を示していた千葉NTが98年度になると1500人しか人口増加を示していないのです。この事と定期客の逸走はある出来事から半年近くかかる事からも99年度はこの数字が更に下がる事も考えられます。これらから北総線はこれから先増収・増客がかなり厳しくなり、千葉NTもそう人口が増えないのは言うまでもないでしょう。

●ローカル線問題との相似形
更に北総線全体に視点を広げると、償却前営業収支率は98年で40%と大きく黒字なのに対し、債務超過分を補正した総資本償却前営業利益率は3.4%と非常に小さく4%を超える財投金利に届かない為の赤字である事が分かります。という事は増客増収を図らなくては行けないのですが、ここで考えなくてはならないのは総資産の多くは2期線(の建設費)によるものでここでの増客策、例えば新京成の北総線乗り入れ(どの程度の効果かはわからないものの)が必要となるわけです。ただ1期線は確かにローカル線とかぶる所があり、特にネットワークとなってないのは厳しいと思います。例えば多摩NTを通る京王相模原線は橋本で横浜線・相模線とネットワークを組んでる為橋本駅は八王子駅より乗降客数が多く、これが経営上大きな物となっています。

Re:NT鉄道の視点で見ると

投稿者---エル・アルコン氏(2000/11/08 17:23)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

●総資本償却前営業利益率は3.4%
これでは低利資金への借り換えといっても、Marketableな水準での調達を前提にすると今日の超低金利でも利払資金すら賄えません。
今日の10年スワップレートが2.08%ですから、北総のスプレッドを投資適格の最低であるBBB-としてみてもおそらくトントンです。もちろん債務超過会社ですから起債など出来ませんが、自治体保証で出来たとしても、厳しい水準です。

●2期線の集客
よく言われる新京成の乗り入れですが、東葉高速の北習志野-日本橋で所要32分、690円、6ヶ月定期で14万円という数字を前にした時、乗り換えが無いこと以上のメリットが見出しにくいのです。
見落としがちなことですが、実は所要時間の面ですら二和向台以南、いや、鎌ヶ谷大仏でも北習志野経由の方が速いでしょうし、都心の目的地次第ですが、新鎌ヶ谷ですら危ういです。

実はスイッチバックになるくぬぎ山以北方面の方が、今も残る連絡線の遺構を活用すれば安価に直通化が可能ではありますが、これも常磐線松戸経由との関係があります。

***
沿線を見ると、武蔵野線という強力なライバルのいる東松戸は望み薄として、その手前の松飛台と大町は、沿線開発が困難というのがネックです。つまり、線路の北側を工業団地と八柱霊園という非居住地帯が占め、南側は市川、松戸市の主要産業でもある梨園が広がるという現状では、ベッドタウンとしての開発が望めません。

残る秋山、北国分に期待(矢切、新柴又は既存住宅街)するしかないのもかなり厳しいです。

Re:NT鉄道の視点で見ると

投稿者---brother-t氏(2000/11/10 00:14)
http://blog.livedoor.jp/brothert/

●総資本償却前営業利益率は3.4%

99年度は17%営業利益が増加したそうなのでその数字で補正すると4%くらいになるとは思います。それでも厳しいでしょうね。しかもこれが増える見こみは印旛日本医大次第だと思いますが、あまり期待できないのが悲観的な所です。

●2期線の集客

運賃を見ると悲観的になります。そしてルートも東西線と浅草線じゃやはり分が悪いですね。ただ所要時間に関しては北総線内急行運転、京成線内特急運転をすれば東葉快速にも十分太刀打ちできそうな気がします。北習志野~日本橋で朝ラッシュ地の比較をすると北総ルート44分、東葉快速39分と乗換え時間を考えれば十分太刀打ち出来るとは思います。ただ松戸ルートは常磐線混雑緩和というメリットもあり、こっちの方が現実的なのかもしれません。沿線に関しては意外に望みが薄いんで驚きました。

Re:NT鉄道の視点で見ると

投稿者---WWWCNTの管理人氏(2000/11/26 06:36)

はじめて投稿させて頂きます。ほとんど本論から外れてて申し訳ありませんが:

●2期線の集客
沿線を見ると、武蔵野線という強力なライバルのいる東松戸は望み薄として、その手前の松飛台と大町は、沿線開発が困難というのがネックです。つまり、線路の北側を工業団地と八柱霊園という非居住地帯が占め、南側は市川、松戸市の主要産業でもある梨園が広がるという現状では、ベッドタウンとしての開発が望めません。

この後半部分は必ずしもそうとも言えないと思います。
常盤平や五香周辺は広大な梨畑(と雑木林)を団地化しました。新京成沿線はその後バブルの頃まで梨畑が盛んにミニ宅地化されました。

この事が良いとか悪いとか申し上げるつもりはございません。


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