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(過去ログNo.)

値下げすればコトは解決するのか?

投稿者---551planning(99/08/29(日) 23:41)

公団住宅居住者に配布される「The NewKEY」(団地通信刊、毎土曜日発行)というミニコミ誌の08/21付一面記事は下記のようなものである。長くなるが一部引用する。

千葉NT関連の4自治体首長が連名で 高い“北総・公団鉄道”値下げを! 運輸、建設、公団に初めて要望書提出

7万人強が暮らす緑豊かな千葉NT。居住者の悩みはなんと言っても都心までの「足」北総・公団鉄道の運賃の高さ。沿線4自治体(印西市・白井町・本埜村・印旛村)首長が連名でこのほど住都公団・建設省・運輸相に運賃値下げの要望書を提出、議長も同様の要望書を提出した。4自治体そろっての要請は今回初めてのこと。
要望書では北総線2期工事による新鎌ヶ谷-京成高砂間開通(H3)によって都心まで一時間足らずで結ばれた点について「利便性が向上した」と評価したものの、他郊外鉄道と比べて概ね2倍を超える水準にある同鉄道の高運賃のため、特に去年の平均10%超の値上げ後にNT一部地域の転出増加などの影響が出ていることを問題視、このままでは人口の流出・NTのイメージ低下・NT計画自体の遅延による事業期間の延伸などが起きる恐れを懸念し、それが自治体の財政計画にも支障を与えるものとして、利用住民の生活安定、NT計画自体の早期完遂を図るためには同鉄道運賃の適正価格までの引下げを要望している。
「高運賃は建設費の借入(財政投融資)負担が大きいため、当事者のみならず(大蔵省と折衝できる立場にある)建設・運輸省にも協力・支援を仰いだ」とのことだが、「何処も具体的な回答はなかった」(白井町)との由。

解説 サイフ落としても定期落とすなの声 日本橋まで1110円、通勤6ヶ月24万円

(解説) 公団改革問題を審議舌先の国会でも取り上げられたこの問題。この中で運輸省局長は多額な支払利息軽減策・財投繰上げ償還について「国の制度の根幹に関わるため困難」、公団担当者は高運賃を認識しているとして「全体の経営を考えるとあの運賃は止むを得ない利用者にはサービスで返したい」と回答するにとどまっている。

 

そもそも千葉NT開発における鉄道政策は紆余曲折を経て、いまだにすっきりしないものとなっている。
当初はメイン路線たる本八幡-印旛松虫間の千葉県営鉄道(都営新宿線と相直)と、サブ路線の京成高砂-小室間の北総開発鉄道(京成線と相直)が計画されていた。北総線は1期工事として北初富-小室間を1979年に開業、新京成連絡線を介して松戸までの直通運転を開始、同じにNT入居が始まった。
一方の千葉県営鉄道は建設に関する千葉県の動きが不明確であったため、県議会でも問題化され、ついには小室以東免許を現住都公団へ譲渡、ここに「北総公団線」たる所以が生じることともなった。さらに昭和60年運輸政策審議会答申で本八幡-小室間建設も凍結されている(なお、県は同区間建設に関して留保している)。
84年に小室-千葉NT間が住都公団線として開業、その後、国鉄民営化に伴う法制改正により、住都公団区間で公団側が第3種(施設保持)、北総が第2種鉄道事業者(運営体)となり、全区間北総による運営となった。延長区間(~印旛松虫)免許区分も更新されている。91年に京成高砂-新鎌ヶ谷間が開業、新京成松戸直通を中止し、京成-都営-京急方面念願の都心直通運転を開始した。95年に千葉NT-印西牧の原間が開通、来年には印旛日本医大まで延伸される。

千葉NTは当初交通不便として、今や高運賃が影響して入居がなかなか進まないとされる。結果都心部路線が都営浅草線という「急所を外れた」モノであったことも影響しているだろう。もし県営鉄道ルートでの新宿直通がなされていれば…と青写真を描いていた沿線自治体関係者の想いがようやく率直に出たのが今回の要望書につながったのだろう。
しかし、では運賃値下げされれば利用者がつくのだろうか…。

