【検証:】過去ログSpecial

【検証:近未来交通地図】Special203-8
川崎縦貫高速鉄道の可能性を探る

 本投稿は、川崎縦貫高速鉄道の賛否について、【検証:】掲示板でもお馴染みの、串間様ととも様、かまにし様の対論を中心に、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。

朝ラッシュ・南武線実乗記と川崎縦貫鉄道の可能性
なぜ川崎縦貫が必要か

川崎市の地下鉄に関するアンケート結果
世紀の愚策となるであろう結末

需要予測についての疑問
市民部会の川縦批判手法を批判する
横浜市との連携ができないか
川崎縦貫高速鉄道線のルートを検証する

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
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川崎縦貫高速鉄道線のルートを検証する 〔続〕
 投稿者---串間氏(2003/07/02 22:21:01)
川崎縦貫高速鉄道線のルートを検証する
└元住吉と宮前平の是非
 └日吉の求心力
 └新線建設は住民ニーズの把握が重要
  └住民のニーズだけで路線は決まらない

(以上前ページ)

 └Re:元住吉と宮前平の是非
  └Re:元住吉と宮前平の是非
   └微妙なる調整と新川崎
    └再び2点レス
     └Re:再び2点レス
   └接続駅に優等列車が停まらないことの可否
    └乗換抵抗と速達性

▽前ページより

Re:元住吉と宮前平の是非
 投稿者---矢切氏(2003/07/04 16:23:07) http://www3.ocn.ne.jp/~skylark7/

 串間様ととも様のやりとり、とても勉強になります。私はかつて、こんな路線要らないと思っていたのですが、いろいろ知った今では5年延期となったのが残念なほどです。

 私が比較的簡単に返信できる点のみ返信させていただきます。

● 宮前平か鷺沼か

 宮前平が優等停車駅でないことは、あまり気にしなくて良いものと思います。新線が最もその価値を発揮する朝ラッシュ時においては鷺沼での緩急接続は行われておらず、田園都市線はこのあたりは並行ダイヤであるため、藤が丘〜梶ヶ谷の間から川崎縦貫に乗り換える場合は普通のみ停車すれば十分です。また、朝ラッシュ時の田園都市線は急行のほうが混んでいるので、東急としては、川崎縦貫沿線から田園都市線で渋谷・都心へ行くような客や長津田以遠から乗り換えて川崎縦貫沿線へ行くような客を、急行ではなく普通列車で輸送したいと考えるように思います。

 仮に将来、多摩NTや川崎への利用が相当増えるようなことがあれば、その時に優等停車駅に格上げすることを考えれば十分でしょう。急行停車の有無は変えればすむことですから、現状で宮前平=急行通過・鷺沼=急行停車であるという事実はルート選定上あまり重要でないファクターと思います。

● 元住吉か日吉か武蔵小杉か

 私は逆に、この3つの中で武蔵小杉が最悪と考えます。事業費が高くつくことおよび性格が似た南武線と川崎⇔武蔵小杉で重複することが理由です。武蔵小杉以南は作らない前提であれば、武蔵小杉がベストと思いますが。

 日吉は惜しい。慶応需要のほか、もうすぐ開業する横浜地下鉄4号線沿線対川崎などの需要もつかめるチャンスだったのに。横浜4号線を鶴見?まで伸ばすなら日吉経由の重要性は低下しますが、4号線の日吉以南こそ即時計画凍結で良さそうに思います。車両等の規格の違いから実現は不可能ですが、日吉で4号線とも直通化したうえで川崎まで伸ばせれば便利だったのにと思います(4号線については目黒線〜三田線直通もできれば良かったと思います)。

 でも、日吉を経由すると新川崎を経由しづらくなることや、元住吉経由の方が安上がりだったのだろうと考えると、日吉でなく元住吉という解もありだろうなと感じます。

 以上、ODなどを見て分析したわけでなく直感的な回答です。大間違いなどあったらごめんなさい。

Re:元住吉と宮前平の是非
 投稿者---とも氏(2003/07/04 17:34:18) http://town-m.vop.jp

 ともです。
 矢切様の投稿を読んでいてふと考え、自分の発想の誤りに気がつきました。

● 宮前平か鷺沼か
 朝ラッシュ時の田園都市線は急行のほうが混んでいるので、東急としては、川崎縦貫沿線から田園都市線で渋谷・都心へ行くような客や長津田以遠から乗り換えて川崎縦貫沿線へ行くような客を、急行ではなく普通列車で輸送したいと考えるように思います。

 で、ふと考えていたのですが、よく考えたら田園都市線は複々線化されますね。少なくとも溝の口まで。まぁ梶ヶ谷までしてくれれば御の字なのですが。
 となった場合、今は朝ラッシュ時に普通は梶が谷で待避しますから急行指向が強まりますが、溝の口での緩急接続の可能性が捨て切れません。
 また、構想通り鷺沼までの複々線となれば問題はほぼ解消されます。
 そう考えると、無理に道路のない鷺沼に引っ張るよりも素直な宮前平の方が所要時間などを考えると理想的かも知れません。

 鷺沼ルートは野川台団地からはいいんですが、北部へはえらい遠回りになりますね。

●武蔵小杉
 いろいろ考えましたがやはり筋悪です。
 まず

  1. 道路がない(一応、細い街路で中原駅南側を通って武蔵小杉までたどり着けるが、武蔵野線とルートがかぶる上に導線とまったくマッチしない)
  2. 拠点性がない(商店街の集客力で考えれば元住吉に軍配が上がる)
  3. その先のルートがない(南武線沿いに南下したところで工場やオフィスしかない上に南武線との客の奪い合いになり無意味)

といった点からして小杉優位と言うことはないでしょう。
 で、元住吉ですが、ブレーメン通りに入れられるのなら確実だと思いますが、もし尻手黒川沿いにならざるを得ないのであれば、井田病院付近から日吉はあり得ましょう。ただ、日吉から新川崎のルートがキレイにはいるかどうか、また矢切様のご指摘のようによっぽど筋悪でありながらなぜか川崎縦貫より支持されている4号線の日吉以南とルートがかぶります。そこが不安です。

 ということで雑感ですが。ではでは

微妙なる調整と新川崎
 投稿者---串間氏(2003/07/04 22:12:50)

 皆様、いろいろとご意見ありがとうございます。
 いくつか私見を述べさせてください。レスはここにつけますが、皆様の意見に対する私の反論・質問・答えです。

●元住吉の強さ

 かまにし様が日吉が元住吉に商業集積で劣ることに疑問を感じられていますが、私はそうは思っていません。完全な主観でいうならば、日吉と元住吉では「格」が違うとすら言い切るでしょう。
 私は日吉の商店街に行った事は一度きりしかない(綱島街道沿いは結構通る機会がありますが)のですが、夕方にもかかわらずあまり人が多くありませんでした。日吉東急の集客力は確かですが、それだけなのではないかと。
 元住吉の場合、小田急線ならば祖師ヶ谷大蔵、京王線ならば下高井戸のような、優等通過の中でも素晴らしい集客力を持っているのと似ています。これらの商店街は電車で行く人はまずいないでしょうが、近隣住民から絶大な支持をうけているように感じます。
 実地報告の中ではブレーメン通り商店街、つまり元住吉から西に向かって延びる商店街だけの紹介になっています。これも長さ1km強というすごい商店街なのですが、東側の商店街もかなりのモノがあり、駅の西側に少しだけある日吉と比べると、完全に差があります。
 乗降客数が多いことですが、日吉−綱島の駅間が長いことと南武線から遠いことから必然的な形としての日吉の利用が多いのに対し、元住吉が他駅(武蔵小杉・新川崎・向河原・平間)に逸走していることを含めて考えれば、現在のポテンシャルが小さく見えるのは気のせいではないかと感じます。
 ただし、そうした商業集積はルートを引くのには大して関係ないであろう点が少々残念です。ただし、元住吉周辺は人口密度がかなり高い点は留意しなくてはならないと思います。
 なお、とも様が指摘された元住吉駅の場所ですが、ブレーメン通り商店街の下にそのまま作ることが決定済みです。尻手黒川道路の下に通す案は市民部会が提出(事業費縮減のため)しましたが、棄却されました。