運賃値下げの事例としては京王電鉄が挙げられる。特特法による輸送力増強のための加算運賃期間満了を持ってその分の値下げを一昨年実施したもので、昨年度他の関東大手私鉄が軒並み利用者対前年割れを起こしたにもかかわらず微増させた。運行不安のJR中央線という競合路線があるにせよ、利用者に値下げの評価が積極的になされた結果とも見られている。
ではこの例をそのまま当てはめられるかといえばそうではないのは明らかだろう。まず競合路線がないこと。逆にいえばこれまでの高運賃を強いることができてきたのはそれを受け入れなければならない独占的利用者がいたからに他ならない。経営破綻した千葉急行電鉄とは違うだけの利用者を確保しているということである。そして昨今の不況。都心部の地下続落によって住み替え対象の都心部への回帰傾向が見られるのは御存知の通り。さらに千葉NTの開発形態がそれまでのマンションおよび均等的な戸建て住宅販売、すなわちオプショナルを持っていないことから、戸建て希望者に対する訴求力すらもはや無くなってしまうという状況があるのである。補足すると京王沿線は開発がほぼ終わっている、すなわち潤沢な利用者(および潜在的利用者)がいるということと当初計画すら満たしていない千葉NTの状況を比べるまでも無いことであろう。更に言えば自主路線で都心まで到達しているわけでないので、京成・都営との相互連絡運賃低減があるにせよ単独の値下げ効果だけでは…ということなのである。

住都公団はその存在自体問われている。北総開発鉄道も正直言って苦しい経営状況に間違いは無い、でなければ値上げに訴えることは無かったであろうから。要は値下げなど無理なのである。その意味では自治体も厳しい財政状況であることはわかるものの、訴える矛先が違うというものではないだろうか。
要望書では高運賃による地元住民負担は家計を圧迫し、通学費の過重負担や外出機会現象につながっているとの現状を直訴しているそうだが、何かしらの生活支援策があるのだろうか。「外出機会が減っている」なら、地元でカネを落としてもらえるような方策を積極的に考えてみるのも良かろう。そもそもこの要望書には積極的な提言は盛り込まれているのであろうか…。すなわち自分の足元から見直してみたほうが良いと思うのである。
公団関係者も「サービスで返す」と国会答弁しているなら是非実現させてほしい。ダラダラと都心直通8連20分毎運行している無駄を何かに振り向けられないものか?急行を走らせる価値はあるのか?今となっては新京成連絡線を廃したのももったいなかったと言うべきだろう。考えようによっては効率的運行は可能ではないのだろうか…。

北総線に限らず、首都圏の新規郊外鉄道路線の経営状況はおもわしくない。未開業の常磐新線や埼玉高速鉄道もそうだが、なんといっても建設費負担の大きさが重くのしかかっている。千葉では旧千葉急の他、東葉高速鉄道も危機が叫ばれている。なんといってもそこには「採算確保」という大前提がある。赤字=悪、なのだ。その傍らで公共性が要請されるのだから、公共交通運営というものほど難しいものはない。
首都圏路線であれば廃止はないだろうという周辺自治体の甘えもあるのではないだろうか。特に千葉県下の3線を見ると3セクでありながら京成の資本比率が概ね高くなっている。千葉急の例を引かずとも、「京成による大同団結」は古くから言われることである。市原NT開発に関する京成・公団と地元自治体との温度差が千葉急破綻を招いた原因であるとされているが、歴史は繰り返すのだろうか…。
採算度外視でやれ、というのではない。これまで鉄道開通は沿線にさまざまな経済効果をもたらしてきたことは事実であるが、そんな時代は終わった。むしろ自動車を核とした交通期間の相互連携を行政が提案する時代になっているのである。沿線自治体には、「カネも出すが口も出す、おまけに動ける人材(役員クラスで無く現業にも関われるという意味で)も出す」というバックアップの姿勢が必要なのではないだろうか。運営体・行政・利用者のトライアングルができなければ、新規鉄道はおろか既存鉄道の行方もどうなるかという、まさしく転換点に来ているのだという事を我々は把握する必要があると考える。

路線特色に応じたメリハリある運賃政策が必要

投稿者---いのうえ まさし氏(99/08/31(火) 16:41)

北総の場合、競合他線が無いのでNTの住民が他線に浮気する可能性はかなり低いです。とは言っても、東松戸で武蔵野線へ逸走するケースがまとまって見られますし、来年の東武新鎌ヶ谷完成後はここから船橋へ逃げる客が出る可能性があります。

反面、北総1本しかないということは、北総を生活の根幹に据えることになるので、通勤はともかく定期外利用での負担が耐えられるかが、NTに居を構える前提になります。
その意味で、都心に出るだけで1人往復2500円程度、2人だと5000円ではいかに100平米超のデラックスな住居がリーズナブルに手に入るとはいえ二の足を踏まれるのは当然です。
おそらく今の毎時3本が6本になっても大勢に変化はないでしょう。