●微調整としての元住吉・日吉・武蔵小杉

 個人的な意見としての武蔵小杉はあまりにも無謀に感じられたかもしれませんが、武蔵野貨物線への意見がある以上、一つの選択肢として、そして市民の理解が得られるかと言う点で、ネットワークとしての力としてどうかという言うことで意見を出しました。とも様のおっしゃった「乗換にしか使えない」というのは、もともと内々流動が10%に満たない点からしても、だからこその武蔵小杉と感じます。南側は実は大して重視していないもので。ただ、事業費的にやはり厳しそうですね。
 私個人の意見としては、南側ルートが新鶴見停車場の下をまっすぐに通すならば事業費から見て元住吉で決まりと考えています。これは後で書かせていただきます。私としては、市民の理解を得るならば元住吉は嫌われるな、とは思います。アンケートをとるならば、ベターとは言い切れないのです。で、小杉を挙げたわけですが。
 ただ言っておいてなんですが、武蔵小杉の場合、そもそも論として「鉄道不便地域の改善」という趣旨にあまりにも似合わないです。これは皆様がおっしゃったとおり、あまりにも南武線に接近するという点につきます。それ以上に重要な点として西側においても北に膨らむことで、野川・久末・蟹ヶ谷の不便地域が救えなくなってしまいます。
 後で書いて気付きました。これについてはお詫びしておきます。
 日吉の場合、4号線の需要は確かにひろえますが、はたしてどれぐらいの流動があるかです。二社割引運賃を都営と営団のように適用すれば目があるでしょうが、仮にない場合はほとんどダメなのではないかと感じます。

●相互直通とモノレール・ミニ地下鉄

 相直の効果についてはエル・アルコン様がご指摘されたとおり (※) です。乗換の抵抗は相当なものがあり(誰だって乗換はしたくないものです)、採算性の面からいっても需要を増やすのにつながると思います。

Re:運賃水準の前提によって special226.html#21

 相互乗り入れを切望しているかどうかについては、現在、京急や小田急との乗換が十分便利な状況があるのでしょう。もともとの流れ自体が川縦方面じゃないですから、そのような声が小さいのは当然です。
 小田急多摩線との相直は、既存の新百合ヶ丘駅と唐木田車庫を使えることによる大幅な事業費縮減効果(約400億円)が最大のメリットですから、当然推進されるべきものです。稲田堤の乗換は最悪ですから(仮に私だったら迂回してても川縦を使おうと思うほど)、相直の効果は相当のものと思います。

 モノレールには道路整備が必須となります。となると、作るのには極めて根気のいる長い作業が必要と感じます。まさか住宅の上にモノレールを走らせるわけにはいかないですから。地形的な面からいっても、アップダウンが相当の障害となると感じます。
 ミニ地下鉄については学識者部会でも検討されましたが、他路線との相直ができなくなること、それはすなわち先に述べた事業費縮減効果がなくなってしまいます。つまり事業費削減において大きなメリットにはなり得ないのです。相直なしによる需要の減少は、言うまでもないでしょう。

●宮前平か鷺沼か

 矢切様がおっしゃった朝ラッシュという観点は参考になります。ダイヤは私にはわからないもので。
 勘違いだったら申し訳ないのですが、ジョルダンの乗換案内を使って朝の時間で検索をかけると、梶ヶ谷で抜かれた普通列車が溝の口で前の急行にいったん追いついて、乗換ができるような結果が出されます。仮にそうだとすると、朝ラッシュ時は宮前平と鷺沼の間にある時間差はほとんどなくなります。
 田園都市線で宮前平−梶ヶ谷をラッシュ時に使っている方がいたら、現状について教えていただけますでしょうか。
 矢切様がこのことについて既にご存知でしたら、無用の質問としてたしなめていただければと思います。

 とも様に質問を。鷺沼から北部へですが、鷺沼−犬蔵を直線にひく上で何か問題があるのでしょうか。私としては鷺沼−野川のルートの方が、鷺沼駅付近でカーブが厳しくなることによる悪影響の方が心配です。いかがでしょうか。

●新鶴見停車場と新川崎の駅の場所を考える

 新鶴見停車場は塩漬けになったまま未開発になっている土地のことです。
 現計画では川崎縦貫の新川崎駅は小倉跨線橋付近に建設予定となっています。つまり横須賀線新川崎駅から約1km南の場所なのです。
 これは後々紛争の火種になるだけでなく、JRに駅の移転を拒否されるとせっかくの広域ネットワークとしての魅力を失ってしまいます。
 最低でも現在の新川崎駅の下にクロスさせるべきです。