通勤についても、6ヶ月24万円ということは年48万円。営団線沿線だったりすると50万円を超えますね。
ここまでくると企業の通勤交通費補助の上限を突破する可能性があります(かつては税法上損金算入できる上限が30万円だったので、その点でも全額補助が不能だった)。
通勤交通費で自腹を切ってまで住めませんし、企業が社宅として購入するには、負担が大きすぎます。

まあ代替路線が無いので通勤利用は認められるはずですから、定期外利用を促進するような施策、自治体の住民に対する補助といった運賃面での利用促進策をとることで、入居促進をはかるのが王道でしょう。
現状では利便性以前の問題として、沿線人口(=入居者)が少ないという問題があるのです。

***
東葉の場合は逆に自社区間が短いため、定期外に限れば安い営団との合算が奏効して、時間効果との関係で割安感すら出ています。
ところが通勤定期が絶望的に高く、かつ競合路線が縦横に存在することから通勤利用を認めない企業が多いです。

北総と違い、既存市街地を縫う路線にもかかわらず利用が伸びないのは、根幹となる通勤利用がさっぱりということです。
対都心では東葉経由の方が便利である事は自明なのに認められないという理由はただ一点「定期代が高すぎる」ことですから、利用を伸ばすにはこれ以上利便性を向上させるよりも定期運賃の大幅値下げが有効です。

もっとも、大幅なスピードアップにより、JR、京成その他競合路線経由と比較して無視できない時間短縮効果が実現すれば、企業も重い腰を上げる可能性があります。
利便性のファクターとしては、スピード、本数、終電(笑)がありますが、東葉の場合は残念ながら優れているという状態までは至っていません。

#東京-北習志野間の某社の場合、従前の津田沼経由で45分程度に対し、東葉線経由日本橋-北習志野で30分程度に短縮されたため、5割高い東葉線経由が通勤経路になった。
#もっとも都内某所に移転した際、津田沼経由で60分程度に対し、東葉線経由は50分程度となり、効果が薄いと判定され不可になった(涙)

***
両線ともサービス云々の議論が色褪せるような価格障壁があるので、北総の場合は他地域に居る人を転居させる目的で、奥様族に不便と思わせないような定期外への配慮、東葉の場合は既存住民が東葉線通勤に転移させるための定期客への配慮というように、路線特色に応じたメリハリのある運賃政策を取る事が必要です。

値下げよりサービスアップで

投稿者---矢切氏(99/09/01(水) 08:28)
http://www3.ocn.ne.jp/~skylark7/

私は、北総は高いと思いながらも便利だから使っていた、もと沿線住民です。
値下げについては財政上難しいと思っています。北総は遠距離ほど「急に」割安になるので、遠距離(NT周辺~都心)を値下げするよりも、乗り継ぎ割引の拡大による新柴又・矢切の割引拡大のほうが公平では?という状態であり、NTの人は北総にしては安い運賃で乗っている・・・とひがんでいるくらいです。

値下げよりサービスアップで対応するほうが、経営を圧迫しないと思います。たとえば、ニュータウン内全駅での定期券発行など、実現できないでしょうか。
増発は、いのうえさんがおっしゃるとおり、あまり増客とならないでしょうが、競合路線(本数の多いバス)があり人口も多い新柴又と矢切には効果があると思います。新鎌ヶ谷も本数が増えれば東武(駅予定)や新京成からの乗り換えが少しは増える「かも」知れません。他の駅からの客はあまり増えないでしょうね。
それでも、東武新鎌ヶ谷ができたら、青砥止まりのH特を新鎌ヶ谷かNTまで延長してもらえないかと思ったりもします(ひょっとして、更なる値上げの見返りとして実現するか?)。

定期外客が都心に抵抗感なく出られるような運賃政策を

投稿者---いのうえ まさし氏(99/09/01(水) 12:40)

う~みゅ。
北総と東葉の両線、というか、経営が苦しい鉄道は、利用が少ない=収入が少ないという宿唖を抱えているわけですよね。

東葉の場合は沿線人口については問題ないレベルであり、新京成、京成からの流入も期待できるので、利用を上げる事=シェアアップ=競合他線より優位にする、という定義が成り立ちます。
他線との競争力が一番劣るのは「通勤定期」の部分であり、一般的に会社支給である状態で、経路を決定する企業からそっぽを向かれるほど高い(利用可能性のある社員が5人程度で、「有価証券報告書」に現れるレベルの経費増が発生する!)状態を解消するか、競合他線との利便性格差を圧倒的にしない限り、改善は難しいでしょう。

北総の場合、新鎌ヶ谷以西の既存市街地部分においては東葉線と同じ問題を抱えています。おそらく松戸市高塚新田あたりに住んでいる人が東松戸から北総経由を申請しても、武蔵野線経由を指定されるか、本八幡までバスとされるかのいずれかでしょう。
ですからこの区間の利用を増やすには東葉線と同じ対策が必要ですが、現行の毎時3本を倍増するというのも利便性の飛躍的向上という点では有効かもしれません。

しかし、北総線の問題はやはり千葉NTの入居が停滞している事に尽きます。100平米で4000万円前後という、都心部なら倍額でも抽選で即日完売というような破格の条件の住宅が「先着順」で申し込みを待っているという惨状がなぜ発生しているのか。
たしかにNT中央はともかく印西牧の原に降り立つと原野がお出迎えで不安が先に立つ事は事実です。
しかし都心まで直通で1時間圏であり、行政区域も「印西市」と市制を敷きましたから見劣りはしなくなりました。
日常生活ですとNT中央にはダイエーをはじめ大型商業施設ができており、都銀の支店(無人店舗だが)も複数行あり、不便はないでしょう。
  #「いには野」は印旛郡印旛村ですが...

答えは簡単です。都心まで1時間という時間距離が、運賃を考えると2倍にも3倍にも感じる仕掛けになっているからです。
NTで家を買う、借りる人は単身者ではなく家族持ちでしょう。都内や他の場所の居所からNTを見に行った時、都心から片道千数百円もかかるという厳粛な事実に、都心まで1時間とはいえ「おいそれとは出れない」という達観の状態に陥る事は想像に難くありません。
  #東葉線だと勝田台でも片道880円で出られる。
往復2500円~3000円もかかる場所というのは、もはや首都圏ではなく、東京に比較的近い地方都市という感覚です。
会社支給の定期券で通勤するダンナさんに対し、「こんなところで一生終わるのは嫌!」と奥さんが猛反発するのは火を見るより明らかでしょう。

その意味で西白井以東に求められる対策は、定期外客が都心に抵抗感なく出られるような運賃政策です。
この部分はひとり北総開発鉄道の対策ではなく、NT入居促進という大きな目的があるので、千葉県、船橋、印西の両市、白井町、本埜、印旛の両村といった沿線自治体、住都公団が足並みを合わせて、かつ資金を出し合って対策すべきことです。

メリハリある運賃対応を考える

投稿者---矢切氏(99/09/02(木) 14:15)
http://www3.ocn.ne.jp/~skylark7/

北総線の運賃が高すぎるという指摘なので、メリハリのある運賃の対応を考えます。北総の場合、通勤客は今の運賃までなら高くても乗るでしょうから、昼間だけ安い運賃を設定し、買物客や行楽客を呼び込みます。データイム回数券より良いものを!

[設定]

  1. 地下鉄・京成各駅までの往復乗車券と高砂までの往復乗車券を設定します。
  2. 発売は北総線内各駅のみとします(簡単のため)。
  3. 回数券とせず往復券とするのは、使いやすくするためです(回数券だと高額になるので買うのに抵抗がある)。
  4. 朝の通勤客には使わせないようにするため、平日午前9時までは使えないようにします。切符を使いやすくするため、夕方の使用制限はしません(終電まで乗車可)。
  5. 有効期限は1日のみとします。
  6. マイカーを意識し、家族割引を設定します。大人1人の乗車券で、高校生以下3人までを無料にします【無料にするには京成・都営の合意が必要。無理なら北総線内だけでも同伴者無料に】。
  7. 障害者手帳を持つ場合、介護者を2名まで無料にします。

[値段]

  • 現在、東銀座←→NT中央で1110円、東銀座←→新鎌ヶ谷で940円。
  • ちなみに東銀座←→京成高砂は390円です。いくらなら良いか判断が難しいですが、「北総線の運賃半額」ぐらいのことはしても良いと思います。

往復乗車券を発行する代りに、行きの切符を発売したときに「帰りの北総線は無料」というチケットを合わせて無料発行するのも良いと思います(この場合、北総線外は安くなりませんが)。帰宅時に無料券と共に高砂までの乗車券を提示すれば、清算せず降りられるようにします。


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