 ただし、私ならば新鶴見停車場直下にそのまま作るべきではないかと思っています。丸の内線みたいに浅く作って事業費を大きく圧縮し、そして横浜市とも協議のうえでなるべく南まで引っ張り、尻手黒川道路に合流させて川崎駅に入れれば、事業費を大幅に圧縮できます。
 横浜市がその気ならば、事業費は増えますが、新川崎から末吉橋まで引っ張っても構わないと思います。これで4号線の投資が必要なくなり、極めてすっきりとしたルートになるのではないかと思うのです。
 この点が私がもっとも「どうか」と思う点です。今の新川崎駅の場所は最悪でしょう。いかがでしょうか。

***
 長々と失礼致しました。コメントをお待ちしています。では。

再び2点レス
 投稿者---かまにし氏(2003/07/05 00:43:41)

 かまにしです。

 かまにし様が日吉が元住吉に商業集積で劣ることに疑問を感じられていますが、私はそうは思っていません。完全な主観でいうならば、日吉と元住吉では「格」が違うとすら言い切るでしょう。
 ただし、そうした商業集積はルートを引くのには大して関係ないであろう点が少々残念です。ただし、元住吉周辺は人口密度がかなり高い点は留意しなくてはならないと思います。

 串間様自身も最後に触れられていますが、元住吉の商業集積が近隣住民にとって求心力があるとしても、ポイントはそれを利用するのにどれだけの人が電車で来街し、それが鉄道利用にどれだけプラスになるかではないかと思います。例えば、他にも戸越銀座や武蔵小山・砂町銀座のように、地元住民に絶大な支持を得ている近隣型商店街は存在しますが、これらへの来街者のどれほどの人が電車を使って来ているのかなどを、まずは分析する必要があるのかなと思います。

 例えば戸越銀座や武蔵小山は、池上線や目黒線の駅間が短い上に、列車が高頻度に運行されていることから、近隣住民がちょっとした買い物をするのにも便利に利用できるわけですが、相対的に駅間が長い川崎縦貫のような鉄道でそういう需要をどこまでつかめるかですよね。とりあえず、元住吉の求心力が及ぶ勢力圏がどのあたりまでかを押さえる必要があると思います。

 日吉の場合、4号線の需要は確かにひろえますが、はたしてどれぐらいの流動があるかです。二社割引運賃を都営と営団のように適用すれば目があるでしょうが、仮にない場合はほとんどダメなのではないかと感じます。

 私はかなりの流動があると思います。ようは港北NT・日吉〜川崎・大田(羽田空港を含む)・品川という流れがどれだけあるかだと思います(国勢調査で調べられますね)。これらへの流れは今まではそれこそ、南武線・多摩川線・大井町線、横浜市営地下鉄だったわけですが、どれも港北NT・日吉あたりからは最短ルートとは言えず遠回り気味でした。もし川崎縦貫が日吉〜川崎が10分だとするとかなりの時間短縮になります。とすると、運賃は高いとしても時間短縮効果の大きさでそれなりのシフトが見込めると踏んでいるんですが、いかがでしょうか?

 ではでは。

Re:再び2点レス
 投稿者---串間氏(2003/07/05 19:10:26)

 かまにし様、レスありがとうございます。

 例えば戸越銀座や武蔵小山は、池上線や目黒線の駅間が短い上に、列車が高頻度に運行されていることから、近隣住民がちょっとした買い物をするのにも便利に利用できるわけですが、相対的に駅間が長い川崎縦貫のような鉄道でそういう需要をどこまでつかめるかですよね。とりあえず、元住吉の求心力が及ぶ勢力圏がどのあたりまでかを押さえる必要があると思います。

 多分、川崎縦貫を利用してくる人はいないのではないかと思います。東急のような気軽に乗れるタイプの鉄道にはなり得ないでしょうから。
 東横線沿線からどれぐらい来るのかという所に絞られるでしょうが、そうしたときに川崎縦貫が通るという意味での知名度アップがどれぐらい影響するかというのは興味があります。ただ、やはり厳しいことには変わりがないのではないかというのが私の感触です。私はとも様のように楽観視はできません。

 ようは港北NT・日吉〜川崎・大田(羽田空港を含む)・品川という流れがどれだけあるかだと思います(国勢調査で調べられますね)。 

 この流れの多くは、日吉になった場合は川崎縦貫である事は肯定します。ただ、これが少ないと個人的に思っているので。何の根拠もない主観ですので、その前提で聞いていただきますようお願いします。
 今後の目黒線の日吉延伸、営団13号線開通など、東横線沿線が極めて利便性が向上するだけに、どこまで食い下がれるのかな、というのを感じているわけです。加えて自由が丘乗換がかなり強いですし。で、京急沿線ぐらいしか対抗できないのではないかと。であればパイが小さすぎると感じます。
 元住吉を通すよりも利便性が高いのは私も認めています。新鶴見停車場の下を通すというルートが成立しないならば、元住吉は嫌ですが。

 運賃は高いとしても時間短縮効果の大きさでそれなりのシフトが見込めると踏んでいるんですが、いかがでしょうか?

 現ルート・現行料金の場合、元住吉−川崎が川縦利用230円。大井町線との料金の争いが激化するところでしょうが、どちらにしろ大田区などへは乗換が必要なので、川縦は若干劣る程度でしょう(川崎は圧勝ですね)。ただ、新規需要や京急を利用して東京へ向かう人が増える可能性を料金面で潰してしまうと感じています。
 でも仮に連絡による割引を認めるならば、港北の多くを川崎まで引っ張ることができますし、メリットは大きいとは思います。

 とりあえずこんなところで。では失礼致します。

接続駅に優等列車が停まらないことの可否
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/07/05 23:10:48) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 接続駅となる宮前平と元住吉が優等停車駅でないことから来る弊害というものを考えた時、川崎縦貫から田園都市線や東横線で都心方向へ向かう流動へのアピールが少ないということが大きいかと思います。逆に両線から川崎への流動として考える時、溝の口や小杉まで乗り通して南武線に乗り換えることとの比較になるわけで、しかも両線の優等停車駅起点の流動に限定されるという面的広がりの小ささも指摘できます。

 もちろん第一期開業時には元住吉以北ですから、対川崎流動の取り込みというのはない訳で、その状態で沿線起点流動は接続駅の優等停車の有無で川崎縦貫を捨てて相変わらずバスということはまずないでしょうから、小田急多摩線方面から川崎縦貫経由で田園都市線もしくは東横・目黒線経由という通過流動の取り込みに影響する可能性は捨て切れません。

 ただ、全線開通時、川崎から東海道線という速達性と新橋、東京という絶対的に強いエリアのある路線への継送を考えると、田園都市線や東横線への送り込みではなく、宮前平や元住吉からですら川崎経由の流動を取り込むという発想で考えると、対都心で比較的競争力が弱いが、駅勢人口はある優等通過駅にぶつけるというのは、戦略的に見てあながち間違いとはいえません。
 絶対的優位性を持つ並行路線に対して、この手の戦略で奏効している例としては、特急・通勤特急が止まる京成八幡(JR総武線本八幡は快速通過駅)、おなじく特急・通勤特急が止まる阪急神戸線岡本(JR神戸線摂津本山は新快速、快速通過駅)というケースもあるわけですから。

 武蔵野線のように完全に環状方向の路線で、最寄りの他線に接続することが使命となっている路線の場合、接続駅に優等列車が止まらないのは利便性を大きく損ないますが、川崎縦貫の場合は環状方向の路線であると同時に、川崎経由で都心を向いた路線という位置づけも可能なだけに、一筋縄でいかないかもしれません。

乗換抵抗と速達性
 投稿者---串間氏(2003/07/06 02:32:35)

 エル・アルコン様、コメントありがとうございます。

 優等停車に越した事はないとは思っています。ただ、その東急二線の穴埋めができるのがおそらく川崎縦貫の強みなのでしょう。
 ただ、土地勘があまりないかと思われますし、多くの方もそうと思われますので、一応の解説をしておきます。

南武線vs川縦線(+多摩線)の各線連絡抵抗
  南武線 川縦線(+多摩線)
路線名 乗換駅 優等停車 乗換利便性 乗換駅 優等停車 乗換利便性
京王相模原線 稲田堤 急行 × 多摩セン・永山 急行・急行 ○・〇
小田急線 登戸 急行 新百合ヶ丘 急行+特急 ◎(多摩線は相直)
田園都市線 武蔵溝ノ口 急行 宮前平 普通
東横線 武蔵小杉 特急 元住吉 普通
目黒線 同上 なし 同上 なし
横須賀線 鹿島田 - × 新川崎 - △(変更の可能性大)
東海道線・京浜東北線 川崎 - 川崎 - ×
京急本線・大師線 同上 - × 同上 -

(注)◎ラッチ内乗換 〇通常の乗換 △面倒な乗換 ×嫌われる乗換

 というわけで、東海道線の利用は圧倒的に乗換が便利な南武線に流れます。しかし、京急線の利用は川崎縦貫に流れます。そして東海道線が使えない代わりに、横須賀線というもう一つの高速アクセスで、新橋、東京に向けた足を確保しているのです。正に抜け目がないといえるでしょう。通勤目的のODでも品川方面への横須賀線利用が東海道線の4倍になっています。実は新川崎が侮れないのです。これは横浜方面にまで効いてくるため、東横線での元住吉の優等非停車をかなり相殺しています。

http://www.city.kawasaki.jp/82/82tetudo/home/pdf/gakusiki-2.pdf

 ただし、こういった需要はやはり全体でみれば多く見積もってはいません。これは和寒様との対論でも明らかになっています。しかし、首都圏のパイの大きさに他なりません。
 確かに料金の面では良くないのですが、決して利便性でも南武線に劣っているわけではないということが非常に重要な点になります。だから、南武線に絶対に負けるとは言い切れないのです。
 で、欲を言えば東急2つも・・・となっているわけなんですが。どうやら、それほど問題にしなくてもいいような結果が出始めています。矢切様の視点に感謝です。ただ、急行通過が実際にそうでなくても、心理的にどこまで響くかというところが個人的には引っかかっています。あまりにもよそ者の観点になっている私が悪そうですが。

 やや論点がずれてしまったようですが、これで失礼致します。

重すぎた事業費
 投稿者---串間氏(2003/07/24 01:14:19)
重すぎた事業費
└展論予約?

 川崎縦貫の建設延期が表明されてから1ヶ月以上過ぎた中、そして【検証:】掲示板内で3週間近く議論の無い状態だったわけですが、敢えて踏み込みます。事業費に関連するものです。
 私はこういったことに関しては素人で、知らないことだらけです。ここあたりは皆様にお教示いただきたいと思います。

***
 川崎縦貫高速鉄道の建設延期にもっとも大きな影響を及ぼしたのは、事業費負担の増加でした。
 もともとの計画では、一般会計から44%、国からの補助(地方交付税として)が22%、そして企業債34%で、償還がなされる予定でした。

東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030624/mng_____kakushin000.shtml
産経新聞 
http://www.asahi-net.or.jp/~ub6y-nngw/kawasaki.htm

 しかし記事を見ての通り、あくまでこの地下鉄の補助金は地方交付税によってまかなう予定だったものが、首相の掲げる三位一体の改革の影響により、950億円の事業費縮減という成果にもかかわらず、一般会計の負担額が80億円から160億円に膨らむことになってしまっています。

***
 川崎市は財政力が強いなどと言われていますが、一方で財政再建大体目前という複雑な状況を抱えています。私にはサッパリ分からない話ですが、どちらにしろ国による補助を見込めなくなったことが、事業の結果に大きな影響を与えた事は否定できないと考えていいのかもしれません。

 この地下鉄、PFIでもBOTでも本当に成立しなかったのか。その検証すらないままに中止という判断がされ、それがあたかも英断のように伝えられる現状は解せない。無い袖は振れない。それは当然だ。しかし、本当に袖は無いのか?。川崎市が全額出資すべき事業なのか?そこも含め考えなくてはならないのにそういう議論が見えてこない。

 とも様の発言を引用させていただきました。結局のところ、ここについてどうだったのかということを知りたいのです。
 川崎縦貫の事業費は利子を含めると1兆を超えるということもあり、この莫大な償還に耐えらるには、本来どのような形をとるべきだったのか、ということについて疑問に思ったからです。
 いろいろと皆様が発言してくださったのですが、これに関しては残念ながら、私には明確な答えが見出せませんでした。

 拙い文章で申し訳ないですが、これについて説明していただけないものでしょうか。

展論予約?
 投稿者---和寒氏(2003/07/30 08:15:36) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 川縦論としてよりも一般論として思うところがあるのですが、ネタづくりに相応の時間がかかるので、とりあえず展論の予約をしておきます。おそらく月単位の時間がかかろうかと。その割にはたいしたことがいえないかもしれませんが、まずはお待ちください。

2004.11.06 Update


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